編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、最新作『モンスターハンターワイルズ』の世界に飛び込みたいものの、ハードウェアの制約で二の足を踏んでいる、あるいは任天堂の次世代機での展開に期待を寄せていることと思います。
この記事を読み終える頃には、単なる噂レベルではない、データに基づいた発売の可能性と、それがいつになるのかという疑問が解決しているはずです。
- 解析データから発見された「Switch2」向けファイルの正体
- カプコンの販売戦略から読み解く移植の必然性
- 過去作の傾向から予測する具体的な発売時期
- 次世代機スペックで実現可能なグラフィックとパフォーマンス
それでは解説していきます。
データ解析が示すスイッチ2版の存在証明
『モンスターハンターワイルズ』の発売以降、世界中の熱心なデータマイナーたちによって、ゲームクライアントの内部データの解析が昼夜を問わず行われています。その中で、スイッチしか所有していないユーザーにとって、まさに「希望の光」とも言える極めて重要なコードが発見されました。
ここでは、発見された具体的なファイル名やコードの内容を紐解きながら、なぜそれが「スイッチ2(任天堂次世代機)」への布石であると言えるのか、技術的な観点から詳細に解説していきます。
内部コードに見る「最適化」の痕跡
海外の解析コミュニティから報告された情報によると、PC版『モンスターハンターワイルズ』のプログラムコードの中に、明らかに他機種への移植、それも現在のPlayStation 5やXbox Series X、あるいはハイエンドPCとは異なるスペックのマシンを想定したと思われる記述が見つかりました。
具体的には、「NPC(ノンプレイヤーキャラクター)の描画距離制御」に関するパラメータです。解析データによると、通常設定では「100」とされている描画距離や演算処理の範囲を、特定の条件下で「50」に制限する設定項目が含まれていました。
これが何を意味するのか、ゲームエンジンの挙動から考察してみましょう。オープンワールド形式を採用している本作において、CPU(演算処理装置)への負荷が最も高い要素の一つが、大量のNPCや環境生物の自律行動制御です。グラフィック(GPU)の負荷は解像度を落とせば軽減できますが、CPUの計算処理は解像度に関係なく発生します。
携帯機としての側面を持つと予想される任天堂の次世代機において、最大のボトルネックになるのはGPUよりもCPUの処理能力です。この「描画・演算距離を半分にする」という設定は、まさにCPUパワーが据え置き機に比べて制限されるハードウェアで、ゲームを破綻させずに動作させるための「涙ぐましい最適化」の痕跡である可能性が極めて高いのです。
「Ver Store Natives」が示唆するもの
さらに興味深いのが、「Ver Store Natives(バージョン・ストア・ネイティブス)」や「Upgrade Set(アップグレードセット)」といった名称が含まれるファイル群の存在です。これらは単なる設定ファイルではなく、ストア(販売プラットフォーム)ごとの固有処理や、将来的なバージョンアップ、あるいは「完全版」への移行を示唆する専門用語として解釈できます。
ゲーム開発において「Native」という言葉は、特定のハードウェアやOSに特化した処理を指す場合に使われます。現在リリースされているSteam版やPS5版のコード内に、未使用かつ未知のプラットフォームに向けた「Native」処理の記述があるということは、カプコン内部ではすでに、まだ世に出ていないハードウェア上での動作検証が進んでいることの裏付けと言えるでしょう。
また、「Upgrade Set」という記述は、後述する「G級(マスターランク)相当の拡張コンテンツ」とセットになった、いわゆる「完全版」としてのリリース形式を予感させます。これまでのモンハンシリーズが辿ってきた歴史を振り返れば、無印版の発売から一定期間を経て、要素を追加した完全版が別ハードで展開されるのは王道パターンです。
描画負荷軽減技術「DLSS」と次世代機の親和性
解析されたデータの中には、アップスケーリング技術(低解像度でレンダリングした映像をAIなどで高解像度化する技術)に関する記述も強化されていることが判明しています。NVIDIAのDLSSやAMDのFSRといった技術は、PC版ではすでに実装されていますが、これらの設定項目の中に、既存のプロファイルとは異なる挙動を示すものが含まれているという報告があります。
噂されている任天堂の次世代機は、NVIDIA製のチップセットを搭載し、DLSSのような高度なアップスケーリング技術に対応すると言われています。もし『ワイルズ』がスイッチ2で動作する場合、ネイティブ4Kや1440pでの描画はスペック的に不可能です。しかし、720pや1080pで内部処理を行い、DLSSを使って4Kモニターに出力しても耐えうる画質に引き上げる手法は、まさに次世代スイッチの戦略と合致します。
解析で見つかった「徹底的な負荷軽減」と「高度なアップスケーリング調整」の痕跡は、カプコンが本気で「携帯できる次世代機」でこの重厚なオープンワールドを動かそうとしている執念の表れと見て間違いありません。
カプコンの経営戦略から見る「出さない理由がない」根拠
技術的な解析データの裏付けに加え、ビジネス的な側面からもスイッチ2版の発売は「ほぼ確実」と言える状況です。カプコンという企業が掲げる経営目標や、これまでの実績、そして日本国内の市場環境を分析すると、任天堂ハードを無視するという選択肢はあり得ないことが浮き彫りになります。
「1000万本」の壁を超えるための必須条件
カプコンは近年、主要タイトルにおいて「グローバル販売本数1000万本」を一つの指標として掲げています。『モンスターハンター:ワールド』や『モンスターハンターライズ』は、その壁を見事に突破しました。しかし、この数字を達成し、さらに維持・拡大していくためには、特定のプラットフォームに固執していては不可能です。
特に日本国内市場に目を向けると、コンシューマーゲーム市場における任天堂ハード(Switch)のシェアは圧倒的です。ファミリー層からコアゲーマーまで、幅広い層がSwitchを所有しており、「ゲームは任天堂ハードでしか遊ばない」という層も数百万人規模で存在します。
『ワイルズ』がPS5、Xbox、PCで発売されたとはいえ、これらのハードウェアの国内普及台数は、Switchの2500万台超(国内累計)と比較すれば限定的です。カプコンが『ワイルズ』を国民的ゲームとしての地位に留めておきたいのであれば、最も多くの日本のユーザーが手に取るであろう「次世代の任天堂ハード」への供給は、経営判断として必須事項なのです。
RE Engineの汎用性と拡張性
カプコンが誇る自社製ゲームエンジン「RE Engine」の存在も、マルチプラットフォーム展開を後押ししています。このエンジンは、『バイオハザード7』から始まり、『デビルメイクライ5』、そして『モンスターハンターライズ』に至るまで、ハイエンド機からSwitchまで幅広いスペックのハードウェアに対応できる驚異的なスケーラビリティ(拡張性)を持っています。
『ライズ』がSwitchで発売された際、多くの評論家やユーザーが「Switchでこのグラフィックが動くのか」と驚愕しました。RE Engineは、ハードウェアの特性に合わせて処理を最適化することに長けています。
もちろん、『ワイルズ』は『ワールド』系列の重厚なグラフィックを目指して作られていますが、エンジンの根幹が同じである以上、アセット(素材)の品質調整やライティング処理の簡略化を行うことで、下位スペックのハードウェアに移植することは技術的に十分に可能です。作り直すのではなく、「調整して動かす」ことができる基盤があることが、カプコンの強みなのです。
株主と市場へのアピール
カプコンは上場企業であり、常に株主からの成長期待に晒されています。「開発費が高騰するAAAタイトルを、いかにして回収し利益を最大化するか」という問いに対し、最も明確な答えは「販売チャネル(販路)の最大化」です。
PC市場(Steam)の成長は著しいですが、コンシューマー市場における任天堂の存在感は依然として絶大です。特に携帯モードでのプレイ需要が高いアジア圏において、Switchの後継機でモンハンが遊べるか否かは、株価にも影響を与えるレベルの重要事項です。
もしカプコンが「ワイルズはハイスペック機専用です」と宣言し、任天堂ハードを見捨てた場合、それは巨大な市場機会の損失(オポチュニティ・ロス)として株主から厳しく追及されるでしょう。逆に言えば、スイッチ2版の準備を進めていることは、カプコンにとって「隠し玉」であり、しかるべきタイミングで発表することで株価を押し上げる材料として温存していると考えられます。
歴代シリーズの傾向から導き出す発売日予測
では、仮にスイッチ2版が発売されるとして、それはいつになるのでしょうか。過去の『モンスターハンター』シリーズの発売スケジュールや、任天堂ハードの発売サイクル、そして今回の解析情報を照らし合わせることで、かなり精度の高い予測が可能になります。
「無印」から「G級」への黄金サイクル
モンハンシリーズには、伝統的なリリースサイクルが存在します。
- 無印版の発売(新システム・新モンスターの導入)
- アップデートによる追加(古龍や強化個体の配信)
- 拡張版(G級/マスターランク)の発売(約1年〜1年半後)
『モンスターハンター:ワールド』の場合、2018年1月にPS4版が発売され、その約1年半後の2019年9月に超大型拡張コンテンツ『アイスボーン』が発売されました。『ライズ』も同様に、2021年3月の発売から約1年3ヶ月後に『サンブレイク』が登場しています。
このサイクルを『ワイルズ』に当てはめると、2025年の発売から約1年後、つまり2026年中盤から後半にかけて、マスターランク相当の大型拡張コンテンツが登場する可能性が高いです。
そして、ここが重要なポイントですが、過去の移植版や完全版は、この「拡張コンテンツ」のタイミングに合わせて発売されることが多いのです。つまり、スイッチ2版は、『ワイルズ』本編だけでなく、その後の拡張要素を最初から含んだ、あるいは同時発売となる「完全版」として登場するシナリオが最も有力です。
ハードウェアの発売時期とのリンク
任天堂の次世代機(スイッチ2)の発売時期については、様々な噂が飛び交っていますが、業界の一般的な予測では2025年内、あるいは2025年度末(2026年3月まで)という見方が強まっています。
もしスイッチ2が2025年後半に発売されるとしたら、『ワイルズ』の他機種版発売から半年〜1年弱のラグが発生します。この期間は、移植作業と最適化を行うのに十分な時間です。
カプコンとしては、スイッチ2のローンチ(発売同時)タイトル、あるいはローンチ時期の目玉タイトルとして『ワイルズ』を投入したいはずです。ハードの普及を牽引するキラータイトルとして任天堂と協力体制を築ければ、広告宣伝費の面でも優遇措置を受けられる可能性があります。
2026年春〜夏:Xデーの最有力候補
以上の要素を総合すると、具体的な発売時期の予測が見えてきます。
- 2025年2月:他機種版『ワイルズ』発売
- 2025年中:無料アップデートによるモンスター追加(解析で見つかった「ゴグマジオス」関連など)
- 2025年後半〜2026年初頭:スイッチ2本体発売
- 2026年春〜夏:『モンスターハンターワイルズ for Switch 2(仮)』発売
このスケジュールであれば、先行してプレイしているユーザーからのフィードバックを受けてバグ修正やバランス調整が完了した「洗練されたバージョン」をスイッチ2ユーザーに届けることができます。また、発売から1年が経過していれば、価格的にも「お得なパッケージ」として売り出しやすく、新規ユーザーの獲得に繋がります。
スイッチ2版で懸念されるパフォーマンスと妥協点
「発売される可能性がある」ことと、「快適に遊べるか」は別の問題です。解析データからは、カプコンが必死に最適化を行っている様子が伺えますが、それでもPS5やハイエンドPCと比較すれば、スイッチ2のスペックは劣ります。具体的にどのような部分が変化し、何が妥協点となるのかを冷静に分析します。
画質とフレームレートのトレードオフ
現行のPS5版『ワイルズ』でさえ、場面によってはフレームレートが低下することが報告されています。スイッチ2において、PS5と同等のグラフィック品質で60fpsを維持することは、物理的に不可能です。
予想されるスイッチ2版の動作仕様は以下の通りです。
| 項目 | PS5/PC版(目標) | スイッチ2版(予測) | 解説 |
|---|---|---|---|
| 解像度 | 4K / 1440p | 1080p (携帯モード720p) | DLSSを活用し、見た目の解像感を補う |
| フレームレート | 60fps / 30fps | 30fps固定 | 安定性を重視し、可変ではなく固定を採用する可能性大 |
| テクスチャ | 高解像度 | 中〜低解像度 | メモリ容量の制約により、遠景や細かい模様は簡略化される |
| NPC表示数 | 多い | 制限あり | 解析データの通り、表示数を減らしCPU負荷を下げる |
| ロード時間 | 高速SSDで爆速 | 高速だが若干遅延 | ストレージ速度は向上するが、PS5のSSDには及ばない可能性 |
特にフレームレートについては、「30fpsで安定していれば携帯機としては十分」と判断されるか、「アクションゲームとして60fpsは必須」というユーザーの声にどう応えるかが鍵となります。しかし、携帯モードで遊べるという利便性は、多少のフレームレート低下を補って余りあるメリットとも言えます。
マップのシームレス性は維持されるか
『ワイルズ』の最大の特徴は、広大なフィールドがシームレスに繋がっていることです。旧作のようにエリア移動ごとのロード画面はありません。これをメモリ容量の限られる携帯機で実現するには、高度なデータストリーミング技術が必要です。
解析にあった「Ver Store Natives」や「NPC描画距離の半減」は、まさにこのメモリ管理に関連しています。遠くの景色を霧で隠したり、詳細なオブジェクトの読み込みを遅らせたり(ポップイン現象)、プレイヤーの近くの処理だけを優先することで、シームレスな体験を維持しようとするでしょう。
結果として、遠くに見えるモンスターの動きがカクついたり、近づくまで草木が表示されなかったりといった現象は発生すると思われます。しかし、ゲームの本質である「狩り」の瞬間に処理落ちが発生しなければ、ユーザーは許容するはずです。
携帯機特有のUI調整
画面サイズが小さくなる携帯モードでは、UI(ユーザーインターフェース)の調整も不可欠です。文字サイズ、アイコンの視認性、メニュー画面のレイアウトなど、テレビ画面を前提としたデザインをそのまま持ち込むと、非常に遊びにくくなります。
解析データには詳細なUI関連の記述までは見つかっていませんが、『ライズ』で培った「携帯モード用UI」のノウハウがカプコンにはあります。おそらく、スイッチ2版独自のUIオプションや、文字サイズ変更機能などが実装されるでしょう。
解析で見つかった新コンテンツへの期待
最後に、解析によって判明した、スイッチ2版に含まれる可能性のある「追加コンテンツ」についても触れておきましょう。
伝説の古龍「ゴグマジオス」の影
データマイニングによって、武器のIDリストの中に不自然な「空白」が見つかっています。具体的には、特定の派生ラインの間に空き番があり、さらにスキルデータの組み合わせの中に「アーティア」シリーズと対になるような欠番が存在します。
コミュニティの推測では、これが『モンスターハンター4G』のラスボスである「ゴグマジオス」に関連する装備ではないかと囁かれています。ゴグマジオスは重油を纏った巨大な古龍で、その骨格やギミックは『ワイルズ』の重厚な世界観に非常にマッチします。
もしスイッチ2版が「完全版」として発売されるなら、このゴグマジオスのような過去の人気モンスターの復活や、それに関連する「歴戦個体」「強化個体」の実装が目玉コンテンツとして用意されている可能性があります。スイッチ2ユーザーは、最初からこのボリューム満点の状態で遊べるという特権を得られるかもしれません。
「アーティア武器」とメタ環境の変化
また、解析で見つかった「アーティア」関連の記述は、太古の遺産や機械的なギミックを持つ装備群を指します。これらが強化される、あるいは新たな派生が追加されることは、ゲーム内の環境(メタ)を大きく変える可能性があります。
スイッチ2版が発売される頃には、既存のプラットフォームでは研究し尽くされた装備構成が一般的になっているでしょう。しかし、スイッチ2版の発売に合わせて新たなバランス調整や新装備が投入されれば、全プラットフォームで同時に新たな盛り上がりが生まれます。カプコンはクロスプラットフォームでの同時アップデートを重視しているため、スイッチ2版の参入は、既存プレイヤーにとっても「新しい風」となるはずです。
まとめ:スイッチ2版を待つ価値はあるか
ここまで、解析データ、ビジネス戦略、技術的側面、そして過去の傾向から多角的に検証してきました。結論として、『モンスターハンターワイルズ』が任天堂の次世代機(スイッチ2)で発売される可能性は極めて高く、それは単なる移植ではなく、最適化と追加要素を含んだ決定版となる可能性を秘めています。
もちろん、グラフィックの解像度やフレームレートといったスペック面での妥協は避けられません。しかし、「いつでもどこでも一狩り行ける」という携帯機の利便性は、何物にも代えがたい魅力です。
もしあなたが今、PS5やゲーミングPCを持っておらず、スイッチしか持っていないのであれば、無理をして高価なハードを今すぐ買う必要はないかもしれません。2025年後半から2026年にかけての任天堂とカプコンの動向を注視し、来るべき「携帯できるワイルズ」の登場を待つという選択は、十分に賢明な戦略と言えるでしょう。
筆者情報
桐谷シンジ フリーランスのゲーム攻略ライター。慶應大学卒業後、大手出版社を経て、現在に至る。幅広いゲームに携わるが、主にRPG/FPS/サンドブロック系のゲームを得意とする。最近の悩みは趣味の時間が取れず、積みゲーが100作品を超えたこと。




















