編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、待望のリメイク作『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち リイマジンド』で発表された追加DLC「歴代魔王パック」が、なぜSNSや掲示板でこれほどまでに叩かれているのか、その理由を知りたいと考えているはずです。 「リメイクが出るだけで嬉しいはずなのに、なぜ?」という疑問は、今のゲーム業界のビジネスモデルとファンの心理を紐解くことで見えてきます。
この記事を読み終える頃には、今回の炎上騒動の裏にあるファンの絶望、過去作との比較、そしてメーカーへの厳しい視線の正体がすべて解決しているはずです。
- 過去作で無料だった歴代ボス戦の有料化への強い反発
- 原作の重要要素を削除しながら集金に走る姿勢への不信感
- 課金に見合わないグラフィックや演出の使い回し疑惑
- ロト三部作への過剰な依存と設定の後付けによる世界観崩壊
それでは解説していきます。
DQ7リメイク(リイマジンド)炎上の背景と現状
今回の騒動の主役は、国民的人気RPGのリメイク最新作『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち リイマジンド』です。 オリジナルのPlayStation版から数えて2度目のリメイクとなる本作は、グラフィックの刷新やシステムの見直しが行われ、当初は大きな期待を寄せられていました。
しかし、発売直前および発売後の追加コンテンツ(DLC)の発表が、その期待を「絶望」へと変えてしまったのです。 特に物議を醸しているのが、歴代シリーズのラスボスたちと戦える「歴代魔王パック」の存在です。
歴代魔王パックという「集金システム」の衝撃
多くのファンにとって、ドラゴンクエストの「隠しボス」や「歴代魔王とのバトル」は、クリア後の最大のお楽しみであり、冒険の集大成とも言える要素でした。 しかし、今作『リイマジンド』では、これらの要素が「最初からゲームに含まれているもの」ではなく、別料金を支払って購入する「ダウンロードコンテンツ」として切り分けられたのです。
この「魔王の切り売り」とも取れる手法に対し、ネット上では「魔王のバーゲンセール」「スクエニの金の無心が露骨すぎる」といった辛辣な批判が相次いでいます。 なぜこれほどまでにファンの怒りは激しいのでしょうか。 それは、単に「お金がかかるから」という単純な理由だけではありません。
マルチプラットフォーム展開が裏目に出た販売戦略
本作はNintendo Switch、PlayStation 5、PC(Steam)など、マルチプラットフォームで展開されています。 過去のドラクエ作品と比較しても、販売本数の分母は桁外れに大きくなることが予想される中、追加DLCも同様に莫大な売上が見込める計算です。
企業としての利益追求は理解できますが、ファン側からすれば「広く売って、さらに細かく搾り取る」という姿勢に見えてしまい、作品愛よりも「集金効率」を優先しているように感じられてしまったのです。
DQ7リメイク比較:DQ9との決定的な違い
今回の炎上において、最も多く比較対象に挙げられているのが『ドラゴンクエストIX 星空の守り人(DQ9)』です。 DQ9もまた、クリア後に歴代の魔王たちと戦える「大魔王の地図」というコンテンツが目玉の一つでした。
しかし、DQ9と今作『リイマジンド』では、その提供形態に決定的な差があります。
DQ9は「無料」の追加配信という神対応だった
DQ9の時代、歴代魔王と戦えるクエストや地図は、発売後の「Wi-Fiショッピング」などを通じて順次「無料」で配信されていました。 当時のユーザーは、追加料金を払うことなく、長く遊べるサービスとしてこれを受け入れていたのです。
| 項目 | ドラゴンクエストIX (DS版) | DQ7リイマジンド (今作) |
|---|---|---|
| 歴代魔王バトル | 隠しダンジョン・地図で登場 | 有料DLCとして販売 |
| 追加費用 | 0円 (ソフト代のみ) | 各パック数百円〜セット数千円 |
| 入手方法 | Wi-Fi配信・すれちがい通信 | オンラインストアで購入 |
| ファンの評価 | 長く遊べる「神サービス」 | 露骨な「切り売り」 |
この表を見れば一目瞭然ですが、かつては「当たり前のように無料で楽しめた要素」が、今作では「金を払わなければ遊べない要素」に格下げされたという感覚がファンを襲っています。 これを「DQ9の劣化版」「介護版」と揶揄する声が出るのも無理はありません。
H4: 「まさゆきの地図」のような熱狂はもう生まれない?
DQ9の時は、貴重な魔王の地図を求めてファンが街中に溢れ、プレイヤー同士の繋がりが生まれました。 しかし、今作のように「金で解決する」システムになってしまえば、そこにあるのは攻略の達成感ではなく、単なる「購入履歴」でしかありません。 この精神性の違いが、古参ファンを最も落胆させているポイントです。
DQ7リメイク:歴代魔王パックが批判される5つの理由
具体的に、どのような点がファンの逆鱗に触れたのでしょうか。 ネット上やSNS、レビューサイトに寄せられた膨大な批判の声を、プロのライター視点で5つのポイントに集約しました。
1. グラフィックとエフェクトの「使い回し」疑惑
有料DLCとして販売するのであれば、当然それに見合ったクオリティが求められます。 しかし、公開された映像を見たファンの反応は冷ややかなものでした。
- 「ゾーマの出すマヒャドより、竜王のベギラマの方が強そう」
- 「魔法のエフェクトが使い回しで、専用の演出がない」
- 「HD-2D版の使い回しか? 3Dモデルに熱意を感じない」
特に、最強の魔王の一人であるゾーマの演出が、過去作やスマホ版、あるいは低予算なスピンオフ作品と同じように見えるという指摘があります。 「金を払ってまで見たい演出ではない」という判断を下されてしまったのです。
2. 原作要素の「大量削除」と「リソース配分」の矛盾
『ドラゴンクエストVII』は、シリーズ屈指のボリュームを誇る作品です。 しかし、今作リメイク版では、テンポアップの名の下に多くの要素が削除されました。
- 石版探しのパズル要素の簡略化
- 移民の町の仕様変更(大幅な簡略化)
- 一部のサブエピソードや街のNPC会話のカット
ファンが怒っているのは、「本来入れるべき原作の要素を削っておきながら、集金用の追加コンテンツを作るリソースはあるのか?」という点です。 これをファンは「細切れのモナリザ」と呼んでいます。 美しい名画をわざわざ切り刻んで、バラバラに売っているようなものだ、という強烈な皮肉です。
H4: 「石版の苦労」こそがDQ7のアイデンティティだった
確かにオリジナル版の石版探しは苦行に近いものがありましたが、それを乗り越えた先にある新しい世界への感動がありました。 今の利便性重視のリメイク手法は、時に作品の魂まで削ぎ落としてしまうリスクを孕んでいます。
3. ロト三部作(DQ1〜3)への偏った優遇
今回のDLCに登場するゲスト魔王が、不自然なほど「ロト三部作」に偏っていることも批判の的です。 DQ7は本来、独自の完結した世界観を持つ作品です。 そこに、人気が高いからという理由だけでロトシリーズの看板を無理やり持ち込む姿勢に、安易なファンサービスへの逃げを感じるユーザーも少なくありません。
- 「結局ロトを出しておけば売れると思っている」
- 「DQ7自体の魔王(オルゴ・デミーラ)をもっと掘り下げろ」
- 「作品の独立性を壊している」
4. 設定の「後付け」による世界観の崩壊
さらにファンを煽っているのが、「キーファがロトの血脈に関わっている」といったような、無理な後付け設定の噂です。 古参ファンを喜ばせるための仕掛けのつもりかもしれませんが、整合性の取れない後付けは、長年作品を愛してきた人々にとっては「公式による世界観の破壊」と映ります。
承認欲求の強い開発者が、自分の色を出しすぎて原作の良さを殺してしまっている、という厳しい意見も散見されます。
5. 報酬が「コレクター装備」という虚無感
有料DLCで魔王を倒して手に入る報酬が、単なる見た目装備や、過去作を懐かしむだけの「コレクターアイテム」である点も不評です。 「金を払って、過去の勇者ごっこをする権利を買うだけなのか?」という虚無感が広がっています。
本来、強敵と戦う意義は、その苦闘の末に得られる達成感や、物語上の深い意味にあるはずです。 それが商品棚に並ぶ「コンテンツ」に成り下がったことに、時代の変化を感じざるを得ません。
スクエニに対する「開発能力の低下」を懸念する声
今回の炎上は、単なる一つのDLCへの不満に留まらず、メーカーであるスクウェア・エニックス全体への不信感へと発展しています。
新作よりも「過去遺産の食い潰し」を優先?
「もうスクエニには新しい面白いゲームを作る能力がないのではないか」という極論まで飛び出しています。 新作で勝負するのではなく、過去の人気作を何度もリメイクし、そのたびに追加課金要素を盛り込む。 このループに対して、「過去の遺産を食い潰しているだけ」という諦めの境地に至るファンが増えています。
打切り文化への恐怖とDLC依存
「売れなくなったら即打ち切り」という最近のスクエニの動向を不安視する声もあります。 新作を出すリスクを避け、既存のユーザーからDLCで延々と集金し続けるビジネスモデルは、短期的には利益を生みますが、長期的なブランド力は確実に削いでいます。
ドラクエファンが本当に求めていた「リメイク」とは
ファンが求めていたのは、最新技術で再現された「かつての感動」であり、財布の紐を緩めさせるための「巧妙な罠」ではありませんでした。
誠実なアップデートと追加要素
例えば、DQ11(XI S)のように、追加要素が「最初から一つの完成されたパッケージ」として提供されるのであれば、ファンは喜んで対価を支払います。 「未完成品を売って、完成させるために追加料金を取る」という見え方になってしまったことが、今回の最大の失敗と言えるでしょう。
ドラクエ7独自の魅力を引き出す工夫
DQ7は「絶望」と「再生」の物語です。 歴代魔王という安易なスパイスに頼るのではなく、石版を巡る一つひとつのエピソードをより深く描き、NPCの人生に寄り添うようなリメイクであれば、これほどの炎上は起きなかったはずです。
【まとめ】禁断の果実は誰のためにあるのか
今回の『DQ7リメイク リイマジンド』における「歴代魔王パック」の炎上は、現代のゲーム業界が抱える「マネタイズの限界」と「ファンの期待」の衝突を象徴する出来事でした。
- DQ9のような無料配信の歴史があるため、有料化への抵抗が強い
- 原作の要素を削除した一方で、集金用DLCを作る姿勢が不誠実に見えた
- グラフィックや演出が価格に見合わず、手抜きを感じさせた
- 安易な過去作依存が、DQ7独自の世界観を損ねた
堀井雄二氏がかつて「歴代ボスを周回要素にしたことを後悔している」と語ったというエピソードがありますが、今やその魔王たちは、誰でもお金で買える商品として棚に並んでいます。 皆さんは、思い出のラスボスが「課金コンテンツ」となった今のドラクエをどう感じますか?
ゲームの価値は、単なるプレイ時間やコンテンツの量ではなく、そこにある「誠実さ」にあるのではないでしょうか。
筆者情報
桐谷シンジ フリーランスのゲーム攻略ライター。 慶應大学卒業後、大手出版社を経て、現在に至る。 幅広いゲームに携わるが、主にRPG/FPS/サンドブロック系のゲームを得意とする。 最近の悩みは趣味の時間が取れず、積みゲーが100作品を超えたこと。 ドラクエシリーズは初代からすべてプレイ済みで、DQ7はPS1版、3DS版ともに数百時間を費やしている。





















