ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、2025年11月20日に発売予定の『星のカービィ エアライダー』、特にオンライン体験会「おためしライド」での「リタイア続出」という評判が気になっていると思います。
「注目していたのに、そんなにキツいゲームなのか?」 「面白いと聞いたけど、なぜリタイアする人が?」
そんな疑問が渦巻いているかもしれません。 何を隠そう、私もGC時代からやり込んでいる身ですが、今回の体験版では見事に「リタイア」を経験しました。
この記事を読み終える頃には、なぜ『エアライダー』がプレイヤーを惹きつけて離さないのか、そして同時に「リタイア」させてしまうのか、その理由とデメリット、そして本作の恐ろしい魅力についての疑問が解決しているはずです。
- リタイア続出の本当の理由
- Switch 2の性能が生んだ新たな負荷
- 体験版で判明した8つのデメリット
- 「疲れるけど最高」の中毒性
それでは解説していきます。
『星のカービィ エアライダー』体験版でリタイアが続出する現象とは
まず、現在ネット上で起きている「リタイア続出」という現象について、その概要と本質を整理しましょう。 決して「クソゲーだからリタイア」という話ではないのが、本作の面白いところです。
まず結論:「楽しさ」と「疲労」のトレードオフ
結論から言えば、『エアライダー』体験版での「リタイア」とは、ゲームの面白さ、密度、情報量がプレイヤーの許容量を遥かに超えた結果発生する、一種の「満腹」「燃え尽き」状態を指します。
「面白すぎて、脳が疲労困憊になる」
これがリタイアの正体です。 1試合、わずか5分。 しかし、その5分間に詰め込まれた情報量とスピード感は、他のゲームの30分、あるいは1時間に匹敵します。 アドレナリン全開でプレイし、終わった瞬間に心地よい疲労感と共に「もう動けない」と休憩(リタイア)に入ること。 これが、今回の『エアライダー』で起きている現象です。
オンライン体験会「おためしライド」の概要
今回、発売に先駆けて開催された「おためしライド」は、Nintendo Switch 2の性能をフルに活かしたオンライン対戦がメインの体験会です。 特に注目が集まったのは、GC版でも絶大な人気を誇った「シティトライアル」の新生版です。
プレイヤーは広大な箱庭(シティ)でエアライドマシンに乗り、制限時間内にマシンを強化し、アイテムを集め、時には他プレイヤーと戦闘を繰り広げます。 そして、制限時間終了後、強化したマシンでスタジアム(決戦)に挑むというルールです。
この「シティトライアル」が、リタイア続出の主な舞台となりました。 美しいグラフィック、滑らかな60FPS、そしてカオスなゲーム性が、プレイヤーの脳を直撃したのです。
SNSで拡散された「リタイア報告」の正体
体験会が開始されるや否や、SNSでは阿鼻叫喚の声が溢れました。
- 「最初はテンション上がったけど3戦で限界来た。脳が悲鳴をあげてる」
- 「体験版なのに過労死ゲー」
- 「マリカ感覚でやったら別ジャンルの戦闘アクションだった」
- 「5分で寿命が縮むゲーム」
- 「友達とやってたのに5分後全員無言になった」
これらの悲鳴は、GC版をやり込んだ古参プレイヤーからも、新規プレイヤーからも、等しく上がりました。 特に「20年の時の流れは残酷」「おっさんには早すぎる」「同体視力の限界を感じる」といった、自身の衰えを実感する声も多く見られました。 これが「リタイア続出」という評判の正体です。
なぜ「リタイア」がポジティブな話題になっているのか
通常、「リタイア続出」と聞けば、ゲームバランスの悪さや操作性の不備といったネガティブな要素を想像するでしょう。 しかし、『エアライダー』の場合は全く異なります。
- 「正直2試合で体が拒否反応起こした。でも面白いのがタチ悪い」
- 「やめようと思っても『もう1戦だけ』ってなる。中毒性ヤバい」
- 「リタイアしてもスレ見ながらまた走りたいってなる。恐ろしい名作」
- 「疲れるけど最高って言いたくなるのが桜井ゲー」
そう、プレイヤーは疲労困憊でリタイアしているにもかかわらず、その体験を「最高」「面白い」「中毒」と表現しているのです。 疲労と快感が同居する、極めて特殊なプレイ体験。 「リタイア」という言葉が、一種の「到達点」あるいは「勲章」のように語られているのが、本作の異常性であり、魅力の証明でもあります。
【徹底解説】エアライダーで脳が疲弊する8つの理由(デメリット)
では、なぜプレイヤーの脳はこれほどまでに疲弊し、リタイア(休憩)を余儀なくされるのでしょうか。 私が「おためしライド」を徹底的にやりこんで見えてきた、8つの具体的な理由(デメリット)を解説します。
理由1:情報量の暴力 (視覚情報・UI・エフェクト)
今回の『エアライダー』は、Nintendo Switch 2の性能を惜しげもなく投入しています。 それが「情報量の暴力」としてプレイヤーに襲いかかります。
Switch 2の性能が生み出す「美しすぎる負荷」
まず、映像が「綺麗すぎる」ことが逆にあだとなっています。 4K解像度(※アップコンバート含む)に対応した緻密なテクスチャ、HDR(ハイダイナミックレンジ)表現による強烈な光のハイライト、そして大量のパーティクル(粒子)エフェクト。 これら全てが、常時60FPSの滑らかな映像で叩きつけられます。
「目がバグる」「画面が常にド派手で休むタイミングがない」「光の粒子が飛んでくる感じ」 これらは全て、美しすぎるグラフィックが脳の視覚情報処理に過大な負荷をかけている証拠です。 特にHDRの強烈な明るさは「目が焼ける」とまで評されており、設定で輝度を落とさなければ、長時間のプレイは困難でしょう。
UIとイベント通知の同時多発
シティトライアル中、画面には膨大な情報が表示され続けます。 ミニマップ、残り時間、現在のマシンスペック、拾ったアイテム、そして画面中央で頻発する「イベント」の通知。 「隕石落下」「(敵である)リックの突進」「アイテム投下」など、ゲーム展開を左右するイベントが数分おきに発生します。
プレイヤーは、マシンを操作し、敵や他プレイヤーを避け、アイテムを探しながら、これらのUI情報とイベント通知を「同時に」処理し続けなければなりません。 「UI情報全部読めん」「イベント処理が多すぎて脳のキャパが死ぬ」という悲鳴は、当然の結果と言えます。
理由2:脳の処理速度を超えるスピード感
本作のもう一つの特徴は、圧倒的なスピード感です。
GC版経験者すら追いつけない「20年の壁」
「エアライドやってた頃は平気だったのにな」 「GC時代にやり込んだ身だけど、今やると脳の処理速度が足りてねぇ」
GC版『星のカービィ エアライド』が発売されたのは2003年。 当時夢中になった子供たちは、今や20代後半から30代、40代になっています。 「若い頃はカービーに癒されてたのに、今はカービーに殴られてる」 この言葉が、20年の時の流れと、それに伴う動体視力・反射神経の衰えを如実に物語っています。
本作は、その「衰え」を一切許容してくれません。 むしろ、Switch 2の性能によって、GC版よりもスピード感、特に「体感速度」が向上しているように感じられます。
マリオカートとの根本的な違い
「マリカ感覚でやると絶対やられる」 これは非常に重要な指摘です。 同じレースゲームのジャンルとして比較されがちな『マリオカート』ですが、ゲーム性は全く異なります。
『マリオカート』は、基本的に「決められたコースをいかに速く走るか」というライン取りとアイテム管理のゲームです。 視線は常に前方、あるいはバックミラーに集中します。
しかし、『エアライダー』のシティトライアルは違います。 開かれたマップで、全方位から敵や他プレイヤーが飛んできます。 目的は「速く走る」ことではなく、「制限時間内にマシンを強化する」ことです。 探索、収集、戦闘、回避が、360度全方位で同時に発生します。 これはレースゲームではなく、スピード感の速い「3D戦闘アクション」あるいは「サバイバルゲーム」なのです。 この認識のズレが、脳の混乱と疲労を引き起こします。
理由3:「シティトライアル」のカオスなゲーム性
リタイア続出の元凶、それは間違いなく「シティトライアル」です。 このモードは「カオス(混沌)」そのものです。
収集・戦闘・回避・妨害の同時進行
5分間(設定による)、プレイヤーは常に複数のタスクに追われます。
- 収集: マシンのスペックを上げる「パワーアップアイテム」を探し、箱を壊して回収する。
- 戦闘: 敵(デデデ大王やリックなど)や他プレイヤーを攻撃し、アイテムを奪う。
- 回避: 敵の攻撃、他プレイヤーの妨害、マップギミック(隕石など)を避ける。
- 妨害: 他プレイヤーの収集を邪魔する。
これらを同時に、ハイスピードで処理しなくてはなりません。 「アイテム拾うの楽しいけど、敵が多すぎて探索してる暇がない」 脳のリソースが、このマルチタスク処理によって一瞬で食い尽くされます。
予測不能な他プレイヤーの動き
オンライン対戦では、このカオスがさらに加速します。 「オンラインはガチで無法地帯。殴られて吹っ飛んで爆発してまた吹っ飛ぶ」 「味方だと思ってたやつに後ろからワイパーで殴られて草。信じる心が壊れた」
AIと違い、人間のプレイヤーは予測不能な動きをします。 アイテム収集に集中していると背後から強襲され、戦闘を避けていてもイベントに巻き込まれます。 この「常に気が抜けない」緊張感が、脳を極度の疲労状態に陥れるのです。
理由4:1試合の密度が濃すぎる
「1試合5分なのに、5分で寿命が縮むゲーム」 「5分の戦いが30分に感じる」
本作の最大の特徴は、この「時間の密度の異常さ」です。 わずか5分間に、上記で解説した「情報量の暴力」「ハイスピード」「カオスなマルチタスク」が全て凝縮されています。
アドレナリンと消耗のギャップ
プレイ中は、脳がこの異常な情報量を処理するためにアドレナリンを大量に分泌します。 一種の「ハイ」な状態、あるいは「トランス状態」です。 「脳が追いつかないけど手が動いてる感じ」「何してるか分からないまま勝ってた時が一番楽しい」
しかし、試合が終わり、アドレナリンが切れた瞬間に、現実に引き戻されます。 「終わった瞬間どっと疲れる」「一戦終わったら汗かいてる」 この急激な消耗こそが、「リタイア」の直接的な引き金です。
「脳の筋肉痛」と「心地よい疲労」
興味深いのは、多くのプレイヤーがこの疲労を「心地よい」と感じている点です。 「いや、これ一種の筋トレだろ。脳の筋肉痛起こしてる」 「気持ちいい疲労ってこういうのかも」
激しい運動の後に訪れる疲労感に近い、一種の達成感。 脳がフル稼働した証として、この「脳の筋肉痛」をポジティブに受け入れているプレイヤーが多いのです。
理由5:操作はシンプル、判断は超複雑
本作の操作系は非常にシンプルです。 基本的にAボタン(チャージ&ダッシュ)とスティック操作、あとはコピー能力やアイテム使用のボタン程度です。 (※体験版時点での操作。製品版で変更の可能性あり)
しかし、「操作がシンプル=簡単」とはならないのが、このゲームの恐ろしいところです。 「操作はシンプルなのに、画面の情報が複雑っていうギャップが一番きつい」
操作が簡単な分、プレイヤーに求められるのは「判断力」と「反射神経」です。 「今、アイテムを取りに行くべきか?」 「あの敵は避けるべきか、倒すべきか?」 「イベントが発生した。すぐ向かうべきか?」
この判断を、0.数秒単位で、ハイスピードの中で、全方位からの脅威に晒されながら行い続けます。 「理解する前に終わる」 「プレイヤーの反射神経を限界まで試す知能テスト」 まさにその通りで、脳の判断速度がゲームの展開に追いつかないのです。
理由6:強烈な「脳酔い」の発生
「酔い」の問題も深刻です。 これは、いわゆる「3D酔い」とは少し質が異なります。
FPS酔いとは異なる負荷
「FPSでも酔わないのに、これは酔うタイプの負荷がある」 FPSなどで発生する3D酔いは、主に視点移動と三半規管のズレによって生じます。
しかし『エアライダー』の「酔い」は、視点移動に加えて、前述の「情報量の暴力」と「スピード感」が複合的に絡み合った結果生じる、「脳酔い」と呼ぶべき現象です。 「酔い止め設定しても目が追いつかん」「画面揺れ、光、爆発、全部が綺麗すぎて逆にきつい」
目から入ってくる情報量が多すぎて、脳がその処理を拒否し、結果として酔いに似た症状(頭痛、吐き気、疲労感)を引き起こすのです。
リアルな振動と物理演算
Switch 2の進化した「HD振動」や、リアルな物理演算も、この「脳酔い」に拍車をかけている可能性があります。 「HD振動がリアルすぎて逆に酔いの原因になってる気がする」 「物理演算が効きすぎて、壁に当たるたびに内臓が揺れる感覚ある」
視覚情報だけでなく、触覚(振動)もまた、脳への負荷となっているのです。
理由7:可愛い見た目と裏腹な「ガチ戦闘」
『星のカービィ』といえば、丸くてピンク色の可愛いキャラクターが活躍する、比較的難易度の低い(あるいは間口の広い)ゲーム、という印象が強いでしょう。 しかし、本作はその見た目に見事に裏切られます。
「あんな可愛い見た目で脳みそボコボコにしてくるのやめてくれ」 「子供向け見た目なのに、実際はノートレ級の難易度で草」
このギャップも、脳が疲れる一因です。 プレイヤーは無意識に「カービィのゲームだから」とリラックスして臨みますが、開始1分でそれが間違いであったことを悟ります。 癒されるどころか、魂を削られる。 この「心の準備」と「実際の体験」とのギャップが、精神的な疲労を増大させます。
理由8:桜井作品特有の「おもてなし」
そして、これら全ての根底にあるのは、開発を指揮する桜井政博氏の「ゲーム哲学」です。 『スマブラ』シリーズでもおなじみの、「遊びの深さ」「駆け引きの熱さ」への異常なこだわり。 それが本作でも遺憾なく発揮されています。
「桜井マジで人を鍛える気か」 「桜井が人間の限界を試すゲーム作ってる説ある」 「桜井作品特有の遊びの哲学が、脳の寿命を削ってくる」
「これでもか」と詰め込まれたイベント、アイテム、ギミック、駆け引きの要素。 それはプレイヤーを楽しませるための「おもてなし」であると同時に、プレイヤーの限界を試す「挑戦状」でもあります。 この「桜井テスト」とも呼ばれる高負荷なゲームデザインこそが、リタイア続出の根本的な理由と言えるでしょう。
リタイアしないための対策と心構え
これほどまでに過酷な(?)『エアライダー』ですが、楽しみ方、あるいは「生き残り方」は存在します。 リタイア経験者として、また攻略ライターとして、いくつかの対策と心構えを提案します。
まずは「設定」を見直そう
真っ先に手をつけるべきはオプション設定です。 体験版でもいくつかの項目が調整可能でした。製品版ではさらなる拡充を期待したいところです。
推奨される酔い対策設定
「酔い止め設定」は必ずONにしましょう。 これでも酔うという人は、以下の設定も見直してください。
- 明るさ(輝度): 大幅に下げることを推奨します。特にHDR設定が可能なモニターの場合、ハイライトが強すぎると目が疲れます。
- エフェクト(画面揺れなど): 「控えめ」あるいは「OFF」に設定します。視覚情報を少しでも減らすことが重要です。
- 振動: 「OFF」にする。触覚からの刺激を減らし、脳の負荷を軽減します。
「画面引きカメラ+遅い設定+酔い軽減最大=やっと一般人モード」という書き込みもありましたが、まずは自分に合った設定を見つけることが、リタイアしないための第一歩です。
カメラ距離と感度の重要性
「もう少しカメラ引けたらな」「カメラワークが合わないと地獄」 これらの声は非常に重要です。 カメラが被写体(カービィ)に近いと、スピード感が上がり、視界が狭まるため、脳の負荷が急増します。
設定で「カメラ距離」を最も「遠く」に設定し、「カメラ感度」も自分に合った調整をしましょう。 一般的には、感度を少し下げた方が、視点移動が滑らかになり、酔いにくくなると言われています。
プレイの「間(ま)」を意識する
「公式が『休憩しながら遊んでね』って言ってた意味がようやくわかった」 「休憩挟みながらやってる人の方が勝率高い説」
これは精神論ではなく、物理的に必要な対策です。 1試合5分の密度が異常なのですから、1試合ごとに5分から10分の休憩を強制的に取ることをお勧めします。
1試合ごとの休憩を義務化する
アドレナリンが出ていると「もう1戦」と続けてしまいがちですが、それが一番危険です。 試合が終わったら、一度コントローラーを置き、立ち上がって水分補補給し、窓の外を見るなどして、意図的に脳をクールダウンさせましょう。 「体験会中に20分以上プレイしたら警告出る機能必要」という声がありましたが、まさにその通りです。
パドックは「避難所」
「パドックが一番平和で好き。もはや避難所」 「疲れた後にパドックで流れるBGMが癒し。天国行けそう」
シティトライアルの合間に訪れる「パドック(準備画面)」は、唯一の安息の地です。 ここで急いで次の試合に行かず、あえて数分間、BGMを聞きながら深呼吸するのも有効な対策です。 他ゲーの「休憩(トイレ)」が、エアライダーでは「蘇生」の意味を持つことを肝に銘じましょう。
プレイスタイルを「遅く」する
ゲームの設定だけでなく、自分自身のプレイスタイルも見直す必要があります。
「遅い」設定でも「早い」という現実
まず、ゲームモードの設定でマシンのスピードを「遅い」に設定してみましょう。 ……と言いたいところですが、「遅い設定でやっても普通のアクションゲーム並みに早いの笑う」という報告の通り、あまり期待はできません。 それでも、「ふつう」や「はやい」よりは、脳の処理が追いつく可能性が高まります。
勝利よりも「生き残る」ことを目指す
「攻撃より避けるのが大事って気づいたけど、避けても視覚が追いつかん」 シティトライアルで勝利(=スタジアムで勝つ)を目指すと、どうしても無理なアイテム収集や戦闘に巻き込まれます。
まずは、「5分間、リタイアせずに生き残る」ことだけを目標にしてみましょう。 他プレイヤーを避け、イベントも無視し、安全な場所で箱を壊すことに集中する。 そうやって徐々に脳をゲームのスピードと情報量に「慣らし」ていくことが重要です。
「ドライブモード」への期待
「酔い人用のゆるモードとか出して欲しい。ドライブモードでもいいから」 「ドライブモード実装されたら絶対平和になる」
これは製品版への切実な要望ですが、体験版プレイヤーが「癒し」を求めるほどに疲弊している証拠です。 GC版には、シティトライアルのマップを自由に探索できる「ドライブ」モードがありました。 戦闘もイベントもない、ただただ平和なドライブ。 製品版にこのモードが実装されていることを切に願います。
仲間とボイスチャットでカオスを楽しむ
「友達とやると笑いながら疲れるからまだ救われる」 「フレンドとやると笑いながら全員で死ぬゲーム。それがカービー」
疲労感が軽減されるわけではありませんが、精神的な負荷は大きく変わります。 ソロプレイが「修行」であるのに対し、フレンドとのボイスチャット(VC)プレイは「お祭り」になります。
「うわっ、リック来た!」「そっち行った!」「ああー、殴られた!」 カオスな状況を実況し、笑い飛ばすことで、脳の疲労が「楽しい思い出」に昇華されます。 リタイアするにしても、一人で静かに倒れるより、仲間と笑いながら倒れる方が、遥かに健全です。
これは「ゲーム」ではなく「脳トレ」であると認識する
「子供向け見た目なのに実際はノートレ級の難易度」 「気づいたら眉間にしわ寄せて集中してる自分がいる」
もはや本作は、リラクゼーションのためのゲームではありません。 「脳の限界に挑む」「反射神経を鍛える」ための、最新型フィットネス、あるいは「eスポーツ」です。 「一戦終わったら汗かいてる。リングフィットかよ」という指摘は、あながち間違いではありません。 遊ぶ前から「これは脳の筋トレなのだ」と覚悟を決めておくだけで、リタイアした時の精神的ダメージは少なくて済むはずです。
それでもプレイヤーが戻ってきてしまう理由(中毒性)
これほどまでにプレイヤーを疲弊させ、リタイアに追い込むゲームが、なぜ「神ゲー」とまで呼ばれ、プレイヤーがゾンビのように戻ってきてしまうのでしょうか。 その「中毒性」の正体に迫ります。
「疲れるけど最高」という独自の快感
「リタイア勢が増えてるのを見て、ああ桜井テストだなって思った」 「体験版でリタイアって聞くとマイナスに聞こえるけど、これは快感の裏返しやな」
本作の評価は、この「疲れるけど最高」という一言に集約されます。 脳が処理しきれないほどの情報を浴び、反射神経の限界でマシンを操り、カオスな戦場を生き延びる。 その極度の緊張状態から解放された瞬間に訪れる「疲労」と、やり遂げた「達成感」。 この強烈なコントラスト、いわば「アメとムチ」の振り幅が、他のゲームでは味わえない独自の快感を生み出しています。
脳内報酬物質(ドーパミン)の過剰分泌
「このゲームの脳内報酬物質が出すぎてると思う。プレイ中ずっとハイ状態」 「脳汁ゲーの究極形態って感じだわ」
ゲームデザインの観点から見ると、『エアライダー』はプレイヤーに「脳汁(ドーパミン)」を分泌させる仕組みに満ちています。 アイテムを拾った時の効果音、敵を倒した時のエフェクト、マシンが急加速する感覚、イベントをクリアした時の達成感。 これら「小さな成功体験」が、5分間に何十回、何百回と繰り返されます。
脳はこの快感に「中毒」になります。 だから、体(脳)は「もう限界だ」と悲鳴を上げているのに、心(本能)は「あの快感がもっと欲しい」と、次の試合を求めてしまうのです。 「やめたいのにやめられない」状態の完成です。
圧倒的な達成感と多幸感
「勝っても負けても脳が達成感で満たされる。体はボロボロだけどな」 「画面酔いってよりも、幸福物質の出しすぎで倒れる感じ」
このゲームは、必ずしも勝利(1位)だけが目的ではありません。 シティトライアルでうまくアイテムを集められた、戦闘でライバルを撃退できた、カオスなイベントを生き延びた。 その一つ一つが、勝敗を超えた「達成感」を与えてくれます。
だからこそ、たとえ最下位でも、リタイアしても、プレイヤーは「やりきった」という多幸感に包まれます。 「不思議と嫌な疲労感じゃない。むしろ生きてる感じがする」 このポジティブな疲労感が、プレイヤーを再び戦場へと誘うのです。
桜井氏への「信頼」と「挑戦」
「結局リタイアの理由って、酔いだけじゃなくて情報量とスピード感の暴力だと思うわ」 「でもな、これを疲れるけど最高って言いたくなるのが桜井ゲーなんよ」
プレイヤーは、この理不尽とも思える高負荷なゲームデザインが、「桜井氏による計算されたもの」であると理解しています。 『スマブラ』で培われた、圧倒的な作り込みとゲームバランスへの信頼。 「この疲労の先には、とんでもない面白さが待っているはずだ」 「桜井はまた人類の限界を超えさせる気か」
この、開発者とプレイヤーとの間にある暗黙の「信頼関係」と、高難易度な「挑戦」に立ち向かう高揚感が、中毒性をさらに高めています。
コミュニティ全体で「限界」を共有する楽しさ
「リタイア勢のすれが立つの草。どんだけみんな限界迎えてんねん」 「リタイアがネガティブじゃなく、到達点なのが他にない魅力」 「友人(と)一緒に遊んで、全員が『疲れたけど最高』って同時に言うゲームは珍しい」
そして最後は、この「体験の共有」です。 自分だけが辛いのではなく、「みんな辛い」「みんなリタイアしてる」「でもみんな面白いと言っている」。 この連帯感が、SNSやコミュニティサイトを通じて形成されています。
「リタイアブーム」というタグまで生まれ、自分がどれだけ疲弊したかを競い合うかのような、奇妙なお祭りが起きています。 この「限界を共有する楽しさ」こそが、リタイアしてもなお『エアライダー』のコミュニティに留まり、再びプレイしてしまう最大の理由かもしれません。
まとめ
今回は、『星のカービィ エアライダー』の体験版で「リタイア続出」と言われる現象について、その理由(デメリット)と、底知れない中毒性の正体を徹底的に解説しました。
リタイアの理由は、単なる「酔い」や「難しさ」ではありません。 それは、Nintendo Switch 2の性能をフルに活かした「美しすぎるグラフィック」、GC版から進化した「圧倒的なスピード感」、そして「情報量の暴力」とも言える「カオスなゲーム性」が複合的に絡み合った結果生じる、「脳の処理限界」です。
1試合5分の密度が濃すぎるため、プレイヤーはアドレナリンと引き換えに脳を消耗し、「脳の筋肉痛」とも呼べる心地よい疲労感と共にリタイア(休憩)を余儀なくされます。
しかし、その疲労感は「快感の裏返し」です。 脳汁が溢れ出すほどの小さな成功体験の連続と、勝敗を超えた圧倒的な達成感が、プレイヤーを「中毒」にします。 「疲れるけど最高」「リタイアしてもまた戻ってくる」 これこそが、本作が「恐ろしい名作」と呼ばれる所以です。
製品版の発売は2025年11月20日。 リタイアを恐れず、この「脳が焼ける」ような新しいゲーム体験に備えるためにも、まずはしっかりと睡眠をとり、体調を万全に整えておきましょう。 私も、今から「酔い止め」を箱買いして、発売日に備えるつもりです。







