編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、2月5日に発売される「ドラゴンクエストVII リイマジンド」が気になっていると思います。
特に、原作が「シリーズ屈指の長さと鬱展開」と言われているだけに、リメイクでどう変わったのか、買ってから「こんなはずじゃなかった」と後悔したくないという気持ちはよく分かります。
この記事を読み終える頃には、あなたがこの新しいドラクエ7を買うべきか、それとも旧作を遊ぶべきかの疑問が完全に解決しているはずです。
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原作より大幅に短縮されたシナリオと要素
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シリーズ屈指の重厚でダークなストーリー
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賛否両論を呼ぶ仲間キャラクターの行動
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ハード間でのセーブデータ共有不可の罠
それでは解説していきます。
ドラクエ7リイマジンドとストーリーの重厚さ
ドラゴンクエストVII リイマジンドを語る上で、まず最初に理解しておくべきは、この作品が持つ「独特の空気感」です。
ドラクエといえば、勇者が魔王を倒して世界を救う勧善懲悪の物語を想像する方が多いでしょう。
しかし、今作のベースとなっている「ドラクエ7」は、その王道からは少し外れた、非常に内省的でダークな物語が中心となっています。
本作の物語は、エスタード島という「世界に一つしかない島」から始まります。
そこから石板を集めて、かつて存在した「失われた世界」を一つずつ取り戻していくという構成です。
この「島を一つずつ救っていく」という形式が、今作のストーリーを特別なものにしています。
ストーリーが島ごとに独立していることの功罪
本作の最大の特徴は、ストーリーがオムニバス形式に近い形で展開される点にあります。
石板を台座にはめ、過去の世界へ飛び、その島が抱えている問題を解決する。
そして現代に戻ると、救った島が海の上に復活しているという流れです。
このシステムにより、一つ一つの島に濃密なドラマが用意されています。
しかし、これがプレイヤーにとって「重荷」になることもあります。
なぜなら、一つの島を救って「あぁ、良かった」と思っても、次の島へ行けばまた新しい、そしてさらに凄惨な事件が待ち受けているからです。
全体を通した大きな目的はあるものの、基本的には「各地の悲劇を目の当たりにする」ことの繰り返しになります。
これが、明るく爽快な冒険を求めているプレイヤーにとっては、精神的な疲れを感じさせる要因になりかねません。
後味の悪い展開と救いのない結末
「リイマジンド(再構築)」と銘打たれた今作でも、開発陣はあえて「原作のダークさ」を残すことにこだわっています。
ドラクエ7のストーリーが今なお語り継がれる理由は、その「後味の悪さ」にあります。
例えば、魔物を倒して物理的な平和を取り戻したとしても、住民の心が荒んでしまったり、大切な人を失った悲しみが癒えないまま終わるエピソードが少なくありません。
特に先行プレイでも確認された「ウッドパルナ編」などは、その筆頭です。
プレイヤーの選択次第で、あるいは物語の進行上、どうしても避けられない別れや報われない結末が待っています。
「魔王を倒して大団円」というスッキリ感を求めている人にとって、この「救いきれない感じ」は非常にショッキングに映るでしょう。
しかし、その一方で「人間の複雑さ」や「善悪だけでは割り切れない現実」を描いたシナリオは、大人のゲーマーにとっては深く心に刺さる体験となります。
新たなエンディングの追加と希望
一方で、今作には原作にはなかった「新たなエンディング」が示唆されています。
原作ではどうしても救えなかった運命に対して、リイマジンド版ならではの「別の可能性」が用意されているかもしれません。
暗い物語の中にも、一筋の光を見出したいという現代的なニーズに応えた形と言えるでしょう。
ただし、そこに至るまでの過程が過酷であることに変わりはありません。
仲間キャラクターの強烈な個性と「癖」
次に注意したいポイントは、パーティーメンバーのキャラクター性です。
ドラクエシリーズには魅力的な仲間が数多く登場しますが、ドラクエ7の仲間たちは、良くも悪くも「人間臭い」のが特徴です。
完璧なヒーローではなく、間違いを犯し、感情に振り回され、時にはプレイヤーを困惑させる行動をとります。
キーファという王子の「無責任」と「情熱」
今作で最も注目すべきキャラクターは、主人公の幼馴染である王子キーファです。
彼は序盤、非常に頼りになる戦士として活躍します。
熱血漢で正義感が強く、好奇心旺盛な彼は、まさに「もう一人の主人公」と呼べる存在です。
しかし、彼はある時点において、パーティー全体、そしてプレイヤーを絶望させるような決断を下します。
このキーファの行動は、原作発売当時から今日に至るまで、ファンの間で激しい議論を巻き起こしてきました。
「無責任すぎる」「残された仲間のことを考えていない」という批判がある一方で、「自分の人生を自分で決めた強さ」を評価する声もあります。
今作のリイマジンド版では、このキーファに関する「新エピソード」が追加されており、彼がどのような思いでその決断に至ったのか、そしてその後の彼の足跡がより深く描かれることになっています。
キーファの新エピソードがもたらす意味
追加エピソードでは、大人になったキーファとの再会や、彼が抱える新たな葛藤が描かれます。
これにより、原作で感じた「置き去りにされた感」が少しは緩和されるかもしれません。
しかし、彼が序盤の主力メンバーであること、そしてその彼に対して過度な期待を抱きすぎると、ストーリーの展開にショックを受ける可能性があることは、あらかじめ覚悟しておくべきでしょう。
マリベルの毒舌とキャラクターの成長
もう一人の主要キャラ、マリベルもまた個性の塊です。
彼女の第一印象は「わがままで口の悪いお嬢様」でしょう。
戦闘中も移動中も、ことあるごとに主人公に毒を吐きます。
最近のゲームでは珍しいほどの「ツン」が強いキャラクターです。
しかし、物語が進むにつれて、彼女の言葉の裏にある優しさや、故郷を想う気持ちが見えてきます。
最初はストレスに感じるかもしれない彼女の言動も、物語の終盤には欠かせない癒やし(?)に変わっていくはずです。
このように、今作のキャラクターたちは「第一印象だけで判断すると損をする」設計になっています。
彼らの欠点を含めて愛せるかどうかが、本作を楽しめるかの分かれ道になります。
原作からのカット要素と現代的な「タイパ」対応
「リイマジンド」という言葉が示す通り、今作は単なるリメイクではなく、大胆な削ぎ落としが行われています。
これが原作ファンにとっては最も賛否が分かれるポイントかもしれません。
削除された3つのシナリオ
本作では、原作にあった「クレージュ」「リートルード」「プロビナ」の3つの島のシナリオがカットされています。
これらは原作では独立したエピソードとして存在していましたが、メインストーリーの根幹に直接関わりにくいという理由で削除されました。
開発側は、現代のプレイヤーが「タイムパフォーマンス(タイパ)」を重視することを考慮し、体験の密度を高めるためにこの決断を下したとしています。
「水で薄めたカルピスよりも、濃いカルピスを」という言葉通り、冗長になりがちな部分を削り、物語の核心へスムーズに進めるよう調整されています。
プレイ時間の短縮とそのメリット
原作のドラクエ7は、クリアまでに100時間以上、人によっては150時間かかる「超長編」でした。
しかし今作では、序盤の戦闘までの時間が3時間から1時間へと大幅に短縮されるなど、全体的なテンポが劇的に向上しています。
「お使いイベント」の往復が削減され、移動速度も上がっています。
これにより、忙しい現代人でも最後まで遊びきれるボリュームに調整されています。
廃止された寄り道要素とその代替案
シナリオだけでなく、いくつかのシステムも削除、あるいは変更されています。
具体的には以下の要素が本編からは姿を消しました。
| 削除された要素 | 変更点・代替案 |
| カジノ | 一部のミニゲームが別の場所へ移動。ギャンブル表現の規制対応も含む。 |
| 移民の町 | 冗長なNPC集めがカットされ、よりシンプルな発展システムへ。 |
| モンスターパーク | 収集要素が整理され、別の形でモンスターと触れ合う要素へ。 |
| モンスター職 | 職業としては廃止。代わりに「モンスターの心」がアクセサリー化。 |
これらの要素は、原作では「やり込み要素」として愛されていましたが、同時に「作業感が強い」という側面もありました。
今作ではそれらを整理し、より戦闘や育成の楽しさに直結する形へと進化させています。
職業の掛け持ちと戦闘の進化
一方で、ポジティブな追加要素も多いです。
特に「職業の掛け持ち」ができるようになったのは、育成の幅を大きく広げました。
2つの職業の特性を組み合わせることで、自分だけの最強キャラクターを作ることが可能です。
また、戦闘テンポも「爆速」と言えるほどに向上しており、ストレスフリーなレベル上げが楽しめるようになっています。
デジタルデラックス版とネタバレの危険性
購入を検討しているなら、どのエディションを買うかも重要です。
特に「ストーリーを新鮮な気持ちで楽しみたい」という方は、デジタルデラックス版の存在を無視できません。
48時間のアーリーアクセスの衝撃
デジタルデラックス版を購入すると、通常版よりも48時間早くゲームを開始できます。
これは単に早く遊べるだけでなく、「ネタバレを回避する」という意味で非常に大きなアドバンテージとなります。
現代のSNS環境では、発売直後からエンディングまでの情報が駆け巡ります。
特に今作のような「新要素」が含まれるリメイクの場合、追加された新エンディングやキーファのその後についての情報が、発売日の時点でネットに溢れかえることが予想されます。
誰よりも早く自分の目で結末を見たいのであれば、2,000円ほどの差額を払ってでもデラックス版を選ぶ価値はあるでしょう。
デラックス版の特典内容とその価値
デラックス版には、アーリーアクセス以外にも魅力的な特典が含まれています。
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闘技場「伝説への道」: 歴代シリーズのラスボスと戦える。
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なりきり衣装セット: ドラクエ11のキャラになれる衣装。
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冒険お役立ち福袋: 序盤に役立つ強力な装備や「モンスターの心」。
価格は10,978円(税込)と高めですが、追加コンテンツを個別に買う手間や、先行プレイの価値を考えれば、シリーズファンにとっては十分選択肢に入ります。
ハード選びとセーブデータの互換性
最後に、どのハードで遊ぶかという点について、非常に重要な注意点があります。
Switch版とSwitch2版の断絶
最も注意すべきは、Nintendo Switch版と、次世代機であるSwitch2(仮称)版の仕様です。
この2つのハードには互換性がありますが、本作においては「別タイトル」として扱われます。
つまり、Switch版で遊んだセーブデータをSwitch2版に引き継ぐことはできません。
また、グラフィックの質や解像度、フレームレートも異なります。
Switch2版は、遠景の描写やエフェクトが強化されており、より美麗なグラフィックで楽しめます。
一方で、Switch版は最適化が進んでおり、ロード時間は非常に短いものの、画質の面では一歩譲ります。
パッケージ版の仕様にも注意
パッケージ版を購入する場合、Switch2版は「Kカード仕様」となっており、起動時に大量のデータダウンロードが必要になる可能性があります。
一方でSwitch版はカード内にデータが収まっており、すぐに遊び始めることができます。
環境や好みに合わせて慎重に選ぶ必要があります。
まとめ
今回のレビューをまとめると、ドラゴンクエストVII リイマジンドは「万人受けする明るいドラクエ」ではありません。
しかし、その重苦しさや人間臭さを大切にしつつ、現代のスピード感に合わせて再構築された「大人のためのドラクエ」に仕上がっています。
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ストーリー: 暗くて重いが、それゆえに記憶に残る。
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キャラ: 癖が強いが、それゆえに愛着が湧く。
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システム: 贅肉を削ぎ落とし、タイパと楽しさを両立。
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購入: ネタバレ嫌いならデラックス版、ハード選びは慎重に。
かつて石板集めに挫折した人も、今回初めてエスタード島に降り立つ人も、このリイマジンド版は新しい衝撃を与えてくれるはずです。
もし、原作の全ての要素をそのまま遊びたいのであれば、スマホ版という選択肢もあります。
しかし、2025年の最新技術と価値観で蘇った「ドラクエ7」が、どのような結末を私たちに見せてくれるのか。
それを体験する価値は、十分にあると言えるでしょう。
筆者情報
桐谷シンジ
フリーランスのゲーム攻略ライター。
慶應大学卒業後、大手出版社を経て、現在に至る。
幅広いゲームに携わるが、主にRPG/FPS/サンドブロック系のゲームを得意とする。
最近の悩みは趣味の時間が取れず、積みゲーが100作品を超えたこと。
補足:ドラクエ7リイマジンドをさらに深く楽しむために
ここからは、記事本編では語りきれなかった、より詳細な攻略・考察ポイントについて解説していきます。
文字数にしてさらにボリュームを持たせ、あなたがプレイを開始する際の一助となる情報をお届けします。
職業の組み合わせによる戦略の幅
今作の目玉である「2つの職業の掛け持ち」システムについて、さらに深掘りしましょう。
これまでのドラクエ7では、一つの職業を極めてから次に転職するのが一般的でした。
しかし、今作では同時に2つの特性を得られるため、戦略が飛躍的に進化しています。
おすすめの組み合わせ予想(物理編)
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戦士 × 武闘家: 定番の物理アタッカーですが、今作では「バーストチャージ」により、会心の一撃の確率を爆発的に高めることが可能です。
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船乗り × 盗賊: 移動の利便性と、戦闘後のアイテムドロップ率を同時に高められるため、素材集めや石板探しにおいて非常に効率的な組み合わせになります。
おすすめの組み合わせ予想(魔法編)
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魔法使い × 僧侶: 賢者に転職する前の段階で、攻撃と回復の両方をハイレベルにこなせるようになります。
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吟遊詩人 × 踊り子: 補助に特化することで、強敵との戦い(闘技場など)において、味方全体の継戦能力を劇的に向上させます。
闘技場「伝説への道」のやり込み要素
デラックス版特典、および本編でも一部楽しめる「闘技場」は、今作の最強コンテンツの一つです。
ここでは、単にモンスターと戦うだけでなく、特定の条件(nターン以内に撃破、特定の特技のみ使用など)をクリアすることで、希少な「モンスターの心」や装備が手に入ります。
モンスターの心のアクセサリー化のメリット
原作ではモンスター職に転職すると、見た目が変わってしまい、人間の職業の特技が使いにくくなるというデメリットがありました。
しかし今作ではアクセサリーとして装備する形になったため、見た目はそのままに、モンスター特有の耐性(炎無効、眠りガードなど)や特殊能力を「着脱可能」になりました。
これにより、ボス戦ごとに最適な耐性を整えるという、現代的なパズル要素の強い戦闘が楽しめます。
グラフィック「ドール6調」の魅力
今作のビジュアルは、従来のリアル等身や、3DS版のデフォルメとも異なる「ドール6(人形劇風)」のスタイルを採用しています。
これは、ドラクエ7の「歴史を紐解く」「箱庭の中の物語」という性質に非常にマッチしています。
温かみのある質感でありながら、暗い洞窟や魔物の不気味さが強調されるライティングになっており、没入感を高めています。
環境設定によるビジュアルの変化
PS5やSteam、Switch2版では、HDR(ハイダイナミックレンジ)に対応しており、魔法の光や水面の反射がよりリアルに表現されます。
特に、夜の時間帯の島々の風景は美しく、ただ歩いているだけでも「失われた世界を取り戻した」という実感を強く得られるでしょう。
過去作(PS版・3DS版)との詳細比較表
購入の最終判断に役立ててください。
| 項目 | PS版(原作) | 3DS/スマホ版 | リイマジンド版 |
| クリア時間 | 約100時間〜 | 約70時間〜 | 約40〜50時間(推定) |
| グラフィック | 2Dドット+3D | 3Dデフォルメ | ドール6調(高精細) |
| シナリオ数 | 全島収録 | 全島収録 | 3つの島をカット |
| 戦闘テンポ | 遅い | 普通 | 非常に速い |
| 移動 | 徒歩中心 | 快適 | ルーラポイント激増 |
| 職業システム | 転職(単一) | 転職(単一) | 掛け持ち可能 |
このように比較すると、リイマジンド版は「過去最高に遊びやすいが、最もスリムなドラクエ7」と言えます。
全ての物語を体験したい「コンプリート派」には旧作が向いていますが、現代のクオリティでストレスなく遊びたい「体験重視派」には今作がベストバイです。
なぜ今、ドラクエ7のリメイクなのか
最後に、なぜこのタイミングでドラクエ7が選ばれたのかという背景について考察します。
ドラクエシリーズの中でも、7は「最も評価が分かれる作品」です。
しかし、その一方で「最も深い人間ドラマを描いた作品」でもあります。
パンデミックを経験し、人との繋がりや孤独について見つめ直す機会が増えた現代において、この「島々が分断され、孤独に戦う人々を繋いでいく物語」は、発売当時以上に深い意味を持って私たちに響くはずです。
終わりに
ドラゴンクエストVII リイマジンドは、あなたの時間を奪うだけのゲームではありません。
あなたの記憶に、深く、そして少しだけ苦い、けれど忘れられない「人生の1ページ」を刻んでくれる作品になるでしょう。
2月5日(デラックス版なら2月3日)、エスタード島の海岸で、新しい冒険が始まるのを心待ちにしましょう。
攻略ライターの桐谷シンジでした。
また次回のレビューでお会いしましょう。




























