編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は「紅の砂漠」のバグ・不具合の現状や、PS5版を購入する際の注意点が気になっていると思います。
圧倒的なグラフィックと作り込まれたオープンワールドで世界中から注目を集めている本作ですが、 リリース時点ではプレイ環境によって様々な問題が報告されているのが実情です。
この記事を読み終える頃にはPS5版を購入すべきかどうかの疑問が解決しているはずです。
- 進行不能やフリーズなど致命的なバグの現状
- PS5版における処理落ちとフレームレート低下
- 独特な操作性とシビアな入力判定の仕組み
- 武器強化やアクション要素の詳細なレビュー
それでは解説していきます。
バグ・不具合内容まとめ : プレイ進行を妨げる致命的な症状
本作は非常に野心的なタイトルであり、広大な世界と複雑なシステムを内包している反面、開発段階のテストプレイを思わせるような不具合が散見されます。
特にゲームの進行そのものを妨げるような致命的なバグが複数報告されており、長時間のプレイを行う上では常にリスクと隣り合わせの状況と言わざるを得ません。
ここでは、私が実際に90時間以上プレイする中で直面した、あるいはコミュニティで頻発していると報告されている深刻なバグについて詳細に解説していきます。
これらの症状を事前に把握しておくことで、こまめなセーブなどの自己防衛策を講じることが可能となります。
フリーズと強制終了 : PS5版で頻発する進行不能バグ
ゲームプレイ中、画面が突然固まり一切の操作を受け付けなくなるフリーズ現象が複数回確認されています。
私がストーリーをクリアするまでの間に、完全にゲームが停止しアプリケーションの強制終了を余儀なくされた回数は少なくとも3回に上りました。
特に広大なエリアを高速で移動している際や、複数の敵と交戦し激しいエフェクトが飛び交う状況下での発生率が高い傾向にあります。
オートセーブ機能は搭載されているものの、タイミングによっては直前の探索状況や獲得したアイテムがロストしてしまう危険性があります。
重要なボス戦の前や、貴重な素材を大量に採掘した直後などは、手動でのセーブを心がけることが現状における唯一の対策となっています。
インタラクト無反応 : NPCやオブジェクトに干渉できない現象
街のNPCに話しかけたり、宝箱を開けたりするための「インタラクト」が突如として機能しなくなるバグも厄介です。
ボタンの入力プロンプト自体は画面上に表示されているにもかかわらず、いくらボタンを押してもキャラクターがアクションを起こさなくなります。
この症状が発生した場合、一時的なエリア移動などでは改善せず、ゲームそのものを一旦終了して再起動しなければならないケースがほとんどでした。
クリアまでにこの再起動必須のインタラクトバグには2回遭遇しており、没入感を著しく削ぐ要因となっています。
広大な街を探索し、連続して多くの家屋に侵入したりオブジェクトを調べたりするようなプレイスタイルをとる際、システムのメモリに負荷がかかり発生しやすいのではないかと推測しています。
設定内容の勝手な初期化 : 起動時に発生する煩わしい不具合
ゲームを起動するたびに、オプションで設定したはずの項目が勝手に初期化されてしまうという地味ながらも非常にストレスの溜まる不具合が存在します。
カメラの感度、画面の明るさ、各種UIの表示設定など、プレイヤーの好みに合わせて細かく調整した内容がデフォルト状態に戻ってしまうのです。
そのため、ゲームをプレイし始める前に、毎回オプション画面を開いて設定が維持されているか確認し、直っていなければ再度設定し直すという無駄な工程が発生します。
操作感に直結するカメラ設定などが初期化されたままプレイを開始してしまうと、戦闘での思わぬミスの原因にもなりかねません。
この設定の保持に関するバグは早急な修正が望まれる部分であり、現状では完成品というよりも開発中途の段階にあると感じざるを得ない要因の一つです。
バグ・不具合の深刻度と発生頻度一覧
| 不具合の症状 | 発生頻度 | プレイへの影響度 | 現状の対策・回避方法 |
|---|---|---|---|
| フリーズ・強制終了 | 中(クリアまでに数回) | 致命的(進行状況ロスト) | こまめな手動セーブ |
| インタラクト無反応 | 低(クリアまでに数回) | 深刻(再起動必須) | アプリケーションの再起動 |
| 設定項目の初期化 | 高(起動時頻発) | 煩わしい | 起動時に毎回オプションを確認 |
| コリジョン(壁抜け・吸い付き) | 高(常に発生の可能性) | 中(移動の妨げ) | 無理な地形ジャンプを避ける |
| ロックオンの外れ | 高(特定のボス戦で頻発) | 深刻(戦闘難易度上昇) | カメラ手動操作・回復ゴリ押し |
コリジョン判定と壁面への吸い付き現象
地形やオブジェクトの当たり判定(コリジョン)に関しても、粗削りな部分が目立ちます。
建物の壁や岩肌にキャラクターが不自然に吸い付いてしまったり、見えない壁に阻まれてすんなりと移動できなかったりする現象が頻繁に起こります。
特に戦闘中、敵の攻撃を回避しようとして壁際に追い詰められた際、このコリジョン判定の悪さが原因で回避行動が引っかかり、被弾してしまうケースが少なくありません。
オープンワールドの探索においても、少し複雑な地形を登ろうとするとキャラクターの挙動がガタつき、ストレスを感じる場面が多々ありました。
PS5版の購入注意点 : 快適に遊ぶための必須知識
現在、本作の購入を検討している方の中で、特にPS5版を選ぶ予定の方はいくつかの重要な注意点を理解しておく必要があります。
次世代機向けのハイエンドなグラフィックを誇る本作ですが、コンソール機であるPS5においてはその要求スペックに対して最適化が追いついていない印象を強く受けます。
PC版と比較して明らかに妥協しなければならない点が多く、快適なゲームプレイを求めるプレイヤーにとっては厳しい現実が待っているかもしれません。
ここでは、PS5版特有のパフォーマンス問題や、操作性に関する懸念点について深く掘り下げて解説します。
フレームレートの大幅低下と処理落ちの深刻さ
PS5版をプレイする上で最も覚悟しなければならないのが、致命的なフレームレートの低下とそれに伴う処理落ちです。
通常のフィールド探索時ですら、描画されるオブジェクトが多い街中などではカクつきを感じることがあります。
しかし、問題が顕著になるのは激しいエフェクトが飛び交うボス戦です。
特定のボス戦、例えば画面中を無数のカラスが飛び交うようなシチュエーションでは、処理が全く追いつかず、画面がコマ送りのようになる「ガタガタ」な状態に陥ります。
フレームレート優先の設定にし、各種パーティクルエフェクトをオフにするなどの対策を講じても、焼け石に水といった状況でした。
敵の攻撃モーションを目視して回避することがゲーム性として求められているにもかかわらず、処理落ちのせいで敵の動きが見えないというのはアクションゲームとして致命的な欠陥です。
PC版とのパフォーマンス比較推測
| プラットフォーム | フレームレートの安定性 | グラフィック品質 | 操作遅延の有無 | 総合的な快適度 |
|---|---|---|---|---|
| ハイスペックPC | 高(設定次第で安定) | 最高 | ほぼ無し | 快適 |
| ミドルスペックPC | 中(混戦時に低下) | 高 | 軽微 | 普通 |
| PS5 (本作) | 低(ボス戦で致命的低下) | 中〜高(可変) | 明確に感じる | 忍耐が必要 |
回復ゴリ押し戦法を強いられる現状
上記のような著しい処理落ちとフレームレート低下が発生する環境下では、敵の動きをよく見てタイミングよく回避や防御を行うという、本来のアクションの醍醐味を味わうことは不可能です。
私が特定の激重なボス戦に直面した際は、敵のモーションを楽しむことを完全に諦めざるを得ませんでした。
結果として取った戦術は、大量の回復アイテムをあらかじめ準備し、ダメージを受けることを前提に、ひたすら攻撃ボタンを連打して回復アイテムをガブ飲みするという「ゴリ押し」でした。
このような戦術をとらざるを得ない時点で、ゲームバランスやパフォーマンス調整に大きな問題を抱えていると言わざるを得ず、PS5でプレイする方はこの点に強く留意すべきです。
独特なUIと直感的でない操作体系
パフォーマンス問題に加えて、UI(ユーザーインターフェース)の設計や操作の割り当てが非常に独特であり、プレイヤーの直感に反する点も注意が必要です。
例えば、キャラクターをダッシュさせるための操作が「×ボタンを2回以上連打」という仕様になっています。
多くのアクションゲームで採用されているワンボタンでの押し込みや長押しとは異なり、走るまでに明確な「間」が生じ、咄嗟の回避行動などに遅れをとる原因となります。
また、乗り物である馬に乗るアクションが「□ボタン」であるのに対し、降りるアクションがなぜか「△ボタン」に割り当てられているなど、統一感のない操作体系がプレイヤーを混乱させます。
1つのアクションに要求される手間の多さ
操作の煩雑さは、アイテムの採集など日常的なアクションにも現れています。
フィールド上にある鉱石を掘るという単純な行動をとるためにも、まずはメニューから手持ちの武器をピッケル等の採掘用ツールに持ち替え、対象にしっかりと狙いを定めてからようやく採掘アクションを実行できるという仕組みです。
開発陣がリアリティや「ひと手間」を演出したい意図は理解できますが、ゲーム体験としてはテンポを著しく阻害しており、ただ面倒くさいだけという印象が拭えません。
やりたいことに対するアプローチが遠回りで、操作の仕方が全体的に分かりにくいのが難点です。
完成と入力遅延がもたらす致命的な操作感
本作のアクションにおける最大の不満点は、あらゆる動作にまとわりつく「慣性」と「入力遅延(ラグ)」です。
ダッシュで移動した後、狙った場所でピタッと止まろうとしても、キャラクターが慣性でそのまま数歩(時には7歩ほど)歩き続けてしまうことがあります。
これにより、崖際での転落事故や、アイテムの目の前を通り過ぎてしまうといったストレスが頻繁に発生します。
さらに深刻なのが入力遅延です。
メニュー画面を開く際にも、ボタンを押してから実際に画面が切り替わるまでに明確なラグが存在し、その間に敵やNPCが少し動いてしまうほどです。
アクションゲームにおいて、プレイヤーの入力とキャラクターの動きが同期しないことは致命的であり、爽快感を著しく削いでいます。
シビアすぎる同時押し判定と入力ミス
入力関連の問題は遅延だけに留まりません。
複数のボタンを同時に押すアクションの判定が、現代のゲームとしては異常なほどシビアに設定されています。
例えば、R1ボタンとL1ボタンの同時押しで発動する強力な「反射」スキルを出そうとしても、タイミングが数フレームでもずれると、ただのR1の通常攻撃が暴発してしまいます。
他の多くのアクションゲームでは、プレイヤーの操作にある程度の「遊び」を持たせ、多少入力がずれても意図を汲み取って技を出してくれるアシスト機能が働きます。
しかし本作においては、本当に「ぴったり同時」に押さなければ技が成立せず、短押しや長押しの判定差も少ないため、乱戦中に入力ミスが頻発します。
このシビアさはゲームの難易度を理不尽に上げているだけであり、早急な調整が求められる部分です。
バトルとアクション要素 : 手触りと攻略のコツ
パフォーマンスや操作性に難を抱えつつも、アクションの手触り自体には光るものがあるのが本作の特徴です。
武器の振り下ろしにはそこまでの重厚感はないものの、敵に攻撃をヒットさせた際の感触は悪くありません。
システム全体としては、ソウルライクのようなシビアなスタミナ管理と死に覚えを要求するものではなく、どちらかと言えば「アサシンクリード」シリーズ、特に「オデッセイ」の頃の操作感に近い印象を受けました。
基本技を連続して叩き込むだけでも爽快感があり、特に序盤は無敵判定を伴うフィニッシュムーブを活用することで、周囲に群がる敵をまとめて吹き飛ばす派手な立ち回りが可能です。
プレイヤー側が強力な技を習得していけば、多数の雑魚敵を一掃する無双感も味わうことができます。
防御・回避のバランスと盾の重要性
攻撃面は比較的爽快な一方で、防御面には課題が残ります。
本作の回避行動(ローリングやステップ)は、敵の攻撃をすり抜けるための無敵フレームの発生時間が非常に短く設定されているように感じます。
そのため、タイミングよく回避ボタンを押したつもりでも被弾してしまうことが多く、アクションが苦手なプレイヤーにとっては敵の攻撃を避けること自体が高いハードルとなります。
さらに、敵の攻撃の中にはそもそも回避不可能な性質を持つものも存在しているようで、回避一辺倒の立ち回りは通用しません。
終盤における即死級ダメージへの対策
ゲームが後半から終盤に進むにつれて、敵の攻撃力は理不尽なほどに跳ね上がります。
特にボスの攻撃は、一撃食らっただけで体力の大部分を持っていかれる、あるいは即死してしまうようなシチュエーションが増加します。
この猛攻をしのぐためには、回避に見切りをつけ、装備で物理的な防御力を高めるアプローチが不可欠です。
具体的には、片手武器を装備する際、もう片方の手に防御力の高い「盾」を必ず装備すること。
そして、防具のスロットにも防御力を底上げするギアを惜しみなく装着することが、終盤の死闘を生き残るための最低条件となります。
防御を怠れば、回復する間もなく一瞬でゲームオーバー画面を見ることになるでしょう。
独自のスキル「集中」と「光反射」の面白さ
戦闘システムに独自の彩りを加えているのが、「集中」と「光反射」と呼ばれるスキルです。
「集中」を発動すると、周囲の時間の流れがスローモーションになり、プレイヤーだけが素早く動けるようになります。
この状態から敵の攻撃を弾き返す「光反射」へと繋ぎ、さらにそこから怒涛の連撃である「疾風斬り」を叩き込むというコンボは、本作の戦闘における最大のハイライトと言えます。
時間がゆっくりになるため、敵の激しい攻撃モーションも視認しやすくなり、回避のタイミングを計ったり、落ち着いて回復アイテムを使用したりする余裕が生まれます。
アクションの腕前に自信がないプレイヤーにとっても、この強力なシステムを駆使することで強敵を圧倒できるのは、本作特有の優れたゲームデザインとして評価できるポイントです。
武器強化の仕組みとステータス
武器の強化システムは、基本的には素材を集めてレベルを上げていくオーソドックスなスタイルです。
ゲーム内に登場する武器や防具の種類は一見すると非常に多く見えますが、実はベースとなる性能は共通しており、そこに付与されている追加ステータス(攻撃力アップ、会心率アップ、攻撃速度アップなど)の組み合わせが異なるだけという仕様になっています。
| 武器の種類 | ベース攻撃力(目安) | 付属ステータスの例 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 初期の片手剣 | 10 | 攻撃力+2、会心+1 | 強化素材が集めやすい |
| 中盤の片手斧 | 25 | 攻撃速度+1 | 一撃の重さ重視 |
| 終盤の大剣 | 45 | 会心ダメージ+ | 隙は大きいが超火力 |
| 専用の短剣 | 15 | 出血効果付与 | 手数で勝負するスタイル |
上記の表はあくまで目安ですが、ベースとなる攻撃力に付属ステータスが加算された数値が、最終的な武器の攻撃力として表示されます。
例えばベースが10で攻撃力+2が付属していれば、表示攻撃力は12となります。
武器のレベルアップには、フィールドで採掘できる「スコレサイト鉱石」や敵からドロップする布などの素材が必要です。
序盤の強化はスムーズに進みますが、武器レベルが5を超えたあたりから、「アーティファクト」と呼ばれる希少で入手困難な素材を要求されるようになり、強化のハードルが一気に跳ね上がります。
無理な最大強化は不要なバランス
素材集めが困難になる中盤以降ですが、実はラストボスを倒してエンディングを迎えるだけであれば、武器を限界まで最大強化する必要は全くありません。
私自身、最終的な武器レベルは6で止まっていましたが、それでも十分にゲームをクリアすることができました。
重要なのはベースのレベルアップよりも、後述するスロットに装着する「アビスギア」の吟味や、自分のプレイスタイルに合ったスキル構成を見つけることです。
わずかな攻撃力1や会心率1の差にこだわるプレイスタイルでなければ、見た目が好みの武器を使い続けるという選択も十分にアリだと言えます。
アビスギアと戦術の固定化問題
武器や防具にはスロットが用意されており、そこに「アビスギア」と呼ばれる特殊なアイテムをはめ込むことで、様々な恩恵を得ることができます。
ギアの着脱は各地に点在する「魔女」のNPCに依頼することになります。
アビスギアには攻撃力アップなどのパッシブ効果のものから、特定のアクションを強化するものまで多岐にわたります。
各地でギアの制作図を手に入れ、同種のギアを合成(1+1=2、2+2=3という特殊な計算方式)することで、より強力なギアを作り出すクラフト要素も存在します。
複数の特殊なギアを1つの武器に組み合わせることで、多段ヒットする攻撃などを繰り出せるようになるため、ビルドを考える楽しさは確かに存在します。
最強スキル「裏切りの烙印」の功罪
しかし、このアビスギアによるビルドの多様性を根底から覆してしまうほど強力なスキルが存在します。
それが、ストーリー第8章のボスを撃破した際に手に入るギア「裏切りの烙印」です。
このスキルがあまりにも優秀すぎるため、一度手に入れてしまうと他の戦い方を模索する意味が薄れてしまうという問題を抱えています。
「裏切りの烙印」が持つ4つの圧倒的な利点は以下の通りです。
- リソース管理の容易さ: 発動に気力(スタミナ)を消費するスキルであるため、他の強力な魔法等で要求される「精神力」を温存できます。
- 回避と攻撃の一体化: 技の発動モーションの初段に長い無敵の回避判定が備わっており、敵の攻撃に突っ込むように発動するだけで回避と反撃が同時に成立します。
- 飛び道具の無力化: スキルによって出現するスタンド(分身)自体に当たり判定があり、敵がばらまく厄介な魔法弾や爆弾などの飛び道具をかき消す盾として機能します。
- デコイとしての機能: ボス戦において、出現した一瞬のスタンドがボスのターゲット(ヘイト)を引き受けてくれます。その間、プレイヤー本体は完全にフリーとなり、安全な位置から一方的に攻撃を叩き込むことが可能になります。
この「裏切りの烙印」による戦術が完成してしまうと、それまで面白みを感じていた「集中」や「光反射」といったテクニカルなシステムすら使う必要がなくなってしまいます。
自動発動系のスキルとは併用できないという縛りはあるものの、実質的にこのスキル一つを連打しているだけで大半のボスを完封できてしまうのは、アクションゲームのバランスとしてはいささか大味すぎると言わざるを得ません。
オープンワールドの魅力 : 圧倒的な没入感と探索要素
システム面やバグに多くの不満を抱えながらも、私が本作を90時間以上もプレイし、途中で投げ出すことなくクリアまで辿り着けた最大の理由は、このゲームが構築した圧倒的なオープンワールドの魅力に他なりません。
広大に広がるマップはただ広いだけではなく、その密度とディテールの細かさは昨今のオープンワールドゲームの中でもトップクラスの完成度を誇っています。
特に驚かされたのは、フィールド上に存在するほぼ全ての家屋や建造物に、ロードを挟むことなくシームレスに侵入できるという点です。
緻密な世界観の構築とNPCの生活感
ただ家に入れるというだけでなく、その内装や家具の装飾に至るまでが異常なほどのこだわりを持って作り込まれています。
机の上の小物や、壁に掛けられたタペストリーなど、細部を観察しているだけでも時間が溶けていきます。
さらに、配置されているほとんどのオブジェクトに対して「触れる」「壊す」「動かす」といったインタラクトが可能であり、プレイヤーの行動が世界に物理的な影響を与えているという実感が、凄まじい没入感を生み出しています。
生きている世界を感じさせる生活サイクル
街を行き交う人々や、街道を旅するNPCの数の多さも特筆すべき点です。
彼らはただそこを歩いているだけの書き割りではありません。
昼間は市場で働き、夜になれば酒場で酒を飲み、そして自宅のベッドで眠りにつくといった、完全な昼夜の生活サイクルを持って行動しています。
雨が降れば屋根の下に逃げ込み、モンスターが街に侵入すれば逃げ惑うといったリアクションも実に自然です。
ここまで徹底して作り込まれた世界に身を置いていると、ゲームをプレイしているというよりも、本当にこのファンタジー世界に自分が住み着いているかのような錯覚に陥ります。
盗賊プレイに目覚め、街中の人々の家々に侵入しては鍵を開け、アイテムを物色するだけでも数十時間を費やせるほどのポテンシャルを秘めています。
アクションを活かした探索の自由度
オープンワールドの探索をさらに面白くしているのが、プレイヤーキャラクターが持つ多彩なアクションテクニックです。
本作では、正規のルートやギミックを解かなくても、プレイヤーの工夫次第で様々な場所へ到達できる自由度が担保されています。
例えば、ジャンプから特定の空中攻撃(衝撃波の3段攻撃など)を連続で繰り出すことで、通常では届かないような高度までキャラクターを上昇させることができます。
このテクニックを利用すれば、ちょっとした崖や城壁を強引に飛び越えたり、面倒なパズルギミックを完全に無視してショートカットしたりすることが可能です。
これが開発陣が意図した仕様なのか、それともシステムの裏を突いたバグのようなものなのかは不明ですが、プレイヤーの閃きと操作技術によって独自のルートを開拓できるのは、探索における非常に大きな喜びとなっています。
回復アイテム確保のための狩りと料理
厳しい戦闘を生き抜くために、広大な世界での資源集めは欠かせません。
特にボス戦では回復アイテムの消耗が激しいため、フィールドを探索しながらの食料調達が重要なルーチンワークとなります。
目的地へ向かう道すがら、群れをなす動物を見つければ狩りをして肉を剥ぎ取り、岩肌を見つければ採掘を行うといった地道な作業が、結果的に生存率を高めることに繋がります。
| 回復アイテムの種類 | 回復量 | 作成難易度 | 用途と評価 |
|---|---|---|---|
| 基本的な果実 | 微量 | 極低(拾うだけ) | 移動中のちょっとした回復用 |
| 単純な焼肉 | 中 | 低(肉を焼くだけ) | 序盤〜中盤のメイン回復源 |
| スンナのスープ | 大 | 中(ストーリー入手素材要) | 後半の激戦に必須の高効率食 |
| 特製ポーション | 特大 | 高(貴重な素材要) | ラスボス等の緊急回避用 |
料理システム自体はシンプルで、中盤までは適当に動物を狩って手に入れた肉をただ焼いた「焼肉」を大量に持ち歩くだけで十分に対応可能です。
しかし、敵の火力がインフレを起こす後半戦では、焼肉程度の回復量では被ダメージに追いつかなくなります。
そこで重要になるのが、ストーリー進行上でレシピを入手できる「スンナのスープ」などの高効率な料理です。
とはいえ、私自身はラスト一つ前の壮絶なボス戦において、意地になって焼肉だけを100個連続で食らい続け、無理やりゴリ押しで突破したという泥臭い経験もあります。
このようにプレイスタイルに応じてアイテムの備蓄を考えるのも、サバイバル要素としての面白さを含んでいます。
終盤の移動手段 : 空を飛ぶ爽快感
広大なマップを徒歩や馬で移動するのは、探索の序盤こそ楽しいものの、時間が経つにつれて移動の手間がフラストレーションになり得ます。
しかし、ゲームが終盤に差し掛かると、とある特殊な乗り物を入手し、大空を自由に飛行できるようになります。
この飛行体験がもたらすカタルシスは絶大です。
今まで険しい山々や深い谷を迂回しながら、ちまちまと駆け回っていた広大な世界を、上空から一気に飛び越えていく爽快感は言葉では言い表せません。
世界を文字通り俯瞰することで、これまでの過酷な旅路を振り返る感慨も湧いてきます。
この飛行手段には長めのクールタイム(再使用待機時間)が設定されているという制限はありますが、それを差し引いても余りある快適さを提供してくれます。
この移動手段を確保するためだけでも、寄り道を抑えてまずはメインストーリーを優先して進める価値は十分にあると断言できます。
ストーリーと没入感 : 課題と評価できるポイント
圧倒的な世界観とオープンワールドの作り込みに対し、それを牽引すべきメインストーリーの展開には、多くの疑問符が付き纏います。
プレイヤーをグイグイと引っ張っていくような強い推進力に欠け、専門用語や唐突な展開が説明なしに連続するため、感情移入が難しいのが正直なところです。
説明不足が招くプレイヤーの置き去り
ゲーム開始直後から、プレイヤーは「なぜ自分はこんな状況にいるのか」という状況説明をほとんど受けないまま、過酷な世界に放り出されます。
喉を掻き切られるような致命傷を負ったはずが謎の力(摂理の腕)を得て蘇生したり、ただの浮浪者を助けただけでなぜか強大な魔女から異常なほどの執着を受けたりと、脈絡のない展開が連続します。
主人公自身の記憶が混濁しているという設定があるにせよ、その記憶喪失の主人公が、まるで何事もなかったかのように見知らぬ人々の「お使いクエスト」を淡々とこなしていく姿には、大きな違和感を覚えます。
感情移入を阻む主人公の無反応さ
ストーリーへの没入感をさらに削いでいるのが、主人公自身のキャラクター性です。
彼はどのような奇跡的な現象に直面しても、超常的な能力を授かっても、常に無表情で驚く素振りすら見せません。
プレイヤーが「すげえ!」と驚くようなシーンでも、画面の中の主人公が無反応であるため、プレイヤーの感情の行き場がなくなってしまうのです。
また、彼が所属する「灰色剣士」という傭兵団も、名乗る前から行く先々でなぜか「ああ、あの灰色剣士か」と認知されており、便利屋集団のように扱われるご都合主義的な展開も目立ちます。
初対面のキャラクターが突然師匠面をして現れたり、強大な力を持つ星や時間を操る魔女との決着が有耶無耶のまま放置されたりと、伏線の未回収や説明不足はエンディングまで続きます。
ゲーム内の「冒険日誌」のテキストを隅々まで読み込めばある程度の背景設定は理解できる仕様になっていますが、肝心な根本的な部分の描写が欠落しており、シナリオの構成力には難があると言わざるを得ません。
魅力的なキャラクターと光るシーン
しかし、ストーリーの全てが破綻しているわけではありません。
道中、断片的にではありますが、胸を熱くさせる王道ファンタジーらしい展開は用意されています。
特に中盤のハイライトである「血の戴冠式」のシークエンスは、演出・グラフィックともに気合が入っており、深く物語に引き込まれる力強いシーンでした。
また、主人公の仲間となる「灰色剣士」の面々はそれぞれ個性が際立っており、彼らとの共闘感は冒険の孤独を和らげてくれます。
敵対する勢力のキャラクター達の中にも、独自の信念と魅力的なバックボーンを感じさせる存在がおり、素材自体は決して悪くありません。
途中からはストーリーの細かい繋がりや論理的な整合性を気にするのをやめ、目の前で起こる派手なイベントを「そういうものだ」と割り切って受け入れることで、純粋にファンタジー体験として楽しめるようになります。
キャラクタークリエイトと恋愛要素の不在
リリース前から一部のプレイヤー間で問題視されていた点として、主人公のキャラクタークリエイトが一切できないという仕様があります。
固定の主人公の物語を描くという開発側の強い意図があるため、外見の変更や性別の選択は不可能です。
これ自体はゲームのスタイルとして受け入れるべきですが、長時間のプレイにおいて、登場する主要キャラクターがむさ苦しい屈強な男性ばかりに偏っている点は、少し画面が息苦しく感じる要因になっています。
重厚なダークファンタジーであることは理解できますが、箸休め的な意味合いでも、人間ドラマに深みを持たせる最低限の恋愛要素や、華のあるキャラクターとの交流をもっと描いて欲しかったというのが一介のゲーマーとしての素直な感想です。
まとめ
バグやPS5版における致命的な処理落ち、そして理不尽なほどの操作のシビアさなど、本作が抱える問題点は決して小さくありません。
もし、このゲームが「調整不足で全く面白くないクソゲー」であったならば、私は早々にコントローラーを投げ出していたでしょう。
しかし現実は、寝る間も惜しんで連日プレイし続け、レビュー動画を作成するという義務感を超えて、完全に「やめ時」を失うほどにのめり込んでしまいました。
その最大の理由は、やはり異常なほどの熱量で作り込まれたオープンワールドの存在感に尽きます。
ただの箱庭ではなく、地図の端から端まで、プレイヤーの探求心を満たすための緻密な設計が施されています。
これほどまでの密度を持った世界は、莫大な開発費と長い開発期間をかけなければ到底実現不可能な代物であり、その狂気じみた情熱には称賛を送らざるを得ません。
ゲーム内でふと足を止め、美しい景色を眺めているだけで1日が潰れてしまうような、環境を味わうプレイスタイルを好む人にとっては、唯一無二の最高の体験を提供してくれるゲームです。
全体的なボリュームも凄まじく、ただメインストーリーを追うだけでも相当な時間を要します。
サブクエストや探索を隅々までやり込むタイプのプレイヤーであれば、優に1ヶ月以上はこの世界に浸り続けることができるでしょう。
逆に言えば、効率よくサクサクとストーリーを進めて早くエンディングを見たいと急ぐ人にとっては、シビアな仕様やバグが牙を向き、極めてストレスフルな体験になる可能性が高いです。
本作をプレイして強く感じるのは、「あと1年、発売を延期してでも調整とバグ取りに時間を費やしてほしかった」という口惜しさです。
回避の無敵時間をあと数フレーム長くし、ダッシュの挙動を機敏にし、UIの入力遅延を無くす。
要素をこれ以上詰め込む必要はないので、今ある面白いシステムをしっかりとブラッシュアップして最適化するだけで、ゲームの評価は全く違ったものになったはずです。
全ての調整が完璧に行われたとしても、個人的には「歴史に残る神ゲー」には一歩及ばない、何かが足りない作品という印象は拭えません。
しかし、広大で緻密な世界を自由に駆け巡り、あらゆるオブジェクトに干渉できるオープンワールドの完成度は間違いなく現行最高峰です。
ストーリーの整合性、ビルドの自由度、UIの快適さ。この中のどれか一つでも高い水準でまとまっていれば、間違いなくゲーム史に名を残す傑作になり得たポテンシャルを秘めています。
それだけに、現状の荒削りすぎる仕上がりは非常に残念です。
今後の大規模なアップデートパッチにより、開発陣が思い描いた真の「完成品」の姿を見られることを、一人のゲーマーとして強く願っています。
筆者情報
筆者:桐谷シンジ フリーランスのゲーム攻略ライター。慶應大学卒業後、大手出版社を経て、現在に至る。 幅広いゲームに携わるが、主にRPG/FPS/サンドブロック系のゲームを得意とする。 最近の悩みは趣味の時間が取れず、積みゲーが100作品を超えたこと。























