編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は2026年2月28日発売のスイッチ版「ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン」が気になっていると思います。 初代ポケモンの魅力を再構築した本作には、当時の思い出と新たな発見が数多く詰まっています。
今回は、長年ポケモンをやり込んできた筆者が、本作の秀逸だったシステムと、少し惜しかった仕様を徹底的に解説していきます。 この記事を読み終える頃にはスイッチ版をプレイする上で注目すべきFRLGの疑問が解決しているはずです。
- スイッチ版発売に向けてFRLGの評価を総ざらい
- ガチプレイヤー視点で見る最高だったシステムと演出
- プレイ時にストレスを感じやすかった残念な仕様の数々
- 初代から進化したやり込み要素と通信機能の全貌
それでは解説していきます。
スイッチ版への期待高まるFRLGの魅力と概要
リメイク作品としてのFRLGの立ち位置
ゲームボーイアドバンス用ソフトとして発売された本作は、原点である「赤・緑」の単なる移植ではありません。 グラフィックやBGMが一新されただけでなく、第3世代のシステムが組み込まれた意欲作です。
特性や性格、努力値や個体値といった複雑なステータス計算が導入され、対戦環境の基礎が完成した世代でもあります。 初心者向けの「ヘルプ機能」や、これまでのあらすじを振り返る機能も搭載され、幅広い層が遊びやすい工夫が凝らされていました。
当時のプレイヤーたちに、最新の技術で蘇ったカントー地方を冒険する感動を与えた歴史的な作品と言えます。
2026年発売スイッチ版へのファンの期待
そして2026年2月28日、ついにスイッチ版としての展開が決定し、多くのファンが歓喜しています。 最新ハードへの移植に伴い、当時のドット絵の温かみを残しつつ、通信機能がオンライン対応になるのかが最大の注目ポイントです。
当時はワイヤレスアダプタや通信ケーブルが必要だった機能が、インターネットを通じて世界中のプレイヤーと遊べるようになる可能性があります。 さらに、後述するいくつかの「残念だった仕様」が、現代の遊びやすさに合わせてアップデートされるのかどうかも気になるところです。
過去の思い出をそのままに、より快適なプレイ環境が提供されることを、いちゲーマーとして強く期待しています。
ガチ勢が選ぶFRLGの最高だった要素7選
BGM進化:名曲アレンジと新規追加
初代から倍増した楽曲群
本作を語る上で絶対に外せないのが、美しく進化したBGMの数々です。 初代のBGMはゲームボーイの音源の限界を活かしたピコピコ音が特徴でしたが、本作ではアドバンスの性能に合わせて壮大にアレンジされています。
懐かしさを残しつつも新しさを感じる絶妙なバランスは、多くのプレイヤーの心を打ちました。 特筆すべきは、収録されている楽曲の総数が大幅に増加している点です。
| 項目 | 初代(赤・緑) | ファイアレッド・リーフグリーン |
|---|---|---|
| BGM総数 | 45曲 | 90曲 |
| 伝説ポケモン専用BGM | なし | あり |
| 野生ポケモン戦闘BGM | 1種類 | 複数種類 |
場面に合わせた秀逸なアレンジ
最初の町であるマサラタウンのBGMから、のどかな雰囲気の中に旅立ちへの期待が高まる素晴らしいアレンジが施されています。 個人的に印象深いのはタマムシシティのBGMです。
初代ではテンポが速く明るい印象でしたが、本作では少し落ち着いた優雅な雰囲気へと変化しました。 また、ゲームコーナーのカジノの曲も、スロットを回す高揚感を見事に煽る名曲に仕上がっています。
自転車に乗った際の疾走感あふれるBGMも、初代特有の電子音からより爽快感が増したアレンジへと進化しました。
伝説のポケモンに与えられた専用曲
楽曲数が増えた最大の要因は、初代には存在しなかった専用BGMの追加です。 伝説の三鳥(フリーザー、サンダー、ファイヤー)やミュウツーとの戦闘時に、専用のBGMが流れるようになりました。
一般の野生ポケモンとの戦闘BGMとの違いが明確になり、伝説のポケモンと対峙しているという特別感と緊張感が格段に跳ね上がっています。 スイッチ版でも、この素晴らしい楽曲たちがクリアな音質で楽しめるのかと思うと、今から胸が高鳴ります。
育成革命:バトルサーチャーの利便性
いつでも再戦可能な画期的アイテム
ポケモンの育成環境を劇的に変えた最高の発明が「バトルサーチャー」です。 クチバシシティのポケモンセンターでもらえるこの道具は、一度戦ったフィールド上のトレーナーと再戦を可能にする画期的なシステムでした。
100歩歩くことで充電が完了し、使用すると周囲のトレーナーが再戦可能かどうかがエフェクトでわかります。 新しいポケモンを捕まえた後のレベル上げや、四天王に挑む前の最終調整において、これほど頼りになるアイテムはありませんでした。
努力値稼ぎと金策への影響
バトルサーチャーの登場により、特定の能力値を伸ばす「努力値」の稼ぎ効率が飛躍的に向上しました。 戦いたいポケモンを繰り出してくるトレーナーの目の前で何度も再戦を繰り返すことができるからです。
また、おまもりこばんを持たせてジェントルマンやマダムと再戦し続けることで、効率的な金策も可能になりました。 シナリオの進行度に応じて、トレーナーの手持ちポケモンが進化したりレベルアップしたりする仕様も、プレイヤーの成長を実感させてくれる素晴らしい工夫です。
他世代との比較とスイッチ版への要望
実はこのバトルサーチャー、後に発売されたダイヤモンド・パール・プラチナ(DPt)にも続投されましたが、仕様が劣化してしまいました。
| 項目 | ファイアレッド・リーフグリーン | ダイヤモンド・パール・プラチナ |
|---|---|---|
| 再戦できる確率 | 70% | 50% |
| 再戦時のアクション | 両手を挙げて2回ジャンプ | びっくりマークの後に方向転換 |
FRLGのバトルサーチャーは確率も高く、アクションも視覚的に非常にわかりやすいものでした。 便利すぎたが故に次世代で弱体化されたのかもしれません。 スイッチ版では、このFRLG仕様の快適なバトルサーチャーがそのまま実装されることを強く望みます。
探索の面白さ:ボイスチェッカーの裏設定
キャラクターの深掘りを可能にした道具
ストーリーの進行やNPCとの会話によって情報が蓄積されていく「ボイスチェッカー」も、ファンにとってはたまらない要素でした。 ジムリーダーや四天王などの重要人物について、一度見聞きした噂話や情報をいつでも確認できるシステムです。
各人物に6つの記録項目が用意されており、全てを埋めるとそのキャラクター本人からの特別なメッセージを読むことができます。 ただ単にバッジを集めて回るだけでなく、世界観やキャラクターの背景を深く知るための探索要素として機能していました。
意外な事実と人間関係の構築
ボイスチェッカーの情報を集めることで、初代では語られなかった意外な事実が次々と明らかになります。 例えば、オーキド博士と四天王キクコの過去の関係性や、タケシが一度笑い出すと止まらないという人間味あふれる噂などです。
マチスが初めて捕まえたポケモンがビリリダマであったことや、グレンジムにカツラとフジ老人が肩を組んで笑っている写真があることなども知ることができます。 これらのテキスト情報は、後のポケモンシリーズにおけるキャラクター像の確立に大きく貢献しました。
ノーヒントで探す収集の楽しさ
情報を全て埋めるのは決して簡単ではありません。 NPCとの何気ない会話だけでなく、本棚の裏や目立たない看板などを隅々まで調べる必要があります。
シナリオの進行度によっては情報が更新されるため、定期的に町を訪れてNPCに話しかける動機付けにもなっていました。 ゲーム攻略ライターの視点から見ても、プレイヤーに世界を歩き回らせるための非常に優れたテキストドリブンなシステムだったと評価しています。
待遇改善:ファイヤーの専用ダンジョン
初代における不遇の時代
初代の赤・緑をプレイしたことがある人なら、ファイヤーの不遇な扱いを覚えているはずです。 フリーザーには「ふたごじま」、サンダーには「むじんはつでんしょ」という立派な専用ダンジョンが用意されていました。
しかしファイヤーだけは、チャンピオンロードの道中にポツンと立たされているだけという悲しい扱いを受けていたのです。 さらに出現レベルは51であり、覚えている技も「つつく」と「ほのおのうず」のみで、強力な炎技を自力で覚えるのが非常に遅いという問題を抱えていました。
七島に用意された新たな舞台
そんなファイヤーの待遇が、FRLGでは見事に改善されました。 グレンタウンのバッジを獲得した後に行けるようになる「七島」の1の島に、「ともしびやま」という専用ダンジョンが用意されたのです。
山の頂上で堂々とプレイヤーを待ち受ける姿は、まさに伝説の鳥ポケモンにふさわしい威厳に満ちていました。 開発側も過去の「作り忘れ」を反省し、しっかりと設定を練り直してくれたことが伝わってきます。
圧倒的な戦力としての活躍
出現場所が変わっただけでなく、習得している技も大幅に見直されました。 出現レベルは50に調整され、捕まえた時点ですでに強力なタイプ一致技である「かえんほうしゃ」を覚えています。
初代のように「にらみつける」ばかりの貧弱な技構成ではなくなったのです。 炎タイプトップクラスの特攻種族値を活かし、四天王戦前の強力な戦力として即座にパーティーに組み込めるようになりました。
四天王カンナの氷ポケモンたちを次々と焼き尽くす頼もしい姿は、多くのプレイヤーの記憶に刻まれています。
ジョウト解禁:七島での珍しいポケモン
金銀世代のポケモンたちの登場
FRLGの終盤における最大のサプライズは、ジョウト地方(金・銀世代)のポケモンたちが登場することです。 特に殿堂入り後に行けるようになる七島の奥地では、これまでカントー地方では見かけなかった珍しいポケモンたちと遭遇できます。
当時のプレイヤーにとって、ルビー・サファイアでは手に入らない過去のポケモンがゲットできることは、図鑑完成において非常に重要でした。 未知の島で新しいポケモンに出会うワクワク感は、冒険のモチベーションを限界まで高めてくれました。
入手困難なレアポケモンたち
中でも特にプレイヤーを熱狂させたのが、バンギラスの進化前である「ヨーギラス」の存在です。 強力な600族への進化を秘めたこのポケモンは、特定のマップでわずか5%という低い確率でしか出現しませんでした。
出現レベルも低く設定されていたため、ゴールドスプレーを使って出現レベルを絞り込むテクニックも通用せず、草むらをひたすら歩き回る必要がありました。 その他にも、ムウマ、ヤミカラス、ヤンヤンマ、ハリーセン、テッポウオ、ニューラ、デリバードなど、魅力的で珍しいポケモンが多数配置されていました。
音楽が引き立てるジョウトの空気感
七島の一部マップでは、単にポケモンが出現するだけでなく、金・銀のBGMのアレンジが使用されていました。 例えば、4の島のBGMはヒワダタウンのアレンジ、6の島はキキョウシティのアレンジが流れます。
BGMが変わることで、「カントー地方から離れた遠くの島に来た」という旅の情景が見事に表現されていました。 ジョウト地方のポケモンを探しながら、懐かしいメロディに耳を傾ける時間は、至福のゲーム体験でした。
協力プレイ:白熱の通信ミニゲーム
ワイヤレスアダプタがもたらした革命
FRLGには、ゲームボーイアドバンス専用のワイヤレスアダプタが同梱されていました。 これにより、煩わしい通信ケーブルなしで、周囲の友達と手軽に通信プレイが楽しめるようになりました。
2の島の「ゲームコーナー」では、このワイヤレス通信を活用した独自のミニゲームがプレイ可能です。 単なるおまけと侮るなかれ、非常に完成度が高く、時間を忘れて没頭してしまうほどの魅力がありました。
ミニポケモンで大ジャンプ
一つ目のミニゲームは、2人から5人で遊べる「ミニポケモンで大ジャンプ」です。 フシギバナが操るツルのムチを大縄跳びに見立て、みんなでタイミングを合わせてジャンプするゲームです。
参加できるのは高さが0.7m以下の小さなポケモンに限られるという、細かな設定もポケモンの世界観を活かしていました。 ポケモンによって滞空時間が異なるため、使用するポケモンに合わせた操作感覚の適応が求められます。
| ジャンプ成功人数 | 獲得得点 |
|---|---|
| 2匹同時 | 50点 |
| 3匹同時 | 100点 |
| 4匹同時 | 200点 |
| 5匹同時 | 500点 |
全員の息がぴったり合って500点を獲得した時の達成感は、マルチプレイならではの醍醐味です。
ドードリオのきのみどり
もう一つのミニゲームが、3人から5人で遊ぶ「ドードリオのきのみどり」です。 参加者全員が手持ちにドードリオを入れている必要があり、上から落ちてくるきのみを3つの頭でキャッチするアクションゲームです。
きのみの色によって落ちてくる速度と得点が異なり、十字キーを素早く操作する反射神経が試されます。 こちらも非常に白熱し、友達同士でスコアを競い合い、誰が一番多くのきのみ(景品)を獲得できるかで大いに盛り上がりました。
スイッチ版ではオンラインでこれらのミニゲームが遊べるようになることを期待してやみません。
やり込み要素:強化四天王の圧倒的難易度
シリーズ恒例となった強化イベントの元祖
殿堂入り後に四天王の手持ちポケモンが強化されるという、今ではシリーズ恒例となったシステム。 実はこの「強化四天王」という概念が初めて導入されたのが、このFRLGなのです。
単なるステータスアップにとどまらず、手持ちの構成や技構成までガチの対戦仕様に変更されており、生半可な育成では返り討ちに遭うほどの難易度でした。 クリア後のエンドコンテンツとして、プレイヤーに明確な目標を与えてくれた素晴らしい調整です。
驚異的なレベルアップとジョウトポケモンの追加
強化四天王と再戦するための条件は、単なる殿堂入りではなく、ネットワークマシンを完成させることでした。 条件を満たして挑むと、四天王のポケモンは軒並みレベルが10以上引き上げられています。
| トレーナー | 初回レベル上限 | 強化後レベル上限 |
|---|---|---|
| カンナ | 54 (ラプラス) | 66 (ラプラス) |
| シバ | 58 (カイリキー) | 68 (カイリキー) |
| キクコ | 60 (ゲンガー) | 70 (ゲンガー) |
| ワタル | 62 (カイリュー) | 72 (カイリュー) |
| ライバル | 65 (御三家) | 75 (御三家) |
チャンピオンであるライバルが繰り出す御三家のレベルは、なんと75にまで到達します。 さらに、全員がジョウト地方出身のポケモンを新たに手持ちに加えており、クロバットやハガネールといった強力なポケモンがプレイヤーに牙を剥きます。
ミュウツーを捕まえただけでは簡単に勝てない絶妙なバランス調整は、ガチプレイヤーとしても高く評価できるポイントです。
プレイして感じたFRLGの残念だった要素7選
テンポの悪化:テキスト表示と演出の課題
大きすぎたフォントが招いた弊害
FRLGの評価を分ける大きな要因の一つが、ゲーム全体のテンポの悪さです。 ルビー・サファイアと同じ第3世代のシステムを使用していますが、フォントサイズが大きめに設定されていました。
文字が大きく読みやすくなった反面、1画面に表示できる情報量が減少してしまったのです。 その結果、様々なテキストが不自然な位置で改行されたり、画面分割されたりする事態が発生しました。
威嚇ループと技エフェクトの遅延
この問題が最も顕著に現れたのが、特性「いかく」の発動時です。 ルビー・サファイアでは1画面に収まっていた「〇〇の こうげきが さがった!」というテキストが、FRLGでは名前の長さに関わらず2画面に分割されてしまいました。
NPCがよく使ってくるガーディやアーボックと対面するたびに、ボタンを押す回数が増え、戦闘のテンポが著しく削がれてしまいます。 さらに、「てっぺき」や「アイアンテール」の追加効果など、能力が上下する際のエフェクトに不自然な「間」があり、サクサクと戦闘を進めたいプレイヤーにとってはかなりのストレス要因でした。
道具使用時の余計なアニメーション
フィールド上でポケモンに道具を使った際の演出も、テンポを阻害する要因でした。 キズぐすりやわざマシンを使うたびに画面が切り替わり、ポケモンに道具を与えているアニメーションが挿入されます。
なつき度が高いとポケモンが近づいてくるという愛情表現の演出ではあるのですが、タウリンなどのドーピングアイテムを連続して投与する際には、この演出を毎回見せられることになります。 効率的な育成を求めるガチプレイヤーにとっては、スキップ機能がないことが非常に歯がゆい仕様でした。
時計機能不在:エーフィとブラッキーの進化制限
昼夜の概念が削除された世界
ルビー・サファイアには内蔵電池による時計機能が存在し、時間帯によって様々なイベントが発生しました。 しかし、FRLGではこの時計機能が完全に削除されています。
冒険の舞台であるカントー地方は、常に同じ時間が流れている状態になっているのです。 初代のシステムに忠実であると言えばそれまでですが、この仕様が特定のポケモンの育成に深刻な影響を与えました。
満たせない進化条件
最大の被害者が、イーブイの進化系であるエーフィとブラッキーです。 この2匹は、なつき度を最大にした上で、エーフィは「午前」、ブラッキーは「午後」にレベルアップさせることが進化条件でした。
しかし、時計機能がないFRLGでは時間帯の判定が行われないため、いくらなつき度を上げても絶対に進化させることができません。 全国図鑑を完成させる上で、これは非常に厄介な障壁となりました。
煩雑な通信交換の必要性
FRLGのソフト単体でエーフィやブラッキーを入手できないため、他ソフトからの通信交換が必須となります。 しかし、ルビー・サファイアには野生のイーブイが出現しません。
つまり、「FRLGでイーブイを孵化させる」→「ルビー・サファイアに通信交換で送る」→「ルビー・サファイアで時間を合わせて進化させる」→「再びFRLGに戻す」という非常に手間のかかる手順を踏む必要がありました。 他人のポケモンになると初期なつき度が下がってしまうため、育成の手間も倍増します。
ゲームキューブソフトの「ポケモンコロシアム」を持っていれば多少楽でしたが、ハードルが高いことに変わりはありませんでした。
ポケルス仕様:時計連動なしの弊害
努力値稼ぎの必須ステータス
「ポケルス」は、ポケモンに稀に感染する謎の生命体であり、感染すると戦闘でもらえる努力値が2倍になるという、育成において極めて重要な要素です。 戦闘後に非常に低い確率(約65536分の3)で自然感染するため、引くことができれば運が良いというシステムでした。
ガチの対戦環境を構築する上で、ポケルスに感染した個体を用意することは半ば常識となっていました。
治癒しない・感染しないという矛盾
しかし、ここでも時計機能の不在が牙を剥きます。 ポケルスは本来、日数をまたぐことで「抗体あり」の状態に変化し、他への感染能力を失う仕様です。
時計がないFRLGでは日をまたぐ判定が行われないため、ルビー・サファイアからポケルス感染個体を連れてくると、永遠に治癒せず感染状態が維持されます。 これだけ聞くと保存に便利で良い仕様に思えますが、重大な欠陥がありました。
広がらない感染ルート
なんと、FRLG内ではポケルスが他の手持ちポケモンに一切感染しない仕様になっていたのです。 つまり、努力値を2倍にしたいポケモンがいる場合、そのポケモンをルビー・サファイアに送り、そこでポケルスを感染させてからFRLGに戻す必要がありました。
単体で完結した育成環境を構築することができず、常にルビー・サファイアとの連携を余儀なくされるこの仕様は、多くのブリーダーを悩ませました。 スイッチ版で時計機能が内部的に復活し、この問題が解決されることを祈るばかりです。
お使い感:ネットワークマシンの完成手順
壮大なフラグ立ての連続
FRLGの目玉機能であるルビー・サファイアとの通信交換。 これを解禁するための条件が、七島のネットワークマシンを完成させるという長大なイベントでした。
殿堂入りを果たしただけではダメで、まずはカントー図鑑のポケモンを60匹以上捕まえ、オーキド博士から「ぜんこくずかん」をもらう必要があります。 これだけでも一苦労ですが、本当の試練はここから始まります。
ルビーとサファイアを探す旅
1の島にいるニシキから、マシンを動かすための宝石「ルビー」と「サファイア」を探してほしいと頼まれます。 ルビーは「ともしびやま」の奥深く、ロケット団を倒して進んだ先で見つかります。
問題はサファイアです。 ルビーを渡して「レインボーパス」をもらい、4の島の「いてだきのどうくつ」で四天王カンナと共闘してロケット団を撃退します。 その後、6の島の「てんのあな」という遺跡で点字の謎を解き明かして最深部へ向かうという、複雑な手順を踏む必要があります。
テンポを崩す過剰なボリューム
点字を解読してようやくサファイアを見つけたと思いきや、スゴウという研究員に横取りされ、今度は5の島のロケット団倉庫へと向かいます。 移動パネルが敷き詰められたアジトを攻略し、スゴウを倒してようやくサファイアを入手できるのです。
イベントのボリュームとしては豊富でストーリーも面白いのですが、「早く他ソフトと通信交換したい」「金銀のポケモンを進化させたい」というプレイヤーにとっては、過剰なお使いクエストに感じられました。 全国図鑑をもらうまではクロバットやハピナスへの進化すら強制キャンセルされる仕様も相まって、フラストレーションが溜まりやすい導線だったと言わざるを得ません。
マップの空虚さ:七島の一部の存在意義
意味ありげな地名と中身のなさ
七島のマップは、「ほてりのみち」や「みずのさんぽみち」など、情景が浮かぶような美しい名称が付けられています。 しかし、その名称に見合ったイベントや発見が用意されている場所はごく一部でした。
多くのマップはただの通過点に過ぎず、プレイヤーの心に強く残るようなエピソードが不足していました。 特に存在意義が謎に包まれていたのが、以下の2つのダンジョンです。
しるしのばやしと、へんげのどうくつ
6の島の沖合いにある「しるしのばやし」。 草むらの配置に何か特別な意味があるかのような名前と広大なマップですが、落ちているアイテムは一つもありません。
NPCのトレーナーが「草むらの模様に意味があるのでは?」と煽ってきますが、ゲーム内でその謎が解明されることはなく、単にヘラクロスが出るだけの場所でした。
さらに不可解なのが「へんげのどうくつ」です。 エメラルドにも同名のダンジョンが存在しますが、内部に入ってもズバットしか出現しません。
実はこれ、本来は「カードe+」という周辺機器と連動して、出現するポケモンが変化するイベントが予定されていました。 メリープやヒメグマなど、FRLGに登場しないジョウトポケモンが多数出現する予定だった没データの残骸なのです。 予定されていたイベントが実装されていれば、七島の評価はさらに高まっていたことでしょう。
きのみ問題:栽培不可による入手難易度
育成と対戦に欠かせないアイテム
状態異常を回復するラムのみや、HPを回復するオボンのみなど、きのみは対戦において勝敗を分ける重要なアイテムです。 ルビー・サファイアでは「ふかふかのつち」にきのみを埋めて水をやり、大量に栽培して増やすことができました。 しかし、FRLGにはきのみを植える場所自体が存在しません。
限定的な入手手段
FRLGでのきのみの入手手段は極めて限定的でした。 フィールドに落ちているものを拾うか、3の島の「きのみのもり」でダウジングマシンを使って隠しアイテムとして探し出すしかありません。
特性「ものひろい」を活用する手もありますが、欲しいきのみをピンポイントで量産することは不可能です。
きのみクラッシュへの弊害
この栽培不可の仕様は、ミニゲーム「きのみクラッシュ」を遊ぶ際にも大きな足かせとなりました。 きのみを砕いて粉にし、タウリンなどのドーピングアイテムや貴重な「ポイントアップ」と交換できる素晴らしいシステムなのですが、肝心の材料となるきのみを集めるのが一苦労なのです。
| 交換アイテム | 必要なきのみの粉 |
|---|---|
| ちからのこな | 50 |
| マックスアップなどの薬 | 1000 |
| ポイントアップ | 3000 |
ポイントアップを交換するためには大量のきのみを消費する必要があり、FRLG単体で賄うのは非現実的でした。 結局、きのみクラッシュもルビー・サファイアやエメラルドで行うのが基本となってしまい、FRLGのシステムとしては死に要素になりかけていたのが残念です。
幻扱い:ルギアとホウオウの入手制限
パッケージを飾った伝説の不在
金・銀のパッケージを飾った伝説のポケモン、ルギアとホウオウ。 ジョウト地方のポケモンが多く登場するFRLGにおいて、この2匹の登場は多くのプレイヤーが期待していました。
しかし、通常のプレイではFRLGにもルビー・サファイアにも出現しません。 全国図鑑の完成条件からも除外され、事実上の「幻のポケモン」と同じ扱いを受けてしまったのです。
イベント配布限定という高い壁
彼らを入手するためには、ポケモンフェスタなどのリアルイベントで配布された「しんぴのチケット」というデータを受け取る必要がありました。 このチケットを使って「へそのいわ」という特別な島に行くことで、ようやくレベル70のルギアとホウオウに遭遇できたのです。
当時はインターネットによる配信環境が整っておらず、イベント会場に足を運べる一部のプレイヤーしか手に入れることができない高嶺の花でした。 ゲームキューブのソフトを介した裏技的な入手方法もありましたが、通常のRPGのプレイ体験として、カセット単体で伝説のポケモンをコンプリートできない仕様は、少し寂しさを感じるものでした。
最高かつ残念な仕様:伝説の3犬に関する要素
徘徊システムの功罪:エンテイ等の仕様
関東地方を駆け巡るジョウトの伝説
最後に紹介するのは、最高でもあり残念でもあった要素、伝説の3犬(ライコウ、エンテイ、スイクン)についてです。 ネットワークマシン完成後、カントー地方の草むらをこの3匹のいずれかが徘徊し始めます。
最初に選んだ御三家によって出現するポケモンが変化する(フシギダネ→エンテイ、ヒトカゲ→スイクン、ゼニガメ→ライコウ)という仕様は、プレイヤー間で情報交換を促す面白い仕掛けでした。 ジョウト地方の準伝説がカントーの地を走っているという事実だけで、最高にワクワクする要素です。
ノーヒントという不親切さ
しかし、残念なポイントが2つあります。 1つ目は、彼らが徘徊し始めたという情報が、ゲーム内で一切アナウンスされない点です。
ネットワークマシンを完成させた後、偶然草むらで遭遇しない限り、その存在に気づくことができません。 情報を知らずにスプレーを多用して移動していると、永遠に出会えないままゲームを終えてしまう可能性すらありました。
個体値バグという致命的な欠陥
2つ目の残念なポイントは、ガチプレイヤーにとって致命的な「個体値バグ」の存在です。 プログラムのミスにより、徘徊している3犬に遭遇して捕獲すると、必ず「HPと攻撃以外の個体値(ステータスの素質)が0に固定される」という現象が発生しました。
防御、特攻、特防、素早さの才能が完全にゼロの状態で出現してしまうのです。 ルビー・サファイアのラティオス・ラティアスでも発生していたバグですが、FRLGでも修正されていませんでした。
対戦で活躍させたいと願って苦労の末に捕獲しても、能力値の低さから実践投入が難しいという悲しい結末が待っていました。 スイッチ版では、この個体値バグが確実に修正されていることを祈ります。
まとめ
筆者情報
筆者:桐谷シンジ フリーランスのゲーム攻略ライター。慶應大学卒業後、大手出版社を経て、現在に至る。幅広いゲームに携わるが、主にRPG/FPS/サンドブロック系のゲームを得意とする。最近の悩みは趣味の時間が取れず、積みゲーが100作品を超えたこと。
以上が、ポケモンFRLGの最高だった要素と残念だった要素15選です。 一部に荒削りな仕様やバグは存在したものの、それらを補って余りある圧倒的な魅力とボリュームを持った作品でした。
初代の思い出を美しく昇華させ、対戦ゲームとしての深みを確立した本作の功績は色褪せません。 2026年発売予定のスイッチ版では、現代の技術でどこまでブラッシュアップされているのか。
過去の不便だった仕様が改善され、新たな対戦環境が構築されることを想像すると、いちプレイヤーとして楽しみでなりません。 ぜひ皆さんも、スイッチ版が発売された際には、進化したカントー地方の冒険を存分に味わってみてください。




















