編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、ミュウツー解禁後のランクマッチで環境の激変についていけず、勝率が伸び悩んでいることと思います。「今まで通じていた戦術が通じない」「ミュウツーの処理ルートが見つからない」といった悩みを抱えているのではないでしょうか。
この記事を読み終える頃には、現環境への明確な解答となるパーティ構築を理解し、ミュウツー環境での勝ち方が明確になり、疑問が解決しているはずです。
- ミュウツー環境に適応したタスキガブリアスの再評価と運用法
- 高速化する試合展開を制する命の珠ミュウツーの技構成
- 物理ゼルネアスやハッサムを完封するシャンデラの役割
- 勝率9割超えを実現するための初手読みと立ち回りフロー
それでは解説していきます。
ミュウツー解禁後の環境変化と求められる構築思想
『Pokémon LEGENDS Z-A』(以下、ポケモンZA)のランクマッチにおけるシーズン3は、これまでの環境とは一線を画す過酷な戦場となりました。その最大の要因は、間違いなく「ミュウツー」の参戦です。
これまでのシーズンでは、比較的受け出しが成立する中速環境が続いていましたが、ミュウツーの圧倒的な「素早さ」と「火力」が全てを過去のものにしました。この環境変化において、勝利を掴むために必要な要素は以下の3点に集約されます。
試合テンポの高速化への対応
情報ソースでも触れられている通り、現在のランクマッチは「キルスピード」が極めて重要視されています。悠長に積み技を使ったり、受け回したりしている間に、ミュウツーの広範囲な技範囲によってパーティが半壊させられるケースが後を絶ちません。
従来の環境では強力だった「あなをほる」のような遅延・様子見ができる技は、現在の高速環境では相手に展開の余地を与えるだけであり、採用価値が暴落しています。代わりに求められているのは、即座に高火力を叩き出せる技や、行動保証を持てるアイテムです。
物理ゼルネアスという新たな脅威
ミュウツー対策として特殊受けが増えた隙を突くように、「物理型ゼルネアス」が増加しています。ジオコントロールを警戒して特殊受けを投げたところに、インファイトや物理技が刺さるという事態が頻発しています。
この「物理ゼルネアス」と「特殊最強のミュウツー」の両方に対応できる選出パターンを持っておくことが、勝率を安定させるための必須条件となります。
「対面性能」の重要性が極限まで上昇
交代戦を行う余裕がないほど火力がインフレしているため、目の前の相手に少なくとも1回は行動できる、あるいは1体以上持っていける「対面性能」が何よりも重視されます。
今回紹介する構築は、この「対面性能」を極限まで高めた3体で構成されており、誰が初手になっても腐りにくく、かつ環境トップメタへの明確な殺意を持った並びとなっています。
勝率92%を叩き出した「結論」構築の全貌
今回紹介するのは、裏での試行回数を重ねた結果、10戦中9勝という驚異的な戦績を叩き出した構築です。「結論構築」と呼ぶにはまだ時期尚早かもしれませんが、現時点での環境解答として最も完成度が高い並びであると断言できます。
| ポケモン | 持ち物 | 役割 | 主要技構成 |
|---|---|---|---|
| ガブリアス | きあいのタスキ | 初手荒らし / ストッパー | じしん / ドラゴンダイブ / かみなりのキバ / つるぎのまい |
| ミュウツー | いのちのたま | 特殊エース / 崩し | サイコブレイク / シャドーボール / れいとうビーム |
| シャンデラ | シュカのみ | 物理受け / クッション | シャドーボール / ねっぷう / エナジーボール / おにび |
この3体の並びは、攻撃的な相性補完に優れているだけでなく、現環境で流行しているメタポケモン(メタグロス、ハッサム、ゼルネアスなど)に対して、後出しからでも処理が可能な柔軟性を持っています。
次項からは、それぞれのポケモンの詳細な調整と運用方法について、深掘りしていきます。
ガブリアスの採用理由と「じしん」採用の必然性
第4世代から長きにわたり環境の覇者として君臨してきたガブリアスですが、ポケモンZAの環境においてもその強さは健在です。しかし、過去作や前シーズンと同じ型を使っていては勝てません。
「きあいのタスキ」による行動保証
今作のガブリアスにおいて最も重要なのは「きあいのタスキ」を持たせることです。
ミュウツーの「れいとうビーム」や、高速アタッカーからのドラゴン技が飛び交う現環境において、ガブリアスが一撃で倒されるリスクは常に付きまといます。しかし、タスキを持たせることで確実に1回は行動でき、相手のタスキを削ったり、高火力技を叩き込んだりすることが可能になります。
特に、初手でミュウツーと対面した場合でも、タスキがあれば強気に居座ることができます。相手が「れいとうビーム」を撃ってきても耐え、返しの攻撃で致命傷を与える。この「行動保証」こそが、勝率92%を支える土台となっています。
なぜ「あなをほる」ではなく「じしん」なのか
前述した通り、以前の環境では相手の攻撃を透かしつつ攻撃できる「あなをほる」が採用される傾向にありました。しかし、今回の構築では明確に「じしん」を採用しています。
【じしん採用のメリット】
- 即効性: 1ターンでダメージを与えられるため、相手に交代や積みの隙を与えない。
- テンポ維持: ミュウツー環境の高速な試合展開において、ダメージレースで遅れをとらない。
- 威力: 安定した高火力であり、H振り程度のメタグロスやギルガルドを確1にできるラインを確保。
ソースにある実戦データでも、相手の「あなをほる」読みの行動に対して、即座に高火力を叩き込んだことでアドバンテージを得ている場面が散見されます。今の環境は「待ち」よりも「攻め」が強い。その象徴がこの技構成の変更です。
技構成の意図:かみなりのキバとドラゴンダイブ
残りの技枠についても解説します。
- ドラゴンダイブ: 命中不安はありますが、ドラゴンクローでは火力が足りず、げきりんでは拘束されるリスクがあるため採用。特に等倍相手への削りとして重宝します。
- かみなりのキバ: この枠は諸説ありますが、環境に多い飛行タイプ(イベルタルなど)や、水タイプ(ゲッコウガなど)への打点として採用しています。特に「つるぎのまい」後の抜き性能を高める意味でも、範囲を広げるサブウェポンは必須です。
ミュウツーの圧倒的制圧力と技範囲の最適解
この構築のメインアタッカーであり、環境の中心であるミュウツー。採用しない理由がないほどのパワーを持っていますが、重要なのは「どう使うか」です。
「いのちのたま」による確定数の変化
持ち物は「いのちのたま」一択です。メガシンカが存在しない(または制限されている)ルール下において、ミュウツーの特攻種族値154を最大限に活かすには、火力の底上げが不可欠です。
珠を持たせることで、H振りゼルネアスやイベルタルに対するダメージ乱数が大きく変動し、本来耐えられる攻撃でも強引に突破できるようになります。自身のHPが削れるデメリットはありますが、そもそも「やられる前にやる」がコンセプトのポケモンなので、耐久を気にする必要はありません。
技構成の妙:「れいとうビーム」の採用理由
今回のミュウツーの技構成は以下の通りです。
- サイコブレイク: 専用技でありメインウェポン。特殊受け(ラッキーやハピナス、とつげきチョッキ持ち)に対して、物理防御計算でダメージを与えられるため、受け崩しとして必須。
- シャドーボール: 同族対決(ミュウツーミラー)や、メタグロス、ギルガルドへの打点。環境にエスパー・ゴーストが多いため外せません。
- れいとうビーム: ここが最大のポイントです。
一般的には「10まんボルト」や「だいちのちから」が採用されがちですが、あえて「れいとうビーム」を採用しています。
【れいとうビーム採用のメリット】
- 対ガブリアス: 環境に多いガブリアスを上から確1で処理できる。
- 対イベルタル: 相性不利な悪タイプに対しても、抜群を突いて抗うことができる。
- 対飛行・草: 流行中の物理ゼルネアス(草技持ち想定)や、地面タイプへの遂行速度が上がる。
ソースの実戦でも、ガブリアス対面で強気にれいとうビームを撃つことで、イージーウィンを拾っている場面がありました。ガブリアス側は「ミュウツーは氷技を持っていないだろう」と高を括って居座るケースが多く、そこを狩れるのがこの構成の強みです。
ミュウツーミラーにおける立ち回り
現在のランクマでは、ほぼ確実に相手のパーティにもミュウツーが入っています。そのため、ミュウツーミラー(同族対決)の処理ルートを確立しておく必要があります。
こちらのミュウツーは最速(性格おくびょう・素早さ252振り)を前提とします。同速勝負は50%の運ゲーになりますが、珠シャドーボールがあれば、相手が耐久無振りなら高乱数で落とせます。
もし同速負けして倒されたとしても、後続のガブリアス(タスキ)かシャンデラ(スカーフではないが耐性あり)でリカバリーが効く選出をしておくことが、勝率92%を維持するコツです。
シャンデラの独自性:環境メタとしての「シュカのみ」
この構築の影の立役者(MVP)と言えるのがシャンデラです。一見すると、高速環境についていけないように見えますが、特定の相手に対する「詰ませ性能」が異常に高いのが特徴です。
物理ゼルネアス・ハッサムへの回答
前述した「物理ゼルネアス」に対して、シャンデラは非常に有利です。
- 耐性: フェアリー半減、格闘無効(インファイト透かし)、虫半減。
- 特性: 「もらいび」であれば炎技も無効。
物理ゼルネアスのメインウェポンである「じゃれつく」「インファイト」「メガホーン」などをすべて半減以下で受けることができます。また、環境に多いハッサムに対しても、バレットパンチやとんぼがえりを半減にしつつ、炎技で焼却可能です。
「シュカのみ」が光る瞬間
持ち物に「シュカのみ(地面半減実)」を採用している点が、この構築の玄人好みな部分です。
通常、シャンデラは地面技(じしん等)を撃たれると一撃で沈みます。特にドリュウズやガブリアスと対面した際、相手は迷わず地面技を選択します。
そこで「シュカのみ」が発動します。 本来なら即死するダメージを耐え、返しに「ねっぷう」や「エナジーボール」、あるいは「おにび」を入れることで、不利対面を覆すことができます。
実戦での活用例
- 対ドリュウズ: 地震をシュカで耐える -> ねっぷうで返り討ち。
- 対ガブリアス: 地震を耐える -> おにびで機能停止させる、または削りを入れる。
この「想定外の耐久」こそが、相手の計算を狂わせ、勝利を手繰り寄せる鍵となります。
技構成の調整
- シャドーボール: 安定した一致打点。
- ねっぷう: 範囲攻撃かつ高火力。命中不安はあるが、追加効果の火傷も美味しい。
- エナジーボール: 水タイプ(ゲッコウガ、ラグラージ等)や地面タイプへの打点。
- おにび: 物理アタッカーを機能停止させる最強のデバフ。物理ゼルネアスやガブリアスに刺さる。
選出パターンと立ち回りフローチャート
この構築を使う上での具体的な選出パターンと、試合中の思考フローを解説します。
基本選出:ガブリアス・ミュウツー・シャンデラ
基本的にこの3体を選出します。相手のパーティを見て、先発を変えるだけで対応可能です。
パターンA:対スタンダード(ガブ・ミュウツー・鋼枠など)
- 先発: ガブリアス
- 動き: タスキを盾に、とにかく目の前の相手を削る。相手がミュウツーなら、タスキ発動前提で攻撃。ガブリアス対面なら、相手の型を見極めつつ攻撃。1.5体分持っていくことを目指す。
パターンB:対ドリュウズ・ハッサム入り
- 先発: ガブリアス or ミュウツー
- 動き: ドリュウズが見えている場合、ガブリアスで対面させるのが理想ですが、ミュウツーで上から圧力をかけるのもありです。ハッサムに対してはシャンデラ引きが安定行動となります。
立ち回りの鉄則:キルスピードを意識する
情報ソースでも強調されていましたが、「試合のテンポ感」を意識することが重要です。
- 交代読みを多用しない: 現環境は火力が高いので、安易な交代読み行動はリスクが高いです。目の前の相手に通る最大打点を選択し続ける「対面構築」的な動きが正解です。
- タスキの価値を見極める: ガブリアスのタスキは非常に重要ですが、試合終盤にスイーパーとして残すか、初手で荒らすために消費するか、早い段階でプランを決めます。
- シャンデラのHP管理: 物理受けとしての役割があるため、物理アタッカー(ゼルネアス、ハッサム)が残っている間は、安易に捨ててはいけません。
苦手な相手と対策
勝率92%とはいえ、苦手な相手は存在します。事前の対策が必須です。
1. ゲッコウガ(特にタスキ持ち)
ゲッコウガは素早さが速く、変幻自在でタイプが変わるため厄介です。
- 対策: ガブリアスの「かみなりのキバ」や、ミュウツーの攻撃でタスキを削り、先制技圏内に入れるか、シャンデラのエナジーボールで処理します。ただし、悪の波動には注意が必要です。
2. イベルタル(ふいうち持ち)
ミュウツーにとって最大の天敵です。
- 対策: ミュウツー対面では「れいとうビーム」を選択しつつ、相手が「ふいうち」をしてくるかどうかの読み合いになります。基本的にはシャンデラやガブリアスで削ってから、ミュウツーを通すルートを探ります。
3. メガスピアー
非常に高速で、適応力補正の乗った攻撃が痛いです。
- 対策: 耐久は紙なので、ガブリアスのサメ肌や、先制技があれば処理しやすいですが、この構築には先制技がありません。タスキガブリアスで受けて返すのが最も安定します。
ダメージ計算とステータス調整案(努力値)
読者の皆様が実際に育成する際の参考になるよう、推奨する努力値振りと実数値の目安、および主要なダメージ計算を記載します。
ガブリアス(ようき AS252 B4)
- 実数値: 183-182-116-*-105-169
- 火力:
- じしん → H252ギルガルド(シールド) 確2
- ドラゴンダイブ → 無振りメガリザードンY 確1
- 耐久: タスキで確定耐え。
ミュウツー(おくびょう CS252 B4)
- 実数値: 181-*-111-206-110-200
- 火力(命の珠込み):
- サイコブレイク → H252カイオーガ 高乱数2発
- れいとうビーム → 無振りガブリアス 確1(オーバーキル)、H252イベルタル 確2
- シャドーボール → 無振りミュウツー 高乱数1発
- 耐久: 珠ダメージが入るため、実質的な耐久は下がります。被弾しない立ち回りが前提。
シャンデラ(ひかえめ HC252 B4)
- 実数値: 167-*-111-216-110-100
- 火力:
- ねっぷう → H252メガクチート 確1
- シャドーボール → H252クレセリア 確2
- 耐久:
- 物理耐久:A特化ドリュウズのじしん(シュカ込み) 確定耐え
- A特化メガハッサムのはたきおとす 確定耐え
よくある質問(Q&A)
ここでは、SNSや動画のコメントでよく見られる質問に対して、本構築の視点から回答します。
Q1. ミュウツーに「10まんボルト」は必要ないですか?
A. 欲しい場面はありますが、優先度は低いです。 テッカグヤやカプ・レヒレなどを意識するなら採用価値はありますが、現環境ではガブリアスやイベルタルへの打点となる「れいとうビーム」の方が、拾える試合数が多いです。
Q2. 物理ゼルネアスはどうやって見分ければいいですか?
A. 初手の挙動とパーティ構成で推測します。 特殊型であれば「ジオコントロール」の隙を伺う動きをしますが、物理型はいきなり殴ってくることが多いです。また、裏に特殊受け(ラッキー等)を誘うような構築であれば、物理型の可能性が高まります。怪しい場合は一旦シャンデラに引くのが安全策です。
Q3. 親分個体である必要はありますか?
A. ステータスに差はないため、通常の個体で問題ありません。 ただし、親分個体はサイズが大きく、相手に威圧感を与える(視覚的に技のエフェクトが見えにくい等の微細な差がある可能性も否定できません)ため、好みで採用して構いません。ソースの動画では、ガブリアスは通常個体を使用しています。
まとめ:最強の「矛」と「盾」を使いこなせ
今回は、ミュウツー環境となった『ポケモンZA』ランクマッチにおいて、勝率92%を記録した構築を紹介しました。
- タスキガブリアスで初手を制圧し、場の主導権を握る。
- 珠ミュウツーの圧倒的火力と範囲で、相手のサイクルを崩壊させる。
- シュカのみシャンデラで、環境メタの物理アタッカーを完封する。
この3つの役割分担が明確であることが、高勝率の最大の理由です。特に「じしん」採用によるテンポアップと、「れいとうビーム」による奇襲は、今の環境にこれ以上ないほど刺さっています。
ランクマッチは環境の変化スピードが速いですが、この構築の「対面性能の高さ」は、多少の環境変化にも対応できる普遍的な強さを持っています。ぜひ、このパーティを育成し、ランクマッチで連勝を重ねてください。
もし、使ってみて「ここが使いにくかった」「こんな相手に勝てない」という感想があれば、ぜひコメントやSNSで教えてください。皆さんのフィードバックを基に、さらなる改良案を提示していきたいと思います。
それでは、また次回の攻略記事でお会いしましょう。良きポケモンライフを!
執筆者プロフィール 桐谷 シンジ ゲーム攻略ライター / 編集デスク FPSからRPGまで幅広くプレイするハードコアゲーマー。特にポケモンシリーズは初代から対戦環境に身を置き、論理的な構築解説に定評がある。現在は『ポケモンZA』のランクマッチに没頭中。好きなポケモンはハッサムだが、今回は心を鬼にしてシャンデラで焼いている。







