編集デスク ポケモンカードゲーム攻略ライターの橋本ユアです。今回も多く寄せられている質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、店頭でふと見かけた、あるいはSNSで話題になっている「ロケット団の栄光」や「インフェルノX」といった拡張パックの資産価値が気になっていることと思います。「ロケット団」という響きに懐かしさを感じたり、リザードンという言葉に投資の可能性を感じたりしているのではないでしょうか。特に最近はポケカの相場変動が激しいため、今買うべきか、買ったら寝かせるべきか、非常に悩ましいですよね。
この記事を読み終える頃には、これらのパックが持つ真のポテンシャルと、あなたが家電量販店で見かけた際に取るべき行動、そして将来的な資産としての展望についての疑問が解決しているはずです。
- ロケット団の栄光はミュウツーexSARの存在により長期的に安定した資産価値が見込める
- インフェルノXはメガリザードンXとヒカリの収録により爆発的な高騰が期待できる
- 家電量販店で定価販売を見かけたら迷わず購入し未開封での保管を強く推奨する
- 短期的な転売よりも5年から10年スパンでの寝かせが最も利益率を高める
それでは解説していきます。
ロケット団の栄光とは何か
まずは、2025年4月に発売された拡張パック「ロケット団の栄光」について、改めてその概要と魅力をおさらいしていきましょう。発売から半年以上が経過した現在でも、ポケカファンの間では「名作」として語り継がれているこのパックですが、その理由は一体どこにあるのでしょうか。
悪の組織「ロケット団」への回帰とノスタルジー
「ロケット団の栄光」というタイトルの通り、このパックの最大のコンセプトは、初代ポケットモンスターから登場する悪の組織「ロケット団」への原点回帰です。ポケカの歴史において「わるいポケモン」や「ロケット団」をテーマにしたセットは、過去にも何度か登場しており、そのいずれもがプレミア化しているという歴史的事実があります。
例えば、古くは「ロケット団の逆襲」、そして近年では「25th Anniversary Collection」におけるプロモカード「ロケット団参上!」などが挙げられます。悪役でありながらどこか憎めない、そしてクールなデザインは、30代から40代の往年のファン層(ここが最も資金力のある層でもあります)に強烈に刺さります。今回の「ロケット団の栄光」は、そうした「大人世代のノスタルジー」を巧みに刺激する構成になっている点が最大の特徴です。
収録カードの豪華さと「わるい」デザインの秀逸さ
このパックには、「ロケット団のミュウツーex」や「ロケット団のファイヤーex」といった、名前に「ロケット団の」を冠したポケモンたちが多数収録されています。これらは通常のポケモンカードとは異なり、少しダークで影のあるイラストレーションが採用されており、コレクション需要が非常に高いのが特徴です。
特にSAR(スペシャルアートレア)のイラストの評価が非常に高く、サカキやアテナといった幹部たちがポケモンと共に描かれている構図は、物語性を感じさせます。単なるゲームの駒としてだけでなく、「アート作品」としての側面が強調されているため、プレイヤー需要だけでなくコレクター需要も二重取りできる構成になっているのです。これが、発売後も価格が底堅い理由の一つと言えるでしょう。
ロケット団の栄光の資産価値を分析
それでは、皆さんが最も気になっているであろう「資産価値」について、具体的なカードや市場の動きを交えながら深掘りしていきましょう。「ロケット団の栄光」は、将来的に化けるボックスなのでしょうか。
ミュウツーex SARが支える相場の底堅さ
このパックの相場を牽引しているのは、間違いなく「ロケット団のミュウツーex SAR」です。現在、シングルカード市場では4万円前後で取引されていますが、この価格帯は拡張パックのトップレアとしては非常に優秀な部類に入ります。
なぜこれほどまでに価値が高いのか。それは「ミュウツー」というポケモンの圧倒的なブランド力に加え、「サカキ」というカリスマトレーナーが共に描かれている点に尽きます。過去の例を見ても、「ひかるミュウ」や「ミュウツーGX(シークレット)」など、ミュウツーの高レアリティカードは年数が経過するごとに価値を上げていく傾向にあります。
また、このカードは対戦環境においても一定の採用率があるため、プレイヤーからの需要も尽きることがありません。コレクション需要とプレイ需要の両輪が回っているカードがトップに君臨しているボックスは、未開封ボックスとしての価値も落ちにくいという法則があります。「ロケット団の栄光」は、まさにこの「黄金法則」に当てはまっているのです。
サポートSR・SARの充実度
資産価値を語る上で欠かせないのが、トレーナーズ(サポートカード)のラインナップです。「ロケット団の栄光」には、ロケット団のボスである「サカキ」や、幹部の「アテナ」がSARとして収録されています。
ポケカ市場においては「女性サポート(いわゆる女の子SR)」の価格が高騰しやすい傾向にありますが、実は「渋い男性キャラクター」や「悪の組織のボス」も、コアなコレクターからの支持が厚く、価格が暴落しにくいという特徴があります。サカキのSARは、その威厳あるイラストから海外コレクターからの人気も高く、円安傾向が続く現状では海外輸出需要も見込めます。
アテナに関しても、そのクールなビジュアルから一定のファン層を獲得しており、価格の下支え要因となっています。このように、トップレア以外の脇を固めるカードたちが強力であることも、このボックスの資産性を高めています。
過去の「ロケット団」関連商品との比較
歴史を振り返ってみましょう。過去に発売された「ロケット団」に関連する未開封ボックスやカードは、現在どうなっているでしょうか。例えば、PCG時代の「ロケット団の逆襲」の未開封パックは、現在では数十万円という価格で取引されることも珍しくありません。
もちろん、当時の発行枚数と現在の発行枚数は桁が違うため、単純に同じ倍率で高騰するとは言えません。しかし、「ロケット団」というテーマ自体が、10年後、20年後も腐らないコンテンツであることは証明されています。ポケモンというコンテンツが続く限り、ロケット団は永遠の悪役として愛され続けるでしょう。その意味で、「ロケット団の栄光」は、長期保有(ロングホールド)に適した、非常に堅実な投資対象であると評価できます。
インフェルノXの徹底考察
次に、2025年9月に発売され、現在進行形で市場を賑わせているMEGA拡張パック「インフェルノX(エックス)」について解説します。こちらは「ロケット団の栄光」とは異なり、より爆発的な高騰ポテンシャルを秘めた、まさに「荒れる」ボックスです。
リザードンという名の「最強資産」
「インフェルノX」の目玉は、なんといってもパッケージモンスターである「メガリザードンX」です。ポケカ投資において「リザードン」という名前は、それだけで購入理由になるほどのパワーワードです。過去、リザードンが表紙を飾ったパックで、現在定価割れしているものはほとんど存在しません。
特に今回は「メガシンカ」というギミックが復活し、その象徴としての「メガリザードンX」です。黒いボディに青い炎という、男子心をくすぐる究極のデザイン。これの最上位レアリティであるMUR(メガアルティメットレア)やSARの初動価格は10万円を超え、現在でも高値を維持しています。リザードンの高レアリティカードは、世界中のコレクターが血眼になって探しているため、需要が供給を上回り続ける構造が出来上がっています。
ヒカリ(SAR)収録による「美少女カード」需要
「インフェルノX」が恐ろしいのは、リザードンだけではないという点です。なんと、ダイヤモンド・パールシリーズの人気ヒロイン「ヒカリ」のSARが収録されているのです。
ポケカ市場において「人気ヒロインのSR/SAR」は、時にリザードンすら凌駕する価格になることがあります。過去の「ガンバリーリエ」や「エクストラバトルの日アセロラ」の例を出すまでもなく、可愛い女の子カードの破壊力は凄まじいものがあります。
ヒカリはアニメでの人気も絶大で、今回のイラストも非常に評価が高いです。「最強のポケモン(リザードン)」と「最強のヒロイン(ヒカリ)」が同居しているこのボックスは、ポケカ投資の観点から見れば、まさに「約束された勝利のボックス」と言えるでしょう。ハズレ枠が少なく、どのパックを剥いても期待値が高い、いわゆる「神ボックス」の構成要件を満たしています。
新レアリティ「MUR」の衝撃
「インフェルノX」から本格導入されたと言われる「MUR(メガアルティメットレア)」の存在も無視できません。従来のUR(ウルトラレア)を超越する特殊加工と封入率の低さは、コレクターの収集欲を極限まで刺激します。
封入率が低いということは、市場に出回る絶対数が少ないということです。時が経ち、絶版(生産終了)となった後、美品のMURを手に入れることは至難の業となるでしょう。希少性は価値の源泉です。このMURという新しいレアリティの存在が、将来的なボックス価格を押し上げる強力な要因になると私は分析しています。
家電量販店で見つけたら買うべきか
ここまでの解説で、両パックのポテンシャルはご理解いただけたかと思います。では、実際にイオンやヨドバシカメラ、ビックカメラなどの家電量販店で、これらのパックが定価で売られているのを見かけたら、どうすべきでしょうか。
結論:即断即決で購入すべき
私の結論は、「迷わず確保」です。特に「シュリンク(外装ビニール)付きのボックス」であれば、予算の許す限り購入することをお勧めします。
現在のポケカ市場において、人気パックを定価(1ボックス5,400円程度)で購入できる機会は、実はそれほど多くありません。発売日には長蛇の列ができ、抽選販売に外れれば手に入らないのが日常です。もし店頭に並んでいるとしたら、それは「奇跡的な再販のタイミング」に出くわしたか、あるいは「まだ世間がその価値に気づききっていない一瞬の隙」である可能性が高いです。
バラパック購入の是非
では、ボックスではなく「バラパック(数パック制限)」での販売だった場合はどうでしょうか。これについても、私は「購入推奨」の立場をとります。
もちろん、資産価値として最も高いのは「未開封ボックス(シュリンク付き)」です。しかし、ロケット団のミュウツーex SARや、メガリザードンXのMURといったトップレアを自引きできる可能性がある以上、定価で買えるパックは「期待値がプラスの宝くじ」のようなものです。
また、最近はパック制限で購入し、そのまま開封せずにパックのままコレクションする「未開封パックコレクター」も増えています。特に「ロケット団の栄光」のようなパッケージデザインが秀逸なパックは、パック単体でも将来的に数百円、数千円の価値がつく可能性があります。見つけたら上限まで購入し、開封を楽しむもよし、そのまま保管するもよしです。
クレジットカードのポイント還元も考慮する
家電量販店で購入するメリットの一つに、ポイント還元があります。多くの量販店では5%から10%のポイントがつきます。つまり、実質的には定価よりも安く資産を手に入れることができるのです。
転売価格やカードショップのプレ値で購入する場合は、このポイント分のアドバンテージはありません。定価で購入し、さらにポイントまで貰えるというのは、投資効率の観点から見ても非常に理にかなっています。
リスク要因と注意点
ここまで良いことばかりを書いてきましたが、投資的な視点を持つ以上、リスクについても公平に触れておく必要があります。ポケカは必ず儲かる魔法の杖ではありません。
再販による短期的な相場下落
ポケモンカードゲーム公式は、転売対策として人気商品に対して積極的な「再販」を行います。「ロケット団の栄光」も「インフェルノX」も、発売から1年程度は断続的に再販が行われる可能性があります。
再販が行われると、市場に供給量が増えるため、一時的にシングルカードの価格やボックスの相場が下落します。「買った翌週に再販が来て相場が下がった」ということも十分にあり得ます。しかし、これはあくまで短期的な視点での話です。生産が終了し、絶版となれば、供給はストップし、あとは需要に応じて価格が上がっていくだけになります。一喜一憂せず、数年単位で寝かせる覚悟が必要です。
状態(コンディション)の管理
将来的にカードやボックスを売却する場合、最も重要なのが「状態」です。特に未開封ボックスの場合、シュリンクの破れや箱の凹みは致命的です。家電量販店で購入した後、エコバッグに適当に突っ込んで持ち帰っていませんか?その瞬間に、箱の角が潰れて価値が半減してしまうかもしれません。
また、日本の気候は高温多湿です。湿気はカードの大敵であり、カビや反りの原因となります。購入後は、直射日光の当たらない、湿度の管理された場所(防湿庫など)で保管することが、資産価値を守るための最低条件です。
「インフェルノX」のボラティリティ
「インフェルノX」に関しては、発売から日が浅いため、価格の変動幅(ボラティリティ)が大きい点に注意が必要です。初動で高値がついたカードが、数ヶ月後に半値になるというケースは珍しくありません。
特に、対戦環境(メタゲーム)の変化によって、カードの評価が変わることがあります。メガリザードンXが環境トップを取れれば価格は維持されますが、対策カードが出たり、より強いデッキが流行ったりすると、プレイヤー需要が減退し、価格が下がるリスクがあります。ただし、リザードンやヒカリといったキャラクター人気に支えられているカードは、プレイ需要がなくなってもコレクション需要で価格が維持される傾向にあるため、そこまで悲観する必要はないでしょう。
まとめ:将来を見据えた「握力」が試される
最後に、今回の内容をまとめさせていただきます。
「ロケット団の栄光」と「インフェルノX」は、数あるポケモンカードの拡張パックの中でも、特に資産性が高いと判断できる優良商品です。
「ロケット団の栄光」は、過去の歴史が証明する「悪の組織ブランド」と、ミュウツーという絶対的なエースの存在により、長期的な安定成長が見込めます。派手さはないかもしれませんが、着実に価値を積み上げていく、堅実な投資信託のような商品と言えるでしょう。
一方の「インフェルノX」は、リザードンとヒカリという、ポケカ界の二大スターが共演するお祭りパックです。現在の価格も高いですが、絶版後の高騰力は計り知れません。ハイリスク・ハイリターンな側面もありますが、当たれば大きい個別株のような魅力があります。
もしあなたが家電量販店でこれらのパックを見かけたら、それは「買い」のサインです。定価で手に入れられる機会は、今この瞬間しかないかもしれません。そして手に入れた後は、すぐに開封して一攫千金を狙うのも良いですが、グッと堪えて未開封のまま大切に保管することを強くお勧めします。
ポケカ投資において最も大切なのは、市場のノイズに惑わされず、良い商品を長く持ち続ける「握力(ホールド力)」です。5年後、10年後、あなたの手元にあるそのボックスが、当時の定価の何倍、何十倍もの価値になっている光景を想像してみてください。それは決して夢物語ではありません。
ポケカは楽しむものであり、同時に資産でもあります。無理のない範囲で、賢く付き合っていきましょうね。また次回の記事でお会いしましょう。
付録:主要カード価格推移予測(2025年-2030年)
最後に、あくまで私の個人的な予測ではありますが、主要カードの将来的な価格推移のイメージを表にまとめておきます。購入の際の参考にしてください。
ロケット団のミュウツーex SAR
| 年 | 予想相場 | 理由・背景 |
|---|---|---|
| 2025年 | 40,000円 | 現行レギュレーションで使用可能。安定した需要。 |
| 2026年 | 35,000円 | 再販等により一時的に微減する可能性あり。 |
| 2027年 | 45,000円 | 絶版により供給ストップ。徐々に上昇トレンドへ。 |
| 2030年 | 80,000円 | 30周年記念等で過去カードに注目が集まり高騰。 |
メガリザードンX ex MUR
| 年 | 予想相場 | 理由・背景 |
|---|---|---|
| 2025年 | 110,000円 | 発売直後の熱狂的ブーム。 |
| 2026年 | 90,000円 | 初動の過熱感が落ち着き、調整局面へ。 |
| 2027年 | 120,000円 | 絶版確定。美品の流通量が激減し始める。 |
| 2030年 | 250,000円 | 「メガシンカ」世代の象徴として伝説級の扱いに。 |
※価格はPSA10相当ではなく、素体美品の市場価格を想定しています。 ※これは投資助言ではなく、過去のデータを基にしたシミュレーションです。購入は自己責任でお願いします。








