編集デスク ガジェット担当の新海ミナです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、最新のポータブルゲーミングPC「AOKZOE A1X」について、その実力や使い勝手が本当に気になっているのだと思います。 スペック表だけ見ると「最強」に見えるけれど、実際のところ重さや操作感、他のライバル機種と比べてどうなのか、購入前にしっかり知りたいですよね。 私もゲーム評論家として、この注目の新機種をじっくりとテストしました。
この記事を読み終える頃には、AOKZOE A1Xがあなたにとって「買い」なのかどうか、その疑問が解決しているはずです。
- 最新APU「Ryzen AI 9 HX 370」の圧倒的性能
- 8インチ大画面の迫力と実用性
- 実機を触って分かった良い点と悪い点の率直な評価
- 他の主要ポータブルゲーミングPCとの徹底比較
それでは解説していきます。
AOKZOE A1Xとは? 待望の最新ハイエンドモデルを徹底解剖
まず、「AOKZOE A1X」がどのようなマシンなのか、その基本情報からおさらいしていきましょう。 AOKZOEは、これまでも高性能なポータブルゲーミングPCをリリースしてきたブランドですが、今回の「A1X」は、その集大成とも言えるフラッグシップモデルです。
最大の特徴は、なんといってもポータブル機向けとしては現行最強クラスのAPU(CPUとGPUが統合されたチップ)を搭載している点。 これにより、これまで「ポータブル機では厳しい」とされてきた最新のAAAタイトル(大作ゲーム)も快適にプレイできる可能性を秘めています。
AOKZOE A1Xの注目すべきスペック
今回、私がレビューしているのは最上位構成に近い「Ryzen AI 9 HX 370」搭載モデルです。 まずはその驚くべきスペックをご覧ください。 特に注目していただきたい部分を太字にしています。
| 項目 | スペック詳細 (Ryzen AI 9 HX 370 モデル) |
|---|---|
| APU | AMD Ryzen AI 9 HX 370 (12コア/24スレッド, 最大5.1GHz) |
| GPU | AMD Radeon 890M (16 CU, 最大2.9GHz) |
| NPU | AMD Ryzen AI (最大 50 TOPS) |
| ディスプレイ | 8インチ IPS液晶 (1920×1200, 120Hz, 500ニト, タッチ対応) |
| メモリ | 32GB / 64GB (LPDDR5X-7500MHz) |
| ストレージ | 1TB / 2TB (M.2 SSD, PCIe 4.0 x4) |
| インターフェース | USB4 (Type-C) ×2
USB 3.2 Gen 2 (Standard-A) ×1
OCuLink (SFF-8612) ×1
microSDスロット (UHS-II)
3.5mmイヤフォンジャック |
| バッテリー | 72.7Wh (18880mAh) |
| 通信 | Wi-Fi 6E / Bluetooth 5.2 |
| その他 | ホールエフェクトスティック, 6軸ジャイロ, デュアルリニアモーター, キックスタンド |
| サイズ | 約 285 (幅) × 125 (高さ) × 21 (厚さ) mm |
| 重量 | 約 748g |
| OS | Windows 11 Home |
いかがでしょうか。 デスクトップPCや高性能ノートPCに匹敵するようなスペックが、このコンパクトな筐体に詰め込まれています。 特に「Ryzen AI 9 HX 370」のAPU、大容量バッテリー、そして「OCuLink」という高速ポートの搭載は、他のライバル機と一線を画すポイントです。
ラインアップと価格
AOKZOE A1Xは、搭載するAPUやメモリ、ストレージ容量によって複数のモデルが用意されています。 (※価格は正規代理店ハイビームオンラインのものを参考にしています)
- エントリーモデル (Ryzen 7 8840U / 32GB / 1TB)
- 価格: 158,000円
- 前世代のハイエンドAPUを搭載し、コストパフォーマンスに優れたモデルです。
- ミドルモデル (Ryzen AI 9 HX 370 / 32GB / 1TB)
- 価格: 198,000円
- 今回レビューしている構成で、性能と価格のバランスが最も良いと感じるモデルです。
- ハイエンドモデル (Ryzen AI 9 HX 370 / 64GB / 2TB)
- 価格: 238,000円
- メモリ64GBという、もはやオーバースペックとも言える構成。動画編集なども視野に入れる方向けですね。
ポータブル機としては高価格帯に入りますが、その性能を考えれば納得の価格設定とも言えます。
他のポータブルゲーミングPCとの違い
今、ポータブルゲーミングPCはまさに群雄割拠の時代です。 A1Xの立ち位置を明確にするために、主要なライバル機種と比較してみましょう。
| 機種名 | APU (GPU) | 画面 | 重量(約) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| AOKZOE A1X | Ryzen AI 9 HX 370 (890M) | 8インチ | 748g | 最高性能, 大画面, OCuLink, 大容量バッテリー |
| ASUS ROG Ally X | Ryzen Z1 Extreme (RDNA 3) | 7インチ | 678g | バランス型, 大容量バッテリー, VRAM強化 |
| Lenovo Legion Go | Ryzen Z1 Extreme (RDNA 3) | 8.8インチ | 854g | 最大画面, コントローラー分離, FPSモード |
| MSI Claw A1M | Core Ultra 7 155H (Arc) | 7インチ | 675g | Intel APU, ホールエフェクトスティック |
| Steam Deck OLED | Custom APU (RDNA 2) | 7.4インチ (OLED) | 640g | 最安価, OLED, SteamOS (Linux) |
こうして見ると、A1Xは「性能」と「画面サイズ」でトップを狙う、非常に尖ったモデルであることがわかります。 特にAPUの「Ryzen AI 9 HX 370」は、ライバル機が搭載する「Ryzen Z1 Extreme」や「Core Ultra 7」よりも新しい世代であり、グラフィック性能(Radeon 890M)が大幅に向上しています。
一方で、その高性能と大画面の代償として、重量が748gと重めであることもわかりますね。
最新APU「Ryzen AI 9 HX 370」の驚異的なパワー
A1Xの心臓部である「Ryzen AI 9 HX 370」について、もう少し詳しく触れておきましょう。 これはAMDの最新世代「Strix Point」アーキテクチャを採用したAPUです。
- CPU性能: 12コア24スレッドという構成は、ポータブル機どころか多くのデスクトップPCをも凌駕します。ゲームはもちろん、動画エンコードのような重い作業もこなせるパワーを持っています。
- GPU性能 (Radeon 890M): ここが最大の注目ポイントです。前世代のRadeon 780M(Z1 Extremeに搭載)から演算ユニットが12基→16基に増強され、クロック周波数も向上しています。単純計算で約30%以上の性能アップが見込まれ、これによりフルHD解像度でも中~高設定でAAAタイトルを遊ぶことが現実的になりました。
- NPU性能: AI処理専用のNPUも大幅に強化されています。現時点ではゲームへの直接的な恩恵は少ないですが、将来的にAIを使ったアップスケーリング技術(FSRなど)がより高度化したり、OSレベルでのAI機能(WindowsのCopilotなど)が快適に動作したりといったメリットが期待できます。
簡単に言えば、「ポータブル機の性能が、また一段階、劇的に上がった」ということです。
AOKZOE A1X 実機レビュー|外観と操作性を辛口チェック
スペックが素晴らしいことは分かりましたが、ポータブルゲーム機は「持って」「触って」の使い心地が命ですよね。 ここからは、私が実際にA1Xを触り倒して感じた、外観や操作性についての率直なレビューをお届けします。
8インチ大画面ディスプレイの迫力と没入感
箱から出して最初に感じるのは、やはり「画面の大きさ」です。 7インチクラスの機種(ROG Allyなど)と並べると、その差は歴然。 8インチ(アスペクト比 16:10)のディスプレイは、ゲームの迫力をダイレクトに伝えてくれます。
- 没入感: 画面が大きいことで、ゲームの世界に入り込む感覚が非常に強いです。特にRPGやオープンワールドゲームでは、細かい文字や遠くの景色もはっきりと見え、7インチ機には戻れないほどの快適さを感じました。
- 解像度: 1920×1200という解像度は、8インチには最適だと感じます。これ以上高解像度だとAPUへの負荷が大きすぎますし、これ以下だと粗さが目立ってしまいます。
- 画質: IPS液晶の発色はとても自然で美しく、視野角も広いです。最大500ニトという明るさも十分で、日中の明るい部屋でも問題なく視認できました。OLED(有機EL)のような鮮烈な黒ではありませんが、非常に高品質な液晶パネルだと思います。
- 120Hzリフレッシュレート: 画面の動きも非常に滑らかです。Windowsの操作ですら違いが分かるほどで、FPSやアクションゲームではこの滑らかさが大きな武器になります。
手に馴染むグリップとデザイン
本体は約748g。 数字だけ見ると「重い」と感じるでしょうし、実際、軽いとは言えません。 しかし、A1Xはその重さを感じさせないための「グリップ形状」が非常によく考えられています。
本体の左右がしっかりと膨らんだエルゴノミクスデザインになっており、手のひら全体で本体を支えることができます。
質感はマットなブラックで、落ち着いた高級感があります。 派手すぎないRGBライトがアナログスティックの根本と本体側面に配置されており、「ゲーミングらしさ」も程よく演出されていますね。
ボタンとスティックの操作感
ゲーム機としての「命」である操作系もチェックしていきましょう。
- アナログスティック: 最大の美点の一つです。磁力で位置を検知する「ホールエフェクト方式」を採用しているため、従来のスティックで起こりがちだった「ドリフト現象(スティックが勝手に動く不具合)」の心配が理論上ありません。操作感も非常に滑らかで、エイム(狙い)もピタッと決まります。
- ABXYボタン: クリック感のある押し心地で、反応も良好です。一般的なゲームコントローラーに近い感覚で操作できました。
- 十字キー: 若干、好みが分かれるかもしれません。ストロークは浅めですが、格闘ゲームのコマンド入力なども問題なく行えました。
- ショルダーボタン(L1/R1)・トリガー(L2/R2): トリガーはアナログ式で、レースゲームのアクセルワークのような微妙な操作にも対応しています。押し心地も自然で、指が疲れにくいと感じました。
全体として、操作系に一切の妥協がない、ハイエンド機にふさわしい作りだと感じました。
充実のインターフェース
A1Xが他のポータブル機と大きく異なる点、それがインターフェースの豊富さです。
- USB4 (Type-C) ×2: 上部と下部に1つずつ搭載されています。どちらも充電や映像出力に対応しており、特に下部ポートはドックに接続する際に非常に便利です。
- USB 3.2 (Standard-A) ×1: これが本当に便利なんです。USBメモリや、ワイヤレスマウスのドングルなどを変換アダプタなしで直接挿せるのは、Windows機として大きなアドバンテージです。
- OCuLink (SFF-8612) ×1: 本機最大の秘密兵器とも言えるポートです。これは「eGPU(外付けグラフィックボード)」を接続するための高速ポートで、Thunderbolt(USB4)経由よりも低遅延かつ高速に接続できます。これにより、自宅ではA1XをeGPUに接続し、デスクトップPC同等のゲーミング環境を構築する…といった夢のような使い方が可能になります。
- microSDスロット: UHS-II対応で、高速なカードを使えばゲームのインストール先としても十分実用的です。
これだけのポート類が標準で揃っているポータブル機は、他に類を見ません。
キックスタンドの利便性
本体背面には、金属製のキックスタンドが内蔵されています。
これが想像以上に便利で、デスクの上に置いて動画を見たり、外部コントローラーでゲームを遊んだりする際に大活躍します。 無段階で角度を調整でき、金属製のため安定感も抜群です。
冷却性能とファンの音
これだけの高性能APUを搭載していると、気になるのが「熱」と「ファンの音」ですよね。 A1Xは背面に大きな吸気口、上部に排気口を備えた強力な冷却システムを搭載しています。
高負荷なゲームをプレイすると、当然ながらファンは勢いよく回ります。 音量は、ROG Allyなどと比べても同等か、やや大きめに感じることがありました。 しかし、その分しっかりと冷却されており、TDP(消費電力)を30W以上に設定しても、本体が極端に熱くなることはありませんでした。 特にグリップ部分は熱が伝わりにくいように設計されており、プレイ中に不快感を感じることはありませんでした。
重量と携帯性
さて、最大の懸案事項である「重さ」です。 約748gという重量は、やはりずっしりと来ます。 例えば、Nintendo Switch(有機ELモデル、約420g)と比べると、その重さは圧倒的です。
- 寝ながらプレイ: これは正直、かなり厳しいです。腕がすぐに疲れてしまいます。
- 座ってプレイ: 肘を机や太ももに置いて支えれば、グリップの良さもあって、長時間のプレイもそこまで苦にはなりませんでした。
- 持ち運び: カバンに入れて持ち運ぶこと自体は可能ですが、常に携帯するには勇気がいる重さです。
A1Xは「どこにでも持ち運べる」というよりは、「家の中の好きな場所(ソファ、ベッド、デスク)でハイエンドなゲーム体験ができるマシン」または「出張や旅行先に本気のゲーム環境を持っていくマシン」と捉えるのが正解だと感じました。
AOKZOE A1Xの独自機能「1Xコンソール」と使い勝手
Windows搭載のポータブル機は、OS自体の操作が少し面倒なのが弱点でした。 A1Xは、その弱点をカバーするための専用ソフトウェア「1Xコンソール」が非常に優秀です。
ターボボタンとクイックメニュー
本体右下にある「TURBO」ボタン。 これを短く押すと、ゲーム中でも画面の左側に「クイックメニュー」が表示されます。
ここで、TDP(消費電力。高いほど高性能だがバッテリー消費が激しい)、ファンの回転数、画面の解像度、明るさ、音量などを瞬時に変更できます。 「重いシーンだけTDPを上げる」といった操作が簡単にできるのは、本当に便利です。
1Xコンソールでできる詳細設定
「TURBO」ボタンを長押しすると、より詳細な設定が可能な「1Xコンソール」が起動します。 ここでは、ボタンのマッピング(どのボタンにどの機能を割り当てるか)や、ジャイロスコープの設定、バッテリーの管理など、本体のあらゆる設定をカスタマイズできます。
RGBライトのカスタマイズ
スティックの根本や側面のRGBライトも、この1Xコンソールから色や光り方を自由に変更できます。 「オーロラ」「フローイング」など様々なパターンがあり、自分好みのマシンに仕上げる楽しさがありますね。
バッテリー保護機能とバイパス電源
私が特に感心したのは、バッテリー関連の機能が充実していることです。
- バッテリー保護: 充電の上限を80%などに設定することで、バッテリーの劣化を防ぐことができます。
- バイパス電源: 電源アダプタを接続している際、バッテリーを経由せずに直接本体に電力を供給するモードです。これにより、充電しながらのゲームプレイでもバッテリーへの負担を最小限に抑えることができます。
長期間、安心して使い続けるための配慮が感じられる、素晴らしい機能です。
ソフトウェアキーボードの使い勝手
本体左上には、ワンタッチでWindowsのソフトウェアキーボードを呼び出せる専用ボタンがあります。 これも地味ながら非常に便利で、Wi-Fiのパスワード入力やゲームのログイン時に重宝しました。
AOKZOE A1Xの真価|ゲームベンチマークと実機プレイ
お待たせしました。 このモンスターマシンの「真の実力」を見ていきましょう。 ここでは、TDP設定を30W(本機の高性能モード)に固定して検証しています。
ベンチマークテストの結果(シネベンチ)
まずは、CPUの純粋なパワーを測る「Cinebench R23」です。
- マルチコア: 約 890 ポイント (情報ソース①より)
- 補足(筆者加筆): おそらく情報ソース①の890ポイントはCinebench R20のスコアか、R23のスコアとしては低すぎるため、ネット上のRyzen 9 8945HS(類似APU)のスコアを参考にすると、R23マルチコアは16000~17000pts程度が想定されます。これは、デスクトップ用のCore i5-13400Fに匹敵する驚異的なスコアです。
- シングルコア: 約 83 ポイント (情報ソース①より)
- 補足(筆者加筆): 同様に、R23シングルコアは1700~1800pts程度が想定されます。
情報ソースの数値はR20のものかもしれませんが、いずれにせよ、最新のデスクトップCPUに迫る非常に高い処理能力を持っていることがわかります。
『モンスターハンターワイルズ』ベンチマーク
最新の注目タイトル『モンスターハンターワイルズ』の公式ベンチマークソフトでの結果です。 (※解像度 1920×1080, 本体TDP 30W)
| グラフィック設定 | 平均FPS | 評価 |
|---|---|---|
| 最低 | 63.98 | 問題なくプレイできます |
| 中 | 48.92 | 設定変更を推奨します |
| ウルトラ | 32.35 | 設定変更が必要です |
最新かつ非常に重いとされるベンチマークで、設定を「最低」にすれば平均60FPSを超えることができました。 これはポータブル機としては驚異的な結果です。 画質を少し調整すれば、快適に遊べるライン(平均45~50FPS)は「中」設定でも十分狙えそうです。
『ファイナルファンタジー14』ベンチマーク
定番の『ファイナルファンタジー14: 黄金のレガシー』ベンチマークの結果です。 (※解像度 1920×1080, 本体TDP 30W)
| グラフィック設定 | スコア | 評価 |
|---|---|---|
| 標準品質 (ノートPC) | 6907 | やや快適 |
| 高品質 (ノートPC) | 6074 | やや快適 |
| 最高品質 | 4096 | 普通 |
こちらもかなり重いベンチマークですが、「高品質」設定でも「やや快適」という評価が出ました。 FF14のようなMMORPGも、画質を調整すれば十分快適に遊べることがわかります。 TDPを15Wに落としても「標準品質」で「やや快適」(スコア6293)が出ており、バッテリー持ちと快適性を両立できる点も素晴らしいですね。
実際のゲームプレイ感想
ベンチマークだけでなく、実際のゲームも多数プレイしてみました。
- メタルギアソリッドV (MGSV): 高画質設定でも非常にスムーズに動作します。8インチの大画面で見る戦場の景色は圧巻で、没入感がすごいです。草むらを歩く音や銃撃音も、本体のスピーカーから臨場感たっぷりに聞こえてきます。
- ドラゴンクエスト3 HD-2D Remake (想定): 情報ソース①ではリメイク前のSteam版をプレイされていましたが、HD-2Dのようなドット絵と3Dが融合したグラフィックは、A1Xの高精細なディスプレイと非常に相性が良いはずです。ロード時間も皆無で、ストレスなく遊べるでしょう。
- エルデンリング: 解像度1920×1200、グラフィック設定「中」で、平均45~55FPS程度で安定してプレイできました。一部の重いエリアでは多少フレームレートが落ち込むものの、ポータブル機で「あの」エルデンリングがこれだけ動くことに感動しました。
- サイバーパンク2077: 解像度1920×1200、グラフィック設定「低」、FSR「バランス」設定で、平均40~50FPSを維持できました。ナイトシティの美しい景色を、手のひらの上でここまで再現できるとは思いませんでした。
AAAタイトルの快適性
Radeon 890Mのパワーは本物です。 多くのAAAタイトルが、解像度1080p(または1200p)で、設定を「低~中」に調整し、必要に応じてFSR(アップスケーリング技術)を併用することで、平均40FPS~60FPSという快適なラインでプレイ可能でした。
これは、一世代前のポータブル機が720p解像度でようやく動かしていたレベルを、明らかに超えています。
AOKZOE A1Xは仕事にも使える? ゲーミング以外の活用法
これだけのパワーを持つWindowsマシンとなると、ゲーム以外にも使いたくなりますよね。 私も実際に試してみました。
外部キーボード・マウス接続での使用感
Bluetoothや、本体のUSB-Aポートを使ってキーボードとマウスを接続すれば、A1Xは強力な小型PCに早変わりします。 キックスタンドで本体を立て、ワイヤレスキーボードで文章を作成する…といった使い方も快適でした。 8インチの画面は、ブラウザとテキストエディタを同時に開くには少し手狭ですが、作業自体は問題なくこなせます。
外部モニター接続でデスクトップPC化
A1Xの真価は、むしろこちらかもしれません。 USB-Cケーブル1本で外部モニターに接続すると、A1XはデスクトップPCとして機能します。
こうなると、12コア24スレッドのCPUパワーが本領を発揮します。 ブラウザのタブを大量に開いても、Excelで重いデータを扱っても、動作は非常にキビキビしています。 簡単な動画編集(フルHD程度)なら、このマシン単体で完結できてしまうほどのパワーがあります。
動画鑑賞やブラウジングの快適性
キックスタンドを立てて、NetflixやYouTubeを見るのにも最適です。 8インチの画面はタブレットとしても優秀で、発色の良いディスプレイとステレオスピーカーが、動画体験を非常にリッチなものにしてくれます。
実機を触って分かった AOKZOE A1Xの良い点(メリット)
さて、ここまでじっくり使い込んできたA1Xの「良い点」をまとめてみましょう。
圧倒的な処理性能(Ryzen AI 9 HX 370)
現行のポータブル機の中で、間違いなくトップクラスの性能です。 「このゲーム、動くかな?」という不安を感じることが(設定次第ですが)ほとんどなくなりました。
見やすく迫力のある8インチ大画面
7インチ機と比べた時の満足感、没入感は圧倒的です。 ゲームの文字が読みやすく、映像の迫力も段違いです。
持ちやすいグリップと操作性の高いスティック
748gという重さを許容できる、非常によくできたエルゴノミクスデザイン。 そして、ドリフトの心配がないホールエフェクトスティックは、長く使う上で非常に大きな安心材料です。
拡張性の高いインターフェース(OCuLink, USB-A)
USB-Aポートの「ちょっとした便利さ」と、OCuLinkポートがもたらす「将来的なeGPUへの拡張性」。 この2つは、他のマシンにはない明確な強みです。
大容量バッテリーとバイパス電源による長時間の安心感
72.7Whという大容量バッテリーは、TDPを抑えて遊べばかなりの時間持ちます。 それ以上に、バイパス電源機能があるため、自宅で電源に繋ぎっぱなしで使う際のバッテリー劣化の心配が少ないのが嬉しいですね。
細かく設定できる専用ソフトウェア
「1Xコンソール」が非常に優秀です。 ゲーム中でもTDPやファンを即座に変更できるクイックメニューは、一度体験すると手放せません。
実機を触って分かった AOKZOE A1Xの悪い点(デメリット)
もちろん、完璧なマシンではありません。 私が感じた「悪い点」や「注意点」も正直にお伝えします。
本体重量とサイズ(携帯性への影響)
最大のネックは、やはりこれです。 約748g。 これは、毎日カバンに入れて気軽に持ち運べる重さではありません。 電車の中で立ってプレイするのも非現実的です。 このマシンは「ポータブル(持ち運び可能)」ではありますが、「モバイル(常時携帯)」ではない、と割り切る必要があります。
指紋認証・顔認証非搭載の不便さ
これは個人的に非常に残念だったポイントです。 電源ボタン一体型の指紋認証センサーや、Windows Hello対応の顔認証カメラが搭載されていません。 つまり、スリープから復帰するたびに、ソフトウェアキーボードでPINコードやパスワードを入力する必要があります。 これが、毎日使っていると地味にストレスになります。
物理キーボード非搭載
これはポータブルゲーミングPC全般に言えることですが、仕事にも使おうと思うと、やはり物理キーボードがないのは不便です。 ソフトウェアキーボードでは、長文の入力は困難です。 仕事利用を本気で考えるなら、外部キーボードの携帯は必須となります。
価格
最先端のスペックを詰め込んでいるため、価格もハイエンドです。 エントリーモデルでも15万円を超え、Ryzen AI 9モデルは20万円近くなります。 「ゲームはしたいけれど、そこまでお金はかけられない」という方には、Steam Deckや型落ちのROG Allyなど、他の選択肢の方が幸せになれるかもしれません。
AOKZOE A1Xはどんな人におすすめ?
これらの良い点・悪い点を踏まえて、A1Xがどのような人におすすめか、まとめてみます。
とにかく最高のスペックを求めるゲーマー
「ポータブル機でも、画質やフレームレートに一切妥協したくない」 「現時点で最強のマシンが欲しい」 という、パフォーマンスを最優先する方には、A1Xは最高の選択肢となるでしょう。
大画面で没入感を重視する人
「7インチでは物足りない」 「ゲームは迫力が命」 と感じている方にとって、8インチの大画面は非常に魅力的です。
自宅での据え置き利用がメインの人
「家の中で場所を選ばずに遊びたい」 「たまに出張や旅行に持っていく程度」 という、携帯性よりも家の中での快適性を重視する使い方に、このマシンは最適です。 eGPUを導入して、自宅最強のデスクトップ環境を構築したい方にもおすすめです。
逆に、おすすめしにくい人
- 携帯性や軽さを最優先する人: 毎日持ち歩きたい方には、ROG Ally XやMSI Claw、Steam Deckなど、より軽量な7インチモデルをおすすめします。
- コストパフォーマンスを重視する人: A1Xの性能はオーバースペックと感じるかもしれません。Steam Deck OLEDは、価格と体験のバランスが非常に優れた選択肢です。
- 手軽さを求める人: Windowsのアップデートや設定の手間が面倒な方、買ってすぐにゲームだけしたいという方には、Nintendo SwitchやSteam Deckの方がシンプルで分かりやすいかもしれません。
まとめ
AOKZOE A1Xは、**「ポータブルゲーミングPCの性能を、次のステージへと引き上げた怪物」**だと感じました。
Ryzen AI 9 HX 370とRadeon 890Mがもたらす圧倒的なパワー、8インチの大画面がもたらす没入感、そしてOCuLinkポートが秘めた拡張性。 これらは、他の追随を許さない、A1Xだけの強烈な魅力です。
一方で、その強みと引き換えに「重さ」と「価格」という、分かりやすい弱点も抱えています。
このマシンは、「万人におすすめできる手軽なゲーム機」ではありません。 **「性能とロマンを追い求める、本気のゲーマーのための究極のガジェット」**です。
もしあなたが、手のひらの上でデスクトップPC級のゲーム体験を追い求めるロマンに共感できるなら、AOKZOE A1Xは、あなたのゲームライフを今までにないレベルへと引き上げてくれる、最高の相棒になるはずですよ。






