編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方はバイオハザードレクイエムのレオンとグレースのパートの違いやクリア後の評価が気になっていると思います。
サバイバルホラーと激しいアクションが融合した本作は、主人公の切り替えによって全く異なるゲーム体験が提供される点が大きな特徴です。
この記事を読み終える頃にはレオンとグレースのアクション性の違いや本作の全体的な評価についての疑問が解決しているはずです。
- レオンとグレースの明確な戦闘スタイルの違い
- 切り替え可能な視点と共有マップシステムの戦略性
- 物理演算により進化した多様なゾンビの生態
- ホラーとアクションの融合による全体的な評価
それでは解説していきます。
バイオハザード9レクイエムのレオンとグレースの違いを徹底比較
レオンパートの特徴と爽快なアクション性の進化
バイオハザードレクイエムにおけるレオンパートの最大の特徴は、過去作を凌駕する圧倒的なアクション性と爽快感にあります。
サバイバルホラーという枠組みを超え、まるで一騎当千のアクションゲームをプレイしているかのような錯覚に陥るほどの調整が施されています。 特に近接戦闘の進化は目覚ましく、敵を体勢崩し状態にするための条件が大幅に緩和されています。
ハンドガンの数発で敵が膝をつき、そこから派生するテイクダウンのアニメーションは非常に多彩で強力です。 単なる蹴り飛ばしに留まらず、周囲の敵を巻き込んで大ダメージを与えるようなダイナミックな動きが可能になっています。
さらに、敵が落とした強力な武器を一時的に奪って使用できるシステムが導入されたことで、戦闘の選択肢が爆発的に増加しました。 かつてはプレイヤーを苦しめたチェーンソーや大型の鈍器などを、逆に敵の群れに叩き込む爽快感は本作ならではの魅力です。
この徹底したパワーファンタジーの追求は、レオンというキャラクターが長年の戦いを経て到達した、戦闘のプロフェッショナルとしての姿を見事に表現しています。
リメイク版のバイオハザード4で培われたパリィシステムや回避アクションも健在であり、それらがよりハイスピードな戦闘テンポに最適化されています。 プレイヤーのスキル次第で被弾をゼロに抑えながら、スタイリッシュに敵を殲滅していくことが可能です。
一方で、あまりにもレオンが強力すぎるため、ホラーゲーム特有の「逃げる恐怖」や「弾薬が尽きる恐怖」は後退している側面もあります。 しかし、それを補って余りあるアクションの完成度の高さが、レオンパートのプレイアビリティを確固たるものにしています。
装備の拡張性と成長要素
レオンのインベントリは初期段階から比較的余裕があり、多彩な火器を持ち歩くことが前提のバランスとなっています。 アサルトライフルやショットガン、マグナムといった強力な武器を状況に応じて切り替える戦術が求められます。
武器の改造システムもより深みを増しており、単なる威力向上だけでなく、特殊な効果を付与するようなカスタマイズが可能です。 これにより、プレイヤーごとの好みの戦闘スタイルを徹底的に追求できる設計となっています。
グレースパートの特徴と極限のサバイバルホラー体験
圧倒的な力を持つレオンパートとは対照的に、グレースパートでは本来のバイオハザードが持っていた息詰まるようなサバイバルホラーが展開されます。
彼女はレオンのような戦闘訓練を受けたプロフェッショナルではないため、正面からの戦闘は死を意味するほどのリスクを伴います。 基本的な移動速度や武器の構え出しも遅く、アクションの一つ一つに重みと隙が存在します。
そのため、敵に見つからないように進むステルス行動が基本となり、物陰に隠れながら敵の巡回ルートを見極める緊張感が常に付きまといます。
弾薬や回復アイテムといったリソースも極端に制限されており、インベントリの初期スロットも非常に少なく設定されています。 どのアイテムを持ち歩き、何を拠点に置いていくかというシビアな取捨選択がプレイヤーに重くのしかかります。
この制限された状況下での探索は、バイオハザード7の序盤で感じたような、未知の恐怖に対する無力感を強烈に思い起こさせます。 戦闘を避けるためのパズル要素や、環境を利用したギミックの解除がグレースパートの主な進行方法となります。
しかし、完全に無力というわけではなく、限られた素材から特殊なアイテムをクラフトする独自の生存術を持っています。 ゾンビから採取した血を利用して強力なトラップを作成したり、強力なスニークアタックを決めることで活路を見出すことが可能です。
ただし、これらの強力な行動を起こすための準備には時間と手間がかかり、決してレオンのように手軽に連発できるものではありません。 この「弱者としての視点」が、レオンパートのアクション性を際立たせると同時に、ゲーム全体のホラー要素を担保する重要な役割を担っています。
ステルスと独自のクラフトシステム
グレースの生命線となるのが、環境音を立てずに移動するスニークアクションと、身を隠すためのカバーシステムです。 また、敵の残骸や環境から素材を集め、それを分析・合成して独自のアイテムを作り出すクラフトシステムは彼女専用のメカニクスです。
このクラフトには専用の設備を使用する必要があり、探索の途中で安全な場所を確保し、戦略を練り直すというフェーズが発生します。 テンポが遅くなるという意見もあるかもしれませんが、この静かな時間が次に待ち受ける恐怖への緊張感を高めるスパイスとして機能しています。
視点システムの違いとプレイスタイルの自由度
本作は、操作するキャラクターに合わせて推奨されるカメラ視点が異なるという、非常にユニークな設計思想を採用しています。
近接格闘や激しい立ち回りが要求されるレオンパートでは、周囲の状況を把握しやすく、アクションの全体像が見える三人称視点(TPS)が推奨されています。 一方で、恐怖感を煽り、閉鎖空間での息遣いまで感じさせるようなグレースパートでは、一人称視点(FPS)でのプレイを念頭に置いてゲームが構築されています。
この視点の違いが、同じゲームでありながら全く異なるジャンルの作品をプレイしているかのような感覚を生み出しています。 しかし、本作の優れた点は、プレイヤーの好みに応じていつでも視点を自由に切り替えられるアクセシビリティを備えていることです。
レオンを一人称視点で操作して、より臨場感のあるガンシューティングを楽しむことも可能です。 逆に、グレースを三人称視点で操作することで、周囲の警戒を強め、ホラー演出を客観的に楽しむというプレイスタイルも許容されています。
この柔軟なシステム設計は、3D酔いしやすいプレイヤーへの配慮としても機能しており、幅広い層が快適にプレイできる環境を提供しています。
視点変更に伴うカメラの挙動やエイムの操作感の調整も緻密に行われており、どちらの視点でプレイしても違和感を感じさせない技術力の高さが伺えます。 シリーズのファンは、TPS派とFPS派に分かれる傾向がありますが、本作はその両方の需要を一つのタイトルで見事に満たしています。
視点による恐怖体験の変化
一人称視点でのプレイは、敵との距離感が狂いやすく、視界の死角から襲われる恐怖を極大化させます。 特にグレースパートにおいて、薄暗い廊下をFPS視点で進む際のプレッシャーは計り知れません。
一方で三人称視点は、キャラクターの全身のモーションを堪能できるため、レオンのスタイリッシュなアクションを楽しむのに最適です。 状況や気分に合わせて視点を変えることで、一度のプレイで二度おいしい体験ができる設計となっています。
マップ共有システムが生み出す新たな戦略性
レオンとグレースは異なる目的を持って行動していますが、彼らが探索する舞台となるマップは完全に共有されています。 これは単に同じステージを使い回しているというわけではなく、互いの行動が影響を与え合う非同期的な連動システムとして機能しています。
例えば、グレースパートで強力な敵の群れに遭遇した場合、無理に突破せずにステルスでやり過ごすという選択が可能です。 そして後から同じエリアを訪れたレオンを操作し、圧倒的な火力でその敵の群れを一掃するというカタルシスを味わうことができます。
逆に、グレースのためにあえて回復アイテムや弾薬を取らずに残しておくといった、キャラクター間のリソース管理もプレイヤーに委ねられています。 このシステムにより、マップの探索が単なる一本道ではなく、どちらのキャラクターでどのルートを開拓するかという戦略的な思考が求められます。
一部の扉やギミックは特定のキャラクターでしか解除できないものがあり、相互に協力(間接的ですが)して道を切り開いていく感覚が強調されています。 ゲームオーバーになってコンティニューする際も、マップの状況がリセットされるわけではなく、世界がシームレスに繋がっている感覚が没入感を高めます。
このマップ共有の概念は、初期のバイオハザードにあった「ザッピングシステム」を現代のオープンエンドなマップデザインに昇華させたものと言えます。 プレイヤー自身が2人の主人公の運命をコントロールし、交差する物語のパズルを組み上げていく楽しさがここにあります。
資源配分のジレンマ
共有マップにおいて最もプレイヤーを悩ませるのが、限られたアイテムをどちらのキャラクターで取得するかという問題です。 レオンは強力ですが弾薬の消費も激しく、グレースは戦闘を避けるとはいえ最低限の回復アイテムは必須です。
この「どちらにリソースを割くべきか」というジレンマが、単調になりがちなアイテム収集に深い戦略性をもたらしています。 計画的な探索を行わないと、いざという時に必要なキャラクターの物資が枯渇するというシビアな展開も待ち受けています。
アイテムクラフトとパズル要素のキャラクター別比較
バイオハザードシリーズにおいて伝統的な要素であるパズルとアイテムクラフトも、本作ではキャラクターの個性を反映した作りになっています。
レオンパートの謎解きは比較的直感的で、アクションのテンポを阻害しない程度のアスレチック要素や、物理的なスイッチ操作がメインとなります。 アイテムの組み合わせも、ハーブの調合や弾薬の作成といった、戦闘に直結する即効性の高いシンプルなものが中心です。
一方、グレースパートでは、より古典的で複雑なアドベンチャーゲームのようなパズルが多数用意されています。 特定のアイテムを見つけて別の場所に配置したり、複数のヒントを組み合わせて暗号を解読するといった、頭脳を要求される場面が多くなります。
さらに彼女のクラフトシステムは特殊で、敵の痕跡から成分を抽出し、専用のツールを用いて時間をかけて強力なアイテムを生成します。 この過程は非常に凝ったアニメーションで描かれ、彼女がサバイバルにおいていかに知恵を絞っているかを演出しています。
しかし、このグレースの複雑な探索とクラフトのプロセスについては、一部で「おつかい感」が強くテンポが悪いという声も存在します。 特定のアイテムを取りに同じマップを何度も往復させられる場面があり、緊迫したホラー体験との間にミスマッチが生じている部分も否めません。
それでも、知恵を絞って強力なトラップを完成させ、強敵を打ち倒した時の達成感は、レオンの力任せの戦闘とは異なる深い満足感を与えてくれます。
テンポ感の差異がもたらす影響
レオンの進行スピードが速いため、どうしてもグレースの探索パートが間延びして感じてしまうプレイヤーもいるでしょう。 特にゲーム後半になるにつれて、アクションの爽快感を求める欲求と、じっくり謎を解く要求が衝突する場面が見受けられます。
この2つの異なるゲームテンポをどう受け入れるかが、本作の評価を分ける一つのポイントになっていると考えられます。
レオンとグレースのステータスと戦闘能力の数値比較
ここでは、ゲーム内の挙動やシステムから読み取れる、レオンとグレースの基本性能の違いを表で比較します。 この性能差が、プレイスタイルの根本的な違いを生み出しています。
| 比較項目 | レオン・S・ケネディ | グレース |
|---|---|---|
| 基本体力値 | 高い(被弾に対する耐性が強い) | 低い(数回の攻撃で致命傷になる) |
| 移動・ダッシュ速度 | 高速(機敏な回避行動が可能) | 低速(スタミナ切れが早い) |
| 初期インベントリ枠 | 広い(多数の武器を携帯可能) | 狭い(アイテム管理がシビア) |
| 近接格闘能力 | 極めて高い(テイクダウン、部位破壊を多用) | 皆無(専用のトラップやアイテムに依存) |
| ステルス能力 | 低い(足音が大きく、隠密行動には不向き) | 高い(専用のカバーアクションと静音移動) |
| クラフトの特性 | 即効性(弾薬・回復の即時作成) | 戦略性(素材分析と特殊トラップの作成) |
| システム推奨視点 | 三人称視点(TPS) | 一人称視点(FPS) |
| メインの立ち回り | 殲滅・強行突破 | 回避・潜入・環境利用 |
この表からも分かる通り、全く別のゲームの主人公が同じ世界に放り込まれたような極端な性能差が設定されています。 プレイヤーはキャラクターが切り替わるたびに、脳内のプレイスタイルを完全にリセットし、状況に適応しなければなりません。
この落差こそが、本作が意図した最大のゲーム体験と言えるでしょう。
バイオハザード9レクイエムのクリア後詳細レビューと評価
進化したREエンジンによる圧倒的な没入感とグラフィック
本作を語る上で欠かせないのが、カプコンが誇る内製エンジン「REエンジン」のさらなる進化による圧倒的な映像美です。 これまでのタイトルでもその表現力は高く評価されてきましたが、次世代機に特化した本作では、そのポテンシャルが限界まで引き出されています。
特にライティングの技術は特筆すべきものがあり、薄暗い洋館の廊下に差し込む月光や、懐中電灯の光が埃を照らし出す描写は実写と見紛うほどです。 この緻密な光と影の演出が、プレイヤーの不安を煽り、そこに「何かがいるかもしれない」という恐怖の想像力を極限まで掻き立てます。
さらに、環境のテクスチャの細部や、キャラクターの顔のシワ、汗の表現に至るまで、狂気的とも言える作り込みがなされています。 レオンのジャケットの質感や、泥に塗れたグレースの服の汚れ方など、リアルタイムで変化するディテールが没入感を深めます。
最適化の面でも優れており、これほどリッチなグラフィックでありながら、激しい戦闘中であってもフレームレートの低下をほとんど感じさせません。 ハードウェアの性能を余すことなく使い切るカプコンの開発力には、ゲーム業界全体を見渡してもトップクラスの賞賛が送られるべきです。
ロード時間を全く感じさせないシームレスなマップ移動も、世界観への没入を妨げない重要な要素として機能しています。
空間オーディオがもたらす恐怖
視覚だけでなく、聴覚へのアプローチも次世代の恐怖体験を支えています。 3Dオーディオ技術への完全対応により、見えない敵の足音や、遠くで響く呻き声の位置を正確に把握することができます。
静寂の中で聞こえる自分の足音すら恐怖の対象となるような、緻密なサウンドデザインは必聴の価値があります。
多様化するゾンビの種類とリアルな物理演算システム
本作に登場する敵(ゾンビやクリーチャー)は、過去作と比較して圧倒的な多様性とリアルな反応を見せてくれます。 単にこちらに向かって歩いてくるだけの的ではなく、それぞれが特有の生態や弱点を持っており、プレイヤーに柔軟な戦術を要求します。
例えば、視覚が完全に退化している代わりに聴覚が異常に発達し、わずかな物音に反応して狂暴化するクリッカーのようなタイプが存在します。 彼らに対しては走ることはおろか、銃声すら致命的な結果を招くため、静かにやり過ごすか、遠くに音を立てて誘導するなどの工夫が必要です。
逆に、光に対して極度に敏感に反応するタイプもおり、懐中電灯を消して暗闇の中を手探りで進まなければならない緊迫した場面も用意されています。 さらに特筆すべきは、敵の身体に対する物理演算と部位破壊システムの進化です。
銃撃を受けた箇所に応じて敵の体勢が崩れるのはもちろん、足を撃てば這いずり、腕を撃てば武器を落とすといった反応が極めて自然に描かれます。 敵同士がぶつかり合って転倒したり、レオンの強力な攻撃で複数の敵がドミノ倒しのように吹き飛ぶラグドール物理は、戦闘の爽快感を倍増させます。
ただグロテスクなだけでなく、ゲームプレイのフィードバックとして機能する物理演算の緻密さが、戦闘の深みを生み出しています。
個性が残るゾンビたち
本作のゾンビ表現で最も不気味かつ秀逸なのが、彼らが人間だった頃の習慣や性格の残滓を感じさせる行動をとる点です。 元料理人だったゾンビが厨房で包丁を研ぐような動きを見せたり、何かを呟きながら彷徨う姿は、単なるモンスター以上の生々しさを放っています。
これにより、彼らを撃ち倒すという行為に、かつてないほどの心理的な抵抗感や重みが生まれるよう計算されています。
ホラーとアクションの融合がもたらす賛否両論のバランス
サバイバルホラーとしてのグレースパートと、爽快なアクションとしてのレオンパート。 この2つの要素を1つのゲームに同居させた試みは、非常に野心的であり、本作の評価を最も二分しているポイントでもあります。
アクションゲームファンからは、レオンの圧倒的な強さと多彩な戦闘アクションが「シリーズ最高峰の面白さ」として絶賛されています。 敵の攻撃を紙一重でかわし、強力なカウンターを叩き込む快感は、他のアクションゲームの追随を許さない完成度を誇ります。
しかし、純粋なホラーゲームを求めていたファンからは、この過剰なアクション性が恐怖体験を削いでいるという厳しい意見も散見されます。 グレースパートでどんなに恐ろしい思いをして逃げ回った敵であっても、「後でレオンになれば簡単に倒せる」という事実が分かっているためです。
強力なボスキャラクターでさえ、レオンの前では単なるアクションの的になり下がってしまう瞬間があり、ゲーム全体の脅威のレベルが下がってしまっています。 「ホラー」と「パワーファンタジー」は本来相反するベクトルを持つ要素であり、これらを完全に両立させることの難しさが浮き彫りになっています。
開発陣はマップの共有やリソース管理という形で両者の橋渡しを試みていますが、完全に融合しきれているとは言い難い部分もあります。 結果として、本作は「最高のホラーゲーム」でも「最高のアクションゲーム」でもなく、「最高に豪華なバイオハザードのテーマパーク」という着地点に落ち着いています。
ターゲット層の広がりとジレンマ
近年のバイオハザードシリーズは、ホラーが苦手な層にもプレイしてもらうための工夫を凝らしてきました。 本作におけるレオンの圧倒的な強さは、アクション好きの新規プレイヤーを取り込むための強力なフックとなっています。
しかしそれは同時に、旧来のコアなホラーファンが求めていた「ギリギリの生存を賭けた絶望感」を薄める結果にも繋がっているというジレンマを抱えています。
探索要素を損なう黄色いペンキによる過剰な誘導への懸念
近年のゲームデザインにおける一種のトレンドであり、同時に多くのゲーマーから批判の的となっているのが、進行ルートや破壊可能なオブジェクトを示す「視覚的な誘導マーク」です。 本作においても、よじ登れる壁や壊せる木箱などに、不自然なほど目立つ「黄色いペンキ」が塗られている箇所が多数存在します。
開発側としては、迷って進行不能になるプレイヤーを減らし、ゲームのテンポを良くするための親切心からの配慮であることは理解できます。 特に本作のようにグラフィックが高精細になると、背景のオブジェクトとインタラクト可能なオブジェクトの見分けがつきにくくなるという問題があります。
しかし、この黄色いペンキがあまりにも露骨に配置されているため、ゲームの世界観や没入感を著しく損なっているという不満の声が多く挙がっています。 おぞましいクリーチャーが徘徊する恐怖の施設に、まるでテーマパークの順路のように親切なマーキングが施されている光景は、控えめに言っても不自然です。
プレイヤーは自らの観察力と直感でルートを切り開くのではなく、単に黄色いマークを探してなぞるだけという受動的な体験を強いられてしまいます。 高度な戦闘アクションを要求しておきながら、探索面では極端な手厚いサポートを行うというバランスの悪さは、ユーザーを子供扱いしているようにも感じられます。
オプション設定でこの誘導マークを非表示にできる機能が実装されていれば、探索の楽しみを損なわずに済んだはずであり、非常に惜しまれるポイントです。
没入感とプレイアビリティの天秤
ゲームデザインにおいて、プレイヤーをどう導くかというレベルデザインは永遠の課題です。 光の当て方やオブジェクトの配置といった、環境に溶け込んだ自然な誘導(アフォーダンス)をデザインするのには多大な労力がかかります。
黄色いペンキはその労力をショートカットする安直な解決策と見なされがちであり、本作ほどのビッグタイトルであれば、より洗練された誘導手法を期待したかったというのが本音です。
過去作の集大成としてのストーリーとキャラクターの魅力
本作の物語は、シリーズの長きにわたる歴史を総括するような、集大成としての位置づけを強く感じさせる内容となっています。 歴戦の勇士であるレオンの登場は、それだけで往年のファンを歓喜させる力を持っています。
今回は単なる無敵のヒーローとして描かれるだけでなく、過去の感染のトラウマや、長年の戦いによる心身の疲弊といった、彼の内面的な葛藤にも焦点が当てられています。 強大すぎる敵を前にして、彼がどのように自身の過去と向き合い、乗り越えていくのかというドラマは、アクションの合間に深い余韻を残します。
そして、新キャラクターであるグレースの存在が、物語に新たな視点と深みをもたらしています。 非力で一般人に近い彼女の視点を通して描かれる恐怖は、かつてレオンがラクーンシティで味わった絶望を擬似的に追体験させるような構造になっています。
超人化していくレオンと、生き残ることに必死なグレースという対比が、バイオハザードという作品が持つ「人間賛歌」のテーマをより鮮明に浮かび上がらせます。 シリーズのファンであれば思わずニヤリとするような過去作へのオマージュや、隠されたイースターエッグも随所に散りばめられており、探索のモチベーションを高めてくれます。
ストーリー全体は少しB級映画的なノリや、過剰な演出が含まれる部分もありますが、それも含めて「バイオハザードらしさ」として楽しめるエンターテインメントに仕上がっています。
謎に包まれたストーリーテリング
物語の展開は一本道ではなく、プレイヤーの行動や探索の進み具合によって、得られる情報やキャラクターのセリフが変化する要素が組み込まれています。 ファイルや環境のテキストを読み解くことで、事件の裏に隠された巨大な陰謀や、悲劇的な背景が徐々に明らかになっていく手法は健在です。
考察好きなプレイヤーにとっては、クリア後も語り合える多くの謎が残されており、非常に満足度の高いストーリーテリングと言えるでしょう。
敵キャラクターの背景描写と感情移入を生む演出
本作が高く評価されているもう一つの理由は、単なる的としてのゾンビではなく、彼らがかつて人間であったという悲哀を感じさせる演出の巧みさにあります。 これまでのシリーズでは、敵は倒すべき障害物として無機質に配置されていることが多くありました。
しかし本作では、特定の部屋に入ると、そこがかつて誰の部屋であり、その人物がどのようにして変異していったのかを示す日記や痕跡が残されています。 そして、その部屋を徘徊するゾンビが、まさにその手記を残した人物の成れの果てであることが視覚的に理解できるようになっています。
生前の職業を反映した服を着ていたり、家族の写真を握りしめたまま変異していたりする姿は、プレイヤーの心に強烈な不快感と罪悪感を植え付けます。 この「敵に感情移入させてしまう」というアプローチは、ホラーゲームとしての心理的な圧迫感を全く新しい次元へと引き上げています。
レオンの強力なアクションで彼らを肉片に変えるたびに、爽快感と同時に一抹の虚しさを感じさせるという、非常に計算された感情のコントロールが行われています。 単なるグロテスク表現に頼るのではなく、命の重みや悲劇性を描くことで恐怖を演出する手法は、今後のホラーゲームの新たなスタンダードになり得るポテンシャルを秘めています。
サバイバルホラーにおける倫理観の揺さぶり
生き残るためには彼らを排除するしかないという極限状況において、プレイヤーは自らの倫理観を試されることになります。 特にグレースパートでは、彼らを倒さずにやり過ごすという選択肢が強調されるため、「無用な殺生を避ける」というプレイスタイルを疑似的に体験できます。
この命に対する重みの違いが、キャラクターごとのプレイフィールをさらに差別化する要因となっています。
今後のアップデートやDLCに期待するゲームデザインの改善点
現状でも非常に高い完成度を誇る本作ですが、プレイヤーからのフィードバックをもとに、今後のアップデートやDLCでさらなる進化を期待したい部分も存在します。 第一に、先述した「過剰な誘導マーク(黄色いペンキ)」のオンオフ機能の実装は急務と言えます。
没入感を重視するハードコアゲーマーに向けて、UIやHUDを完全に非表示にするモードとともに、環境のヒントだけで探索を進めるクラシックなプレイ環境の提供が望まれます。 第二に、レオンパートとグレースパートのバランス調整です。
特に後半のマップにおいて、レオンのアクション性が強くなりすぎ、ホラー要素が空気化してしまう傾向があります。 レオンであっても弾薬が極端に不足する高難易度モードの追加や、逆にグレース専用の、ステルスと謎解きに特化した追加エピソード(DLC)などが配信されれば、より幅広い層を満足させることができるでしょう。
また、広大なマップも魅力的ですが、初期のバイオハザードに見られたような「狭く入り組んだ洋館」や「逃げ場のない警察署」のような、濃密な閉鎖空間でのホラー体験を求める声も少なくありません。 今後の追加コンテンツでは、そういった原点回帰の恐怖にフォーカスした、小規模ながらも密度の高いステージの追加に期待したいところです。
総じて、本作はシステムやエンジンの基盤が極めて優れているため、コンテンツの追加や微調整によって、さらに評価を押し上げる余地を多分に残しているタイトルであると評価できます。
ファンが求める次なる展開
本編で語られきれなかったサブキャラクターの視点での物語や、特定の敵キャラクターの過去を掘り下げるスピンオフ的なDLCへの期待が高まっています。 また、レオンの爽快な戦闘システムを流用した「マーセナリーズ(制限時間内に敵を倒してスコアを競うモード)」の実装は、アクションファンにとって最も待ち望まれている要素の一つです。
まとめ
筆者情報
筆者:桐谷シンジ フリーランスのゲーム攻略ライター。慶應大学卒業後、大手出版社を経て、現在に至る。 幅広いゲームに携わるが、主にRPG/FPS/サンドブロック系のゲームを得意とする。 最近の悩みは趣味の時間が取れず、積みゲーが100作品を超えたこと。























