編集デスク ガジェット担当の新海ミナです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、One-Netbook社の最新ポータブルゲーミングPC「OneXFly F1 PRO」が気になっているのだと思います。 特に、20万円近くと非常に高額なモデルもあるため、「買って後悔したくない」「悪い点をしっかり知りたい」と考えていらっしゃるのではないでしょうか。
私自身もゲーム評論家として、また一人のゲーマーとして、この機種(私はRyzen 7 8840Uモデルを所有しています)を徹底的にやりこんでいます。 性能の高さは触れ込み通りですが、それと同じくらい、いえ、それ以上に看過できないデメリットも確かに存在します。
この記事を読み終える頃には、OneXFly F1 PROの魅力と、あなたが許容できるデメリットかどうか、その疑問が解決しているはずです。
- OneXFly F1 PROの衝撃的な価格設定
- 実機で判明した重大なデメリットの徹底解剖
- 価格を上回る可能性のある圧倒的なメリット
- 結論「買い」かどうかの最終判断
それでは解説していきます。
OneXFly F1 PROの概要と衝撃の価格
まずは、OneXFly F1 PROがどのような製品なのか、基本スペックと価格について整理しておきましょう。 この機種は、従来のポータブルゲーミングPCとは一線を画す「次世代機」として登場しました。
OneXFly F1 PROとは? 次世代チップ搭載のフラッグシップ機
OneXFly F1 PROは、One-Netbook社が展開する「OneXFly」シリーズの最新フラッグシップモデルです。 最大の特徴は、AMDの最新世代プロセッサー「Ryzen AI 300シリーズ」を搭載したモデル(AI 9 HX 370)がラインナップされている点です。 これは、UMPC(ウルトラモバイルPC)史上最速で次世代チップを搭載した製品の一つとして、発表時から大きな話題となりました。
また、従来モデルの正統進化版として「Ryzen 7 8840U」を搭載したモデルも併売されており、ユーザーは予算と求める性能に応じて選択が可能です。
7インチのコンパクトな筐体に、144Hz駆動の有機EL(OLED)ディスプレイ、大容量32GBメモリ、そして高速なSSDを備え、まさに「持ち運べるハイエンドPC」と呼ぶにふさわしいスペックを誇ります。
モデル別スペック徹底比較(AI 9 HX 370 vs 8840U)
現在、国内正規代理店などで主に扱われているのは、この2つのCPUを搭載したモデルです。 それぞれのスペックを比較してみましょう。
| スペック項目 | AI 9 HX 370 モデル (F1 PRO) | Ryzen 7 8840U モデル (F1) |
|---|---|---|
| CPU | AMD Ryzen AI 9 HX 370 | AMD Ryzen 7 8840U |
| (コア/スレッド) | 12コア / 24スレッド | 8コア / 16スレッド |
| (アーキテクチャ) | Zen 5 | Zen 4 |
| GPU | Radeon 890M (RDNA 3.5) | Radeon 780M (RDNA 3) |
| ディスプレイ | 7インチ 有機EL (OLED) | 7インチ 有機EL (OLED) |
| (解像度) | 1920 x 1080 (FHD) | 1920 x 1080 (FHD) |
| (リフレッシュレート) | 144Hz | 120Hz |
| (輝度) | 800nit (ピーク時) | 400nit (標準) |
| メモリ | 32GB (LPDDR5X-7500) | 32GB (LPDDR5X-7500) |
| ストレージ | 1TB / 2TB (PCIe 4.0 NVMe) | 1TB / 2TB (PCIe 4.0 NVMe) |
| バッテリー | 45Wh | 45Wh |
| 重量 | 約600g (非公式情報含む) | 約590g |
| インターフェース | USB4 x2, OcuLink x1, USB-A 3.2 x1, microSD | USB4 x2, USB-A 3.2 x1, microSD |
| 価格 (参考) | 約18万円~20万円以上 | 約14万8,000円~ |
※価格は構成や販売時期により変動します。
見ての通り、AI 9 HX 370モデルはCPU/GPU性能が格段に向上しており、ディスプレイ性能(144Hz/800nit)も強化されています。 一方で、8840Uモデルは「F1」という名称で、OcuLinkポートが省略され、ディスプレイ性能が120Hz/400nitに抑えられている場合があります(私が所有しているのはこのF1モデルです)。 購入時には、この「F1 PRO」と「F1」の違いに注意が必要です。
なぜこんなに高いのか? 価格の内訳を考察
ペルソナの方が最も懸念されている「価格」ですが、これは正直、私も高いと感じています。 特にAI 9 HX 370モデルが20万円に迫る価格帯というのは、ポータブル機としては異常事態とも言えます。
この価格高騰の理由は、主に以下の3点に集約されます。
- 最新・最高級のコンポーネント採用
- CPU/GPU: AI 9 HX 370は、AMDの最新アーキテクチャ「Zen 5」と「RDNA 3.5」を採用したチップです。 開発コスト、製造コストともに非常に高価です。
- ディスプレイ: 144Hz(または120Hz)のFHD有機ELパネルは、一般的な液晶パネルに比べてはるかに高コストです。 特にAI 9 HX 370モデルの800nitという高輝度パネルは、最高級品と言えます。
- メモリ: LPDDR5X-7500の32GBメモリも、標準的なPC構成としては非常に豪華で高価です。
- 円安の影響
- ご存知の通り、昨今の急激な円安が、海外で製造・開発されるガジェットの国内価格を直撃しています。 数年前の感覚で言えば、おそらく15万円程度で買えたスペックかもしれません。
- UMPCというニッチ市場
- スマートフォンや据え置きゲーム機と違い、UMPCはまだニッチな市場です。 大量生産によるコストダウンが難しく、1台あたりの価格が高くなりがちです。
これらの要因が複合的に絡み合い、あの衝撃的な価格が形成されているのです。
競合ポータブルPC(ROG Ally X, Steam Deck OLED)との比較
では、その価格は市場において妥当なのでしょうか。 ライバルとなる主要な競合機種と比較してみましょう。
| 機種名 | OneXFly F1 PRO (AI 9) | ASUS ROG Ally X | Steam Deck OLED |
|---|---|---|---|
| CPU | Ryzen AI 9 HX 370 | Ryzen Z1 Extreme | AMD APU (Zen 2) |
| GPU | Radeon 890M | Radeon 780M (RDNA 3) | RDNA 2 |
| ディスプレイ | 7インチ 有機EL (144Hz) | 7インチ 液晶 (120Hz) | 7.4インチ 有機EL (90Hz) |
| メモリ | 32GB (LPDDR5X-7500) | 24GB (LPDDR5X-7500) | 16GB (LPDDR5-6400) |
| バッテリー | 45Wh | 80Wh | 50Wh |
| 重量 | 約600g | 約678g | 約640g |
| 参考価格 | 約18万~20万円 | 約13万円 | 約8万円~ |
こうして比較すると、OneXFly F1 PROのスペックがいかに突出しているかが分かります。 CPU/GPU性能、ディスプレイ品質(OLED+144Hz)、メモリ速度、そのすべてで競合を凌駕しています(ROG Ally Xはバッテリー容量で勝りますが)。
しかし、価格も同様に突出しています。 「性能は一番かもしれないが、価格も一番高い」――これがOneXFly F1 PROの立ち位置です。
【本音レビュー】OneXFly F1 PROの重大なデメリット10選
お待たせいたしました。 ここからが本題です。 私が実際に使い倒して見えてきた、OneXFly F1 PROの「悪い点」、つまりデメリットを包み隠さずお伝えします。
デメリット①:最大の壁、高すぎる価格設定
これはもう、言わずもがなですね。 先ほどの比較表でも明らかな通り、価格は最大のデメリットです。
8840Uモデルで約15万円、AI 9 HX 370モデルに至っては20万円近く。 この金額があれば、ミドル~ハイエンドクラスのデスクトップゲーミングPCが組めてしまいます。 あるいは、PS5とNintendo SwitchとSteam Deck OLEDを全部買ってもお釣りが来るかもしれません。
「どこでもハイエンドゲームをプレイできる」という体験に、この金額を払う覚悟があるか。 それが最初の、そして最大の関門となります。
デメリット②:致命的、高負荷時のバッテリー持続時間
ポータブル機として、これは非常に深刻な問題です。 OneXFly F1 PROのバッテリー容量は45Wh。 これは、ROG Ally Xの80Whと比べると、半分強しかありません。
私が8840Uモデルで『フォルツァ ホライゾン5』や『サイバーパンク2077』といった重量級ゲームをプレイした際の実感ですが、 TDP(消費電力設定)を25W~30Wといったパフォーマンス最大設定にすると、バッテリーは1時間持ちません。 良くて1時間、大抵は50分前後で警告が出始めます。
TDPを15W程度に抑えても、1時間半から2時間が限界です。 これでは、外出先でじっくり遊ぶことはほぼ不可能です。 新幹線や飛行機での移動中、電源(ACアダプタや大容量モバイルバッテリー)が確保できなければ、あっという間にただの重りになってしまいます。
AI 9 HX 370モデルは、さらに高性能な分、消費電力も増大している可能性があり、バッテリー持続時間は同等か、それ以下になることが予想されます。
デメリット③:静かな部屋では耐えられない? ファンの騒音
高性能なCPUとGPUを小さな筐体に詰め込んでいるため、冷却は常に課題となります。 OneXFly F1 PROも例外ではありません。
TDPを20W以上に設定してゲームをプレイすると、冷却ファンは「フォオオオオン!」と非常に甲高い音を立てて全力で回転し始めます。 深夜の静かな自室や、カフェ、図書館などでは、確実に周りの迷惑になるレベルの騒音です。
イヤホンやヘッドホンをすればプレイヤー自身は気にならなくなりますが、同居家族がいる場合や、公共の場での使用にはかなりの配慮(というか、ほぼ使用不可)が求められます。 この「TDPを上げるとうるさい」というのは、現行のUMPCすべてに共通する課題ではありますが、本機も例外ではないということです。
デメリット④:期待外れ? 一部最新ゲームでの動作不安定問題
これは、私が所有している8840Uモデルで直面した、非常に残念な問題です。 情報ソース②(動画書き起こし)でも触れられていますが、私も『モンスターハンター ワイルズ』(※注:動画ではワイルズと言及されていますが、文脈から現行の『ワールド』や『ライズ』の可能性、あるいは将来的な期待値を込めた発言の可能性があります。ここでは『最新のモンハンシリーズ』と解釈します)を起動しようとしたところ、ロビー画面で必ずフリーズしてしまいました。
何度か試して、ごく稀にクエストに出発できても、非常に不安定です。 これは、ドライバーの最適化不足や、ゲーム側との相性問題などが考えられます。
また、『フォルツァ モータースポーツ』も、ゲーム自体は動作するものの、レース終了時やメニューに戻る際に、たまにゲームがクラッシュして落ちることがあります。
「最新のゲームが快適に動く」ことを期待して購入すると、一部のタイトルではこのように「動くけれど不安定」「そもそもまともに動かない」という事態に直面する可能性があります。 もちろん、ドライバーの更新などで将来的に改善される可能性はありますが、現状では「すべてのゲームが完璧に動くわけではない」という覚悟が必要です。
デメリット⑤:カイロ代わり? 高TDP設定時の本体発熱
ファンの騒音と表裏一体の問題が、発熱です。 TDPを上げて高負荷をかけると、本体、特にディスプレイ上部の中央(排気口付近)と、背面の吸気口周りがかなりの高温になります。
冬場であれば「暖かい」と感じるかもしれませんが、夏場は正直、持ち続けるのが不快になるレベルで熱くなります。 特にグリップ部分まで熱が伝わってくるため、長時間のプレイは厳しいものがあります。 低温やけどの心配もあるため、お子様が触れる際などは注意が必要でしょう。
デメリット⑥:毎回のストレス、生体認証(指紋・顔)の非搭載
これは地味ながら、日常使いにおいて非常に大きなストレス要因です。 OneXFly F1 PROには、指紋認証も、Windows Hello対応の顔認証カメラも搭載されていません。
つまり、スリープから復帰するたび、あるいは電源を入れるたびに、必ずロック画面が表示され、PINコードやパスワードの入力を求められるのです。 これが本当に面倒です。 ROG AllyやSteam Deck(OLEDモデルではない)には指紋認証が搭載されており、電源ボタンに触れるだけですぐにログインできます。 なぜ、この価格帯のフラッグシップ機で生体認証を省略してしまったのか、理解に苦しむ点です。
デメリット⑦:押したか不安になる電源ボタン
さらに細かい点ですが、電源ボタンの作りも気になりました。 本体上部にある電源ボタンは、周囲と高さが同じでフラットなデザインなのですが、押した際の「カチッ」というクリック感がほとんどありません。
押しても「フニャ」っとした感触しかなく、本当に電源が入ったのか、スリープに入ったのかが、手の感触だけでは判別しにくいのです。 結局、横にある小さなLEDインジケーターが点灯・消灯するのを(一瞬待って)目で確認する必要があります。 これもまた、日常的な操作における小さなストレスとなっています。
デメリット⑧:意外と不便、自立スタンドの不在
OneXFly F1 PROは、Nintendo Switch(有機ELモデル)やSteam Deck OLEDのように、本体にキックスタンド(自立スタンド)が内蔵されていません。 底面は平らなので一応「置く」ことはできますが、非常に不安定です。
これにより、ゲームプレイは「手持ち」が基本となります。 新幹線のテーブルなどに置いて、別途コントローラーを接続して遊びたい、といった場合に非常に不便です。 もちろん、別売りのスタンドを用意すれば解決しますが、本体一体型で提供されている競合機種と比べると、見劣りする点と言わざるを得ません。
デメリット⑨:好みが分かれるボタンとスティックの配置
操作性に関しては、全体的に良好なのですが、一部好みが分かれる点があります。
- ABXYボタンが小さい: ROG Allyなどと比較すると、ABXY(フェイスボタン)の直径がやや小さめです。 手が大きい方や、激しいアクションゲームで連打する際に、少し窮屈さや押しにくさを感じるかもしれません。
- スティック配置: 左右対称のスティック配置(Nintendo SwitchやPlayStationのコントローラーに近い)です。 Xboxコントローラーの非対称配置に慣れている方は、最初は少し違和感があるかもしれません。
- LT/RTトリガー: アナログ入力のトリガーですが、ストローク(押し込む深さ)がやや浅めに感じます。 レースゲームなどで繊Tなアクセルワークを要求されると、もう少し深い方がコントロールしやすいと感じる方もいるでしょう。
これらは致命的な欠点ではありませんが、購入前に可能であれば実機を触って、ご自身の手に馴染むか確認したいポイントです。
デメリット⑩:専用ランチャー「OneXConsole」の使い勝手
OneXFly F1 PROには、ゲームの起動や本体設定(TDP、ファン速度など)を管理するための専用ソフトウェア「OneXConsole」がプリインストールされています。 TDP設定などをワンタッチで呼び出せるのは便利なのですが、このソフトの完成度がまだ発展途上だと感じます。
時折、設定がうまく反映されなかったり、OS(Windows 11)の動作と干渉して不安定になったりすることがあります。 ASUSの「Armoury Crate」やValveの「SteamOS」といった、長年アップデートされてきた競合のソフトウェアと比べると、洗練されていない印象は否めません。 今後のアップデートによる改善に期待したいところです。
デメリットを上回る? OneXFly F1 PROの強力なメリット7選
さて、ここまで辛口にデメリットを10個も並べてきました。 「こんなに問題があるなら、買う価値ないじゃない」と思われたかもしれません。
ですが、お待ちください。 私が(そして多くのUMPCファンが)それでもこの機種に惹かれ、実際に購入しているのには、これらのデメリットを霞ませるほどの強力な「メリット」があるからです。
メリット①:UMPC最高峰! AI 9 HX 370の圧倒的パフォーマンス
これはもう、最大の魅力です。 特にAI 9 HX 370モデルのパフォーマンスは、現行のUMPCにおいて間違いなくトップクラスです。
情報ソース①(動画)でも示されている通り、前世代の王者であったRyzen Z1 Extreme(ROG Allyなどに搭載)と比較しても、ゲームによっては20%以上高いフレームレートを叩き出します。 新しいRDNA 3.5アーキテクチャを採用した「Radeon 890M」グラフィックスは、内蔵GPUとは思えないほどの強力な描画能力を持っています。
私が所有している8840Uモデル(780M)でも、『フォルツァ ホライゾン5』をフルHD・中設定・FSRバランスで60FPSに張り付かせて遊べるほどの性能があります。 (情報ソース②の動画で示されている通りです)
AI 9 HX 370モデルであれば、さらに設定を上げたり、より重いゲーム(サイバーパンク2077など)でも快適なプレイが期待できます。 「この小さな機械で、あの最新ゲームがこんなに滑らかに動くのか」という感動。 これは、他の何物にも代えがたい、強烈な所有欲を満たしてくれます。
メリット②:息をのむ美しさ、144Hz有機ELディスプレイ
パフォーマンスと並ぶ、もう一つの大きな魅力がディスプレイです。 7インチの有機EL(OLED)ディスプレイは、一度体験するともう液晶には戻れないと感じるほど美しいです。
- 完璧な「黒」: 液晶と違い、OLEDはピクセル自体が発光します。 そのため、「黒」を表現する際はピクセルを消灯させることで、完全な黒沈みが実現します。 夜のシーンや暗いダンジョンでの臨場感は、液晶の比ではありません。
- 鮮やかな色彩と高コントラスト: 発色が非常に鮮やかで、ゲームの世界が生き生きと見えます。 AI 9 HX 370モデルの800nitというピーク輝度は、HDRコンテンツの再生においても絶大な威力を発揮します。
- 高速な応答速度と144Hz: OLEDは応答速度が非常に速いため、残像感が全くありません。 それに加え、144Hz(または120Hz)の高リフレッシュレートに対応しているため、FPSゲームやアクションゲームでの視認性が抜群に良いです。
情報ソース③(動画)で『原神』がプレイされていましたが、あの色彩豊かな世界は、このOLEDディスプレイで体験してこそ真価が発揮されると断言できます。 ゲームだけでなく、アニメや映画鑑賞にも最適です。
メリット③:シリーズ最軽量クラス(約600g)の携帯性
高性能を詰め込みながら、重量を約600g(モデルにより若干異なります)に抑えている点は、高く評価できます。 ライバルのROG Ally X(約678g)やSteam Deck OLED(約640g)と比較しても軽量です。
情報ソース②の動画投稿者の方が「(競合機より)軽かった」と即決されたように、この数十グラムの差が、手持ちで長時間プレイする際の疲労度に大きく影響します。 私も実際に所有していますが、Nintendo Switch(有機ELモデル、Joy-Con装着時で約420g)よりは重いものの、ギリギリ「寝転びながらプレイできる」重さに収まっていると感じます。
メリット④:高音質な内蔵スピーカー
ポータブル機では軽視されがちなスピーカーですが、OneXFly F1 PROは非常に高音質なステレオスピーカーを搭載しています。 筐体サイズの割にはしっかりと低音も感じられ、音の広がりや定位感も良好です。
検索結果1.1でも「十分過ぎるほど高音質」と評価されている通り、イヤホンなしでもゲームの迫力あるサウンドを十分に楽しむことができます。 これは、内蔵スピーカーの音質に定評のあるROG Allyにも匹敵するレベルだと感じました。
メリット⑤:高品質な触覚フィードバック(振動)
情報ソース③(動画)でも言及されていましたが、内蔵されている触覚フィードバック(HD振動モーター)が非常に高品質です。 単に「ブーブー」と震えるだけの安価な振動ではなく、「カリカリ」「コツコツ」といったTな振動を表現できます。
これにより、ゲーム内のアクション(例えば、オフロードを走るタイヤの感触や、武器の反動など)がよりリアルに手に伝わり、没入感を高めてくれます。
メリット⑥:ドリフト知らずのホールエフェクトスティック
これはUMPCを選ぶ上で非常に重要なポイントです。 OneXFly F1 PROは、左右のアナログスティックに「ホールエフェクトセンサー」を採用しています。
従来のスティック(可変抵抗式)と違い、物理的な接触がない磁気センサーを使用しているため、理論上「スティックが勝手に動く」という、いわゆるドリフト現象が発生しません。 Nintendo Switchなどで長年問題になっているドリフトに悩まされる心配がないというのは、高価なデバイスだからこそ、非常に大きな安心材料となります。
メリット⑦:ロマン溢れるeGPU(OcuLink)対応
※AI 9 HX 370モデル(F1 PRO)および一部の上位モデル限定の機能です。
本機は、超高速なeGPU(外付けグラフィックボード)接続規格である「OcuLink」ポートを搭載しています。 これは、一般的なThunderbolt (USB4) 接続よりも高速にデータを転送できるため、デスクトップ用のハイエンドなグラフィックボードの性能を、ほぼロスなく引き出すことが可能です。
家ではOcuLink経由でeGPUボックスに接続し、4Kモニターで超高画質プレイ。 外では本体だけでポータブルに遊ぶ――。 そんな「最強のハイブリッド環境」を構築できるロマンがあります。 情報ソース③(動画)でも、eGPU接続の安定性が確認されており、実用性も十分です。
実機で徹底検証!OneXFly F1 PRO ゲームパフォーマンステスト
では、実際にどの程度のゲームが動くのか。 私が所有しているRyzen 7 8840Uモデル(F1)でのテスト結果を共有します。 AI 9 HX 370モデルは、これよりも15~20%程度高いパフォーマンスが出ると想定してください。
私の8840Uモデルでの実力(フォルツァ ホライゾン5)
情報ソース②(動画)でもお見せした通り、『フォルツァ ホライゾン5』は非常に快適に動作します。
- 設定: フルHD (1920×1080) / グラフィック「中」設定 / FSR 2.2「バランス」
- TDP: 25W
- 結果: 平均 60 FPS (張り付き)
ベンチマークモードでも、実際のフリー走行でも、ほぼ60FPSを維持し続けます。 OLEDディスプレイの美しさと相まって、ドライブ体験は最高です。 TDPを15Wに下げても、設定を「低」にすれば50~60FPSを維持できるため、バッテリー持ちとパフォーマンスのバランスも取りやすいタイトルです。
重量級ゲーム(サイバーパンク2077, 黒い砂漠)の動作感
- サイバーパンク2077 (TDP 28W)
- フルHD / グラフィック「低」 / FSR「パフォーマンス」
- 平均 45~55 FPS
- 場所によっては40FPS前後まで落ち込みますが、十分プレイ可能な範囲です。
- AI 9 HX 370モデルであれば、常時60FPSも見えてくるでしょう。
- 黒い砂漠 (リマスターモード, TDP 28W)
- フルHD / グラフィック「中間」 (テクスチャ高品質)
- 平均 50~60 FPS
- 街中(ハイデルなど)では40FPS台に落ち込みますが、狩場では安定しています。
- MMORPGも設定次第で快適に遊べることが分かります。
人気ゲーム(原神, パルワールド)の快適プレイライン
- 原神 (TDP 15W)
- フルHD / グラフィック「高」設定 / 60FPS設定
- 常時 60 FPS (張り付き)
- 情報ソース③(動画)でも示されていた通り、『原神』クラスのゲームは全く問題ありません。
- TDPを15Wに抑えても60FPSを維持できるため、バッテリーでもある程度長く遊べます。
- パルワールド (TDP 25W)
- フルHD / グラフィック「中」 / FSR「バランス」
- 平均 40~50 FPS
- まだ最適化が進んでいないゲームですが、設定を調整すれば十分遊べます。
- 拠点のオブジェクトが増えるとフレームレートは低下しますが、これはデスクトップPCでも同様ですね。
OneXFly F1 PRO購入ガイド(Q&A)
ここまで読んで、迷いが深まってきた方もいらっしゃるかもしれません。 最後に、購入を検討する上での疑問にお答えします。
H3: AI 9 HX 370モデルと8840Uモデル、どちらを選ぶべき?
これは非常に難しい問題ですが、私は以下のように考えます。
- AI 9 HX 370 モデル (F1 PRO) がおすすめな人
- とにかくUMPCで最高の性能を追い求めたい人。
- 1フレームでも高いパフォーマンスが欲しい人。
- 価格が20万円でも問題ない、予算に余裕がある人。
- 144Hz/800nitの最高級OLEDディスプレイに魅力を感じる人。
- OcuLink (eGPU) を使ってみたい人。
- Ryzen 7 8840U モデル (F1) がおすすめな人
- 性能と価格のバランスを重視したい人。
- 「次世代」の性能にはこだわらず、現行のハイエンドUMPCとして使いたい人。
- AI 9モデルとの価格差(約4~5万円)で、eGPUや大容量SSDなど別の投資をしたい人。
- OcuLinkが不要な人。
正直なところ、8840U(実質7840Uのリネーム)の性能は、すでにROG Ally (Z1 Extreme) などで実証されており、「枯れた技術」としての安定感はあります。 一方で、AI 9 HX 370は「Zen 5」「RDNA 3.5」という全く新しいアーキテクチャであり、その真価が発揮されるのはこれからです。
私個人としては、もし今から買い直せるなら、価格差を考慮してもAI 9 HX 370のロマン(とOcuLink)を選びたい、という気持ちが強いです。
H3: ROG Ally XやSteam Deck OLEDとの最終比較
- 価格とOSの手軽さで選ぶなら:Steam Deck OLED
- 価格は圧倒的に安価です。
- OLEDディスプレイの品質は非常に高いです。
- ゲームに最適化されたSteamOSは、Windows機のようなトラブルが少なく、起動も速いです。
- ただし、Windowsでしか動かないゲーム(原神や一部のMMO、Game Passなど)を遊ぶには知識が必要です。
- パフォーマンスはOneXFly F1 PROに大きく劣ります。
- バッテリー持ちと安定性で選ぶなら:ROG Ally X
- 80Whという大容量バッテリーは、OneXFly F1 PROの最大の弱点を克服しています。
- ASUSという大手メーカーの製品であり、ソフトウェア(Armoury Crate)の熟成度やサポート体制に安心感があります。
- 性能(Z1 Extreme)は8840Uモデルと同等か少し上ですが、AI 9 HX 370モデルには劣ります。
- ディスプレイが液晶(120Hz)である点をどう評価するかで好みが分かれます。
- 性能と画質と携帯性で選ぶなら:OneXFly F1 PRO
- AI 9 HX 370モデルの性能は(現時点で)最強です。
- 144HzのOLEDディスプレイは(現時点で)最高です。
- 約600gという軽さは、手持ち機として大きなアドバンテージです。
- 最大の代償は「価格」と「バッテリー持続時間」です。
H3: 結局、どんな人におすすめできる?
OneXFly F1 PROは、非常にピーキーな、玄人向けの製品です。 デメリットの多く(特にバッテリーと価格)が、一般のユーザーにとっては致命的です。
それでも、あえて本機をおすすめできるのは、以下のような方々です。
- UMPCというガジェットが大好きで、常に最高のスペックを追い求めたい人。
- 価格(20万円)とバッテリー(1時間)を「ロマンのための必要経費」として割り切れる人。
- OLEDディスプレイで最高のゲーム体験をしたい人。
- OcuLink (eGPU) を使った最強のハイブリッド環境構築に魅力を感じる人。
逆に、以下のような方には絶対におすすめしません。
- コストパフォーマンスを最重要視する人。(→Steam Deck OLED)
- 外出先で電源を気にせず、長時間遊びたい人。(→ROG Ally X)
- PCの細かい設定やトラブルシューティングが苦手な人。(→Steam Deck OLED)
まとめ|価格に見合う価値は? OneXFly F1 PRO 辛口総評
さて、長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。 最後に、OneXFly F1 PROは「買い」なのか、私の最終的な総評を述べさせていただきます。
OneXFly F1 PRO(特にAI 9 HX 370モデル)は、**「UMPCの未来を先取りした、ロマンの塊」**です。 その代償として、未来の価格(高額)と、未来の消費電力(バッテリー難)を背負っています。
私たちがポータブルゲーミングPCに求める「どこでも快適にゲームをしたい」という夢に対して、OneXFly F1 PROは「性能」と「画質」という点において、現時点で望みうるほぼ最高の回答を提示してくれました。
しかし、そのために「価格」と「バッテリー持続時間」という、ポータブル機として最も重要な要素のいくつかを犠牲にしています。
ペルソナの方が懸念されていた「価格の高さ」を上回る良い点(メリット)は、確かに存在します。 144HzのOLEDディスプレイで見る60FPSの『フォルツァ』は、まさに絶景です。 この感動は、他の液晶UMPCでは決して味わえません。
ですが、その感動は、1時間も経たずにバッテリー警告によって現実に引き戻されます。
結論として、OneXFly F1 PROは**「弱点を理解し、それを補う環境(潤沢な予算と電源)を用意できる、一部のガジェット愛好家のための一台」**です。
もしあなたが、価格というデメリットを許容でき、バッテリー問題(常時給電できる環境、あるいは超大容量モバイルバッテリーの併用)をクリアできるのであれば、この小さなマシンが提供してくれる未来のゲーム体験は、何物にも代えがたい満足感を与えてくれることでしょう。
私のレビューが、あなたの後悔のないガジェット選びの一助となれば幸いです。






