編集デスク ポケモンカードゲーム攻略ライターの橋本ユアです。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、高騰するポケモンカード(ポケカ)を購入する際に、「シュリンク(外装ビニール)付きなら安心なのか」「箱にペリペリ(開封用ミシン目)があれば新品未開封なのか」という点が気になっていると思います。
近年、ポケカの人気に伴い、残念ながら悪質な詐欺が横行しています。特にフリマアプリや信頼性の低いショップで購入したBOXの中身がすり替えられていたという悲しい報告が後を絶ちません。
この記事を読み終える頃には、最新の再シュリンク詐欺の手口や、ペリペリ付きBOXの落とし穴、そして詐欺に遭わないための具体的な対策についての疑問が解決しているはずです。
- 再シュリンク詐欺の巧妙な手口と見分け方
- ペリペリ付きBOXでも安心できない理由
- 他タイトルカード混入など悪質すぎる実態
- 詐欺被害を未然に防ぐ購入時のチェック項目
それでは解説していきます。
近年のポケカ詐欺の現状と「再シュリンク」の脅威
ポケモンカードゲームは、今や子供だけでなく大人も熱狂するコンテンツとなりました。希少なカード(SRやSARなど)は1枚数万円から数十万円で取引されることも珍しくありません。
この資産価値の高さに目をつけた悪質な業者が行うのが、「再シュリンク」と呼ばれる詐欺行為です。
本来、メーカーが出荷する際にBOXを覆っている透明なビニール(シュリンク)を、一度開封して中身を操作した後、専用の機械を使って再び包装し直す手口です。
「シュリンクが付いているから未開封の新品だ」と信じて購入したファンが、開封済みのパックや、レアカードが抜かれた後のパックを掴まされる事例が急増しています。
クレイバーストで見つかった違和感だらけのBOX
今回、私の手元には、実際に「再シュリンク品ではないか」と疑われる『クレイバースト』のBOXがあります。これは注意喚起のためにカードショップ様から提供いただいたものです。
一見すると新品に見えますが、普段からポケカに触れている私が見ると、明らかに違和感があります。
まず、シュリンクの質感が全く違います。
- ビニールの張り: 公式のものはピシッとしていますが、再シュリンク品はどこかヨレていたり、たるんでいたりします。
- 角の処理(通称:ツノ): 側面から見たとき、ビニールの溶接部分が尖って飛び出しています。公式の製造ラインではこのような雑な処理はまず見られません。
- 空気穴の欠如: 通常、シュリンクには空気を逃がすための小さな穴が開いていますが、この疑わしいBOXにはそれがありませんでした。
接着剤と側面の開封痕
さらに詳しく見ていくと、ボックスの側面にも異常が見られました。
『クレイバースト』などの最近のボックスには、正面に「ペリペリ」と呼ばれる開封用のミシン目がついています。しかし、詐欺業者はここを開けずに、ボンドで接着されている側面を綺麗に剥がして中身を抜き取ることがあります。
提供されたBOXを確認すると、側面の接着部分に違和感がありました。
- 二重の接着痕: 本来の接着剤の上から、別の接着剤で止め直したような跡があります。
- 紙の剥がれ: 無理やり開けようとしたのか、紙の表面が白くめくれている部分がありました。
ペリペリが無事だからといって、側面から開けられてしまえば意味がありません。「ペリペリ付き=安心」という神話は、今の詐欺技術の前では通用しないのです。
製造番号(ロットナンバー)の不一致と消去
ポケモンカードのパックやBOXには、製造管理のための「製造番号(ロットナンバー)」が印字されています。
これは通常、BOXの側面と、中に入っているパックの裏面に同じ番号が刻印されています。しかし、詐欺業者が複数のBOXからパックを寄せ集めて再構築した場合、この番号に矛盾が生じることがあります。
ロット番号が意味するもの
ご存知ない方も多いかもしれませんが、ロット番号には意味があります。 例えば「23013401」という番号があったとします。
- 23: 2023年製造
- 013: その年の1月1日から数えて13日目(つまり1月13日)
- 40: ロット番号(製造ラインなど)
このように、いつ製造されたかが分かるようになっています。
アルコールで消された番号
今回検証した怪しいBOXの中身を確認したところ、驚くべきことに一部のパックの製造番号が消えかかっていました。
実は、この印字はアルコールや摩擦で簡単に消えてしまいます。詐欺業者は、異なるBOXからパックを集めた際、番号の不一致を隠すためにわざと印字を消したり、薄くしたりすることがあるのです。
- 番号のフォントサイズが違う: 同じ「23」でも、文字の横幅が狭いものや広いものが混ざっていました。同じ機械で製造されたならあり得ないことです。
- 印字の位置がバラバラ: 左右にズレているなど、統一感がありません。
本来、同じBOXに入っているパックであれば、全て同じ製造番号であるはずです。これがバラバラであったり、消されていたりする時点で、そのBOXは「黒」と判断して良いでしょう。
中身のすり替え:サーチ行為の実態
なぜ彼らはわざわざ開封して、また閉じるのでしょうか。それはもちろん、「当たりカード(高額カード)」だけを抜き取るためです。
これを「サーチ行為」と呼びます。
重さや金属探知機による選別
レアリティの高いカード(SR、SAR、URなど)は、通常のカードとは異なる加工(キラ加工やレリーフ加工)が施されています。そのため、以下のような特徴があります。
- 重さ: コンマ数グラム単位で重い。
- 金属反応: ホログラム加工により、金属探知機に反応しやすい。
詐欺業者は精密な測りや機器を使い、パックを開封せずに「当たり」が入っているパックだけを特定します。そして、その当たりパックを抜き取り、別のBOXから持ってきた「ハズレパック(ノーマルカードのみのパック)」と入れ替えるのです。
検証結果:SR以上なし、あるいはURのみ
実際に怪しい『クレイバースト』を開封してみたところ、通常であれば1BOXに1枚以上は封入されているはずのSR(スーパーレア)以上のカードが入っていませんでした。
その代わり、なんとUR(ウルトラレア)が1枚出てきました。 「当たりが入っていたから詐欺じゃないのでは?」と思うかもしれません。しかし、これはおそらく業者のミスか、あるいは「2枚箱(SRとURなどが2枚入っているラッキーな箱)」から、本命の高額カードだけを抜いて、比較的安価なURだけを残した可能性があります。
もしくは、あまりに全ての箱からレアを抜くと怪しまれるため、あえて安いレアカードを残して発覚を遅らせる巧妙な手口かもしれません。
いずれにせよ、通常の封入率とは明らかに異なる結果となりました。これは、人為的な手が加えられた証拠です。
衝撃の事実:イーブイヒーローズに遊戯王カード?
さらに悪質な事例を紹介します。同じく提供いただいた、大人気BOX『イーブイヒーローズ』の検証です。
『イーブイヒーローズ』は現在、絶版状態に近く、1BOXの価格が定価の10倍以上(数万円〜十数万円)で取引されることもある超高額商品です。
外装の異常なまでの粗雑さ
このBOXもシュリンクの状態が酷いものでした。
- 角が尖りすぎている: 通称「ツノ」が鋭利で、痛いほどです。
- 箱の歪み: 無理やり圧縮したのか、箱自体が少し潰れています。
- 側面の劣化: 箱の開け口部分がボロボロで、何度も開け閉めされたような跡があり、白く劣化していました。
開けて驚愕の中身
意を決して開封してみると、そこに入っていたのはポケカではありませんでした。
なんと、『遊戯王オフィシャルカードゲーム』のパックが詰め込まれていたのです。
具体的には「POWER OF THE ELEMENTS(パワー・オブ・ジ・エレメンツ)」という遊戯王のパックでした。
なぜ別タイトルを入れるのか?
「なぜポケカの箱に遊戯王を?」と疑問に思うでしょう。これには詐欺業者なりの「コスト削減」の論理が働いています。
- イーブイヒーローズのパック自体が高い: 現在、イーブイヒーローズは未開封パックだけでも1パック数千円で取引されています。ハズレパックを集めるだけでもコストがかかりすぎます。
- 安価なパックで代用: そこで、比較的安価に入手できる、あるいは在庫処分品となっている他タイトルのカードパックを詰め込むのです。
- 重さの調整: 箱を持った時の重量感さえあれば、開けるまではバレません。
さらに酷いことに、詰め込まれていた遊戯王パックすらも「サーチ済み」でした。 実際に開封してみましたが、高レアリティのカード(プリズマティックシークレットレアなど)は一切出ず、スーパーレアなどの安価な光り物しか入っていませんでした。
つまり、「中身を抜かれたゴミパック」を「高額なポケカの空き箱」に詰めて、新品として数万円で売りつけたということです。
これは完全に犯罪レベルの詐欺行為です。
「ペリペリ付き」の安全神話崩壊
先ほど少し触れましたが、「ペリペリ(ミシン目)」がついているから安心、という考えは今すぐ捨ててください。
横抜きの手口
最新のBOXには正面に開封用のミシン目があります。メーカー側も転売や再シュリンク対策として導入したものです。
しかし、詐欺業者はこのミシン目には一切触れません。 彼らはBOXの「側面」からアプローチします。
- 側面の接着部分をヒートガンなどで温めて接着剤を溶かす。
- 綺麗に蓋を開き、中身を取り出す。
- サーチや入れ替えを行う。
- 再び強力な接着剤で側面を閉じる。
- 最後にシュリンクをかけ直す。
こうすることで、正面の「ペリペリ」は未開封のまま、中身だけをすり替えることが可能なのです。 購入者が「あ、ペリペリが残ってる!新品だ!」と安心する心理を逆手に取った、非常に悪質な手口です。
箱の再利用
フリマサイトでは、開封済みの「空箱」だけが売られていることがあります。 「コレクション用」として売買されていることもありますが、これらが詐欺業者に渡ると、再シュリンクの材料として使われてしまいます。
特に『イーブイヒーローズ』のような高額BOXの空箱は、それだけでも価値を持ってしまっているのが現状です。
詐欺被害に遭わないための対策と購入ガイド
ここまで恐ろしい実態をお話ししましたが、では私たちはどうすれば安全にポケカを楽しめるのでしょうか。 詐欺被害を未然に防ぐためのチェックポイントをまとめました。
1. 信頼できる販売元で購入する
これが最も確実な対策です。
| 販売元 | 安全度 | 備考 |
|---|---|---|
| ポケモンセンター(公式) | ◎ | 100%安全です。抽選販売が主。 |
| 家電量販店・玩具店 | ◎ | 正規ルートでの入荷なので安心。 |
| コンビニエンスストア | ○ | 基本的に安全だが、稀に返品された再シュリンク品が混ざる事故の話もゼロではない。 |
| 大手カードショップ | ○ | 買取時の検品がしっかりしていれば安全。ただし、店側も見抜けない精巧な偽物がある可能性も。 |
| フリマアプリ(メルカリ等) | △〜× | 最も危険。個人間の取引はリスクが高い。「評価が良い」からといって安心できない。 |
| Amazon(マケプレ) | △ | Amazon直販なら安全だが、マーケットプレイスの個人業者はリスクあり。 |
フリマアプリでの購入は、定価以下や相場より極端に安い場合、ほぼ間違いなく「何か裏がある」と疑ってください。「サーチ済み」「SR無し」と説明欄に小さく書かれているケースもあります。
2. BOXの状態を徹底的に確認する
もし実店舗やフリマで購入して手元に届いた場合は、開封前に以下の点を確認しましょう。
- シュリンクの質感: パリッとしているか、ブヨブヨしていないか。
- 側面の接着: 接着剤がはみ出していないか、紙が剥がれて白くなっていないか。
- 振ってみる: 中でパックが極端に動く音がしないか。(パックが抜かれている、またはサイズが違うカードが入っている場合、音が異なります)
3. 開封時の動画撮影(重要)
フリマアプリなどで購入した場合、開封の一部始終を動画に撮ることを強くおすすめします。
- 宅配便の箱を開けるところからスタート。
- BOXのシュリンク状態、側面、底面などをアップで撮影。
- シュリンクを破り、箱を開け、パックを取り出すまでをノーカットで撮影。
もし中身がすり替えられていた場合、この動画が唯一の証拠となります。これがないと、「あなたが開封後にすり替えたんじゃないか」と言われ、返品・返金に応じてもらえない可能性が高くなります。
4. 違和感があれば評価・受取連絡をしない
フリマアプリでは、受取評価をしてしまうと取引が完了し、返金対応が極めて困難になります。 中身を確認し、間違いなく正規品であると確信できるまでは、絶対に評価ボタンを押さないでください。
まとめ:高額な授業料を払わないために
今回は、最新のポケカ詐欺の実態について、実際の検証結果をもとにお伝えしました。
- シュリンク付きでも安心できない: 再シュリンク技術は日々進化しています。
- ペリペリ付きでも信用禁物: 側面からの開封という抜け道があります。
- ロット番号の不一致は黒: アルコールで消された跡などは決定的な証拠です。
- 正規店での購入が一番の自衛: リスクの高い場所での購入は避けましょう。
ポケカは本来、パックを開ける瞬間のドキドキや、対戦する楽しさを味わうためのものです。 詐欺業者の利益のために、大切なお金を無駄にしないでください。
特に、お子様へのプレゼントで購入される親御さんも多いと思います。「せっかくのお小遣いで買ったのに、中身がゴミだった」なんてことになれば、子供の心に深い傷を残してしまいます。
「少しでも安く買いたい」「レアなBOXが欲しい」という気持ちは痛いほど分かりますが、その欲につけ込む悪意があることを常に忘れないでください。
この記事が、皆さんの楽しいポケカライフを守る一助になれば幸いです。 怪しいと思ったら手を出さない。それが最強の防衛策です。
筆者情報
橋本ユア フリーランスのトレカ攻略ライター。慶應大学卒業後、大手出版社を経て、現在に至る。幅広いトレカに携わるが、主にポケカ、遊戯王、ワンピ、デュエマを得意とする。特にポケカが好きで、総課金額は1,000万円以上。自称リーリエの旦那。





















