編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、 「紅の砂漠」の購入を検討しているものの、 現状の評判が気になっていると思います。
特にコンソール版でのプレイを考えている方にとって、 無視できない重要な情報がいくつか存在します。
この記事を読み終える頃には、 今すぐ買うべきか、アップデートを待つべきかの疑問が 完全に解決しているはずです。
- マップ画面展開時の致命的な強制終了バグ
- 物理演算の弊害による重い操作レスポンス
- アクションと干渉する不便なボタン初期配置
- 進行に必要な育成を妨げる不親切な仕様設計
それでは解説していきます。
紅の砂漠 : 今すぐ購入すると後悔する最大の理由
バグ : 進行不能に陥るマップクラッシュの恐怖
頻発するクラッシュの現状
本作を今すぐプレイする上で、 最も警戒すべきなのがマップ開閉時に発生するクラッシュバグです。
広大なオープンワールドを探索するゲームにおいて、 マップの確認は息をするのと同じくらい頻繁に行う基本動作と言えます。
しかし、現在のコンソール版、 特にPS5 Pro環境下などにおいては、 このマップを開くという行為自体が最大のリスクとなっています。
筆者のプレイ環境では、 およそ3回に1回、ひどい時には2回に1回の頻度で ゲームがクラッシュし、操作を受け付けなくなる現象が確認されています。
数時間のプレイの中で10回以上も進行がストップしてしまう状況は、 ゲーム体験を著しく損なう要因となっています。
広大な世界に没入してほしいという開発元の意図は理解できますが、 マップ機能という根幹のシステムが正常に動作しない点は、 製品版として非常に厳しい状態と言わざるを得ません。
本体強制終了リスクと対処法の不在
このクラッシュバグがさらに厄介なのは、 単にゲームの再起動で済まないケースがある点です。
クラッシュ時にPSボタンを押してもホーム画面に戻ることができず、 PS5本体の強制終了を余儀なくされる事態が発生しています。
これはゲームのセーブデータ破損だけでなく、 ハードウェア本体への負荷も懸念される重大な問題です。
SNS等のコミュニティでは、 120FPSモードをオフにする、 あるいはVRR(可変リフレッシュレート)機能を無効にすることで 発生頻度が下がるという噂が飛び交いました。
しかし、筆者の環境でそれらの設定を徹底的に試した結果、 残念ながらクラッシュバグを完全に防ぐことはできませんでした。
つまり、現時点においてプレイヤー側で取れる有効な回避策が存在しない、 「打つ手なし」の状況に陥っています。
公式からの修正パッチが配信されるまでは、 常に本体強制終了の恐怖と戦いながらプレイしなければならないのが現状です。
ロード : 快適さを損なう起動の遅さと頻繁な暗転
起動時の不必要なステップ
本作はゲームを起動してから実際にキャラクターを操作できるようになるまで、 そのプロセスが非常に長く、そして煩雑です。
一般的なタイトルであれば、 タイトル画面からコンティニューを選ぶだけでスムーズに再開できます。
しかし、本作ではゲームを立ち上げるたびに 「明るさ調整」の画面が必ず表示される仕様となっています。
毎回設定し直す必要のない項目が起動のたびに挟まることは、 ゲームを遊ぶまでのハードルを無駄に上げていると言えます。
さらに、続きから始めるを選択した後も、 最新ハードとは思えないほどの長いローディング時間を待たされることになります。
アビス空間のローディング問題
初期ロードが終わった後も、 すぐには元の世界で行動を開始できません。
一度キャラクターが短い距離を歩き出す演出が入り、 その直後に「アビス」と呼ばれる特殊な空間へ移行するローディングが再度発生します。
この二度手間とも言えるロード時間の長さは、 前述したクラッシュバグと合わさることで最悪の相乗効果を生み出します。
マップを開いてクラッシュし、本体を再起動し、 明るさ調整をスキップし、長いロードを二度挟んでようやく復帰する。
この一連の流れを何度も繰り返すことになれば、 どんなにゲーム本編が面白くても、 プレイヤーのモチベーションは急速に削がれていきます。
快適なプレイ環境の構築という点において、 初期ビルドの最適化不足は否めません。
操作性 : リアルすぎる慣性が生む致命的なレスポンス遅延
物理演算がもたらす意図しない挙動
本作のアクション部分は、 緻密な物理演算処理によって構築されています。
開発元が発売前からアピールしていた通り、 攻撃の重みやキャラクターの挙動には凄まじいリアリティがあります。
しかし、このリアリティの追求が、 ゲームとしての「操作の心地よさ」を大きく犠牲にしています。
キャラクターの動きに強い慣性が働くため、 プレイヤーがコントローラーを入力してから実際に画面内で動き出すまでに、 特有の「もっさり感」や遅延を感じます。
特に細い道を歩く際や、狭い室内での方向転換など、 繊細な操作が要求される場面でのストレスは顕著です。
意図せず行き過ぎてしまって柵を破壊してしまったり、 街の衛兵に体当たりをしてしまい無用なトラブルを引き起こしたりと、 思い通りに動かせないもどかしさが常に付きまといます。
ボス戦における入力遅延のストレス
この慣性と入力遅延の問題が、 最も深刻な影響を及ぼすのが難易度の高いボス戦です。
本作のボス戦は、敵の攻撃を見極めて ジャストガードやジャスト回避を的確に決めていく、 いわゆる「死にゲー」ライクなシビアなバランス調整がなされています。
しかし、要求される反応速度に対して、 プレイヤー側のキャラクターのレスポンスが追いついていません。
敵の攻撃モーションを見てからボタンを押しても、 慣性の処理が邪魔をして防御行動が間に合わず、 大ダメージを受けてしまう場面が頻発します。
快適な操作性があってこその高難易度アクションですが、 現状では「理不尽に負けた」という不満だけが募りやすい設計となっています。
入力に対するダイレクトな反応速度の向上は、 今後のアップデートで最も改善が望まれるポイントの一つです。
UI設計 : ユーザービリティを欠いた不便なシステム
複雑で重複したボタン配置の罠
操作面の不満は、キャラクターの挙動だけでなく、 コントローラーのボタン配置にも及んでいます。
本作では、複数の重要なアクションが同じボタンに割り当てられており、 それがプレイ中の誤爆を引き起こします。
代表的な例が、 「ジャンプ行動」と「NPCへのインタラクト(会話やアクション)」が 同じボタンに設定されている点です。
街で住民に話しかけようとした結果、 目の前で突然ジャンプしてしまい、相手に体当たりをして 警戒されるという事態が頻発します。
本作にはNPCに挨拶をして街での評判を上げるシステムが存在しますが、 このボタン配置のせいで逆に評判を下げてしまうリスクが常にあります。
また、ダッシュや回避のボタン割り当ても、 他の一般的なアクションRPGのセオリーから大きく外れており、 直感的な操作を妨げています。
整理困難なインベントリと保管庫の不在
オープンワールドRPGにおいて、 アイテムの収集と管理は大きな楽しみの一つです。
しかし、本作のインベントリシステムは非常に不便です。
武器、防具、回復アイテム、 さらには道中で採取した草木や狩猟した動物の肉など、 あらゆるアイテムが同じアイテム欄に混在して表示されます。
カテゴリー別のタブ分け機能が弱く、 目的のアイテムを探し出すだけでも一苦労です。
さらに問題なのが、所持品を預けておくための 「保管庫(倉庫)」システムが現状用意されていないことです。
探索を進めれば進めるほど、 インベントリはすぐに限界容量を迎え、 アイテムの取捨選択を常に迫られます。
貴重な素材を手に入れても保管しておく場所がないため、 捨てるか安値で売却するしかなく、 収集のモチベーションを維持するのが難しい仕様となっています。
難易度 : フロムライクを意識しすぎた理不尽なバランス
ジャストガード必須のシビアな戦闘
本作の戦闘は、雑魚敵との集団戦においては、 無双アクションのような爽快感があります。
しかし、ボス戦となると一転して様相が変わります。
敵の連続攻撃を的確に弾くジャストガードや、 無敵時間を利用したジャスト回避を完璧に駆使しなければ、 あっという間に体力を削り切られてしまいます。
このシビアな戦闘システム自体は、 コアなアクションゲーマーにとってはやりがいのある要素と言えます。
ジャストガードの判定自体は、 他のハードコアアクションゲームと比較すると若干甘めに設定されており、 成功した際のリターンも大きく設計されています。
しかし、前述した「操作レスポンスの悪さ」が、 この戦闘システムの長所を完全に潰してしまっています。
プレイヤーの技術不足ではなく、 システム側の遅延によって敗北を重ねる状況は、 ゲームとしての公平性を著しく欠いています。
バグによる育成・強化の停滞が招く詰み状況
強大なボスに行き詰まった際、 一般的なRPGであればレベル上げや装備の強化、 新たなアイテムの探索を行うことで活路を見出します。
しかし、現在の「紅の砂漠」においては、 その救済措置すら正常に機能しない場合があります。
装備を整えたり、有利なアイテムを探すためには 広大なマップを探索する必要があります。
しかし、そこで立ちはだかるのが「マップクラッシュバグ」です。
探索のためにマップを開けばフリーズし、 ファストトラベルも満足に利用できないため、 キャラクターを強化するための行動自体が厳しく制限されてしまいます。
筆者自身も、特定の「分身攻撃」を仕掛けてくるボスにおいて、 初期装備のまま挑まざるを得ず、長時間足止めを食らう事態に陥りました。
バグがゲームの難易度を意図しない形で跳ね上げ、 プレイヤーを詰み状況に追い込んでいるのは、 非常に深刻な事態と言えるでしょう。
紅の砂漠 : 買うのを待つべきユーザーとおすすめできるユーザー
評価 : 賛否両論が分かれる現在のプレイヤー層の傾向
ストレスなく遊びたい層への影響
ここまでの解説の通り、 現状の本作には無視できない不具合や不便な仕様が多数存在します。
そのため、購入したゲームは最初から快適に、 ストレスなく最後までプレイしたいと考えている層には、 今すぐの購入は絶対におすすめできません。
特に、仕事や学業の合間に限られた時間でゲームを楽しんでいる方にとって、 度重なるクラッシュと長いロード時間は、 貴重なプレイ時間を無駄に消費するだけの苦痛となります。
また、レスポンスの良い爽快なアクションを求めているユーザーも、 特有の重い操作性にフラストレーションを溜める結果になる可能性が高いです。
SNS上で見られる否定的な意見の多くは、 こうした「当たり前にゲームが進行できないこと」への 真っ当な不満から生じています。
世界観に浸りたい層の評価
一方で、全てのプレイヤーが本作を否定しているわけではありません。
バグや操作性の悪さに目を瞑ってでも、 このゲームの持つ独自の世界観や空気感に惹き込まれているユーザーも確かに存在します。
中世ファンタジーの泥臭い世界観、 細部まで作り込まれた街並み、 そしてNPCの生活感あふれる描写などは、 他のゲームではなかなか味わえない圧倒的な魅力を持っています。
効率よくゲームをクリアすることよりも、 その世界に住み込み、ゆったりとしたペースで探索を楽しむ。
そんなロールプレイを好む層からは、一定の評価を得ています。
不便さを「不便な世界でのサバイバル」として 脳内補完できるプレイスタイルの方であれば、 現状のビルドでも楽しめる余地はわずかにあるかもしれません。
比較 : 他のオープンワールドRPGとの快適性チェック
現在の「紅の砂漠」の状況を客観的に把握するため、 システム面における快適性を一般的なオープンワールドRPGと比較してみます。
| 比較項目 | 一般的なオープンワールドRPG | 紅の砂漠(現状) |
|---|---|---|
| マップ開閉時の動作 | 瞬時に開き、不具合は皆無 | 頻繁にクラッシュ・進行不能リスクあり |
| セーブデータ保護 | オートセーブと手動セーブ完備 | 強制終了によるデータ破損リスクあり |
| アイテム管理 | タブ分け整理・保管庫システムあり | 全アイテム一括表示・保管庫なし |
| コントローラー操作 | 役割ごとにボタンを細分化・変更可能 | アクションの重複配置・誤爆が頻発 |
| 移動手段の多様性 | 序盤から馬や簡易ワープが解放 | 長時間プレイしても馬以外の手段が乏しい |
| アクション応答性 | 入力に対して即座に反応 | 強い慣性による入力遅延・もっさり感 |
移動手段の制限と解放の遅さ
オープンワールドゲームにおいて、 広大なマップをいかにストレスなく移動できるかは、 作品の評価を分ける非常に重要なポイントです。
発売前のプロモーションでは、 ドラゴンに騎乗して空を飛んだり、 様々な乗り物を駆使して世界を駆け巡る様子がアピールされていました。
しかし、実際にゲームを開始してみると、 10時間以上プレイを進めても、 移動手段が「馬」に限定される状況が延々と続きます。
ファストトラベル(瞬間移動)のポイントも限られている上、 マップクラッシュバグの恐怖から、 迂闊にファストトラベル機能を使うこともためらわれます。
序盤から中盤にかけての移動の自由度が著しく低く、 広大なマップが単なる「移動の障害」として機能してしまっているのは、 非常に残念な設計と言えます。
次世代機向けタイトルとしての最適化不足
本作はPS5やXbox Series X/Sといった、 次世代コンソール向けに開発された渾身のタイトルです。
しかし、現状のパフォーマンスを見ると、 ハードウェアのスペックを引き出しきれていない、 あるいは最適化の工程を飛ばしてリリースされた印象を強く受けます。
グラフィック自体は非常に美麗で、 静止画としてのクオリティは申し分ありません。
しかし、ゲームという「動的なコンテンツ」として見た場合、 フレームレートの安定性やロード時間の短縮、 そして何より「クラッシュしない」というソフトウェアとしての 最低限の安定性が決定的に欠落しています。
大規模なオープンワールドを動かすためのエンジンチューニングが、 発売日時点では未完成だったと言わざるを得ません。
対策 : 修正パッチが配信されるまでの過ごし方
公式のアップデート情報を注視する
もしすでに本作を購入してしまい、 バグで行き詰まっている、あるいは強いストレスを感じている場合は、 一度プレイを中断する勇気も必要です。
無理に進行しようとして本体を何度も強制終了させるのは、 大切なハードウェアの寿命を縮める危険な行為でもあります。
開発元であるPearl Abyssも、 SNS等で寄せられている大量のエラー報告を無視しているわけではありません。
公式サイトや公式SNSアカウントをフォローし、 クラッシュバグや操作性の改善に関するパッチノートが公開されるのを 静かに待ちましょう。
大規模なバグ修正には時間がかかるかもしれませんが、 ゲームの進行状況を安全に保つためには「待つ」ことが最も賢明な選択です。
他の積みゲーを消化して待機する
レビューを読んで購入を見送った方、 あるいはパッチ待ちでプレイを中断している方は、 この時間を他のゲームを遊ぶ絶好の機会に充ててみてはいかがでしょうか。
筆者自身も100本以上の積みゲーを抱えていますが、 大作RPGのアップデート待ちの期間は、 短い時間でクリアできるインディーゲームや、 過去の名作を振り返るのに最適なタイミングです。
「紅の砂漠」の素材自体は、非常に優れたものです。 システム面の不備さえ解消されれば、 歴史に残る大化けをするポテンシャルを秘めています。
数週間から数ヶ月後、パッチによって快適なプレイ環境が整ったという 確かな報告を確認してから、改めてこの過酷な世界に飛び込んでも 決して遅くはありません。
結論 : どのような状態になれば「買い時」と言えるのか
進行不能バグの完全な解消
本作が「心からおすすめできるゲーム」へと評価を覆すための絶対条件。 それは、マップ開閉時のクラッシュバグをはじめとする 進行不能バグの完全な修正です。
どれほどグラフィックが美しく、ストーリーが面白くても、 ゲームをプレイすること自体が困難なのであれば、 評価のしようがありません。
この致命的な不具合が解消され、 プレイヤーが安心して探索を行い、キャラクターを育成できる。 そんな当たり前の環境が整うことが、本作を購入する第一のタイミングとなります。
ネット上のレビューや動画配信者の情報をこまめにチェックし、 「もうバグで落ちることはなくなった」という声が多数を占めるようになるまで、 賢明な判断として購入は控えるべきです。
QoL(生活の質)向上のアップデート実装
バグの修正に加えて、 ゲーム内の利便性(QoL)を向上させるアップデートが行われるかどうかも、 買い時を見極める重要な指標となります。
具体的には、 ・インベントリのカテゴリー整理機能の実装 ・所持品を預けられる保管庫の追加 ・ボタン配置を自由に変更できるキーコンフィグの拡充 などが強く求められます。
また、アクション面においても、 物理演算の慣性を少し緩和し、 プレイヤーの入力に対してダイレクトに反応するような 改善パッチが入れば、本作の戦闘の面白さは何倍にも跳ね上がるはずです。
開発元がプレイヤーのフィードバックを真摯に受け止め、 こうした改善を継続的に行っていく姿勢を見せれば、 本作は長期間遊べる真の名作へと進化するでしょう。
紅の砂漠 : バグや不便さを超えた先にある本作の魅力
グラフィック : 次世代機最高峰の圧倒的なビジュアル
美麗なオープンワールドの没入感
これまで非常に厳しい評価を下してきましたが、 本作にはそれらを補って余りある圧倒的な魅力も確かに存在します。
その筆頭が、自社開発の次世代エンジンによって描画される、 息を呑むようなグラフィックです。
広大な荒野、鬱蒼と茂る深い森、 そして白銀の雪に覆われた険しい山脈など、 画面に映し出される風景の一つ一つが、 実写と見紛うほどのクオリティで作り込まれています。
風に激しく揺れる草木や、 時間帯によってドラマチックに変化する光と影の表現は、 プレイヤーをこのダークファンタジーの世界へと強烈に引き込みます。
マップクラッシュの恐怖さえなければ、 何時間でも景色を眺めながら歩き回りたくなるほどの 凄まじいポテンシャルを持った世界であることは間違いありません。
パフォーマンスモードでの描画の安定性
オープンワールドゲームでは、 グラフィックの美しさと引き換えにフレームレート(画面の滑らかさ)が 犠牲になることが多々あります。
しかし本作においては、 描画パフォーマンス自体は比較的安定しているというポジティブな側面もあります。
戦闘中に多数の敵と激しいエフェクトが交錯する場面でも、 極端な処理落ちによるカクつきは少なく、 アクションの迫力を損なうことなくプレイを継続できます。
グラフィックエンジンの基礎設計自体は非常に優秀であり、 それゆえにシステム面のバグで足を引っ張っている現状が、 余計に惜しまれてなりません。
世界観 : 泥臭くも魅力的なダークファンタジーの構築
NPCとのインタラクトがもたらす没入感
本作の世界観は、王道的なファンタジーというよりは、 血と泥にまみれたダークで過酷な「中世」を舞台としています。
その世界を彩るのが、 AIによって自律的に生活しているかのように振る舞うNPCたちの存在です。
街を歩けば、住民同士が日常の会話を交わし、 仕事に精を出し、時には酒場で激しい喧嘩を始めるなど、 生き生きとした生活感が画面の隅々から感じられます。
プレイヤーが彼らに干渉することで、 様々な生きたリアクションが返ってくるため、 単なる背景やクエストの案内役ではない、 「同じ世界を生きる住人」としての存在感があります。
誤操作による体当たりシステムなども、見方を変えれば、 「不用意な行動が周囲に影響を与える」というリアルさの追求と言えなくもありません。
プレイヤーの選択が影響する街の評判システム
ゲーム内には、プレイヤーの行動によって、 その街での評判がリアルタイムで変動するシステムが組み込まれています。
困っている人を助けたり、 住民に一人ずつ丁寧に挨拶をして回れば評価が上がり、 逆に乱暴な振る舞いを繰り返せば、 衛兵に追われる犯罪者としての立場を強いられます。
この評判システムがあることで、プレイヤーは、 「ただ敵を倒して進む」だけの機械的なプレイではなく、 この世界でどのような立場の人間として生きるか、 という深いロールプレイを意識するようになります。
システムの洗練不足は否めませんが、 プレイヤーを世界の一部として組み込もうとする 野心的なゲームデザインは、非常に高く評価できるポイントです。
戦闘 : 慣れれば奥深いアクションとド派手な演出
多彩なスキルとコンボの爽快感
入力遅延や慣性の問題に一度慣れ、 キャラクターをある程度思い通りに動かせるようになってくると、 本作の戦闘システムの真の奥深さが見えてきます。
剣や弓を使った基本攻撃に加え、 格闘技のような豪快な投げ技、 周囲の環境やオブジェクトを賢く利用した攻撃など、 非常に多彩なアクションが用意されています。
これらを自由に組み合わせて独自のコンボを構築し、 敵の集団を圧倒的な力で蹴散らしていく爽快感は、 他のアクションRPGではなかなか味わえない独自のものがあります。
物理演算による重みのあるヒットストップ演出も相まって、 攻撃を当てた際の「手応え」は非常に強く感じられます。
巨大ボスとの手に汗握る死闘
操作性の悪さによって理不尽さを感じやすいボス戦ですが、 裏を返せば、それを乗り越えて勝利した際の達成感はひとしおです。
敵の予備動作を完全に記憶し、 シビアな判定のジャストガードを連続で成功させ、 わずかな隙に強力な反撃を叩き込む。
この一連の流れがパズルのようにカチリとはまった時、 本作は「最高のアクションゲーム」へと変貌を遂げます。
理不尽な難易度調整はパッチでの修正が必要ですが、 プレイヤーの純粋な腕前が試されるヒリヒリとした死闘の楽しさは、 間違いなくこのゲームのコアな魅力の一つです。
探索 : ファストトラベルなしでも歩きたくなるフィールド設計
隠されたロケーションとアイテムの発見
ファストトラベルの不便さや移動手段の制限について、 多くの苦言を呈してきました。
しかし、その不自由な制限があるからこそ、 見えてくる特別な景色もあります。
自らの足で広大なマップを泥臭く歩き回ることで、 クエストの目的地とは全く関係のない場所に隠された洞窟や、 貴重なアイテムが眠る古の遺跡を発見する喜びがあります。
画面上のミニマップ情報に頼り切るのではなく、 遠くに見える怪しい建造物や、不自然な地形を目指して、 自分の直感だけを信じて進んでいく探索。
これはオープンワールドというジャンルの、本来の楽しさを思い出させてくれます。
寄り道が止まらないマップの密度
本作のフィールドは単に広いだけでなく、 そこかしこに何らかのイベントや敵の野営地、 採取ポイントが巧妙に配置されており、 非常に高い密度で構成されています。
一つの目的地に向かう道中で、次々と新しい発見があるため、 ついつい寄り道をしてしまい、 本来の目的を忘れて何時間も探索に没頭してしまう魅力があります。
焦ってストーリーを進めようとすると、 不便な移動の遅さにイライラが募ります。
しかし、 「1ヶ月、2ヶ月かけてこの世界をゆっくり旅しよう」 と心構えを変えることで、 不便な移動時間すらも楽しい探索の時間へと劇的に変わっていきます。
期待 : 開発元Pearl Abyssのアップデート力への信頼
黒い砂漠で培ったオンライン運営のノウハウ
最後に、本作の未来に期待できる最大の理由として、 開発元であるPearl Abyssの実績を強調しておきます。
同社は、長年にわたり世界中でプレイされている 大ヒットMMORPG「黒い砂漠」の開発・運営を行っています。
オンラインゲームの過酷な運営において、 プレイヤーからの膨大なフィードバックを日々収集し、 継続的なバランス調整やバグ修正、コンテンツの追加を行ってきたノウハウは、 世界でもトップクラスのレベルにあります。
オフライン中心のタイトルとはいえ、 本作のシステムの根底には「黒い砂漠」で培われた膨大な技術が活きています。
ゆえに、ローンチ後のサポート体制についても、 一定の強い信頼感を持つことができます。
ユーザーの声を反映した長期的なサポートへの期待
発売直後の現時点では、 バグの多さや不便な仕様が非常に目立ちます。
しかし、Pearl Abyssがこのまま放置して、 ゲームを見捨てる可能性は極めて低いです。
SNSやコミュニティで噴出している世界中の不満の声は、 確実に、そしてリアルタイムで開発陣に届いているはずです。
過去の多くの事例を見ても、 初動でつまづいた意欲的なタイトルが、 ユーザーの声に耳を傾けた真摯なアップデートを繰り返すことで、 最終的に「神ゲー」へと評価を大逆転させたケースは数多く存在します。
「紅の砂漠」の基礎となるグラフィックや世界観の作り込みは、間違いなく本物です。 あとは、ソフトウェアとしての安定性と快適性を磨き上げるだけです。
焦らずに修正パッチを待ち、 最高の状態でこの広大な世界を冒険できる日が来ることを、 一人のゲーマーとして心から、そして強く期待しています。
まとめ
筆者情報
筆者:桐谷シンジ フリーランスのゲーム攻略ライター。 慶應大学卒業後、大手出版社を経て、現在に至る。 幅広いゲームに携わるが、主にRPG/FPS/サンドボックス系のゲームを得意とする。 最近の悩みは趣味の時間が取れず、積みゲーが100作品を超えたこと。























