ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、2024年に発売され大きな話題となっているHD-2D版『ドラゴンクエストI&II』、特に『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』に新たに追加されたと噂の超強力アイテム、『たたかいのドラム』の入手方法やその具体的な性能について、詳しく知りたいと思っているのではないでしょうか。
「本当に無限に入手できるのか」「どのくらい強力なのか」「オリジナル版とどう違うのか」など、多くの疑問が寄せられています。 ご安心ください。
この記事を読み終える頃には、『たたかいのドラム』を無限に入手する具体的な手順から、その圧倒的な性能、さらにはリメイク版『ドラクエ2』を快適に進めるための知識まで、あなたの疑問がすべて解決しているはずです。
- たたかいのドラムの驚異的な性能と効果
- 無限入手を可能にする新アイテム『盗っくの巻き物』
- 『ばくだんいわ』から盗む具体的な場所と詳細な手順
- リメイク版ドラクエ2での最強の戦略的活用法
それでは解説していきます。
HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』とは? リメイクで何が変わったか
待望のロト三部作リメイクと『ドラクエ2』
2024年、スクウェア・エニックスは『ドラゴンクエストI&II』をHD-2Dグラフィックでリメイクし、Nintendo Switch、PlayStation 5、Xbox Series X|S、PC(Steam)といった現行のマルチプラットフォームで発売しました。 さらに2025年には『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の発売も控えており、まさに「ロト三部作」が現代の技術で美しく蘇ると、往年のファンから新規プレイヤーまで、幅広い層の期待を集めています。
HD-2Dとは、『オクトパストラベラー』などで知られる、ドット絵のキャラクターと3DCGの背景を融合させた独特の映像表現です。 懐かしさを感じさせつつも、光の表現や奥行き感が加わり、非常に美麗なグラフィックとなっています。 音楽も、すぎやまこういち氏の素晴らしい原曲をベースに、オーケストラアレンジが加えられ、冒険をより一層盛り上げます。
今回注目するのは、その中でも『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』です。 なぜなら、この『ドラクエ2』は、シリーズの歴史において「ある意味」で最も有名な作品だからです。
オリジナル版『ドラクエ2』の記憶と伝説的な難易度
1987年にファミリーコンピュータで発売されたオリジナル版『ドラクエ2』。 前作『ドラクエ1』が主人公一人とドラゴン(竜王)一人のタイマンバトルだったのに対し、『ドラクエ2』はシリーズで初めて「パーティシステム」を導入しました。 ローレシアの王子(戦士)、サマルトリアの王子(戦士兼魔法使い)、ムーンブルクの王女(魔法使い)という個性豊かな3人の仲間と共に冒険するスタイルは、その後のJRPGのスタンダードを築いたと言っても過言ではありません。
しかし、同時にオリジナル版『ドラクエ2』は、その「伝説的な難易度の高さ」で今も語り継がれています。
異常に高いエンカウント率
一歩歩くごとに敵が出るのではないか、と感じるほどのエンカウント率の高さ。
強すぎるザコ敵
序盤の「おおなめくじ」の集団から始まり、中盤以降は「ドラゴンフライ」のラリホー、「ブリザード」のザラキ、「マンドリル」の痛恨の一撃など、ザコ敵の攻撃が苛烈を極めました。 特にロンダルキア台地に出現する「キラーマシン」や「ギガンテス」は、多くのプレイヤーにとってトラウマとなっているでしょう。
悪名高き『ロンダルキアへの洞窟』
ゲーム史に残る最難関ダンジョンの一つです。 無限ループするフロア、数多くの落とし穴、そして強力なモンスターの群れ。 このダンジョンを抜けた先にあるロンダルキアの祠にたどり着いた時の安堵感は、当時のプレイヤー共通の体験でした。
この圧倒的な難易度こそが『ドラクエ2』のアイデンティティでもありましたが、それゆえに途中で挫折してしまったプレイヤーが多かったのも事実です。 スーパーファミコンやゲームボーイでのリメイクを経て、その難易度は徐々にマイルドに調整されてきました。
HD-2D版『ドラクエ2』の主な変更点と新要素
そして今回のHD-2D版です。 本作は、ただグラフィックと音楽を綺麗にしただけのリメイクではありません。 オリジナル版の理不尽さを解消し、より多くの人が快適にエンディングまでたどり着けるよう、様々な新要素やバランス調整が施されています。
- 快適性の向上:オートセーブ機能の搭載、戦闘スピードの調整、マップ機能の充実など、現代のゲームとしてストレスなく遊べるUI/UXが導入されました。
- バランス調整:敵の強さや取得経験値、呪文の習得レベルなどが見直され、オリジナル版のような極端なレベル上げを強要されないバランスになっていると見られます。
- 新アイテム・新システムの追加:そして、今回の本題に繋がる最大の変更点がこれです。 オリジナル版には存在しなかった新しいアイテムやシステムが追加されています。 その一つが、敵からアイテムを盗むことを可能にする『盗っくの巻き物』であり、それによって入手できる『たたかいのドラム』なのです。
最強のチートアイテム『たたかいのドラム』の性能と効果
『たたかいのドラム』はどんなアイテムか?
まず、『たたかいのドラム』がどれほど強力なアイテムかを解説します。 これは「どうぐ(道具)」カテゴリのアイテムです。 戦闘中に使用すると、なんと味方全体の攻撃力を2倍にする効果があります。
勘違いしないでください。 「攻撃力を上げる」ではありません。 「2倍にする」です。 そして、これは戦闘中に何度でも使用可能で、消費MPも0、もちろん使用後に壊れることもありません。
呪文『バイキルト』との比較と圧倒的な優位性
ドラクエシリーズで攻撃力を2倍にする手段といえば、上級呪文の『バイキルト』です。 しかし、オリジナル版の『ドラクエ2』において、『バイキルト』はムーンブルクの王女が最後の最後に覚えるかどうか、という非常に習得が遅い呪文でした(リメイク版では習得レベルが早まっていますが)。 しかも、『バイキルト』の効果は「味方1人」だけです。
ここで、『たたかいのドラム』と呪文『バイキルト』の性能を比較してみましょう。
| 項目 | たたかいのドラム (道具) | バイキルト (呪文) |
|---|---|---|
| 対象 | 味方全体 | 味方単体 |
| 消費MP | 0 | 4 (リメイク版) |
| 使用者 | 誰でも | ムーンブルクの王女 (要習得) |
| 入手時期 | 中盤 (満月の塔到達時) | 終盤 (高レベル到達時) |
| 使用回数 | 無制限 | MPが続く限り |
この比較表を見れば一目瞭然です。 『たたかいのドラム』は、MPコストも使用者も問わず、味方全員にバイキルトの効果を、しかも中盤という早い段階で付与できることを意味します。 これは、ゲームバランスを根本から覆すほどの圧倒的な性能です。
なぜ『チートアイテム』と呼ばれるのか
「チート」とは、本来ゲームに想定されていない不正な手段でデータを改ざんし、ゲームを有利に進める行為を指します。 しかし、この『たたかいのドラム』は、ゲーム内に正規の手段で存在しているにもかかわらず、その効果がチート行為に匹敵するほど強力であるため、プレイヤーから俗に「チートアイテム」と呼ばれているのです。
オリジナル版『ドラクエ2』の難易度の根幹は、「敵の硬さとHPの高さ」にありました。 こちらの攻撃がなかなか通らず、戦闘が長引く。 その間に敵の猛攻を受けてジリ貧になる。 これが負けパターンでした。
しかし、『たたかいのドラム』があれば、パーティ全員の火力が2倍になります。 ローレシアの王子やサマルトリアの王子の攻撃力が2倍になれば、今まで苦戦していた敵を一撃で沈められるようになり、戦闘時間も劇的に短縮されます。 ボス敵ですら、数ターンで倒せてしまうほどの火力インフレが発生します。
中盤でこれが入手できるということは、ゲーム後半の難所である『ロンダルキアへの洞窟』や、その先の強敵たちとの戦いを、オリジナル版とは比べ物にならないほど簡単に突破できることを意味します。
複数入手するメリット:パーティメンバー全員に持たせる意味
さらに重要なのは、この『たたかいのドラム』が「1つだけ」ではなく、「無限に入手可能」である点です。 『ドラクエ2』のパーティメンバーは3人(ローレシアの王子、サマルトリアの王子、ムーンブルクの王女)です。 ※一部の攻略情報で「4人分」という言及があるかもしれませんが、DQ2のパーティは3人です。
この3人全員に『たたかいのドラム』を持たせることには、計り知れないメリットがあります。
- 開幕の盤石な体制 戦闘開始1ターン目に、誰か一人が(例えばムーンブルクの王女が)『たたかいのドラム』を使用します。 ローレシアの王子とサマルトリアの王子は、1ターン目から攻撃力2倍の状態で攻撃に参加できます。
- リカバリーの速さ もし戦闘中に誰かが死亡し、『ふっかつのじゅもん(ザオリク)』で蘇生させたとします。 蘇生した仲間は、攻撃力アップの効果が消えています。 しかし、3人全員がドラムを持っていれば、蘇生を担当しなかった別の仲間が、すぐにドラムを使い直してパーティ全体の火力を元に戻せます。 誰か一人がバフ(強化)専門になる必要がなく、全員がアタッカーにもサポーターにもなれる柔軟性が生まれます。
- 道具欄の節約 『たたかいのドラム』は、もはや「武器」です。 これさえあれば、攻撃呪文の必要性が薄れる場面も出てきます。 ムーンブルクの王女が攻撃呪文にMPを割く代わりに、回復呪文(ベホマ)や守備力アップ(スクルト)にMPを専念させることができ、パーティの安定性が飛躍的に向上します。
『たたかいのドラム』無限入手の具体的な手順と場所
これほど強力な『たたかいのドラム』を、どうやって無限に入手するのか。 その鍵を握るのが、リメイク版で追加された新アイテム**『盗っくの巻き物』**です。
ステップ1:『盗っくの巻き物』を入手する
まずは、敵からアイテムを「盗む」ための前提条件となる『盗っくの巻き物』を手に入れなければなりません。
『盗っくの巻き物』とは?
『盗っくの巻き物』は、所持している(または装備する)ことで、戦闘中に敵からアイテムを盗めるようになる、これまたリメイク版の重要な新アイテムです。 これがないと、いくら敵を倒しても『たたかいのドラム』は手に入りません(ドロップアイテムとは別枠の扱いです)。
入手場所:ムーンペタ東の『村の廃墟』
『盗っくの巻き物』は、ゲーム中盤で訪れることになる『ムーンペタの町』から東に進んだ先にある『村の廃墟』で手に入ります。 船を手に入れた後、ムーンペタから東に進むと、小さな廃墟が見つかるはずです。 そこが目的地です。
入手手順:『盗賊の闇市』への道
- 『まほうのカギ』を準備する この廃墟の奥に進むには、『まほうのカギ(魔法の鍵)』が必要です。 『まほうのカギ』は、サマルトリアの王子のイベントを進め、『ラーのかがみ』を手に入れた後、『湖の洞窟』で入手できます。 まだ持っていない場合は、先にストーリーを進めて鍵を入手してください。
- 廃墟の奥の小屋へ 『村の廃墟』に入ったら、奥にある小さな小屋(ほこら)へ向かいます。 そこには魔法の鍵で開く扉があります。
- 『盗賊の闇市』を発見 扉を開けて階段を降りると、そこは『盗賊の闇市』と呼ばれる隠しエリアになっています。 いかにも怪しげな商人たちがいますが、臆せず奥へ進みましょう。
- 宝箱から『盗っくの巻き物』を入手 この闇市の最深部、奥まった場所に宝箱が置かれています。 この宝箱の中に、お目当ての『盗っくの巻き物』が入っています。
これで、敵からアイテムを盗む準備が整いました。
ステップ2:『満月の塔』で『ばくだんいわ』を狩る
『盗っくの巻き物』を手に入れたら、いよいよ『たたかいのドラム』を盗みに向かいます。
ターゲット:『ばくだんいわ』
『たたかいのドラム』を盗める相手は、ドラクエシリーズおなじみのモンスター、『ばくだんいわ』です。 丸い体に導火線がついた、あの自爆モンスターです。
出現場所:『満月の塔』1階~5階
『ばくだんいわ』が出現するのは、『満月の塔』です。 『満月の塔』は、船で『ルプガナの町』の南側の大陸に上陸し、川を遡った先にある塔です。 ストーリー上、『月のかけら』を入手するために必ず訪れることになるダンジョンです。
この『満月の塔』の1階から5階あたりでエンカウントすると、『ばくだんいわ』が頻繁に出現します。
リメイク版『ばくだんいわ』の安全な狩り方
オリジナル版や他のシリーズ作品をプレイした方なら、「ばくだんいわを狩る? メガンテ(自爆呪文)で全滅させられるのでは?」と心配するかもしれません。 私も最初はそう思いました。
しかし、ご安心ください。 このHD-2Dリメイク版の『満月の塔』に出現する『ばくだんいわ』は、『メガンテ』をほとんど使用してこない、あるいは全く使用しない仕様になっているようです。 (もちろん、自爆してダメージを与えてくることはありますが、パーティ全滅呪文のメガンテの脅威はありません)
これにより、プレイヤーは安心して『ばくだんいわ』を狩りのターゲットにすることができます。 これは、開発陣が「ここで『たたかいのドラム』を入手できるように」と意図して調整した、一種の救済措置(あるいは導線)であると私は考えています。
ステップ3:『盗っくの巻き物』で無限に盗む
場所とターゲット、準備が整ったら、あとは実行あるのみです。
『盗っくの巻き物』の仕様
『盗っくの巻き物』による「盗み」は、通常のアイテムドロップとは判定が別です。 一説には、巻き物を持ったキャラクターが「攻撃」した際に、一定確率で「盗む」が発動すると言われています。 一度盗んだ敵からでも、戦闘が終わらなければ再度盗める可能性すらあります(詳細は要検証ですが)。 重要なのは、敵を倒す前に、何度も「盗む」判定のチャンスを作ることです。
効率的な盗みのテクニック
ここで、あるプレイヤーが発見した非常に効率的なテクニックを紹介します。 これは、Source ①の「GAMEゆうな」氏が紹介していた方法で、私も試しましたが非常に有効でした。
- 『盗っくの巻き物』を装備 まず、『盗っくの巻き物』をパーティの誰かに持たせます(おそらくムーンブルクの王女が適任でしょう)。
- 『すで(素手)』で攻撃 『ばくだんいわ』との戦闘が始まったら、巻き物を持ったキャラクターは、武器を外して『すで(素手)』の状態で『ばくだんいわ』を攻撃します。 なぜ素手なのか? それは、与えるダメージを最小限に抑え、敵を倒さずに攻撃回数を稼ぐためです。 攻撃回数が多ければ多いほど、「盗む」が発動するチャンスが増えます。
- 他の仲間は『ぼうぎょ(防御)』 ローレシアの王子やサマルトリアの王子など、他の仲間は『ぼうぎょ』を選びます。 これは、誤って『ばくだんいわ』を倒してしまわないようにするため、そして敵からの被ダメージを抑えるためです。
- ひたすら繰り返す あとは、『たたかいのドラム』を盗むメッセージが出るまで、ひたすら素手で攻撃を繰り返します。 もし『ばくだんいわ』を倒してしまったり、ドラムを入手できたりしたら、また次の『ばくだんいわ』とのエンカウントを探します。
所要時間の目安と根気
この方法を使えば、驚くほど短時間で『たたかいのドラム』を入手できる可能性があります。 情報提供者の方は「10分程度で入手できた」と報告しています。
もちろん、これは確率(RNG)が絡むため、運が悪ければ30分、1時間とかかる場合もあるでしょう。 しかし、オリジナル版で『はぐれメタル』を追いかけ回した経験に比べれば、遥かに確実で簡単な作業です。 根気よく素手で攻撃を続ければ、必ず結果は出ます。
この作業を繰り返し、パーティメンバー3人分の『たたかいのドラム』、合計3個を入手するまで頑張りましょう。 その労力は、この先の冒険で何十倍にもなって報われるはずです。
『たたかいのドラム』を活かす!リメイク版ドラクエ2最強戦略
3つの『たたかいのドラム』を手に入れたあなたのパーティは、もはやオリジナル版の苦労を知る者たちとは別次元の存在です。
中盤のボス戦が「ヌルゲー」に
『満月の塔』をクリアしたあたりから、『ドラクエ2』は中盤の難所に差し掛かります。 例えば、ロンダルキアへの道を守る『アトラス』『バズズ』『ベリアル』といった中ボスたち。 オリジナル版では、こちらの攻撃はなかなか通らず、敵の痛恨の一撃に怯えながら戦う強敵でした。
しかし、HD-2D版では違います。
戦闘開始
- ムーンブルクの王女が『たたかいのドラム』を使用(パーティ全員の攻撃力2倍)
- ローレシアの王子が『アトラス』を攻撃
- サマルトリアの王子が『アトラス』を攻撃
ローレシアの王子はパーティ最強の攻撃力を持ちます。 その攻撃力が2倍になるのです。 『はやぶさのけん(隼の剣)』でも装備させていれば、2倍の攻撃力で2回攻撃が炸裂します。 サマルトリアの王子の攻撃力も2倍です。 おそらく、中盤のボスであれば2~3ターン、もしかすると1ターンで沈めることすら可能になるでしょう。 これはもはや「攻略」ではなく「蹂躙」です。
苦行だったレベル上げ(メタル狩り)の高速化
『ドラクエ2』といえば、終盤のロンダルキア台地での過酷なレベル上げが必須でした。 特に、大量の経験値を持つ『はぐれメタル』は、守備力が異常に高く、すぐに逃げ出すため、倒すのが非常に困難でした。
しかし、『たたかいのドラム』があれば、このメタル狩りの効率も劇的に向上します。 (※メタル系の敵にバイキルトが有効かどうかは作品の仕様によりますが、仮に無効だったとしても、周辺の強敵を素早く倒せる恩恵は計り知れません)
もしメタル系にも攻撃力アップが有効な仕様であれば、ローレシアの王子の『はやぶさのけん』での攻撃が、会心の一撃でなくともダメージを与えられる可能性が高まります。 また、メタル系以外のザコ敵(ギガンテスやキラーマシンなど)を迅速に排除できるため、レベル上げのテンポが格段に良くなります。 戦闘時間が半分になれば、レベル上げにかかる時間も半分になるのです。
最終決戦:ロンダルキアとラスボスでの活用
そして、最大の難所『ロンダルキアへの洞窟』。 このダンジョンがなぜ難しいかといえば、「長い」からです。 無限ループと落とし穴を抜け、強力なザコ敵との消耗戦を強いられ、ボスの待つ最上階にたどり着く頃にはMPが尽きている、というのがオリジナル版の悪夢でした。
『たたかいのドラム』があれば、この道中のザコ戦すべてが瞬時に終わります。 MPを一切消費せず、全員の火力を2倍にして敵を殲滅できるのですから、MPはすべて回復呪文(ベホマ)や蘇生呪文(ザオリク)に温存できます。 万全の状態で、最終ボスの『ハーゴン』、そして『シドー』との決戦に臨むことができます。
最終決戦においても、『たたかいのドラム』の戦略的価値は揺るぎません。 1ターン目にドラムを使用し、全員の火力を最大にして一気にたたみかける。 もし『いてつくはどう(凍てつく波動)』で効果を消されても、次のターンにまた別の誰かがドラムを使えばいいだけです。 MP消費ゼロですから、何度でも立て直せます。
オリジナル版であれほどプレイヤーを苦しめた『悪霊の神々』は、『たたかいのドラム』の陽気な音色の前になすすべもなく打ち破られることでしょう。
他にもある? HD-2D版『ドラクエ2』の注目アイテム・新要素
『たたかいのドラム』と『盗っくの巻き物』の追加は、HD-2D版『ドラクエ2』のゲーム性を大きく変えるものですが、この「盗む」システムの導入は、他にも様々な可能性を示唆しています。
『いのちのきのみ』など、ステータスアップアイテムの無限入手
『たたかいのドラム』が特定のモンスターから盗めるということは、他のモンスターからも、通常ドロップとは別に貴重なアイテムを盗める可能性があります。
例えば、『ちからのたね』『すばやさのたね』『いのちのきのみ』といった、キャラクターのステータスを恒久的にアップさせるアイテムです。 もしこれらを盗めるモンスターが存在すれば、理論上、全キャラクターのステータスをカンスト(最大値)させることすら可能になるかもしれません。 これは、やり込みプレイヤーにとって新たな研究対象となるでしょう。
『せかいじゅのしずく』などの貴重な消耗品
パーティ全員のHPを全回復させる『せかいじゅのしずく』。 オリジナル版では入手個数が限られていましたが、もしこれも特定の敵から盗めるようになれば、ボス戦の難易度はさらに低下します。 『たたかいのドラム』で攻撃力を上げ、『せかいじゅのしずく』で無限に回復する… もはや負ける要素が見当たりません。
プレイヤーのプレイスタイルを尊重する調整
こうした強力な救済措置が「正規の手段」として用意されていることは、私は非常に好意的に捉えています。 なぜなら、これはプレイヤーに「選択肢」を与えているからです。
「オリジナル版の歯ごたえをもう一度味わいたい」というプレイヤーは、『たたかいのドラム』を使わずにクリアを目指せばよいのです。 「ストーリーをサクサク楽しみたい」「オリジナル版で挫折したリベンジを果たしたい」というプレイヤーは、積極的に『たたかいのドラム』を活用すればよい。
HD-2D版『ドラクE2』は、かつての理不尽な難易度を押し付けるのではなく、プレイヤーが自分に合った難易度を選べるようにデザインされた、現代的なリメイク作品であると言えます。
まとめ
今回は、HD-2D版『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』における最強のチートアイテム、『たたかいのドラム』の無限入手方法について、その性能と戦略的な活用法を交えて徹底的にレビューしました。
ポイントを再確認しましょう。
- 新アイテム『盗っくの巻き物』を『村の廃墟(盗賊の闇市)』で入手する
- 『満月の塔』1~5階に出現する『ばくだんいわ』と戦う
- 巻き物を持ったキャラが『すで(素手)』で『ばくだんいわ』を攻撃し、『たたかいのドラム』を盗む
- パーティメンバー3人分の3個を入手するまで繰り返す
この手順を踏むだけで、あなたの『ドラクエ2』の冒険は、かつてないほど快適で爽快なものに変わります。
オリジナル版の『ドラクエ2』は、クリアすること自体がステータスとなるほどの高難易度ゲームでした。 しかし、時代は変わりました。 HD-2D版は、美しいグラフィックと音楽、そして快適なシステムで、あの壮大なロトの血族の物語を「楽しむ」ためのリメイクです。
『たたかいのドラム』は、そのための強力なサポートアイテムです。 かつてロンダルキアの雪原で力尽きたすべてのプレイヤーに、そしてこれから初めて『ドラクエ2』に触れる新しい世代の勇者たちに。 ぜひこの『たたかいのドラム』を手に取り、悪霊の神々に打ち勝つカタルシスを存分に味わってみてください。
ゲーム評論家 桐谷シンジでした。 また次回のレビューでお会いしましょう。






