編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、話題の新作『紅の砂漠(クリムゾンデザート)』の実際のプレイ感や、購入前に知っておきたいイマイチな部分が気になっていると思います。 圧倒的な次世代グラフィックと、あまりにも広大な世界観で発表時から世界中のゲーマーを虜にしてきた本作ですが、実際に10時間、20時間とやり込んでいくと、手放しで絶賛できる部分ばかりではないことに気づかされます。
特にアクションの操作性やシステム周りの「癖」は非常に強く、人によっては強烈なストレスを感じてしまう要素がいくつも散見されました。 本レビューでは、私が実際に仕事として、そして一人のゲーマーとしてやり込んで感じた「リアルな不満点」を、それを補って余りある魅力とともに包み隠さずお伝えしていきます。
この記事を読み終える頃には、あなたが『紅の砂漠』を購入して後悔しないか、その疑問が完全に解決しているはずです。
- 徒歩と馬の移動に見られる独特の挙動とストレス要因
- ガード状態に依存しすぎる不自由なロックオンシステム
- 武器種ごとの個性を打ち消す底の浅いスキルツリー
- 変更不可能なキーマッピングと多発する操作の誤爆
それでは解説していきます。
紅の砂漠のイマイチな点|プレイして感じた強烈なストレス
本作はオープンワールドアクションとしての完成度は非常に高いものの、細かな仕様やシステムデザインにおいて、プレイヤーの没入感を削ぐような「引っかかり」がいくつか存在します。 購入を検討している方が最も気になるであろう、プレイ中にストレスを感じやすいダメな点を、具体的なシーンを交えて詳しく解説していきます。 これらの要素が自分にとって「許容範囲」かどうかを、ぜひ購入の最終判断基準にしてみてください。
移動システム|徒歩と馬の両方に潜む「不便さ」の正体
オープンワールドゲームにおいて、広大なマップをいかに快適に移動できるかは、ゲーム体験全体への評価を左右する生命線です。 しかし本作の移動システムは、徒歩と騎乗(馬)のどちらにおいても、リアリティを追求しすぎた結果、ゲーム的な快適さが犠牲になっている場面が多々ありました。
徒歩移動のもっさり感と厳しすぎる衝突判定
街中やフィールドを徒歩で探索している際、最も気になったのがキャラクターの挙動の「重さ」です。 本作の世界には驚くほど多くのNPCが生活しており、街中は非常に活気に満ちていますが、移動時にはこれが大きな障害となります。
歩行中に他のキャラクターと軽く肩がぶつかる程度ならまだいいのですが、正面からしっかりと衝突してしまうと、強制的にスローな「歩きモーション」へ引き戻されてしまいます。 これが移動のテンポをいちいち削ぎ、街を探索する意図を挫けさせるほどの地味なストレスとして蓄積していきます。
さらに、方向転換の際の挙動にも不満が残ります。 進行方向を急に変えようとすると、キャラクターが一瞬立ち止まり、もっさりとした旋回モーションを挟まなければなりません。 直感的に動かしているという感覚よりも、巨大な重機を操作しているような感覚に陥りやすく、機敏な動きが求められる場面ではイライラさせられます。
ダッシュの仕様とスタミナ管理の煩わしさ
ダッシュの仕様も、一般的なゲームとは異なり独特です。 ボタンの長押しではなく、特定のボタンを単発押し、あるいは連打することで走り出すシステムになっています。
さらに、このダッシュにはスタミナを消費するため、基本的にはやや遅い「小走り」での移動を強いられることになります。 広大な街を端から端まで探索しようとすると、このスピード感のなさがプレイのテンポを著しく悪化させている要因の一つとなっています。
馬のスポーン位置と「振り返り」の強要
フィールド移動の主役である「馬」の呼び出しシステムにも、大きな不満点があります。 一般的なゲームであれば、口笛を吹けば馬が正面から走り寄ってくるものですが、本作では「必ずカメラが向いていない方向(死角)」に、瞬間移動するようにポッと現れます。
これは街中でのNPCとの衝突を避けるための苦肉の策だと思われますが、プレイヤーとしては馬を呼ぶたびに「一度立ち止まって後ろを振り返る」という動作を強制されます。 探索を終えて颯爽と駆け出したい場面で、毎回このワンテンポ遅れる動作が入るのは、積み重なると非常に大きな不快感に繋がります。
段差への耐性と消滅仕様
さらに致命的なのが、馬が段差に対して驚くほど弱いという点です。 本作のマップは高低差が激しく、ショートカットのために段差を飛び降りたい場面が多々あります。
プレイヤー自身は滑空スキルで着地できても、馬はそれについてこられず、一定の高さ以上の段差では即座に消滅してしまいます。 着地後にまたカメラを背けて馬を呼び直し、振り返って乗り直す……この繰り返しが、高低差の多い地形での探索意欲を削いでしまっています。
戦闘の操作性|ロックオン仕様が招く理不尽な被弾
アクションゲームの核となる戦闘システムですが、本作は爽快感がある一方で、ロックオン周りの独特な仕様がプレイヤーを苦しめます。 特に複数の敵を相手にする場面や、精密な動きが求められるボス戦において、この仕様が原因で理不尽なダメージを受けてしまうことが少なくありません。
ガード時限定のロックオンがもたらす自由度の欠如
本作の戦闘において最も不可解なのが、「ガードボタンを押し込んでいる間だけターゲットが固定される」という仕様です。 一般的なアクションゲームのように、一度ロックすれば攻撃中も回避中も対象を捉え続けてくれるわけではありません。
ガードを解いた瞬間にロックオンが外れてしまうため、回避や攻撃を主体に立ち回りたいプレイヤーにとっては、常にカメラを手動で操作し続けなければならない負担がかかります。 ガードを起点とした戦術を推奨したい意図は分かりますが、結果としてプレイヤーの自由な立ち回りを大きく制限してしまっています。
パリー(ジャストガード)との相性の悪さ
特に問題となるのが「パリー」を狙う場面です。 パリーを成功させるためには、敵の攻撃を引きつけてからタイミング良くガードを入力する必要があります。
しかし、パリーを狙うために一度ガードを解くと、その瞬間にロックオンが外れ、カメラの自動追従がなくなります。 その結果、敵の動きを見失いやすくなり、パリーの難易度が不必要に跳ね上がっているのです。 ボス戦など、敵の激しい攻撃を捌きながら立ち回る場面では、このカメラ支援のなさが致命的な隙を生む原因となってしまいます。
乱戦時におけるカメラ制御の限界
オープンワールドである本作では、フィールド上で多数の敵グループと遭遇する「乱戦」が頻繁に発生します。 しかし、ガード時限定ロックオンの仕様により、複数の敵を相手にするのが非常に煩わしくなっています。
特定の敵に狙いを定めてコンボを叩き込みたくても、ロックオンが安定しないため、あらぬ方向へ攻撃を空振りしてしまうことも多々あります。 敵が密集している場所では、ターゲットが意図しない敵に次々と移り変わってしまい、思ったような戦術を組み立てることができません。 戦闘モーション自体は迫力があり、手応えも良好なだけに、このカメラ周りとロックオンの仕様が足を引っ張っているのが非常に勿体なく感じられます。
育成要素|ビルド構築の底浅さと「共通化」の罠
RPGの醍醐味といえば、キャラクターのレベルを上げ、スキルを獲得し、自分好みの戦闘スタイルを構築していく「ビルド」の要素です。 本作の開発元がMMORPGの名門であることから、多彩なジョブや深い育成システムを期待していたプレイヤーも多かったはずです。 しかし、現状の『紅の砂漠』の育成要素は、予想以上に底が浅いと言わざるを得ません。
武器種で代わり映えしないスキル構造
本作には「片手剣」「槍」「両手剣」「二刀流」「拳」といった複数の武器カテゴリが存在しますが、それぞれのスキルの根本的な性能が共通化されてしまっています。 例えば、「旋風斬り」という範囲攻撃スキルを片手剣で習得すると、自動的に他のすべての武器種でも似たようなアクションが解放されます。
つまり、武器を持ち替えても戦術の根本が変化せず、「ただ武器の見た目とエフェクトが変わっただけ」という印象を拭えません。 魔法に関しても、特定の魔法使いビルドがあるわけではなく、どんな武器を使っていても同じように発動できてしまいます。
個性が死んでしまう万能型の育成
結果として、プレイヤーの個性が出るような尖ったビルドを構築することができず、誰もが似たような「何でもできる万能戦士」に行き着いてしまう設計になっています。 MMORPGのように特定のロール(役割)を演じたり、スキル構成に頭を悩ませたりする楽しさを期待すると、肩透かしを食らうことになるでしょう。
もちろん、ストーリー後半になれば武器スロットへの属性石の装着などで多少のカスタマイズ性は出てきます。 しかし、序盤から中盤にかけての成長実感は乏しく、戦闘が単調な作業になりやすいという懸念があります。 UI上に特定のキャラクター専用のスキルツリーという表記があるため、今後の展開で変化する可能性はありますが、現時点での評価としては「ビルド要素は薄い」と言わざるを得ません。
UIと操作系|直感的でないキー配置と「カスタマイズ不可」の衝撃
ゲームの世界に没入するために、キャラクターを思い通りに動かせる操作性と、情報を分かりやすく提示してくれるUIは必要不可欠です。 しかし本作は、できることが多いアクションゲームであるという性質を差し引いても、操作系に重大な問題を抱えています。
インタラクトの誤爆が招く「ジャンプ地獄」
フィールド上でアイテムを拾ったり、NPCに話しかけたりする「インタラクト」の操作が、非常にストレスフルです。 アイテムを拾う動作はボタンの「長押し」に割り当てられていますが、同じボタンの単発押しが「ジャンプ」に設定されています。
そのため、アイテムを拾おうとして長押しの判定がわずかに遅れると、その場で無意味にピョンピョンとジャンプし続けてしまうという、没入感を台無しにする状況が頻繁に発生します。 拾えるアイテムが密集している場所ではこの現象がさらに悪化し、思い通りの対象を拾うだけでも一苦労です。
キーコンフィグ不在という現代ゲームにあるまじき仕様
これだけ不便なキー配置でありながら、なんと設定画面からボタン割り当ての変更を行うことが一切できません。 入力設定の項目は存在しますが、変更できるのはカメラの感度程度であり、アクションのボタン配置は完全に固定されています。
開発された韓国の掲示板などでも、「このキーマッピングを考えた開発者は、逆さ吊りにして鼻から水を流し込むべきだ」という過激な批判が出るほど、この操作性の悪さは不評を買っています。 プレイヤーは、この理不尽とも言える操作体系に「慣れる」しか選択肢が与えられておらず、これが本作の評価を大きく下げる要因となっています。
煩雑なメニュー操作と古臭いデザイン
メニュー画面の操作性にも、一昔前のゲームのような不自由さを感じます。 タブの切り替えに使うボタンが重層的で、直感的な操作がしづらい設計になっています。
また、インベントリ画面のデザインも洗練されているとは言い難く、どこかチープな雰囲気が漂っています。 最新鋭のグラフィックで描かれる世界観の中で、このUIだけが浮いてしまっているように感じられ、ゲーム全体のクオリティの底上げを妨げているように見受けられます。
紅の砂漠の魅力|ダメな点を補って余りある圧倒的なポテンシャル
ここまで不満点を厳しく指摘してきましたが、私はこのゲームが「駄作」だとは微塵も思っていません。 むしろ、これだけの不便さを抱えながらも、なお「プレイし続けたい」と思わせるだけの圧倒的なパワーを持った作品です。 ここからは、本作が持つ本物の強みについて解説していきます。
オープンワールドの密度|「そこにある」と感じさせる世界の力
本作の最大の魅力は、なんといってもその広大で緻密に作り込まれたオープンワールドにあります。 ただマップが広いだけのゲームは数多くありますが、本作のように「密度」が異常なまでに高いゲームは極めて稀です。
探索が終わらない!一つの街で8時間
本作の街の作り込みは、もはや狂気を感じるレベルです。 私は最初の大きな街を探索するだけで、気づけば8時間以上の時間を費やしていました。 それでも、まだミニマップ上の「?」マークやギミックは消えきっていません。
街の至る所にレシピや隠しアイテム、住人たちの物語が散りばめられており、文字通り「角を曲がるたびに新しい発見」があります。 移動の衝突判定が厳しいのも、この圧倒的な人口密度と生活感を表現するために、あえてリアリティに寄せた結果なのかもしれません。
地球儀スケールの広大なマップ
ワールドマップを最大限まで引いてみると、その全体像のスケールに驚愕します。 現在自分がいる場所が、大陸全体のごく一部でしかないことを知った時、このゲームが提供する体験の底知れなさを痛感しました。
山脈を越え、砂漠を渡り、未踏の地を求めて旅をする。 そんなオープンワールドの根源的な喜びを、本作は最高峰のグラフィックで約束してくれます。 この広大な世界がすべて「地続き」で繋がっているという事実は、ゲーマーにとって最高の贈り物と言えるでしょう。
アクションの総快感|操作の癖を乗りこなした先の「無双」
不満点として挙げた操作の複雑さも、一度手に馴染んでしまえば「武器」へと変わります。 本作のアクションは、使いこなせれば圧倒的な爽快感を生み出すことができるように、非常に高度な次元で設計されています。
多彩なコンボとド派手なエフェクト
基本的な攻撃だけでなく、特定のボタン組み合わせで発動するスキルはどれも強力で、演出も非常に派手です。 例えば、R1とバツボタン(PS版なら丸ボタン)で繰り出す「回転斬り」や、R1とR2を同時押しする「必殺技」は、敵の群れを一気に一掃できる爽快感があります。
また、弓による精密射撃や、盾を使ったシールドバッシュなど、戦況に応じて戦い方を切り替える楽しさもしっかりと担保されています。 ボスクラスの敵は非常に強力で、初見では苦戦必至ですが、攻撃パターンを見極めてパリーや回避を完璧に決めた時の達成感は、他のアクションゲームでは得難いものがあります。
ストーリーへの没入を助ける「早送り」の発明
ストーリー進行において、会話シーンに「早送り」機能が搭載されているのは素晴らしい判断です。 スキップではなく早送りなので、内容を把握しつつ、テンポ良く物語を進めることができます。
フルボイスの贅沢な演出を楽しみつつ、忙しい社会人ゲーマーがストレスなくプレイできるよう配慮されており、このあたりのユーザー体験の設計には(操作系とは対照的に)非常に感銘を受けました。
他作品との徹底比較|『紅の砂漠』は誰に向けたゲームか?
他のオープンワールドの名作と比較することで、本作の個性をさらに浮き彫りにしてみましょう。
| 比較項目 | 紅の砂漠 | ウィッチャー3 | ドラゴンズドグマ2 | エルデンリング |
|---|---|---|---|---|
| マップの密度 | ◎ 圧倒的 | 〇 高い | △ 適度 | 〇 戦略的 |
| 戦闘のアクション性 | ◎ 格ゲーに近い | △ シンプル | 〇 パーティ主体 | ◎ 高難度・洗練 |
| 育成の深み | △ 現状は浅い | 〇 スキル充実 | ◎ ジョブ豊富 | ◎ 多様なビルド |
| 移動の快適さ | △ 癖が強い | 〇 標準的 | △ 制限が多い | 〇 霊馬が優秀 |
| 操作の直感性 | × 難解・誤爆 | 〇 馴染みやすい | 〇 標準的 | 〇 洗練 |
この表から分かる通り、本作は「ビルドの深み」や「洗練された操作性」よりも、「圧倒的な世界の密度」と「複雑だが使いこなすと爽快なアクション」に振り切った尖った作品です。 万人受けする優等生的なゲームではありませんが、ハマる人には一生の思い出になるような衝撃を与えるポテンシャルを持っています。
今後のアップデートへの期待|未完の大作が化ける可能性
現在、本作にはマルチプレイ要素が存在しません。 しかし、開発元の背景を考えれば、将来的にオンライン要素が追加される可能性は極めて高いでしょう。
武器スロットの解放やアビスの石による強化など、現時点では「底が見えない」部分も多く、100時間、200時間とプレイしていく中で評価がさらに跳ね上がる可能性を秘めています。 また、不評なキー配置などもアップデートで改善される余地は十分にあります。 この「成長していく大作」という側面も、本作の魅力の一つと言えるかもしれません。
まとめ
筆者情報
筆者:桐谷シンジ フリーランスのゲーム攻略ライター。慶應大学卒業後、大手出版社を経て、現在に至る。幅広いゲームに携わるが、主にRPG/FPS/サンドブロック系のゲームを得意とする。最近の悩みは趣味の時間が取れず、積みゲーが100作品を超えたこと。
いかがでしたでしょうか。 『紅の砂漠(クリムゾンデザート)』は、操作性の癖やシステムの不便さなど、プレイを始めて数時間は戸惑うことの多いゲームかもしれません。 しかし、その不便さという皮を一枚剥けば、そこには現代のゲーム技術の結晶とも言える、あまりにも豊かで残酷で、そして美しい世界が広がっています。
「親切すぎるゲームに飽きた」「不便さすらも冒険のスパイスとして楽しめる」「圧倒的なグラフィックの中で、一人の戦士として泥臭く生きてみたい」 そんな渇きを抱えたゲーマーにとって、本作はこれ以上ない最高の遊び場となるはずです。
社会人の方にとっては、10時間のプレイ時間を確保するだけでも、2日間の休日を犠牲にするような大きな決断が必要かもしれません。 ですが、その時間を投じる価値は、この大陸の地平線を一度眺めれば、納得できるものに変わるでしょう。
本レビューが、あなたの旅の始まりを助ける一助となれば幸いです。 また次回の記事でお会いしましょう!























