ゲーム評論家の桐谷シンジです。今回も多く寄せられている質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、ついに『Pokémon LEGENDS Z-A』で解禁された「ミュウツー」の性能や、ランクマッチでの立ち位置が気になっていると思います。 特に、過去作でも猛威を振るった「メガミュウツーX・Y」が、本作の環境でどのような暴れ方をしているのか、そして誰が最強なのかを知りたいという声が非常に多いです。
この記事を読み終える頃には、現在のランクマッチ環境における勢力図と、ミュウツーを主軸とした(あるいは対策とした)構築の疑問が解決しているはずです。
- メガミュウツーYの圧倒的火力と特殊性能の解説
- Tier形式による現環境最強ポケモンの詳細な格付け
- 対ゼルネアス・ジガルデを想定したメタゲームの考察
- ドリュウズやスピアーなど意外な伏兵の活用法
それでは解説していきます。
ランクマッチ環境における「メガシンカ」復活の衝撃と影響
『Pokémon LEGENDS Z-A』において、多くのプレイヤーが待ち望んでいた「メガシンカ」のシステムが本格的にランクマッチへ導入されました。これまでの対戦環境は、ダイマックスやテラスタルといったシステムに依存していましたが、メガシンカの復活は、純粋な「種族値の暴力」と「タイプの変化」による読み合いを極限まで加速させています。
特に、伝説のポケモンであるミュウツーにメガシンカが与えられたことの影響は計り知れません。カロス地方(ミアレシティ)を舞台にした本作において、遺伝子操作によって生み出されたこのポケモンの存在感は、ストーリーだけでなく対戦環境においても絶対的なものとなっています。
これまでの環境では、ゼルネアスによる「ジオコントロール」からの全抜き性能が理不尽とまで言われていました。しかし、メガミュウツーX・Yの解禁により、そのパワーバランスは大きく崩れ、再構築されつつあります。まずは、この環境激変の核となっているメガミュウツーの性能について、深く掘り下げていきましょう。
メガミュウツーYが最強と言われる理由とその真価
現環境のランクマッチにおいて、使用率トップをひた走っているのが「メガミュウツーY」です。なぜXではなくYなのか。その理由は明確で、本作のゲームスピードと特殊アタッカーとしての完成度が群を抜いているからです。
まず特筆すべきは、その圧倒的な「特攻(C)」種族値です。メガシンカ後のC種族値は全ポケモン中でもトップクラスであり、ここから繰り出されるタイプ一致の「サイコブレイク」は、受け出しを許さない破壊力を持っています。サイコブレイクは特殊技でありながら、ダメージ計算は相手の「防御(B)」を参照するため、特殊受け(ハピナスやラッキーなど)で止まらないという強みがあります。これが、メガミュウツーYが「受けループキラー」として機能する最大の要因です。
さらに、素早さの高さも重要です。本作のランクマッチでは、先手を取って高火力を押し付ける「対面構築」が主流です。メガミュウツーYは、多くの伝説ポケモンや高速アタッカーの上から行動できるため、相手に何もさせずに倒し切るというムーブが可能になります。
加えて、私が実際にプレイしていて感じるのは「技範囲の広さ」です。 エスパー技以外にも、ガブリアスやジガルデといったドラゴンタイプに刺さる「れいとうビーム」、鋼タイプへの打点となる「だいちのちから」や「かえんほうしゃ」、さらには自身の火力をさらに引き上げる「わるだくみ」まで習得します。これにより、相手のパーティを見てから技を選択するのではなく、どの相手が来ても対応できるという汎用性の高さを誇っています。
メガミュウツーXの物理性能と意表を突く強さ
一方で「メガミュウツーX」が弱いのかと言えば、決してそうではありません。むしろ、Yが流行すればするほど、Xの価値が相対的に上がっていくという現象が起きています。
メガミュウツーXの最大の特徴は、タイプが「エスパー・かくとう」に変化し、攻撃(A)種族値が爆発的に上昇することです。これにより、本来エスパータイプが苦手とするあくタイプ(バンギラスやサザンドラなど)に対して、タイプ一致の格闘技で弱点を突くことが可能になります。
現在のランクマッチでは、「ミュウツーを見たら特殊受けを出す」という思考が定石化しつつあります。そこに物理型のメガミュウツーXを投入することで、相手のプランを根底から崩壊させることができます。いわゆる「役割破壊」としての性能は、Xの方が優れていると言えるでしょう。
また、耐久面においてもXは優れています。Yは物理耐久がやや低めに設定されていますが、Xは物理・特殊ともに高水準な耐久力を持っています。これにより、多少の攻撃ならば耐えて反撃に転じることが可能です。特に先制技が飛び交う現環境において、物理耐久の高さは安定感に直結します。
ゼルネアス支配からの脱却と新たなメタゲーム
これまでの環境を支配していたゼルネアスですが、メガミュウツーの台頭により、その「理不尽さ」は相対的に薄れてきました。ゼルネアスの強みは、パワフルハーブを持たせて1ターンで特攻・特防・素早さを2段階上昇させる「ジオコントロール」にありました。これを通せば勝ち、通せなければ負け、という大味なゲーム性が批判の対象となることもありました。
しかし、メガミュウツーYは、ジオコントロールを積まれる前に高火力で圧力をかけることができます。また、仮に積まれたとしても、ミュウツー側の「サイコブレイク」はゼルネアスの上昇した特防を無視して(B参照のため)ダメージを通せるため、打ち合いで競り勝てる可能性が高いのです。
プレイヤーたちの間では「ゼルネアスは理不尽だが、ミュウツーは純粋な力勝負」という認識が広まりつつあります。これは、ミュウツーがあくまで種族値と技範囲で戦うポケモンであり、ギミックに依存していないためでしょう。この「強さが分かりやすい」という点も、使用率の増加に拍車をかけています。
最新ランクマ最強ポケモンTierランキング
ここからは、現在のランクマッチにおけるポケモンの強さをTier形式で紹介します。評価基準は「単体性能」「採用率」「環境への適応度」の3点を重視しています。
Tier SS:環境の中心・絶対王者
【メガミュウツーY】
- 役割: 特殊エース、全抜きスイーパー
- 解説: 文句なしの環境トップです。高い素早さと特攻、そして「サイコブレイク」による疑似両刀性能が凶悪です。「わるだくみ」を積んだ状態の火力は、半減タイプですら受けきれません。唯一の懸念点は物理耐久の脆さですが、先制して倒せば問題ないという極論を地で行く性能です。対策必須ですが、対策しても止められないことが多々あります。
Tier S:トップメタ・構築の軸
【ゼルネアス】
- 役割: 積みエース
- 解説: ミュウツーにトップの座を譲ったとはいえ、依然として強力です。フェアリーオーラによる火力の底上げと、ジオコントロール成功時の制圧力は健在。ミュウツー対策の悪タイプを狩れるため、ミュウツーと組ませる構築も存在します。ただし、対策が徹底されているため、以前ほどイージーウィンはできません。
【メガミュウツーX】
- 役割: 物理エース、役割破壊
- 解説: Yの影に隠れがちですが、環境に刺さっています。特にバンギラスやラッキー入りの受け構築を粉砕できる点が評価されています。Yだと思って特殊受けを投げた相手を絶望させる快感は、このポケモンでしか味わえません。
【ジガルデ(パーフェクトフォルム)】
- 役割: 物理耐久、詰め
- 解説: HPが減少するとフォルムチェンジし、膨大なHPを得る耐久お化け。「とぐろをまく」や「サウザンアロー」による詰ませ性能が高いです。ミュウツーYのれいとうビームが4倍弱点となるため注意が必要ですが、テラスタル(もし採用されていれば)等でタイプを変えれば要塞化します。
Tier A:環境の補完・メタ枠
【ドリュウズ】
- 役割: 物理アタッカー、スピンー
- 解説: ミュウツー環境における最大の勝ち組と言えます。鋼・地面というタイプ構成が優秀で、ゼルネアスのフェアリー技、ミュウツーのエスパー技(半減はできないが、高いHPで耐える調整も)に対して強く出られます。特に「すなかき」運用や「かたやぶり」によるロトム狩りなど、器用な立ち回りが可能です。
【メガゲンガー】
- 役割: 特殊アタッカー、道連れ
- 解説: 特性「かげふみ」によるロック性能が凶悪。有利対面を作って確実に1体持っていく運用や、苦手な相手を「みちづれ」で処理する動きが強力。ミュウツーより素早さが低い場合が多いですが、立ち回り次第で完封も可能です。
【イベルタル】
- 役割: 物理/特殊アタッカー、先制技
- 解説: 特性「ダークオーラ」で悪技の威力を上げ、「ふいうち」で縛る動きがミュウツーに対して有効です。ただし、メガミュウツーXの格闘技や、Yのサブウェポン(フェアリー技などあれば)には注意が必要です。
Tier B:特定の役割で輝く
【ギルガルド】
- 役割: クッション、特殊/物理アタッカー
- 解説: フォルムチェンジによる攻防一体の性能。ミュウツーのサイコブレイクをシールドフォルムで受け、シャドーボールで反撃する動きが基本です。ただし、Yのだいちのちから等で弱点を突かれるリスクも増えています。
ドリュウズが再評価される理由と運用法
今回のTierランキングで注目していただきたいのが、Tier Aに位置する「ドリュウズ」です。一見すると伝説・準伝説が跋扈する環境において力不足に見えるかもしれませんが、実は現在の環境に極めてマッチしています。
ミュウツー・ゼルネアス両対応の可能性
ドリュウズの強みは、その優秀な耐性にあります。鋼タイプを持つことで、ゼルネアスのメインウェポンであるフェアリー技を半減で受けることができます。また、毒技無効、電磁波無効(地面タイプ)という耐性も、状態異常技が飛び交うランクマでは大きなアドバンテージとなります。
攻撃面においても、地面技と鋼技の範囲が優秀です。多くの伝説ポケモンは鋼タイプへの打点を持っていますが、ドリュウズは「きあいのタスキ」を持たせることで行動保証を得やすく、返しの一撃(じしんやアイアンヘッド)で致命傷を与えることができます。
メガミュウツーYとの相性補完
ドリュウズは、実はメガミュウツーYの相方としても非常に優秀です。 ミュウツーYが苦手とするゴースト技や悪技を、ドリュウズがある程度受けることは難しいですが、攻めの相性補完としては機能します。ミュウツーが苦手なバンギラスなどの特殊耐久の高いポケモンをドリュウズが処理し、ドリュウズが苦手な物理受けや格闘タイプをミュウツーが吹き飛ばす。この相互関係が成り立ちます。
また、相手が「スカーフドリュウズ」を警戒して動きが止まることも多く、選出画面にいるだけで相手の選出を歪ませる圧力を持っています。私の実戦経験でも、ドリュウズを選出した試合は、相手のメガミュウツーYに対して「一撃耐えてからの反撃」が決まりやすく、勝率が安定していました。
技構成のトレンド
現在のドリュウズの技構成は以下のようなものが主流です。
- じしん: 必須のメインウェポン。安定した高火力。
- アイアンヘッド: フェアリー(ゼルネアス)への打点。怯み効果も狙える。
- いわなだれ / がんせきふうじ: 飛行タイプ(イベルタル、ホウオウなど)への打点。S操作も兼ねる。
- つのドリル / つるぎのまい: 受けポケモンを無理やり突破するための役割破壊技、または抜き性能を高める積み技。
特に「つのドリル」は、耐久型の伝説ポケモン(ジガルデやルギアなど)を強引に突破する手段として採用率が上がっています。
ランクマッチを勝ち抜くための立ち回り術
Tier表を理解したところで、実際の対戦における立ち回りについて解説します。特にメガミュウツーYを使用する場合、あるいは相手にする場合の注意点です。
「わるだくみ」を積むタイミングの見極め
メガミュウツーYを使用する場合、いかに「わるだくみ」を積むかが勝敗を分けます。Cが2段階上昇したミュウツーYの攻撃を受けられるポケモンは存在しません。
積むタイミングとしては、以下のシチュエーションが理想です。
- 壁サポート下: クレッフィやオーロンゲ、あるいは記事ソースにもあったブラッキーなどで「リフレクター」「ひかりのかべ」を展開した後。
- 有利対面での流し際: 相手が交代せざるを得ない場面(例:フシギバナ対面など)で、交代先に負担をかけるために積む。
- 相手の補助技読み: 相手が「ステロ」や「どくどく」などの補助技を使ってくるターンを読む。
特に壁展開からの展開は強力です。耐久に難のあるYでも、壁があれば一発耐えて積むことが可能になり、そのまま3タテコースに入れます。
「ふいうち」択の管理
ミュウツーを使う上で最も警戒すべき技が「ふいうち」です。イベルタルやメガクチート、ガルーラなどが習得しています。先制攻撃技であるため、素早さに関係なく攻撃されます。
これに対する回答はいくつかあります。
- 「みがわり」の採用: ふいうちを透かしつつ、有利な状況を作れます。
- 変化技の使用: わるだくみや「おにび」などの変化技を選択すれば、ふいうちは失敗します。これを利用して相手のPPを枯らしたり、起点にするプレイングが重要です。
- サイコフィールドの展開: カプ・テテフやイエッサン(※本作での解禁状況による)でサイコフィールドを展開すれば、先制技を無効化できます。
対メガスピアーの処理ルート
意外な天敵として挙げられるメガスピアーですが、対処法を知っていれば怖くありません。メガスピアーは耐久が極端に低いため、先制技(しんそく、かげうち等)圏内に入りやすいです。
また、メガミュウツーYであっても、耐久調整を施していれば、相手の「とんぼがえり」程度なら耐えることができます。しかし、基本的には不利対面なので、対面してしまった場合は素直に引くか、壁などのサポートを前提に立ち回るべきです。逆に言えば、相手のパーティにスピアーがいる場合は、初手で出されやすいので、それに合わせた選出(スカーフ持ちや先制技持ち)を合わせるのが定石です。
HP管理と「ねがいごと」サイクルの有用性
メガミュウツーYは消耗が激しいポケモンです。命の珠を持たせることはできませんが(メガストーン固定のため)、相手の攻撃を一度でも受けると機能停止しやすくなります。
そこで、ブラッキーなどの耐久ポケモンと組ませた「ねがいごと」サイクルが有効です。ブラッキーが攻撃を受け、後攻「ねがいごと」→「バトンタッチ」や交代でミュウツーを無償降臨させつつ回復させる動きは、単純ですが強力です。 特にブラッキーは悪タイプなので、ミュウツーが苦手なゴースト・悪技を受けてくれます。この相性補完は非常に美しく、レート上位帯でもよく見かける並びです。
今後の環境予測とメタの変遷
現在はメガミュウツーYが覇権を握っていますが、メタゲームは常に回り続けます。今後の環境はどう変化していくのでしょうか。
あくタイプ・ゴーストタイプの増加
ミュウツー対策として、悪タイプ(バンギラス、ブラッキー、イベルタル)やゴーストタイプ(ギルガルド、ミミッキュ)の採用率はさらに上がるでしょう。特に「こだわりスカーフ」を持ったサザンドラや、チョッキを持ったバンギラスなど、対面性能を高めた型が増えると予想されます。
トリックルームの復権
高速アタッカー環境へのアンチテーゼとして、「トリックルーム」パーティが見直される可能性があります。メガミュウツーYもメガスピアーも、トリックルーム下では最遅の弱者となります。 ディアルガやツンデツンデ、あるいはポリゴン2などを軸にしたトリル展開は、高速化する環境に一石を投じることになるでしょう。
未解禁・DLCポケモンの影
『Pokémon LEGENDS Z-A』のアップデートやDLCで、さらなる伝説ポケモンが解禁される可能性もあります。特に、ウルトラネクロズマやムゲンダイナといった規格外のポケモンが参戦すれば、Tierランキングは再び激変します。しかし、現時点ではメガシンカポケモンのパワーが頭一つ抜けている状態が続くでしょう。
まとめ
今回は、『Pokémon LEGENDS Z-A』のランクマッチにおける最新最強ポケモンランキングと、メガミュウツーを中心とした環境考察を行いました。
改めて、今回の記事のポイントを整理します。
- メガミュウツーYは圧倒的な火力と範囲で環境トップに君臨している。
- メガミュウツーXは受け崩しとして優秀で、Yとの読み合いが強力。
- ドリュウズは攻守の補完に優れ、現環境のメタ枠として輝く。
- ゼルネアス依存の環境は終わり、より攻撃的な対面構築が主流へ。
ランクマッチは日々研究が進み、昨日の最強が今日の対策済みになる世界です。しかし、メガミュウツーYが持つポテンシャルは、小手先の対策で止まるレベルを超越しています。
もしあなたが、まだどの伝説ポケモンを軸にするか迷っているなら、迷わずメガミュウツーYを育成してみてください。「わるだくみ」からの「サイコブレイク」で相手のパーティが消し飛んでいく爽快感は、本作のランクマッチにおける最大の醍醐味と言えるでしょう。
もちろん、それを使う側だけでなく、使われる側としての対策も怠ってはいけません。今回紹介したドリュウズやブラ






