ゲームジャーナリストの桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、国民的ゴルフゲームの最新作『みんなのゴルフワールド』の購入を検討していて、PlayStation 5、Nintendo Switch、PC(Steam)など、どのハードで遊ぶのが一番良いのか気になっていると思います。 特にSwitch版の評判が気になる、という声も多く耳にします。

この記事を読み終える頃には、あなたに最適なハードウェア選びの疑問が解決しているはずです。
- 各ハードのメリット・デメリットを徹底比較
- Switch版で報告される問題点の詳細な解説
- 快適なプレイ環境を求めるならPS5版が最適
- 今後のアップデートで改善される可能性
それでは解説していきます。

みんゴルワールドの概要と現状の問題点
まずは『みんなのゴルフワールド』がどのようなゲームなのか、そしてなぜ発売直後から様々な意見が飛び交っているのか、その背景から解説していきましょう。

みんゴルワールドとは?国民的ゴルフゲームの最新作
『みんなのゴルフワールド』は、1997年の初代発売から長きにわたって愛されてきた「みんなのGOLF」シリーズの正統後継作です。 シンプルな操作で誰でも爽快なショットが楽しめる手軽さと、風や芝目を読んでスピンを駆使する奥深い戦略性を両立しており、「国民的ゴルフゲーム」として確固たる地位を築いてきました。
今作は、世界各地をモチーフにした美麗なコースや、個性豊かなキャラクターたちが魅力です。 一人でじっくり腕を磨くチャレンジモードはもちろん、最大4人でのオフライン対戦や、ハチャメチャなルールが楽しい新モード「バラエティゴルフ」など、多彩な遊び方が用意されています。
そして最大の特徴は、これまでPlayStationプラットフォームを中心に展開してきたシリーズが、初めてNintendo SwitchやPC(Steam)にも対応した点です。 これにより、より多くのプレイヤーが「みんゴル」の世界に触れられるようになりました。
なぜ炎上?発売直後から指摘される数々の問題
大きな期待と共に発売された本作ですが、残念ながら発売日直後からSNSやレビューサイトでプレイヤーからの厳しい意見が続出する事態となりました。 その内容は、特定の条件下でゲームが進行不能になるバグ、操作性の問題、ゲームバランスへの不満など多岐にわたります。
この状況は非常に異例で、発売元であるバンダイナムコエンターテインメントは、なんと発売日当日に公式X(旧Twitter)アカウントで声明を発表。 「皆様より様々なご意見をいただいております」「いただいたご意見は真摯に受け止め、より良いゲーム体験をお届けできるよう、操作精度の向上を含めて、ハードごとに確認されている現象の原因究明に努めてまいります」とアナウンスするに至りました。 このことからも、メーカー側が問題を深刻に受け止めていることがうかがえます。
開発会社の変更がクオリティに影響か
なぜ、これほど多くの問題点が指摘されているのでしょうか。 その背景として多くのシリーズファンが指摘しているのが、開発会社の変更です。
これまでの「みんゴル」シリーズは、株式会社クラップハンズが一貫して開発を手掛けてきました。 しかし、今作『みんなのゴルフワールド』の開発を担当しているのは、株式会社ハイドという別の会社です。
クラップハンズは長年にわたるシリーズ開発で、ファンが喜ぶ「みんゴルらしさ」のノウハウを豊富に蓄積していました。 開発元が変わったことで、そのノウハウの継承がうまくいかなかったのではないか、あるいはゲーム設計の思想そのものが変わってしまったのではないか、という見方が広がっています。 もちろん、開発会社が変わったことだけがすべての原因とは断定できません。 しかし、従来のシリーズ作品と比較して、操作感やゲームの挙動に違和感を覚えるプレイヤーが多いのは事実であり、この変更がクオリティに何らかの影響を与えた可能性は否定できないでしょう。
【ハード別】みんゴルワールド徹底比較!あなたにおすすめなのはどれ?
さて、ここからが本題です。 『みんゴルワールド』は複数のハードで発売されていますが、それぞれに特徴があり、残念ながらゲーム体験の質も大きく異なります。 各ハードの長所と短所を、具体的なデータも交えながら詳しく見ていきましょう。

【結論】快適なプレイを最優先するなら「PS5版」
もしあなたが最高の環境で、ストレスなく『みんゴルワールド』をプレイしたいのであれば、現時点での最適解は間違いなくPS5版です。
長所:圧倒的に少ない入力遅延
本作で最も問題視されているのが「入力遅延」、つまりボタンを押してから実際にゲーム内で反応があるまでのタイムラグです。 特にタイミングが重要なゴルフゲームにおいて、この遅延は致命的です。
実際にPS5版とSwitch版の入力遅延を検証したところ、以下のような結果となりました。
- PS5版の入力遅延:約3~4フレーム
- Switch版の入力遅延:約6~8フレーム
フレーム(F)は映像のコマ数を表す単位で、1秒間は60フレームで構成されています(60fpsの場合)。 つまり、PS5版の遅延が約0.05~0.07秒なのに対し、Switch版は約0.1~0.13秒と、およそ2倍の遅延が発生していることになります。 体感でも明らかにわかるこの差は、ショットの成否に大きく影響します。 私自身、PS5版では何度もジャストインパクトを出せていますが、Switch版ではタイミングを合わせるのに非常に苦労しました。
長所:滑らかなフレームレートと美麗なグラフィック
PS5版はフレームレートも安定しており、ショット時のパワーゲージの動きが非常に滑らかです。 後述しますが、Switch版はこのゲージ描画が秒間30フレーム(30fps)になっており、カクついて見えるため、これもタイミングの合わせにくさに繋がっています。
さらに、120Hz出力やVRR(可変リフレッシュレート)といった最新技術にも対応しており、対応モニターがあれば、さらに滑らかで快適なプレイ環境を構築できます。 グラフィックに関しても、コースの芝生やキャラクターの衣装など、最も高精細で美しい映像を楽しめるのがPS5版です。
短所と推奨するプレイヤー
短所としては、PS5本体が比較的高価であること、そして携帯モードで遊べない点が挙げられます。 しかし、それを補って余りある快適なプレイ体験が得られます。
▼こんな人におすすめ
- 少しの遅延も許容できない、スコアを追求するシビアなプレイヤー
- 最高のグラフィックとパフォーマンスでゴルフを楽しみたい人
- すでにPS5を所有している人
手軽さと価格で選ぶなら「PS4版」
PS5は持っていないけれど、PlayStationプラットフォームで遊びたいという方にはPS4版が選択肢になります。
長所:安定したプレイ環境とコストパフォーマンス
PS4版は、PS5版ほどのパフォーマンスは出ませんが、Switch版よりは安定したプレイが期待できます。 ハードの普及率も非常に高いため、多くの人が手に取りやすい選択肢と言えるでしょう。 入力遅延に関しても、PS5版に近い水準であると考えられます。
短所:次世代機との性能差
当然ながら、PS5版と比較するとロード時間やグラフィックの精細さでは一歩譲ります。 また、PS4版もテレビに接続してプレイするのが基本となるため、携帯性はありません。
▼こんな人におすすめ
- PS5は持っていないが、安定した環境でプレイしたい人
- できるだけコストを抑えて始めたい人
- 友人宅などで一緒にプレイする機会が多い人
携帯モードの魅力と大きな課題を抱える「Switch版」
「いつでもどこでも気軽にゴルフを楽しみたい」というニーズに応えるのがSwitch版です。 しかし、その魅力的な携帯性と引き換えに、非常に大きな課題を抱えています。
短所:致命的な入力遅延とカクつくゲージ
前述の通り、Switch版には約6~8フレームという致命的なレベルの入力遅延が存在します。 これは「ボタンを押したのに、ゲージが滑って通り過ぎてしまう」という感覚に直結し、狙ったタイミングでインパクトを決めることを著しく困難にしています。
さらに、ショットゲージの描画が30fpsに制限されているため、ゲージの動きがカクカクして見えます。 PS5版の滑らかな60fpsのゲージに慣れていると、その差は歴然です。 この「入力遅延」と「カクつくゲージ」の相乗効果により、Switch版のショットは全ハードの中で最もシビア、というより理不尽に感じられる場面が多くなっています。
短所:不安定な動作とグラフィック
入力遅延以外にも、Switch版ではゲームがフリーズしたり、強制終了したりといった不安定な動作の報告が他ハードに比べて多く挙がっています。 グラフィックに関しても、解像度やテクスチャの品質が他ハード版より劣るのは、ハードの性能差を考えれば致し方ない部分でしょう。
長所と現状の評価
もちろん、最大の長所は携帯モードで場所を選ばずにプレイできる点です。 通勤中や休憩時間など、ちょっとした空き時間に1ホールだけプレイする、といった楽しみ方ができるのはSwitch版ならではの魅力です。
しかし、現状ではその魅力を大きく損なうほどの操作性の問題を抱えています。 公式も操作精度の改善を明言しているため、今後のアップデートで入力遅延が解消される可能性は十分にあります。 ただ、現時点では「どうしても携帯機で遊びたい」という強い理由がない限り、積極的におすすめするのは難しいと言わざるを得ません。
▼こんな人におすすめ
- アップデートによる改善を気長に待てる人
- 入力遅延などのリスクを理解した上で、どうしても携帯モードで遊びたい人
グラフィック設定の自由度が高い「PC(Steam)版」
PC(Steam)版は、プレイヤーの環境によって評価が大きく変わる、ポテンシャルの高いバージョンです。
長所:環境に応じた最高のパフォーマンス
高性能なゲーミングPCを所有している場合、PC版は最高の選択肢になり得ます。 グラフィック設定を細かく調整できるため、マシンスペックさえ許せばPS5版を超える解像度やフレームレートでプレイすることも可能です。 入力遅延もPCのスペックやモニターの性能に依存しますが、適切な環境を整えればPS5版と同等か、それ以上に快適なプレイが期待できます。
短所:要求スペックと最適化の問題
一方で、プレイするには一定水準以上のスペックを持つPCが必要です。 また、PCゲーム全般に言えることですが、プレイヤーの環境は千差万別なため、特定のグラフィックボードやドライバとの相性問題など、予期せぬトラブルが発生する可能性もゼロではありません。 本作に関しても、一部で最適化不足を指摘する声があり、スペックは満たしているはずなのに動作が不安定になる、という報告も見られます。
▼こんな人におすすめ
- 高性能なゲーミングPCを所有している人
- 自分で設定を調整し、最適なプレイ環境を追求するのが好きな人
- マウスやキーボードでの操作も試してみたい人
ハード性能比較まとめ
ここまでの内容を、比較しやすいように表にまとめました。 ハード選びの参考にしてください。
項目 | PS5版 | PS4版 | Switch版 | PC(Steam)版 |
---|---|---|---|---|
入力遅延 | 最小 (約3-4F) | 小 | 最大 (約6-8F) | 環境依存 (小~中) |
ゲージ描画 | 滑らか (60fps) | 比較的滑らか | カクつく (30fps) | 環境依存 (高設定可) |
グラフィック | 最も美麗 | 良好 | 劣る | 環境依存 (最高設定可) |
携帯性 | なし | なし | あり | なし(ポータブルPC除く) |
安定性 | 非常に安定 | 安定 | 不安定(フリーズ報告有) | 環境依存 |
総合評価 | ◎ 最適 | ○ 次点 | △ 要改善 | ○~△ 環境次第 |
全ハード共通の課題と今後の展望
ハード性能の違いとは別に、『みんなのゴルフワールド』はゲームシステムそのものにも、いくつかの課題を抱えています。 これらは今後のアップデートで調整される可能性があります。

サイドスピンが逆に曲がる?仕様かバグか議論される挙動
多くのプレイヤーを混乱させているのが、サイドスピンの挙動です。 例えば、ボールを左に曲げるスピンをかけたはずなのに、なぜか右に飛んでいく、という現象が報告されています。
詳しく検証したところ、これはインパクトのタイミングが大きく影響しているようです。
- インパクトが早い(ゲージ左側で止める):打球は右方向に飛び出す
- インパクトが遅い(ゲージ右側で止める):打球は左方向に飛び出す
- ジャストインパクト(ゲージ中央の赤い部分で止める):打球はまっすぐ飛び出す
この仕様に、サイドスピンの効果が加わることで、非常に複雑な弾道が生まれます。 例えば「左に曲がるスピン」をかけつつ「早いインパクト」で打つと、「右に飛び出しながら左に曲がっていく」という、これまでのシリーズではあまり見られなかった挙動になります。
これが意図された仕様なのか、あるいはバグなのかは現時点では不明です。 しかし、従来のシリーズの感覚でプレイすると、全く思った通りにボールが飛ばないため、大きなストレスの原因となっています。 この挙動を理解し、対策を立てることが攻略の鍵となりますが、初心者にはかなり厳しい仕様と言えるでしょう。
没入感を削ぐ?CPUやキャディからの「煽り」問題
もう一つ、多くのレビューで不満点として挙げられているのが、CPUやキャディからの「煽り」です。 ショットの前にコースをじっくり確認したり、風を読んだりしていると、わずか15秒ほどで「まだか?」「早く打ちなよ」といったセリフで急かされてしまいます。
紳士のスポーツであるゴルフを題材にしたゲームで、このような仕様は没入感を大きく削いでしまいます。 特に、集中力が求められるインパクトの瞬間に声をかけられると、気が散ってミスショットの原因にもなりかねません。
幸い、この問題は設定でボイスの音量をゼロにすることで対処可能です。 もしプレイ中に煩わしさを感じたら、音声設定を見直してみることをお勧めします。
キャディのアドバイスが逆?UI/UXの細かな不満点
その他にも、細かな不満点が散見されます。
- キャディの不適切なアドバイス:グリーン上でパットのライン(フックかスライスか)を逆に教えてくることがある。
- ショット前のキャラクターの動き:ショットゲージを操作している最中も、キャラクターがアドレスに入らずに動いているため、視界に入って集中を妨げる。
- カメラ操作の悪さ:コース全体を俯瞰したいときなどに、自由な視点で見渡しにくい。
これらの点は、一つ一つは軽微かもしれませんが、積み重なることでプレイ中のストレスに繋がります。 より快適なゲーム体験のためにも、今後のアップデートでの改善が望まれます。
アップデートによる改善に期待!公式のアナウンス
ここまで多くの課題を指摘してきましたが、未来が暗いわけではありません。 前述の通り、発売元のバンダイナムコエンターテインメントは、発売日当日に「操作精度の向上を含めて」「原因究明に努める」と、プレイヤーに向けて改善を約束しています。
特に、ゲームの根幹に関わるSwitch版の入力遅延や、全ハード共通のサイドスピンの挙動については、最優先で修正・調整が行われるべき課題です。 プレイヤーからのフィードバックがしっかりと開発チームに届けば、本作はこれからさらに面白くなるポテンシャルを秘めています。
まとめ
それでは、最後に『みんなのゴルフワールド』をどのハードで遊ぶべきか、結論をまとめます。
現時点での最適解は、入力遅延が少なく、最も快適にプレイできる「PS5版」です。 もしPS5をお持ちで、最高の環境でプレイしたいなら、迷わずPS5版を選びましょう。
「Switch版」は、携帯モードで遊べるという唯一無二の魅力があります。 しかし、入力遅延という致命的な問題を抱えており、現状では快適なプレイは困難です。 今後のアップデートで操作性が改善されるのを待ってから、購入を検討するのが賢明でしょう。
「PS4版」は安定した選択肢であり、「PC(Steam)版」は環境を整えられる上級者向けの選択肢と言えます。
『みんなのゴルフワールド』は、多くのバグや仕様上の問題を抱えているものの、その根底にはシリーズが培ってきた「誰でも楽しめるゴルフゲーム」としての確かな面白さがあります。 今後のアップデートによって、これらの課題が解消され、本来の魅力を最大限に発揮できるようになることを、一人のゲームファンとして心から期待しています。
このレビューが、あなたのハード選びの助けになれば幸いです。