編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、前作『XY』から今作『ZA(M次元ラッシュ)』に至るまでの間に、一体カロス地方で何が起きたのか、特にミアレシティの変貌ぶりが気になっていると思います。
平和だったはずのパリ……いや、ミアレシティがなぜあのような世紀末的な「ワイルドゾーン」に変貌してしまったのか。 かつての英雄やチャンピオンたちはどこへ消えたのか。
この記事を読み終える頃には、5年間の空白期間に起きた「治安悪化の真実」と「キャラクターたちの数奇な運命」についての疑問が解決しているはずです。
- カロス最大の都市「ミアレシティ」がスラム化した根本的な原因
- プリズムタワー崩壊と「AZ装置(アンジュ)」の暴走による環境変化
- フラダリ、AZ、マチエールら主要キャラクターの衝撃的なその後
- 消えたスカイバトルと新たに生まれた「カフェ・ヌーヴォ」の光と闇
それでは解説していきます。
XYからZAへの5年間でミアレシティに起きた「治安崩壊」の全貌
『ポケットモンスター XY』のエンディング、私たちはカロス地方を救い、盛大なパレードで祝福されました。しかし、『ZA(および拡張コンテンツ:M次元ラッシュ)』で描かれる5年後の世界は、決して輝かしい未来ではありませんでした。
なぜ、あの美しかったミアレシティが、野生ポケモンが闊歩し、住民が去りゆく「魔境」となってしまったのか。その背景には、政治的な失策と、抑えきれないエネルギーの暴走という、極めてリアリティのある(そして救いのない)事情が絡み合っています。
最終兵器事件が招いた「人口流出」とスラム化の引き金
全てのきっかけは、やはり5年前の「フレア団」による最終兵器事件です。
『XY』当時、主人公の活躍によって世界は救われましたが、一般市民の視点に立ってみてください。足元から巨大な花のような兵器が出現し、世界を焼き払おうとしたのです。このトラウマはカロス全土を震撼させました。
主人公がパレードで称えられようとも、市民の恐怖は拭えません。「ミアレシティは危険だ」という認識が広まり、富裕層を中心に凄まじい勢いで人口流出(ドーナツ化現象以上の空洞化)が始まりました。
人が減れば、店が潰れる。 店が潰れれば、治安が悪化する。 空き家が増えれば、そこに「訳あり」な人間が住み着く。
これが、ZAにおけるミアレシティがどこか殺伐とし、アンダーグラウンドな雰囲気を醸し出している最大の要因です。
プリズムタワーの暴走と「メガエネルギー」の漏出事故
人口流出に拍車をかけたのが、ミアレシティの象徴である「プリズムタワー」の異変です。
事件の2年前から、プリズムタワーは制御不能な暴走状態に陥っていました。内部から「メガエネルギー」が漏れ出し、その強烈な波動に誘われるようにして、野生のポケモンたちが市街地に集まり始めたのです。
それだけではありません。漏れ出したエネルギーはポケモンを興奮させ、時には「暴走進化」を引き起こすこともありました。
街中で突然、凶暴化したポケモンが暴れまわる。 そんな場所に、普通の神経をした一般市民が住み続けられるわけがありません。
結果として、地下価格は暴落。 「訳あり物件」として安くなった土地に、危険を顧みないトレーナーや、社会からはみ出したアウトローたちが集まるようになり、街の住人の質が劇的に変化してしまったのです。
無能な市政と「ワイルドゾーン」という狂気の再開発
これほどの危機的状況に対し、ミアレシティの行政はどう動いたのか。 残念なことに、当時の市政は機能不全を起こしていました。
人口減少による税収減で行政サービスは低下。追い詰められた市長は、独断でとんでもない再開発計画を打ち出します。
それが、市街地の一部を**「ワイルドゾーン」**として隔離し、あえて野生ポケモンを放置して観光資源化するという狂気の政策です。
「ポケモンと共存する美しい街」という建前とは裏腹に、実際は「対処しきれないから隔離して見世物にする」という丸投げの姿勢。野生ポケモンの管理や根本的な解決は、新興企業である「クエーサー社」に委託され、市は責任放棄状態となっていました。
この結果、一般市民の生活エリアと、危険なワイルドゾーンが隣り合わせになるという、歪な都市構造が完成してしまったのです。
残留した市民の変貌と「異次元ミアレ」の発生
ZAの街を歩いていると、NPCたちの会話が妙に殺伐としていたり、ぶっ飛んでいたりすることに気づきませんか?
「芸術は爆発だ」と叫びながら自分のポケモンを自爆させる芸術家。 スラム化した区画で、営業を続ける謎のカフェ。 掲示板になりきって直立し続ける男。
これらは全て、過酷な環境に適応しようとして精神の均衡を崩した、あるいは元々タフすぎる精神を持っていた「残留組」の成れの果てです。
さらにDLC『メガ次元ラッシュ』では、漏れ出したエネルギーが空間すら歪め、「異次元ミアレ」なる現象まで発生。治安が悪化するどころか、物理法則すら乱れるカオスな状態に、ツッコミ役のキャラクター(デウロなど)が疲弊するのも無理はありません。
5年の歳月で消えた施設と変貌した文化
街の雰囲気が変われば、そこにある施設や文化も変わります。 『XY』では当たり前だったものが消え、新たな(そして少し歪な)文化が芽吹いています。
廃止された「スカイバトル」の悲しき末路
皆さんは「スカイバトル」を覚えていますか? 『XY』独自のルールで、空を飛べる、あるいは浮いているポケモンしか参加できない空中戦です。
結論から言うと、この文化はZAの時代には完全に廃れています。
理由は単純。 「参加条件が厳しすぎる」 「3Dグラフィックの都合で参加できない飛行ポケモン(ポッポなど)がいてややこしい」 「そもそも人気が出なかった」
ZAの時代では、「スカイバトルを復活させたい」と願う一部のマニア(サイドミッション69の依頼人など)が細々と活動しているのみ。しかし、周囲のトレーナーからの評価は散々で、「いらない」「思い出の中でじっとしていてくれ」と辛辣な言葉を浴びせられています。
一時代の徒花として消えていった文化。これもまた、5年という歳月の残酷さを表しています。
フレア団の跡地と「カフェ・ヌーヴォ」の台頭
かつてフラダリが経営していた「フラダリカフェ」。 赤い内装がおしゃれだったあの場所は、事件後に人が寄り付かなくなり、完全な廃墟と化しました。
しかし、その跡地や意思を継ぐ形で現れたのが**「カフェ・ヌーヴォ」**です。
彼らはキッチンカースタイルで営業を展開し、安さと立地の良さ、そして貧しい人々への無償提供(炊き出しに近い活動)で支持を集めています。 実はこのカフェ、運営メンバー全員が**「元フレア団の関係者」および「元団員の子供たち(2世)」**なのです。
リーダーのグリや、看板娘のグリーズちゃんたちは、かつて「選ばれた人間」として育てられた子供たち。フレア団解散後は世間から白い目で見られ、壮絶な差別と迫害を受けました。
それでも彼らはグレることなく、「フラダリ様が最初に抱いていた『美しい世界を作る』という理想」を、正しい形で実現しようと奮闘しています。 社会への復讐ではなく、奉仕を選んだ彼らの姿は、荒廃したミアレにおける数少ない「良心」と言えるでしょう。
瓦礫に埋もれた「ミアレジム」とシトロンの不在
プリズムタワーが廃墟化したことで、当然ながら内部にあった「ミアレジム」も消滅しました。
かつてのジムリーダー、シトロンとその妹ユリーカは現在、ミアレシティを離れています。 シトロンは「発明王」、ユリーカは「クイズ王」として別の場所で名を馳せているようですが、故郷の危機に彼らが戻ってこなかった(あるいは戻れなかった)理由は、作中では明確に語られていません。
ただ、タワー内部に「AZ装置(アンジュ)」などという危険物が隠されていたことを、シトロン自身も知らなかった可能性が高いでしょう。自分が守っていたジムが、実は街を汚染する元凶の上に建っていた。その事実は、彼にとってあまりに重いものだったのかもしれません。
主要キャラクターたちの「その後」と隠された真実
世界が変われば、人も変わります。 『XY』で出会ったあの人たちは、5年後の世界でどう生きているのでしょうか。
記憶を失った男「F」ことフラダリの贖罪
『XY』のクライマックスで、最終兵器の崩落に巻き込まれ、生死不明となっていたフラダリ。 彼は生きていました。しかし、その姿はあまりに衝撃的です。
コードネーム**「F」**。 燃え尽きた灰のような真っ白な髪。 左目は失明し、光を失っている。 そして、記憶の大半を失った「空っぽ」の状態。
彼は崩落現場から、伝説のポケモン「ジガルデ」と、周囲のポケモンたちによって救出されました。 かつて人間を憎み、世界をリセットしようとした男が、ポケモンたちによって「生かされた」のです。
記憶を失ったことで、彼の心からは歪んだ選民思想が抜け落ち、元来持っていた「純粋に世界を良くしたい」という善性が表出しています。 彼は今、自分が何者かもわからぬまま、しかし「何かをなさねばならない」という使命感だけで、荒廃した世界を救う旅を続けています。
3000年の時を生きることになるかもしれない不死の呪いを背負いながら、彼は終わりのない贖罪の道を歩み始めたのです。
路地裏の少女から「名探偵」へ成長したマチエール
『XY』のクリア後ストーリー(ハンサムイベント)で涙を誘った少女、マチエール。 彼女の成長は、ファンにとって最も嬉しいニュースの一つです。
5年後の彼女は、ミアレ一番の凄腕探偵として、ハンサムから受け継いだ「ハンサムハウス(現在はマチエール探偵事務所か?)」を切り盛りしています。
かつては字も読めず、路地裏でその日暮らしをしていた彼女が、今ではZAロワイヤルの上位ランカーとも渡り合えるほどの実力者に。 パートナーであるニャスパーの「もこお」と共に、多忙な日々を送っています。
彼女が着ているスーツ(恐らくエクセラスーツの改良版)は、かつて敵対し、後に和解した科学者クセロシキから託されたもの。 「大人の事情」に翻弄された少女が、今や立派な大人として、混沌とするミアレの治安を影から守っているのです。
3000年の王「AZ」の最期と「就活」
『XY』の物語の鍵を握っていた、3000年前の王、AZ。 ZAのストーリーは、実質的に彼の人生の「幕引き(就活)」を描いたものでした。
彼がかつて愛するフラエッテのために(あるいは食材として)作った装置。 それがプリズムタワー内部に隠されていた**「AZ装置(アンジュ)」**です。 本来は「永遠の命を分け与える」ための装置でしたが、長い時を経て暴走し、今回の騒動の元凶となってしまいました。
AZは、自らの過去の遺産が引き起こした災厄を止めるため、主人公や「MZ団」に協力を依頼します。 そして、すべての決着がついた後、彼は静かにその生涯を閉じました。
『メガ次元ラッシュ』では、彼がこと切れたことが明確に描写されています。 3000年もの間、愛するポケモンを探して彷徨い続けた男は、最後に自分の尻拭いを終え、ようやく安らかな眠りにつくことができたのです。
衝撃の事実:カルネの娘「クラゲ(アンジュ)」
ZAおよびDLCのストーリーで最もプレイヤーを驚かせたのが、新キャラクター「クラゲ(アンジュ)」の正体です。
物語中盤、彼女が**「元チャンピオン・カルネの娘」**であることが判明します。
これには伏線がありました。 『XY』当時、カルネはチャンピオンでありながら、フレア団の事件にあまり深く関わってきませんでした。 「女優業が忙しいから」というのが表向きの理由でしたが、時系列を考えると、当時の彼女は0歳〜2歳の乳幼児(クラゲ)を抱えていたことになります。
チャンピオンとしての責務、大女優としての仕事、そして極秘の子育て。 これらを一人で背負っていたとすれば、彼女が事件現場に駆けつけられなかったのも納得です。
なお、父親に関する情報は一切不明。このあたりの「語られなさ」も、カルネという女性のミステリアスさを深めています。
データで見る「XY」と「ZA」の比較まとめ
ここで、5年間の変化をわかりやすく表にまとめてみましょう。
| 項目 | XY時代(5年前) | ZA時代(現在) | 備考 |
|---|---|---|---|
| ミアレシティ | 芸術と観光の都 | 治安悪化、ワイルドゾーン化 | 地下暴落、スラム化進行 |
| プリズムタワー | ミアレシティの象徴(ジム有) | 廃墟、立入禁止 | メガエネルギー漏出源 |
| スカイバトル | 一部で流行 | 完全消滅 | 黒歴史扱い |
| フレア団 | テロリスト集団(解散) | カフェ・ヌーヴォ(慈善団体) | 2世たちが更生を目指す |
| フラダリ | フレア団ボス | 記憶喪失の「F」 | 贖罪の旅へ |
| マチエール | 路地裏の少女(エスプリ) | 凄腕の名探偵 | ハンサムの跡を継ぐ |
| AZ | 放浪者 | 死亡(成仏) | 過去の清算を完了 |
| カルネ | チャンピオン兼女優 | 女優業に専念 | 娘(クラゲ)の存在が判明 |
まとめ:カロス地方の「再生」はまだ始まったばかり
『XY』から『ZA』への5年間。 それは、華やかなカロス地方の「メッキ」が剥がれ落ち、隠されていた膿が一気に噴き出したような期間でした。
しかし、絶望だけではありません。
- 過去の過ちを正そうとする「カフェ・ヌーヴォ」の若者たち。
- ハンサムの意志を継ぎ、街を守るマチエール。
- そして、全てを失ってもなお、前を向いて歩き出したフラダリ。
破壊された街の中で、確かに新しい「再生」の芽は育っています。 ミアレシティがかつての輝きを取り戻せるのか、それとも全く新しい形の都市へと進化するのか。
私たちプレイヤーは、この混沌とした(しかしどこか魅力的な)世界を、最後まで見届ける必要があります。
もし、まだ『ZA』やDLC『M次元ラッシュ』をプレイしていない方がいれば、ぜひ自分の目でこの「激変した世界」を確かめてみてください。 きっと、5年前には見えなかった「ポケモンの世界のリアル」が、そこにはあるはずです。
※補足情報:攻略班からのメモ 今回の記事で触れた「デウロ」がティエルノの異母兄弟であるという設定や、AZ装置の暴走メカニズムについては、ゲーム内のアーカイブやサイドミッションをコンプリートしないと見えてこない情報も含まれています。特にDLCエリアの探索は難易度が高いですが、ストーリー理解には不可欠ですので、レベル上げを怠らないようにしましょう。








