ゲーム評論家の桐谷シンジです。今回も多く寄せられている質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、先日公開された公式トレーラー第3弾や、先行プレイ映像で話題となっている「ミッドナイトXY」や、それによる環境変化が気になっていると思います。特に、これまでランクマッチを支配していたゼルネアス一強時代の終焉や、新たに追加されたメガシンカポケモンの性能は、プレイヤーにとって死活問題でしょう。
この記事を読み終える頃には、ミッドナイトXYの正体から、これからの対戦環境で勝つための具体的な戦略まで、全ての疑問が解決しているはずです。
- ミッドナイトXYの正体は伝説のポケモンミュウツー
- 待機時間短縮の新システムを持つメガルカリオZの実装
- 圧倒的性能によるゼルネアス環境の完全な終焉
- ミュウツー対策としてバンギラスやハッサムが環境トップへ
それでは解説していきます。
DLC「M次元ラッシュ」で追加された「ミッドナイトXY」の全貌
ついに配信が開始されたDLC「M次元ラッシュ」。その目玉としてトレーラーで謎に包まれていたキーワード「ミッドナイトXY」の正体が明らかになりました。これは単なるアイテムや新エリアの名称ではなく、**「プロジェクトコードM」**として極秘裏に開発されていた、ある伝説のポケモンの配布イベントおよびその個体そのものを指す言葉でした。
そのポケモンこそが、初代最強の遺伝子を持つ**「ミュウツー」**です。
プロジェクトMの起動とミュウツーの入手
ゲーム内では、ミアレシティのフラダリカフェ(フラダリラボ)にて特定のイベントをこなすことで「プロジェクトM」が起動します。これがいわゆる「ミッドナイトXY」の受け取りイベントとなっており、プレイヤーはそこでレベル70のミュウツーと対峙し、捕獲することになります。
今回のミュウツーは、カロス地方の「ななしの洞窟」に出現した個体という設定が語られており、科学者によって生み出されたというオリジンに触れられています。特筆すべきは、捕獲時のボール選択が可能である点や、個体によってメガミュウツーXとメガミュウツーYへのメガシンカが可能である点です。
トレーラーや先行プレイの様子を見る限り、このミュウツーは「ミッドナイト」の名を冠するにふさわしい、漆黒の夜を切り裂くような圧倒的な性能を持っています。
ミュウツーの基本性能と「Z」の可能性
今回実装されたミュウツーですが、基本スペックがこれまでの常識を覆すほど高いことが判明しています。
- 素早さ(Speed): 既存の伝説ポケモンを上回る圧倒的な断速。技の回転率(サイクル)が異常に速く、相手が行動する前に2回、3回と攻撃を叩き込むことが可能です。
- 特攻(Sp. Atk): C154という数値は伊達ではなく、等倍相手であれば「サイコブレイク」でほぼ壊滅状態に追い込めます。
- 耐久: 一見脆そうに見えますが、HPステータスが高く設定されており、不一致の弱点技程度なら余裕で耐える耐久力を持ちます。
さらに、今回のDLCでは「Z」の名を冠する新たなメガシンカの概念が示唆されています。通常のメガシンカと比較して、**「技の待機時間が短く、メガエネルギーの消費が早い」**という特徴を持つようです。つまり、短時間で爆発的な火力を叩き込み、すぐに通常形態に戻るといった、よりスピーディな戦術が可能になります。
衝撃の新形態「メガルカリオZ」の発見
ミュウツーの登場だけでも大きなニュースですが、トレーラーおよび実機プレイ映像で確認されたもう一つの衝撃が**「メガルカリオZ」**の存在です。
鉄のこぶしを彷彿とさせる新ビジュアル
従来のメガルカリオとは異なり、より攻撃的で鋭利なフォルムに変貌を遂げています。特に「鉄光」のようなエフェクトを纏っていることから、特性や技構成に大きな変化があることが予想されます。
「Z」系統のメガシンカは、前述の通りエネルギー消費が激しい代わりに、瞬間的な爆発力に特化しているようです。ルカリオのような元々高速アタッカーとして運用されていたポケモンにとって、この仕様変更は追い風となるでしょう。
既存メガシンカとの差別化
通常のメガルカリオが「てきおうりょく」による全技の威力底上げを主軸にしていたのに対し、メガルカリオZは、より回転率を重視した「キルマシーン」としての性能が強調されています。
ランクマッチにおいては、これまでメガ枠として採用率の高かったリザードンやゲンガーの座を脅かす存在になることは間違いありません。特に、ミュウツーと並んで「高速高火力」がこれからのトレンドになることを象徴するポケモンと言えるでしょう。
ゼルネアス一強時代の終焉とメタゲームの大転換
これまで『Pokémon LEGENDS Z-A』のランクマッチといえば、ゼルネアス(通称:鹿)が環境を支配していました。「ジオコントロール」からの全抜き性能があまりに高く、対策必須というか「ゼルネアスを使わなければ勝てない」という状況が続いていました。
しかし、ミッドナイトXY(ミュウツー)の実装により、この環境は一夜にして崩壊しました。
なぜゼルネアスは終わったのか
最大の理由は、**ミュウツーの圧倒的な「技の回転率」と「火力」**にあります。
ゼルネアスが「ジオコントロール」を積んでいる隙に、ミュウツーはその高い素早さから繰り出される「サイコブレイク」や「ヘドロばくだん(毒技)」、「シャドーボール」などで、積む間もなくゼルネアスを粉砕してしまうのです。
これまでの環境では、ゼルネアスの積み技に合わせて壁を張ったり、状態異常を撒くといった「コントロール」戦術が有効でしたが、ミュウツーの登場により**「やられる前にやる」**という超高速アタッカー環境へとシフトしました。ジオコントロールを積んでいる時間は、今の環境には存在しないのです。
コントロールデッキから「キル重視」へ
シーズン2までのランクマッチでは、4キル程度で判定勝ちを狙うようなコントロールデッキが主流でしたが、これからは10キル以上を取り合うような、激しい殴り合いの環境になります。
この変化により、耐久型のポケモンや、展開に時間がかかるポケモンは軒並み評価を落とすことになります。逆に、初動から高火力を押し付けられるポケモンや、ミュウツーの攻撃を一発耐えて返しで落とせるポケモンの評価が急上昇しています。
ティア表激変!ミュウツー環境で輝くポケモンたち
ミュウツーという絶対王者の登場により、評価を上げたポケモンと下げたポケモンがはっきりとしてきました。ここからは、新環境で使うべき「勝ち組」ポケモンたちを紹介します。
環境トップ:バンギラス
ミュウツー対策の筆頭として、バンギラスの評価が爆上がりしています。
- 対ミュウツー性能: 悪タイプであるため、ミュウツーのメインウェポンであるエスパー技を無効化できます。さらに高い特殊耐久(D)を持つため、サブウェポンの「10万ボルト」や「れいとうビーム」も余裕で耐えることができます。
- 有効打: 一致技の「かみくだく」や「おいうち」で、逃げるミュウツーを確実に狩ることができます。
- 汎用性: 同じく環境に増えているイベルタルに対しても強く出られるため、現在の環境ではパーティーに入れない理由がないほどの必須級ポケモンとなっています。
復権の兆し:ハッサム
これまでも一定の評価を得ていたハッサムですが、対ミュウツー、対ゼルネアスの両方を見れる枠として、ティアS級の評価を得ています。
- タイプ相性: 鋼・虫タイプにより、エスパー技を半減で受けつつ、弱点である虫技(とんぼがえり、シザークロスなど)で反撃が可能です。
- 対物理ゼルネアス: 環境に残った数少ないゼルネアス(物理型)に対しても、タイプ有利を取れるため、腐ることがありません。
- 直記(とつげきチョッキ)運用: 特殊耐久を高める「とつげきチョッキ」を持たせることで、ミュウツーの特殊攻撃を耐えつつ、高火力の物理技で返しの一撃を入れる型が流行しています。
メタのメタ:ドリュウズ & ワルビアル
- ドリュウズ: ミュウツー対策として増えたバンギラスやハッサムに対して、地面技で弱点を付けるため評価を上げています。また、一撃必殺の「つのドリル」や高火力の「メガホーン」を持ち、タスキを持たせることでミュウツーに対しても一矢報いることができます。
- ワルビアル: 悪・地面というタイプ構成が優秀です。エスパー無効に加え、電気技も無効化できるため、ミュウツーの「サイコブレイク+10万ボルト」という技構成を完封できるポテンシャルを持っています。
評価を落としたポケモン
- ゼルネアス: 前述の通り、積む隙がないため大幅に弱体化。
- シャワーズ: これまで高い耐久で環境を支えてきましたが、ミュウツーの「10万ボルト」や高火力技の前に受けきれず、役割を持てなくなっています。
- メタグロス: 鋼・エスパータイプですが、悪技やゴースト技(シャドーボール)が一貫してしまうため、ミュウツー対策としては不十分であることが露呈しました。
勝率を上げるためのミュウツー育成論
手に入れたミュウツーをどのように育成すればランクマッチで勝てるのか。実戦データに基づいた最適解を解説します。
性格と持ち物
- 性格: おくびょう(Speed↑ / Atk↓) または ひかえめ(Sp.Atk↑ / Atk↓)
- 同族対決(ミュウツーミラー)や、環境の高速化を考えると、素早さを上げる「おくびょう」が推奨されます。しかし、火力で強引に突破するなら「ひかえめ」も選択肢に入ります。
- 持ち物: いのちのたま
- メガストーンを持たせてメガシンカするよりも、通常形態のまま「いのちのたま」で火力を底上げした方が、技の回転率を維持しつつ高いダメージを出せるというデータが出ています。メガシンカは強力ですが、変身モーションやエネルギー管理のラグが、今の超高速環境では命取りになる可能性があります。
技構成の最適解
現在の環境で最も勝率が高い技構成は以下の通りです。
- サイコブレイク(必須): ミュウツーの代名詞。特防ではなく防御でダメージ計算を行うため、特殊受けに来たハピナスやラッキーなども強引に突破可能です。
- シャドーボール(必須): 対ミュウツーミラー、およびメタグロス対策として必須。これがないと相手のミュウツーに勝てません。
- 10万ボルト: 環境に多いイベルタルや、選出されやすいギャラドス、エアームドへの打点として非常に優秀です。
- はどうだん / きあいだま: 悪タイプ(バンギラス、ワルビアル)への対抗策。これがないと悪タイプに完封されます。「はどうだん」は必中ですが威力が控えめ、「きあいだま」は高火力ですが命中不安です。環境に合わせて選択しましょう。
避けるべき技
- めいそう / わるだくみ: 積み技を入れるスペースがあるなら、攻撃技を増やして攻撃範囲(カバレッジ)を広げた方が、今の「やられる前にやる」環境には適しています。
- れいとうビーム: ガブリアスやジガルデ用ですが、彼らは等倍のサイコブレイクで十分押し切れるため、優先度は低いです。
実際の対戦から見る立ち回りの極意
ミッドナイトXY環境でのランクマッチは、これまでとは全く異なるゲームスピードで進行します。
初動の重要性
これまでの「様子見で壁を張る」「ステルスロックを撒く」といった悠長な立ち回りは厳禁です。初手からミュウツーや高速アタッカーを展開し、**「いかに早く1キル目を取るか」**が勝敗を分けます。
ミュウツー同士の対面になった場合、相手がシャドーボールを持っているかを警戒しつつ、こちらの最高打点を叩き込むチキンレースになります。ここで引いてしまうと、裏のポケモンがミュウツーの火力に耐えきれず崩壊するため、強気の姿勢が重要です。
悪タイプとの対峙
相手のパーティにバンギラスやブラッキーが見えた場合、ミュウツーの選出を控えるか、あるいは「きあいだま」を搭載したミュウツーで奇襲をかけるかの二択になります。
現在のトレンドは、**「ミュウツー+ハッサム+バンギラス」**のような、お互いの弱点を補完しあう構築です。
- 相手のミュウツーは自分のバンギラスで受ける。
- 相手のバンギラスは自分のハッサムで処理する。
- 相手のハッサムは自分のミュウツー(10万ボルトや火炎放射採用型)で焼く。
このような「ジャンケン」を、超高速で行うのが今のランクマッチです。
今後の環境予想:物理ゼルネアスの逆襲?
「ゼルネアスは終わった」と書きましたが、完全に消えることはないでしょう。
現在、ミュウツーの特殊耐久が高い(特にメガミュウツーY)ことから、特殊技主体のジオコントロール型ゼルネアスは息をしていません。しかし、ミュウツーの物理耐久はそこまで高くないため、**「物理型ゼルネアス」**がメタの一角として研究され始めています。
「インファイト」や「ウッドホーン」、「メガホーン」などを搭載し、特防に厚いバンギラスやハッサム、そしてミュウツーの物理耐久の隙を突く型です。もしランクマッチでゼルネアスを見かけたら、これまでの常識を捨てて「物理型かもしれない」と警戒する必要があります。
また、DLCで追加された「Z」メガシンカの全貌もまだ研究段階です。メガルカリオZ以外にも、隠されたZメガシンカが存在する可能性は高く、それらが発見され次第、また環境は激変するでしょう。
まとめ
今回の記事では、話題の「ミッドナイトXY」と、それによって激変した『Pokémon LEGENDS Z-A』の環境について解説しました。
- ミッドナイトXY=最強のミュウツー: 入手必須の性能。まずは確保し、最優先で育成しましょう。
- スピード勝負の環境へ: ゼルネアスの耐久・積み環境は終わり、ミュウツーを中心とした高速アタッカー環境になりました。
- 悪・鋼タイプの育成: ミュウツーに対抗できるバンギラス、ハッサム、ドリュウズの育成が急務です。
- 技構成のカスタマイズ: 自分のパーティの苦手な相手に合わせて、ミュウツーのサブウェポン(シャドーボール、10万ボルト、きあいだま等)を調整することが勝利への鍵です。
DLC「M次元ラッシュ」はまだ始まったばかりです。これからの研究次第で、さらなる強力なビルドや戦術が生まれてくることでしょう。今はとにかく、この「ミュウツー祭り」とも言える混沌とした環境を楽しみ、自分の手で最強のミュウツーを育て上げてください。
この記事が、皆さんのランクマッチでの勝利に貢献できれば幸いです。それでは、また次回の記事でお会いしましょう。






