編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、待望のシーズン3で解禁された「ジガルデ」のあまりの不甲斐なさ、そしてランクマッチ環境での立ち位置が気になっていると思います。
最強格であるはずの「秩序の監視者」が、なぜここまで酷評されているのか。単なるネガティブキャンペーンなのか、それともシステム的な欠陥なのか。
この記事を読み終える頃には、ジガルデを取り巻く環境の全貌と、今後の運用の可能性についての疑問が解決しているはずです。
- 発動条件が厳しすぎるスワームチェンジの仕様
- 環境トップであるガブリアスとの役割被り
- 伝説枠を争うゼルネアスとの圧倒的な格差
- 乱戦形式におけるヘイト管理の難易度
それでは解説していきます。
シーズン3開幕とジガルデ参戦の衝撃
『ポケモンレジェンズ Z-A(PLZA)』のランクマッチ「ZAバトルクラブ」も、いよいよシーズン3に突入しました。この新シーズンの目玉は何と言っても、カロス地方の伝説ポケモン「ジガルデ」の参戦解禁です。
これまで、カロスの生態系を守る監視者としてストーリー上では圧倒的な存在感を放っていたジガルデ。多くのトレーナーが「パーフェクトフォルムによる環境崩壊」や「専用技による無双」を夢見ていました。特に、前作までの対戦環境を知る古参プレイヤーほど、その耐久力と制圧力に期待を寄せていたことでしょう。
しかし、蓋を開けてみればどうでしょうか。SNSや動画サイト、そして攻略掲示板には「ジガルデが弱い」「期待外れ」「調整ミス」といった落胆の声が溢れかえっています。かつての威厳はどこへやら、フィールドでは他の一般ポケモンにすら後れを取る姿が散見される事態となりました。
なぜ、これほどまでに評価が低いのか。私の手元にあるデータと、実際にランクマッチを100戦以上こなして見えてきた「現実」をベースに、その理由を深掘りしていきます。
期待された「パーフェクトフォルム」への高いハードル
まず、ジガルデ最大の特徴であり、強さの源泉である「パーフェクトフォルム」への変身(フォルムチェンジ)について触れなければなりません。
ジガルデは特性「スワームチェンジ」によって、HPが半分以下になった際に50%フォルムからパーフェクトフォルムへと姿を変えます。変身後はHP種族値が倍増し、圧倒的な耐久力を得ることができるシステムです。
理論上は最強です。しかし、PLZAのランクマッチ環境、特に今作特有のシームレスなバトルシステムにおいて、この「HPが半分になるまで耐える」という条件が、致命的な欠陥となっているのです。
多くのトレーナーが指摘している通り、「変身する前に落とされる」ケースが頻発しています。
今作の火力インフレは凄まじく、HP半分を切った瞬間に発動する回復ギミックや、割り込み行動が間に合わない場面が多いのです。特に、弱点を突かれた場合、50%フォルムの耐久では一撃で瀕死まで持っていかれることも珍しくありません。「半分耐えて変身」ではなく「一気に0まで削られる」のが現実です。
持ち物固定による戦略の硬直化
さらに追い打ちをかけるのが、フォルムチェンジに関連する「持ち物」の制限です。
本来、耐久型のポケモンであれば「たべのこし」や「オボンのみ」を持たせて場持ちを良くしたいところです。あるいは「きあいのタスキ」で確実に行動保証を得るのも定石でしょう。
しかし、今作の仕様では、ジガルデがパーフェクトフォルムを十全に扱うため、あるいは専用技の威力を確保するために特定のアイテム(ジガルデキューブ的な役割を果たすものや、メガストーン枠のアイテム)にスロットを割く必要があります。
これが何を意味するか。
「回復ソースがない状態で、相手の猛攻をHP半分まで耐えなければならない」という、極めてシビアな立ち回りを強要されるのです。
「メガシンカ」扱いであるならば、レックウザのように「ガリョウテンセイ(技)」だけで進化できれば、持ち物の自由度があったはずです。しかし、ジガルデは持ち物枠を圧迫されているため、柔軟なカスタマイズができません。これが「弱い」と言われる大きな要因の一つです。
乱戦形式で集中砲火を浴びる「ヘイト」の問題
PLZAのバトルクラブは、従来の1対1の対面構築だけでなく、複数のポケモンが入り乱れる乱戦形式(バトルロイヤル形式)が採用されることもあります。
この形式において、ジガルデは非常に「目立つ」存在です。
「HPが減ったら強くなる(変身する)」ことが相手全員に周知されているため、対戦相手の思考はどうなるでしょうか。「変身されると厄介だから、変身ライン(HP50%)を踏ませずに、全員で集中攻撃して一気に落とそう」という共通認識が生まれます。
結果、フィールドに出た瞬間に3方向から攻撃が飛んできて、何もできずに退場する。これが「ジガルデ狩り」の実態です。
皮肉なことに、潜在能力が高いがゆえに、最も警戒され、最も迅速に処理される対象となってしまっているのです。
環境を支配する「ガブリアス」という巨大な壁
ジガルデの評価を下げる外的要因として、絶対に無視できない存在がいます。それが「ガブリアス」です。
シンオウ地方のチャンピオンのエースであり、長年対戦環境の王として君臨してきたガブリアス。PLZAにおいてもその強さは健在どころか、さらに磨きがかかっています。
問題は、ジガルデとガブリアスの「タイプ被り」です。
ドラゴン・じめんタイプの宿命
両者ともに「ドラゴン・じめん」タイプ。攻撃範囲は優秀ですが、弱点も完全に一致しています。特に「こおり」タイプが4倍弱点、「フェアリー」「ドラゴン」が2倍弱点です。
現在のランクマ環境は、トップメタであるガブリアスを対策するために回っていると言っても過言ではありません。
- ガブリアスを上から殴れる高速アタッカー(氷技持ち)
- ガブリアスの逆鱗を無効化するフェアリータイプ
- ガブリアスの地震を透かせる浮遊・飛行タイプ
どのパーティも、親の敵のように「対ガブリアス」の準備をしています。
そこに、同じ弱点を持つジガルデを投入するとどうなるか。ガブリアス対策として用意された「つららおとし」や「ムーンフォース」、「マジカルシャイン」が、そのままジガルデに突き刺さるのです。
ガブリアス対策の「ついで」に処理される。これがジガルデ使いにとって最も屈辱的であり、かつ頻繁に起こる現象です。
素早さと火力の決定的な差
「タイプが同じでも、差別化できればいい」と考えるかもしれません。しかし、基本スペックにおいて、使いやすさはガブリアスに軍配が上がります。
ガブリアスは素早さ種族値「102」という絶妙なラインを持っており、多くの激戦区を抜くことができます。一方、ジガルデ(50%)の素早さは「95」。この差はあまりにも大きいです。
環境に多い「素早さ100族」のポケモンたちに対して、ガブリアスは先手を取れますが、ジガルデは後手に回ります。この「先に行動できるか否か」が、被弾回数に直結し、結果として変身前の生存率を大きく下げています。
さらに、ガブリアスは通常特性「さめはだ」による定数ダメージ稼ぎや、シンプルに高い攻撃力からの「じしん」連打が強力です。変身という手間をかけずとも、出した瞬間から最大火力を出せるガブリアスに対し、条件をクリアしないと真価を発揮できないジガルデ。
短期決戦になりがちな今の環境では、スロースターターであるジガルデはあまりにも分が悪いと言わざるを得ません。
「鹿」ことゼルネアスの圧倒的支配力
ジガルデの採用を躊躇させる最大の理由は、実はガブリアスではなく、同じ伝説枠を争う「ゼルネアス」の存在かもしれません。
ネット上では「鹿」「奈良公園の主」などと呼ばれ恐れられているゼルネアス。その強さは、シーズン3でも圧倒的です。
伝説枠の奪い合いと機会損失
ランクマッチでは、パーティに入れられる伝説のポケモンの数に制限があります(現在は1体制限のルールが主流)。つまり、ジガルデを採用するということは、必然的に「ゼルネアスを採用しない」ことを意味します。
ゼルネアスは、専用技「ジオコントロール」によって特攻・特防・素早さを一気に2段階上昇させることができます。パワフルハーブを持たせれば1ターンで発動可能。一度積んでしまえば、そこからは「ムーンフォース」や「マジカルシャイン」を連打するだけで相手パーティが半壊、あるいは全壊します。
操作がシンプルで、勝ち筋が明確。初心者から上級者まで、誰が使っても強い。それがゼルネアスです。
一方、ジガルデはどうでしょうか。
- 相手の攻撃を耐える
- HP調整をする
- 変身する
- そこから反撃を開始する
勝つまでのプロセスが多すぎます。ゼルネアスがボタン一つで勝利を手繰り寄せている横で、ジガルデ使いは綱渡りのようなHP管理を強いられるのです。「ゼルネアスを使えばもっと楽に勝てるのに、なぜわざわざ苦労してジガルデを使うのか?」という自問自答は、トレーナーの精神を削ります。
フェアリー環境という逆風
ゼルネアスが環境トップにいるということは、環境全体が「フェアリー技」で溢れていることを意味します。
ゼルネアス自身が放つ高火力のフェアリー技はもちろん、ゼルネアス対策として相手が選出する鋼タイプや毒タイプに対抗するために、サブウェポンとして地面技の需要も高まっています。
一見、地面タイプを持つジガルデにとって鋼・毒の増加は有利に見えますが、それ以上に「飛び交うムーンフォースの流れ弾」に当たる事故が多発します。
ゼルネアスの「マジカルシャイン」は全体攻撃です。乱戦において、隣のポケモンを狙った攻撃に巻き込まれ、抜群ダメージを受けて退場するジガルデの姿は、もはや様式美と化しています。
実際のステータスと使用感の乖離を検証
ここで、具体的な数字を見ながら、なぜ使用感が悪いのかを検証してみましょう。以下は、レベル50時の実数値を想定した比較表です。
| ポケモン | HP | 攻撃 | 防御 | 特攻 | 特防 | 素早 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ジガルデ(50%) | 215 | 120 | 141 | 101 | 115 | 115 | 耐久は高いが火力不足・鈍足気味 |
| ジガルデ(P) | 323 | 120 | 141 | 111 | 115 | 105 | HP倍増で要塞化。Sは下がる |
| ガブリアス | 183 | 182 | 115 | 100 | 105 | 169 | 高速高火力。無駄のない配分 |
| ゼルネアス | 201 | 151 | 115 | 183 | 118 | 119 | ジオコンでCDSが2倍になる化け物 |
※数値は個体値31、努力値振りなどを考慮した概算イメージです。PLZA独自の調整が入っている可能性があります。
パーフェクトフォルムになれば強いのか?
表を見ればわかる通り、パーフェクトフォルム(P)になればHPが跳ね上がり、驚異的な耐久指数となります。しかし、攻撃種族値自体は50%フォルムから劇的には伸びません。
ここに大きな落とし穴があります。
変身して耐久が上がっても、「相手を一撃で倒す火力」が手に入るわけではないのです。回復手段に乏しいジガルデは、変身後もジリ貧になるケースがあります。
専用技「コアパニッシャー」や「グランドフォース」は強力ですが、決定力という点では、ジオコントロールを積んだゼルネアスの破壊力や、鉢巻ガブリアスの瞬発力には及びません。
「硬いけれど、倒しきれない」。そして「硬いからこそ、相手に放置されて詰め筋を消される」あるいは「集中砲火で数の暴力に屈する」。これがジガルデの現状です。
必殺技「コアパニッシャー」の使い勝手
情報ソースの中で「無二キス光」「ムニキス」などと揶揄されている技、おそらくこれはジガルデの象徴的な技であるビーム攻撃、すなわち「コアパニッシャー(あるいはそれに準ずる新技)」を指していると思われます。
この技、エフェクトは派手で、決まれば相手の特性を消すなどの追加効果もあり非常に強力です。
しかし、発動の隙が大きい、あるいは命中不安があるのか、ユーザーからは「撃てれば強いが、撃つ前に死ぬ」「ロマン砲」という評価を下されています。
特にアクション性の高いPLZAのバトルにおいて、足を止めて撃つタイプの技は、格好の的になります。ビームをチャージしている間に、高速アタッカーであるドラパルトやメガスピアーなどに懐に入り込まれ、致命傷を負うシーンが目に浮かびます。
それでもジガルデを使いたい人への光明
ここまで散々にこき下ろしてきましたが、ジガルデが完全に「産廃」なのかと言えば、そうではありません。扱いが難しいだけで、ハマれば強いポテンシャルは秘めています。
ここからは、現在の逆風環境でジガルデを輝かせるための運用方法を模索します。
「とぐろをまく」耐久型の復権
安直なフルアタ構成ではなく、積み技「とぐろをまく」を採用した物理受け型に活路があります。
攻撃・防御・命中率を同時に上げるこの技は、ジガルデの性能と非常にマッチしています。ガブリアスとの差別化点としても優秀です。
- 死に出しや有利対面で場に出す。
- 相手の交代際や甘い攻撃に合わせて「とぐろをまく」。
- 防御が上がった状態で攻撃を受け、HP半分以下で変身。
- 要塞化した状態で「サウザンアロー」等で制圧する。
このフローであれば、変身時の事故死を減らしつつ、火力不足も補えます。「ねむる」と「カゴのみ」が使えない(専用アイテム縛りの場合)のが痛いですが、味方のサポート(壁張りや回復技)があれば、不沈艦として機能するでしょう。
「サウザンアロー」の一貫性
ジガルデ最大の武器は、実はパーフェクトフォルムではなく、専用技「サウザンアロー」の性能にあります。
この技は地面技でありながら、「浮いているポケモンにも当たる」上に「撃ち落とす」効果があります。つまり、本来地面技を透かしてくる飛行タイプや特性「ふゆう」のポケモンに対しても、等倍以上でダメージを通せるのです。
環境に多いサンダーや、風船持ちのヒードラン、そして何より、対策必須のアーマーガアに対して、交代読みなどをせずとも地面技を連打できるのは、ガブリアスにはない圧倒的な利点です。
「何も考えずに地面技を撃てる」というストレスフリーな攻撃性能を押し付けていくのが、ジガルデ使いの嗜みと言えるでしょう。
ダブルバトル・乱戦での「睨み」性能
シングルバトルでは集中砲火を浴びやすいですが、味方との連携が取れるダブルバトルや、ヘイト管理ができるパーティ構成なら話は変わります。
特性「オーラブレイク」が機能する場合、ゼルネアスやイベルタルの火力を削ぐことができます。相手の伝説枠を腐らせる「デバフ役」として割り切るのも一つの手です。
また、「へびにらみ」による麻痺撒きサポートも優秀です。命中100%で相手を麻痺にできるこの技は、地面タイプには無効化されない(第7世代以降の仕様に準拠する場合)ため、高速アタッカーを機能停止に追い込むことができます。
自分がエースになるのではなく、「盤面を整える支配者」としてのロールプレイを徹底することで、勝率はグッと上がるはずです。
今後のアップデートとDLCへの期待
現状の評価は厳しいものですが、ポケモン対戦の歴史は「環境の変化」の歴史です。
情報ソースにもある通り、今後のDLC(ダウンロードコンテンツ)で追加されるポケモンや、技の調整によって、ジガルデの評価が一変する可能性は十分にあります。
カプ・シリーズ等の参戦
もし、アローラ地方の守り神「カプ・シリーズ」が解禁されれば、フィールド効果によって環境が変わります。特に、状態異常を防ぐミストフィールドや、先制技を防ぐサイコフィールドの展開は、鈍足なジガルデにとって追い風になる可能性があります(ミストフィールドはドラゴン技半減のデメリットもありますが)。
新教え技・アイテムの追加
歴代の「マイナーチェンジ版」やDLCでは、既存ポケモンを救済するための新技や専用アイテムが追加されるのが通例です。
例えば、ジガルデ専用の持ち物で「変身条件を緩和する」あるいは「変身しなくても専用技の威力が上がる」といった効果を持つものが実装されれば、一気にトップメタに躍り出るでしょう。
また、現環境で暴れているゼルネアスやガブリアスに対する明確なメタポケモン(強力な鋼・フェアリー複合など)が登場すれば、相対的に彼らの数が減り、ジガルデが動きやすくなる未来も見えます。
まとめ
今回の記事では、シーズン3で話題となっている「ジガルデ弱い説」について、その背景と理由を徹底的に解説してきました。
期待値が高すぎた反動もありますが、システム面での逆風が凄まじいことがお分かりいただけたかと思います。
- 変身のタイムラグが致命的:高火力環境ではHP半分で耐えることが難しく、変身前に倒される事故が多発している。
- ガブリアスの完全劣化になりがち:タイプ被りと素早さの差により、ガブリアス対策の流れ弾で処理されてしまう。
- ゼルネアスの壁が厚い:お手軽最強のゼルネアスを差し置いてまで採用するメリットを見出すのが難しい。
- 希望は残されている:「サウザンアロー」の一貫性や耐久型としての運用、そしてDLCによる環境変化に期待。
現状のランクマ、特に「ZAバトルクラブ」の無法地帯ぶりを考えると、ジガルデが「秩序」を取り戻すには、まだ少し時間がかかりそうです。
しかし、使い手が少ない今だからこそ、読まれない「とぐろ型」や「麻痺撒き型」で意表を突き、環境トップを食う快感は格別です。流行りに流されず、愛を持ってこの緑の監視者を使い続けるトレーナーこそが、真の「ジガルデ・セル」なのかもしれません。
さあ、皆さんもボックスの隅で眠っているジガルデを叩き起こして、奈良公園(ゼルネアス環境)に一石を投じてみてはいかがでしょうか?
(文:桐谷シンジ)







