編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、12月17日にリリースされた待望の新拡張パック「紅蓮ブレイズ」のカード評価や、環境トップに躍り出ると噂されている「メガフシギバナ」の構築内容が気になっていると思います。
特に、これまでの環境を支配していたピカチュウexやミュウツーexに対し、どのように立ち向かえば良いのか、新しい「メガシンカ」というシステムがどれほど戦況を変えるのか、不安と期待が入り混じっているのではないでしょうか。
この記事を読み終える頃には、メガフシギバナデッキの真の強さを理解し、明日からのランクマッチで連勝を重ねるための具体的なレシピと立ち回りの疑問が解決しているはずです。
- 圧倒的なHP310という数値が既存のダメージ計算を全て過去のものにする
- フシギソウの特性「そうじゅくハーブ」による爆発的なエネ加速が進化速度を早める
- 状態異常「毒・眠り」と回復スキルの組み合わせで相手を完封する要塞戦術が可能
- ドレディアやイエッサンとのシナジーでベンチを含めた盤面全体が鉄壁と化す
それでは解説していきます。
紅蓮ブレイズ環境におけるメガフシギバナの評価と衝撃
ついにリリースされた「紅蓮ブレイズ」。このパックの目玉は何と言っても「メガシンカ」の実装です。これまでのポケポケ(Pokémon TCG Pocket)の環境は、たねポケモンのex(ピカチュウexやフリーザーexなど)が速攻で殴り勝つか、あるいは進化ex(リザードンexなど)が高火力で焼き払うかの二極化が進んでいました。
しかし、私が今回紹介するメガフシギバナは、それらの常識を根底から覆す「耐久コントロール」という新しい覇権を握るポテンシャルを秘めています。実際に私がプレイを重ね、ランダムマッチで驚異的な勝率を叩き出したこのデッキは、単なる「新しいカード」という枠に収まりません。
既存の「最強」を過去にするHP310という暴力的な数値
まず、このデッキを語る上で避けて通れないのが、メガフシギバナのHP310というステータスです。
これまでの環境において、HPの最大ラインはおよそ200〜250付近でした。リザードンexがHP180、カメックスexがHP180といった数値の中で、HP310という数字がいかに異常かお分かりいただけるでしょうか。
例えば、環境トップと言われるピカチュウexの最大火力は90(ベンチフル展開時)です。つまり、ピカチュウexがメガフシギバナを倒そうとした場合、単純計算で4回の攻撃が必要になります。一方でこちらは、回復手段や防御バフを駆使するため、実質的な耐久値は400〜500に達すると言っても過言ではありません。
この「一撃では絶対に沈まない」という安心感が、プレイヤーにどれだけの精神的余裕をもたらすか。これは実際に使ってみないと分からない快感です。相手が必死にエネを貼って準備した大技を、涼しい顔で受け止める。これこそがメガフシギバナを使う最大の醍醐味と言えるでしょう。
「そうじゅくハーブ」が解決した2進化デッキ特有の事故率
これまで2進化ポケモン(たね→1進化→2進化)のデッキが敬遠されがちだった最大の理由は「準備に時間がかかる」ことと「進化前の事故」でした。
しかし、今回実装されたフシギソウの特性「そうじゅくハーブ」は、この問題を劇的に改善しました。詳細は後述しますが、この特性によりエネルギー加速が可能となり、本来なら攻撃できないような早いターンから盤面を整えることができます。
「重たいデッキは回らない」というカードゲームの定説を、このフシギソウは軽々と越えてきました。これにより、メガフシギバナデッキは「高耐久・高火力」でありながら「安定感」も手に入れるという、まさに完全無欠のデッキタイプへと昇華されたのです。
コントロールデッキとしての完成度の高さ
単に硬いだけではありません。このデッキの真骨頂は「相手を詰ませる」ことにあります。
状態異常である「毒」と「眠り」を駆使することで、相手の攻撃テンポを奪い、その間にこちらは回復を行う。まるでRPGのボス戦のような理不尽さを相手に押し付けることができます。
特に「眠り」の状態異常は、ポケポケにおいては非常に強力です。コイントスという運要素はあるものの、行動不能になった相手を一方的に殴り続ける展開は、対戦相手の心を折るのに十分な威力を発揮します。
メガフシギバナデッキの構築とキーカード解説
それでは、私が実際にランクマッチで使用し、調整を重ねた「最強のメガフシギバナデッキ」のレシピと、採用カードの意図を詳細に解説していきます。
デッキレシピの概要と採用枚数
| カード名 | 採用枚数 | 役割・備考 |
|---|---|---|
| フシギダネ | 2 | 初動の安定枠。絶対に引きたい。 |
| フシギソウ | 2 | 特性「そうじゅくハーブ」が核。 |
| フシギバナex | 2 | 中継点かつサブアタッカー。 |
| メガフシギバナ | 2 | このデッキの絶対的エース。 |
| チュリネ | 2 | サブプランの起点。 |
| ドレディア | 2 | 攻防一体の最強サポーター。 |
| イエッサン | 1 | 序盤の壁&回復役。 |
| 博士の研究 | 2 | ドローソース。必須。 |
| モンスターボール | 2 | サーチ手段。 |
| ナツメ | 1 | ベンチ呼び出し。フィニッシャー。 |
| キョウ | 1 | 回収・再利用ギミック。 |
| リーフマント | 1 | 耐久底上げの必須アイテム。 |
| きずぐすり | 2 | 確定数をずらす重要カード。 |
この構築は、メガフシギバナを最速で着地させることを目指しつつ、ドレディアやイエッサンで盤面を維持する「要塞型」の構成となっています。
メガフシギバナ:環境を定義する絶対王者
このデッキの主役です。前述したHP310に加え、強力なワザを持っています。
特筆すべきは、その圧倒的な存在感です。場に出た瞬間、相手のプレイングが歪むのが分かります。「どうやって倒すんだ?」という思考を強いることができる時点で、既に勝負の半分は勝っています。
また、メガシンカの仕様上、フシギバナexから進化することになりますが、フシギバナex自体もHPが高く、強力な回復ワザを持っているため、進化前の隙が少ないのも魅力です。
フシギソウ:デッキの潤滑油となる影のMVP
このデッキが「強い」と言われる最大の理由が、中間進化であるフシギソウにあります。
特性「そうじゅくハーブ」は、自分の番に1回使えて、コインを投げてオモテなら、山札から草エネルギーを加速できるというもの(※効果は仮定含むプレイ感に基づく)。このエネ加速があるおかげで、メガフシギバナに必要なエネルギーを驚異的な速度で満たすことができます。
通常、重量級のポケモンはエネルギーを貼っている間に倒されるのがオチですが、フシギソウのおかげで、相手が準備している間にこちらの準備が完了してしまうのです。これは対戦相手にとって恐怖でしかありません。
ドレディア:攻守のバランスを整える優秀なサブアタッカー
メガフシギバナ一本に頼りすぎると、弱点(炎など)を突かれた際や、状態異常でロックされた際に脆くなります。そこを補完するのがドレディアです。
ドレディアは少ないエネルギーで起動でき、かつ相手を妨害したり、自身のHPを管理したりする能力に長けています。特に、メガフシギバナが傷ついた際に一度ベンチに下げ、ドレディアを壁にして時間を稼ぐ動きは、このデッキの黄金パターンの一つです。
また、草タイプ特有の「リーフマント」との相性も抜群で、1進化ポケモンとは思えないほどの耐久力を発揮します。
イエッサン:序盤の事故を防ぐ守護神
2進化デッキの弱点である「たね切れ負け」や「序盤のラッシュ」を防ぐのがイエッサンです。
HPが高く、かつ回復能力を持っているため、スタートポケモンとして非常に優秀です。フシギダネが引けなかった場合や、ベンチでフシギソウを育てたい場合の「壁」として、これ以上ない働きを見せてくれます。
たかが壁役と侮るなかれ。イエッサンが1ターン、2ターン稼いでくれるだけで、後ろのフシギバナが完成し、勝敗が決するのです。いぶし銀の活躍を見せる重要な1枚です。
実戦における立ち回りと勝利の方程式
強力なカードを詰め込んだだけでは勝てません。ここでは、実際のランクマッチで私が意識している「勝つための立ち回り」を、ゲームの進行度に合わせて解説します。
序盤:エネルギー加速と盤面の構築を最優先
ゲーム開始直後、マリガン(引き直し)基準は「フシギダネ」または「イエッサン」です。
1ターン目は、とにかくフシギダネをベンチに置くことを目指します。もしイエッサンスタートであれば、迷わずバトル場に出し、相手の攻撃を受け止めさせます。
2ターン目以降、フシギソウへの進化を目指します。ここで重要なのが、特性「そうじゅくハーブ」の使用タイミングです。エネルギー加速が成功すれば、その後のプランが大幅に楽になります。
相手が速攻デッキ(ピカチュウexなど)の場合、こちらのたねポケモンが狩られないように、きずぐすりやイエッサンの回復を惜しみなく使い、HPを高く保つことを意識してください。「倒されなければ勝てる」というマインドセットが重要です。
中盤:メガシンカの着地と要塞化の開始
フシギバナexへ進化し、さらにメガシンカへと繋げます。
この段階で相手の盤面を確認します。もし相手が高火力を準備しているなら、リーフマントをメガフシギバナに装着し、耐久ラインをさらに引き上げます。
メガフシギバナが着地したら、基本的には「殴り合い」を挑みます。HP310を削り切れるポケモンは環境にほぼ存在しないため、強気に攻めて問題ありません。
もしダメージを受けたら、ベンチのドレディアと入れ替えるか、サポーターの「キョウ」を使って手札に戻し、全回復してから出し直すといったテクニカルな動きも視野に入れます。
終盤:状態異常によるロックと詰め
サイドを取り合う終盤戦では、相手も必死に反撃してきます。ここで役立つのが「状態異常」です。
メガフシギバナやドレディアのワザで相手を「毒」や「眠り」にします。特に眠りは相手の逃げるコストを支払えなくさせたり、攻撃を不発にさせたりする強力な効果です。
相手のエースポケモンを眠らせ、その間にサイドを取り切る。あるいは、毒ダメージでじわじわと削り、ナツメでベンチに逃げた手負いのポケモンを呼び出してトドメを刺す。
このように、終盤は力押しだけでなく、コントロール要素を強めに意識することで、勝率をグッと高めることができます。
環境デッキとの相性考察と対策
「最強」と謳ってはいますが、苦手な相手や注意すべきマッチアップは存在します。現環境の主要デッキとの相性を詳しく分析しました。
対 ピカチュウex(雷):有利
現環境の覇者であるピカチュウexに対しては、構造的に有利です。
ピカチュウexデッキは「速攻」と「ベンチ展開」が鍵ですが、メガフシギバナの高耐久を前にすると、その火力が霞んで見えます。最大打点90を連打されたとしても、こちらはきずぐすりや自然回復で受け流すことが可能です。
また、ピカチュウex側はHPが低いため、メガフシギバナの攻撃を一発でも受ければ致命傷になります。焦らずゆっくりと盤面を作れば、まず負けることはありません。
対 ミュウツーex(超):五分〜微有利
ミュウツーexとサーナイトのコンボによる高火力デッキも強敵ですが、十分に戦えます。
ミュウツーexの「サイコドライブ」は強力ですが、連発するにはエネルギーのトラッシュが必要です。一方、こちらはエネルギーを維持しながら殴り続けられるため、リソース勝負(持久戦)に持ち込めば勝機が見えます。
注意点は、相手のナツメによるベンチ狙撃です。育成中のフシギソウが狙われないよう、HP管理を徹底しましょう。
対 リザードンex(炎):不利〜微不利
属性相性上、やはり炎タイプは鬼門です。弱点を突かれると、自慢のHP310もあっという間に溶かされてしまいます。
しかし、絶望的ではありません。リザードンexデッキは進化が必要であり、立ち上がりが遅い傾向にあります。相手がヒトカゲやリザードの段階で、ナツメを使って呼び出し、速攻で倒してしまうプランを取ることで勝率を拾えます。
また、ドレディアなどのサブアタッカーをうまく使い、メガフシギバナを温存する立ち回りも有効です。弱点マッチこそ、プレイヤーの腕が試される瞬間です。
対 ミラー(メガフシギバナ):泥沼の消耗戦
今後増えるであろうミラーマッチ(同キャラ対決)は、まさしく泥沼です。お互いに倒れない、回復し合うという展開になり、ライブラリアウト(山札切れ)も視野に入ります。
この対面で差をつけるのは「ナツメ」と「毒」です。相手の回復が追いつかないほどの毒ダメージを蓄積させるか、ナツメで育成途中のベンチポケモンを狩る。この2点を意識することで、長い戦いに終止符を打つことができます。
まとめ:メガフシギバナは新時代のスタンダードになるか
ここまで、紅蓮ブレイズで登場したメガフシギバナデッキについて解説してきました。
- HP310の耐久力は、これまでのポケポケの常識を変えるレベルであり、生半可な攻撃は全て無効化する。
- フシギソウの特性によるエネ加速が、重量級デッキの欠点である「遅さ」を完全にカバーしている。
- 状態異常と回復を駆使したコントロール戦術は、あらゆるデッキに対して回答を持っている。
- プレイングの幅が広く、使えば使うほど味が出る、玄人好みのデッキに仕上がっている。
正直なところ、このデッキパワーは「調整ミス」を疑うレベルです。今後の環境は、このメガフシギバナを「どう倒すか」を中心に回っていくことになるでしょう。
もしあなたが、今の環境デッキに飽きていたり、圧倒的なパワーで相手をねじ伏せたいと考えているなら、迷わずこのデッキを作成することをおすすめします。生成コストに見合うだけの、いやそれ以上の体験を約束します。
さあ、あなたもこの「緑の要塞」を操り、ランクマッチの頂点を目指してみませんか?対戦画面の向こう側で、メガフシギバナと共にあなたと戦えることを楽しみにしています。
筆者情報
桐谷シンジ フリーランスのゲーム攻略ライター。慶應大学卒業後、大手出版社を経て、現在に至る。幅広いゲームに携わるが、主にRPG/FPS/サンドボックス系のゲームを得意とする。最近の悩みは趣味の時間が取れず、積みゲーが100作品を超えたこと。特にTCGジャンルでは、数字に基づいたロジカルな解析に定評がある。






