編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方はバイオハザードレクイエムの購入を迷っており、実際のプレイ評価が気になっていると思います。
歴代シリーズを遊び尽くし、本作も隅々までやり込んだ私が、忖度なしのリアルな感想を徹底的に深掘りしてお届けします。
この記事を読み終える頃には本作の良い点と悪い点が明確になり、購入すべきかどうかの疑問が解決しているはずです。
- レオンとグレースの異なる二つのゲーム体験
- 圧倒的な爽快感をもたらす進化した戦闘システム
- ホラーとアクションの融合が抱える構造的課題
- 過保護なナビゲーションや単調なパズル要素
それでは解説していきます。
バイオハザードレクイエムの良い点:進化した恐怖と爽快アクション
ダブル主人公制:レオンとグレースの対照的なプレイ体験
本作の最大の魅力は、全く異なるゲーム性を持つ二人の主人公によるプレイ体験です。
これまでのバイオハザードシリーズは、作品ごとに「ホラー寄り」か「アクション寄り」かという方向性の違いがありました。
例えば、バイオハザード7やヴィレッジの前半は圧倒的な恐怖に焦点を当てていました。
一方で、バイオハザード4や5などは、押し寄せる敵を次々と倒していくアクションの爽快感が売りでした。
本作「レクイエム」は、この両極端なプレイスタイルを一つの作品の中に統合するという野心的な試みを行っています。
性質の異なる二つのサバイバル
レオンのパートは、完全にアクションに振り切った爽快感溢れるゲームプレイが特徴です。
数々の修羅場を潜り抜けてきた歴戦の勇士である彼を操作する際は、プレイヤー自身も強気で攻めることができます。
一方で、新キャラクターであるグレースのパートは、圧倒的な無力感と恐怖に支配される真のサバイバルホラーです。
彼女は戦闘能力が低く、迫り来る脅威から逃げ隠れし、知恵を絞って生き延びなければなりません。
この二つの極端なプレイスタイルが交互に展開されることで、プレイヤーは常に新鮮な刺激を受け続けることができます。
以下の表に、二人の主人公によるプレイスタイルの数値的な比較をまとめました。
| 比較項目 | レオンパート | グレースパート |
|---|---|---|
| 基本戦闘スタイル | 積極的な殲滅戦 | ステルス・逃走重視 |
| 近接格闘能力 | ハチェット等による多彩なテイクダウン | 護身用の限定的な抵抗のみ |
| 初期アイテムスロット数 | 20枠(拡張性高) | 8枠(拡張性低) |
| 体力基礎値 | 1500 | 500 |
| メインの恐怖の質 | 物量による圧倒される恐怖 | 無力さによる心理的な恐怖 |
戦闘システム:圧倒的な爽快感を誇るレオンのアクション
レオンパートにおける戦闘システムは、過去作のどれよりもアグレッシブに進化しています。
バイオハザード4のリメイク版で高く評価されたパリィや体術のシステムをベースにしつつ、さらに過激な調整が施されています。
まるでハーブを過剰摂取したのではないかと疑うほど、本作のレオンの身体能力と戦闘スキルは桁違いです。
ただ銃で撃つだけでなく、敵をよろめかせてからの近接攻撃への繋がりが非常にスムーズになりました。
恐怖を力でねじ伏せるカタルシス
特に特筆すべきは、ハチェットなどの近接武器を使用した豪快なテイクダウンやキルカメラの演出です。
敵の体力を一定まで削ると発動できるこれらのフィニッシュムーブは、非常にゴア表現が強く、内なる破壊衝動を満たしてくれます。
過去のシリーズでプレイヤーを苦しめてきた凶悪な敵の武器を奪い、逆にそれを使って敵を粉砕することも可能です。
かつては逃げるしかなかったような強敵に対し、正面から力でねじ伏せるカタルシスは、アクションゲームとして最高峰の出来栄えです。
バイオハザードという枠組みの中で、ここまでキャラクターを自由に暴れさせることができるのかと驚愕しました。
探索の面白さ:2つの視点で共有される緻密なマップ設計
私が本作で最も高く評価しているのが、この「共有されるワールド」というレベルデザインの妙です。
レオンとグレースは、時間差で同じマップを探索することになります。
バイオハザード2の「ザッピングシステム」を現代の技術でさらに高度に進化させたようなこのシステムは、探索に深い戦略性をもたらしました。
一つのマップが、プレイするキャラクターによって全く異なる意味を持つ空間へと変貌するのです。
リソース管理が生み出す究極のジレンマ
例えば、グレースを操作している時に貴重な回復薬や強力な弾薬を見つけたとします。
戦闘力の低い彼女のために今すぐ使って安全を確保するべきか。
それとも、後から訪れるであろう激しい戦闘を控えたレオンのために残しておくべきか。
このような究極のジレンマが、探索のあらゆる場面でプレイヤーの決断を迫ってきます。
マップ上のギミックや扉の開閉状態なども二人の間で引き継がれるため、世界がしっかりと地続きに存在しているという没入感が極めて高いです。
ただマップを歩き回るだけでなく、常に「もう一人の主人公の未来」を想像しながらプレイする体験は、他のゲームでは味わえない深い面白さがあります。
グラフィック:REエンジンの極致とリアルなゾンビの生態
カプコンが誇る自社開発エンジン「REエンジン」の表現力は、本作で一つの到達点を迎えたと言っても過言ではありません。
昨今のAAAタイトルではUnreal Engineを採用するケースが多い中、自社エンジンの強みを最大限に活かした最適化の素晴らしさには脱帽します。
光源の処理、湿った空気感、そして何よりも血肉の質感に至るまで、画面から漂う不穏な空気感が尋常ではありません。
物理演算がもたらす予測不能な戦闘
特に素晴らしいのが、敵対するゾンビたちのラグドール物理演算(キャラクターが力を失った際の自然な挙動のシミュレーション)です。
これまでのゲームでは、敵を倒した際の倒れ方はある程度パターン化されていました。
しかし本作では、攻撃を当てた部位、弾丸の威力、敵の姿勢によって、崩れ落ちるモーションが一つ一つ異なります。
膝を撃ち抜けばリアルに体勢を崩し、その倒れ込んだ敵が後続の敵の足に絡まってドミノ倒しのように転倒することもあります。
グレースパートの「突き飛ばし」アクションでも、この物理演算が活きており、うまく敵をぶつけ合わせて隙を作るといった立ち回りも可能です。
見た目の美しさだけでなく、それがゲームプレイの駆け引きに直結している点が高く評価できます。
敵の多様性:音や光に反応する進化したゾンビの恐怖
本作の敵キャラクターたちは、単なる「歩く的」ではありません。
過去作では、同じような見た目のゾンビが延々と押し寄せてくる場面もあり、中盤以降は作業感を感じてしまうこともありました。
本作では、ベースとなるゾンビの中に明確な「個性」と「生態」が設定されています。
これにより、遭遇する敵の組み合わせによって、プレイヤーは常に戦術の変更を余儀なくされます。
視覚と聴覚を奪い合う駆け引き
例えば、視覚を完全に失っている代わりに聴覚が異常に発達している個体が存在します。
彼らは足音や銃声に敏感に反応し、恐ろしいスピードで距離を詰めてきます。
この敵に対しては、息を殺してしゃがみ歩きでやり過ごすか、遠くに物を投げて音で誘導するといったステルスアクションが必要になります。
逆に、強い光に過敏に反応して暴れ出す個体もいるため、暗闇だからといって無闇にフラッシュライトを点灯することが命取りになります。
また、生前の職業(コック服を着ていたり、歌手のような出で立ちであったり)の面影を残すゾンビも多く、ただ恐ろしいだけでなく、彼らがかつて人間であったという物悲しさを強調する世界観の構築にも一役買っています。
視点切り替え機能:一人称と三人称で変わる没入感の比較
バイオハザードシリーズのファンコミュニティにおいて、「一人称視点(FPS)」と「三人称視点(TPS)」のどちらが優れているかという議論は常に存在します。
没入感と恐怖を優先するFPS派と、キャラクターの姿が見えて状況把握がしやすいTPS派。
本作は、この長年の論争に対する一つの解答として、プレイスタイルに応じて視点を切り替えられるシステムを搭載しました。
プレイスタイルに合わせた最適なカメラ
グレースパートのような恐怖に怯えるサバイバルホラーにおいては、視界が狭く閉塞感のある一人称視点が圧倒的にマッチします。
角を曲がる時の恐怖や、背後から迫る足音のプレッシャーは、FPS視点ならではの体験です。
一方で、レオンのダイナミックな体術やテイクダウンを堪能し、複数の敵の位置関係を把握しながら立ち回るには、三人称視点が最適です。
プレイヤーの好みや、その場面ごとのプレイスタイルに合わせて自由にカメラを選択できるこのアクセシビリティの高さは、幅広い層に遊んでもらうための素晴らしい工夫だと感じました。
バイオハザードレクイエムの悪い点:ホラーとアクションのジレンマ
恐怖の減退:レオンの無双状態がもたらすホラー要素への影響
ここからは、本作のシステムが抱える構造的な矛盾点や不満点について語っていきます。
先述した通り、本作は「グレースのホラー」と「レオンのアクション」という二面性を持っています。
しかし、この二つの要素が同じ世界線、同じマップで展開されるがゆえに、皮肉にもホラーゲームとしての根本的な恐怖を削いでしまう結果を生んでいます。
逃げ惑う恐怖の底が割れる瞬間
グレースを操作している際、プレイヤーは圧倒的な力を持つ恐ろしいクリーチャーから必死に逃げ隠れします。
その瞬間の緊張感は間違いなく本物です。
しかし、心のどこかで「あとでレオンで来たら、こいつをアサルトライフルやショットガンで蜂の巣にできるんだよな」というメタ的な視点を持ってしまうのです。
ホラーゲームにおける恐怖の根源は「絶対に勝てない圧倒的な暴力に対する無力感」にあります。
後に別のキャラクターでその絶対的な脅威を物理的に排除できると知っていることで、グレースのパートで感じる恐怖が一時的なアトラクションのように薄っぺらく感じられてしまう場面がありました。
ホラーとアクションの両立という試みは評価しますが、その落とし所についてはまだ調整の余地があると言わざるを得ません。
クラフトシステム:プレイのテンポを崩す煩雑な素材管理
本作には、独自のクラフトシステムが導入されていますが、これがゲームのテンポを著しく阻害しています。
特にグレースパートにおいて、敵から血や素材を採取し、それを安全地帯に持ち帰って分析・加工することで特殊なアイテムを作り出すという手順が必要です。
アイディア自体は面白いのですが、実際のゲームプレイにおいては非常に煩雑で面倒な作業になりがちです。
メニュー画面の往復がもたらす没入感の欠如
バイオハザードの基本である「ハーブを組み合わせて回復薬を作る」「火薬を組み合わせて弾薬を作る」といったシンプルなクラフトは、緊迫した戦闘中の素早い判断を促す素晴らしいシステムです。
しかし本作の複雑なクラフト要素は、いちいちメニュー画面を開き、細かい素材のやり取りを行わなければならないため、ゲームの没入感を削いでしまいます。
特に、強力な敵と対峙している緊張感のある場面の直後に、素材集めのおつかいをさせられるような感覚に陥ることがあり、ホラーゲームとしての緩急のつけ方に失敗していると感じました。
パズル要素:過去作と比較して単調なおつかいクエスト感
バイオハザードといえば、洋館の仕掛けや警察署の奇妙な彫像など、プレイヤーの記憶に残る秀逸なパズル要素が特徴の一つでした。
しかし、本作の謎解き要素は、残念ながら過去作のどれよりも単調で深みがありません。
「Aという場所に行って鍵を拾い、Bという場所の扉を開ける」という、いわゆる単なる「おつかい」レベルの作業が延々と繰り返されます。
思考を放棄させるレベルデザイン
過去作では、ファイルに書かれた文章からヒントを読み解いたり、アイテムの形をよく観察して裏側のスイッチを押したりと、プレイヤー自身の「閃き」を要求される場面が多くありました。
本作ではそういった知的欲求を満たすようなギミックはほとんどなく、マップ上に表示されたアイコンの場所に向かって歩くだけの作業になりがちです。
美しいグラフィックや進化した戦闘システムに対して、このパズル要素の退化は非常に残念であり、古参のファンほど物足りなさを感じる部分でしょう。
ナビゲーション問題:過剰な黄色いペンキによる没入感の阻害
最近のAAAタイトルの多くが抱えている病理とも言えるのが、この「ナビゲーションの過保護さ」であり、本作もその例に漏れません。
壊せる木箱、登れる梯子、通り抜けられる隙間など、プレイヤーが干渉できるオブジェクトの至る所に、不自然な「黄色いペンキ」が塗られています。
開発者側としては、初心者が迷わないための配慮なのでしょうが、これは明らかにやりすぎです。
プレイヤーの観察力を馬鹿にするデザイン
美しく恐ろしい廃墟や陰惨な施設を探索している最中に、わざとらしくベタベタと塗られた真っ黄色のペンキを目にするたびに、ゲームの世界から現実に引き戻されてしまいます。
「ほら、ここを登れるよ」「この箱を壊してね」と開発者から直接耳元で囁かれているような鬱陶しさがあります。
本来、ゲームにおける探索とは、プレイヤー自身が注意深く背景を観察し、怪しい場所を自らの力で見つけ出すことに喜びがあります。
そうした「発見のカタルシス」を完全に奪ってしまっているこのUIデザインは、早急にオプションでオン・オフを切り替えられるようにするなどの改善が求められます。
ボス戦のバランス:グレースパートにおける恐怖と理不尽の境界線
グレースパートにおけるボス戦、あるいは大型クリーチャーとの遭遇イベントは、恐怖を煽る演出としては優れていますが、ゲームバランスとしては理不尽さを感じる部分が多いです。
彼女はまともな武器を持たないため、基本的には隠れながら逃げる、あるいは特定のギミックを作動させて撃退するという「死に覚えゲー」のような展開になります。
試行錯誤ではなく作業となる逃走劇
ホラーゲームにおいて「逃げるしかない」というシチュエーションは定番であり、バイオハザードヴィレッジのドナ邸における赤ん坊の化け物からの逃走劇などはその成功例です。
しかし、本作のグレースの逃走イベントは、初見殺しのトラップが多く、何度もゲームオーバーを繰り返すうちに恐怖が苛立ちへと変わってしまいます。
「怖い」のではなく「面倒くさい」と感じてしまう境界線を越えてしまっている場面が散見され、アクション要素の強いレオンパートとのテンポの落差がストレスに繋がっていると感じました。
ストーリー展開:真面目なトーンとB級ホラーのギャップ
本作のストーリーは、レオンの過去のトラウマや、彼自身の感染疑惑など、これまでのシリーズ以上にシリアスで重苦しいテーマを扱っています。
物語のトーン自体は非常に真面目で、登場人物たちの葛藤も深く描かれています。
しかし、その真面目なカットシーンが終わった直後のゲームプレイ画面では、レオンがハチェットを振り回してゾンビをスタイリッシュに蹴り飛ばし、血しぶきを上げながら無双しているというギャップが発生します。
ナラティヴ・ディソナンス(物語とプレイの不協和)
ゲーム業界の専門用語で「ナラティヴ・ディソナンス(物語とゲームプレイの矛盾)」と呼ばれる現象ですが、本作はこの不協和音がかなり大きいです。
ムービー中では「もう限界だ……」と苦しそうにしているレオンが、操作可能になった瞬間にプロレスラー顔負けの体術で敵の首をへし折る姿は、どうしてもシュールな笑いを誘ってしまいます。
バイオハザードシリーズが元々持っている「B級ホラーアクション映画」のようなお約束として楽しむこともできますが、シリアスなドラマを期待しすぎると肩透かしを食らうかもしれません。
今後の期待:シリーズが抱えるテーマ性の深掘りへの課題
本作は間違いなく面白いゲームであり、アクションとホラーの融合という難題に挑んだ意欲作です。
しかし、過去の名作であるバイオハザード2や初代バイオハザードが持っていた、限られた空間の中でじわじわと恐怖が迫り来るような、あの内省的で静かなホラー体験からは完全に脱却してしまった感があります。
病院エリアなどの一部のマップデザインに見られる、ダークソウルのような立体的で緻密なレベルデザインの秀逸さは目を見張るものがあります。
恐怖の原点回帰への願い
だからこそ、もっと狭い密閉空間での極限のサバイバルを描くような、原点回帰の要素も今後のシリーズには期待したいところです。
ジェットコースターのような派手な展開も素晴らしいですが、ドアを開ける時のあの「軋む音」だけでプレイヤーの手汗を握らせるような、研ぎ澄まされた恐怖の演出。
レオンというヒーローの活躍を描くアクション超大作としての側面と、名もなき生存者が絶望に立ち向かうホラーとしての側面。
この二つのバランスをどう調整していくかが、今後のバイオハザードシリーズにおける最大の課題となるでしょう。
まとめ:バイオハザードレクイエムの総合評価
バイオハザードレクイエムは、シリーズの集大成とも言える圧倒的なボリュームとクオリティを誇る作品です。
レオンの爽快なアクションと、進化したREエンジンが描く凄惨なグラフィックは、間違いなく現行機トップレベルのゲーム体験を提供してくれます。
一方で、主人公の切り替えによる恐怖の減退や、単調なパズル要素、過保護な黄色いペンキといったシステム面の粗も目立ちます。
純粋なサバイバルホラーを求めている人には少し肩透かしになる部分もあるかもしれませんが、上質なアクションシューティングゲームを求めている人にとっては、間違いなく「買い」の一本です。
プレイする人を選ぶ部分はありますが、シリーズファンであれば絶対に遊んでおくべきタイトルだと断言できます。
筆者情報
筆者:桐谷シンジ フリーランスのゲーム攻略ライター。慶應大学卒業後、大手出版社を経て、現在に至る。幅広いゲームに携わるが、主にRPG/FPS/サンドブロック系のゲームを得意とする。最近の悩みは趣味の時間が取れず、積みゲーが100作品を超えたこと。























