編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、せっかくM次元ラッシュでビリジオンを入手したのに、ランクマッチでどう活躍させればいいか悩んでいる、あるいは努力値の最適解が見つからず、あと一歩で負けてしまうという悔しい思いをしているのではないでしょうか。
この記事を読み終える頃には、ビリジオンの真の強さを引き出す調整方法を理解し、ランクマでの勝率を劇的に上げるための明確なビジョンが見えているはずです。
- 素早さ種族値108を活かす最速調整が基本
- 耐久調整は特殊受けをベースに仮想敵を定める
- 物理・特殊の両刀型で受けループを崩壊させる
- 技の「発動時間」を考慮した立ち回りが勝利の鍵
それでは解説していきます。
ビリジオンの基礎ステータスとランクマでの立ち位置
『ポケモンレジェンズZ-A』およびDLC「M次元ラッシュ」の環境において、ビリジオンは非常にテクニカルかつ強力なポジションを確立しています。
まず、彼の強さを理解するために、基礎となる種族値を改めて確認し、他の準伝説ポケモンと比較してみましょう。
【ビリジオンの種族値データ】
| ステータス | 数値 | 順位(全499体中) | 評価 |
|---|---|---|---|
| HP | 91 | 72位 | 平均よりやや高め |
| こうげき | 90 | 191位 | アタッカーとしては並 |
| ぼうぎょ | 72 | 254位 | 物理耐久は不安要素 |
| とくこう | 90 | 177位 | 物理と同値で両刀可能 |
| とくぼう | 129 | 23位 | トップクラスの硬さ |
| すばやさ | 108 | 65位 | 激戦区を抜ける速さ |
| 合計 | 580 | 106位 | 準伝説の標準ライン |
このデータから読み取れるビリジオンの最大の特徴は、**「圧倒的な特殊耐久」と「絶妙な素早さライン」**にあります。
特に「特防129」という数値は、生半可な特殊アタッカーの攻撃では確2(2回攻撃を受けても倒れない)どころか、確3に抑え込むことすら可能な数値です。
一方で「防御72」は心もとなく、タイプ一致の「ブレイブバード」などを受ければ一撃で沈む脆さも抱えています。
この極端なステータス配分こそが、努力値調整の面白さであり、トレーナーの腕の見せ所なのです。
素早さ108族という「聖域」
ランクマッチにおいて、素早さ「108」という数値は非常に大きな意味を持ちます。
これは、ガブリアス(102)やウツロイド(103)、カミツルギ(109)などがひしめく激戦区において、多くのメジャーポケモンを上から叩ける数値を確保していることを意味します。
特に、本作『ZA』では行動順が「発動時間」によって変動するシステムが採用されているため、基礎となる素早さの実数値が1違うだけで、行動回数が1回変わることも珍しくありません。
そのため、基本的にはこの素早さを削る選択肢は薄く、いかに「先手を取って有利な状況を作るか」がビリジオン運用の肝となります。
物理と特殊、どちらに特化すべきか
攻撃と特攻が共に「90」という数値は、現代のパワーインフレ環境では決して高いとは言えません。
しかし、これは逆に言えば**「どちらもこなせる」**という最大の武器になります。
多くのプレイヤーは、ビリジオンを見ると「物理型か?特殊型か?」と読み合いを強いられます。
物理受けが出てくれば「ギガドレイン」や「はどうだん」で意表を突き、特殊受けが出てくれば「インファイト(聖なる剣)」や「リーフブレード」で突破する。
この**「読まれない強さ」**こそが、ランクマでビリジオンが刺さる最大の理由です。
【型紹介1】環境適応型:最速両刀アタッカー調整
私が現環境で最もおすすめしたいのが、この「最速両刀型」です。
相手の受けポケモンを崩壊させることに特化しており、先発での荒らし役としても、終盤のスイーパーとしても機能します。
【努力値配分と性格】
| 項目 | 設定内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 性格 | むじゃき | 素早さ↑ / 特防↓ |
| 努力値 (H) | 0 | – |
| 努力値 (A) | 148 | 物理技の威力を確保 |
| 努力値 (B) | 0 | – |
| 努力値 (C) | 108 | 特殊技の確定数を調整 |
| 努力値 (D) | 0 | – |
| 努力値 (S) | 252 | 最速確保(必須) |
調整の意図とダメージ計算
まず、性格は「むじゃき」を選択します。
「せっかち(防御↓)」ではなく「むじゃき(特防↓)」を選ぶ理由は、ビリジオンの長所である特防を削ることになりますが、現環境に多い物理先制技(しんそく、バレットパンチ等)への耐性を少しでも落としたくないためです。
元々の特防が高すぎるため、下降補正をかけても並の耐久力は維持できます。
【攻撃面の調整意図】
攻撃(A)に148振ることで、「インファイト」や「リーフブレード」で、H振り程度のロトム系統やバンギラスを確定で持っていけるラインを確保します。
特攻(C)に残りの108を振ることで、「ギガドレイン」による回復量や、「はどうだん」での鋼タイプへの遂行速度を上げます。
特に、物理受けとして出てくるカバルドンやヘイラッシャに対して、特殊草技が刺さる場面は非常に多いです。
技構成のシナジー
この型における技構成は、物理と特殊を織り交ぜることで真価を発揮します。
- せいなるつるぎ(物理):発動時間8。相手の能力変化を無視できるため、鉄壁を積んだ相手にも有効。
- ギガドレイン(特殊):発動時間9。攻撃しながら回復できるため、場持ちが良くなる。
- ストーンエッジ(物理):発動時間10。4倍弱点である飛行タイプへの打点。
- はどうだん(特殊):発動時間8。必中技であり、小さくなる戦法への回答。
特筆すべきは、本作特有の「発動時間」です。
「インファイト」は威力120と強力ですが、発動時間が「12」と重く設定されています。対して「せいなるつるぎ」は威力90ですが発動時間は「8」です。
この「4」の差は、長期戦において行動回数1回の差に繋がります。
素早いビリジオンには、回転率の良い「せいなるつるぎ」や「はどうだん」を採用し、手数を増やす戦い方がマッチしています。
【型紹介2】対面性能特化:HBSベース剣舞型
次におすすめするのが、高い素早さとそこそこの物理耐久、そして積み技を活かした「物理抜きエース型」です。
有利対面で「つるぎのまい」を積み、全抜きを狙います。
【努力値配分と性格】
| 項目 | 設定内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 性格 | ようき | 素早さ↑ / 特攻↓ |
| 努力値 (H) | 188 | 定数ダメージ最小の16n-1調整 |
| 努力値 (A) | 68 | 最低限の火力確保 |
| 努力値 (B) | 0 | – |
| 努力値 (C) | 0 | – |
| 努力値 (D) | 0 | – |
| 努力値 (S) | 252 | 最速確保 |
耐久調整の妙
この調整の肝は、HPを188振り実数値を調整することで、天候ダメージや火傷ダメージの効率を良くしている点です。
ビリジオンは「こうごうせい」や「ギガドレイン」といった回復ソースを持てるため、HPの実数値を高く保つことは生存率に直結します。
攻撃努力値は控えめですが、「つるぎのまい」を1回積むことで攻撃実数値は2倍になるため、不足分は十分に補えます。
運用方法と立ち回り
この型は、相手の特殊アタッカー(水タイプや電気タイプ)に対して後投げし、流し際に「つるぎのまい」を積むのが基本ムーブです。
特殊耐久が高いため、例えば特殊水タイプの「ハイドロポンプ」程度なら余裕を持って耐え、起点にすることができます。
【推奨技構成】
- リーフブレード:メインウェポン。急所ランクが高く、壁構築にも強い。
- インファイト:最大火力。積んだ後の抜き性能を重視。
- つるぎのまい:コンセプト技。
- こうごうせい:回復技。物理受けとの泥仕合を制するために必須。
特に「こうごうせい」の採用が重要です。
相手の攻撃を耐え、剣舞を積み、減ったHPを光合成で回復する。このループに入ったビリジオンを止めるのは、飛行技持ち以外には至難の業となります。
【型紹介3】環境メタ:チョッキサイクル型
最後に紹介するのは、持ち物「とつげきチョッキ」を前提とした、特殊受け特化のサイクル戦向け調整です。
これは「努力値の振り方」というよりも、役割を完全に「特殊流し」に絞った運用になります。
【努力値配分と性格】
| 項目 | 設定内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 性格 | しんちょう | 特防↑ / 特攻↓ |
| 努力値 (H) | 252 | ぶっぱ |
| 努力値 (A) | 4 | 余り |
| 努力値 (B) | 0 | – |
| 努力値 (C) | 0 | – |
| 努力値 (D) | 252 | 特化 |
| 努力値 (S) | 0 | – |
驚異の特殊耐久指数
特防特化にし、さらにとつげきチョッキ(特防1.5倍)を持たせたビリジオンの特殊耐久は、伝説のポケモン級です。
等倍の特殊技であれば、半分も削られることはまずありません。
不利なタイプ相性である「サイコキネシス」や「れいとうビーム」ですら、余裕を持って耐えることができます。
素早さを捨てる勇気
この型では素早さに努力値を割きません。
本来の長所である素早さを捨てることになりますが、役割対象である「特殊アタッカー」の多くに対しては、後攻で動くことのデメリットよりも、確実に攻撃を耐えて返しの一撃を入れるメリットの方が上回ります。
また、後攻で「ドラゴンテール(遺伝や技マシンにある場合)」や、交代技を使用することで、対面操作を行うクッション役としても機能します。
ただし、ZA環境では行動順が重要なので、あまりに遅すぎると相手に2回行動を許すリスクがあります。
そのため、性格補正だけは特防にかけつつも、個体値自体はS31(最高)を狙うのがベターです。
技の発動時間と選択の重要性
本記事の冒頭でも触れましたが、『ポケモンレジェンズZA』のバトルシステムにおいて最も意識すべきなのが**「技の発動時間」**です。
これは従来のターン制バトルとは異なる、本作独自の戦略要素です。
「インファイト」と「せいなるつるぎ」の決定的な差
格闘技の選択において、多くのトレーナーが威力120の「インファイト」を選びがちです。
しかし、インファイトの発動時間は「12」。対してせいなるつるぎは「8」です。
この差は、以下のような事態を引き起こします。
- ビリジオンがインファイトを選択。
- 敵のHPを削りきるが、倒せず。
- 発動時間が長いため、次のビリジオンの行動順が回ってくるのが遅れる。
- その間に相手の速いポケモンに割り込まれ、2連続攻撃を受ける。
ランクマッチのようなギリギリの戦いでは、この「行動順の遅れ」が致命傷になります。
特に耐久調整をしていないアタッカー型の場合、被弾回数が増えることは即、負けに直結します。
そのため、確定1発で倒せる範囲が明確でない限り、基本的には回転率の良い**「せいなるつるぎ」や「はどうだん」**をメインウェポンに据えることを強く推奨します。
同様に、草技においても「ソーラーブレード(時間10・要溜め)」や「リーフストーム(時間?・特攻ダウン)」よりも、「ギガドレイン(時間9)」や「リーフブレード(時間8)」の方が、行動順管理の観点からは優秀です。
相性の良い味方と対策必須の敵
どれほど完璧な努力値調整を施しても、ビリジオン単体ですべての敵に勝てるわけではありません。
チーム単位での補完が不可欠です。
最高のパートナー:鋼タイプ
ビリジオンの弱点である「飛行」「エスパー」「氷」「フェアリー」を半減以下で受けられる鋼タイプは、最高の相棒です。
特にヒードランやメタグロス、ドータクンなどは相性補完が完璧に近いです。
- ヒードラン: ビリジオンが苦手な炎、飛行、毒、虫、氷、フェアリーを受けることができ、逆にヒードランが苦手な地面や水をビリジオンが受けられます。この2体の並びは古来より強力なサイクルとして知られています。
- ギルガルド(シールドフォルム): 格闘以外の弱点をカバーし合えます。
絶対に避けるべき敵:飛行タイプ全般
4倍弱点である飛行技を持つポケモンとは、まともに戦ってはいけません。
特にファイアローやボーマンダ、トゲキッスなどは天敵中の天敵です。
こちらの素早さが勝っていても、「ブレイブバード」や「エアスラッシュ」を先制(あるいはスカーフ等で)撃たれれば、耐久無振りでは一撃で消し飛びます。
選出画面でこれらのポケモンが見えた場合、ビリジオンを選出しない、あるいは強力な物理受け(カバルドンやクレベースなど)を同時に選出するなどの対策が必須です。
まとめ
M次元ラッシュ環境におけるビリジオンは、その高い素早さと特殊耐久、そして両刀可能なステータスにより、無限の可能性を秘めています。
今回紹介した「最速両刀型」「HBS剣舞型」「チョッキサイクル型」は、あくまでベースとなる調整です。
ランクマッチの流行り廃りは日々変化します。
「最近は物理受けが多いな」と感じれば特殊寄りに、「スカーフ持ちが増えたな」と感じれば耐久振りに微調整するなど、自身の肌感覚に合わせてカスタマイズしていくことこそが、勝利への近道です。
さあ、努力値のリセットボタンを押し、あなただけの最強のビリジオンを育成して、ランクマッチの頂点を目指しましょう。
この草原の剣士が、あなたのレートを切り開いてくれることを確信しています。
筆者情報
桐谷シンジ フリーランスのゲーム攻略ライター。慶應大学卒業後、大手出版社を経て、現在に至る。幅広いゲームに携わるが、主にRPG/FPS/サンドブロック系のゲームを得意とする。最近の悩みは趣味の時間が取れず、積みゲーが100作品を超えたこと。




















