編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、ランクマッチS4から解禁された「メガセグレイブ」の圧倒的な火力と、実際のランクマッチ環境での運用方法が気になっていると思います。DLCで追加されたこの新たな力が、果たして環境をどのように変えているのか、そして「最強」という噂は本当なのか、その真実に迫りたいと考えていることでしょう。
この記事を読み終える頃には、メガセグレイブの最適な技構成や努力値振り、そして環境トップメタであるサーフゴーやガブリアスとの対面における立ち回りなど、メガセグレイブ運用に関する全ての疑問が解決しているはずです。
- メガセグレイブの「きょけんとつげき」はリスクを背負うだけの破壊力がある
- 素早さ不足という明確な弱点をどうカバーするかが勝利への鍵となる
- 鋼タイプ(特にサーフゴー)への対策なしでは選出自体が厳しい
- ガブリアスとの差別化は「つららばり」によるタスキ貫通性能にある
それでは解説していきます。
メガセグレイブの基礎知識:破壊力の源泉
ランクマS4で解禁されたDLCの目玉
ポケモンレジェンズZA(以下、ポケモンZA)のダウンロードコンテンツ(DLC)がついに配信開始となり、それに伴いランクマッチのレギュレーションもシーズン4(S4)へと移行しました。この新シーズンにおける最大の目玉の一つが、DLCストーリーのクリア報酬などで入手可能な「メガストーン」を使用したメガシンカポケモンの解禁です。
その中でも、パルデア地方から登場し、本作でも高い人気を誇る600族ドラゴン「セグレイブ」のメガシンカ形態、「メガセグレイブ」に注目が集まっています。通常のセグレイブでさえ、高い攻撃種族値と優秀な専用技を持っていますが、メガシンカによってそのステータスはさらに強化されています。
多くのトレーナーが「メガセグレイブで環境を破壊できるのではないか」と期待を寄せ、ランクマッチ初期環境では使用率が急上昇しています。私自身も実際に報酬で「セグレイブナイト」を入手し、ランクマッチの荒波に揉まれてきました。その経験と収集したデータに基づき、このポケモンの真価を紐解いていきます。
圧倒的な攻撃種族値と特性のシナジー
メガセグレイブ最大の特徴は、何と言ってもその「攻撃力」です。性格「いじっ張り(攻撃補正)」で育成し、攻撃努力値を極振り(A252)した際の火力は、等倍であれば多くのポケモンを確定1発、半減であっても受け出しを許さないほどの数値を叩き出します。
さらに、メガシンカによって耐久種族値も底上げされており、並大抵の攻撃では倒れないタフさも兼ね備えています。しかし、ここで重要になるのが「素早さ」のラインです。メガシンカによるステータス上昇の恩恵は大きいものの、劇的に素早さが上がるわけではなく、現代の高速アタッカー環境においては「鈍足」の部類に入ってしまいがちなのが現状です。
この「圧倒的な火力」と「物足りない素早さ」というアンバランスさをどう扱うかが、メガセグレイブ使いの腕の見せ所と言えるでしょう。単にAボタンを連打していれば勝てるポケモンではなく、盤面を整え、ここぞという場面で火力を押し付けるプレイングが求められます。
専用技「きょけんとつげき」のロマンとリスク
セグレイブを象徴する技であり、メガセグレイブにおいても主力となるのが、ドラゴンタイプの物理技「きょけんとつげき」です。威力120、命中100という破格の性能を誇りますが、この技には強烈なデメリットが存在します。
それは「技を使用した次のターン、相手から受ける攻撃が必中になり、かつ受けるダメージが2倍になる」というものです。つまり、相手を倒しきれなかった場合、あるいは後続のポケモンに死に出しされた場合、ほぼ確実に致命傷を負うことになります。
通常のセグレイブであれば「こだわりハチマキ」や「こだわりスカーフ」を持たせて奇襲をかけることも可能でしたが、メガセグレイブの場合は持ち物が「メガストーン」に固定されるため、道具による補正なしでこのリスクと向き合う必要があります。しかし、そのリスクを背負ってでも撃つ価値があるほどの火力が、この技にはあるのです。まるで「フレアドライブ」や「もろはのずつき」を撃つ時のような、身を削って相手を粉砕する爽快感こそが、メガセグレイブを使用する最大の醍醐味と言えるでしょう。
氷技の選択:つららばり vs つららおとし
メガセグレイブのメインウェポンとなる氷技の選択も、トレーナーを悩ませるポイントです。主な候補は以下の2つです。
- つららおとし:威力85、命中90。30%で怯みの追加効果。
- つららばり:威力25、命中100。2〜5回連続攻撃。
安定した威力を求めるなら「つららおとし」ですが、命中不安(90%)が常に付きまといます。ここぞという場面で外して負ける、という経験をしたトレーナーは少なくないでしょう。一方、「つららばり」は威力こそ不安定ですが、命中は100%であり、何より「きあいのタスキ」や「マルチスケイル」を貫通できるという大きなメリットがあります。
S4環境には「ガブリアス」が依然として多く存在しており、その多くが「きあいのタスキ」を持っています。近距離で対面した際、つららおとしではタスキで耐えられて返り討ちに合う可能性がありますが、つららばりであれば(回数次第ですが)貫通してワンパンすることが可能です。この「対ガブリアス性能」を重視し、今回のレビューでは「つららばり」の採用を強く推奨します。
鋼タイプへの対抗策:じしんの重要性
ドラゴン・氷という攻撃範囲は非常に優秀ですが、両方を半減以下に抑え込んでくる天敵が存在します。それが「鋼タイプ」です。特に環境トップメタである「サーフゴー」や、高耐久の「ヒードラン」「ハッサム」などは、メインウェポンだけでは突破が困難です。
そこで必須となるのが、地面技の「じしん」です。鋼タイプに対して抜群を突けるだけでなく、技範囲の補完として非常に優秀です。ただし、メガセグレイブは「じしん」をタイプ不一致で撃つことになるため、タイプ一致の地面アタッカー(ガブリアスやランドロスなど)と比べると火力は劣ります。
「つるぎのまい」で攻撃ランクを上昇させていれば、H振りの鋼タイプも一撃で葬り去ることが可能ですが、素の状態で交代際の鋼タイプに撃っても耐えられるケースが多々あります。この「あと少し火力が足りない」というジレンマが、メガセグレイブ運用の難易度を上げている要因の一つです。
最適なビルド構成の考察
性格といじっぱり採用の理由
今回のレビューで推奨する性格は「いじっぱり(攻撃↑ 特攻↓)」です。メガセグレイブの最大の長所である攻撃力を極限まで高めるため、これ以外の選択肢はほぼないと言っても過言ではありません。
「ようき(素早さ↑)」を採用して最速にする選択肢もありますが、元々の素早さ種族値が激戦区の下に位置しているため、最速にしたところで抜ける相手が劇的に増えるわけではありません。中途半端に素早さを上げるよりも、受け出しを許さない絶対的な火力を確保し、サイクル戦で負担をかけ続ける方が、このポケモンの強みを活かせると判断しました。
努力値振りの最適解:HAベース
努力値配分に関しては、以下の振りが最も安定感があります。
- HP (H):252
- 攻撃 (A):252
- 防御 (B):4
いわゆる「HAぶっぱ」と呼ばれる構成です。素早さに振らない理由は前述の通り、中速帯での争いよりも耐久と火力を重視するためです。HPに252振ることで、メガシンカ後の耐久上昇と合わせて、不一致弱点程度なら余裕で耐える耐久力を得ることができます。
防御に余りの4を振っていますが、これは物理環境であることを意識しての調整です。もちろん、ダウンロード対策などで特防(D)に4振るのもありでしょう。この耐久力があるからこそ、後攻での「きょけんとつげき」や、相手の攻撃を耐えてからの「つるぎのまい」という動きが可能になります。
技構成の完成形
数多の実戦を経て辿り着いた、現環境におけるメガセグレイブの結論技構成は以下の通りです。
- きょけんとつげき:最大火力のロマン砲。撃つタイミングを見極める必要がある。
- つららばり:タスキ貫通の安定氷技。ガブリアス絶対倒すマン。
- じしん:鋼タイプへの役割遂行技。技範囲の補完。
- つるぎのまい:崩し性能を高める積み技。受けループ破壊用。
この4つの技スペースは非常に激戦です。他にも優秀な技はありますが、現環境で「勝つ」ためにはこの4つがベストバランスであると考えます。
採用を見送った技とその理由
構成を練る段階で候補に上がりつつも、最終的に採用を見送った技についても解説しておきます。
- スケールショット:2〜5回攻撃しつつ、防御を下げて素早さを1段階上げる技。素早さ不足を解消できる夢のような技ですが、鋼タイプやフェアリータイプに無効化される点が痛すぎます。特に鋼タイプが多い現環境で、メインウェポンの一つが無効化されるリスクは許容できませんでした。また、防御ダウンのデメリットも痛く、先制技(しんそく、バレットパンチなど)で縛られやすくなるのもマイナスポイントです。
- ドラゴンダイブ:威力100、命中75。怯み効果あり。「きょけんとつげき」のデメリットを嫌うなら選択肢に入りますが、命中75はあまりにも博打すぎます。外した瞬間に負けが確定する場面も多く、安定してランクマを勝ち抜くには不向きです。
- こおりのつぶて:先制技。あると便利ですが、技スペースが足りません。「つるぎのまい」を切って入れる手もありますが、そうすると高耐久ポケモンを突破できなくなるため、今回は見送りました。
ランクマッチS4環境での立ち回り
対サーフゴー:黄金の壁をどう崩すか
シーズン4においても、使用率トップクラスに君臨するのが「サーフゴー」です。ゴースト・鋼という優秀なタイプ複合、変化技を無効化する特性「おうごんのからだ」により、メガセグレイブにとっても最大の障壁となります。
メガセグレイブがサーフゴーと対面した場合、相手は以下の行動をとってくる可能性が高いです。
- ゴールドラッシュ:高火力の鋼技。メガセグレイブは抜群で受けてしまいます。
- テラスタル:飛行テラスなどで「じしん」を透かしにくる。
こちらの有効打は「じしん」ですが、H振りサーフゴーに対しては一撃で落とせないことが多く、返しの「ゴールドラッシュ」で致命傷を負います。また、相手が「ふうせん」を持っていた場合、為す術がありません。
立ち回りとしては、安易にメガセグレイブで突っ張らず、まずは取り巻きでサーフゴーを削る、あるいはテラスタルを切らせることが重要です。サーフゴーのHPを半分程度まで削れば、メガセグレイブの「じしん」圏内に入ります。
対ガブリアス:宿命のライバル対決
同じドラゴン・地面タイプであり、600族のライバルである「ガブリアス」。S4環境では、メガシンカ枠を消費しない強力なアタッカーとして、メガセグレイブと比較される対象です。
素早さ種族値ではガブリアス(102)が圧倒的に上であり、単純な対面では先制されます。しかし、メガセグレイブには「つららばり」があります。相手が「きあいのタスキ」を持ったアタッカー型であれば、つららばりで貫通して処理できます。
問題は相手が「メガガブリアス」だった場合や、耐久型だった場合です。それでも氷技が4倍弱点であることに変わりはないため、有利対面であることは間違いありません。ガブリアスの「じしん」や「げきりん」を耐える耐久調整をしているかどうかが、勝負の分かれ目になります。
鋼テラス環境の向かい風
S4環境全体を見渡すと、鋼テラスタルを採用しているポケモンが非常に多いことに気づきます。カイリュー、サザンドラ、ラティオスなど、本来ドラゴン技や氷技が通る相手が、突然鋼タイプになって耐えてくるケースが頻発します。
メガセグレイブはメインウェポンがドラゴンと氷であるため、鋼テラスを切られると両方が半減以下になってしまいます。「じしん」を採用している理由の大部分はここにありますが、それでも相手のテラスタルを誘発し、読み合いを制する必要があります。「ここは鋼テラスしてくるだろう」と読んで「じしん」を選択する勇気が試される場面も多いでしょう。
素早さ不足による「詰め」の難しさ
実際に使用していて最も痛感するのが、やはり「足の遅さ」です。終盤、お互いのポケモンが消耗した状態で、メガセグレイブが最後に残ったとします。相手より速ければ「きょけんとつげき」で一掃して勝ちですが、相手より遅い場合、上から殴られて負けるパターンが非常に多いです。
「スケールショット」を採用しなかったツケがここで回ってくるわけですが、かといってスケイルショット型にすると鋼タイプで止まる。このジレンマこそが、メガセグレイブが「最強」になりきれない要因です。
そのため、メガセグレイブを運用する際は、必ず「素早さ操作」ができるサポート役(麻痺撒き、追い風、ねばねばネットなど)をパーティに入れることを強く推奨します。
メガセグレイブとガブリアスの比較
ここで、多くのトレーナーが抱く「結局、ガブリアスで良くない?」という疑問に答えるため、両者の性能を比較してみましょう。
| 項目 | メガセグレイブ | ガブリアス(通常) |
|---|---|---|
| 持ち物 | メガストーン固定 | 自由(タスキ、スカーフ、ハチマキ等) |
| 素早さ | 遅い(激戦区以下) | 速い(102族、激戦区を抜ける) |
| 火力 | 圧倒的(種族値+特性) | 高い(一致げきりん、じしん) |
| 対タスキ | 強い(つららばり、つららおとし) | 弱い(ダブルチョップ採用なら可) |
| 技範囲 | 氷・竜・地(範囲広め) | 地・竜・炎・岩(範囲広め) |
| 耐久 | 非常に高い | 平均以上 |
| 鋼への打点 | 不一致じしん | 一致じしん |
ガブリアスの優位性
表を見れば分かる通り、汎用性という点では「ガブリアス」に軍配が上がります。持ち物が自由であるため、スカーフで奇襲したり、タスキで行動保証を持たせたりと、カスタマイズ性が非常に高いです。また、タイプ一致の「じしん」を撃てるため、鋼タイプへの処理速度もガブリアスの方が上です。そして何より、貴重な「メガシンカ枠」を消費しません。
メガセグレイブの優位性
では、なぜメガセグレイブを使うのか。それは「瞬間的な破壊力」と「氷技の通り」にあります。ガブリアスにはない高威力の氷技をタイプ一致で撃てる点は、対ドラゴン、対飛行、対草において圧倒的なアドバンテージです。また、「きょけんとつげき」のロマン火力は、受けループなどの低速サイクルを強引に崩壊させるパワーを持っています。
結論として、「安定して勝ちたいならガブリアス」「サイクル崩壊や特定構築へのメタを張りたいならメガセグレイブ」という使い分けになります。
まとめ:メガセグレイブは環境の覇者になれるか?
ここまでメガセグレイブの性能とS4環境での立ち位置について解説してきました。総評として、メガセグレイブは「扱うには高度な技術と構築力が求められるが、ハマれば最強クラスの破壊力を持つポケモン」であると言えます。
- きょけんとつげきの運用:リスク管理を徹底し、ここぞという場面で撃つ。
- 素早さのケア:味方でのサポートや、相手の選出を読む力が不可欠。
- 鋼タイプ対策:サーフゴーなどを事前に削るルートを構築段階で用意する。
- つららばりの採用:対ガブリアス性能を確保し、役割対象を逃さない。
「ガブリアスで良い」という声もありますが、メガセグレイブにしかできない「氷の物理高火力」という役割は唯一無二です。特にドラゴンタイプが多い環境においては、その圧力は計り知れません。
使いこなすのは難しいですが、その分、読みが通って相手パーティを半壊させた時の快感は他では味わえません。この記事を参考に、ぜひ皆様もメガセグレイブを育成し、ランクマッチS4でその破壊力を体感してみてください。
皆様の良きポケモンライフを祈っております。






