ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、待望のHD-2D版『ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ』の発売を控え、「ドラクエ1」で使える裏技や小ネタ、テクニックにはどんなものがあるのか、そしてそれらが新作リメイクでどうなるのかが気になっていると思います。
この記事を読み終える頃には、HD-2D版への期待を高めつつ、『ドラクエ1』の奥深い世界の知識が深まっているはずです。
- HD-2D版『ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ』の注目点
- 過去のリメイク版『ドラクエ1』で使えた裏技や小ネタ
- 冒険や戦闘を有利に進めるテクニック
- ストーリーやエンディングに関する隠し要素
それでは解説していきます。
待望のHD-2D版『ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ』発売!ドラクエ1の魅力とは
2025年、ついに『ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ』がHD-2Dリメイクとして登場します。 私自身、ファミコン版からの熱心なプレイヤーとして、この発表には胸が熱くなりました。 『ドラゴンクエスト』は、日本のRPG(ロールプレイングゲーム)の金字塔であり、その原点である『ドラクエ1』が最新のグラフィック技術でどう蘇るのか、世界中のファンが注目しています。
HD-2Dで蘇るアレフガルドの世界
HD-2D技術は、ドット絵の持つ温かみと3DCGによる空間表現を融合させた、まさに「伝統と革新」を体現するグラフィックです。 すでに公開されている映像を見ても、ラダトームの城下町や広大なフィールド、不気味な洞窟が、光と影、水の表現豊かに描かれているのがわかります。
ファミコン版では想像力で補っていたアレフガルドの風景が、SFC版やスマホ版を経て、さらに美麗かつノスタルジックに再構築される。 これだけでも、ベテランの勇者(プレイヤー)にとっては感涙ものと言えるでしょう。 HD-2D版『ドラクエ3』の発売も控えていますが、時系列の始まりである『1』と『2』をこのグラフィックで体験できるのは、まさに長年の夢が叶う瞬間です。
原点にして頂点『ドラゴンクエスト1』の不変の面白さ
『ドラクエ1』の魅力は、そのシンプルさにあります。 「ロトの血を引く勇者」として、竜王に立ち向かう。 仲間はおらず、たった一人で広大な世界を冒険します。
この「孤独な冒険」こそが、『ドラクエ1』のアイデンティティです。 次に何をすべきか、どこへ行くべきか。 城の兵士や町の人々の言葉をヒントに、少しずつ世界を解き明かしていく。 レベルが1つ上がる喜び、新しい呪文「ホイミ」を覚えた時の安堵感、そして「どうのつるぎ」から「はがねのつるgi」に買い替えた時の高揚感。
すべてがプレイヤー自身の力で成し遂げられていくこの感覚は、昨今の親切設計なゲームに慣れたプレイヤーには新鮮に、そして往年のファンには懐かしく感じられるはずです。 この「冒険をしている」という手触り感こそが、『ドラクエ1』が今なお愛され続ける理由でしょう。
リメイクでどう変わる?HD-2D版『ドラクエ1』の注目ポイント
今回のHD-2D版は、単なるグラフィックの向上だけではありません。 ゲームプレイにも大きな変更点が加えられることが予想されます。
シンボルエンカウントの採用
最も大きな変更点は、「シンボルエンカウント」の採用でしょう。 原作のファミコン版や過去のリメイク版では、フィールドを歩いているとランダムで敵に遭遇する「ランダムエンカウント」方式でした。 しかし、HD-2D版ではフィールド上に敵の姿が見え、接触することで戦闘が開始されるシンボルエンカウント方式が採用されると発表されています。 (※HD-2D版『ドラクエ3』がシンボルエンカウントを採用しており、『1』『2』もこれを踏襲する可能性が極めて高いです)
これにより、「敵との戦闘を避けて目的地に急ぐ」「あえて強い敵に挑んでレベルを上げる」といった戦略的な行動が可能になります。 特に『ドラクエ1』は、序盤の「スライム」すら脅威であり、戦闘のタイミングが冒険の成否を分けるゲームでした。 この変更が、あの緊張感あふれるアレフガルドの冒険にどのような影響を与えるのか、非常に興味深いところです。
オートセーブと快適性の向上
ファミコン版『ドラクエ1』といえば、「ふっかつのじゅもん」の悪夢を思い出す方も多いでしょう。 「ぱ」と「ば」を書き間違えたり、一文字違うだけでデータが消えたり…。 SFC版以降はセーブ機能(冒険の書)が搭載されましたが、HD-2D版ではさらに快適な「オートセーブ」機能が搭載されることが確実視されます。
また、移動速度の向上(ダッシュ機能)や、アイテム所持数の増加、ウィンドウ表示の高速化など、現代のゲームとしてストレスなく遊べるための調整が随所に施されるはずです。 スマホ版で実装された便利な機能が、HD-2D版でどう昇華されるのかも注目ポイントですね。
冒険の準備と序盤で役立つ裏技・小ネタ
さて、ここからは本題である『ドラクエ1』の裏技・小ネタ・テクニックについて、過去のリメイク版(主にSFC版やスマホ版)で使えたものを中心に、HD-2D版ではどうなるかの考察も交えて徹底解説していきます。
主人公の名前とステータス吟味の秘密
『ドラクエ1』は、主人公の名前によって初期ステータスやレベルアップ時の成長傾向が変わる、という仕様がファミコン版にはありました。 (例:「もょもと」など特定の名前で強くなる)
しかし、SFC版以降のリメイク作品では、この仕様は撤廃されています。 名前は純粋にプレイヤーの好みで決めて問題ありません。 HD-2D版でも、名前によるステータス変動はないと考えて良いでしょう。
ステータス吟味(リセマラ)は可能か?
『ドラクエ1』はレベルアップ時のステータス上昇値にランダム幅があります。 特に「すばやさ」や「さいだいHP」の伸びは、冒険の難易度に直結します。
SFC版やGB版では、レベルアップ直前にセーブし、気に入らないステータスの伸び方だったらリセットする「ステータス吟味」が可能でした。 スマホ版でも、中断セーブのタイミングを利用すれば不可能ではありません。
HD-2D版でこの吟味がどの程度有効かは未知数です。 もしオートセーブがレベルアップの瞬間にも作動する仕様であれば、吟味は難しくなるかもしれません。 しかし、RPGの伝統的な楽しみ方として、ある程度の吟味は許容されるのではないかと私は予想しています。 とはいえ、過度な吟味はゲームのテンポを損なうため、ほどほどにしておくのが賢明でしょう。
ラダトーム城の隠しアイテムと情報収集
冒険はラダトーム城から始まります。 王様から「りゅうおう」討伐の命を受けたら、まずは城内を探索しましょう。
王様の間の宝箱
王様の背後には宝箱がありますが、最初は兵士が邪魔で取れません。 しかし、城の外に出てから再び王様に話しかけると、兵士がどいてくれるようになり、宝箱を開けることができます。 中には序盤の貴重な資金源となる「ゴールド」や、「たいまつ」が入っています。
必須アイテム「かぎ」の入手
城の1階には「かぎ」を売ってくれる商人がいます。 『ドラクエ1』では、この「かぎ」が非常に重要です。 「かぎ」は1本につき1つの扉しか開けられず、使うとなくなってしまう消費アイテムです(SFC版以降のリメイクでもこの仕様は健在)。 序盤は所持金もアイテム欄も厳しいため、計画的に購入する必要があります。
HD-2D版で、もし『ドラクエ3』のように「とうぞくのかぎ(何度でも使える鍵)」が早期に入手できる仕様に変更されていれば、冒険の難易度はガラリと変わるでしょう。 しかし、『ドラクエ1』のゲームバランスは、この「かぎ」の管理も含めて設計されているため、オリジナルの仕様を踏襲する可能性が高いと私は考えています。
序盤のレベル上げとゴールド稼ぎのテクニック
『ドラクエ1』の序盤は、とにかく「スライム」や「スライムベス」を地道に倒してレベルを上げ、装備を整えることが基本です。
ラダトーム周辺での堅実なレベル上げ
まずは「こんぼう」と「ぬののふく」を卒業し、「どうのつるぎ」と「かわのふく」を装備するのが目標です。 ラダトーム城の周辺は、出現する敵が弱いため安全に戦えます。 HPが減ったら城に戻り、王様に話しかけることで無料で全回復してもらえます(※これはリメイク版でも有効なテクニックです)。 宿屋代を節約できるため、序盤は積極的に活用しましょう。
「ギラ」を覚えたらガライの町周辺へ
レベル4で呪文「ギラ」を覚えたら、少し行動範囲を広げてみましょう。 ラダトームから西にある「ガライの町」周辺は、「ゴースト」や「まほうつかい」が出現し始めます。 特に「まほうつかい」は「ギラ」を唱えてくるため危険ですが、倒した時の経験値やゴールドは序盤にしては破格です。 MPが切れたら町に戻る、というサイクルでレベル上げを行うと効率的です。
HD-2D版がシンボルエンカウントになることで、特定の敵を狙って倒すことが容易になるかもしれません。 例えば、ゴールドを多く持つ「ゴースト」だけを狙って戦う、といった稼ぎ方が可能になるでしょう。
無料で呪いを解除?ラダトームの親切な(?)研究家
冒険を進めると、「呪い」の装備品を手に入れることがあります。 例えば「しのくびかざり」などが有名です。 これらを装備してしまうと、教会で高額なゴールドを支払って「のろいをとく」をしてもらわなければ外せません。
しかし、SFC版以降のリメイクでは、この呪いを無料で解除してくれる人物がラダトームの城下町にいます。 「とうぞくのかぎ」で開けられる扉の奥にいる「呪いの研究家」です。 彼は話しかけるだけで、なんと無料で呪いを解いてくれます。
序盤で誤って呪いの装備を身につけてしまった場合、高額な解除費用は致命的です。 この研究家の存在は、ぜひ覚えておきたい小ネタです。 HD-2D版でも、この親切な(?)研究家はきっと健在でしょう。
冒険を有利に進める戦闘・アイテム関連の小技
『ドラクエ1』の戦闘は1対1のコマンドバトルが基本です。 (※リメイク版では、りゅうおうの城などで複数の敵が出現する場合もありますが、基本は1体ずつです) シンプルだからこそ、一つ一つのテクニックが重要になります。
HP満タンでも「超絶技」!?スマホ版からの継承なるか
スマホ版『ドラクエ1』では、「超絶技」という特殊なスキルが追加されました。 これは、主人公のHPが50%以下になった次のターンに、ランダムで強力な技が発動するというものです。 (例:会心の一撃が出やすくなる「精神統一」など)
この「超絶技」、実はHPが満タンの状態でも意図的に発動させる小技が存在しました。 戦闘中に「せいしんとういつ」または呪文「リホイミ(※スマホ版で追加)」を使用すると、その次のターン以降、HPが50%以下でなくても超絶技が発動する可能性があったのです。
HD-2D版で、この「超絶技」システム自体が継承されるかは不明です。 もし継承されるのであれば、この小技が使えるかどうかも注目したいポイントですね。 個人的には、HD-2D版独自の新しい戦闘システムやスキルが追加されることにも期待しています。
シリーズお馴染み「ぱふぱふ」はマイラの温泉で健在か
『ドラゴンクエスト』シリーズといえば、お色気(?)イベント「ぱふぱふ」がお約束です。 もちろん『ドラクエ1』のリメイク版にも存在します。
場所は「マイラの村」の温泉です。 温泉の北側にいる女性に話しかけると、ぱふぱふをしてもらえます。 SFC版やスマホ版では、ぱふぱふをしてもらうとHPが少量回復するという実用的な(?)効果がありました。
この手の遊び心は『ドラクエ』の魅力の一つです。 HD-2D版でも、グラフィックが美麗になったマイラの温泉で、あのイベントがどう描かれるのか、密かな楽しみの一つですね。
「たいまつ」と「かぎ」リメイク版での仕様変更点
ファミコン版では、「たいまつ」は洞窟内で周囲を照らすために必須であり、1つ使うとしばらくの間だけ明るくなる消費アイテムでした。 「かぎ」も前述の通り、1本ずつしか持てない(アイテム欄を圧迫する)仕様でした。
SFC版以降のリメイクでは、これらの仕様が大幅に改善されています。
- たいまつ: 1つ使えば、そのフロアにいる間ずっと明るさが持続します。
- かぎ: 複数本をまとめて(最大6本など)持てるようになりました。
さらに、呪文「レミラーマ(SFC版以降で追加)」を覚えれば、たいまつすら不要になります。 とはいえ、MPを節約したい序盤の洞窟探索では、依然として「たいまつ」は必需品です。
HD-2D版では、アイテムのスタック(重ね持ち)が99個まで可能になるなど、さらに快適性が向上している可能性があります。 『ドラクエ1』の「アイテム管理の厳しさ」も魅力の一つでしたが、現代のプレイフィールに合わせて調整される部分でしょう。
意外と知らない?「おうじょのあい」の便利な使い方
「おうじょのあい」は、ローラ姫を救出した証として貰えるアイテムです。 多くのプレイヤーが「ストーリー進行に必要な重要アイテム」として持ち続けるだけかもしれませんが、実はこのアイテム、道具として使うと便利な機能があります。
「おうじょのあい」を使うと、次のレベルアップまでに必要な経験値と、ラダトーム城(王様)までの座標(方角と距離)が表示されます。 ファミコン版では、現在地を知る手段が「ラダトームの王様(=ローラ姫)」までの距離しかなく、非常に重要なアイテムでした。
リメイク版ではマップ機能が追加されたため、その価値は相対的に下がりましたが、レベルアップの管理には依然として便利です。 HD-2D版でどのようなマップ機能が搭載されるかにもよりますが、「おうじょのあい」のこの機能は、原作へのリスペクトとして残されるのではないでしょうか。
呪いのアイテム「しのくびかざり」の使い道
「しのくびかざり」は、装備すると「呪い」状態になり、ラダトームの王様に話しかけてもHP/MPが回復しなくなるという凶悪なアイテムです。 (※前述の呪い解除の研究家を利用すれば外せます)
一見、デメリットしかないこのアイテムですが、実は売却すると1200ゴールドという高値で売れます。 序盤の資金繰りが厳しい『ドラクエ1』において、この収入は非常に大きいです。 呪いを解除する手間を考えても、入手したら売却してしまうのが最も賢い使い方と言えるでしょう。
ただし、アイテムコンプリートを目指す場合は売却せずに残しておく必要があります。 HD-2D版でアイテム図鑑のような機能が搭載されるなら、悩ましい選択になるかもしれませんね。
ストーリー進行と隠し要素に関する裏技・小ネタ
『ドラクエ1』は一本道のストーリーに見えて、実は細かな分岐や隠しイベントが用意されています。 特にローラ姫関連は、リメイク版で多くの追加要素があります。
ローラ姫救出劇の裏側
「ぬまちのどうくつ」でドラゴンを倒し、ローラ姫を救出する。 これが中盤の大きな目標です。
「たいようのいし」先取りでローラ姫とエンディングへ
通常、ローラ姫を救出すると、お城まで「お姫様抱っこ」で連れ帰り、そこで別れとなります。 しかし、ある手順を踏むと、ローラ姫を連れたままエンディングを迎えるという裏技(小ネタ)が存在します。
その条件は、「ローラ姫を助ける前に『たいようのいし』を入手しておく」ことです。 『たいようのいし』は、「かぎ」を使ってラダトーム城の地下倉庫から入手できます。 これを先に入手しておくと、ローラ姫を王様に引き渡すイベントが発生せず、そのまま冒険を続けることができるのです。
ローラ姫を連れたままりゅうおうを倒し、エンディングを迎えると、セリフが専用のものに変化します。 『ドラクエ1』の孤独な冒険に彩りを添える、非常に有名な裏技ですね。 HD-2D版でも、この「姫同行クリア」はぜひとも実装してほしい要素の一つです。
必見!ローラ姫同行時の「宿屋イベント」
ローラ姫を連れた状態で宿屋に泊まると、リメイク版(SFC版以降)では特別なイベントが発生します。 宿屋の主人が「ゆうべは おたのしみでしたね」と、意味深な言葉をかけてくる、シリーズお馴染みのイベントです。
HD-2D版で、このイベントがどのような演出で描かれるのか。 ドット絵の主人公とローラ姫が、HD-2Dの美しい宿屋で一夜を過ごす…。 想像するだけで、期待が高まります。
ローラ姫限定の「超絶技」はHD-2D版にも登場?
スマホ版『ドラクエ1』では、ローラ姫を連れている状態だと、戦闘中にローラ姫が「いのり」で主人公をサポートしてくれることがありました。 そして、この「いのり」によるバフがかかっている間は、主人公の「超絶技」がさらにパワーアップするという隠し仕様がありました。
(例:ギガスラッシュ → ギガブレイク)
ローラ姫が戦闘に参加する(サポートする)という概念は、孤独な冒険がテーマの『ドラクエ1』においては画期的な追加要素でした。 HD-2D版で「超絶技」システムがどうなるか次第ですが、ローラ姫が何らかの形で冒険をサポートしてくれる要素は、残される可能性が高いのではないでしょうか。
リメイク版限定!吟遊詩人「ザライ(ガライ)」のイベント
SFC版以降のリメイク作品では、吟遊詩人「ザライ(※SFC版ではガライ)」が登場するオリジナルイベントが追加されています。 彼はアレフガルド各地を旅しており、特定の場所で彼に話しかけてイベントを進めていくことになります。
ザライの出現場所とイベント進行
ザライは、以下の場所で順番に登場することが多いです(リメイク作品によって多少異なる場合があります)。
- ガライの町(酒場など)
- マイラの村(温泉)
- リムルダールの町(宿屋など)
- メルキドの町
彼はロトの伝説を追い求めており、主人公にヒントを与えてくれます。 すべての場所で彼と会話し、イベントを進めることが、ある重要なアイテムの入手に繋がります。
入手できる報酬「ロトのかぶと」
ザライのイベントを最後まで進めると、彼は「ロトのかぶと」の隠し場所を教えてくれます。 「ロトのかぶと」は、ロトシリーズ装備の一つであり、最強の兜です。 ファミコン版では「せいなるほこら」で入手できましたが、リメイク版ではこの一連のイベントをクリアしないと入手できなくなっています。
このイベントは、単なるアイテム入手のフラグというだけでなく、『ドラクエ1』の世界観を深掘りし、『3』に登場する「ガライ」との繋がりを匂わせる重要な追加要素です。 HD-2D版でも、このイベントはほぼ間違いなく搭載されるでしょう。
強敵との戦いを有利に
『ドラクエ1』には、ストーリー進行上で必ず倒さなければならない強敵が存在します。
メルキドの「ゴーレム」と「ようせいのふえ」
南の果てにある城塞都市「メルキド」。 その入り口は、強大な「ゴーレム」によって守られています。 普通に戦うと、序盤のボスとしては破格の攻撃力と耐久力を誇り、まともに戦えば苦戦は必至です。
しかし、このゴーレムには明確な弱点があります。 それは「ようせいのふえ」の音色です。 戦闘中に「ようせいのふえ」を道具として使うと、ゴーレムは必ず眠り状態になります。 眠っている間に一方的に攻撃を加えることで、安全かつ確実に倒すことができます。
「ようせいのふえ」は、マイラの村の南にある「雨のほこら」で入手できます(※「ぎんのたてごと」が必要)。 メルキドに向かう前には、必ず入手しておきましょう。 この「特定アイテムでボスを無力化する」というギミックは、RPGの古典的ながらも面白い要素であり、HD-2D版でも変更なく残されるはずです。
沼地の洞窟の「ドラゴン」リメイク版では復活しない?
ローラ姫が囚われている「ぬまちのどうくつ」。 その奥で姫を守っているのは、強敵「ドラゴン」です。 高い攻撃力と「ほのお」による全体攻撃(※『1』では主人公一人ですが)が脅威です。
ファミコン版では、このドラゴンを倒した後、城に戻らずに「リレミト」などで洞窟を出て、セーブ(ふっかつのじゅもん)せずにわざと全滅(ゲームオーバー)すると、なぜかドラゴンが復活するという裏技がありました。 経験値稼ぎのために利用されたこともありましたが、意図しないバグ(仕様?)であった可能性が高いです。
SFC版以降のリメイクでは、この現象は修正されています。 ドラゴンは一度倒せば、二度と復活しません。 HD-2D版でも、ストーリーの整合性を考えれば、ドラゴンが何度も復活することはないでしょう。
伝説の「ロト装備」隠された性能と秘密
『ドラクエ1』の最強装備といえば、ロトの血を引く者のみが装備できる「ロト」シリーズです。 「つるぎ」「よろい」「たて」「かぶと」「しるし」。 これらは単に数値が高いだけでなく、リメイク版では様々な「隠し性能」が追加されています。
見た目が変わる!ロトシリーズ一式装備の特別仕様
リメイク版(SFC版、スマホ版など)では、ロトシリーズの装備(剣・盾・兜・鎧)をすべて装備すると、主人公のフィールド上でのグラフィック(見た目)が、お馴染みの「ロトの勇者」の姿に変化するという、ファンにはたまらない仕様があります。
HD-2D版では、グラフィックがさらに美麗になります。 あの勇ましいロトの姿がHD-2Dで描かれる瞬間は、全プレイヤーが目指すハイライトの一つになるでしょう。 「ロトのしるし」も装備に含めるかどうかは、リメイク作品によって仕様が異なる場合がありますが、ぜひ完全装備でのビジュアル変化に期待したいところです。
「ロトのつるぎ」道具使用で「ベギラマ」効果?
「ロトのつるぎ」は、りゅうおうの城で入手できる最強の武器です。 (※入手には複雑な手順が必要で、地下深くまで降りてから登り返す必要があります)
SFC版以降のリメイクでは、この「ロトのつるぎ」を戦闘中に道具として使用すると、「ベギラマ」と同等の効果(敵1グループにダメージ)を発揮します。 MPを消費せずに強力な全体攻撃(※『1』ではグループ攻撃)ができるため、りゅうおうの城での雑魚敵掃討に絶大な威力を発揮します。 ファミコン版ではこの効果はなかったため、リメイク版で最も恩恵の大きい追加要素の一つと言えるでしょう。 HD-2D版でも、この強力な性能は間違いなく継承されるはずです。
「ロトのよろい」歩くだけでHP回復&バリア無効
「ロトのよろい」は、ドムドーラの町に隠されています。 (※町を守る「あくまのきし」を倒す必要があります)
この鎧の隠し性能は非常に強力です。
- HP自動回復: フィールドやダンジョンを一定歩数歩くごとに、HPが1ずつ回復していきます。
- バリア床無効: りゅうおうの城などに設置されている、踏むとダメージを受ける「バリア床」を無効化します。
- 呪文・ブレス軽減: 敵から受ける呪文やブレスのダメージを軽減します。
特に「HP自動回復」と「バリア無効」は、探索において絶大な効果を発揮します。 りゅうおうの城はバリア床だらけであり、この鎧があるかないかで難易度が激変します。 まさに勇者の鎧と呼ぶにふさわしい性能です。
「ロトのたて」ブレス・呪文ダメージを軽減
「ロトのたて」は、メルキドの町の南にある「岩泣き島」(※場所が分かりにくい隠しダンジョン)で、「最後の鍵(※リムルダールで入手)」を使って入る宝箱から入手できます。
この盾も「ロトのよろい」と同様に、敵から受ける呪文やブレス系のダメージを軽減する隠し性能を持っています。 『ドラクエ1』の終盤は、強力なブレスや呪文を操る敵が多いため、この軽減効果は非常に重要です。
「ロトのかぶと」状態異常耐性と雷強化
「ロトのかぶと」は、前述の「吟遊詩人ザライ(ガライ)」のイベントをクリアすることで入手できます。
この兜には、眠り、混乱、マヒ、即死といった厄介な状態異常攻撃にかかりにくくなる耐性(リメイク版によっては完全無効)が備わっています。 さらに、スマホ版など一部のリメイクでは、「主人公が使う雷属性の呪文や特技(ギラ系など)が強化される」という隠し性能も追加されていました。
HD-2D版でこの「属性強化」の概念が引き継がれるかは分かりませんが、状態異常耐性だけでも最強の兜として君臨するでしょう。
「ロトのしるし」即死完全ガードの最強装飾品
「ロトのしるし」は、ラダトームの南にある「精霊のほこら」で入手できる重要アイテムです。 (※「あまぐものつえ」「たいようのいし」「ぎんのたてごと」の3つが必要)
ファミコン版ではストーリー進行に必要なキーアイテムでしたが、リメイク版では「装飾品」として装備可能になりました。 その性能は「運の良さ(うんのよさ)」が上昇するというものですが、最大の隠し性能は「ザキ(即死呪文)や即死攻撃を完全に防ぐ」という点です。
りゅうおうの城に出現する「しにがみのきし」などが使う即死攻撃は、どれだけレベルを上げても運が悪ければ即ゲームオーバーに繋がる危険なものです。 「ロトのしるし」は、その脅威から勇者を守ってくれる、まさに「お守り」と呼べる最強の装飾品です。
最終決戦!りゅうおうの城とエンディングの裏技・小ネタ
ついにりゅうおうの城へ。 『ドラクエ1』のクライマックスにも、知られざる小ネタが隠されています。
誘惑に打ち勝てるか?「世界の半分をやろう」の結末
りゅうおうとの決戦。 しかし、彼はいきなり襲いかかってくるわけではありません。 玉座に座るりゅうおうに話しかけると、あの有名なセリフを問いかけてきます。
「もし わしの みかたになれば せかいの はんぶんを おまえに やろう」
ここで「はい」と答えるとどうなるのか。 これは『ドラクエ』史上、最も有名な「if」ルートでしょう。
夢オチとトロフィー/実績
リメイク版で「はい」を選択すると、主人公は「世界の半分」を手に入れた(という夢を見る)という、いわゆる「夢オチ」のような演出が流れます。 目が覚めると、なぜか宿屋におり、レベルは1に戻され、所持アイテムやゴールドも初期状態になっています(※リメイク版によっては仕様が異なりますが、実質的なゲームオーバーに近い状態です)。
ただし、ファミコン版と違い、セーブデータが消えるわけではありません。 直前のセーブデータからやり直すことができます。 PS4版やスマホ版では、この選択をすることで入手できる「トロフィー」や「実績」が用意されていました。 HD-2D版でも、この「世界の半分エンド」は、実績解除の項目として用意されている可能性が非常に高いです。 りゅうおうを倒す前に、一度は誘惑に負けてみるのも一興でしょう。
「ロトのつるぎ」装備時の専用セリフ
りゅうおうの誘いに「はい」と答えた際、もし主人公が「ロトのつるぎ」を装備していると、りゅうおうのセリフが専用のものに変化するという小ネタがあります。
「ロトのつるぎ」は、りゅうおうを倒すために作られた武器。 それを持つ者が自分の味方になるという皮肉な状況に、りゅうおうが特別な反応を示すという、非常に凝った演出です。 細かい部分ですが、ロトの伝説を知るプレイヤーほどニヤリとできる隠し要素ですね。
りゅうおう討伐後の静かな帰路
りゅうおうの真の姿(ドラゴンの姿)を打ち破り、光の玉を取り戻すと、アレフガルドに平和が訪れます。 りゅうおうの城からラダトーム城へ帰還する際、リメイク版ではBGMが『3』のエンディングでも使われた「そして伝説へ」のアレンジ(あるいは静かなフィールド曲)に変わり、一切の敵が出現しなくなります。
暗く閉ざされていた世界に光が戻り、静寂の中を一人、城へと歩いて戻る。 この演出は、孤独な戦いを終えた勇者の達成感と、少しの寂しさを際立たせる、ゲーム史に残る名シーンだと私は思います。 HD-2D版の美しいグラフィックとオーケストラサウンドで、この帰路がどのように描かれるのか、今から楽しみでなりません。
エンディング後のお楽しみ?ドムドーラに眠る「ガライの幽霊」
りゅうおうを倒した後、ラダトーム城に戻って王様に話しかけるとエンディングが始まります。 しかし、その前に少し寄り道をしてみましょう。
りゅうおう討伐後(敵が出現しない状態)で、かつて「あくまのきし」がいた「ドムドーラの町」を訪れると、ある人物の幽霊に出会うことができます。 それは、リメイク版の追加イベントで登場した、吟遊詩人「ザライ(ガライ)」です。
彼は、自分の先祖である「ガライ」の伝説を追い求めて旅をしていました。 (※『3』のガライのこと) りゅうおうが倒されたことで、彼の魂もまた安息の地を見つけたのでしょう。 エンディング直前の、ささやかながらも感動的な隠しイベントです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。 今回は、HD-2D版の発売が待たれる『ドラゴンクエスト1』について、過去のリメイク版で使えた裏技、小ネタ、テクニックを網羅的に解説しました。
『ドラクエ1』は、非常にシンプルなゲームでありながら、その奥には数多くの隠し要素や、リメイクの度に洗練されてきたゲームデザインが詰まっています。 今回紹介した知識は、HD-2D版をプレイする上で、間違いなく役立つものばかりです。
もちろん、HD-2D版では、これらの要素がそのまま継承されるとは限りません。 シンボルエンカウントの採用のように、根本的なシステム変更に伴い、新たな裏技やテクニックが生まれる可能性も大いにあります。 それらを見つけ出していくのも、新作リメイクをプレイする醍醐味と言えるでしょう。
『ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ』は、2本セットでの発売です。 『1』でロトの伝説の始まりを体験した後は、ぜひ『2』で、さらに広大になった世界と「仲間との冒険」を楽しんでみてください。 (『2』の裏技や小ネタについても、また別の機会に詳しくレビューしたいと思います)
HD-2Dで蘇るアレフガルドの地で、再び勇者として冒険できる日を楽しみに待ちましょう。






