編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、現在プレイ中の『モンスターハンターワイルズ(MHWs)』において、「古龍種が少なすぎるのではないか?」「マスターランク(MR/G級)で本当に古龍は追加されるのか?」という不安や疑問、そして期待を抱いていることと思います。
ネット上では様々な憶測が飛び交い、一部では「拡張はない」という悲観的な声も聞かれますが、シリーズを長年追ってきた私の見解は全く逆です。
この記事を読み終える頃には、ワイルズの未来に対する不安が払拭され、これから訪れるであろう「古龍大量追加」の根拠と、その背景にある開発の意図を深く理解し、ワクワクしながらアップデートを待てるようになっているはずです。
- 解析データが示すモンスター枠の倍増
- 過去作「トライ」から読み解く古龍不在の理由
- 作中設定「禁足地」と古代文明の伏線
- 具体的に予想される復活古龍と新モンスター
それでは解説していきます。
解析データとアップデート履歴から見る「確実な未来」
まず、最も客観的かつ信頼性の高い情報から紐解いていきましょう。海外のコミュニティを中心に行われたデータ解析(データマイニング)の結果が、我々に大きな希望を与えています。
ゲーム内部のデータ構造、特にモンスターのアイコンを表示するための「スプライトシート(画像データの一覧)」に、決定的な変化が見られました。これは単なる噂レベルの話ではなく、アップデートファイルに含まれていた実データに基づく情報です。
アイコン枠の空白が示す「倍増」の計画
具体的には、タイトルアップデート第4弾(TU4)に相当する内部データの更新において、モンスターリストの空き枠(スロット)が劇的に拡張されていることが確認されています。
初期バージョンの時点では、実装されているモンスター数に合わせたサイズのシートが用意されていました。しかし、アップデートファイル内では、そのリストの構造自体が作り直され、現在の実装数の「約2倍」に相当する空きスペースが確保されていたのです。
ゲーム開発の視点から言えば、使用する予定のないメモリやデータ領域を無駄に確保することは、最適化の観点からあり得ません。特に昨今の高グラフィックなゲームにおいては、少しでもデータを軽量化したいのが本音です。
それにも関わらず、わざわざUI(ユーザーインターフェース)の裏側にあるデータ構造を書き換え、大量の空き枠を用意した。これには明確な意図があります。「今後、この枠を埋めるだけの数のモンスターを追加する」という開発チームからの無言のメッセージと捉えて間違いありません。
過去作との比較データ
では、実際に過去の「無印(ベースゲーム)」から「拡張版(マスターランク/G級)」へ移行する際、どれくらいのモンスターが追加されてきたのか、数字で見てみましょう。
| 作品名 | 無印(ベース)登場数 | G級/MR(拡張)最終数 | 増加率 |
|---|---|---|---|
| モンスターハンターワールド | 36体 | 71体(アイスボーン) | 約197% |
| モンスターハンターライズ | 46体 | 78体(サンブレイク) | 約170% |
| モンスターハンターワイルズ | 約30体(推定) | 60体以上(予想) | 約200% |
このように、近年の『モンスターハンター』シリーズにおいて、大型拡張コンテンツ(DLC)でのモンスター数倍増は「当たり前」の行事となっています。
特に『ワールド』から『アイスボーン』への流れは、今回の『ワイルズ』と非常に類似しています。ベースゲームでグラフィックやシステムを一新し、土台を作り上げた上で、拡張版で一気にコンテンツ量を爆発させる。この「黄金パターン」が踏襲されることはほぼ確実です。
解析で見つかった「空き枠」の数と、過去作の増加率が見事に合致している点も見逃せません。これにより、マスターランク実装時には、現在の生態系が激変するレベルでの大量追加が行われると断言できます。
「古龍不在」は意図的な演出である可能性
「でも、現状で古龍がほとんどいないのはやっぱり不安だ」という声もあるでしょう。しかし、シリーズ全体を俯瞰して見ている私からすれば、これは「意図的な不在」であり、後の展開を盛り上げるための「溜め」の期間であると分析しています。
『MH3(トライ)』との共通点
『モンスターハンターワイルズ』の現状は、かつてWiiで発売された『モンスターハンター3(トライ)』の状況と酷似しています。
『トライ』は、シリーズで初めて水中戦を導入し、モンスターのグラフィックやAIを一新した野心作でした。しかし、そのリソースを新システムの構築に割いた結果、登場モンスター数はシリーズでもかなり少ない部類となり、特に古龍種はラスボスの「ナバルデウス」、裏ボスの「アルバトリオン」、そして「ジエン・モーラン」の3体しか存在しませんでした。
当時、「お馴染みの古龍がいない」という批判もありましたが、その後発売された『MH3G』では、過去のモンスターや亜種、そして新古龍が大量に追加され、評価を覆しました。
『ワイルズ』もまた、「集中モード」や「相殺」、「天候変化」といった新世代のアクションと環境構築に膨大なリソースを費やしています。ベースゲームの段階では、これら新システムと相性の良い新モンスター(ドシャグマやチャタカブラなど)の調整に注力し、システムの根幹が完成したマスターランクで、満を持して「古龍」という複雑なギミックを持つモンスターを投入する。これは開発のロードマップとして非常に理にかなっています。
生態系の「安定」と「崩壊」の物語
ストーリー設定の面からも、古龍がいない理由は説明がつきます。
『ワイルズ』の舞台である「禁足地」は、1000年前に作られたガーディアンや竜の塔によって、ある種「人工的に安定させられた生態系」でした。古龍級生物(レ・ダウなど)は存在していても、いわゆる「天災」としての古龍が跋扈する環境ではなかったのです。
しかし、本編のストーリーを通じて、その均衡は崩れました。主人公たちの活躍により、禁足地を取り巻く環境は大きく変化し、外部からの侵入も容易になった可能性があります。
これまで「禁足地」という結界に守られていた(あるいは隔離されていた)エリアが開放されたことで、外の世界から強力な古龍たちが、「豊富な生体エネルギー(竜油など)」を求めて渡ってくる。マスターランクのストーリーは、この「古龍渡り」や「生態系の侵食」がメインテーマになると予想されます。
つまり、今は「嵐の前の静けさ」なのです。
作中の伏線が指し示す「黒龍」と「対古龍兵器」
私が本作をプレイしていて最も衝撃を受けたのは、1000年前の古代文明に関する描写の深さです。これまでのモンハンでも「シュレイド城」や「塔」などの古代遺跡は登場しましたが、ここまで明確に「誰が」「何のために」「何と戦っていたか」が示唆されたことは稀です。
人造モンスター「ゾシア」の正体
特に注目すべきは、作中に登場するガーディアン、そしてその集合体とも言える存在「ゾシア」です。
ゾシアは人間が作り出した防衛システムの一部ですが、その中身から現れた「黒い体躯」や、使用するモーション(動き)は、明らかに伝説の黒龍「ミラボレアス」や、その原種・亜種を彷彿とさせるものでした。
なぜ、古代人はこれほど強力な「防衛兵器」を作る必要があったのでしょうか? 単にリオレウスやドシャグマの群れを追い払うためだけなら、あそこまでの過剰戦力は不要です。
彼らが恐れ、対抗しようとしていたのは、通常の生態系を逸脱した存在、すなわち「古龍」、あるいはそれ以上の「禁忌のモンスター」であった可能性が極めて高いのです。
主人公の反応が示唆するもの
さらに興味深いのは、本作の主人公(プレイヤーキャラクター)の反応です。ゾシアの「黒い姿」を見た際、主人公は「あれは…いや、まさか」といった、何かを知っているかのような反応を示しました。
これまでのシリーズの主人公は、あくまで「一人のハンター」としての立ち位置を守ってきましたが、今作の主人公は「ギルドの特命を受けたエリート」「渡り鳥のような放浪のハンター」という背景が色濃く描かれています。
もし主人公が、過去にミラボレアスやそれに類する存在の伝承、あるいは実物に触れたことがあるとしたら? そして、古代人が恐れた「脅威」が1000年の時を超えて再び禁足地に現れるとしたら?
マスターランクのストーリーでは、この「古代文明が戦っていた真の敵」との対峙が描かれるはずです。それは間違いなく、我々ハンターが求めてやまない、最強クラスの古龍たちでしょう。
マスターランクで追加される古龍・モンスター徹底予想
ここからは、上記の根拠と過去作の傾向、そしてハンターとしての勘(と願望)を交えて、具体的にどのモンスターが追加されるかを予想していきます。
1. ゴア・マガラ&シャガルマガラ(確実性:特大)
これはほぼ確定と言っていいでしょう。本編において、古龍の幼体である「ゴア・マガラ」が登場しているにも関わらず、その成体である「シャガルマガラ」が登場していないのは、あまりにも不自然です。
過去作『MH4』や『サンブレイク』において、この2体はセットで語られるべき存在でした。ゴア・マガラが禁足地に現れたということは、その成長の果てに「天廻龍 シャガルマガラ」へと脱皮し、禁足地全体をウイルスの嵐に巻き込む展開が用意されていると見るのが妥当です。
また、「渾沌に呻くゴア・マガラ」という特殊個体も、マスターランクの目玉として控えている可能性があります。
2. ラギアクルス(確実性:大)
ファンの間で長年復活が望まれている海竜種「ラギアクルス」。『ワールド』開発時には、首の長い骨格の処理や地面との接地処理の技術的問題で実装が見送られたという経緯があります。
しかし、『ワイルズ』では技術力が飛躍的に向上しており、同じ海竜種骨格を持つモンスター(レ・ダウなど)が自然にフィールドを闊歩しています。技術的な障壁は既に取り払われているのです。
また、ワイルズの天候変化システム「集中豪雨」や「雷雨」は、雷を操るラギアクルスの能力を最大限に演出できる舞台装置です。水辺の多いフィールドも用意されており、復活の舞台は整っています。
3. クシャルダオラ・テオ・テスカトル・オオナズチ(確実性:中)
いわゆる「ドス古龍」と呼ばれる3体です。彼らは古龍の基本形であり、多くの作品でマスターランクの門番として立ちはだかってきました。
「またか」と思う方もいるかもしれませんが、彼らがいないモンハンはやはり寂しいものです。特にクシャルダオラの「風」、テオ・テスカトルの「熱」、オオナズチの「霧」は、ワイルズの環境変化ギミックと組み合わせることで、これまでにない新しい攻略体験を生み出せるポテンシャルがあります。
例えば、クシャルダオラの嵐がフィールドの砂嵐と連動して視界を奪ったり、テオの熱気が水場を干上がらせて地形を変えてしまったりといった、「環境を利用する古龍」としてのリメイクが期待されます。
4. ネルギガンテ(確実性:中)
『ワールド』の看板モンスターであり、古龍を捕食する古龍。「古龍渡り」が起きるのであれば、その古龍を追って彼がやってくるのは必然です。
特にワイルズのアクションは『ワールド』の正統進化系と言える手触りであり、ネルギガンテとの肉弾戦は今のシステムでこそ最も輝くはずです。再生能力を持つ彼が、禁足地の豊富なエネルギーを得て「悉くを殲ぼすネルギガンテ」以上の脅威となって現れる展開は胸が熱くなります。
5. イヴェルカーナ&メル・ゼナ(確実性:小〜中)
『アイスボーン』と『サンブレイク』の看板モンスターたちです。彼らは人気も高く、装備のデザインも秀逸です。
特にイヴェルカーナは、ワイルズにはまだ少ない「氷属性」の強敵として、寒冷地フィールド(もし追加されれば)の主として君臨する可能性があります。メル・ゼナに関しては、キュリアという特殊なギミックがあるため設定上のハードルは高いですが、人気投票でも上位常連であるため、ファンサービス的な枠での参戦も捨てきれません。
6. 完全新規の古龍(確実性:特大)
そして何より、マスターランクのパッケージを飾る「完全新規の看板古龍」が必ず1体以上追加されます。
『アイスボーン』ではイヴェルカーナ、『サンブレイク』ではメル・ゼナがその役を担いました。ワイルズの世界観、特に「荒野」「天候」「エネルギー」といったテーマを体現する、全く新しいデザインの古龍が登場するでしょう。
個人的な予想ですが、禁足地の「雷」や「砂」に関連した、あるいは1000年前の文明を滅ぼした元凶に直接つながるような、神話的なモチーフを持つ古龍ではないかと推測しています。
拡張コンテンツ(G級)の配信時期はいつになるのか?
最後に、気になる配信時期についても予想しておきましょう。
カプコンの近年の開発サイクル、および『モンスターハンター』シリーズのリリース間隔を見ると、以下のパターンが見えてきます。
- ワールド発売(2018年1月) → アイスボーン発売(2019年9月):約1年8ヶ月後
- ライズ発売(2021年3月) → サンブレイク発売(2022年6月):約1年3ヶ月後
この傾向から考えると、『ワイルズ』の発売から約1年半後がひとつの目安となります。
しかし、ワイルズはベースゲームのボリュームやシステムの複雑さが過去最大級です。また、2026年には『モンスターハンターストーリーズ3』などの関連タイトルの展開も予想されます。
これらを踏まえると、開発には十分な時間をかけると予想され、2026年の夏〜秋、あるいは2027年の初頭がXデーとなる可能性が高いです。
「そんなに待てない!」と思うかもしれませんが、その間も無料タイトルアップデートで、ラージャンやイビルジョーといった「古龍級生物」の追加、あるいはコラボモンスターの配信などで、飽きさせない運営が続くはずです。
まとめ
ここまでの情報を整理しましょう。
- データ解析により、モンスター枠が現在の2倍近く確保されていることが判明。
- 過去作(特にトライ)の例を見ても、初期の古龍不足は拡張版での爆発的追加への布石である。
- 作中の「古代文明」や「人工兵器」の設定は、強大な古龍の存在を裏付けている。
- ゴア・マガラからのシャガルマガラ、技術的課題をクリアしたラギアクルスなど、復活の準備は整っている。
「ワイルズには古龍がいないから物足りない」と嘆くのはまだ早すぎます。むしろ、今は「人間と自然の戦い」を描いた第一部であり、これから「神域の存在との戦い」を描く第二部が始まろうとしているのです。
カプコンは、ユーザーの期待を良い意味で裏切るサプライズを用意することに長けたメーカーです。今の静けさは、後に来る「古龍の嵐」の前触れだと信じ、今はハンターランクを上げ、装備を整え、その時に備えようではありませんか。
拡張コンテンツが発表されたその時、禁足地は真の「魔境」へと姿を変えるでしょう。その時、我々ハンターの真価が問われるのです。
筆者情報
筆者:桐谷シンジ
フリーランスのゲーム攻略ライター。慶應大学卒業後、大手出版社を経て、現在に至る。幅広いゲームに携わるが、主にRPG/FPS/サンドボックス系のゲームを得意とする。モンハン歴は初代から20年。全ての作品で勲章コンプリートを達成している生粋のハンター。最近の悩みは趣味の時間が取れず、積みゲーが100作品を超えたこと。







