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Nintendo Switch

ドラクエ6のフルリメイク版が発売されない理由|スクエニの戦略を解説

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ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。

この記事を読んでいる方は、待望のドラクエ天空シリーズ、特に「ドラゴンクエストVI 幻の大地」のフルリメイクがなぜ発表されないのか、そしてなぜ「ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち」のリメイクが先に発表されたのか、その背景にあるスクウェア・エニックスの戦略が気になっていることでしょう。

引用 : スクエアエニックス

この記事を読み終える頃には、ドラクエシリーズのリメイクにおける優先順位と、スクエニが描く未来の戦略についての疑問が解決しているはずです。

この記事の要約
  • 天空シリーズを越えドラクエ7が優先された理由
  • 「リイマジンド」という新たなリメイク戦略
  • ドラクエ7が抱えていた賛否両論という課題
  • 今後のドラクエ6リメイクの可能性と展望

 

それでは解説していきます。

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なぜドラクエ6より7が優先?リメイクを巡る近年の動向

多くのファンが首を長くして待っている天空シリーズのリメイク。 しかし、2025年のニンテンドーダイレクトで発表されたのは、予想の斜め上をいく「ドラゴンクエストVII リイマジンド」でした。 なぜ、人気も知名度も高い天空シリーズを差し置いて、7のリメイクが優先されたのでしょうか。 まずは、近年のドラクエシリーズのリメイクを巡る状況を整理してみましょう。

衝撃を与えた「ドラゴンクエストVII リイマジンド」の発表

2026年2月5日の発売が決定した「ドラゴンクエストVII リイマジンド」。 この発表は、多くのドラクエファンに衝撃を与えました。 単なるリマスターやHD化ではなく、「リイマジンド(再構築)」と銘打たれた本作は、グラフィックからシナリオ、バトルシステムに至るまで、ほぼ全ての要素が一から作り直されています。

革新的なグラフィック表現「ドールルック」

最も注目すべきは、「ドールルック」と名付けられた新しいグラフィック表現です。 これは、実際の人形を精密にスキャンして3Dモデルを作成するという、非常に独創的な手法。 これにより、キャラクターには手作りのような温かみと質感が生まれ、背景はジオラマのように緻密に作られています。 HD-2Dともフル3DCGとも違う、全く新しいアプローチであり、懐かしさと新しさが同居した独特の映像美を実現しています。

大胆にメスが入れられたゲームシステム

システム面でも大きな変更が加えられています。 オリジナル版の大きな特徴でありながら、その複雑さから賛否を呼んだ「モンスター職」が完全に廃止されました。 その代わりとして、人間職を2種類同時に習得できる「2色掛け持ちシステム」が導入され、戦略の幅が大きく広がることが期待されます。 さらに、職業ごとの必殺技ともいえる「バースト」が追加されるなど、バトルシステムはよりダイナミックに進化しています。

ストーリーの「取捨選択」と再構築

シナリオにおいても、シリーズの生みの親である堀井雄二氏監修のもと、「取捨選択」と「再編」が行われました。 長大であったオリジナル版の物語を現代のプレイスタイルに合わせて再構成し、テンポを改善。 さらに、オリジナルにはなかった新規エピソードも追加されるとのことで、古くからのファンも新たな気持ちで楽しめるよう配慮されています。 このように、「リイマジンド」は過去作を現代に蘇らせるというだけでなく、作品そのものの価値を再定義しようという、スクエニの強い意志が感じられるプロジェクトなのです。

ファンが待ち望む天空シリーズ(4, 5, 6)のリメイク

一方で、ドラクエファンが長年待ち望んでいるのが、天空シリーズ(IV, V, VI)のフルリメイクです。 特に「ドラゴンクエストVI 幻の大地」は、スーパーファミコン時代の集大成ともいえる作品で、その壮大な物語と画期的なシステムで多くのプレイヤーを魅了しました。

ドラクエ6の魅力とは

ドラクエ6の最大の魅力は、「上の世界」と「下の世界」、二つの世界を行き来する壮大な冒険です。 謎が謎を呼ぶストーリー展開、自分探しの旅というテーマ性、そしてハッサンやミレーユといった個性豊かな仲間たち。 そのどれもが、今なお多くのファンの心に深く刻まれています。

また、転職システムの完成形ともいえるシステムも特徴です。 基本職と上級職が用意され、キャラクターを自分好みに育成していく楽しみは、シリーズ随一とも言われます。 「バトルマスター」や「賢者」といった上級職を目指して熟練度を稼いだ思い出は、多くのプレイヤーにとって忘れられないものでしょう。 これほどまでに愛されている作品だからこそ、現代の技術で蘇るフルリメイクへの期待は非常に大きいのです。

天空シリーズの過去のリメイク遍歴

もちろん、天空シリーズも過去にリメイクが全く行われていないわけではありません。 ニンテンドーDSで発売されたリメイク版は、多くのプレイヤーに受け入れられました。

作品名 オリジナル版発売日 DS版リメイク発売日 主な変更点
ドラゴンクエストIV 導かれし者たち 1990年2月11日 (FC) 2007年11月22日 仲間会話システムの追加、第6章の追加
ドラゴンクエストV 天空の花嫁 1992年9月27日 (SFC) 2008年7月17日 仲間モンスターの追加、結婚相手の追加
ドラゴンクエストVI 幻の大地 1995年12月9日 (SFC) 2010年1月28日 仲間会話システムの追加、スライム格闘場の仕様変更

これらのDS版リメイクは、携帯機で手軽に遊べる点や、仲間会話システムといった追加要素で高く評価されました。 その後、スマートフォンにも移植され、現在でも多くの人がプレイしています。 しかし、これらはあくまでオリジナル版をベースにしたリメイクであり、グラフィックやシステムを根本から作り直した「フルリメイク」ではありません。 だからこそ、ファンはHD-2D版ドラクエ3のような、全く新しい体験ができるリメイクを心待ちにしているのです。

HD-2D版ドラクエ3がファンに与えた大きな期待

天空シリーズへの期待をさらに高めたのが、「HD-2D版 ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」の存在です。 ドット絵の懐かしい雰囲気と3DCGによる立体的な表現を融合させたHD-2Dという技術は、多くのファンに衝撃を与えました。 「これだ、我々が求めていたリメイクは!」と感じた人も少なくないでしょう。 このHD-2D版ドラクエ3の成功は、当然のように「次は天空シリーズではないか?」という期待を抱かせました。 さらに、ロトシリーズの原点である「ドラゴンクエストI & II」のHD-2D版も発表され、過去作のリメイクプロジェクトが着実に進行していることが示されました。 こうした流れがあったからこそ、天空シリーズを飛び越えての「ドラクエ7 リイマジンド」の発表は、大きな驚きと、そして「なぜ?」という疑問をファンに与えることになったのです。

ドラクエ6が後回しに?スクエニの戦略を徹底考察

なぜスクエニは、多くのファンが待ち望む天空シリーズ、特にドラクエ6のフルリメイクではなく、ドラクエ7の「再構築」を選んだのでしょうか。 そこには、単なる開発順序の問題だけではない、スクエニの深謀遠慮な戦略が隠されていると考えられます。 コスト、技術、そしてブランド価値。 様々な角度から、その理由を深く考察していきましょう。

理由①:ドラクエ7が抱える「賛否両論」という課題の解決

最大の理由として考えられるのが、オリジナル版のドラクエ7が、シリーズの中でも特に「賛否両論」が激しい作品だったという点です。 PSソフトとして国内最高の414万本という驚異的な売上を記録した一方で、そのゲーム内容にはいくつかの大きな課題が指摘されていました。

課題1:煩雑すぎる「石板集め」

物語を進めるために必須となる「石板集め」。 これが非常に見つけにくく、多くのプレイヤーを悩ませました。 カメラアングルを変えないと見えない場所に隠されていたり、過去と現代の両方を行き来してようやく見つかるなど、その探索は困難を極めました。 「石板が見つからなくて先に進めない」という理由で、途中でプレイを断念したプレイヤーは数知れません。 このシステムは、探索の楽しさよりも、作業感やストレスを強く感じさせるものでした。 リイマジンド版では、「石板レーダー」の導入により、この問題が大幅に改善されることが明言されています。

課題2:重く、暗いストーリー展開

ドラクエ7の物語は、シリーズの中でも特にダークで陰鬱な雰囲気を持っています。 訪れる先々の世界は魔王によって封印され、人々は絶望の中にいます。 人間同士の裏切りや争い、悲劇的な結末を迎えるエピソードも多く、従来のドラクエが持つ「明るい冒険活劇」のイメージとは一線を画していました。 もちろん、その深みのあるシナリオを評価する声も多いですが、「プレイしていて気が滅入る」と感じたプレイヤーも少なくなかったのです。

課題3:衝撃的すぎた「キーファの離脱」

序盤から頼れる仲間として活躍するグランエスタードの王子、キーファ。 多くのプレイヤーが彼に貴重な「たね」や「きのみ」をつぎ込んだことでしょう。 しかし、彼は物語の中盤で、一族の踊り手ライラへの想いから、パーティを永久に離脱してしまいます。 この展開は「種泥棒」と揶揄されるほど、プレイヤーに大きな衝撃と喪失感を与えました。 戦力的な痛手はもちろんのこと、そのあまりにも唐突な別れは、シナリオに対する大きな不満点として語り継がれています。

「再構築」で名作の評価を確固たるものに

このように、ドラクエ7は素晴らしいポテンシャルを秘めながらも、多くのプレイヤーが「惜しい」と感じる点をいくつも抱えていました。 スクエニにとって、この「賛否両論ある名作」を現代の技術と感性で「再構築」し、誰もが認める完璧な作品として蘇らせることは、非常に意義深いプロジェクトなのです。 もしこれが成功すれば、作品の評価が確固たるものになるだけでなく、「リイマジンド」というリメイク手法の価値を市場に示すことができます。 比較的評価が安定している天空シリーズよりも、まずはこの大きな課題を抱えたドラクエ7に手を入れることこそ、戦略的に優先度が高かったと考えられます。

理由②:技術的・コスト的な観点からの戦略

ユーザーの間で囁かれる「リメイクにかかる費用」も、重要な選定理由の一つでしょう。 現代のクオリティで過去作をフルリメイクするには、莫大な開発費と時間が必要です。

SFC作品のフルリメイクという高いハードル

ドラクエ6のようなスーパーファミコン時代の2Dドット絵作品を、3Dグラフィックでフルリメイクする場合、キャラクター、モンスター、背景、建物など、すべてのグラフィックアセットをゼロから作り直す必要があります。 これは、完全な新作を1本開発するのに近いコストがかかると言われています。 もちろん、HD-2Dという選択肢もありますが、それでもドット絵の打ち直しや3Dエフェクトの追加など、多大な労力が必要となります。

PS作品のデータ資産というアドバンテージ

一方で、ドラクエ7はプレイステーションで発売された、シリーズ初の3D作品です。 (キャラクターは2Dでしたが、フィールドやダンジョンは3Dで描かれていました) つまり、3Dの地形データや基本的なポリゴンモデルといったデジタル資産が既に存在しています。 これらをベースに、新しいグラフィック表現である「ドールルック」へと「再構築」する方が、ゼロから3Dモデルを制作するよりも効率的である可能性があります。 「ドールルック」という独創的な手法も、もしかしたらクオリティとコスト効率を両立させるための、戦略的な発明だったのかもしれません。 費用対効果を考えた際に、まずは3Dの基礎データが存在する7から手掛ける、という判断は経営的に見ても合理的と言えるでしょう。

理由③:「リイマジンド」という新たなリメイクブランドの確立

今回のプロジェクトは、単にドラクエ7をリメイクするというだけではありません。 スクエニが「リイマジンド」という、新しいリメイクの形をブランドとして確立しようとしている、その第一歩であると考えることができます。

これまでのリメイクは、

  • リマスター:グラフィックを高解像度化する
  • HDリメイク:グラフィックを現代風に作り直す
  • フルリメイク:システムも含めて根本から作り直す

といった区分が主でした。 しかし「リイマジンド(再構築)」は、原作の核となるテーマや魅力を尊重しつつも、不要な部分を大胆に「取捨選択」し、新たな要素を加えて全く新しい体験を提供する、というさらに踏み込んだ概念です。

最も改善の余地があり、大胆な変更が受け入れられやすい「賛否両論」のドラクエ7を、この「リイマジンド」ブランドの最初の作品として世に問う。 そして、そのクオリティでファンと市場を納得させることができれば、「スクエニのリイマジンドには期待できる」というブランドイメージを確立できます。 この試金石としての役割を、ドラクエ7は担っているのです。 この戦略が成功すれば、将来的には「ドラゴンクエストVI リイマジンド」が実現する可能性も高まるでしょう。

理由④:グローバル市場を見据えた戦略的判断

近年のスクエニの動向として、グローバル市場への展開をより一層強化している点が挙げられます。 その観点から見ても、ドラクエ7は天空シリーズよりも優先されるべき要素を持っていた可能性があります。

世界に通用する普遍的なテーマ

ドラクエ7のキャッチコピーは「人は、誰かになれる」。 これは転職システムを指す言葉であると同時に、物語の根幹に流れるテーマでもあります。 また、情報ソース⑤で深く考察されているように、その物語の根底には旧約聖書のエピソードがモチーフとして存在しているという説もあります。 「神と悪魔」「人間の原罪」といったテーマは、特定の文化圏に留まらない普遍性を持ち、海外のRPGファンにも深く響く可能性があります。 壮大な世界観と重厚な物語は、グローバル市場で高く評価される傾向にあります。

グローバル展開への布石

今回のリイマジンドでは、キャラクターボイスが追加されることも発表されています。 これは、物語への没入感を高めると同時に、多言語へのローカライズを容易にするという側面も持っています。 対応プラットフォームも、PlayStation、Nintendo Switch、Xbox、PC(Steam/Microsoft Store)と、あらゆるゲーマーにリーチできる布陣です。 こうした徹底したグローバル展開を見据えた際に、より普遍的なテーマ性を持つドラクエ7を先に投入し、世界市場における「ドラゴンクエスト」ブランドの価値をさらに高めようという戦略があったとしても不思議ではありません。

ドラクエ6リメイクの可能性は消えたのか?今後の展望

では、ドラクエ6をはじめとする天空シリーズのフルリメイクの可能性は、もうないのでしょうか。 結論から言えば、その可能性はむしろ高まったと考えるべきです。

今回のドラクエ7リイマジンドの発表は、スクエニが過去のシリーズ資産を非常に重要視しており、今後も積極的にリメイクプロジェクトを展開していくという強い意志の表れです。 重要なのは、どの作品から手掛けるのが最も戦略的に効果的か、という優先順位の問題に過ぎません。

考えられる今後のシナリオはいくつかあります。

  1. ドラクエ7リイマジンドの大成功 → 天空シリーズのリイマジンド化 「リイマジンド」という手法が市場に受け入れられれば、そのノウハウを活かして天空シリーズが「再構築」される道筋が見えてきます。 ドールルックで描かれる夢と現実の世界、フルボイスで語られるテリーとミレーユの物語など、想像するだけで期待が膨らみます。
  2. HD-2Dプロジェクトの継続 → 天空シリーズのHD-2D化 「HD-2D版 ドラクエI&II」の発売後、その流れを汲んで天空シリーズがHD-2Dでリメイクされる可能性も十分に考えられます。 スーパーファミコン時代のドット絵の雰囲気を最も色濃く残す天空シリーズは、HD-2Dという手法と非常に相性が良いはずです。

いずれにせよ、スクエニがドラクエ6を含む天空シリーズという巨大な人気コンテンツをこのまま放置するとは考えにくいでしょう。 今は、ロトシリーズのHD-2D化と、PS時代の問題作であったドラクエ7の再構築という、二つの大きなプロジェクトを優先して進めている段階なのです。 我々ファンは、まずこれらの作品の成功を応援し、その先に待つであろう天空の世界の復活に期待を寄せるのが賢明と言えるでしょう。

まとめ

今回、多くのファンが待ち望む「ドラゴンクエストVI」のフルリメイクより先に「ドラゴンクエストVII リイマジンド」が発表された背景には、スクウェア・エニックスの緻密な戦略がありました。

  • 課題解決の優先:オリジナル版が抱えていた「賛否両論」という大きな課題を解決し、作品の評価を不動のものにする。
  • コストと技術の最適化:3Dデータという既存資産を活かし、新技術「ドールルック」で効率的かつ高品質なリメイクを実現する。
  • 新ブランドの確立:「リイマジンド」という新たなリメイク手法の試金石として、最も大胆な変更が求められる作品を選ぶ。
  • グローバル市場への挑戦:普遍的なテーマ性を持つ作品を世界基準のクオリティで投入し、ブランド価値を最大化する。

ドラクエ6のリメイクが後回しにされたのは、決してその人気や価値が低いからではありません。 むしろ、スクエニがドラクエというIP(知的財産)の未来を長期的な視点で見据え、最も効果的な順番でプロジェクトを進めている結果なのです。

まずは2026年に発売される「ドラゴンクエストVII リイマジンド」が、我々の想像を超える素晴らしい「再構築」となっていることを期待しましょう。 その成功こそが、幻の大地への扉を再び開くための、最も確実な鍵となるのですから。

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