編集デスク兼ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。今回も読者の皆様から多く寄せられている質問や話題について、徹底的に深掘りしてお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、今話題沸騰中の「デウロの家庭環境」について、そのあまりに重すぎる設定や、兄とされる人物との関係性が気になっていることと思います。SNSや掲示板でも「まさかあいつと兄弟だったなんて」「父親がクズすぎる」と阿鼻叫喚の嵐が吹き荒れていますよね。私も実際にプレイして、そのテキストを読んだ時はコントローラーを握る手が震えました。
この記事を読み終える頃には、デウロが抱える闇と、ティエルノとの意外な関係性、そしてM次元ラッシュ(ポケモンZA)が描こうとしている「家族の在り方」についての疑問がすべて解決しているはずです。
- デウロとティエルノは腹違いの兄妹である
- 父親の不倫が原因で家庭が崩壊している
- 兄であるティエルノはこの事実を知らない可能性が高い
- M次元ラッシュの登場人物は全員家庭環境が複雑である
それでは解説していきます。
デウロとティエルノの衝撃的な関係性
今作『M次元ラッシュ』において、プレイヤーたちに最も大きな衝撃を与えたのが、新キャラクター「デウロ」と、過去作(XY)に登場した「ティエルノ(通称:ダンシングデブ/DD)」との関係性です。
これまで明るいダンス少年として描かれてきたティエルノですが、今作で明かされた彼の家族背景は、あまりにも残酷で生々しいものでした。ここでは、判明した事実を整理し、なぜこれほどまでに話題になっているのかを解説します。
腹違いの兄妹という確定事項
ゲーム内のテキストやイベントから明らかになった最大の事実は、デウロとティエルノが「腹違いの兄妹」であるという点です。
単なる「生き別れの兄妹」であれば、RPGにはよくある設定かもしれません。しかし、本作で描かれているのは「不倫」「離婚」「認知」といった、非常に現実的でドロドロとしたキーワードが絡む関係性です。
ソース元の情報やゲーム内の会話を総合すると、以下のような図式が成り立ちます。
- 父親:ティエルノとデウロの実父。
- ティエルノの母:本妻(のち離婚か)。カロス地方在住。
- デウロの母:愛人、あるいは旅先での関係者。ホウエン地方出身の可能性が高い。
デウロ自身が「兄には会ったことがない」と語っていることから、二人は一緒に育ったわけではありません。しかし、デウロは一方的に兄の存在を知っており、彼と同じ「ダンサー」としての道を歩んでいる。ここに、デウロの健気さと、同時にある種の執着や深い闇を感じざるを得ません。
父親の行動がもたらした悲劇
今回の騒動の元凶は、間違いなく二人の「父親」にあります。
SNS上でも「親父は何をしてるんだ」「最低すぎる」という声が殺到しています。考察班の間では、以下のような時系列が有力視されています。
- 父親がカロス地方で家庭を持つ(ティエルノ誕生)。
- 父親がホウエン地方へ旅行、または出張に行く。
- そこで現地の女性(デウロの母)と関係を持つ。
- デウロが誕生する。
- 不倫が発覚し、カロス側の家庭が崩壊、またはデウロ側が認知されずに放置される。
特に「XY時代のティエルノが旅をしていた頃、父親の話があまり出なかった」という過去作の描写とも合致してしまうのが恐ろしい点です。もし、ティエルノが旅に出た理由の一つに、家庭内の不和があったとしたら……。これまでの彼の明るい振る舞いが、全て「悲しみを隠すためのダンス」だったようにも見えてきます。
遺伝する才能と環境の違い
興味深いのは、デウロとティエルノ、二人が共に「ダンス」に情熱を注いでいるという点です。
ティエルノは「ダンシングデブ」という愛称(蔑称?)で呼ばれることもありますが、そのダンスの実力は本物で、将来有望なダンサーとして描かれています。一方でデウロもまた、バレー用のレオタードのような衣装を身にまとい、ストイックにダンスに向き合っています。
- ティエルノ:ふくよかな体型だが、リズム感は抜群。天性の才能を感じさせる。
- デウロ:スリムで鍛え上げられた体型。努力と執念を感じさせる。
全く違う環境、全く違う母親から生まれながら、同じ「ダンス」という才能を受け継いでいる。これは「血の繋がり」を感じさせるエモい要素であると同時に、「会ったこともない兄と同じ道を志す」というデウロの行動原理に、どこか歪なものを感じさせます。
「兄に近づきたい」のか、それとも「兄を超えて父親を見返したい」のか。デウロのダンスには、ティエルノのそれとは違う、重たい情念が込められているように思えてなりません。
時系列から読み解く家族崩壊のタイミング
本作『M次元ラッシュ』が『ポケモンXY』とどのような時間軸にあるのか、そしてデウロとティエルノの年齢差はどうなっているのか。ここを整理することで、父親の「罪」の深さがより鮮明になります。
XYとZA(M次元ラッシュ)のタイムライン
ファンの間での考察では、以下の年齢設定が有力視されています。
| キャラクター | XY時点の推定年齢 | ZA(本作)時点の推定年齢 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ティエルノ | 13歳〜15歳 | 18歳〜20歳 | カロス地方を旅していた少年 |
| デウロ | 8歳〜10歳 | 16歳〜18歳 | 本作の新キャラクター |
この年齢差(約2〜4歳差)が意味することは、非常に残酷です。 ティエルノがまだ幼い子供だった頃、父親は別の場所で別の女性との間に子供(デウロ)を作っていたことになります。
「ティエルノが物心ついた頃には、既に父親の裏切り行為は完了していた」
ということになります。もし仮に、ティエルノが思春期にこの事実を知らされていたとしたら、彼の人格形成に多大な影響を与えたことは想像に難くありません。
ホウエン旅行というキーワード
デウロの方言や使用ポケモン(ヒトデマン、スターミー)から、彼女のルーツが「ホウエン地方」にあることはほぼ確実視されています。
過去作『オメガルビー・アルファサファイア(ORAS)』の時系列と照らし合わせると、さらに生々しい推測が可能になります。
「ティエルノが幼い頃、家族旅行でホウエンに来ていたのではないか?」 あるいは、「父親が単身赴任中に現地の女性と……」
どちらにせよ、リゾート地として名高いホウエン地方で、ひと夏の過ちが起きた。その結果生まれたのがデウロである。このリアリティのある設定が、ポケモンというファンタジー世界に急激な「生々しさ」をもたらしています。ネット上で「昼ドラ」「火曜サスペンス」と言われる所以です。
ティエルノはこの事実を知っているのか
ここで一つの大きな疑問が浮かび上がります。「兄であるティエルノは、妹デウロの存在を知っているのか?」という点です。
「会ったことがない」の意味
デウロは「兄には会ったことがない」と語っています。これは以下の二つの可能性を示唆します。
- お互いに存在を知っているが、会う機会がなかった(または父親に止められていた)。
- デウロだけが知っており、ティエルノは妹がいることすら知らない。
現状のテキストや状況証拠から推測すると、後者の「ティエルノは知らない」説が濃厚です。
もしティエルノが妹の存在を知っていたら、あの性格の彼のことです。放っておくはずがありません。カロス地方とホウエン地方(あるいは本作の舞台)が離れているとはいえ、何らかのアクションを起こすはずです。
「デウロちゃん!僕の妹なんだね!一緒に踊ろう!」
そう言って屈託なく笑うティエルノの姿が想像できます。しかし、現実はそうではありません。デウロは一人で、複雑な感情を抱えながら生きています。
知らされた時のティエルノの反応予想
もし今後、ゲーム内やDLCで二人が対面するイベントがあった場合、ティエルノはどう反応するのでしょうか。
- パターンA:受け入れる 「えっ!?僕に妹が!?びっくりしたけど、嬉しいよ!」と、持ち前のポジティブさで即座に受け入れる。これは最も救いのある展開です。
- パターンB:困惑する 「父親から何も聞いてないよ……どうすればいいの?」と、父親への不信感と妹への戸惑いでダンスが踊れなくなる。
- パターンC:知っていたが隠していた 実は知っていたが、母親を悲しませないために知らないふりをしていた。これはティエルノが大人すぎて辛いパターンです。
多くのプレイヤーは「ティエルノなら絶対に受け入れてくれる」と信じています。しかし、それを受け入れるということは、同時に「自分の父親の不貞」を直視することでもあります。明るいダンスの裏側で、彼が傷つく姿は見たくないというのがファンの本音でしょう。
M次元ラッシュにおける「MZ団」の闇
デウロだけでなく、本作『M次元ラッシュ』に登場する若者たち(通称:MZ団、あるいはホテルZ滞在組)は、総じて家庭環境に問題を抱えています。
駆け込み寺としてのホテルZ
本作の拠点となる場所には、デウロ以外にも「ピュウル」や「ガイタウ」といったキャラクターが滞在しています。彼らの会話を聞き進めると、単なる冒険仲間ではなく、「家に居場所がない子供たちの集まり」であることが浮き彫りになってきます。
- ピュウル:有名な祖母を持つがゆえのプレッシャーや確執。
- ガイタウ:詳細な事情は不明だが、親との関係が希薄であることを匂わせる。
- デウロ:不倫相手の子供として生まれ、父を知らず兄に憧れる。
彼らが一時的にチームを組むのは、青春ごっこのように見えて、その実「傷の舐め合い」であり「生存戦略」なのかもしれません。
「事情のない奴が、こんな吹き溜まりみたいな場所に長期間いるわけがない」
という掲示板の書き込みがありましたが、まさにその通りです。彼らにとってこの場所は、過酷な現実からのシェルターなのです。
主人公の立ち位置
そんな彼らに対し、主人公(プレイヤー)ができることはあまりに少ないのが現状です。
デウロは主人公にすべてを打ち明けた後、「聞いてくれてありがとう、スッキリした」と言って会話を終わらせます。ここで「俺がなんとかしてやるよ!」と介入できないのが、本作のリアリティであり、もどかしさでもあります。
現実世界でも、友人の複雑な家庭事情に対し、第三者ができることは「ただ話を聞くこと」くらいです。下手に首を突っ込めば、事態をより悪化させることになりかねません。
開発スタッフは、あえて主人公を「聞き手」に徹させることで、この問題の解決がいかに難しいか、そして「話を聞いてくれる他人がいることの救い」を描こうとしているのではないでしょうか。
プレイヤーたちの反応と考察
この衝撃的な設定に対し、ネット上では様々な反応が見られます。いくつかのカテゴリーに分けて紹介します。
ティエルノ再評価の流れ
これまでティエルノは、その独特な容姿や言動から、一部でネタキャラ扱い(ダンシングデブなど)されることもありました。しかし、デウロの存在が明らかになったことで、評価が一変しています。
- 「あんな複雑な家庭で育って、あんなに真っ直ぐ育ったのか」
- 「父親がクズでも、ティエルノは聖人」
- 「今まで馬鹿にしててごめん」
彼がダンスに没頭していたのは、家庭の不和から目を逸らすためだったのかもしれない。そう考えると、あのコミカルな動き一つ一つが、涙なしには見られなくなります。
父親へのヘイト
一方で、姿を見せない父親に対しては、全方位からのバッシングが止まりません。
- 「ZAって最低な父親ばっか出てくるな」
- 「ゲチス(過去作の悪役)みたいな明確な悪党より、こういうリアルなだらしなさが一番きつい」
- 「もしDLCで出てきたら、俺のガブリアスで『じしん』をお見舞いしてやる」
ポケモンシリーズにはこれまでも「問題のある親」は登場しましたが、ここまで「生々しい女性関係のトラブル」を持ってきたのは稀です。対象年齢層が上がっていることを感じさせます。
デウロへの同情と応援
そして何より、健気に生きるデウロへの応援の声が多数寄せられています。
- 「兄に頼ろうとせず、自力で頑張ってるのが偉い」
- 「幸せになってほしい」
- 「俺が土地ごとホテルを買ってやるから、ずっとそこにいていいぞ」
彼女のキャラクターデザイン(バレー風の衣装、真剣な眼差し)も相まって、多くのトレーナーが「守ってあげたい」という感情を抱いているようです。
今後の展開予想
最後に、今後のアップデートやDLCで、この物語がどう決着するのかを予想します。
兄弟の対面はあるのか
最も期待されているのは、やはりティエルノ本人の登場と、デウロとの対面です。 カロス地方からティエルノが遠征に来る、あるいはデウロがカロスへ渡る。
もし対面が実現した場合、デウロは「あなたの妹です」と名乗るのでしょうか。それとも、ただの「ファン」として、あるいは「ライバル」として接するのでしょうか。
個人的な願望としては、名乗らずにダンスバトルで語り合い、最後にティエルノが「君、どこかで会ったことある?」と勘付く……そんなベタですが熱い展開を期待してしまいます。
父親の登場は避けるべきか
父親が登場し、謝罪や和解をする展開もあり得ます。しかし、これまでのプレイヤーの反応を見る限り、下手に登場させると火に油を注ぐ結果になりかねません。
「父親は最後まで出てこないが、デウロとティエルノがそれぞれの力で過去を乗り越える」 これが、最も美しい着地点ではないでしょうか。親の問題は親の問題。子供たちがそれに縛られる必要はないのですから。
まとめ
今回の記事では、M次元ラッシュ(ポケモンZA)で判明したデウロの複雑すぎる家庭環境について解説しました。
- デウロとティエルノは異母兄妹であり、その背景には父親の不貞がある。
- 時系列的に、ティエルノが幼少期に父親が過ちを犯した可能性が高い。
- ティエルノはこの事実を知らない可能性が高く、デウロは一人で抱え込んでいる。
- この設定により、ティエルノの評価が爆上がりし、父親へのヘイトが高まっている。
ポケモンというコンテンツが、長い歴史の中で「子供向けの冒険活劇」から「人間ドラマを描く群像劇」へと進化(深化)していることを象徴するようなエピソードでした。
デウロには、いつか心から笑って踊れる日が来ることを願ってやみません。そしてティエルノ、君は本当にいい奴だ。これからもそのステップで、世界を、そして妹を照らしてくれ。
【補足考察:ポケモン世界における「不在の父」論】
今回のデウロの件で改めて注目されているのが、ポケモンシリーズにおける「父親の不在」というテーマです。初代から最新作に至るまで、主人公の父親が明確に描かれることは稀です(『ルビー・サファイア』のセンリなど例外はありますが)。
多くの場合、「父親は仕事で忙しい」「遠くへ行っている」として処理されます。これは、プレイヤーが主人公に自己投影しやすくするための措置と言われてきました。しかし、近年の作品(『スカーレット・バイオレット』のペパーの両親など)では、その「不在」がもたらす子供への悪影響や孤独感が、物語の核として描かれるようになってきています。
今回のデウロとティエルノのケースは、その「不在の父」というテーマを、さらに一歩進めて「だらしない父」「加害者としての父」として描いた点に新しさがあります。
世界を救う伝説のポケモンの話も壮大で良いですが、こうした「どこにでもありそうな家庭の崩壊」というミクロな視点の地獄が描かれることで、世界のリアリティとキャラクターの厚みが増しているのは間違いありません。
M次元ラッシュが、単なるリメイクや外伝に留まらず、こうした人間臭いドラマを盛り込んできたことに、シリーズ構成作家の本気を感じます。我々プレイヤーは、デウロの告白を受け止め、彼女が「父親の呪縛」から解放され、一人のダンサーとして自立していく様を見届ける義務があるのかもしれません。
皆さんは、この複雑すぎる兄妹関係についてどう思いましたか? もしデウロをパーティに入れているなら、ぜひキャンプで美味しいカレー(あるいは本作の料理)を振る舞ってあげてください。彼女に必要なのは、説教でも同情でもなく、温かい食事と、ただ隣にいてくれる仲間の存在なのですから。






