編集デスク ポケモンカードゲーム攻略ライターの橋本ユアです。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
最近、「ポケモンカードの転売って儲かるの?」「副業として始めたいけど、失敗したって話も聞くし不安……」という声を耳にすることが本当に増えました。
この記事を読んでいる方は、ポケカの人気に注目し、「自分も少し利益を出せるのではないか」「お小遣い稼ぎができるのではないか」と気になっていることと思います。 ニュースでも高騰情報ばかりが取り上げられるので、夢を見てしまう気持ちもよくわかります。
しかし、現実は皆さんが思っているほど甘くはありません。むしろ、安易に足を踏み入れた結果、金銭的にも精神的にも大きなダメージを負って辞めていく人が後を絶たないのが実情です。
この記事を読み終える頃には、ポケカ転売の裏にある「語られないリスク」と「なぜ多くの人が後悔して辞めていくのか」という疑問が、完全に解決しているはずです。
- 時給換算すると数百円?労力に見合わない収益の実態
- 「再販」と「暴落」に怯える日々。在庫リスクの恐怖
- 社会的な信用失墜と、対人トラブルのストレス
- 詐欺やサーチ品のリスク。法的トラブルの可能性
それでは解説していきます。
転売は割に合わない?「時給換算500円」の残酷な現実
「ポケカを買って売るだけで利益が出る」
そう聞いて始めたものの、実際にやってみると**「労働時間に対して利益が少なすぎる」**という事実に直面し、辞めていく人が最も多いです。 一見、数千円の利益が出ているように見えても、そこにかかった時間や経費を計算すると、アルバイトをした方がマシだったというケースがほとんどなのです。
長時間の並びと抽選の壁
人気商品を定価で手に入れるためには、発売日の深夜や早朝から量販店に並ぶ必要があります。 しかし、ここで経験者が口を揃えて言うのが**「コスパの悪さ」**です。
例えば、利益が期待できるボックスを手に入れるために、10時間並んだとします。 運良く購入でき、転売して5,000円の利益が出たとしましょう。 これを時給に換算すると、たったの500円です。
- 待機時間:10時間(深夜〜開店)
- 粗利:5,000円
- 時給:500円
今の最低賃金と比較しても、圧倒的に低いですよね。しかも、これは「買えた場合」の話です。 最近は店舗側も対策を強化しており、長時間並んでも「抽選販売」になったり、「お一人様1パックまで」という厳しい購入制限がかかったりすることが当たり前になっています。
10時間並んで、買えたのが数パックだけで、利益が数百円……なんてこともザラにあります。 「いい大人が数千円のために貴重な休日を潰して何をしているんだろう」と、我に返って辞める人が多いのも納得です。
見落としがちな「経費」と「手数料」の罠
表面上の価格差だけで利益計算をしていると、痛い目を見ます。 転売には、目に見えにくいコストが多々かかります。
- 販売手数料:フリマアプリでは売上の10%程度が引かれます。
- 送料:梱包サイズによっては数百円〜千円以上かかります。
- 梱包資材費:カードを保護するためのスリーブ、ローダー、緩衝材、段ボール代。
- 交通費:店舗を回るためのガソリン代や電車賃。
例えば、10,000円で売れたとしても、手数料で1,000円、送料で800円引かれれば、手元に残るのは8,200円。 仕入れ値が5,500円だとしたら、利益は2,700円です。 ここからさらに交通費や梱包費を引くと、手元に残る利益は微々たるものになります。
競争激化による仕入れ難易度の上昇
「コンビニに行けば買える」という時代は終わりました。 入荷時間を予測してコンビニを何店舗もハシゴしたり、SNSで入荷情報を張り付いてチェックしたりする「情報収集」の労力も必要です。
私の知り合いでも、「ガソリン代を使って一日中走り回ったのに、結局1パックも買えなかった」と嘆いている人がいました。 ライバルとなる転売ヤーも増え続けており、専業でやっている組織的なグループには、個人の副業レベルでは太刀打ちできないのが現状です。
「在庫=資産」ではない!相場暴落と再販の恐怖
「ポケカは寝かせておけば値上がりする」
これは転売ヤーを勧誘する際の常套句ですが、これを鵜呑みにして大損をする人が急増しています。 トレーディングカードは「株」と同じで、価格が常に変動します。そして、その変動幅(ボラティリティ)は株以上に激しく、予測が困難です。
メーカーによる「再販」という名の価格破壊
ポケモンカードの価格が高騰する最大の理由は「供給不足」です。 しかし、メーカー(株式会社ポケモン)も転売対策として、人気商品の**大規模な再販(増産)**を行っています。
「受注生産」が実施されると、市場に大量の商品が供給されることが確定するため、その瞬間に相場は暴落します。
| 状況 | 転売ヤーの心理 | 市場の動き |
|---|---|---|
| 発売直後 | 「今売れば儲かる!」 | 品薄で価格高騰 |
| 再販決定 | 「やばい、値下がりする前に売らなきゃ!」 | 売り注文が殺到(投げ売り) |
| 再販実施 | 「在庫が捌けない……」 | 定価割れ・大暴落 |
かつて20万円以上の価値がついた超人気キャラクターのカードでも、再販によって一気に半値以下、時には数分の一まで暴落した事例があります。 「いつか上がるはず」と信じて抱えていた在庫が、一夜にして**「ただの紙切れ」**同然の価値になってしまう。 この恐怖に耐えられず、損切りをして撤退する人が後を絶ちません。
「レギュレーション落ち」による価値の消失
ポケモンカードには、公式大会で使用できるカードを制限する「レギュレーション」というルールがあります。 一定期間が過ぎると、古いカードは大会で使えなくなります(通称:レギュ落ち)。
プレイヤー需要で価格が維持されていたカードは、このレギュ落ちのタイミングで需要がゼロになります。 コレクター需要がある一部のレアカードを除き、大半のカードはタダ同然の値段になってしまうのです。 「100年後には骨董品として価値が出るかも」と言っても、それまで状態を完璧に維持して保管し続けるコストを考えれば、現実的ではありません。
カードの状態管理という専門スキル
カードの価値は「状態」が命です。 ほんの少しの「白欠け(端が白くなること)」や「擦れ傷」があるだけで、査定額は半減、あるいは数分の一になります。
- 湿気によるカードの反り
- 日光による色あせ(日焼け)
- 保管中の不慮の傷
これらを防ぐためには、防湿庫を用意したり、UVカットのスリーブに入れたりと、徹底した管理が必要です。 初心者が適当に保管していた在庫が、いざ売ろうとした時に「状態B(傷あり)」と判定され、大赤字になるケースも非常に多いのです。
社会的孤立と精神的ストレス「転売ヤー」への冷ややかな視線
金銭的な損益以上に、辞めた理由として多く挙げられるのが**「精神的な辛さ」**です。 「転売ヤー」という存在は、世間から非常に厳しい目で見られています。
子供や親からの冷たい視線
コンビニや量販店で、大人が目の色を変えてカードを買い占める姿は、周囲からどう見えているでしょうか。 「子供が買えなくて泣いているのに、大人がカートごと買っていく」 そんな光景に対して、店員さんや他のお客さんからは、軽蔑の眼差しを向けられます。
実際に、私の友人のコンビニ店員もこう言っていました。 「大人の男性が『何時に入荷するんだ!』と詰め寄ってくるのが本当に怖い。子供たちに売りたいのに、怖くて売れない」
自分が「子供の楽しみを奪って利益を得ている」という事実に気づき、罪悪感に苛まれて辞める人は、実は良心がある人ほど多いのです。
店員とのトラブル・出入り禁止
転売対策に力を入れている店舗では、転売目的と判断された瞬間に販売を拒否されたり、ブラックリストに入れられたりすることがあります。 「シュリンク(外装ビニール)を剥がしての販売のみ」という条件に対して、「剥がさないでくれ!」と店員に食い下がってトラブルになるケースも散見されます。
中には、列への割り込みや、仲間を使った買い占め行為が原因で警察沙汰になり、ニュースで報道されるような恥ずかしい事態に発展することもあります。 たかが数千円のために、犯罪者予備軍のような扱いを受けることに耐えられますか?
友人・知人からの信用失墜
「あいつ、最近転売やってるらしいよ」 そんな噂が広まれば、友人関係にも亀裂が入ります。 特に純粋にポケモンカードを楽しんでいるプレイヤーからすれば、転売ヤーは「敵」でしかありません。
同級生に勧誘されて転売を始めたものの、周りから白い目で見られ、「友達を失ってまでやることじゃない」と気づいて足を洗ったという声もよく聞きます。
闇が深すぎる…詐欺・偽物・サーチ行為の泥沼
ポケカ転売の世界には、普通のビジネスでは考えられないような「悪意」が渦巻いています。 知識のない初心者がカモにされる世界でもあります。
「再シュリンク」と「サーチ済み」パックの横行
フリマアプリなどで「未開封ボックス」として売られているものの中には、一度開封してレアカードを抜き取り、再びビニール包装(シュリンク)をし直した**「再シュリンク品」**が大量に出回っています。
また、精密な計量器や金属探知機を使って、パックを開封せずに中にレアカードが入っているか調べる**「サーチ行為」**も横行しています。 「未開封パック」として売られているものの多くは、サーチ済みの「カスパック(レアが入っていないパック)」である可能性が非常に高いです。
初心者が転売目的でメルカリ等から仕入れたボックスが、実は中身がすり替えられたゴミ箱だった……なんて詐欺被害は日常茶飯事です。 しかも、フリマアプリの性質上、開封してしまったら返品も難しく、泣き寝入りするしかありません。
巧妙化する偽造品(レプリカ)
近年、数百万円〜数千万円クラスのカードの偽物が流通し、逮捕者が出る事件も発生しています。 精巧に作られた偽物は、素人の目では絶対に見抜けません。 時には鑑定機関すら騙されるほどのクオリティのものもあります。
「安い!」と思って飛びついた高額カードが偽物で、それを知らずに他人に転売してしまった場合、あなたが**「詐欺罪」や「商標法違反」**に問われる可能性があります。 「知らなかった」では済まされないのが法律の世界です。
オリパ(オリジナルパック)という名のギャンブル
転売で在庫を抱えた人が、最終的に手を出しがちなのが「オリパ作成」や「オリパ購入」です。 しかし、これもまた地獄への入り口です。
- 購入側のリスク:当たりが入っている保証はどこにもない。「全口完売してから当たり発表」などと言いつつ、最初から当たりを入れていない詐欺オリパが山ほどあります。「300万円分買ったけど当たりがゼロだった」という被害報告もあります。
- 販売側のリスク:売れないカード(在庫)を処分するためにオリパを作って販売しようとしても、古物商の許可が必要だったり、賭博罪に抵触する恐れがあったりと、法的なハードルが高いです。また、当たりが出なかった購入者から「詐欺だ!」と通報されるトラブルも絶えません。
税金からは逃げられない!「追徴課税」の末路
「バレなきゃ大丈夫」と思っていませんか? フリマアプリの売上データは、税務署に完全に把握されていると考えた方が良いです。
副業でも確定申告は必須
会社員であっても、副業(転売など)の所得が年間20万円を超えれば、確定申告が必要です。 「売上」ではなく「所得(利益)」ですが、先ほど述べたように経費の計算は複雑で、証明するための領収書なども全て保管しておく必要があります。
過去に遡って請求される恐怖
数年後に突然、税務署から連絡が来て、過去数年分の無申告を指摘されることがあります。 その場合、本来払うべき税金に加えて、**「無申告加算税」や「延滞税」**といった重いペナルティ(追徴課税)が課せられます。
「お小遣い稼ぎのつもりだったのに、税金と罰金で借金を背負うことになった」 そんな笑えない結末を迎える転売ヤーも実在します。自己破産をしようとしても、税金の支払いは免責(チャラにすること)が認められないケースが多いため、一生背負っていくことになります。
まとめ:ポケカ転売は「百害あって一利なし」
ここまで、ポケカ転売のリアルな実態とリスクについて解説してきました。
- 時給換算数百円の低賃金労働であること。
- 再販による暴落リスクと常に隣り合わせであること。
- 社会的信用を失い、精神をすり減らすこと。
- 詐欺被害や法的トラブル、納税のリスクがあること。
これだけのリスクを背負ってまで、やる価値があるでしょうか? 経験者の多くが「二度とやらない」「普通に働いた方がマシ」と口を揃える理由が、お分かりいただけたかと思います。
ポケモンカードは本来、純粋に集めたり、対戦したりして楽しむためのものです。 その「楽しさ」をお金に換えようとした瞬間、カードはただの「在庫」になり、あなたの生活を脅かすストレスの種に変わってしまいます。
もし、あなたが「楽して稼ぎたい」という理由で転売を考えているなら、今すぐ考え直すことを強くおすすめします。 そして、今すでに在庫を抱えて苦しんでいるなら、これ以上の傷口を広げる前に、損切りをしてでもこの世界から足を洗う勇気を持ってください。
健全なファンとして、ポケモンカードと付き合っていく方が、人生はずっと豊かで楽しいはずですから。
筆者情報
橋本ユア フリーランスのトレカ攻略ライター。慶應大学卒業後、大手出版社を経て、現在に至る。幅広いトレカに携わるが、主にポケカ、遊戯王、ワンピ、デュエマを得意とする。特にポケカが好きで、総課金額は1,000万円以上。自称リーリエの旦那。プレイヤーとしての視点と、市場動向の分析を組み合わせた記事に定評がある。





















