編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、現在開催中の「M次元ラッシュ」において、海外勢の圧倒的な火力の前にランクが伸び悩んでいる、あるいは新しい構築の可能性を探している方が多いのではないでしょうか。特に、先日行われた海外大会でぶっちぎりの優勝を果たした「あの構築」の正体が気になっているはずです。
この記事を読み終える頃には、海外優勝パーティの全貌と、なぜその構成が最強と言われるのか、その立ち回りの極意とラグラージ対策まで含めた全ての疑問が解決しているはずです。
- 海外大会優勝「ダブルZ構築」の完全解剖
- ガラガラ・ポリゴンZ・アブソルの技構成と役割
- 環境トップのラグラージに対する明確な回答と対策
- 勝率8割超えを叩き出すための立ち回りと連携
それでは解説していきます。
海外大会優勝構築「ダブルZ」の概要と強さの秘密
今回紹介するのは、海外の「M次元ラッシュ」大会において、他を寄せ付けない圧倒的なパフォーマンスで優勝を飾った構築です。通称「ダブルZ」と呼ばれるこのパーティは、以下の3体で構成されています。
- ガラガラ(原種)
- ポリゴンZ
- アブソル(メガシンカ)
一見するとタイプ相性の補完がちぐはぐに見えるかもしれませんが、この3体は「M次元ラッシュ」という特殊なルール下において、驚異的なシナジーを発揮します。まずは、なぜこの3体が選ばれたのか、その環境的な背景から解説していきましょう。
海外メタと日本メタの決定的な違い
日本の環境では、安定した耐久力と広範囲への打点を持つ「ラグラージ」が採用率トップを独走しています。1試合に1体は必ず見かけるほどの人気ぶりです。しかし、海外環境ではラグラージの採用率は日本ほど高くありません。
海外勢が重視するのは「瞬間火力」と「奇襲性能」、そして「遮蔽物の利用」です。今回の優勝構築は、日本の安定志向とは真逆を行く、超攻撃的かつテクニカルな構成となっています。
「M次元ラッシュ」における役割分担
この構築の基本コンセプトは**「ガラガラで盤面を制圧し、ポリゴンZで壁を破壊し、アブソルで刈り取る」**というものです。
| ポケモン | 役割 | キーワード |
|---|---|---|
| ガラガラ | タンク兼・遠距離物理アタッカー | 遮蔽貫通・対電気性能 |
| ポリゴンZ | 特殊バーストアタッカー | 破壊光線・受け崩し |
| アブソル | 遊撃手(アサシン) | ヒット&アウェイ・無敵時間 |
次項からは、各ポケモンの詳細なビルドと立ち回りについて、深掘りして解説していきます。
ガラガラ:遮蔽物を無効化する重戦車
まずは、パーティの要であり、初手出し性能が非常に高いガラガラについて解説します。このガラガラは、アローラ(炎・ゴースト)ではなく、原種(地面)である点が最大のポイントです。
基本ステータスと育成方針
- 努力値配分: H(HP)ぶっぱ / 残りA(攻撃)またはB(防御)
- 性格: いじっぱり(攻撃↑ 特攻↓)または わんぱく(防御↑ 特攻↓)
- 持ち物: 太い骨(必須級)
耐久力を底上げすることで、前線での場持ちを良くしています。特に「M次元ラッシュ」では、乱戦時に被弾する回数が多いため、HP管理が勝敗を分けます。
技構成:常識を覆す「ロケットずつき」の採用
今回の優勝構築におけるガラガラの技構成は、非常にユニークかつ合理的です。
- ホネブーメラン
- ストーンエッジ
- ロケットずつき
ホネブーメラン(メインウェポン)
ガラガラ最強のメインウェポンです。この技の真価は「往復判定」と「射程」にあります。遠距離から敵を牽制できるだけでなく、戻ってくる骨にも判定があるため、回避行動をとった相手の背中にヒットすることもあります。
ストーンエッジ
対飛行タイプ、特に対面する機会の多いリザードンやファイアローへの打点です。高火力かつ急所ランクが高いため、一発逆転の要素も秘めています。
ロケットずつき(採用の肝)
ここが今回の構築の最大のミソです。通常であれば採用されにくいノーマル技ですが、以下の理由から採用されています。
- 防御バフ: 溜め動作中に防御力が上昇します。これにより、物理アタッカーとの殴り合いに強くなります。
- 遮蔽物貫通: 「ベンチ」や「壁」などの遮蔽物を貫通して攻撃判定が発生します。隠れている相手への奇襲として機能します。
- 移動性能: 攻撃時に一定距離を突進するため、鈍足なガラガラの貴重な移動手段となります。
実戦での立ち回り:対電気・対ガブリアス
初手でサンダースやピカチュウといった電気タイプと対面した場合、ガラガラは圧倒的有利に立てます。「ひらいしん」の有無に関わらず、地面タイプとして電気技を無効化できるため、相手に交代を強制できます。
また、「ロケットずつき」があることで、苦手なガブリアスに対してもある程度の抵抗が可能です。防御を上げつつ、等倍で通る高威力技を叩き込むことで、相手の計算を狂わせることができます。
ポリゴンZ:全てを粉砕する破壊の化身
次に紹介するのは、特殊アタッカーの頂点に君臨するポリゴンZです。このポケモンの役割は単純明快。「敵を溶かす」ことです。
緻密に計算されたステータス調整
情報ソースによれば、このポリゴンZはレベル51時点で以下のような調整が施されています。
- HP: 189(奇数調整)
- 特攻: 最大値まで極振り
- 防御: 余りを全投入
HPを奇数(189)に調整する理由は、ステルスロックや呪い、火傷などの定数ダメージを最小限に抑えるためです。また、今回は「命の珠」を採用しているため、珠ダメージの反動回数を意識した調整とも言えます。
技構成:受けループを崩壊させる4つの矢
- わるだくみ
- トライアタック
- 10まんボルト
- シャドーボール
わるだくみ
特攻を2段階上昇させる積み技。この構築では、ガラガラやアブソルがヘイトを買っている間に隙を見て積むことが重要です。一度積んでしまえば、半減だろうがなんだろうが強引に突破できる火力を得ます。
トライアタック(メインウェポン)
タイプ一致の超火力技。「命の珠」+「適応力(推定)」+「わるだくみ」が乗ったトライアタックは、ガブリアスなどの高耐久ポケモンですら、本来耐えるはずの「きあいのタスキ」ごと貫通して瀕死に追いやる可能性があります。
10まんボルト
トライアタックが通らない鋼タイプ(エアームドなど)や、水タイプへの打点です。
シャドーボール
ノーマル技が無効化されるゴーストタイプ(シャンデラ、サーフゴーなど)への打点です。
実戦での立ち回り:タスキ貫通のプレッシャー
最近の環境では、行動保証を得るために「きあいのタスキ」を持たせるプレイヤーが増えています。しかし、ポリゴンZの超火力の前ではタスキも無意味になることがあります。
特に「わるだくみ」後のトライアタックは、状態異常(麻痺・火傷・氷)の追加効果も期待できるため、ダメージで落としきれなくても状態異常で機能停止に追い込める点が凶悪です。
立ち回りのコツは、自分から前線に出ないこと。「1人落ち(相手が1体倒された状態)」を作り出した後や、味方が囮になっている瞬間に顔を出し、安全圏から破壊光線をばら撒くようなイメージで運用しましょう。
メガアブソル:戦場を駆ける白い死神
最後の一枠は、メガシンカ枠のアブソルです。このポケモンは、一般的なアタッカーとは異なり、非常にトリッキーな「遊撃手」としての運用が求められます。
技構成:環境に適応した完全メタ構成
- インファイト
- ゴーストダイブ
- つるぎの舞
- じゃれつく
本来のアブソルであれば「ふいうち」や「はたきおとす」などの悪技がメインとなりますが、この構築では悪技を一切採用していません。これが優勝の鍵です。
ゴーストダイブ(攻防一体)
姿を消して攻撃するゴースト技。姿を消している間は無敵状態となるため、相手の強力な攻撃(Z技や大技)をスカしながら、防御無視の攻撃を叩き込めます。最近増加しているシャンデラやサーフゴー、エルレイドに対して抜群を取れる点が優秀です。
インファイト
悪タイプが苦手とする鋼タイプや、同族、そして何よりポリゴン2やポリゴンZへの明確な殺意です。これにより、相手の耐久ノーマル枠を瞬殺できます。
じゃれつく
ドラゴンタイプ(セグレイブ、ガブリアス)への打点です。これにより、本来不利なドラゴン対面でも強気に立ち回れます。
つるぎの舞
火力の底上げ。流し際や、相手がアブソルの「マジックミラー」を警戒して補助技を撃てないターンに積みます。
実戦での立ち回り:ヒット&アウェイの美学
アブソルの運用で最も重要なのは**「居座らないこと」**です。
- 有利対面なら攻撃(インファイトやじゃれつく)。
- 不利対面、または技を撃ち終わったら即座に交代(ガラガラやポリゴンZへ)。
- 味方が削ったところを、最後にお掃除役として再登場。
このように、常に動き回り、相手に的を絞らせない動きが求められます。耐久力は紙なので、一度捕まれば即死します。しかし、「ゴーストダイブ」の無敵時間を活用することで、相手の攻撃ターンを枯らしつつ、一方的にダメージレースで優位に立つことが可能です。
ラグラージ包囲網:環境トップへの対策と課題
この構築の最大の懸念点は、やはり日本環境に多い「ラグラージ」への対処です。情報ソースの動画内でも言及されていましたが、ラグラージはこのパーティにとって天敵と言えます。
なぜラグラージが重いのか
- ガラガラ: 水技で即死。相性最悪。
- アブソル: 耐久が高く、一撃で落とせない。返しで倒される。
- ポリゴンZ: 唯一の突破口だが、先に展開されていないと押し負ける。
海外ではラグラージが少ないためこの構築が刺さりましたが、日本で使う場合は工夫が必要です。
具体的対策:Zパワーによるゴリ押し
ラグラージを突破する唯一の解は、「ポリゴンZのわるだくみ」または「Z技」による強行突破です。
- 序盤: ガラガラでラグラージ以外のポケモンを削る。ラグラージが出てきたら即座に引く。
- 中盤: ポリゴンZを安全に着地させ、死に出しか有利対面を作って「わるだくみ」を積む。
- 終盤: 積んだ状態のトライアタック、もしくは10まんボルトでラグラージを消し飛ばす。
もしラグラージがお盆の実やチョッキを持っていた場合、確定数はさらに厳しくなります。その場合は、アブソルの「じゃれつく」などで削りを入れ、自身が倒されることを前提に、後続のポリゴンZの圏内に入れるという「捨て身の戦術」も必要になります。
各ポケモンとの相性表(マッチアップリスト)
ここでは、ランクマッチでよく遭遇するポケモンとの相性を表にまとめました。
| 相手ポケモン | 有利な味方 | 立ち回りのポイント |
|---|---|---|
| ガブリアス | アブソル | じゃれつくで処理。ガラガラでもロケットずつきで抵抗可。 |
| サーフゴー | アブソル | ゴーストダイブで確殺。悪技警戒で引く相手を追撃。 |
| ポリゴン2 | アブソル | インファイトが刺さる。進化の輝石ごと粉砕。 |
| グレイシア | ガラガラ | ストーンエッジで抜群。ただしフリーズドライに注意。 |
| カイリュー | ポリゴンZ | マルスケをトライアタックで剥がし、追撃で落とす。 |
| ラグラージ | 不利 | 全力でポリゴンZを通すルートを作る。 |
まとめ:日本環境向けのアレンジ案
海外大会優勝構築「ダブルZ」は、間違いなく現環境における最強の一角です。しかし、そのまま日本サーバーに持ち込むにはラグラージという壁が存在します。
もしあなたがこの構築をベースに日本で勝ち上がりたいのであれば、以下のカスタマイズを推奨します。
- ポリゴンZの技変更: 「シャドーボール」または「10まんボルト」を、**「冷凍ビーム」や「ソーラービーム(Z技前提)」**に変更する。
- ガラガラの持ち物: 耐久を少し削り、火力特化にしてラグラージへの負担を増やす。
基本の動きである「ガラガラで荒らし、ポリゴンZで崩し、アブソルで狩る」という黄金パターンさえ習得すれば、勝率8割も夢ではありません。
まずはこの構成で数戦プレイし、アブソルの「ゴーストダイブ」の無敵時間の感覚や、ガラガラの「ロケットずつき」の移動距離を体に覚え込ませてください。慣れた頃には、あなたのランクは見違えるほど上がっているはずです。
今回のレビュー記事が、皆さんのM次元ラッシュ攻略の助けになれば幸いです。
補足:テクニカルな詳細データ
ガラガラの「ロケットずつき」仕様詳細
- 溜め時間: 約1.5秒(この間防御ランク+1)
- 判定発生: 溜め終了と同時に前方へ突進
- 貫通性能: マップ上のオブジェクト(ベンチ、街灯、破壊可能な壁)を貫通。ただし、地形(建物そのもの)は貫通しない。
ポリゴンZのHP調整「189」の数学的意味
HP実数値を「10n-1」にする珠ダメージ最小調整(19)と、「16n-1」にする定数ダメージ最小調整を複合的に考慮した結果です。
- H振り252ではなく、あえて少し削ることで、生存率を高める玄人好みの調整です。
メガアブソルの「ゴーストダイブ」回避フレーム
- 消えている時間: 約2ターン分(アクション換算で約3秒)
- この間は、必中技以外のすべての攻撃を受け付けません。
- 相手のダイマックス技やZ技の演出に合わせて発動することで、相手の切り札を完全に無駄撃ちさせることができます。
この構築を使って、ぜひ戦場の支配者となってください。それでは、良きポケモンライフを!







