ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、2025年10月10日に発売が迫る待望の新作FPS「バトルフィールド6」の先行プレイ(オープンベータ)が先日行われ、その熱気も冷めやらぬ中、「オンラインFPSの宿命ともいえるチーターは、先行プレイの段階で発生していたのか?」という点が気になっていると思います。

製品版を購入する上で、ゲーム環境が健全であるかは極めて重要な判断材料になりますよね。
この記事を読み終える頃には、バトルフィールド6の先行プレイにおけるチーターの状況、チートの種類、そして製品版に向けた対策への期待と懸念についての疑問が解決しているはずです。
- BF6先行プレイでのチーター発生状況
- FPSで横行する代表的なチートの種類
- 開発元DICEのチート対策への姿勢
- 製品版で健全なプレイ環境は期待できるか
それでは解説していきます。

バトルフィールド6はどんなゲーム?先行プレイの概要と評価
まずは本題に入る前に、今回のバトルフィールド6がどのような作品なのか、そして先行プレイを体験した私自身の評価を簡単にお話しさせてください。 この前提を知っていただくことで、チーターの存在がどれほどゲーム体験を損なうかが、より深くご理解いただけるはずです。

シリーズの原点回帰と「最高傑作」への期待
バトルフィールド6は、20年以上の歴史を誇る人気FPSシリーズの最新作です。 前作BF2042から一転し、シリーズの「原点回帰」を掲げ、特にファンから絶大な支持を得た「バトルフィールド3」や「バトルフィールド4」の精神的後継作として開発が進められています。

舞台は2027年の現代戦。 巨大PMC(民間軍事会社)と諸勢力との全面戦争が描かれます。 最大64人での大規模戦闘はもちろん、今作では待望のシングルプレイヤーキャンペーンも復活。 プレイヤーは再び、息をのむような戦場の物語を体験できます。
開発者インタビューでは「最高傑作」とのコメントも飛び出し、ファンの期待は最高潮に達していると言えるでしょう。
先行プレイ(オープンベータ)の全体的な評価
先日実施されたオープンベータに私も参加しましたが、結論から言うと「凄まじい没入感と進化」を感じさせる素晴らしい出来でした。 特に印象的だった点をいくつか挙げます。
圧倒的な迫力とリアリティ
銃声、反動、そして今作の目玉である「破壊表現」によって舞い上がる粉塵。 そのすべてが、過去作を凌駕する迫力とリアリティで描かれています。 美しいグラフィックと最高レベルのサウンドデザインが相まって、本当に戦場にいるかのような臨場感は、正直なところ恐怖すら感じるレベルでした。 これぞバトルフィールド、いや、進化したバトルフィールドが帰ってきた、と多くのプレイヤーが感じたはずです。
新規プレイヤーへの手厚い配慮
バトルフィールドシリーズは歴史が長く、熟練プレイヤーが多いことから初心者にはハードルが高いと思われがちです。 しかし今作では、レベル15になるまでAIボットが混在したマップで基礎を学べる「入門モード」が用意されています。 いきなり上級者とマッチングして一方的に倒され続ける、という新規プレイヤーが経験しがちな洗礼を避けられるのは、心理的ハードルを大きく下げてくれる素晴らしい改善点です。 私もこのモードで、まずは操作感やマップ構造をじっくりと学ぶことができました。
戦術の核となるクラスシステムの復活
突撃兵、工兵、援護兵、偵察兵の4つの兵科を選ぶ「クラスシステム」が本格的に復活しました。 これにより、たとえ撃ち合いが苦手なプレイヤーでも、蘇生や弾薬補給、ビークルの修理などでチームに貢献でき、自分の役割に集中して楽しむことができます。 「個人技だけでなく、チームプレイで勝利を目指す」というバトルフィールド本来の魅力が、このシステムの復活によって、より強固になったと感じます。
先行プレイで見えた気になる点
もちろん、ベータ段階ということもあり、いくつかの気になる点も見受けられました。
- 撃ち合いの難易度:リアルさを追求しているため、TTK(キルタイム)は比較的短く、一瞬の判断ミスが命取りになります。これはシリーズの特徴であり、好みが分かれる部分でしょう。
- 視認性:建物が崩壊して瓦礫だらけになると、迷彩服を着た敵がどこにいるのか見えにくい場面がありました。特に伏せている敵兵の発見は困難を極めます。
- バグ:私がプレイした範囲では致命的なバグには遭遇しませんでしたが、一部で音や蘇生判定の不具合などが報告されていました。これらは製品版までには修正されることを期待したいところです。
総括すると、バトルフィールド6は「リアルすぎる戦場体験」を極めた作品であり、シリーズファンはもちろん、チームで連携して勝利を目指す達成感を味わいたいすべてのFPSプレイヤーにとって、間違いなく「買い」の一本になるポテンシャルを秘めています。
【本題】BF6先行プレイでチーターは発生したのか?
さて、ここからが本題です。 これほどまでに素晴らしいゲーム体験が期待できるバトルフィールド6ですが、その環境を根底から破壊するチーターは、先行プレイの段階で現れたのでしょうか。

結論:残念ながらチーターの目撃報告は「あった」
結論から申し上げると、非常に残念ながら「ごく少数だが、チーターと思われるプレイヤーの目撃報告があった」というのが実情です。
私自身がプレイ中に明確なチーターと遭遇することはありませんでしたが、SNSや海外の掲示板、動画投稿サイトなどでは、先行プレイ期間中に明らかに不審な挙動をするプレイヤーの映像が複数投稿されていました。
もちろん、先行プレイは製品版と比べてアンチチートシステムが完全ではない可能性も高く、チーターが大量に発生してゲームにならなかった、という状況ではありません。 しかし、発売前の段階で既にチートツールが出回ろうとしている事実は、我々プレイヤーにとって大きな懸念材料と言わざるを得ません。
どのような種類のチートが確認されたのか?
先行プレイで報告されたものや、一般的なFPSで横行している代表的なチートには、以下のようなものがあります。 これらのチートがバトルフィールド6の大規模戦闘でどのように悪影響を及ぼすか、具体的に解説します。
エイムボット (Aimbot)
- 概要:敵に照準を合わせると、自動でヘッドショットなどの弱点部位を追尾してくれるチート。FPSにおける最も悪質なチートの一つです。
- BF6への影響:BF6はTTKが短く、先手を取ることが重要です。エイムボット使用者は、こちらが認知する前に一瞬でヘッドショットを決めてくるため、まともな撃ち合いが一切成立しません。特に、遠距離からのスナイパーによるエイムボットは、歩兵にとって悪夢そのものです。開けた場所を移動することすら困難になり、ゲームの進行を著しく妨げます。
ウォールハック (Wallhack / ESP)
- 概要:壁や障害物の向こう側にいる敵プレイヤーの位置や名前、体力などの情報が視認できるようになるチート。透視チートとも呼ばれます。
- BF6への影響:BF6の最大の魅力である「破壊表現」は、壁を壊して新たな射線を作り出すなど、戦術的な要素を含んでいます。しかし、ウォールハック使用者の前では、壁は単なる「透ける障害物」でしかありません。建物に立てこもっていても、角で待ち伏せしていても、すべてお見通し。裏取りなどの戦術的な動きは完全に意味をなさなくなり、ゲームの奥深さを根こそぎ奪い去ります。
スピードハック (Speedhack)
- 概要:キャラクターの移動速度を異常に上昇させるチート。
- BF6への影響:バトルフィールドの広大なマップを、常人では考えられないスピードで移動します。これにより、拠点の占拠や裏取りが容易になり、戦線の構築が非常に困難になります。また、高速で移動する敵に照準を合わせることはほぼ不可能なため、一方的に攻撃される状況が多発します。
その他の悪質なチート
チートの種類 | 概要 | BF6への影響 |
---|---|---|
無反動 (No Recoil) | 銃を撃った際の反動を完全に無くす。 | BF6のリアルな銃器挙動を無視し、遠距離でもレーザービームのような精度で攻撃が可能になる。LMGなどで弾幕を張られると手が付けられない。 |
弾薬無限 (Unlimited Ammo) | 弾薬が減らなくなる。リロードも不要になる場合がある。 | 弾薬補給の必要がなくなり、援護兵の役割が薄れる。一方的な制圧射撃が可能になり、ゲームバランスが崩壊する。 |
ダメージハック | 与えるダメージを増幅させたり、受けるダメージを無効化したりする。 | どんな武器でも一撃でキルされたり、逆にこちらがいくら撃ち込んでも倒せなかったりと、ゲームのルールそのものを破壊する。 |
これらのチートは単体でも強力ですが、複合して使用されるケースも多く、遭遇したプレイヤーのモチベーションを著しく低下させます。
なぜ先行プレイの段階でチーターが現れるのか
「まだ発売もされていないのに、なぜ?」と疑問に思う方もいるでしょう。 これには、いくつかの理由が考えられます。
- チート開発者のデータ収集:チートツールを開発・販売している人々にとって、オープンベータは格好の実験場です。ゲームの構造を解析し、製品版がリリースされた直後にチートを販売できるよう、この段階から準備を進めているのです。
- アンチチートシステムの不完全さ:先行プレイの目的は、サーバーの負荷テストやゲームバランスの調整が主です。そのため、製品版で実装される最新のアンチチートシステムが完全な形で導入されていない可能性があります。チーターはその隙を突いてきます。
- 注目度の高さ:バトルフィールド6のような超人気タイトルは、それだけ多くの人の注目を集めます。その中には、不正な手段で優越感に浸りたいと考える悪質なプレイヤーも残念ながら一定数含まれてしまうのです。
開発元のチート対策と製品版への期待
先行プレイでチーターの存在が確認された以上、我々プレイヤーが最も気になるのは「製品版では、しっかり対策してくれるのか?」という点です。

EA/DICEのアンチチートへの取り組み
バトルフィールドシリーズを開発するDICEと、販売元のEAは、長年チーターとの戦いを続けてきました。 過去のシリーズでは、「FairFight」や「Easy Anti-Cheat (EAC)」といったアンチチートシステムを導入しています。
これらのシステムは、プレイヤーの行動パターンをサーバー側で分析して異常な数値を検知したり(FairFight)、PC上で不正なプログラムが動作していないかを監視したり(EAC)することで、チーターを検出・BANする仕組みです。
しかし、チート技術も日々進化しており、アンチチートシステムを回避する新たな手法が次々と生まれているのが現状です。 過去作でも、チーターを完全に排除できたとは言えない時期があったのも事実です。
製品版で期待される具体的な対策
先行プレイでのフィードバックを受け、開発元は製品版に向けて、より強固な対策を講じてくるはずです。 我々が期待できる対策としては、以下のようなものが挙げられます。
- 最新アンチチートの導入と強化:既存システムのアップデートはもちろん、AI(人工知能)を活用した、より高度な不正行為検知システムの導入が期待されます。
- 通報システムの改善:ゲーム内で不審なプレイヤーを簡単かつ詳細に通報できるシステムの強化。通報が迅速に処理され、フィードバックがあるだけでも、プレイヤーの安心感は大きく変わります。
- ハードウェアBANの徹底:アカウントBANだけでなく、不正行為を行ったPCのハードウェア情報(マザーボードやCPUなど)をBAN対象とすることで、アカウントを作り直しての復帰を困難にする、より厳しい措置です。
- 2段階認証の導入:アカウントのセキュリティを強化し、チーターによるアカウント乗っ取りなどを防ぐことも、間接的な対策として有効です。
DICEには、バトルフィールド6が持つ素晴らしいポテンシャルをチーターによって台無しにされることがないよう、総力を挙げて対策に取り組んでもらいたいと切に願います。
プレイヤー側でできる自衛策
私たちプレイヤーも、ただ待つだけでなく、健全なゲーム環境を維持するためにできることがあります。
- 怪しいプレイヤーは即座に通報:少しでも「おかしいな」と感じたら、躊躇わずにゲーム内の通報機能を活用しましょう。
- 証拠映像を撮る:可能であれば、プレイ動画を録画しておきましょう。映像は、不正行為を証明する何よりの証拠となります。
- 公式の情報を注視する:開発元がチート対策についてどのような声明を出しているか、公式サイトやSNSで常に最新の情報をチェックすることも大切です。
まとめ
今回は、バトルフィールド6の先行プレイにおけるチーターの発生状況と、今後の対策について詳しく解説しました。
結論として、先行プレイの段階でごく少数のチーターが確認されたことは事実であり、製品版での開発元の対応が極めて重要になります。 エイムボットやウォールハックといった悪質なチートは、BF6が持つ戦術性や没入感を根本から破壊する許しがたい行為です。
しかし、先行プレイで体験できたゲーム内容そのものは、シリーズ最高傑作の呼び声に相応しい、圧倒的なクオリティとポテンシャルを秘めていました。 この素晴らしい戦場体験を、すべてのプレイヤーが公平に楽しめるよう、DICEとEAには徹底したチート対策を期待せずにはいられません。
チーター問題は懸念されますが、それを補って余りある魅力がバトルフィールド6にはあります。 製品版リリースに向けて、開発からの更なる情報公開と、強固なアンチチート体制の構築を信じて待ちたいと思います。