編集デスク ポケモンカードゲーム攻略ライターの橋本ユアです。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、フリマアプリやコンビニで購入したバラパックからレアカードが全く出ず、「もしかしてサーチされているのでは?」という不安や疑念が気になっていると思います。
近年、ポケモンカードの人気高騰に伴い、残念ながら悪質なサーチ行為が横行しているのが現状です。私たちが純粋にパック開封を楽しむためにも、敵の手口を知ることは最大の防御になります。
この記事を読み終える頃には、サーチ品を見抜く眼力が養われ、安心してポケカを楽しめるようになるための疑問が解決しているはずです。
- サーチ方法の全貌と手口の仕組み
- 重量測定や光サーチに必要な機材
- サーチ済みパックを見分ける痕跡
- サーチ被害を避けるための購入防衛策
それでは解説していきます。
ポケモンカードにおけるサーチ行為とは?その種類と現状
ポケモンカードゲームにおける「サーチ」とは、パックを開封することなく、中に封入されているカードのレアリティや種類を特定する行為のことを指します。
本来、パック開封は「何が出るかわからないドキドキ感」を楽しむものですが、転売目的や利益重視の一部の人々によって、高レアリティカードだけを抜き取る手法が編み出されてきました。これは私たちのようなプレイヤーにとっては本当に悲しいことですよね。
現在、主流となっているサーチ方法は大きく分けて「物理的な重さを測る方法」「光を当てて透かす方法」「手先の感覚で判別する方法」の3つが存在します。これらは単独で行われることもあれば、複数を組み合わせてより確実性を高める形で行われることもあります。
ここでは、それぞれのサーチ方法がどのような原理で行われているのか、その恐るべき実態を深掘りしていきましょう。
重量サーチ(重さ測定)による判別
最もポピュラーで、かつ誰でも簡単に行えてしまうのが「重量サーチ」です。これは、カードに含まれるホログラム加工(キラキラした部分)の重さを利用した手法です。
0.01g単位の精密さが命運を分ける
レアリティの高いカード(SR、SAR、URなど)は、通常のノーマルカードに比べて、特殊な加工やインク、レリーフ処理が施されているため、物理的にわずかに重くなります。
一般的なキッチンスケールでは1g単位しか測れませんが、サーチを行う人々は「0.01g単位」まで計測できる精密なデジタルスケールを使用します。
例えば、通常のパックが平均して「16.50g」前後だった場合、レアカードが入っているパックは「16.70g」や「16.80g」といった数値を示すことがあります。このわずか0.1g〜0.3g程度の差を見極めることで、高確率でレアカードが入っているパックを選別してしまうのです。
スタートデッキなどの構築済み商品でも有効
この重量サーチは、拡張パックだけでなく「スタートデッキ100」のような構築済みデッキ商品でも猛威を振るいました。
特定のデッキナンバー(全てがミラーカードになっている通称「ミラーデッキ」など)は、通常のデッキよりも明らかに重量が重くなる傾向があります。情報ソースにもありましたが、112gを超えるような個体は、ほぼ間違いなくミラー仕様や特別なカードが含まれていると判断されてしまいます。
これにより、店頭に並んでいる段階や、フリマアプリで「未開封」として売られている段階で、すでに中身が選別されているリスクが生じるのです。
金属探知機による判別
一時期、SNSや動画サイトで「確実にキラカードを見抜く方法」として話題になったのが、金属探知機を使用したサーチ方法です。他の方法と異なり、科学的なアプローチでカードを判別しようとする点が特徴です。
カードに含まれる金属素材に反応
ポケモンカードの「キラカード(ホログラム加工されたカード)」には、光を反射させるためにアルミ蒸着などの微量な金属膜が使用されています。
金属探知機は、目に見えない電磁誘導を利用して金属を検知する機械です。これをパックに近づけることで、中に封入されているカードが「ノーマルカード(紙のみ)」なのか、「キラカード(金属膜あり)」なのかを、開封せずに電子音や振動で判別してしまうのです。
高感度なハンディタイプの使用
空港の保安検査場にあるような大型のものではなく、Amazonなどで数千円で購入できる「ハンディタイプの高感度金属探知機」が主に使用されます。
サーチ師は、探知機の感度を極限まで調整し、パックの上からゆっくりとなぞるようにスキャンします。そして、特定の反応があった場合、「このパックにはキラカードが入っている」と判断します。物理的な重さを測る重量サーチと似ていますが、より直接的に「素材」を検知できるのが強みとされていました。
現在のパック仕様における限界
かつては「1パックにキラカードが入っていないこともある」時代があったため、この方法は非常に有効でした。しかし、近年の拡張パックの多くは「1パックに必ず1枚はR(レア)以上のキラカードが封入されている」などの仕様変更が行われています。
そのため、現在の環境では金属探知機を当てても**「すべてのパックで反応してしまう」**という事態が発生します。通常のR(レア)カードも、高額なSR(スーパーレア)カードも、どちらも金属反応を示すため、探知機単体でSR以上を狙い撃ちするのは非常に困難になっています。
ただし、一部の特殊なプロモパックや、完全にランダム封入の古いパックにおいては、依然として「キラ抜き」に使われるリスクがあるため、完全に廃れたわけではありません。
光サーチ(LEDライト透過)による判別
次によく行われているのが、強力な光をパックに当てて中身を透かして見る「光サーチ」です。これは近年のパックの素材や、カード自体の紙質とも関係しています。
スマートフォンのライトや強力なLEDを使用
やり方は非常に原始的ですが、効果は絶大です。暗い部屋や、毛布などで光を遮断した環境下で、スマートフォンのライトや専用の強力なLEDライトをパックの裏面から押し当てます。
そうすると、カードの紙質によっては、光が透過して表面の文字やイラストのシルエットが浮かび上がることがあります。特に、最近の拡張パック(「クレイバースト」や「バイオレットEX」など)は、以前に比べてパックの素材やカードの紙質の影響で、この光サーチが通りやすいと言われています。
テキストやレアリティマークの視認
熟練したサーチ師は、この透過光で「Trainer’s」という文字や、カードの右下にあるレアリティマーク、さらにはポケモンの名前の一部まで読み取ってしまうそうです。
特に、SR(スーパーレア)以上のカードは、特殊な加工により光の透過具合がノーマルカードとは異なります。光を通しにくい、あるいは特定の光り方をするといった特徴を見極めることで、開封せずに「これは当たりだ」「これはハズレだ」と判断されてしまいます。
情報ソースにあるように、25周年記念パックのような薄いパックでは、誰でも簡単に見えてしまうほど透けやすいケースもあり、非常に深刻な問題となっています。
触感サーチ(指先の感覚・滑り)による判別
これは最もアナログでありながら、最も熟練した技術を要する方法です。いわゆる「指先サーチ」や「滑り(すべり)」と呼ばれる手法です。
パック内でカードを操作する技術
ポケモンカードの拡張パック(5枚入り)は、基本的に「後ろから2番目」にレアカードが封入されているという法則があります。
この法則を悪用し、パックの外側から指で器用にカードを操作し、2番目のカードだけを上部にずらしたり、独立させたりします。そして、そのカードの表面をパックの上から指でなぞることで、レアカード特有の「ザラザラ感(レリーフ加工)」を感じ取るのです。
プロ級の技術者は指紋感覚で識別する
情報ソースにもありましたが、この道に長けた人物は、指先の感覚だけで「これはSR特有のレリーフ加工だ」「これはツルツルしているからノーマルかR(レア)だ」と瞬時に判断できると言います。
中には、親指の感覚を研ぎ澄ませており、パックを傷つけることなく、わずかな厚みの違いや硬さの違いまでも感じ取るとのこと。この手法の恐ろしいところは、重量サーチや光サーチと異なり、特別な道具を必要とせず、コンビニの棚の前などで一瞬で行えてしまう可能性がある点です(もちろん、店員さんの監視があれば防げますが、死角で行われると防ぎようがありません)。
サーチに必要な機材と環境の解説
ここでは、実際にどのような道具がサーチに使われているのか、その詳細を解説します。これを知ることは、「そのような道具を使っている形跡がある出品者」や「怪しい動き」を察知するための知識となります。決して真似をするためではなく、自己防衛のために知っておいてください。
0.01g単位対応のデジタルスケール
重量サーチの必需品です。Amazonやホームセンターなどで、1,000円〜3,000円程度で入手可能です。
- 特徴: 通常のキッチンスケール(1g単位)ではなく、小数点以下2桁(0.01g)まで表示されるもの。
- 用途: パックごとの微細な重量差を計測し、重いパック(=レアカード封入の可能性が高いパック)を選別する。
- 見抜き方: フリマアプリの出品画像に、背景としてデジタルスケールが写り込んでいたり、説明文に「重量計測済み」といった記載がある場合は要注意です。
金属探知機(ハンディタイプ)
セキュリティ検査や建築現場での検知に使われるような、棒状のハンディタイプが一般的です。
- 特徴: 金属に反応して音や振動で知らせる機能を持つ。感度調整ダイヤルがついているものが好まれる。
- 用途: カード内部のホログラム(金属箔)の有無を検知する。
- 見抜き方: 店頭でパックにかざすような不審な動きをしている人物は、この機器を袖口などに隠し持っている可能性があります。
強力なLEDライト・スマートフォン
光サーチに使用されます。スマートフォンのフラッシュライト機能でも十分な光量がありますが、より本格的に行う場合は、ホームセンターなどで売られている数百ルーメン以上の強力なハンディライトが使われることもあります。
- 特徴: 光が強く、直進性が高いもの。
- 用途: パックの裏側から密着させて光を照射し、中のカードの文字や絵柄を透かす。
- 環境: 明るい場所では効果が薄いため、暗い部屋や、毛布の中、あるいは厚手の上着の中などでこっそりと行われることが多いです。
視認性を高めるための暗所環境(ニトリの毛布など)
情報ソースにもありましたが、光サーチは「いかに周囲を暗くして、パックからの透過光だけを見るか」が鍵となります。
そのため、自宅の部屋を真っ暗にするのはもちろん、外出先や車内で行うために、遮光性の高い毛布や布を被って行うケースもあるようです。冗談のような話ですが、「ニトリの遮光カーテンや毛布」などが好まれるという話も、界隈ではまことしやかに囁かれています。
滑りやすくするための手袋やパウダー(稀なケース)
触感サーチを行う際、指の滑りを良くするために、薄手の手袋やベビーパウダーなどを使用するケースも考えられます。
しかし、基本的には素手の指先の感覚(指紋の感度)を重視するため、何もつけずに行う「素手派」が圧倒的に多いようです。逆に言えば、パックの表面に謎の粉が付着していたり、不自然な指紋がベタベタと付いている場合は、触感サーチが行われた痕跡である可能性が高いと言えます。
徹底比較!各サーチ方法の特徴まとめ
これまでに紹介したサーチ方法について、それぞれの特徴を比較表にまとめました。これを見ることで、どの手法がどのようなリスクを持っているのかが整理できるはずです。
| サーチ方法 | 必要な道具 | 難易度 | パックへのダメージ | 判別精度 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 重量サーチ | デジタルスケール | 低 | ほぼ無し | 中〜高 | 誰でも簡単にできる。レアカード=重いという物理法則を利用。 |
| 光サーチ | LEDライト | 低 | 少(熱など) | 高 | パックや紙質に依存するが、中身を直接「見る」ため確実性が高い。 |
| 触感サーチ | 自身の指先 | 高(熟練度要) | 大(シワ・傷) | 極高 | パックを物理的に弄るため、カードやパッケージにダメージが残りやすい。 |
| 金属探知 | 金属探知機 | 中 | 無し | 低〜中 | 現代のパックでは全反応してしまい、特定が難しい場合がある。 |
この表からも分かるように、特に「触感サーチ」はパッケージへのダメージが残りやすく、私たち買い手が目視で判断できる可能性が高い手法です。一方で、「重量サーチ」はパッケージに痕跡が残りにくいため、非常に厄介な手法と言えます。
サーチ済みパックをつかまされないためのチェックポイント
ここからは、実際に私たちがパックを手にする際、それがサーチ済みのものであるかどうかを見分けるためのポイントを解説します。
パックの表面・裏面のシワや折れ
触感サーチ(指でカードをずらす行為)が行われたパックには、特有の痕跡が残ります。
- 不自然なシワ: パックの表面、特にカードの縁に当たる部分に、横方向や斜めの細かいシワが入っていないか確認してください。新品のパックはピンと張っていますが、サーチ済みパックはどこか「くたびれた」感じがします。
- 爪の跡: カードをずらす際に力を入れるため、パック表面に爪で引っ掻いたような跡や、点状の凹みが残っていることがあります。
- 角の折れ: パックの四隅が不自然に折れ曲がっていたり、丸まっている場合も、何度も手で触られた可能性があります。
ギザギザ部分(上下の圧着部分)の状態
パックの上下にあるギザギザした圧着部分(シール部分)も重要なチェックポイントです。
- 接着の浮き: 触感サーチや、一度開封して再シュリンク(再封入)しようとした場合、この圧着部分が甘くなっていたり、一部が剥がれかけていることがあります。
- 接着剤のズレ: 本来まっすぐ圧着されているはずが、微妙に斜めになっていたり、接着剤がはみ出しているような違和感がある場合は、開封済みの疑いがあります。
パンチ穴(フック穴)の状態
コンビニなどで陳列するためのパンチ穴が開いているパックの場合、この穴が広がっていたり、破れかけているものも注意が必要です。雑に扱われた証拠であり、サーチ行為の対象になった可能性があります。
購入場所によるリスク判断
最も重要なのは「どこで買うか」です。
- コンビニ: バラ売りのため、サーチ師のターゲットになりやすい場所です。「箱の最後の数パック」などは、サーチ後の「残りカス(ハズレ)」である可能性が高まります。
- フリマアプリ: 「SR確定パック」や「高重量パック」として売られているものは論外ですが、単なる「バラパックセット」も非常に危険です。ボックス購入特典のSR以上を抜いた後の残りを集めて出品しているケースが大半だからです。
ポケカ市場にはびこる闇とリスク
なぜここまでサーチ行為が横行してしまったのでしょうか。それは、ポケモンカードが単なる子供の玩具の枠を超え、投機的な価値を持つ「資産」として見られるようになってしまったからです。
転売目的によるサーチの横行
一部のレアカードは、1枚で数万円、時には数十万円という高値で取引されます。そのため、定価数百円のパックからその「お宝」を引き当てようとする人々が後を絶ちません。
サーチを行えば、数千円の投資で数万円のリターンを得られる可能性があるため、モラルを無視してでも行う人が出てきてしまうのです。情報ソースにもあったように、かつては「カードで家を建てた」と豪語するような人物まで現れるほど、この市場は過熱していました。
フリマアプリの「SR確定パック」の正体
メルカリなどでよく見かける「SR以上確定!激アツパック」といった商品。これは初心者の方からすると「確実にSRが手に入るならお得なのでは?」と思ってしまうかもしれません。
しかし、その実態は**「サーチ済みパックの詰め合わせ」**であることがほとんどです。
サーチによって「SRが入っていることは分かっているが、そのSRが不人気キャラや低価格のカード(数百円程度)であることも分かっているパック」を、あたかも「高額カード(ナンジャモやリーリエなど)が出るかもしれない」という期待感を煽って、相場より高く販売しているのです。
つまり、購入した時点で「負けが確定しているギャンブル」に参加させられているようなものです。絶対に手を出してはいけません。
コンビニや量販店でのバラ買いのリスク
コンビニや家電量販店で、ボックス(箱)の封が開けられ、バラで販売されているケースもよく見かけます。
店員さんが目の前でランダムに取ってくれる場合はまだ安全性が高いですが、陳列棚に置かれていて、客が自由に選べるスタイルの場合は極めて危険です。
先に訪れたサーチ師たちが、レアカード入りのパックだけを重量サーチや触感サーチで抜き去り、残された「スカスカのパック(ノーマルのみ)」だけが棚に残っている可能性が高いからです。これを業界用語で「枯らされた後」などと呼ぶこともあります。
まとめ:安全にポケカライフを楽しむために
ここまで、様々なサーチ方法とその手口、そしてリスクについて解説してきました。内容が少し怖くなってしまったかもしれませんが、これらの知識はあなたが損をしないための「防具」です。
最後に、これまでのポイントをまとめます。
- サーチには「重量」「光」「触感」の3大手法がある。
- フリマアプリの「SR確定」や「バラパック」は、サーチ済みの残り物である可能性が極めて高い。
- コンビニなどの誰でも触れるバラ売りパックは、すでにレア抜きされているリスクがある。
- パック表面のシワや傷、違和感のある出品物には手を出さない。
推奨される購入方法
では、どうすれば安全にポケカを買えるのでしょうか。
- シュリンク付きボックスを購入する: 未開封のビニール(シュリンク)に包まれたボックスであれば、中身が操作されている可能性は低くなります(ただし、再シュリンク詐欺という高度な手口もあるため、信頼できる店舗で買うことが前提です)。
- ポケモンセンターオンラインや公式サイトを利用する: 公式からの直送であれば、100%安全です。抽選販売など入手難易度は高いですが、最も安心できるルートです。
- 信頼できるカードショップ(カドショ)で購入する: 大手の専門店や、評判の良いショップであれば、悪質なサーチ品を販売することは店の信用に関わるため、対策がされています。
ポケモンカードは、本来は対戦を楽しんだり、好きなポケモンのイラストをコレクションしたりするための素晴らしいホビーです。
「サーチ品かもしれない」と疑心暗鬼になりながら開封するのは、精神衛生上よくありません。今回ご紹介した知識を武器に、怪しい商品には近づかず、信頼できるルートで正規のパックを手に入れてください。
あなたが心からワクワクできる、最高の「開封体験」ができることを願っています。それでは、良きポケカライフを!










