編集デスク ポケモンカードゲーム攻略ライターの橋本ユアです。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、新弾「ムニキスゼロ」の評判が芳しくないことや、SNSでの微妙という評価が気になっていると思います。発売日が近づくにつれて様々な情報が解禁されていますが、どうしても前回の「スタートデッキ100」や年末商戦の盛り上がりと比較してしまい、購入を迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事を読み終える頃には、なぜ「ムニキスゼロ」が批判されているのか、その背景にある理由や、実は隠されている真の価値について、すっきりと疑問が解決しているはずです。
- ゲーム本編準拠の内容で人気ポケモンが不在
- 同時期のメガレックウザへの期待値が高すぎる
- スペシャルセットのコスパと特典への評価
- 異例の4年目突入による商品展開のマンネリ化
それでは解説していきます。
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ムニキスゼロが「正直微妙」と言われてしまう根本的な理由
ポケモンカードゲームの新拡張パック「ムニキスゼロ」に関して、SNSやYouTubeのコメント欄を中心に「今回はスルーかな」「正直微妙かも」という声が散見されます。普段からポケカを追いかけている私としても、この空気感は少し独特なものを感じています。
なぜ、ここまで「微妙」という評価が定着しつつあるのでしょうか。その背景には、単なる収録カードの強さだけではない、複合的な要因が絡み合っています。ここでは、世間の批判の声の根源となっている要素を一つひとつ丁寧に紐解いていきましょう。
メインポケモン「ジガルデ」と「人気」の乖離
まず、今回のパックの顔となる「メガジガルデ」というチョイスについてです。
もちろん、ジガルデは伝説のポケモンであり、そのフォルムチェンジや設定の深さから根強いファンがいることは間違いありません。しかし、ポケモンカード市場全体を見たとき、トップクラスの人気を誇る「リザードン」や「ピカチュウ」、あるいは「イーブイヒーローズ」のような爆発的な需要を持つポケモンと比較すると、どうしても「渋い」という印象を持たれてしまいがちです。
特に最近のポケカブームは、キャラクター人気(いわゆる「推し」需要)と、対戦環境での必須級の強さが相まって形成されています。メガジガルデは「闘タイプ強化」という明確な役割を持っていますが、ビジュアル面での華やかさや、コレクターがこぞって欲しがるようなキャッチーな要素が、これまでの人気パックに比べるとやや控えめであることは否めません。
過去の例を見ても、ゲームのストーリーや設定に忠実な「硬派なパック」は、発売直後の初動が鈍い傾向にあります。今回はまさにその「硬派なパック」の典型例と捉えられており、キラキラとした派手さを求めるライト層やコレクター層からの評価が厳しくなっているのが現状です。
比較対象となる「ストームエメラルド」への期待値
「ムニキスゼロ」への評価を厳しくしているもう一つの大きな要因は、今後発売が予想されている「ストームエメラルド(仮)」の存在です。
商標登録の情報などから、次期、あるいは近い将来に「メガレックウザ」をメインとしたパックが登場することがほぼ確実視されています。レックウザといえば、ポケモン界でも屈指の人気を誇るドラゴンポケモンであり、過去のカードも軒並み高騰している「ドル箱」キャラクターです。
ユーザーの心理として、どうしても手元の資金には限りがあります。「メガジガルデ(ムニキスゼロ)」と「メガレックウザ(ストームエメラルド)」が並んだとき、多くの人が「今回は我慢して、レックウザのために資金を温存しよう」という思考になるのは自然な流れと言えるでしょう。
つまり、「ムニキスゼロ」自体が悪いというよりも、**「控えている後続のパックが強すぎる(と予想される)」**ために、相対的に評価が下がってしまっているのです。これはタイミングの不運とも言えますが、消費者の目は常にシビアに「より価値のあるもの」を探しています。
ゲーム「ZA」に向けた準備期間という位置付け
今回の「ムニキスゼロ」は、来たる新作ゲーム『Pokémon LEGENDS Z-A(ゼットエー)』への布石という色合いが非常に強いパックです。
収録内容が「メガシンカ」にフォーカスしている点や、カロス地方に関連するポケモンがピックアップされている点からも、株ポケ(株式会社ポケモン)がゲーム本編の盛り上がりに合わせてTCGの展開を調整していることが伺えます。
しかし、現時点ではまだゲーム本編が発売されていない、あるいは情報が出揃っていない段階であるため、カードだけが先行してしまっている印象を受けます。プレイヤーやファンからすれば、「ゲームでの体験や感動」があってこそ、そのキャラクターのカードが欲しくなるものです。
ゲーム本編との連動はポケカの醍醐味ですが、そのタイミングが少しズレていたり、「繋ぎ」の期間に発売されるパックはどうしても「中休み」のような扱いを受けがちです。「ムニキスゼロ」は、まさにこの「嵐の前の静けさ」的な立ち位置にあり、大きなサプライズがない限りは盛り上がりに欠けると判断されてしまっているのです。
闘タイプ強化というニッチな需要への特化
今回のパックのテーマが「闘タイプ強化」であることも、評価が分かれるポイントです。
闘タイプは、雷タイプや無色タイプ(アルセウスVSTARなど)に対して弱点を突ける強力なタイプですが、プレイスタイルとしては「殴り合い」や「高耐久」といった、やや地味ながらも堅実な戦術が求められることが多いです。
超タイプのようなトリッキーな動きや、炎タイプのような爆発的な火力、水タイプのようなエネルギー加速の爽快感に比べると、闘タイプは「玄人好み」な側面があります。
そのため、現在闘タイプをメインに使っているプレイヤー以外にとっては、「自分のデッキに関係ないカードばかり」と見なされてしまい、購買意欲が湧きにくいという構造的な問題があります。特に、汎用性の高いトレーナーズカード(どのデッキにも入るグッズやサポート)の情報がまだ少ない段階では、タイプ特化のパックはスルーされやすい傾向にあります。
年末年始商戦後の「疲れ」と「飽き」
忘れてはならないのが、ポケカユーザーの「疲れ」です。
年末には「ハイクラスパック」や「スタートデッキ100」など、お祭り騒ぎのような大型商品が連続して発売されました。多くのユーザーがそこで多額の資金を使い、開封を楽しみ、一旦満足してしまっている状態です。
年が明けて1月のこの時期は、一般的にも消費が冷え込む時期です。そんな中で発売される通常拡張パックに対して、年末と同じ熱量を維持するのは困難です。「ムニキスゼロ」は、ユーザーの財布の紐が最も固くなっているタイミングでのリリースとなるため、内容がよほど衝撃的でない限り、「今回はパス」という判断が下されやすくなっています。
スペシャルセットの評価が低い具体的な要因
「ムニキスゼロ」と同時に発売される「スペシャルカードセット」についても、厳しい意見が多く聞かれます。
通常、スペシャルセットは「パックがお得に買える」「限定プロモが強い」「サプライが可愛い」といった理由で争奪戦になることも珍しくありません。しかし、今回は「売れ残るのでは?」とさえ囁かれています。その理由を数字と内容から分析してみましょう。
価格設定と収録内容のコストパフォーマンス分析
まずは、数字の面から冷静に分析してみます。今回のスペシャルセットの定価と内容物の価値を比較表にまとめました。
【ムニキスゼロ スペシャルセット内訳】
| 項目 | 内容 | 換算金額(概算) |
|---|---|---|
| 販売価格(定価) | 1,980円(税込) | – |
| 拡張パック | ムニキスゼロ × 8パック | 1,440円(180円×8) |
| 限定プロモ | メガエルレイドEX | ? |
| その他プロモ | エルレイド進化ライン+グッズ(計4枚) | ? |
| プロモカードの実質コスト | 上記差額 | 540円 |
この表を見るとわかる通り、1,980円の商品のうち、パック代を除いた約540円がプロモカード5枚の価格ということになります。
1枚あたり約100円の計算になりますが、ユーザーからは「このプロモカードに500円以上の価値があるのか?」という疑問符が投げかけられています。もし、このプロモカードが対戦環境で必須級の強さであれば「安い!」となりますが、現時点での評価は「あくまでファンデッキ向け」「コレクション用」の域を出ていません。
コストパフォーマンスを重視するプレイヤー層からすると、「これならパックをバラで買った方が安上がりではないか」という判断になってしまうのです。
「バトルパートナーズ」との残酷な比較
評価を下げる大きな要因となっているのが、過去の優秀なセット商品との比較です。特に、昨年の同時期に発売された「バトルパートナーズ」のようなセットと比較されることで、今回の「ショボさ」が際立ってしまっています。
昨年のセットには、人気キャラクターである「リーリエ」関連の未開封プロモや、限定のサプライ(ファイルなど)が付属していました。定価は2,420円と今回より少し高めでしたが、市場価値は現在2,700円前後を推移しており、定価割れを起こしていません。
一方、今回のセットには「キャラクター(トレーナー)」の要素が薄く、ポケモンのカードのみです。近年のポケカ市場において、価格を牽引するのは圧倒的に「女性トレーナー」や「人気ポケモン」です。「メガエルレイド」は格好良いポケモンですが、市場価格を押し上げるほどのパワーがあるかと言うと、疑問が残ります。
「去年はリーリエだったのに、今年はエルレイドか…」という落差が、ユーザーの購買意欲を削いでいる側面は否定できません。
プロモカード「メガエルレイドEX」の実用性
特典の目玉である「メガエルレイドEX」の性能についても触れておきましょう。
詳細なテキストは割愛しますが、現環境のトップティア(最強格のデッキ)に食い込めるスペックかというと、多くの考察者が首をかしげています。もちろん、メガシンカ特有の火力やHPの高さは魅力ですが、進化の手間やエネルギー効率を考えると、既存の「リザードンex」や「ドラパルトex」を押しのけてまで採用されるビジョンが見えにくいのです。
もし、このプロモカードが「汎用性の高いシステムポケモン(ドローソースなど)」や「環境メタとなる強力な特性」を持っていれば、評価は一変していたでしょう。しかし、純粋なアタッカーとしての性能で、かつ中堅クラスの強さとなると、どうしても「コレクション用」という枠に収まってしまいます。
「デッキビルドBOX」不在の影響
例年であれば、年始のパックに合わせて「デッキビルドBOX」のような、汎用カードが大量に入ったお得な商品が発売されることが多いです。しかし、今回はそのアナウンスがありません。
これは、「スタートデッキ100」ですでに汎用カードを大量に供給したから不要だろう、というメーカー側の意図かもしれません。しかし、ユーザーとしては「新弾と一緒に、基本エネルギーやボール系を新調したい」というニーズがあります。
スペシャルセットにその役割(デッキ構築の基盤となるカード群)が期待されましたが、収録されたのはあくまで「エルレイドの進化ライン」と「闘タイプ強化グッズ」のみ。これでは、これからポケカを始めたい初心者にとっても、デッキパーツを揃えたい中級者にとっても、中途半端な商品に見えてしまうのです。
ゲーム開発周期の長期化がポケカに与える影響
ここからは少し視点を変えて、ポケモンカードゲーム全体の流れと「ムニキスゼロ」の関係性について考察します。
実は、今ポケカ界隈で起きている「微妙な空気感」は、ゲーム本編の開発周期が従来の3年から4年に延びたことによる「歪み」が生み出している可能性があります。
異例の「4年目」突入と商品展開の苦悩
これまでのポケモンカードは、ゲーム本編(完全新作)の発売サイクルである「3年」に合わせてシリーズを展開してきました。 例えば、サン&ムーン(3年)→ソード&シールド(3年)→スカーレット&バイオレット(3年予想)といった具合です。
しかし、近年のゲーム開発の大規模化、特にオープンワールド化などに伴い、開発期間が長期化しています。そのため、現在の「スカーレット&バイオレット」シリーズは、異例の「4年目」に突入することが確実視されています。
本来であれば3年で完結させるはずだった商品展開を、無理やり4年に引き伸ばす必要があるのです。そうなると、どうしてもネタ切れや中だるみが発生します。「ムニキスゼロ」は、まさにその「延長戦」の中で、次の完全新作までの時間を埋めるための「繋ぎの役割」を背負わされているパックと言えるかもしれません。
ストーリー重視と人気重視のジレンマ
4年という長い期間を持たせるために、株ポケは戦略的にパックの内容を配分しています。
大きく分けて**「ゲームのストーリー・設定を深掘りするパック」と「純粋に人気ポケモンやキャラを推すパック」**の2種類です。
- ストーリー重視: 古代・未来のパラドックスポケモン、テラスタル、DLCのキャラなど。ゲームをプレイしている人には刺さるが、一般層への訴求力は弱め。
- 人気重視: 色違いのリザードン、ナンジャモ、イーブイ関連など。ゲーム未プレイでも欲しくなる、分かりやすい魅力がある。
「ムニキスゼロ」は明らかに前者の「ストーリー重視」に分類されます。Hレギュレーションの頃を思い出してみてください。「ワイルドフォース」や「サイバージャッジ」でゲーム準拠の硬派な展開をした後、「クリムゾンヘイズ」や「変幻の仮面」でDLC要素を出し、最後に「楽園ドラゴーナ」や「超電ブレイカー」といった人気要素を含んだパックで盛り上げる、という波がありました。
現在は再びサイクルの初めに戻り、「ゲーム準拠(ZAやカロス要素)」のターンに入っています。つまり、今は「耐える時期」であり、ここを過ぎればまた人気ポケモンが中心の華やかなパックが登場するはずです。このサイクルを理解していると、「今は微妙でも仕方ない」と割り切れるようになります。
レギュレーション変更のタイミングとの兼ね合い
通常、新シリーズへの移行に合わせてカードの「レギュレーション落ち(スタン落ち)」が発生します。しかし、シリーズが4年続くとなると、このレギュレーション変更のタイミングも例年とは異なってくる可能性があります。
「ムニキスゼロ」が発売される1月は、本来であればレギュレーション変更の直前、あるいは直後の重要な時期です。この時期に発売されるカードは、新環境の基準となる重要なカードが多いのですが、今回は「闘タイプ特化」という局所的な強化に留まっているように見えます。
これが意味するのは、運営側があえて環境を激変させるのを避けている、あるいは「ZA」発売に合わせて大きなルール変更(メガシンカの本格導入など)を行うために、今は小出しにしている、という可能性です。プレイヤーとしては、環境が動かないことへの不満が、「パックが微妙」という評価に繋がっている側面もあるでしょう。
今後のポケカ相場と「ムニキスゼロ」の立ち位置
ここまで批判的な意見を中心に見てきましたが、では「ムニキスゼロ」は本当に買う価値のないパックなのでしょうか?
私は、決してそうではないと考えています。歴史を振り返ると、発売当時に「微妙」と言われたパックこそ、後になって評価されるケースが多々あるからです。
発売後に評価が逆転する可能性
過去にも「不人気」とレッテルを貼られたパックから、環境を支配する強力なカードが生まれた例は枚挙にいとまがありません。
例えば、発売当初はあまり注目されていなかったサポートカードが、後の新カードとのコンボで必須級になり、価格が高騰するといった現象です。「ムニキスゼロ」に収録される闘タイプのサポートやグッズも、今後登場する「雷タイプ」や「悪タイプ」の強力なポケモンへのメタカードとして、評価が急上昇する可能性を秘めています。
特に、世間の期待値が低いということは、市場に流通するシングルカードの数が絞られることを意味します。誰もパックを剥かないため、シングルカードの供給が減り、いざ需要が高まった時に一気に高騰する「隠れ強パック」になるポテンシャルがあるのです。
コレクター目線での「狙い目」
コレクター目線で見ても、不人気パックは「安く集められる」というメリットがあります。
SAR(スペシャルアートレア)やSR(スーパーレア)のデザインが優れていれば、キャラクターの人気に関わらず、イラストの芸術性だけで評価されることがあります。ジガルデやエルレイドといったポケモンは、メカニカルで重厚感のあるイラストと相性が良く、男性ファンを中心にコアな需要が見込めます。
発売直後の安値でシングル買いをしておき、数年後に「あの時のイラストは良かった」と再評価されるのを待つ、というのも賢いコレクションの楽しみ方です。
30周年に向けた「嵐の前の静けさ」
2026年にはポケモンカードゲーム30周年という超大型アニバーサリーイヤーが控えています。
株ポケとしては、30周年に向けて徐々にボルテージを上げていきたいはずです。その前段階である2025年は、実験的な試みや、ゲーム本編との連携を重視した地盤固めの年になるでしょう。「ムニキスゼロ」はその第一歩であり、派手さはないものの、今後の展開の土台となる重要なギミックやテキストが含まれている可能性があります。
今の「微妙」という評価は、あくまで「現時点での、表面的な情報だけを見た評価」に過ぎません。ポケカの歴史は、常に「手のひら返し」の歴史でもあります。
まとめ
今回は、新弾「ムニキスゼロ」がなぜ「正直微妙」と言われているのか、その理由を多角的に解説してきました。
批判の声の多くは、収録ポケモンの人気度や、同時期の強力な競合商品との比較、そしてスペシャルセットのコスパに対する不満から来ています。しかし、それらは裏を返せば、ゲーム本編の展開や長期的なシリーズ構成を考えた上での「必然的な中休み」であるとも捉えられます。
この記事のポイントをまとめます。
- メインのジガルデは人気面で他に見劣りし後続のレックウザへの期待が逆風となっている
- スペシャルセットはキャラ要素が薄く過去の優良セットと比較されコスパが悪く見える
- ゲーム開発の長期化によりストーリー準拠の硬派なパックが続く時期に入っている
- 世間の評価が低い時こそシングルカードの供給減により将来的な高騰の火種になり得る
「ムニキスゼロ」は、派手な花火のようなパックではありません。しかし、闘タイプを愛用するプレイヤーや、メカニカルなデザインを好むコレクターにとっては、唯一無二の魅力を持ったパックです。世間の「微妙」という声に流されすぎず、自分のプレイスタイルや収集方針に照らし合わせて、購入を検討してみてくださいね。
もしかすると、数ヶ月後の大会で優勝デッキのキーカードとして、「ムニキスゼロ」のカードが輝いているかもしれませんよ。








