編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、話題の新作シム「Project Motor Racing」に実際にどのようなマシンが収録されているのか、ライバル作品と比べてどうなのかが気になっていると思います。
特に、発売前から「原点回帰」を謳っていた本作が、グランツーリスモやForzaといった巨大タイトルとどう戦おうとしているのか、その戦略は車種リストに色濃く反映されています。
この記事を読み終える頃には、Project Motor Racingの収録車種の全貌と、その選定理由、そしてあなたがこのゲームを買うべきかどうかの疑問が解決しているはずです。
- 厳選された70台以上の濃密な収録車種
- GTR2のDNAを継ぐ硬派なクラス構成
- 現代GT3から伝説のグループCまで網羅
- ライバル作品とは異なる物理挙動への特化
それでは解説していきます。
Project Motor Racing 収録車種の全体像と特徴
ついにリリースされたStraight4 Studiosの最新作、Project Motor Racing。 私も早速ハンドルコントローラーを設置して走り込んでいますが、まず最初に多くのユーザーが気になるのは「一体何台の車で走れるのか」という点でしょう。
結論から申し上げますと、リリース時点での収録台数は約70台以上となっています。
「えっ、グランツーリスモ7は500台以上あるのに?」と思った方もいるかもしれません。 しかし、ここで数字だけを見て判断するのは早計です。
本作のCEOであるイアン・ベル氏は、かつて伝説的なレースシム「GTR 2」を手掛けた人物です。 彼の哲学は「量より質」、そして「特定のカテゴリーにおける究極のリアリティ」にあります。
本作は、2004年・2005年のFIA GT選手権へのオマージュを捧げつつ、現代のGT3やLMDh、そして往年のグループCカーを組み合わせた、非常に「モータースポーツファン向けの」ラインナップになっているのが最大の特徴です。
少数精鋭主義が生み出すリアリティ
私が実際にプレイして感じたのは、1台1台の作り込みの深さが尋常ではないということです。
70台という数字は、裏を返せば「70台すべての挙動エンジン(物理演算)を完璧に調整しきれる限界の数字」とも言えます。
本作では、GIANTS Softwareのグラフィックエンジンと、独自の「Hadron」物理エンジンを組み合わせています。 さらに、元「ザ・スティグ」として知られるベン・コリンズ氏がハンドリングの監修を行っているため、車の挙動一つ一つに強烈な個性が宿っています。
数百台の車を収録する場合、どうしても似たような挙動の車が出てきたり、コピペのような内装の車が含まれてしまうことがありますが、Project Motor Racingには「捨て車」が存在しません。 すべての車が主役級の扱いを受けているのです。
時代を超えたクラスミックスの魅力
収録車種の年代がバラバラであることも、本作のユニークな点です。
最新の2024年モデルのGT3マシンがあるかと思えば、1980年代後半のグループCカー、さらには1970年代のスポーツカーまでが含まれています。
これは単なる寄せ集めではありません。 「レースシムとして走らせて楽しい車」という基準で厳選された結果です。
特に、往年の名作「GTR 2」ファンにとっては涙が出るような懐かしいラインナップ(FIA GT時代のGT1マシンなど)が含まれており、開発陣の「わかっている感」が伝わってきます。
次章からは、具体的なクラスごとの詳細な車種リストを見ていきましょう。
全収録車種リスト詳細とクラス別解説
それでは、現在確認されているProject Motor Racingの全車種をクラス別に紹介し、私の解説を交えて深掘りしていきます。 あなたの好きなマシンが含まれているか、ぜひチェックしてみてください。
グループC(Group C)
モータースポーツの歴史において、最も速く、最も危険で、最も美しいと言われた時代。 それがグループCです。 本作でもその圧倒的なパワーとダウンフォースは健在です。
- ジャガー XJR-9 (1990)
- マツダ 787B (1991)
- メルセデス・ベンツ・ザウバー C9 (1989)
- 日産 R89C (1989)
- ポルシェ 962C
【解説】 やはり注目は「マツダ 787B」でしょう。 4ローターエンジンの甲高いサウンドは、本作のサウンドエンジンの優秀さを確かめるのに最適です。 また、ザウバーC9やポルシェ962Cといったル・マンの覇者たちが揃っており、これらを現代の物理エンジンで振り回せるのは至福の体験と言えます。 他作品と比べても、グループCの挙動の「怖さ」がしっかりと表現されています。
GT1(FIA GT選手権 黄金期)
かつてスーパーカーをベースにしたモンスターマシンたちが覇を競ったGT1クラス。 「GTR 2」の精神的続編とも言える本作において、最も重要なカテゴリーかもしれません。
- ロータス・エリーゼ GT1
- メルセデス・ベンツ CLK GTR
- 日産 R390 GT1
- ポルシェ 911 GT1-98
- パノス エスペランテ GTR-1
- トヨタ GT-One (TS020)
【解説】 このリストを見て興奮しないレースゲームファンはいないでしょう。 特に「パノス エスペランテ GTR-1」のような、フロントエンジンの異形のマシンが収録されているのが渋いです。 トヨタGT-Oneや日産R390など、日本のル・マン挑戦の歴史を彩ったマシンもしっかりと抑えられています。 メルセデスCLK GTRの地面に張り付くような安定感と、そこから限界を超えた時のピーキーさは必見です。
GT(伝説のFIA GTカー)
2000年代中盤のGTカーたちです。 アメリカンマッスルからイタリアのエキゾチックカーまで、個性の塊のような車たちが揃っています。
- アストンマーティン DBR9
- シボレー コルベット C5-R
- シボレー コルベット C6.R (2005)
- クライスラー バイパー GTS-R (2003)
- ランボルギーニ・ムルシエラゴ R-GT
- リスター・ストーム
- マセラティ MC12 GT-R
- サリーン S7-R
【解説】 マセラティMC12 GT-RとサリーンS7-Rの対決は、当時のレースシーンを象徴するものでした。 また、独特のスタイルを持つ「リスター・ストーム」が入っているあたりに、開発陣のこだわりを感じます。 V12サウンドのムルシエラゴR-GTも、その音だけでご飯が食べられるレベルの仕上がりです。
GT3(現代レースの主役)
現在のモータースポーツシーンで最も人気のあるカテゴリー。 eスポーツの大会でもメインとなるクラスですので、各メーカーの最新モデルが投入されています。
- アキュラ NSX GT3 エボ (2022)
- アストンマーティン ヴァンテージ GT3 (2022)
- アストンマーティン ヴァンテージ GT3 エボ (2024)
- アウディ R8 LMS GT3 エボ 2
- BMW M3 GT3 エボ (2025)
- シボレー コルベット Z06 GT3.R (2023)
- フォード マスタング GT3 (2023)
- ランボルギーニ ウラカン GT3 EVO2 (2022)
- メルセデスAMG GT3 (2020)
- ポルシェ 911 GT3 R (992.1) (2023)
【解説】 最新の2024年・2025年モデルが含まれているのがポイントです。 特にBMW M3 GT3 Evo (2025)やマスタングGT3といった、他のゲームではまだDLC扱いになりそうな最新鋭機がデフォルトで使えるのは大きなアドバンテージです。 アセットコルサ・コンペティツィオーネをやり込んでいるプレイヤーにとっても、挙動の違いを楽しむ良い比較対象になるでしょう。
GT4(エントリークラスの激戦区)
市販車に近い外観と性能で、ジェントルマンドライバーにも人気のGT4クラス。 扱いやすさとバトルの楽しさが魅力です。
- アルピーヌ A110 GT4 (2020)
- アストンマーティン ヴァンテージ GT4 (2022)
- アウディ R8 GT4 (2020)
- BMW M4 GT4 エボ (2025)
- シボレー カマロ ZL-1 GT4 R (2017)
- フォード マスタング GT4 (2024)
- メルセデスAMG GT4 (2020)
- 日産 Z GT4 (2023)
- ポルシェ 718 ケイマン GT4 クラブスポーツ (2020)
- トヨタ GR スープラ GT4 エボ (2023)
【解説】 日本のユーザーとしては「日産 Z GT4」と「トヨタ GR スープラ GT4 エボ」の収録が嬉しいところです。 GT3よりもスピード域が低い分、サイドバイサイドのドッグファイトが起きやすく、オンライン対戦でも盛り上がるクラスになるでしょう。
LMDh / LMH(ハイパーカークラス)
WEC(世界耐久選手権)やIMSAのトップカテゴリー。 ハイブリッドシステムを搭載した最新のプロトタイプカーたちです。
- アキュラ ARX-06 (2023)
- アルピーヌ A424 ベータ (2024)
- アストンマーティン ヴァルキリー ハイパーカー (2025)
- BMW M ハイブリッド V8 (2023)
- キャデラック Vシリーズ.R (2023)
- ランボルギーニ SC63 LMDH (2024)
- プジョー 9X8 (2024)
- ポルシェ 963 (2023)
- トヨタ GR010 ハイブリッド (2023)
【解説】 ル・マン24時間レースを制した「トヨタ GR010」はもちろん、ウイングレスのデザインが話題を呼んだ「プジョー 9X8」も収録。 さらにはランボルギーニのル・マン参戦マシン「SC63」まで入っています。 これらの最新プロトタイプカーを一度に比較試乗できるゲームは、現時点ではかなり貴重です。
その他の注目クラス
【LMP900 / LMP1(2000年代初頭のプロトタイプ)】
- アウディ R8 LM900 (2002)
- BMW V12 LMR (1999)
- パノス LMP-1 ロードスターS (1999) など。 BMW V12 LMRのような、美しさと速さを兼ね備えたオープンプロトタイプは走らせていて非常に気持ちが良いです。
【IMSA GTO(80年代アメリカの怪物たち)】
- アウディ 90 クワトロ IMSA GTO (1989)
- マツダ RX-7 (1989)
- 日産 300 ZX ターボ GTO (1989) など。 ワイドボディに強烈なターボパワー。 繊細な操作よりも「踏んで曲げる」豪快なドライビングが求められます。 アウディ90クワトロの独特な排気音も再現されています。
【ワンメイク・その他】
- ポルシェ 911 GT3 カップ (992)
- マツダ MX-5 (ND) カップカー
- プラガ ボヘマ (トラックデイ枠)
入門カテゴリーとして最適なマツダMX-5(ロードスター)のカップカーも収録されており、ドライビングスキルの基礎を磨くのに最適です。
DLC(ダウンロードコンテンツ)での追加車両
予約特典やDLCとして、以下の車両もラインナップされています。
【GTE Decade Pack】
- BMW M8 GTE (2020)
- シボレー コルベット C7.R / C8.R
- フォード GT LM GTE (2020)
- ポルシェ 911 RSR GTE (2020) など。 ル・マンでお馴染みのGTEクラスのマシンたちです。 ポルシェ911 RSRのミッドシップレイアウトによる絶妙なバランスは、一度味わうと病みつきになります。
【Group 5 Revival Pack】
- 日産 スカイライン スーパーシルエット (1982)
- ポルシェ 935/80 (1979)
- BMW 320 ターボ グループ5 など。 いわゆる「シルエットフォーミュラ」と呼ばれる時代のマシン。 見た目の派手さだけでなく、ターボラグのある難しい挙動も再現されています。
ライバル作品との車種数・傾向比較
さて、ここからが本題です。 Project Motor Racingの約70台という数字は、他のメジャーなレースゲームと比較してどのような立ち位置になるのでしょうか。
以下の表に、主要なライバル作品との比較をまとめました。
| タイトル | およその収録車種数 | 車種の傾向 | ターゲット層 |
|---|---|---|---|
| Project Motor Racing | 約70台+ | レーシングカー特化 (GT, Proto) | 硬派なシムレーサー、GTR2ファン |
| グランツーリスモ 7 | 500台以上 | 市販車からレースカーまで全方位 | 初心者からマニアまで幅広い層 |
| Forza Motorsport (2023) | 500台以上 | 市販車多め、改造の自由度が高い | 走りとカスタムを楽しみたい層 |
| Assetto Corsa Competizione | 約40台+ (DLC含) | GT3・GT4クラスに特化 | 競技志向のeスポーツプレイヤー |
vs グランツーリスモ7
「グランツーリスモ7(GT7)」は、自動車の百科事典のようなゲームです。 コンパクトカーからミニバン、最新のスーパーカー、そしてビジョンGTという架空車まで網羅しています。 「車を集める楽しみ」「歴史を知る楽しみ」においては、GT7に軍配が上がります。
一方で、Project Motor Racingは「戦うための車」に絞っています。 市販のヤリスやフィットで買い物に行くような車は入っていません。 その代わり、レーシングカーのタイヤモデルやダウンフォースの計算、サスペンションの挙動に関しては、GT7よりもさらに尖った、シミュレーター寄りの調整が施されています。 「色々な車を眺めたい」ならGT7、「本気のレースカーの挙動と格闘したい」ならProject Motor Racingという棲み分けになります。
vs Forza Motorsport
「Forza Motorsport」もGT7同様に膨大な車種を誇りますが、こちらは「車のアップグレードや改造」に重きを置いています。 エンジンを載せ替えたり、エアロパーツを付けたりする楽しさがあります。
対してProject Motor Racingには、極端な改造要素はありません。 あくまで「実在するレーシングカーのセッティング(足回りやギア比など)を詰める」という、実際のレーシングチームのエンジニアのような楽しみ方がメインです。 遊びの幅広さではForzaですが、レース体験の密度ではProject Motor Racingが勝負を挑んでいる構図です。
vs Assetto Corsa Competizione (ACC)
最も比較対象として近いのは「Assetto Corsa Competizione(ACC)」でしょう。 ACCはGT3とGT4に特化した超硬派シムとして君臨しています。
Project Motor Racingは、このACCの領域に「多様性」を持ち込みました。 ACCは基本的に現代のGTカーしか走れませんが、Project Motor RacingならグループCや往年のGT1マシンでのレースも可能です。 「ACCの物理挙動は好きだけど、もっと昔の車やプロトタイプカーも運転したい」という層にとって、本作はまさに渡りに船と言える存在です。
Project Motor Racingの車種傾向から見える「意図」
この車種リストを深掘りしていくと、開発チームの明確なメッセージが見えてきます。
1. 「Ferrari(フェラーリ)」の不在
鋭い方ならお気づきでしょうが、このリストにはイタリアの赤い跳ね馬、「フェラーリ」の名前がありません。 499P(ル・マン優勝車)や296 GT3など、収録されてしかるべきマシンがないのです。
これはおそらくライセンス契約の問題、あるいは将来的な大型DLCの目玉として温存されている可能性があります。 ネット上のコミュニティでも「フェラーリがいないのは寂しい」「499Pが来れば完璧なのに」といった声が多く上がっています。 現状ではランボルギーニやマセラティがイタリア車枠を支えていますが、今後のアップデートでフェラーリが追加されるかどうかが、本作の評価を左右する大きなポイントになるでしょう。
2. 「没入感」へのこだわり
リストの中に「トラックデイ」枠として「プラガ ボヘマ」のような、知る人ぞ知るマニアックな車が入っているのも面白い点です。 これは単に速い車を集めただけでなく、「サーキット走行会(トラックデイ)の雰囲気」を再現しようとしていることの現れです。
また、各年代の代表的なマシンを揃えることで、プレイヤーは「1989年のル・マン」や「2005年のFIA GT選手権」といった、特定の時代のレースを追体験(ロールプレイ)できるようになっています。 ただ走るだけでなく、その時代の空気感ごとシミュレートしようという意図が、この厳選されたリストから読み取れます。
3. 日本車へのリスペクト
海外製のレースシムでありながら、日本車(JDM)へのリスペクトが非常に強いのも特徴です。 マツダ787Bはもちろん、日産R390、R89C、トヨタGT-One、そしてスカイライン・スーパーシルエットまで。 これらは単なる数合わせではなく、各クラスにおいて強力なコンペティターとして調整されています。 日本のレースゲームファンとしては、国産の英雄たちが世界の名車と対等に渡り合える環境があるだけで嬉しくなるものです。
まとめ:あなたはProject Motor Racingを買うべきか?
ここまでProject Motor Racingの登場車種について、他作品との比較を交えて解説してきました。 最後に要点をまとめます。
- 収録台数は約70台強。 数だけ見れば少ないが、1台ごとのクオリティと物理演算の密度は極めて高い。
- 「レースカー」に特化している。 市販車でドライブするゲームではなく、サーキットでコンマ1秒を削るためのゲーム。
- 時代を超えたラインナップ。 現代のGT3/LMDhから、グループC、GT1、スーパーシルエットまで、モータースポーツの「おいしいところ」が詰まっている。
- フェラーリは現状不在。 今後のDLCに期待する必要がある。
もしあなたが、「500台以上の車を集めてガレージを眺めたい」「ノーマルカーをフルチューンして遊びたい」と思っているなら、グランツーリスモ7やForza Motorsportの方が満足度は高いでしょう。
しかし、もしあなたが**「台数は少なくてもいいから、それぞれの車の挙動の違いを肌で感じたい」「かつてのGTR 2のように、硬派でヒリヒリするようなレース体験がしたい」「プロトタイプカーやグループCカーを本気で制御してみたい」**と願うなら、Project Motor Racingは間違いなく買いです。
このゲームは、車を「コレクション」するものではなく、車と「対話」するためのツールです。 70台という数字は、一人の人間が深く味わい尽くすには、実は十分すぎる数なのかもしれません。
さあ、エンジンを始動させましょう。 伝説のマシンたちが、あなたの挑戦を待っています。








