編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、待望のDLC「M次元ラッシュ」で解禁された、あの「終わりの大地」を統べる伝説、ゲンシグラードンの育成論について、特にランクマッチで勝ち抜くための努力値調整が気になっていると思います。
圧倒的な種族値を持つこのポケモンを、どのように調整すれば現環境の「暴走メガシンカ」勢や、厄介なパラドックスポケモンたちをねじ伏せることができるのか。単なるぶっぱで良いのか、それとも緻密な調整が必要なのか。
この記事を読み終える頃には、あなたのパーティのエースとして君臨する最強のゲンシグラードンの調整の疑問が解決しているはずです。
- 攻撃種族値180を最大化する「いじっぱり」AS調整が基本にして最強の最適解である
- 環境に多い「暴走メガシンカ」勢を意識するならS調整は90族近辺の激戦区を抜く工夫が必須
- 物理耐久は無振りでも確保できているため特殊耐久へのケアか行動保証のタスキが鍵となる
- 専用技「だんがいのつるぎ」の命中不安を考慮したサブウェポンと味方のサポート構築が勝率を分ける
それでは解説していきます。
ゲンシグラードンの基本性能とM次元ラッシュ環境評価
まずは、具体的な努力値の話に入る前に、このポケモンがなぜ「最強」の一角と謳われるのか、そのスペックを解剖します。数値を理解せずして、正しい努力値振りはあり得ません。
種族値の暴力:攻撃180・防御160の衝撃
『ポケモンレジェンズZA』のDLCコンテンツで解禁されたゲンシグラードン。その種族値合計は770という驚異的な数値を誇ります。
特に注目すべきは、攻撃種族値180と防御種族値160です。 これは、努力値を振らなくとも、並大抵の物理アタッカーの攻撃を余裕で耐え、返しの攻撃で粉砕できることを意味します。ランクマッチにおいて、この「数値の暴力」は正義です。
一般的なアタッカーが攻撃種族値130程度で「高火力」と呼ばれる中、180という数字がいかに異常か。 無補正・無振りでも実数値は相当なものになりますが、ここに補正と努力値を乗せることで、受け出し不可能な破壊神が誕生します。
一方で、特防は90、素早さも90です。 ここは決して低い数値ではありませんが、伝説戦や高種族値が跋扈するM次元ラッシュの環境下では「隙」となり得る数値です。ここをどうケアするかが、トレーナーの腕の見せ所となります。
複合タイプ「じめん・ほのお」の強みと弱点
ゲンシカイキによって付与される「ほのお」タイプ。これが非常に大きいです。 タイプ一致で放つ「ほのおのパンチ」や「だんがいのつるぎ」の火力は凄まじく、本来じめん技を半減するくさタイプやむしタイプを焼き払うことができます。
また、特性(終わりの大地)により、実質的にみず技が無効化されるため、4倍弱点であるはずの「みず」を克服している点が、このポケモンの最大の強みと言っても過言ではありません。
ただし、特性が無効化される状況や、天候を書き換えられた場合(ゲンシカイオーガの登場など)は、4倍弱点が剥き出しになるリスクも抱えています。
専用技「だんがいのつるぎ」の採用価値
威力120、命中85の専用技「だんがいのつるぎ」。 これを採用しない理由はほぼありません。 地震(威力100)と比較しても、その確定数の差は歴然です。
例えば、HB特化の輝石持ちポリゴン2のような耐久ポケモンに対し、地震では乱数2発のところが、だんがいのつるぎならば確定2発、あるいは乱数1発圏内に押し込めるケースが多々あります。 この「確定数のズレ」こそが、ランクマでの勝敗を分けるのです。
努力値調整の基本概念とゲンシグラードンの役割
努力値を振る際、漫然と「攻撃と素早さに252」と振る前に、まずは「誰を倒したいか」「誰に倒されたくないか」を明確にする必要があります。
物理特化か耐久調整か?スタイルの選択
ゲンシグラードンの育成方針は、大きく分けて2つあります。
- 高速アタッカー型(ASベース)
- 先手を取って相手を制圧するスタイル。
- 「つるぎのまい」からの全抜きを狙う。
- 現在の高速化した環境ではこちらが主流。
- 重戦車型(HAベース)
- 相手の攻撃を一発耐えて、返しの攻撃で倒すスタイル。
- 対面性能が高く、タイマンに強い。
- トリックルーム下での運用も視野に入る。
現状の『ZA』ランクマ環境、特にM次元ラッシュのルールでは、素早いアタッカーや、スカーフ持ち、さらには暴走メガシンカによる能力上昇が頻発します。 そのため、中途半端な耐久調整をするよりも、「上から叩く」あるいは「抜ける相手を確実に抜く」 調整が求められる傾向にあります。
素早さ90族の激戦区をどう抜けるか
素早さ種族値90は、伝説ポケモンの中では激戦区です。 カイオーガ、グラードン(同族)、ディアルガ、パルキア、ギラティナなどがひしめき合っています。
さらに、そのすぐ下には85族(ゴリランダーなど)、すぐ上には95〜100族(ゼルネアス、イベルタル、各種メガシンカ勢)がいます。
ここでSに努力値を振らない選択をすると、これら全てのポケモンに先手を取られ、致命傷を負うリスクがあります。 特に同族対決(対ゲンシグラードン)において、上から「だんがいのつるぎ」を撃てるかどうかは、そのまま勝敗に直結します。 したがって、基本的には最速(性格補正あり+努力値252振り)、あるいは**準速(性格補正なし+努力値252振り)**が推奨ラインとなります。
【本命】ランクマ無双!ASぶっぱ型の調整案
私が現環境で最もおすすめするのが、この「ASぶっぱ型」です。 シンプルですが、ゲンシグラードンの強みを最大限に活かせます。
努力値配分と実数値詳細
性格:ようき(素早さ↑ 特攻↓) 持ち物:べにいろのたま テラスタイプ(ある場合):ほのお または じめん
| ステータス | 努力値 | 実数値(Lv50) | 調整意図 |
|---|---|---|---|
| HP (H) | 0 | 175 | 奇数調整(定数ダメ意識) |
| 攻撃 (A) | 252 | 232 | 限界まで火力を高める |
| 防御 (B) | 4 | 181 | 余りを物理耐久へ |
| 特攻 (C) | 0 | – | 下降補正 |
| 特防 (D) | 0 | 110 | – |
| 素早 (S) | 252 | 156 | 最速90族と同速勝負、準速100族抜き意識 |
この調整の強み:上から叩く制圧力
この調整の最大のメリットは、「自分より遅い相手には何もさせずに勝てる」 という点です。 攻撃実数値232から放たれるタイプ一致「だんがいのつるぎ」や「ほのおのパンチ」は、等倍であれば多くのポケモンを確1、半減でも確2に持ち込みます。
また、性格を「ようき」にすることで、最速90族(実数値156)となります。 これは、準速(性格補正なし)の100族(実数値152)を抜ける数値です。 環境に多い「いじっぱり」で育成された中速帯の伝説ポケモンたちの上を取れるため、被弾回数を減らす=実質的な耐久アップに繋がります。
運用方法と立ち回り解説
初手、もしくは死に出しから展開します。 相手が物理受け(クレベースやエアームドなど)に引いてくるタイミングで「つるぎのまい」を選択できれば、ゲームセット級の火力を手に入れることができます。
もし相手がゲンシグラードンよりも速いポケモン(ザシアンや黒バドレックスなど)の場合は、一度裏のクッション役で受けるか、味方の「おいかぜ」や「電磁波」サポートを受けてから降臨させるのが定石です。
ダメージ計算:対主要仮想敵
あくまで目安ですが、AS極振り時のダメージ感を知っておきましょう。
- 与ダメージ(攻撃側:A252 ゲンシグラードン)
- H252 ザシアン(剣の王)
- 技:だんがいのつるぎ
- ダメージ:確定1発(100%〜)
- 解説:耐久無振りならオーバーキルです。H振りでも確1。これが地面タイプの強みです。
- H252 ディアルガ
- 技:だんがいのつるぎ
- ダメージ:確定1発(105%〜)
- 解説:鋼タイプを持つ伝説には滅法強いです。
- HB特化 ナットレイ
- 技:ほのおのパンチ(天候:晴れ)
- ダメージ:確定1発(4倍弱点+晴れ補正)
- 解説:物理受けとして名高いナットレイも、ゲンシグラードンの前では炭になります。
- H252 ザシアン(剣の王)
【安定】行動保証重視!HA耐久ベース型の調整案
「一発耐えれば勝てるのに…」という悔しい思いをしたくない方には、こちらのHAベースをおすすめします。 特に、対面構築やサイクル戦を好む玄人向けの調整です。
努力値配分と実数値詳細
性格:いじっぱり(攻撃↑ 特攻↓) 持ち物:べにいろのたま
| ステータス | 努力値 | 実数値(Lv50) | 調整意図 |
|---|---|---|---|
| HP (H) | 252 | 207 | 総合耐久の底上げ(16n-1) |
| 攻撃 (A) | 252 | 255 | 特化することで火力を最大化 |
| 防御 (B) | 0 | 180 | 無振りでも十分硬い |
| 特攻 (C) | 0 | – | – |
| 特防 (D) | 4 | 111 | 余り |
| 素早 (S) | 0 | 110 | 無振り |
物理耐久指数と特殊耐久ラインの確保
HPに252振ることで、実数値は207まで伸びます。 これにより、物理方面では不一致の「じしん」程度なら余裕を持って2発耐えることが可能になります。 特殊方面でも、等倍の特殊技(例えば「れいとうビーム」や「エナジーボール」など)を耐える確率がグンと上がります。
特に、性格補正を「いじっぱり」にできるのがHA型の最大のメリットです。 実数値255からの攻撃は、AS型(実数値232)とは次元が違います。 乱数で耐えてくる相手を、ねじ伏せて確定1発にするパワーがあります。
「つるぎのまい」を積むための耐久調整
HA型の真骨頂は、相手の攻撃を耐えてからの「つるぎのまい」です。 素早さで負けていても、一発耐えて攻撃ランクを+2にできれば、次のターンの先制技(味方のトリックルーム等あれば尚良し)や、相手の後続への負担が計り知れません。
ダメージ計算:対ゲンシカイオーガの攻撃耐え
HA振りの恩恵を感じる瞬間は、苦手な相手と対面した時です。
- 被ダメージ(防御側:H252 D4 ゲンシグラードン)
- C252 ゲンシカイオーガ
- 技:れいとうビーム
- ダメージ:乱数2発(高乱数で耐えることは難しいが、HP振りのおかげで低乱数なら耐える可能性が出る)
- 解説:正直、特殊耐久は過信できませんが、無振りとH振りでは生存率が変わります。特に「こんげんのはどう」(天候書き換えなし状態)などを不意に受けた際、H振りなら耐えるシーンが増えます。
- C252 ゲンシカイオーガ
【奇襲】特殊アタッカー型の可能性と調整
「グラードン=物理」という先入観を逆手に取る、特殊型の調整です。 種族値C150は、決して低い数値ではありません。むしろ並の特殊アタッカーより遥かに高いのです。
特攻150を活かす「ふんえん」「ソーラービーム」
ゲンシグラードンは、特殊技のデパートでもあります。 メインウェポンとしての「だいちのちから」(威力90)、晴れ下で溜めなしで撃てる「ソーラービーム」(威力120)、高威力の「オーバーヒート」(威力130)、「ふんえん」(威力80・火傷30%)など。
特に「だいちのちから」は、物理受け(物理耐久が高いポケモン)に対して非常に有効です。 相手が「どうせ物理だろ」と思って繰り出した物理受けポケモン(例:鬼火持ちのロトムや、威嚇持ちのランドロス)に対し、特殊技が刺さります。
物理受けを崩す役割破壊の美学
性格:ひかえめ(特攻↑ 攻撃↓) または れいせい(特攻↑ 素早↓) 努力値:HC252ベース
- だいちのちから:物理受けランドロスへの打点。威嚇を入れられても関係ありません。
- ソーラービーム:対カイオーガ、対ウォッシュロトムへの最高打点。
- ふんえん:相手を火傷にして、こちらの物理耐久を擬似的に上げるシナジーがあります。
この型は、パーティ構築で「物理に偏りすぎている」と感じた時や、相手の受けループを崩したい時の切り札として機能します。 ただし、本来の役割である「最強の物理火力」を捨てることになるため、採用には明確な意図が必要です。
ゲンシグラードンと相性の良い味方ポケモン
ゲンシグラードンを単体で使うよりも、相性の良い味方と組ませることで、その強さは倍増します。 私が実際にランクマで使用し、手応えを感じたパートナーを紹介します。
トリックルーム始動要員とのシナジー
HA型(素早さ無振り)のゲンシグラードンを使う場合、トリックルームは最強のサポートです。
- クレセリア
- 「ふゆう」で地面技を透かせるため、ゲンシグラードンの横に並べても地震を撃ちやすい(ダブルバトルの場合)。
- 耐久が高く、確実にトリックルームを貼れます。
- 「みかづきのまい」で、消耗したゲンシグラードンを全回復させて再降臨させる動きが凶悪です。
- ドータクン
- 同じく「ふゆう」持ち。
- 鋼タイプなので、ゲンシグラードンが苦手な氷技やフェアリー技を受けやすいです。
浮遊・飛行タイプによる地面技透かし
ゲンシグラードンの弱点は「じめん」技です。同族対決や、ランドロスなどの地震が痛手となります。 そのため、地面技を無効化できるポケモンへの交代(引き先)を用意しておくことが重要です。
- イベルタル
- 飛行タイプで地面無効。
- ゲンシグラードンが苦手な特殊アタッカーに対して強いです。
- ホウオウ
- 聖なる炎で相手を火傷にさせ、ゲンシグラードンの物理耐久をサポート。
- 晴れパとしてのシナジーもあります。
天候操作サポートと「晴れ」の恩恵
ゲンシグラードンの特性「終わりの大地」は非常に強力ですが、場に出た時しか発動しません。 もし相手に天候を変えられた場合、再び天候を取り返す手段が必要です。
- コータス(特性:ひでり)
- 一般ポケモンですが、素早さが遅いため天候合戦に勝ちやすいです。
- 「あくび」や「ステルスロック」で場作りをし、ゲンシグラードンの全抜きの舞台を整えます。
対策必須!ゲンシグラードンの天敵と対処法
無敵に見えるゲンシグラードンにも、明確な天敵が存在します。 これらへの対策を怠ると、努力値をどれだけ調整しても勝てません。
ゲンシカイオーガとの天候合戦
永遠のライバル、ゲンシカイオーガ。 相手の特性「はじまりのうみ」が発動している間は、こちらの炎技が無効化され、相手の水技が通ってしまいます。 ゲンシグラードンは特殊耐久が低いため、水技を受ければ即死です。
対処法:
- 後出しじゃんけんの法則:天候は「後に出した方」が上書きします。初手で対面した場合は、素早さが遅い方が天候を取りますが、基本的には一度引いて、相手の天候発動後に再度繰り出すプレイングが必要です。
- 物理技で殴る:天候に関係なく通る「だんがいのつるぎ」を当てること。ただし相手の防御も低くはないので、削りを入れておく必要があります。
高速特殊アタッカー(メガレックウザ等)への警戒
メガレックウザは特性「デルタストリーム」で天候を無効化(乱気流)し、さらに飛行タイプなので「だんがいのつるぎ」が当たりません。 その上、高い攻撃・特攻から弱点を突いてきます。
対処法:
- 「ストーンエッジ」や「ドラゴンクロー」の採用:サブウェポンで対抗します。
- ステルスロック:レックウザは岩が弱点なので、場に出るたびにHPを削るステロ展開が刺さります。
状態異常(やけど・まひ)への耐性
ゲンシグラードンは物理アタッカーなので、「やけど」状態になると機能停止します。 また、S操作が重要なため「まひ」も致命的です。
対処法:
- ほのおタイプなので火傷はしない:ここが非常に優秀です。ゲンシカイキにより炎タイプがつくため、鬼火などは無効です。
- ラムのみ:持ち物を「べにいろのたま」以外にする選択肢(ゲンシカイキしない運用)はほぼないため、状態異常対策は味方の「しんぴのまもり」や、受ける前に倒す火力が必要になります。
まとめ
ゲンシグラードンは、M次元ラッシュ環境において、間違いなく最強クラスの物理アタッカーです。 しかし、その強さを100%引き出せるかどうかは、あなたの努力値調整にかかっています。
- 迷ったら「ようきAS252」:最速で上から制圧するスタイルが今の環境には合っています。
- 確定数を変えたいなら「いじっぱりHA252」:対面性能を重視し、確実に一匹持っていく仕事人スタイル。
- だんがいのつるぎは外れるものと思え:命中85は信頼しすぎないこと。サブウェポンや味方のサポートでリスク管理を。
この記事で紹介した調整をベースに、あなたのパーティやプレイスタイルに合わせて微調整を加えてみてください。 「あと攻撃に4振っていれば倒せた…」「素早さを1削ったせいで負けた…」 そんな悔しさを味わうことがないよう、ダメージ計算ツールを叩き、仮想敵を定め、最高のゲンシグラードンを育成してください。
ランクマッチの頂点で、その紅色の巨人が咆哮を上げる瞬間を楽しみにしています。
筆者情報
筆者:桐谷シンジ フリーランスのゲーム攻略ライター。慶應大学卒業後、大手出版社を経て、現在に至る。幅広いゲームに携わるが、主にRPG/FPS/サンドブロック系のゲームを得意とする。最近の悩みは趣味の時間が取れず、積みゲーが100作品を超えたこと。






