編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、これまでランクマッチを支配していた「ゼルネアス一強環境（通称：奈良公園）」が、あるポケモンの登場によってどのように崩壊したのか、そして現在の環境がどう変化したのかが気になっていると思います。
「鹿（ゼルネアス）が減ったと思ったら、もっと恐ろしい怪物が現れた」「イベルタルの居場所はどこにあるのか」「これからの対策はどうすればいいのか」。そんな不安や疑問を抱えているトレーナーも多いことでしょう。
この記事を読み終える頃には、現在のミュウツー環境の全貌と、具体的な対策、そして今後のランクマッチの勝ち筋についての疑問が解決しているはずです。
- ゼルネアスによる奈良公園環境がミュウツー実装により完全崩壊
- ミュウツーの強さは「サイコブレイク」と「読めない型」にある
- イベルタルはタイプ相性有利なはずがサブウェポンで駆逐される
- 環境への対抗策としてスピアーや悪・格闘複合が再評価されている
それでは解説していきます。
ランクマの奈良公園が閉園し「ミュウツー環境」へ移行
ゼルネアス一強時代「奈良公園」の終焉
これまで『ポケモンレジェンズ Z-A（以下ZA）』のランクマッチにおいて、圧倒的な使用率を誇っていたのがゼルネアスです。そのあまりの遭遇率の高さから、ランクマッチのフィールドは「奈良公園」と揶揄されてきました。
ゼルネアスの強さは、強力な積み技「ジオコントロール」による特攻・特防・素早さの同時2段階上昇にありました。一度積まれてしまえば、特殊アタッカーでは突破不可能となり、全抜きされるのが日常茶飯事でした。多くのトレーナーが「鹿対策」を強いられ、パーティ構築の幅が著しく狭まっていたのが実情です。
しかし、その「奈良公園」は唐突に閉園を迎えました。伝説のポケモン「ミュウツー」の実装です。トレーナーたちの間では「鹿が山に帰っていった」「奈良公園が更地になったと思ったら、今度はハナダの洞窟になった」といった声が上がっています。これは単なる環境の変化ではなく、一つの時代の終わりと、より凶暴な支配者の誕生を意味しています。
救世主か破壊神か？ミュウツーの襲来
ミュウツーの登場は、まさに環境を破壊する劇薬でした。これまでゼルネアスに苦汁をなめさせられていたプレイヤーたちからは、「鹿環境を終わらせに来た英雄」として歓迎する声がある一方で、「お前が最強ならまあいいよ」という諦観に近い称賛も送られています。
これまでの伝説環境、特にゼルネアス環境は、ジオコントロールを積むか積まれるかという、ある種の大味なゲーム展開になりがちでした。しかし、ミュウツーの登場はそれを一変させました。ミュウツーは積み技に依存せずとも、素のスペックだけで環境を制圧できる力を持っています。
特に評価されている点は、「ゼルネアスをワンパンできる」という単純かつ明確な強さです。これまで誰も止められなかった暴走する鹿を、上からの一撃で沈めることができる。この一点において、ミュウツーはZA環境の「必要悪」であり「秩序」となったのです。
「鹿環境」から「マツゲ（ミュウツー）環境」への変化
現在、SNSや掲示板では、今の環境をミュウツーの鋭い眼光になぞらえてか、あるいはその圧倒的な存在感からか、「マツゲ環境」や「魔境」と呼ぶ声が増えています。
ゼルネアスが減少したことで、これまでゼルネアスに抑圧されていたポケモンたちが息を吹き返すかと思いきや、現実はそう甘くありませんでした。ゼルネアスがいなくなった枠にそのままミュウツーが収まり、さらにミュウツー対策のポケモンが蔓延るという、より高度で複雑な環境へと移行しています。
「鹿は逃げ回る（ジオコンを積む隙を探る）のが不快だったが、ミュウツーは正面から殴り合ってくれるからまだ楽しい」という意見も見られます。これは、伝説戦特有の理不尽さの中に、バトルとしての駆け引きが戻ってきたことを示唆しているのかもしれません。
ミュウツーがゼルネアスを駆逐できた理由
専用技「サイコブレイク」の仕様と噛み合い
なぜミュウツーはここまでゼルネアスに強いのでしょうか。最大の要因は、専用技「サイコブレイク」の性能にあります。
サイコブレイクは特殊技でありながら、ダメージ計算において「相手の防御（B）」を参照するという特殊な仕様を持っています。これが対ゼルネアスにおいて劇的な効果を発揮します。
- ゼルネアスの特徴: ジオコントロールで「特防（D）」を上げる。防御（B）は上がらない。
- サイコブレイクの効果: 特防ランク補正を無視するわけではないが、元々物理耐久がそこまで高くないゼルネアスの「防御」を参照してダメージを与える。
つまり、ゼルネアスがいくら瞑想やジオコンで特防を固めようとも、サイコブレイクの前では紙同然の物理耐久を晒すことになるのです。トレーナーからは「瞑想で一番多い特殊型に、多少積まれてもサイコブレイクでジオコン無視できるのが偉い」と絶賛されています。
圧倒的な素早さと「メガシンカ」の読み合い
ミュウツーのもう一つの武器は、その圧倒的な素早さと、メガシンカの分岐（X・Y）による「型の読めなさ」です。
| ポケモン | 素早さ種族値 | 備考 |
|---|---|---|
| ミュウツー (通常) | 130 | 多くの禁伝を上回る |
| メガミュウツーY | 140 | ゼルネアスを確実に抜く |
| メガミュウツーX | 130 | 物理型への変化 |
| ゼルネアス | 99 | スカーフかジオコン必須 |
メガミュウツーYになれば特攻種族値は194に達し、上からサイコブレイクを撃ち込むだけでゼルネアスは致命傷を負います。一方で、相手が「Yだろう」と高を括って特殊受けを出してくれば、メガミュウツーXに進化して物理攻撃（ドレインパンチ等）で粉砕する。この「後出しジャンケン」的な強さが、相手に極度のプレッシャーを与えます。
「物理なら2回叩けば大体死ぬのは偉い」「型が読めないから対策が難しい」という声こそが、ミュウツー最強の証明と言えるでしょう。
豊富な技範囲と「大地の力」の習得
今作のミュウツーにおいて特筆すべきは、その技範囲の広さです。「大地の力」を習得したことが、環境に大きな影響を与えています。
従来、エスパー技を半減・無効化する鋼タイプや悪タイプは、ミュウツーの天敵でした。しかし、大地の力を標準搭載したことで、鋼タイプへの打点を確保。さらに、冷凍ビームでガブリアスや飛行タイプを、10万ボルトでイベルタルや飛行タイプを牽制できます。
「しれっと大地の力を覚えているのが偉い」「初代から技マシンが豊富だったが、ZAでもその器用さは健在」と評価されています。エスパー技が通らない相手に対しても、サブウェポンで弱点を突き、高火力で押し切る。これが「全対応」と言われる所以です。
タイプ相性を無視するミュウツーの火力
「ミュウツーY」の特攻種族値194の暴力
メガミュウツーYの特攻種族値194という数値は、ポケモンの歴史においても異常な数値です。ここから放たれる攻撃は、等倍であればほとんどのポケモンを確定1発〜2発圏内に捉えます。
「XになってもA190、YになってもC194って何なんだよ」「やっぱすげえな、680族の配分じゃない」と、数値の暴力に驚愕する声が後を絶ちません。
特に「サイコブレイク」と「サイコキネシス」の両採用すら検討される事態になっています。「サイコブレイクが無難に強いので採用したいが、サイコキネシスも強いというのは今までにない悩み方だ」という贅沢な悩みは、ミュウツー使い特有のものでしょう。
物理耐久の低さは「やられる前にやる」でカバー
唯一の弱点として挙げられるのが、物理耐久の低さです。「物理耐久下がるのも偉いな（バランス調整的な意味で）」「ガブリアスくらいの耐久はあるが、禁伝の中では柔らかい」という評価が一般的です。
しかし、ミュウツーはその弱点を補って余りある素早さと火力を持っています。「やられる前にやる」が成立するため、耐久の低さが致命傷になりにくいのです。また、先制して物理アタッカーを処理してしまえば、耐久の低さは問題になりません。
さらに、「ミ2（ミュウツー）対策の物理ポケモンも、上からの特殊技で焼かれる」という事態が頻発しており、生半可な物理アタッカーでは対策になり得ないのが現状です。
涙のイベルタル｜なぜ悪タイプなのに勝てないのか
本来有利なはずの「悪タイプ」の敗北
ゼルネアスが減ったことで、本来であれば3すくみの関係にあるイベルタル（悪・飛行）が復権するはずでした。タイプ相性上、エスパータイプのミュウツーに対してイベルタルは圧倒的に有利です。エスパー技は無効、こちらの悪技は抜群。
しかし、現実は非常残酷でした。「イベルタルが熱いと思ったら、全然そんなことなかった」「不甲斐ないわイベルタル」と、嘆きの声が溢れています。
なぜ有利なはずのイベルタルが勝てないのか。その理由は、ミュウツーのサブウェポンと、イベルタル自身の微妙な素早さにあります。
「10万ボルト」「冷凍ビーム」による返り討ち
ミュウツーは高確率で「10万ボルト」や「冷凍ビーム」を採用しています。 イベルタルは飛行タイプを併せ持っているため、これらの技が抜群で通ってしまいます。
- 素早さ: ミュウツー（130〜140） ＞ イベルタル（99）
- 展開: ミュウツーが先制 → 10万ボルトor冷凍ビーム → イベルタルは大ダメージまたは即死
「ミュウツーは10万使えるだろうから逆に狩られる」「リベルタル（イベルタル）最大のウィークポイントは避けられない10万」という分析通り、対面しても上からサブウェポンで処理されてしまうのです。
さらに、ゼルネアスも10万ボルトを持っているケースが多く、「鹿からもミュウツーからも10万が飛んでくる魔境」において、イベルタルの居場所は完全に失われてしまいました。
3すくみが崩壊した現在の食物連鎖
本来のゲームバランスであれば、以下の3すくみが成立するはずでした。
- ゼルネアス ＞ イベルタル
- イベルタル ＞ ミュウツー
- ミュウツー ＞ ゼルネアス
しかし、ZA環境においてはこれが成立していません。
- ミュウツー ＞ ゼルネアス（サイコブレイクで突破）
- ミュウツー ＞ イベルタル（サブウェポンで突破）
- ゼルネアス ＞ イベルタル（相性通り）
結果として、「ミュウツーが頂点に君臨し、その下にゼルネアス、さらに下にイベルタル」という歪な構造が出来上がってしまいました。「右下（イベルタル）本当に左下（ミュウツー）に有利取れてます？」という悲痛な叫びが、現状を物語っています。
ミュウツー包囲網｜トレーナーたちが見出した対抗策
メガスピアーの意外な復権
この絶望的なミュウツー環境において、一筋の光明として注目されているのが「メガスピアー」です。
- 適応力: タイプ一致技の威力が2倍になる特性。
- とどめばり・ミサイルばり: 連続技や高火力虫技。
- 素早さ: メガシンカでS145となり、メガミュウツーY（S140）の上を取れる。
「ゼルネアスにもミュウツーにも一致弱点つける優秀なメガ進化ポケモンがいるんですよ。スピアーって言うんですけど」という書き込みにある通り、メガスピアーは上からの「とんぼがえり」や虫技で、耐久の低いミュウツーをワンパンできる可能性があります。
「エスパー弱点だから挑む前に帰りにやられる」というリスクはありますが、決まれば爽快な「ミュウツーキラー」として、一部の玄人たちに愛用され始めています。
悪・格闘複合（ゴロンダ・ズルズキン）の可能性
ミュウツーのメインウェポン（エスパー）を無効化しつつ、サブウェポンの「大地の力（地面）」「10万ボルト（電気）」「冷凍ビーム（氷）」などを等倍以下で受けられるポケモンとして、悪・格闘タイプが注目されています。
- ゴロンダ: 「捨て台詞」でサイクルを回せ、高い攻撃力で負担をかけられる。「ゴロンダ大暴れしてるから鹿以外のフェアリーが欲しい」と言われるほどの活躍を見せています。
- ズルズキン: 高い耐久力を持ち、ビルドアップ等で詰め筋を作れる。「もろち（諸刃の頭突き）したいからズルズキンにする」といった意見もあり、カスタマイズ性が高いです。
ただし、彼らには天敵がいます。それが「フェアリータイプ」です。ミュウツー対策のために悪・格闘を入れると、今度は生き残っているゼルネアスにカモにされる。このジレンマが、構築を難しくさせています。
グソクムシャの「出会い頭」という奇襲
ZA環境において、独自の立ち位置を築いているのがグソクムシャです。
- 出会い頭: 威力90の虫技。優先度+2で先制できる。
- 特性「ききかいひ」: HPが減ると自動で交代する。
「グソクムシャのZAに適用しすぎてる種族値」「ハチマキ出会い頭で突っ込まれて一撃でミュウツー落ちたわ」という報告が多数上がっています。 優先度+2の先制技である「出会い頭」は、ミュウツーの圧倒的な素早さを無視して弱点を突くことができます。物理耐久が低めのミュウツー（特にY）にとって、これは致命傷になり得ます。
チョッキを持たせて特殊耐久を上げたり、ハチマキで火力を底上げしたりと、ミュウツー対策の筆頭候補として評価が急上昇しています。
ワルビアル・ハッサムの採用理由
その他、環境に適応するために採用率を伸ばしているポケモンたちがいます。
- ワルビアル（悪・地面）: 電気無効、エスパー無効。ミュウツーの「10万ボルト」「サイコブレイク」の両方を無効化できる稀有な存在。「なんかワルビアルの採用が増えてると思ったら電気とエスパーの両方を受けれるのか」と再評価されています。
- ハッサム（虫・鋼）: エスパー半減、氷等倍、フェアリー半減。テクニシャン補正の乗る先制技「バレットパンチ」や、虫技「とんぼがえり」が強力。「チョッキハッサムありかも」「飛びかかるとか覚えてる技構成」など、対特殊アタッカー性能が見直されています。ただし、ミュウツーが大文字や火炎放射を持っていると即死するため、ギャンブル要素は残ります。
今後の環境予想と「ミュウツーZ」への期待
研究が進めば「ミュウツー対策」は確立されるか
現在はミュウツー実装直後の「お祭り状態」であり、対策が追いついていない側面もあります。「ミュウツーの対策考えたらミュウツーに行きついちゃった」という声があるように、現在は「目には目を、ミュウツーにはミュウツーを」という状態です。
しかし、時間の経過と共に、より洗練された対策枠が確立されていくでしょう。特に「悪・地面」や「虫・鋼」といった複合タイプ、あるいは「突撃チョッキ」を持たせた特殊受けの物理アタッカーなどが、環境のメタとして機能し始めるはずです。
また、「壁張り電流（オーロンゲなど）」のようなサポート要員が、ミュウツーの攻撃を耐えて裏のエースに繋ぐ戦術も復権する可能性があります。
さらなる混沌？メガシンカの先にあるもの
ZAというタイトルの性質上、まだ見ぬ「メガシンカ」や新たなフォルムチェンジが隠されている可能性があります。 トレーナーたちの間では「これでメガミュウツーZとか来たら全然ありえると思う」「Z来ても素早さくらいしか残ってないんだよな」といった憶測が飛び交っています。
もし、更なる強化形態や、新たな伝説ポケモンが追加されれば、現在の「ミュウツー一強」もまた、過去のものとなるかもしれません。しかし現状では、この「最強の遺伝子」を持つポケモンを中心に、メタゲームが回っていくことは間違いありません。
まとめ
今回の記事では、ポケモンZAのランクマッチにおける劇的な環境変化、特にミュウツーによる「奈良公園（ゼルネアス環境）」の崩壊について解説しました。
- 奈良公園の閉園: ゼルネアス一強時代は終わり、ミュウツーが新たな支配者となった。
- ミュウツーの理不尽な強さ: 「サイコブレイク」による疑似物理攻撃と、メガシンカX・Yの読み合い、広範囲な技構成が環境を制圧している。
- イベルタルの苦悩: 本来有利なはずが、素早さとサブウェポンの差でミュウツーに勝てず、不遇な立ち位置にいる。
- 対策の糸口: メガスピアー、グソクムシャ、悪・格闘複合、ワルビアルなどが、対ミュウツーの切り札として研究されている。
かつての「鹿をどう止めるか」という環境から、「ミュウツーとどう殴り合うか」という環境へ。火力インフレは進みましたが、読み合いの要素が増したことで、バトルの奥深さはむしろ増していると言えるでしょう。
この「ミュウツー祭り」を楽しみつつ、自分だけの対策ポケモンを見つけ出し、ランクマッチの荒波を乗り越えていきましょう。最強のポケモンを倒した時こそ、トレーナーとしての真価が問われるのですから。
