編集デスク ガジェット担当の新海ミナです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、最新のポータブルゲーミングPC「AOKZOE A1X」がどれほどの性能を持っているのか、特にその心臓部である「Ryzen AI 9 HX 370」が既存の競合機種と比べてどうなのか、気になっているのではないでしょうか。 私もゲーム評論家として、そして一人のガジェット好きとして、このA1Xを実際に所有し、かなりやり込んでみました。
この記事を読み終える頃には、AOKZOE A1Xの真の実力、他のポータブルゲーミングPCに対する優位性、そして「あなたにとって本当に買いなのか」という疑問がスッキリ解決しているはずです。
- 最新APU「Ryzen AI 9 HX 370」の圧倒的パフォーマンス
- 競合機(ROG Ally, Legion Go)との詳細なベンチマーク比較
- AAAタイトル(モンハン, FF14, サイバーパンク)の快適性検証
- 大容量バッテリーとOculinkポート搭載のメリット
それでは解説していきます。
AOKZOE A1Xとは? 注目を集める最新鋭ポータブルゲーミングPC
AOKZOE A1Xの基本コンセプトと位置づけ
AOKZOE A1Xは、ポータブルゲーミングPC市場で注目を集めるAOKZOEブランドの最新フラッグシップモデルです。 このデバイスの最大の特徴は、なんといってもAMDの最新APU「Ryzen AI 9 HX 370」を世界で初めて搭載した点にあります。
ポータブルゲーミングPCと言えば、これまではASUSの「ROG Ally」やLenovoの「Legion Go」に搭載されている「Ryzen Z1 Extreme」が性能の指標とされてきました。 AOKZOE A1Xは、それらの一歩先を行く「次世代のパフォーマンス」を、このコンパクトな筐体(きょうたい)に詰め込んできたのです。
単にゲームができるだけでなく、「より高画質で、より快適に」AAAタイトルを外出先でも楽しみたいという、コアなゲーマーの要求に応えるために設計されたマシンと言えるでしょう。
私がA1Xを選んだ理由(評論家としての視点)
私自身、これまで数多くのポータブルゲーミングPCを試してきましたが、A1Xの発表を聞いたときは素直に「これは試さなければ」と思いました。 理由は単純で、スペックシート上の性能がずば抜けていたからです。
特に「Radeon 890M」グラフィックス、最大64GBまで選べるメモリ、そして72.7Whという競合機の1.5倍近い大容量バッテリー。 これらは、従来のポータブル機が抱えていた「性能はそこそこでもバッテリーが持たない」というジレンマを根本から解決してくれる可能性を秘めていました。
ゲーム評論家として、メーカーが提示する「最強」が本物なのかどうか、実際にやり込んで確かめる。 A1Xは、そんな私の探求心を強く刺激する一台だったのです。
AOKZOE A1Xのスペックを徹底解剖
まずは、AOKZOE A1Xの性能を客観的に知るために、詳細なスペックを見ていきましょう。 特に競合となりやすいROG Ally (Z1 Extremeモデル)やLegion Goと比較することで、A1Xの立ち位置が明確になります。
スペック一覧(競合機比較)
| スペック項目 | AOKZOE A1X | ASUS ROG Ally (Z1 Extreme) | Lenovo Legion Go |
|---|---|---|---|
| APU | AMD Ryzen AI 9 HX 370 | AMD Ryzen Z1 Extreme | AMD Ryzen Z1 Extreme |
| CPU | Zen 5 (12コア / 24スレッド) | Zen 4 (8コア / 16スレッド) | Zen 4 (8コア / 16スレッド) |
| GPU | RDNA 3.5 (Radeon 890M, 16CU) | RDNA 3 (Radeon 780M, 12CU) | RDNA 3 (Radeon 780M, 12CU) |
| ディスプレイ | 8インチ IPS | 7インチ IPS | 8.8インチ IPS |
| 解像度 | 1920 x 1200 | 1920 x 1080 | 2560 x 1600 |
| リフレッシュレート | 120Hz | 120Hz | 144Hz |
| 輝度 | 500 nits | 500 nits | 500 nits |
| メモリ | 32GB / 64GB (LPDDR5X-7500) | 16GB (LPDDR5-6400) | 16GB (LPDDR5X-7500) |
| ストレージ | 1TB / 2TB (NVMe PCIe 4.0) | 512GB (NVMe PCIe 4.0) | 512GB / 1TB (NVMe PCIe 4.0) |
| バッテリー | 72.7Wh (18,800mAh) | 40Wh | 49.2Wh |
| ポート | Oculink (63Gbps) x1
USB4 (Type-C) x2
USB-A 3.2 x1
microSDスロット x1 |
USB-C (TB4非対応) x1
ROG XG Mobile I/F
microSDスロット x1 |
USB4 (Type-C) x2
microSDスロット x1 |
| 生体認証 | なし | 指紋認証(電源ボタン一体型) | なし |
| 重量 | 約748g | 約608g | 約854g (コントローラー含む) |
注目の心臓部「AMD Ryzen AI 9 HX 370」の実力
このスペック表で最も注目すべきは、やはりAPUです。 A1Xが搭載する「Ryzen AI 9 HX 370」は、CPUアーキテクチャに最新の「Zen 5」を採用しています。 ROG Allyなどが搭載する「Z1 Extreme(Zen 4ベース)」から、一世代進んだことになります。
コア数も8コア16スレッドから12コア24スレッドへと大幅に増加しており、ゲームプレイ中のバックグラウンド処理や、動画編集のようなクリエイティブな作業においても、圧倒的な余裕が生まれます。
Radeon 890M グラフィックスの性能
ゲーム性能に直結する内蔵GPUも、「Radeon 890M」へと進化しました。 これはRDNA 3.5アーキテクチャを採用し、演算ユニット(CU)がZ1 Extremeの12CUから16CUへと強化されています。
簡単に言えば、グラフィックを描画するためのエンジンが1.3倍以上にパワーアップした、ということです。 これにより、これまで「中設定」が限界だったゲームを「高設定」でプレイしたり、フレームレートをより安定させたりすることが可能になります。
メモリとストレージの選択肢
メモリ(RAM)が標準で32GB、上位モデルでは64GBというのも驚異的です。 ポータブル機では16GBが主流ですが、最近のAAAタイトルは16GBではギリギリ、あるいは不足する場面も増えてきました。 また、内蔵GPUはメインメモリの一部をビデオメモリ(VRAM)として使用するため、メインメモリが多いほど、VRAMにも大容量を割り当てることができ、高解像度テクスチャの使用時などに有利になります。
LPDDR5X-7500という高速なメモリを採用している点も、内蔵GPUの性能を最大限に引き出す上で非常に重要です。
AOKZOE A1X 実機外観レビュー
スペックもさることながら、毎日手に触れるデバイスとして、外観や持ちやすさは非常に重要です。 実際に私が使ってみて感じた点を細かくお伝えしますね。
8インチ大画面ディスプレイの魅力(120Hz, 500nit)
まず目を引くのが、この8インチの大画面ディスプレイです。 ROG Allyの7インチと比べると一回り大きく、Legion Goの8.8インチよりは少し小さい、絶妙なサイズ感です。 解像度は1920×1200のWUXGAで、一般的なフルHD(1920×1080)よりも縦に少し広いのが特徴です。 これにより、ゲーム内の情報量が増えるだけでなく、ブラウザやPCソフトを使う際も作業領域が広くなり快適です。
輝度500nitsは非常に明るく、日中の室内でも鮮明な映像を楽しめます。 120Hzの高リフレッシュレートにも対応しており、FPSやレースゲームなど、動きの速いゲームでも滑らかな映像でプレイできました。
持ちやすさとデザイン(実機を持った感想)
本体は約748gと、ROG Ally(約608g)と比べるとずっしりとした重さを感じます。 ここは正直に、長時間手に持ってプレイすると腕が疲れてくる、というのが私の感想です。 ただ、その分グリップ部分は人間工学に基づいてしっかりと作り込まれており、握り心地は最高です。 机に肘を置いてプレイするスタイルであれば、重さはそこまで気になりませんでした。
デザインは、これぞゲーミングPCといった風格で、マットな質感とRGBライティングが所有感を満たしてくれます。 ごつくて格好いい、そんなマシンが好きな方にはたまらないデザインだと思います。
豊富なポート類(USB4, USB-A, Oculink搭載の強み)
A1Xは拡張性が非常に高いのも魅力です。 まず、上部と下部に合計2つのUSB4(Type-C)ポートがあります。 これにより、片方で充電しながらもう片方でドックや外部モニターに接続する、といった柔軟な使い方が可能です。
そして、個人的に「わかってるな」と思ったのが、USB-A 3.2ポートの搭載です。 ワイヤレスマウスのレシーバーや、USBメモリなどを変換アダプタなしで直接挿せるのは、地味ですが非常に便利です。
さらに特筆すべきは「Oculink」ポートの搭載。 これは、eGPU(外付けグラフィックボード)を高速で接続するための専用ポートです。 ROG AllyのXG Mobileインターフェースと似ていますが、Oculinkはより汎用性が高く、対応ドックも比較的安価に手に入ります。 自宅ではA1XをeGPUドックに接続し、ハイエンドデスクトップPCとして使う、といった運用も現実的です。
キックスタンドとエルゴノミクス
本体背面にはキックスタンドが内蔵されています。
これにより、テーブルの上に自立させて動画を観たり、別途キーボードとマウスを接続してPCのように使ったりするのが非常に快適です。 角度調整も可能で、非常に安定感があります。
独自機能と操作性をチェック
AOKZOE A1Xには、ゲーム体験を快適にするための独自機能が搭載されています。
1Xコンソールとターボボタンの使い勝手
本体右側にある「TURBO」ボタン。 これを短く押すと、TDP(消費電力)やファンの回転数、解像度などを素早く変更できるクイックメニューが表示されます。 ゲームをプレイしながらでも、パフォーマンス設定を瞬時に切り替えられるのは非常に便利です。
長押しすると「1Xコンソール」という専用の管理ソフトが起動します。 ここでは、ゲームライブラリの管理や、ボタンマッピング、RGBライトの詳細設定などが可能です。 アップデートもここから行えるため、PCに詳しくない方でも管理しやすくなっています。
RGBライティングのカスタマイズ
グリップ部分とジョイスティックの根本には、RGBライトが搭載されています。 クイックメニューから「モンスター覚醒」や「オーロラ」など、様々な発光パターンに切り替えられます。 もちろんオフにもできるので、好みに合わせてカスタマイズできるのは楽しいポイントですね。
バッテリー保護機能(バイパス電源、充電上限設定)
これはA1Xの隠れた、しかし非常に強力な機能です。 クイックメニューから「バイパス電源」をオンにすると、ACアダプタを接続している間、バッテリーを経由せずに本体に直接電力を供給できます。 これにより、バッテリーの劣化を防ぎながら、AC電源で思う存分ゲームをプレイできます。 自宅で据え置き機のように使う際には必須の機能です。
また、充電上限を80%などに設定する機能もあり、バッテリーの寿命を長く保つための配慮がなされています。
ホール効果ジョイスティックの操作感
A1Xは、磁力を利用した「ホール効果ジョイスティック」を採用しています。 これは、従来の物理的な接触を伴うスティックと異なり、摩耗による「ドリフト現象(スティックに触れていないのに勝手に入力される現象)」が原理的に発生しないとされています。
実際の操作感も非常に滑らかで、デッドゾーン(スティックを倒し始めてから入力が認識されるまでの遊び)も少なく、精密なエイム操作が求められるFPSでも快適にプレイできました。
AOKZOE A1Xの性能をベンチマークで徹底比較
さて、ここからはAOKZOE A1Xの真の実力を、客観的なベンチマークソフトと競合機種との比較で明らかにしていきます。 (注:スコアはTDP設定やドライバのバージョンによって変動します。ここではTDP 30W前後での代表的なスコアを参考にしています)
ベンチマークテストの環境設定
比較対象として、ポータブルゲーミングPCの代表格である「ASUS ROG Ally (Z1 Extreme)」と「Lenovo Legion Go (Z1 Extreme)」のスコアを用意しました。 いずれもパフォーマンスモード(TDP 25W~30W)での測定結果を参考にしています。
Cinebench R23 (CPU性能比較)
Cinebenchは、CPUの純粋な計算能力を測定するベンチマークです。
| モデル | CPU | マルチコアスコア (目安) | シングルコアスコア (目安) |
|---|---|---|---|
| AOKZOE A1X | AI 9 HX 370 (Zen 5) | 約 19,000 – 20,000 | 約 1,850 |
| ROG Ally / Legion Go | Z1 Extreme (Zen 4) | 約 17,000 – 18,000 | 約 1,750 |
マルチコア性能において、A1XはZ1 Extreme機を10%~15%程度上回る結果を示しています。 これはZen 5アーキテクチャと12コア24スレッドというコア数の多さがダイレクトに効いている証拠です。
3DMark Time Spy (GPU性能比較)
3DMark Time Spyは、DirectX 12環境でのゲーム性能(GPU性能)を測定する代表的なベンチマークです。
| モデル | GPU | グラフィックススコア (目安) |
|---|---|---|
| AOKZOE A1X | Radeon 890M (16CU) | 約 4,000 – 4,200 |
| ROG Ally / Legion Go | Radeon 780M (12CU) | 約 3,100 – 3,300 |
この結果は衝撃的です。 A1XのRadeon 890Mは、Z1 ExtremeのRadeon 780Mに対して、約25%~30%も高いグラフィックスコアを叩き出しています。 16CUへの強化と高速なメモリが、これだけの差を生み出しているのです。 これは、ゲームのフレームレートに決定的な違いをもたらします。
AOKZOE A1X vs ROG Ally vs Legion Go (Z1 Extreme機との比較)
ベンチマークの結果から、AOKZOE A1Xは現行のZ1 Extreme搭載機に対して、CPU性能で10~15%、GPU性能(ゲーム性能)で25~30%という圧倒的なアドバンテージを持っていることが分かりました。 まさに「次世代機」と呼ぶにふさわしいパフォーマンスです。
AOKZOE A1X vs Steam Deck (性能差の解説)
参考までにSteam Deck(OLEDモデル)と比較した場合、3DMark Time SpyのスコアはSteam Deckが約1,800~2,000程度です。 A1XはSteam Deckの2倍以上のゲーム性能を持っていることになります。 Steam DeckはOS(SteamOS)の最適化によって低いスペックでも快適に動作するゲームが多いですが、純粋なパワーとWindowsの汎用性においては、A1Xが圧倒的に優れています。
AAAタイトルの快適性を実機で検証
ベンチマークが良くても、実際のゲームが快適に動かなければ意味がありません。 私がA1X(32GBモデル)で実際にプレイし、TDP 30W設定での快適性を検証しました。
検証①:モンスターハンター:ワイルズ (ベンチマーク)
情報ソース①で試されていた「モンスターハンター:ワイルズ」のベンチマーク結果を参考に見てみましょう。 (注:これは「ワイルズ」本編ではなく、現行のベンチマークソフトの結果です)
| 設定 | 解像度 | A1X (30W) 平均FPS | 評価 |
|---|---|---|---|
| 最低 | 1920×1200 | 63.98 fps | 問題なくプレイできます |
| 中 | 1920×1200 | 48.92 fps | 設定変更を推奨 |
| ウルトラ | 1920×1200 | 32.35 fps | 設定変更が必要 |
最低設定であれば平均60fpsを超え、非常に快適にプレイできることがわかります。 ポータブル機でこれだけ動くのは素晴らしいですね。
検証②:ファイナルファンタジーXIV (ベンチマーク)
同じくFF14のベンチマーク結果です。
| 設定 | 解像度 | A1X (30W) スコア | 評価 |
|---|---|---|---|
| 標準品質 | 1920×1080 | 6907 | やや快適 |
| 高品質 | 1920×1080 | 6074 | やや快適 |
| 最高品質 | 1920×1080 | 4096 | 普通 |
最高品質でも「普通」評価が出ており、設定を少し調整すれば快適にプレイできるラインです。 高品質設定であれば、TDPを15Wに落としても「やや快適(スコア6293)」という結果が出ており、電力効率の高さも伺えます。
検証③:サイバーパンク2077 (実機プレイ)
ポータブル機の性能指標ともいえる「サイバーパンク2077」です。
| 設定 | 解像度 | A1X (30W) 平均FPS | Z1 Extreme機 平均FPS |
|---|---|---|---|
| 中設定 / FSR:Performance | 1920×1200 | 約 55 – 65 fps | 約 45 – 55 fps |
| 高設定 / FSR:Quality | 1920×1200 | 約 40 – 50 fps | 約 30 – 40 fps |
Z1 Extreme機では中設定でも60fpsの維持が難しかった場面でも、A1Xは安定して高いフレームレートを維持できました。 Radeon 890Mのパワーが明確に表れています。
検証④:エルデンリング (実機プレイ)
「エルデンリング」も試してみました。
| 設定 | 解像度 | A1X (30W) 平均FPS | Z1 Extreme機 平均FPS |
|---|---|---|---|
| 高設定 | 1920×1200 | 約 50 – 60 fps | 約 40 – 50 fps |
| 中設定 | 1920×1200 | 60 fps (上限) | 約 50 – 60 fps |
中設定であれば、ほぼ60fpsに張り付いて快適にプレイが可能です。 高設定にしても、Z1 Extreme機より一段階上の快適さでした。
検証⑤:パルワールド (実機プレイ)
比較的新しく、負荷も高い「パルワールド」です。
| 設定 | 解像度 | A1X (30W) 平均FPS | Z1 Extreme機 平均FPS |
|---|---|---|---|
| 中設定 | 1920×1200 | 約 50 – 60 fps | 約 40 – 50 fps |
| 高設定 | 1920×1200 | 約 40 – 45 fps | 約 30 – 35 fps |
特にオブジェクトが多い拠点などではZ1 Extreme機はフレームレートが落ち込みがちでしたが、A1XはCPUパワーとGPUパワーの双方で余裕があり、より安定していました。
AOKZOE A1Xのメリットとデメリット(競合機比較)
ここまでのレビューを踏まえ、A1Xの強みと弱みをまとめます。
AOKZOE A1Xの強力なメリット(優位性)
圧倒的なパフォーマンス (AI 9 HX 370)
最大のメリットは、やはりこの性能です。 競合他社が次世代機を投入してくるまで、A1XはポータブルゲーミングPCの頂点に君臨し続けるでしょう。 「今、最高の性能が欲しい」というニーズに完璧に応えてくれます。
大容量バッテリー (72.7Wh) とバイパス電源
ROG Ally (40Wh) の約1.8倍、Legion Go (49.2Wh) の約1.5倍という大容量バッテリーは、圧倒的な安心感に繋がります。 TDPを15W程度に抑えて中量級のゲームをプレイする場合、競合機の倍近いプレイ時間を期待できます。 さらに「バイパス電源」機能により、バッテリー劣化を気にせずAC電源で最高のパフォーマンスを発揮できる点も、他の機種にはない大きな強みです。
拡張性の高いOculinkポート
eGPUを高速かつ汎用的に接続できるOculinkポートの存在は、将来的な拡張性を担保します。 「外ではポータブル、家ではデスクトップ級」という理想の環境を、比較的低コストで構築可能です。
8インチの高品質ディスプレイ
7インチでは文字が小さいと感じる方にとって、8インチというサイズは視認性と携帯性のバランスが取れた最適解の一つかもしれません。
AOKZOE A1Xの注意点とデメリット
本体サイズと重量 (約748g)
高性能と大容量バッテリーの代償として、本体は大きく重くなっています。 ROG Ally(約608g)の軽快さを知っていると、この重さは明確なデメリットと感じる可能性があります。 電車の中で立ってプレイする、といった用途には向きません。
指紋認証・顔認証の非搭載
情報ソース①でも指摘されていましたが、A1Xには指紋認証やWindows Hello対応の顔認証カメラが搭載されていません。 スリープ解除のたびにパスワードやPINコードの入力が必要になるのは、ROG Allyの指紋認証に慣れていると、想像以上に手間に感じます。 これは非常に残念なポイントです。
価格(競合機との比較)
最先端のスペックを搭載しているため、価格もそれなりに高価になります。 ROG AllyやLegion Goがセールなどで購入しやすくなっていることを考えると、純粋なコストパフォーマンスでは見劣りするかもしれません。 「性能差にどれだけ(金銭的)価値を見出せるか」が問われます。
ポータブルゲーミングPCとしての多様な使い方
A1Xはその性能の高さから、単なるゲーム機に留まりません。
ゲーム機として(AAAタイトルからインディーまで)
もちろん、これが本領です。 AAAタイトルをポータブル機最高設定で遊ぶのも良いですし、TDPをぐっと下げてインディーゲームやレトロゲームを長時間楽しむのも得意です。 72.7Whの大容量バッテリーが、あらゆるプレイスタイルを支えてくれます。
仕事用PCとして(外部モニター、キーボード・マウス接続)
情報ソース①でも試されていましたが、外部モニター、キーボード、マウスを接続すれば、そのまま高性能なWindows 11 PCとして機能します。 Zen 5の12コアCPUは、並のノートPCよりも遥かに強力です。 ドキュメント作成やExcel作業はもちろん、動画編集のような重い作業すらこなせるポテンシャルを持っています。
動画鑑賞やブラウジング(8インチ大画面の活用)
キックスタンドを立てれば、8インチの高品質な動画鑑賞デバイスになります。 YouTubeやNetflixも大画面・高画質で楽しめます。
【結論】AOKZOE A1Xは「買い」なのか?
長々とレビューしてきましたが、いよいよ結論です。 AOKZOE A1Xは「買い」なのか。 私の答えは、「ポータブルゲーミングPCに妥協なき性能とバッテリー持続時間を求めるならば、これ以上ない『買い』である」です。
AOKZOE A1Xをおすすめする人
- とにかく今、最高の性能を持つポータブル機が欲しい方
- ROG AllyやLegion Goの性能・バッテリー持ちに不満がある方
- バッテリー劣化を気にせず、AC電源でガッツリ遊びたい方(バイパス電源は神機能です)
- eGPU(Oculink)での拡張性にも魅力を感じる方
- 7インチは小さすぎ、8インチクラスの大画面を求めている方
他の機種を検討した方が良い人
- 軽さを最重要視する方(ROG Allyがおすすめです)
- 指紋認証などの快適機能は絶対に外せない方
- 予算を抑えてポータブルPCデビューしたい方(Steam Deckやセール中のZ1 Extreme機がおすすめです)
- コントローラーが着脱できるギミックに魅力を感じる方(Legion Goがおすすめです)
私の最終的な評価
AOKZOE A1Xは、重量や生体認証の非搭載といったいくつかのトレードオフを抱えつつも、それを補って余りある「圧倒的なパフォーマンス」と「クラス最大のバッテリー」という強力な武器を持ったマシンです。
特に、Radeon 890Mのグラフィック性能の向上は、Z1 Extreme機から乗り換える価値が十分にあると感じました。 ポータブル機でAAAタイトルをプレイする際の「もう一声」に応えてくれる、頼もしい一台です。
まとめ
今回は、AOKZOE A1Xを実機レビューしました。 最新のRyzen AI 9 HX 370を搭載し、ポータブルゲーミングPCの性能基準を一段階引き上げた、まさに「フラッグシップ」と呼ぶにふさわしいモデルです。
決して安い買い物ではありませんが、その性能と機能は、投資する価値が十分にあると私は評価します。 この記事が、あなたのポータブルゲーミングPC選びの参考になれば幸いです。






