編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、12月17日にリリースされた待望の新弾「紅蓮ブレイズ」によって激変した環境で、どのデッキを使えば勝てるのか、特に噂の「ジバコイル」はどう組めば最強なのか気になっていると思います。
これまでの速攻環境とは異なり、進化ポケモンが覇権を握る新時代において、勝率を安定させるための構築論やプレイングに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事を読み終える頃には、運要素すらも味方につける「ジバコイルシトロン」デッキの全貌を理解し、ランクマッチで連勝するための具体的な道筋が見えているはずです。
- 新サポ「シトロン」がもたらした進化デッキ革命の全容
- 「オドリドリ型」と「エレザード型」の完全運用マニュアル
- VSミュウツー・ピカチュウ・水デッキへの全方位対策
- 勝率を1%でも上げるための確率論とプレイングの極意
それでは解説していきます。
紅蓮ブレイズ環境で「ジバコイル」が最強格として君臨する理由
「紅蓮ブレイズ」のリリースは、ポケポケ(Pokémon TCG Pocket)の対戦環境に地殻変動をもたらしました。これまで環境を支配していた「ピカチュウex」や「スターミーex」といった「たねポケモン主体の速攻デッキ」に対し、明確な回答を持った進化デッキがついに台頭してきたのです。
その筆頭こそが、今回徹底解説する「ジバコイル」です。なぜ今、ジバコイルなのか。単なる新カードだからという理由だけではありません。そこには、ゲームシステムの変化とカードプールの充実という、明確な根拠が存在します。
「シトロン」実装による進化事故の撲滅
これまでの進化デッキ(例えばフシギバナexやリザードンexなど)が抱えていた最大のリスクは、「進化カードが引けないことによる事故死」でした。どんなに強力な2進化ポケモンも、場に出せなければただの紙切れです。
しかし、新サポートカード「シトロン」の実装が全てを変えました。 シトロンの効果は、「山札から雷タイプの1進化ポケモンを最大2枚まで手札に加える」というもの。これは、従来の「モンスターボール」や「博士の研究」による不確定なドローに頼る必要がなくなったことを意味します。
手札にたねポケモン(コイルやエレキテル)さえいれば、シトロン1枚で次のターンの進化が「確定」します。この「再現性の高さ」こそが、競技シーンにおいて最も重視される要素であり、ジバコイルデッキが環境トップに躍り出た最大の要因です。
「運」を戦略に組み込む「ミラーショット」の支配力
ジバコイルの主力技「ミラーショット」は、90ダメージに加え、「コイントスでオモテなら次の番、ダメージや効果を受けない」という効果を持ちます。
一見すると「運ゲー」に見えるこの効果ですが、高回転で試行回数を稼ぐこのデッキにおいては、立派な「コントロール手段」となります。 50%の確率で無敵になるということは、相手視点で見れば「攻撃しても無駄になるかもしれないターン」が常に存在することを意味します。
特に、エネルギー供給がシビアなポケポケにおいて、必殺の攻撃を無効化された時の相手の損失は計り知れません。相手の思考を乱し、プランを崩壊させる。それがジバコイルの真の強さです。
HP50コイルとルチアによる初動の安定化
見落とされがちですが、進化元の「コイル」のステータス変更も追い風となっています。 あえてHP50のコイルを採用することで、サポートカード「ルチア」のサーチ対象に入ります。
- モンスターボール:コイントスで裏なら失敗
- ルチア:確定でサーチ可能
この違いは決定的です。初手にコイルを置ける確率が飛躍的に向上したことで、「たね切れ負け」という不条理な敗北が激減しました。序盤はルチアで盤面を固め、中盤はシトロンで進化させる。この黄金のムーブが確立されています。
最強デッキ①:鉄壁の要塞「ジバコイル×オドリドリ」型
まずは、守りとコントロールに特化した「ジバコイル×オドリドリ」型の構築を深掘りします。 この型は、相手の攻撃をいなしながら、ジバコイルの「ミラーショット」でじわじわとリソースを削り取る戦術を得意とします。
デッキコンセプトと採用カード解説
このデッキの核となるのは、「ジバコイルを場に維持し続けること」です。そのために必要なパーツが厳選されています。
ジバコイルライン(コイル・レアコイル・ジバコイル)
前述の通り、メインアタッカーです。基本的には2ライン(2-2-2)を立てることを目指します。レアコイルの時点でHPがそれなりにあるため、進化の過程で倒されにくいのもメリットです。
オドリドリ(雷タイプ)
このデッキの影の主役です。役割は多岐にわたります。
- 壁役(クッション):逃げるエネルギーが少ないため、ジバコイルが倒された後や、ナツメでベンチを呼び出された際の一時的な壁として優秀です。
- 混乱バラ撒き:「ふらふらオドリ」で相手を混乱状態にできれば、相手は攻撃失敗のリスク(50%)を負うことになります。ジバコイルの無敵判定(50%)と合わせれば、相手の攻撃が通る確率はわずか25%まで低下します。
- サブアタッカー:小回りの利く技で、ジバコイルが削り残した相手を処理します。
その他のトレーナーズ
- シトロン:進化パーツのサーチ。このデッキのエンジン。
- ナツメ:相手のベンチのシステムポケモン(育てている途中のたねポケモンなど)を引きずり出し、ジバコイルで狩るための必須カード。
- きずぐすり:確定数をずらすために採用。ミラーショットで無敵になれなかったターンをカバーします。
理想的な試合運び(ターン別ムーブ)
序盤(1〜2ターン目):盤面形成
最優先事項は、ベンチにコイルを2体並べることです。 バトル場はオドリドリか、HP50コイル(倒されてもいい前提)で耐えます。 先行ならエネルギーをコイルに手貼り。後攻ならサポート(ルチアや博士)を使ってパーツを集めます。
中盤(3〜5ターン目):進化と攻撃開始
シトロンを使用し、手札にレアコイルを一気に2枚加えます。 そのまま進化させ、エネルギーが溜まり次第、ジバコイルへと最終進化。 ここから「ミラーショット」の連打が始まります。 相手が大型ポケモン(exなど)を出してきた場合は、迷わず攻撃して試行回数を稼ぎましょう。
終盤(6ターン目以降):詰めの作業
相手の残りHPとサイド枚数を確認します。 もしジバコイルが倒されそうになったら、無理に守らずに2体目のジバコイルを準備。 ナツメを使って相手の手負いのポケモンを呼び出し、サイドを取り切って勝利します。
苦手な相手への対処法
この型が苦手とするのは、一撃必殺級の火力を持つ「リザードンex」や、状態異常を無効化してくる一部のカードです。 リザードン対面では、進化される前にヒトカゲ・リザードの段階でナツメを使って呼び出し、処理することが重要です。
最強デッキ②:電光石火の速攻「ジバコイル×エレザード」型
続いて紹介するのは、攻撃性能を極限まで高めた「ジバコイル×エレザード」型です。 こちらは「やられる前にやる」をコンセプトに、現環境に多い水タイプデッキをカモにするために開発されました。
エレザード採用のメリット:120ダメージの壁
ジバコイルの「ミラーショット」は90ダメージ。これは多くの非ルールたねポケモンを倒せますが、HP100以上のポケモンには耐えられてしまいます。 この「あと少し足りない」火力を補うのがエレザードです。
エレザードは、条件さえ整えば120ダメージ近い火力を叩き出します。 この120という数字は、ポケポケ環境において「確殺ライン」と呼ばれる重要な数値です。
- 多くの1進化ポケモン
- たねポケモンのex(サンダーexやファイヤーexなど) これらを一撃で葬り去ることができるため、相手に反撃の隙を与えません。
シトロンによる「ダブルサーチ」戦術
この型の最大の強みは、シトロンのバリュー(価値)が最大化される点にあります。 シトロンは「雷タイプの1進化」であれば何でも持ってこれます。
つまり、手札にシトロンが1枚あれば、状況に応じて以下の選択が可能です。
- 防御プラン:レアコイルを2枚持ってきて、ジバコイル要塞を作る。
- 攻撃プラン:エレザードを持ってきて、即座に高火力を叩き込む。
- 混合プラン:レアコイルとエレザードを1枚ずつ持ってきて、攻守のバランスを取る。
この柔軟性が、ランクマッチのような有象無象のデッキと当たる環境では非常に強力です。
対水デッキ(ゲッコウガ・スイクン)完全攻略
現環境で猛威を振るう「ゲッコウガex」や「スイクンex」。 これらの水デッキに対して、このエレザード型は圧倒的な有利を誇ります。
対スイクンex スイクンexはHPが高いですが、雷弱点です。 エレザードで弱点を突けば、一撃で気絶させることができます。 相手がスイクンを育てている間に、裏でエレキテルにエネルギーを溜め、進化と同時にワンパンする動きが理想です。
対ゲッコウガex ゲッコウガの「げっこうしゅりけん」はベンチ攻撃が厄介です。 HPの低いコイルやエレキテルが狙われます。 対策としては、「進化を急ぐ」ことです。 シトロンを使って最速でレアコイルやエレザードに進化してしまえば、HPが90〜100になり、手裏剣の圏外(90ダメージ耐え)に逃げることができます。 また、「大きなマント」を採用してHPを底上げするのも有効な対策です。
ジバコイルデッキが苦手とする「メタカード」への回答
最強に見えるジバコイルデッキですが、弱点がないわけではありません。 ここでは、環境で見かける「ジバコイル対策」に対するカウンターアクションを伝授します。
① ダグトリオ(闘タイプ)への対策
闘タイプは雷タイプの弱点です。特にダグトリオは少ないエネルギーで高火力を出し、ジバコイルを一撃で倒してきます。
対策:オドリドリとナツメの活用 闘タイプのポケモンは逃げるエネルギーが重い傾向にあります。 オドリドリで混乱にしたり、ナツメでベンチの育っていないポケモンを呼び出して時間を稼ぎます。 まともに殴り合わず、相手のエネルギーリソースを枯らす戦法に切り替えましょう。
② アーボック(毒・ロック)への対策
「紅蓮ブレイズ」で強化された毒デッキも厄介です。逃げられないロックと毒ダメージで、ミラーショットの無敵判定に関係なく削ってきます。
対策:入れ替え手段の確保 「スピーダー」などの入れ替えトレーナーズを1〜2枚採用しておくと安心です。 また、進化することで状態異常は回復するため、あえて進化を1ターン待つというプレイングも重要になります。
構築の幅を広げる!採用候補カード徹底レビュー
テンプレート構築だけでなく、環境に合わせて入れ替えたいカードを紹介します。
アカギ(サポート)
相手のベンチポケモンを手札に戻させる強力なカード。 特に、アメを使って進化した2進化ポケモン(リザードンexなど)に対して撃つと、相手は再びアメとたねポケモンを揃え直さなければならず、致命的なテンポロスを与えられます。 進化デッキが増えている今、評価が急上昇している1枚です。
マチス(サポート)
サイド差がある時に強力な効果を発揮する逆転カード。 ジバコイルデッキは序盤に準備が必要で、サイドを先行される展開も珍しくありません。 捲り性能を高めたいなら採用の余地ありです。
ゴツゴツメット(ポケモンのどうぐ)
攻撃してきた相手にダメージを与える道具。 ジバコイルのHPは高いため、攻撃を1発耐えることが多いです。その際に相手にダメージを与えておけば、返し技での確定数をずらすことができます。 特にミラーショットの90ダメージ+ゴツメのダメージで、HP100〜110ラインを見れるようになるのが大きいです。
プレイヤーへのアドバイス:コイントスにイライラしないために
最後に、このデッキを使う上でのメンタル面のアドバイスです。
ジバコイルデッキを使っていると、必ず訪れるのが「コイントスで裏が出続ける」瞬間です。 「50%で無敵」というのは、逆に言えば「50%で無防備」ということです。
重要なのは、**「表が出ることを前提にプランを組まない」**ことです。 「表が出ればラッキー、裏でも耐えられるように盤面を作る」のが上級者の思考です。 具体的には、
- 次のターンに倒されてもいいように、後続のコイルをベンチに置いておく。
- 相手のサイド枚数を計算し、ここでジバコイルを捨てても負けないか確認する。
このように、最悪のケース(全裏)を想定して動くことで、メンタルの安定と勝率の向上が手に入ります。
まとめ
「紅蓮ブレイズ」環境におけるジバコイルシトロンデッキは、決して運だけのデッキではありません。 緻密な計算と、環境への深い理解、そして最新カードのシナジーによって成立している、現環境屈指の**「Tier1(最強格)」デッキ**です。
記事のポイントおさらい
- シトロン+ルチアの黄金コンボで、進化デッキとは思えない安定感を実現。
- オドリドリ型は耐久重視、エレザード型は速攻重視。自分のスタイルに合わせて選択可能。
- 水デッキには圧倒的有利、苦手な闘デッキもプレイングでカバー可能。
- ミラーショットは防御技ではなく、相手にプレッシャーを与える最強のコントロール技である。
まだこのデッキを試していない方は、ぜひ一度組んでみてください。 相手の攻撃を無効化し、一方的に攻め立てる快感は、一度味わうと病みつきになります。 さあ、ジバコイルと共に、紅蓮ブレイズ環境の頂点を目指しましょう!
筆者情報
筆者:桐谷シンジ フリーランスのゲーム攻略ライター。慶應大学卒業後、大手出版社を経て、現在に至る。幅広いゲームに携わるが、主にRPG/FPS/サンドボックス系のゲームを得意とする。最近の悩みは趣味の時間が取れず、積みゲーが100作品を超えたこと。座右の銘は「確率は収束する」。






