編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、モンスターハンターワイルズの第4弾アップデートで実施された「弓」の大幅な調整内容、特にどれくらい火力が上がったのかという具体的な数値や検証結果が気になっていると思います。
これまでの弓は、特定の物理補正のナーフや属性の通りにくさから、一部のハンターからは不遇の武器種と囁かれることもありました。しかし、今回のアップデートでその評価が覆る可能性があります。
この記事を読み終える頃には、弓の強化ポイントの全容、具体的なダメージ上昇率、そして今後の装備構成の指針まで、弓に関する疑問が解決しているはずです。
- 物理ダメージは約9%、属性ダメージは約57%の大幅上昇
- 属性補正が倍増しエレメント特化の運用が強力に
- 貫通ビンの仕様変更で大型モンスターへの適正が向上
- それでも双剣の火力には及ばないが現環境では十分戦える
それでは解説していきます。
第4弾アップデートにおける弓の調整概要と全体評価
今回の第4弾アップデートは、弓使いにとって待望の「聖杯」とも言える内容が含まれていました。これまでの環境において、弓は手数武器でありながら属性補正が低く設定されていたり、特定のモーションにおける物理ダメージの減衰が激しかったりと、爽快感と火力の両立に苦しむ場面が多々ありました。
私が実際に検証を行った結果と、信頼できる情報ソースからのデータを統合すると、今回の調整は「物理の微増」と「属性の超強化」という二つの柱で構成されていることが明確になりました。
これまでの弓は、どちらかと言えば物理火力に依存しつつも、その物理部分でナーフを受けていたため、器用貧乏な立ち位置に甘んじていました。しかし、今回の調整で開発陣が意図しているのは「弓=属性武器」という原点回帰、あるいは新たな定義付けであると推測できます。
まずは、全体的な数値の変化を俯瞰してみましょう。詳細な各モーションの解説は後述しますが、全体的なDPS(時間あたりのダメージ)は約13%〜14%向上しています。これは、これまで討伐に10分かかっていたクエストが、単純計算で1分以上短縮されることを意味します。この「1分」の差は、周回効率を重視するハンターにとっては革命的な数字です。
過去のナーフからの復権と現状の立ち位置
かつて、弓は発売当初(あるいは過去作において)、猛威を振るいすぎた経緯があります。特に「竜の一矢」などの高火力モーションが、適正距離や肉質を無視してダメージを稼げてしまった時代がありました。これに対するカウンターとして行われたのが、3ヒット目以降の物理補正を0.75倍にするという強烈なナーフでした。これにより、弓の物理火力は一気に17%〜20%近くダウンし、冬の時代を迎えることになります。
今回のアップデートでは、この物理補正にもメスが入りました。結論から言えば、全盛期の火力まで完全に「戻った」わけではありません。しかし、ナーフ前とアプデ前の中間地点までは引き上げられています。開発チームとしては「強すぎず、弱すぎず」の絶妙なバランスラインを探った結果と言えるでしょう。
竜の一矢と曲射の威力調整|物理火力の底上げ
まずは、弓のロマン技である「竜の一矢」と、サポート兼攻撃技である「曲射」の調整内容について詳しく見ていきます。これらはメインの立ち回りで多用する技ではないかもしれませんが、ここぞという時のダメージソースとして機能するかどうかは重要です。
竜の一矢は約9%の火力アップ
検証の結果、竜の一矢は物理ダメージにおいて約9%の火力アップが確認されました。これはモーション値(武器ごとの技の威力を決める数値)が約2上昇したことによるものです。
前述の通り、過去の大幅ナーフによって失われた20%近い火力の半分程度を取り戻した形になります。属性補正に関しては変化がありませんでした。つまり、竜の一矢に関しては「物理特化の肉質が柔らかい部位」を通すという従来の使い方は変わらず、その際のリターンが少し増えたという認識で良いでしょう。
例えば、長大な体躯を持つモンスターに対して、頭から尻尾まで貫通させる際の総ダメージ量が目に見えて増えています。これまでは「隙が大きい割にダメージが出ない」ために封印していたハンターも、ダウン時の選択肢の一つとして検討する価値が出てきました。
曲射は物理10%アップだが戦術的変化は少なめ
曲射に関しても、物理ダメージが約10%上昇しています。モーション値にして「1」の上昇です。
正直なところ、曲射をメインのダメージソースとして運用するハンターは稀でしょう。今回の強化も、あくまで「気絶値を蓄積させるついでに与えるダメージが少し増えた」程度に捉えておくのが無難です。マルチプレイにおいて、味方のサポートをしつつ、以前よりは多少なりともHP削りに貢献できるようになった点は評価できますが、ソロプレイでの劇的な戦術変化をもたらすものではありません。
導きの矢(シルベの矢)と誘導性能の進化
今作「モンスターハンターワイルズ」における弓の新要素であり、賛否両論あった「導きの矢(シルベの矢)」および、それに伴う誘導射撃についても調整が入っています。オープンベータテスト(OBT)時点での仕様と比較しながら、現在の状況を整理します。
シルベの矢自体の着弾ダメージが20%増
まず、シルベの矢をモンスターに突き刺す際の一撃(着弾ダメージ)が大きく強化されました。 具体的には、モーション値が25から30へと変更されています。これは実に20%の物理ダメージアップです。
開幕や接敵時に必ず行う儀式のようなアクションですが、この一発が強くなったことで、初動のダメージ稼ぎがスムーズになりました。特に、動き回るモンスターに対して強引にシルベの矢を刺しに行く際のリスクリターンが、少し改善されたと言えます。
誘導射撃と通常射撃のダメージ差が消滅
ここが非常に重要なポイントです。以前は「シルベの矢を刺して誘導状態にしないと火力が出ない」というようなバランス調整が危惧されていました(OBT時など)。しかし、今回の検証により、誘導射撃(ホーミングする矢)のモーション値も上昇しているものの、通常射撃(シルベの矢を刺していない状態)と同等のダメージレベルに落ち着いていることが判明しました。
これは朗報です。「絶対にシルベの矢を維持し続けなければならない」という強迫観念から解放され、状況に応じて誘導と通常射撃を使い分けるという、本来の自由度の高い立ち回りが可能になったからです。属性補正についても、誘導・通常ともに同様の強化が入っているため、どちらで戦っても損はありません。
主力モーションの革命|溜め撃ち・剛射・剛連射
ここからが本記事の核心部分です。弓の立ち回りにおいて9割以上を占める「溜め撃ち(射撃)」「剛射」「剛連射」の調整内容について解説します。結論から言えば、ここが今回のアップデートの目玉であり、弓が「属性武器」として覚醒した理由です。
属性補正が倍増・射撃は0.5から1.0へ
以下の表に、主要モーションにおける属性補正値の変化をまとめました。
| アクション | アプデ前の属性補正 | アプデ後の属性補正 | 上昇率 |
|---|---|---|---|
| 通常射撃(溜め撃ち) | 0.5 | 1.0 | 100% (2倍) |
| 剛射 | 0.6 | 0.8 | 約35% |
| 剛連射 | 0.75 | 1.0 | 約33% |
| 竜の千々矢 | 低補正 | 高補正 | 約66% |
この表を見ていただければ分かる通り、通常射撃の属性補正が「0.5」から「1.0」へと倍増しています。これは極めて異例の強化幅です。これまでは、せっかく高い属性値を持つ弓を担いでも、通常射撃ではその50%しか属性ダメージが反映されていませんでした。それが100%反映されるようになったのです。
剛射や剛連射に関しても、軒並み30%以上の強化を受けています。これにより、手数で攻める弓のスタイルと、属性ダメージの相乗効果が爆発的に高まりました。
物理モーション値も微増
属性だけでなく、物理ダメージに関わるモーション値も、これら全ての主力アクションにおいて「約1」上昇しています。比率にすると約7%〜9%の物理火力アップです。
「たったの1?」と思われるかもしれませんが、弓は一度の射撃で複数の矢を放ち、それを絶え間なく繰り返す武器です。一発あたりのダメージが1増えるだけでも、クエスト全体を通した総ダメージ量は数千単位で変わってきます。この物理の底上げがあった上で、属性の倍加が乗っかってくるため、実際の使用感としては「明らかに敵が怯みやすくなった」と感じるはずです。
飛円突き(ヒーエン打ち)などの他モーションも強化
詳細な数値の記載はありませんでしたが、飛円突きなどの派生アクションについても、モーション値・属性補正ともに上昇が確認されています。これにより、コンボパーツとして組み込む際の「火力ロス」が減り、より流れるような連携が可能になりました。
ビン補正の再考|強撃ビン・接撃ビン・貫通ビン
弓の火力を支える「ビン」についても、興味深い調整が入っています。これまでの常識であった「強撃ビン一択」という考え方を改める必要があるかもしれません。
強撃ビン vs 接撃ビン
強撃ビンの物理補正が、従来の1.3倍から1.35倍へと強化されました。上昇幅は約4%です。 しかし、結論としては「依然として接撃ビンの方が優秀」という評価になります。
理由は単純で、接撃ビン(物理補正約1.2倍〜だが近接補正込みで強力)は弾数無限であり、リロードの手間がない上に、インファイトでの立ち回りを強制される現在の弓のスタイルと合致しているからです。強撃ビンの1.35倍は魅力的ですが、弾数制限(持ち込み50本+調合分)というリソース管理のコストと、適正距離の維持という手間を天秤にかけると、まだ接撃ビンの利便性と総合火力には及びません。
「0距離射撃」が基本となる立ち回りにおいて、適正距離補正が外れやすい強撃ビンは、カタログスペック通りの数値を出しにくいという実情もあります。
貫通ビンの台頭と対大型モンスター
今回、最も注目すべきは「貫通ビン」の強化です。 貫通ビンは、矢がモンスターを貫通して複数回ヒットする仕様ですが、3ヒット目までの合計物理ダメージが約10%上昇しました。
特筆すべきは、3ヒットさせた場合の物理補正倍率です。 接撃ビンが最大火力で1.4倍(クリティカル距離補正込みの概算)程度であるのに対し、貫通ビンはフルヒットさせれば1.66倍に達します。これは接撃ビンを大きく上回る数値です。
属性補正に関しては変化がありませんが、物理ダメージでこれだけの差が出るのであれば、ラギアクルスのような「体が長く、多段ヒットが見込める」モンスターに対しては、貫通ビンが最適解になる可能性があります。
今回、アーティア武器などで「ビンの種類を入れ替える(激タイプなどを選択)」カスタマイズが可能になったことで、雷属性や龍属性の弓でも貫通ビンを運用できる幅が広がりました。これはビルド構築の楽しさを広げる良調整と言えます。
リロード速度とチャージステップの連携
操作性(QoL)に関わる部分の調整についても検証を行いました。DPSに直結するわけではありませんが、快適性は狩りの継続力に影響します。
ビンの装填速度と硬直の短縮
ビンの装填モーション自体は大きく変わっていませんが、装填後の「硬直」が目に見えて減少しました。 装填直後にすぐ射撃を行えたり、チャージステップ(CS)へスムーズに移行できたりと、隙が少なくなっています。
これにより、「戦闘中にビンが切れたが、装填する隙がない」というストレスが軽減されました。DPSへの直接的な寄与は軽微ですが、被弾リスクを下げるという意味で実戦的な強化です。
チャージステップからのシルベの矢装填は「遅い」
アップデート情報にあった「チャージステップからシルベの矢を装填できるようになった」という点についてですが、実際に試したところ、実用性は低いという結論に至りました。
動作が非常に遅く、もっさりとしています。以前あった謎の硬直は改善されましたが、それでも戦闘の高速化についていけるスピードではありません。 また、多くのハンターが期待していた「チャージステップ中に装填することで溜め段階が維持・上昇する」といった仕様にはなっていませんでした。もしこれが実現していれば、溜め段階マックスを維持しつつシルベの矢を補充する無限ループが可能だったのですが、残念ながら夢物語に終わりました。
シルベの矢は追尾性能があるとはいえ、モンスターが激しく動くと明後日の方向に飛んでいくこともあり、現状では無理にCS連携で装填するメリットは薄いです。
バグ修正が生んだ実質的な火力アップ|傷破壊
これは「強化」というよりは「不具合修正」ですが、火力に与える影響は甚大です。 これまで、複数の「傷」を同時に破壊(傷破壊)した際、ダメージが重複せず、1つ分しかカウントされない(あるいは威力が減衰する)という致命的なバグが存在していました。
複数部位の同時破壊が正常に機能
アップデート後は、3箇所同時に傷を破壊すれば、しっかりと3箇所分の破壊ダメージが入るようになりました。また、スキル「破壊王」などの効果も正しく反映されるようになっています。
検証時、アプデ前は50ダメージ×3箇所破壊でも、表示や実ダメージがおかしい現象がありましたが、現在は威力補正が正しく乗り、爽快なダメージ表記が見られます。弓は広範囲に矢をばら撒く拡散系の攻撃(剛射など)により、意図せず複数の傷を同時に起爆させることが多いため、この修正は実質的な火力底上げに直結しています。
スキル「弾道強化」と「状態異常・属性スキルの適用」
細かい仕様変更ですが、ビルドに影響を与える部分です。
弾道強化Lv3の効果検証
「弾道強化Lv3」を発動させると、適正距離での命中時に威力が上昇するという効果が追加されました。 検証の結果、物理ダメージが約2%上昇しました(属性は変化なし)。
2%という数字は、スキルポイントの重さを考えると微妙なラインです。比較対象となる「散弾・拡散矢強化」などの弾強化スキルが特定の矢に5%以上の補正をかけることを考えると、優先度は下がります。全ての矢に2%乗るとはいえ、劇的な変化は望めません。あくまで「弾道強化を採用するついでに少し火力が上がる」程度のオマケと捉えるべきでしょう。
貫通ビンでのスキル発動判定
これまで適用外だった「属性変換」や「修羅一閃」などの追加ダメージ発生系スキルが、貫通ビン使用時にも抽選・発動するようになりました。 これにより、貫通ビン運用の属性弓ビルドが現実味を帯びてきます。ただし、剛射・剛連射には依然として乗らないケースも確認されており、仕様の複雑さは残っています。それでも、選択肢がゼロではなくなったことは大きな進歩です。
総合検証結果:弓はどれくらい強くなったのか?
ここまで個別の要素を見てきましたが、結局のところトータルでどれくらい強くなったのでしょうか。 仮想敵として「肉質45、属性肉質15」といった標準的なモンスター(ラギアクルス想定)を設定し、射撃と剛連射のコンボ比率を加味して計算しました。
DPSは約14%の向上
- 物理ダメージ総量: 約9%アップ
- 属性ダメージ総量: 約57.6%アップ
- 総合ダメージ(DPS): 約13%〜14%アップ
属性ダメージの伸びが約58%と驚異的です。これにより、物理と属性を合わせた総合火力は1割強の上昇となりました。 実際のクエスト(星9、資格4の龍刻ラギアクルス)でのタイムアタック検証でも、以下の結果が出ています。
- アプデ前: 6分41秒
- アプデ後: 5分37秒
約1分の短縮です。計算上の火力アップ(13%)と、実戦でのタイム短縮率がほぼ一致しています。これは、今回の強化がカタログスペックだけでなく、実戦でも確実に機能していることの証明です。
双剣との比較:まだ壁は厚い
一方で、現環境のトップティア火力とされる「双剣」と比較するとどうでしょうか。 同じラギアクルスのクエストを双剣でプレイした場合、クリアタイムは4分02秒前後です。
- 双剣:約4分
- 弓:約5分30秒
依然として1分30秒ほどの差があります。計算上、双剣に並ぶには物理でさらに30%、属性でさらに100%程度の上昇が必要です。 とはいえ、遠距離から攻撃できる(リスクが低い)弓と、リスクを負って張り付く双剣で完全にタイムが並ぶ必要はないとも言えます。「安全圏からこれだけの火力が出せるようになった」とポジティブに捉えるべきでしょう。
今後の弓のトレンドとおすすめの立ち回り
今回のアップデートを受けて、これからの弓使いが意識すべきポイントをまとめます。
1. 属性武器を作成・強化する
物理一辺倒の時代は終わりました。通常射撃の属性補正が倍になった今、各属性の弓を揃え、モンスターの弱点に合わせて担ぎ変えることが火力を出すための必須条件です。特にアーティア武器のような属性値が高い武器の評価が相対的に上がっています。
2. 「会心撃【属性】」や「属性攻撃強化」の優先度アップ
ビルド構成において、物理攻撃力を上げるスキルよりも、属性値を伸ばすスキルの優先度が跳ね上がりました。会心発生時に属性ダメージを上げるスキルなどは、補正倍加の恩恵を最大限に受けられます。
3. モンスターサイズによるビンの使い分け
基本は接撃ビンでのインファイトですが、ラギアクルスのような長大なモンスターには、強化された貫通ビンを用いたビルドが有効です。相手によって武器だけでなく、ビンの種類(とそれを装着できる武器)を変える戦略性が生まれました。
まとめ
今回の第4弾アップデートは、弓という武器種にとって「属性特化」という明確な方向性を示した良調整でした。物理火力の大幅アップとはなりませんでしたが、属性部分の倍増により、適切な装備と立ち回りを行えばトップクラスの武器とも渡り合えるポテンシャルを秘めています。
- 弓の総合火力は約14%アップ、実戦タイムも約1分短縮。
- 通常射撃の属性補正が0.5→1.0に倍増。属性弓が復権。
- 貫通ビンが強化され、大型モンスターへの新たな解に。
- バグ修正により傷破壊ダメージが正常化、使用感が向上。
かつての「物理で全てを解決する弓」ではありませんが、モンスターの弱点を突き、華麗に矢を放つ本来の狩猟スタイルが楽しめる環境が整いました。ぜひ、倉庫に眠っている属性弓を引っ張り出し、生まれ変わった火力を体験してみてください。
筆者情報
桐谷シンジ フリーランスのゲーム攻略ライター。慶應大学卒業後、大手出版社を経て、現在に至る。幅広いゲームに携わるが







