ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、発表されてから話題沸騰のHD-2D版『ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ』について、どのゲームハードでプレイするべきか気になっていると思います。 PlayStation 5、Nintendo Switch、そしてPC(Steam)と、複数の選択肢があるからこそ、それぞれの特徴をしっかり理解して、自分に最適な一本を選びたいですよね。

この記事を読み終える頃には、あなたがどのハードで冒険の旅に出るべきか、その疑問が解決しているはずです。
- 各ハードの性能差がゲーム体験に与える影響
- 携帯性やプレイスタイルで見る最適な選択肢
- グラフィックやロード時間を最重視するならこのハード
- 将来性やカスタマイズ性というPC版独自の魅力
それでは解説していきます。

HD-2D版『ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ』基本情報とHD-2Dの魅力
まずは本作がどのようなゲームなのか、そして多くのファンを魅了する「HD-2D」という技術についておさらいしておきましょう。

伝説の原点が最新技術で蘇る
『ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ』は、日本のRPGの金字塔である「ドラゴンクエスト」シリーズの原点となる2作品をカップリングしたリメイク作です。 初代『ドラゴンクエスト』は1986年にファミリーコンピュータで発売され、「勇者」「魔王」「姫」という王道の物語構造と、堀井雄二氏による温かみのあるシナリオ、すぎやまこういち氏による壮大な音楽、鳥山明氏による魅力的なキャラクターデザインで、社会現象を巻き起こしました。 続く『ドラゴンクエストⅡ 悪霊の神々』では、仲間と共に冒険するパーティシステムが導入され、より広大な世界と手強い冒険がプレイヤーを待ち受けていました。
今回のリメイクでは、これらの不朽の名作が「HD-2D」という表現技術で美しく描き直されています。
HD-2Dがもたらす圧倒的な没入感
HD-2Dとは、スクウェア・エニックスが『オクトパストラベラー』で初めて採用したグラフィック表現です。 昔ながらのドット絵によるキャラクターや背景の温かみを残しつつ、3DCGの技術を融合させることで、光の表現、空気感、水の流れなどをリアルに描き出します。
この技術により、『ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ』の世界は、懐かしさと新しさが同居する、唯一無二のビジュアル体験へと昇華されました。 アレフガルドの草原を吹き抜ける風、洞窟の奥で揺らめく松明の炎、ローレシアの城の荘厳さ。 かつてファミコンの画面で想像力を膨らませて見ていた世界が、圧倒的な解像感と美麗なエフェクトで眼前に広がります。 これは単なるリメイクではなく、思い出を最高の形で再体験させてくれる、現代の技術が可能にした魔法と言えるでしょう。
対応ハードと発売日
HD-2D版『ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ』は、以下のプラットフォームで発売が予定されています。
プラットフォーム | 発売日 |
---|---|
PlayStation 5 | 2025年10月30日 |
Nintendo Switch | 2025年10月30日 |
PC (Steam) | 2025年10月31日 |
Xbox Series X|S | 2025年10月30日 |
今回は特にユーザー数の多いPlayStation 5、Nintendo Switch、PC(Steam)の3つのプラットフォームに焦点を当てて、徹底的に比較・解説していきます。
【結論】あなたのプレイスタイル別!おすすめハード診断
詳細な比較に入る前に、まずは結論から。 あなたのゲームの楽しみ方に合わせて、どのハードが最適なのかを診断形式でご紹介します。
- 最高の映像美と快適さでじっくり世界に浸りたい → PlayStation 5
- 場所を選ばず、手軽にコツコツ冒険を進めたい → Nintendo Switch
- 将来的な拡張性や最高のパフォーマンスを追求したい → PC (Steam)
このように、それぞれのハードに明確な強みがあります。 なぜこのような結論に至るのか、次のセクションから各ハードのメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
【徹底比較】PlayStation 5版のメリット・デメリット
まずは、現行最高峰のスペックを誇るPlayStation 5(PS5)版から見ていきます。

メリット①:圧倒的なグラフィックとパフォーマンス
PS5版の最大のメリットは、そのパワフルな性能を活かした最高のグラフィック体験にあります。 HD-2Dの映像美を、4K解像度という高精細な画質で余すことなく堪能できるのはPS5版の特権です。 ドット絵の緻密なディテール、光や影の滑らかな階調表現、そして美しいエフェクトが、大画面のテレビでプレイした際の没入感を極限まで高めてくれます。
また、フレームレート(1秒間に描画されるコマ数)も高く安定しているため、キャラクターの動きや画面のスクロールが非常に滑らかです。 これにより、長時間のプレイでも目が疲れにくく、ストレスフリーで冒険に集中できるでしょう。
メリット②:超高速SSDによる爆速ロード時間
PS5に搭載されている超高速SSDは、ゲームのロード時間を劇的に短縮します。 RPGでは、街とフィールドの移動、建物への出入り、戦闘の開始・終了など、画面が切り替わる場面が頻繁に発生します。 これらの切り替えが一瞬で完了するため、ゲームのテンポが損なわれず、物語への没入が途切れることがありません。 特に『ドラゴンクエストⅡ』のように冒険の範囲が広大になると、このロード時間の短さはプレイの快適さに大きく貢献するはずです。
メリット③:DualSenseコントローラーによる新たなゲーム体験
PS5独自の機能であるDualSenseワイヤレスコントローラーも、見逃せないポイントです。 ハプティックフィードバックは、従来の振動機能よりもはるかに繊細で多彩な感触をプレイヤーの手に伝えます。 例えば、勇者が剣を振るった時の感触、強力な呪文を放った時の衝撃、モンスターから攻撃を受けた時のダメージなどをリアルに表現できる可能性があります。
アダプティブトリガーは、状況に応じてボタンの抵抗力が変化する機能です。 これも本作で対応されれば、重い扉を開ける時や、何かを引くといった特定の場面で、より直感的な操作感を生み出すかもしれません。 これらの機能が『ドラゴンクエスト』の世界とどう融合するのか、非常に楽しみな要素です。
デメリット:携帯性がなく、プレイ場所が限定される
PS5版の明確なデメリットは、据え置き機であるためテレビがある場所でしかプレイできない点です。 通勤・通学の移動中や、寝る前のちょっとした時間にベッドでプレイするといった、自由なプレイスタイルには対応できません。 ゲームは腰を据えてじっくり楽しむもの、と考えている方以外には、この点が最大のネックになるでしょう。
【徹底比較】Nintendo Switch版のメリット・デメリット
次に、幅広い層に普及しているNintendo Switch版の特徴を見ていきます。

メリット①:場所を選ばない最高の「携帯性」
Nintendo Switch版の最大の魅力は、なんといってもその携帯性です。 テレビに繋いで大画面で楽しむ「TVモード」、本体の画面でプレイする「テーブルモード」、そして本体を持ち運んで好きな場所で遊べる「携帯モード」と、3つのプレイスタイルを自由に切り替えられます。
平日は移動中にレベル上げを進め、休日は家のテレビでじっくりボス戦に挑む、といった遊び方ができるのはSwitchならでは。 RPGというジャンルは、コツコツと時間をかけて進めるスタイルのプレイヤーも多いため、この携帯性の高さは非常に大きなアドバンテージとなります。 特に有機ELモデルであれば、その鮮やかな発色でHD-2Dの美しい世界をより一層楽しむことができるでしょう。
メリット②:手軽さと導入のしやすさ
Nintendo Switchは世界的に最も普及しているゲームハードの一つであり、すでに本体を持っているという方も多いでしょう。 新たに高価なハードを購入することなく、ソフトを買うだけですぐに冒険を始められる手軽さは大きなメリットです。 また、操作もシンプルで分かりやすく、年齢や性別を問わず、誰でも気軽に楽しめるというのも『ドラゴンクエスト』という作品にマッチしています。
メリット③:『ドラクエIII』HD-2D版との連携
本作には、先に発売されるHD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』のセーブデータがあると、特典がもらえる連動要素が発表されています。 もしあなたが『ドラクエIII』をNintendo Switchでプレイする(または予約している)のであれば、同じハードで『Ⅰ&Ⅱ』をプレイするのが最もスムーズで、特典も確実に受け取れるためおすすめです。 シリーズを一つのハードで完結させたいというコレクション的な欲求も満たしてくれます。
デメリット:性能面での妥協が必要
PS5や高性能PCと比較した場合、Nintendo Switchは性能面で劣ることは事実です。 解像度やフレームレートは、先の2機種に比べて低くなる可能性が高いでしょう。 特に大画面のテレビでプレイした際に、グラフィックの精細さや動きの滑らかさで差を感じる場面があるかもしれません。
ただし、HD-2Dというグラフィック表現は、超高精細な3Dグラフィックを要求するゲームとは性質が異なります。 過去に発売された『オクトパストラベラー』シリーズなども、Switchで十分に快適なプレイが可能でした。 そのため、ロード時間が多少長くなる可能性はありますが、ゲームの面白さを損なうほどの決定的な差にはならないと私は予測しています。
【徹底比較】PC (Steam) 版のメリット・デメリット
最後に、ゲーマーからの支持が厚いPC(Steam)版の魅力と注意点を解説します。

メリット①:スペックに応じた究極のパフォーマンス
PC版の最大のメリットは、お使いのPCのスペック次第で、最高のパフォーマンスを引き出せる点にあります。 高性能なグラフィックボードを搭載したゲーミングPCであれば、PS5をも上回る高解像度・高フレームレートでプレイできる可能性があります。 まさに「究極のHD-2D体験」を求めるならば、PC版がその答えとなるでしょう。
また、グラフィック設定を細かく調整できるのもPC版ならでは。 自分のPCスペックと相談しながら、画質を優先するのか、パフォーマンスを優先するのかを自由にカスタマイズできます。 ウルトラワイドモニターなど、特殊な画面比率に対応する可能性があるのも魅力です。
メリット②:MODによる無限の拡張性
PCゲームの文化として特筆すべきが「MOD(モッド)」の存在です。 MODとは、ユーザーが自主的に作成したゲームの改造データのことです。 発売から時間が経つと、有志によって様々なMODが開発・配布されることがあります。
例えば、以下のようなMODが登場する可能性があります。
- グラフィック向上MOD: さらに映像を美しくする
- BGM変更MOD: 過去作のオーケストラ音源などに差し替える
- 高難易度化MOD: より手強い冒険を楽しみたい上級者向け
- キャラクターの見た目変更MOD: 勇者のグラフィックを変更する
これらのMODを導入することで、公式が提供する以上の遊び方を楽しむことができ、一本のゲームを末永く楽しめます。 この無限の拡張性は、他のハードにはないPC版だけの最大の魅力と言えるでしょう。
メリット③:セールによる価格的なメリット
Steamでは、季節ごとに大規模なセールが開催されます。 発売直後は対象外かもしれませんが、将来的にはセールによって通常より安価に購入できる機会が訪れる可能性が高いです。 少し待ってでもお得に購入したいと考えている方には、PC版は魅力的な選択肢となります。
デメリット:要求スペックの確認と環境構築の手間
PC版を快適にプレイするためには、ゲームが要求するスペックを満たしたPCが必要です。 スペックが不足していると、動作がカクついたり、最悪の場合ゲームが起動しないこともあります。 購入前には必ず、Steamのストアページに記載される「システム要件」を確認し、自分のPCで問題なく動作するかをチェックする必要があります。 ある程度のPC知識が求められる点は、ゲーム機と比べるとハードルが高いと言えるかもしれません。
各ハードのスペック・機能比較まとめ
ここまでの内容を、比較しやすいように表にまとめてみました。
項目 | PlayStation 5 | Nintendo Switch | PC (Steam) |
---|---|---|---|
グラフィック | ◎ (4K対応) | 〇 (HD) | ◎ (PCスペック依存) |
ロード時間 | ◎ (非常に短い) | 〇 (標準的) | ◎ (SSD搭載PCなら高速) |
携帯性 | × (不可) | ◎ (可能) | △ (ノートPC/携帯PC) |
独自機能 | DualSense | 3つのプレイモード | MODによる拡張性 |
手軽さ | 〇 | ◎ | △ (PC知識が必要) |
価格 | 〇 (セールは少なめ) | 〇 | ◎ (セールが豊富) |
予約特典から考えるおすすめの購入先
どのハードでプレイするかと同時に、どこで購入するかも悩みどころですよね。 各ストアで用意されている予約特典も、選択の一助となります。
ダウンロード版
発売日の午前0時からすぐにプレイしたい方はダウンロード版一択です。 予約特典として、冒険の序盤を快適に進められるアイテムセット「しあわせの旅セット」が付属します。 特に、歩くだけで経験値が手に入る「しあわせのくつ」は、序盤のレベル上げを格段に楽にしてくれるでしょう。 『Ⅰ』も『Ⅱ』も序盤は一人旅の時間が長いため、各種「たね」によるステータスアップも非常に心強いです。
パッケージ版(店舗別特典)
- スクウェア・エニックス e-STORE: グッズ派におすすめ。 特典は「ロトの盾」を模したピンズと、SFC版とHD-2D版のイラストを使用したデジタル壁紙。 ゲーム内アイテムよりも、形に残る記念品が欲しいというファンにはたまりません。
- ローソン・Loppi・HMV: アイテムとグッズのバランス型。 特典は「ラーミア」がデザインされたマウスパッドと、ゲーム内で使える「ブーメラン」「りゅうのうろこ」のセット。 ブーメランは序盤のザコ敵を一掃するのに役立ち、りゅうのうろこは守備力を底上げしてくれる実用的なアイテムです。
- Amazon.co.jp: 攻撃的な冒険をしたい方向け。 特典は「いばらのムチ」「まほうのせいすい×2」のセット。 いばらのムチはグループ攻撃が可能なため、複数の敵に効率よくダメージを与えられます。
- イオン系列: 攻撃力重視。 特典は「てつのやり」「バイキルミン×2」のセット。 鉄の槍は序盤の武器としては攻撃力が高く、特に『Ⅱ』のサマルトリアの王子にとっては頼れる一品となるでしょう。
どの特典も魅力的ですが、冒険を有利に進めたいならローソンかAmazon、記念品が欲しいならスクエニeストア、といった形でしょうか。 ただし、これらの特典アイテムがなくてもゲームのクリアが困難になることはありませんので、純粋に欲しいと思ったものを選ぶのが一番です。
ゲーム評論家が個人的に選ぶ一台
ここまで客観的な視点で各ハードを比較してきましたが、最後に「評論家として、そして一人のゲーマーとしてあなたならどれを選ぶ?」と聞かれた場合にお答えします。
非常に悩ましい選択ですが、私が最終的に選ぶのは「PC (Steam) 版」です。
理由は二つあります。 一つは、レビューという仕事柄、最高の環境で隅々までゲームを評価する必要があるためです。 HD-2Dが描き出す光と影の芸術を、最高の解像度とフレームレートで体験し、その真価を読者の皆様に伝えたいと考えています。
そしてもう一つの理由が、「MOD」への期待です。 私はオリジナルのゲームを尊重し、まずはありのままの姿でクリアまで楽しみます。 しかし、クリア後、さらにこの世界を深く楽しむための選択肢としてMODの存在は非常に大きいのです。 より手強く調整された戦闘、新たなBGMでの冒険など、コミュニティが生み出す「if」の物語を体験できるのはPC版だけの特権です。 この将来的な「お楽しみ」に、私は最も大きな価値を感じます。
もちろん、これはあくまで私個人のプレイスタイルに基づいた選択です。 もし私が純粋にプライベートで、日々の隙間時間を使って遊ぶとしたら、迷わず**「Nintendo Switch版」**を選ぶでしょう。 あの手軽さと、どこでも冒険の続きができる魅力は何物にも代えがたいからです。
まとめ
今回は、HD-2D版『ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ』をどのハードでプレイするべきか、というテーマで徹底的に比較・解説しました。
- 最高のグラフィック、最速のロード時間、そしてDualSenseによる没入感を求めるなら「PlayStation 5版」
- 場所や時間を選ばず、自分のペースで手軽に冒険を楽しみたいなら「Nintendo Switch版」
- 究極のパフォーマンスを追求し、MODによる無限の拡張性にも期待するなら「PC (Steam) 版」
どのハードを選んだとしても、HD-2Dで蘇る『ドラゴンクエスト』の原点が、素晴らしい体験を約束してくれることは間違いありません。 それぞれのメリット・デメリットを吟味し、ご自身のゲームライフに最もフィットする一台を見つけてください。 この記事が、あなたのロト伝説の始まりの一助となれば幸いです。