ゲーム評論家の桐谷シンジです。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、『ドラゴンクエスト スマッシュグロウ』のクローズドβでの課題点や、本作品のダメなところが気になっていると思います。 私自身もクローズドβを隅々までプレイし、その可能性と同時に浮き彫りになった問題点を深く分析しました。

この記事を読み終える頃には、『ドラゴンクエスト スマッシュグロウ』に関するあなたの疑問が解決しているはずです。
- 複雑すぎるバトルシステムによる爽快感の欠如
- 単調なキャラクター育成と重課金への懸念
- ドラクエらしさが希薄な世界観とストーリー
- モバイルゲームとしての最適化不足と快適性の欠如
それでは解説していきます。

スマグロのゲームシステムにおける課題点
『ドラゴンクエスト スマッシュグロウ』のクローズドβをプレイしてまず感じたのは、そのゲームシステムが抱える根深い課題でした。これは単なる調整不足ではなく、設計思想そのものに起因する部分が大きいと感じています。特にバトル、育成、UI/UXといった核となる要素において、多くのプレイヤーが共通して不満を抱くであろうポイントが散見されました。

バトルシステムの複雑さとテンポの悪さ
本作のバトルシステムは、一見するとシンプルでありながら、実際にプレイすると非常に複雑に感じられました。これは、多すぎる要素が絡み合っていることに原因があると考えています。
詳細な操作性とその弊害
プレイヤーはキャラクターの移動、通常攻撃、スキル発動、そして「スマッシュ」と呼ばれる強力な攻撃のタイミングを同時に管理する必要があります。これに加えて、敵の攻撃パターンを読み、回避行動を取ることも求められます。特にスマートフォンでのプレイを考えると、画面上の情報量が多く、指の操作が追いつかない場面が頻発しました。

例えば、複数の敵を相手にする場合、どの敵をターゲットにするか、どのスキルを使うか、スマッシュのゲージは溜まっているか、といった判断を瞬時に行う必要があります。しかし、タッチ操作では直感的に狙ったキャラクターを動かしたり、スキルを発動させたりするのが難しく、誤操作を誘発しやすい構造になっています。結果として、プレイヤーは操作に集中しすぎてしまい、バトルの展開を楽しむ余裕がなくなってしまうのです。これは、特に「スマッシュ」という名前が冠されているにもかかわらず、その名の通りの爽快感を阻害する要因となっています。
戦略性の不足と大味なバランス
複雑な操作性とは裏腹に、戦略性という点では物足りなさを感じました。各キャラクターには属性や役割が設定されていますが、結局のところ、強力なスキルをいかに早く発動させるか、または敵のスマッシュ攻撃をいかに耐えるか、といった大味な戦略に終始しがちです。
ドラクエシリーズの魅力の一つに、奥深いコマンドバトルやパーティ編成による戦略性がありますが、『スマグロ』ではその醍醐味が薄れている印象です。特定のキャラクターやスキルが強力すぎたり、逆に使いどころが限定されすぎたりといったバランスの問題も散見され、パーティ編成の自由度や戦略の幅が狭く感じられました。これでは、どんなにキャラクターを育てても、最終的には「ゴリ押し」に近い形で勝利を目指すしかなく、プレイヤーの工夫が報われにくい構造になっていると言わざるを得ません。
爽快感の欠如とストレスの蓄積
「スマッシュグロウ」というタイトルから想像されるような、敵を一掃するような爽快感は、残念ながらクローズドβではあまり感じられませんでした。スマッシュ攻撃自体は強力ですが、発動までに時間がかかったり、敵の妨害によって不発に終わることも少なくありません。
また、敵の攻撃が激しい場面では、ひたすら回避に徹する時間が長く、攻撃に転じるタイミングを見つけるのが難しいと感じました。敵の攻撃を受けるたびに、画面全体が揺れたり、エフェクトが派手に出たりするため、状況把握が困難になることもありました。これらの要素が重なり、バトルは爽快感よりもストレスを感じる時間となり、プレイを続けるモチベーションを削いでしまう可能性を秘めています。ドラクエ本来の「みんなでワイワイ冒険」というイメージとはかけ離れた、どこか孤立感のある体験になってしまっているのは非常に残念です。
キャラクター育成の単調さと重課金要素
次に、キャラクター育成システムについてです。スマホゲームでは重要な要素であるにもかかわらず、『スマグロ』ではその単調さと、それに伴う重課金への懸念が強く感じられました。
レベルアップのモチベーション低下
キャラクターのレベルアップは、素材を集めて強化する、いわゆる「周回プレイ」が主軸となります。しかし、その周回プレイが非常に単調であり、作業感が強いのが問題です。同じステージを何度も繰り返し、同じ敵を倒し続けるだけの作業は、プレイヤーにとって大きな負担となります。

さらに、レベルアップによる劇的な能力向上や、新たなスキル習得といった達成感が薄いため、プレイヤーは「何のために周回しているのか」という疑問に苛まれかねません。成長曲線も緩やかに感じられ、キャラクターの「強くしている実感」が湧きにくいのも、モチベーション低下の大きな原因です。ドラクエでは、レベルアップのたびに新しい呪文を覚えたり、特技を習得したりする喜びがありましたが、それが『スマグロ』では希薄になっているように感じます。
ガチャ依存度が高いキャラクター入手
キャラクターの入手は、主にガチャに依存しています。クローズドβの段階では、ガチャの排出率や天井システムなどの詳細は不明な点も多かったですが、現状の設計では、新たなキャラクターや強力な武器を手に入れるためには、相当な量の課金が必要になると予想されます。
特に、ゲームの難易度が上がるにつれて、特定の高レアリティキャラクターや装備が必須になるような場面が多く、課金をして強いキャラクターを手に入れないと先に進めないという「課金圧」を強く感じました。これは、多くのプレイヤーにとって心理的な障壁となり、ゲームの継続を阻害する要因となるでしょう。ドラクエは「誰でも楽しめるRPG」という側面も持っていただけに、このガチャ依存の傾向は残念です。
育成格差の問題とその影響
ガチャ依存度が高いということは、必然的にプレイヤー間の育成格差が生まれることになります。特にPvP(対人戦)要素がある場合、この格差は顕著に表れ、無課金・微課金プレイヤーが課金プレイヤーに太刀打ちできない状況を作り出してしまいます。
このような状況は、ゲームの公平性を損ない、プレイヤー間の不満を増大させる原因となります。ゲームを始めたばかりの新規プレイヤーが、どれだけ頑張っても上位プレイヤーに勝てないという状況は、彼らのモチベーションを著しく低下させ、結果的にゲームからの離脱を招く可能性が高いです。ドラクエの醍醐味である「仲間との協力」や「強敵との知恵比べ」といった要素が、育成格差によって歪められてしまうのは、非常に惜しい点です。
UI/UXの不親切さと視認性の問題
ゲーム全体の使いやすさ、つまりUI(ユーザーインターフェース)とUX(ユーザーエクスペリエンス)についても、改善の余地が多く見受けられました。特に、スマートフォンの小さな画面で快適にプレイするために、より洗練されたデザインが求められます。
情報過多な画面と煩雑な操作
ゲーム画面は、多くの情報やアイコンで溢れており、どこに何があるのか、何が重要なのかを一目で判断するのが難しいと感じました。特にバトル中や、複数のメニュー画面を行き来する際に、必要な情報を見つけるまでに時間がかかります。

また、メニュー間の移動がスムーズではなかったり、特定の機能にたどり着くまでに複数のステップを踏まなければならなかったりと、操作が煩雑に感じられる場面が多くありました。これでは、短時間で手軽に遊びたいモバイルゲームのユーザー層には、大きなストレスとなるでしょう。もっとシンプルで直感的なデザインにすることで、プレイヤーはゲーム内容に集中できるようになるはずです。
チュートリアルの不足と学習コストの高さ
本作のチュートリアルは、基本的な操作やシステムの概要を説明するにとどまり、ゲームの深い部分や戦略的な要素についてはほとんど触れられていませんでした。前述したような複雑なバトルシステムを鑑みると、これはプレイヤーにとって高い学習コストを強いることになります。
特に、ドラゴンクエストシリーズを初めてプレイするユーザーや、普段あまりゲームをしない層にとっては、何をどうすれば良いのか分からず、途中で挫折してしまう可能性も考えられます。より丁寧で段階的なチュートリアル、そしてゲーム内でいつでも参照できるヘルプ機能の充実が不可欠です。プレイヤーがスムーズにゲームの世界に入り込めるよう、導入部分の改善が急務だと感じています。
フォントサイズとデザインの課題
スマートフォンの画面サイズは限られているため、文字の大きさや視認性は非常に重要です。しかし、『スマグロ』のUIでは、一部のフォントサイズが小さすぎたり、背景色とのコントラストが低かったりする箇所があり、読みづらさを感じました。
また、全体的なUIデザインも、既存のモバイルゲームと比較して洗練さに欠ける印象を受けました。ドラクエの世界観を表現しつつも、機能的でモダンなデザインを取り入れることで、より多くのユーザーに快適な体験を提供できるはずです。特に、長時間のプレイを考えると、目の疲れに繋がりにくいデザインは非常に重要です。
通信環境とサーバーの安定性
オンラインゲームである以上、通信環境とサーバーの安定性はゲーム体験の根幹をなすものです。クローズドβでは、この点においてもいくつかの課題が浮上しました。
頻発する切断とラグによるストレス
クローズドβのプレイ中、頻繁に通信切断が発生したり、バトル中にラグが生じたりすることがありました。特に、共闘プレイ中に切断されると、他のプレイヤーにも迷惑がかかるため、大きなストレスとなります。
ラグが発生すると、キャラクターの操作が遅れたり、敵の攻撃が予期せぬタイミングでヒットしたりするため、公平なバトルが阻害されます。これは、プレイヤーのスキルではなく、通信環境に依存する部分が大きいため、非常に不公平感を覚える要因です。製品版では、より安定したサーバー環境と、通信切断時のリコネクト機能の強化が強く求められます。
マッチング時間の長さとプレイアビリティの低下
マルチプレイコンテンツにおいて、マッチングに時間がかかる場面が散見されました。短時間で気軽に遊びたいモバイルゲームにとって、このマッチング時間の長さは、プレイヤーの離脱に直結する大きな問題です。
特に、特定の時間帯やイベント時には、さらにマッチングが困難になることが予想されます。スムーズに他のプレイヤーと協力し、共闘を楽しめる環境が整わなければ、マルチプレイの魅力は半減してしまうでしょう。マッチングシステムの最適化は、製品版に向けての最重要課題の一つと言えます。
イベント時のサーバー負荷への懸念
クローズドβでは、限定的なプレイヤー数でのテストでしたが、それでもサーバー負荷によると思われる問題がいくつか見られました。製品版では、より多くのプレイヤーが同時にアクセスすることが予想されるため、イベント開催時など、アクセスが集中する場面でのサーバーダウンや動作遅延が懸念されます。
過去の多くのオンラインゲームが経験してきたように、大規模なイベントが原因でサーバーが不安定になり、プレイヤー体験を損なうケースは少なくありません。安定したサービス提供のためには、サーバーインフラの大幅な強化と、アクセスの集中を分散させる仕組み作りが不可欠です。
ドラクエブランドとしてのスマグロへの懸念
『ドラゴンクエスト』という偉大なブランドを冠する以上、ファンは単なる新作ゲーム以上のものを期待します。しかし、『スマグロ』のクローズドβをプレイする中で、ドラクエブランドとしての魅力が十分に引き出されていない、あるいは損なわれかねないという懸念も抱きました。
ドラゴンクエストらしさの希薄化
本作は『ドラゴンクエスト』の名を冠していますが、その「ドラクエらしさ」が希薄に感じられる場面が多くありました。これは、シリーズが長年培ってきた世界観やキャラクター、そして音楽といった要素の表現方法に課題があるためだと考えられます。
世界観の表現不足と没入感の欠如
ドラクエシリーズといえば、鳥山明氏の描く温かみのあるキャラクターデザイン、広大なフィールド、そして心温まるストーリーが特徴です。『スマグロ』では、もちろんお馴染みのキャラクターやモンスターが登場しますが、それらを活かしきれていない印象です。
街の人々との会話、冒険の途中で見つける小さな発見、そして徐々に明らかになる壮大な物語といった、プレイヤーを世界に引き込む要素が不足しています。単にキャラクターを操作して敵を倒すだけのゲームになってしまい、ドラクエが持つ「冒険の旅」という本質的な魅力が薄れてしまっています。これにより、プレイヤーは世界観に没入することが難しく、単なるキャラクターゲームとして認識してしまう可能性が高いでしょう。
BGMとSEの使い回しと新鮮味の欠如
ドラクエのBGMやSE(効果音)は、多くのファンにとって思い出深いものです。しかし、『スマグロ』では、既存のシリーズ作品からBGMやSEが多数使い回されているように感じられました。もちろん、お馴染みのBGMが流れるとテンションが上がるのは事実ですが、それは一時的なものであり、新しいゲーム体験としての新鮮味を欠いてしまいます。
特に、バトルのBGMやフィールドBGMなど、長時間聞くことになる楽曲が既存のものであると、どうしても既視感が拭えません。新しいドラクエの世界観を彩る、新規の素晴らしい楽曲がもっと欲しかったというのが正直な感想です。ドラクエの音楽は、それ自体が作品の大きな魅力の一つであるため、この点での工夫が足りないのは非常に残念です。
ストーリーの薄さとキャラクターの魅力の半減
クローズドβでは、ストーリーが断片的にしか提供されていなかったため、全体像を把握するのは困難でした。しかし、既存のシリーズキャラクターが多数登場するにもかかわらず、そのキャラクターたちの背景や個性を深く掘り下げる描写が少なく、単に「ゲスト出演」のような印象を受けました。
ドラクエのキャラクターは、それぞれに魅力的な個性と背景を持っています。それが十分に描かれないままバトルに投入されるだけでは、ファンも新しいプレイヤーも、キャラクターへの愛着を深めることができません。ストーリーは、プレイヤーがゲームに感情移入し、長期的にプレイを継続するための重要な要素です。この点が薄いと、ゲーム全体の魅力が大きく損なわれる可能性があります。
他タイトルとの差別化不足
現在のモバイルゲーム市場は、非常に多くのタイトルで溢れています。『スマグロ』がこの激戦区で生き残っていくためには、明確な差別化が不可欠です。しかし、クローズドβの段階では、その独自性が見えにくいと感じました。
類似ジャンルの先行作品との比較
「スマッシュ」というコンセプトや、キャラクターを操作してバトルを行う形式は、すでに多くのモバイルゲームで採用されています。例えば、『〇〇ファイターズ』や『△△ヒーローズ』といった先行タイトルは、それぞれ独自の魅力を確立し、強固なファンベースを持っています。
これらの先行作品と比較すると、『スマグロ』のバトルシステムは、操作の複雑さや爽快感の欠如といった点で劣ってしまっている印象を受けました。ドラクエブランドという強みはありますが、ゲームシステムそのものが他タイトルと比べて際立った魅力を持っていなければ、プレイヤーはすぐに飽きてしまうかもしれません。
要素 | ドラゴンクエスト スマッシュグロウ (β) | 類似先行タイトルA | 類似先行タイトルB |
---|---|---|---|
バトルシステム | 複雑、テンポ悪い | 直感的、爽快感高い | 独自の戦略性 |
キャラクター育成 | 単調、ガチャ依存 | 多様な育成パス | 無課金でも楽しめる |
UI/UX | 情報過多、不親切 | 洗練、分かりやすい | カスタマイズ性高い |
サーバー安定性 | 切断・ラグ頻発 | 安定、快適 | イベントに強い |
オリジナル要素の欠如とその影響
『スマグロ』ならではの「これぞ!」というオリジナル要素が、クローズドβでは見当たりませんでした。ドラクエキャラクターが登場し、敵を「スマッシュ」する、という以上の驚きや新鮮さが不足しているのです。
例えば、ドラクエの世界観を活かしたユニークなマップギミック、シリーズの歴史を感じさせるインタラクティブな要素、あるいはこれまでのドラクエでは体験できなかったような新しい遊びの提案など、もっと踏み込んだオリジナル要素が求められます。それがなければ、単なる「ドラクエキャラで遊ぶスマッシュ風ゲーム」という印象に留まってしまい、長期的なファンを獲得するのは難しいでしょう。
ドラクエとしての強み不発の危機
ドラクエブランドの最大の強みは、その圧倒的な知名度と、長年にわたって築き上げてきたファン層です。しかし、ゲーム内容が「ドラクエらしさ」から乖離していたり、既存のドラクエファンが求める要素を満たしていなかったりすると、この強みが逆に足かせになる可能性があります。
コアなドラクエファンは、単にキャラクターが登場するだけでなく、深い物語、練り込まれた世界観、そして「冒険している」という実感を求めています。もし『スマグロ』がそれらを提供できなければ、ファンからの失望を招き、ブランドイメージを損なうことにも繋がりかねません。ドラクエとしての「核」をしっかりと持ち、それをモバイルゲームというプラットフォームでいかに表現するかが、今後の大きな課題となるでしょう。
長期的な運営への不安要素
モバイルゲームは、リリース後の運営が非常に重要です。クローズドβの段階で見えた課題は、製品版リリース後の長期的な運営にも不安を残すものでした。
コンテンツの追加頻度と質の懸念
現状のゲームシステムやコンテンツ量では、プレイヤーを長期間引き留めるのは難しいと感じました。製品版リリース後、いかに迅速かつ魅力的な新コンテンツを追加できるかが鍵となりますが、クローズドβの印象からは、その頻度や質に不安が残ります。
特に、単調な周回コンテンツばかりでは、新しいキャラクターが追加されても、結局同じ作業の繰り返しになってしまいがちです。プレイヤーが飽きずに楽しめるような、ユニークなイベント、新しいバトルモード、深いストーリーコンテンツなど、多角的なコンテンツ展開が求められます。
バランス調整の難しさと頻繁な変更への懸念
複雑なバトルシステムとガチャ要素が絡み合う中で、ゲームバランスの調整は非常に難しい課題となるでしょう。特定のキャラクターやスキルが強すぎれば不公平感が生まれ、弱すぎれば誰も使わなくなってしまいます。
頻繁なバランス調整は、プレイヤーの戦略や育成が無駄になる可能性があり、不満に繋がります。一方で、調整が全く行われないと、ゲームが停滞してしまう。開発チームには、プレイヤーの意見に耳を傾けつつ、慎重かつ的確なバランス調整を行う手腕が求められます。
ユーザーコミュニティの反応と今後の動向
クローズドβの期間中、SNSやフォーラムでは様々な意見が飛び交っていました。多くのプレイヤーが『ドラゴンクエスト』というブランドへの期待を抱いている一方で、システム面やバランス面での不満の声も少なくありませんでした。
これらのユーザーからのフィードバックに、開発チームがどのように向き合い、製品版に反映させていくかが、今後のゲームの命運を分けるでしょう。もしユーザーの意見が軽視されるようであれば、コミュニティの活気が失われ、ゲーム全体の勢いも削がれてしまう可能性があります。ユーザーとの良好な関係を築き、共にゲームを成長させていく姿勢が不可欠です。
スマートフォンゲームとしての最適化不足
『ドラゴンクエスト スマッシュグロウ』はスマートフォン向けゲームであるにもかかわらず、その最適化が不足していると感じる点が多々ありました。モバイル環境で快適にプレイするための配慮が、まだ十分ではないようです。
バッテリー消費と発熱の問題
クローズドβをプレイしていると、スマートフォンのバッテリー消費が非常に激しく、また本体の発熱も気になりました。これは、ゲームのグラフィック処理や通信処理が重いためだと考えられます。
特に、長時間のプレイや外出先でのプレイを考えると、このバッテリー消費と発熱の問題は、ユーザーにとって大きな足かせとなります。製品版では、より軽量化されたグラフィックオプションの追加や、消費電力の最適化など、モバイルデバイスへの負荷を軽減する努力が不可欠です。
操作性の限界と新たな工夫の必要性
スマートフォンのタッチ操作には限界があります。特に、本作のようなリアルタイム性の高いアクション要素を含むゲームでは、物理ボタンのあるゲーム機と比較して、どうしても操作の正確性や反応速度が劣りがちです。
現在の操作体系では、プレイヤーは常に画面に指を置き続ける必要があり、長時間のプレイで指が疲労したり、画面の一部が指で隠れてしまったりする問題がありました。例えば、ゲームコントローラーの接続に対応させたり、より直感的に操作できるフリック操作の導入を検討したりするなど、モバイルゲームならではの操作性を追求する工夫が求められます。
ターゲット層へのアプローチの再考
『ドラゴンクエスト』というブランドは、幅広い年齢層に愛されています。しかし、『スマグロ』のクローズドβで感じられた複雑さや、重課金への懸念は、特にライトユーザーやファミリー層にとっては敷居が高いものとなる可能性があります。
モバイルゲームは、通勤・通学中やちょっとした空き時間に手軽に遊べるのが魅力です。しかし、本作の現状では、その「手軽さ」が失われている印象を受けます。よりカジュアルな層にも受け入れられるような、シンプルで分かりやすいモードの追加や、誰もが楽しめるようなバランス調整など、ターゲット層へのアプローチを再考する必要があるでしょう。
まとめ
今回は、2025年10月14日から公開された『ドラゴンクエスト スマッシュグロウ』のクローズドβを徹底的にプレイし、その中で見えてきた「ダメなところ」について、ゲーム評論家としての視点から深く掘り下げて解説してきました。
主な課題点として、以下の4つの側面が挙げられます。
- 複雑すぎるバトルシステムによる爽快感の欠如: 詳細な操作が求められるにも関わらず、戦略性の不足や爽快感の欠如が目立ち、プレイヤーにストレスを与えかねません。特に、モバイル環境での操作性は再考の余地が大いにあります。
- 単調なキャラクター育成と重課金への懸念: 作業感の強いレベルアップや、ガチャへの高い依存度が、プレイヤーのモチベーションを低下させ、育成格差を生む原因となります。ドラクエの醍醐味である成長の喜びが薄れているのは非常に残念です。
- ドラクエらしさが希薄な世界観とストーリー: せっかくのドラクエブランドを冠しているにも関わらず、世界観の表現不足、BGMやSEの使い回し、そしてストーリーの薄さが、ファンが求める「ドラクエらしさ」を損なっています。他タイトルとの差別化も課題です。
- モバイルゲームとしての最適化不足と快適性の欠如: バッテリー消費の激しさ、本体の発熱、操作性の限界、そして通信の不安定さは、スマートフォンゲームとして致命的な問題です。プレイヤーが快適に楽しめる環境が十分に整っていません。
クローズドβテストは、製品版リリースに向けてゲームを改善するための貴重な機会です。これらの課題が開発チームにしっかりと共有され、真摯に受け止められることを強く願っています。特に『ドラゴンクエスト』という偉大なIPを背負っている以上、ファンからの期待は非常に大きいものです。
私自身もドラクエシリーズには深い思い入れがあるからこそ、今回のクローズドβで見えた問題点には正直なところ、一抹の不安を覚えました。しかし、まだβテストの段階です。製品版では、これらの課題が克服され、多くのプレイヤーが心から楽しめる『ドラゴンクエスト スマッシュグロウ』へと進化することを期待しています。
今後の開発の進捗に注目し、プレイヤーのフィードバックが最大限に活かされることを願うばかりです。製品版で素晴らしい冒険が待っていることを信じ、その時を待ちたいと思います。