編集デスク ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。今回も多く寄せられている質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、最新作『Call of Duty: Black Ops 7(BO7)』の売り上げ不振の噂や、それとは裏腹に聞こえてくる「実は面白い」という評価のギャップが気になっていると思います。
「前作より売り上げが半減したって本当?」「オワコン化したの?」「でもSNSでは絶賛している人もいるし、どっちが本当なの?」そんなモヤモヤを抱えているゲーマーの方は多いはずです。
この記事を読み終える頃には、現在のCODが置かれている複雑な立ち位置と、BO7が持つ真のポテンシャル、そして今買うべきかどうかの疑問が解決しているはずです。
- 売り上げ半減の裏にある競合タイトルの影響
- 過去最高と評されるマルチプレイのボリューム
- 賛否両論を呼ぶ新アクションとシステムの詳細
- シリーズ特有の炎上と再生のサイクルの実態
それでは解説していきます。
BO7の売り上げ激減の真実とは|数字が示す衝撃的な現実
まず最初に、皆さんが最も気になっているであろう「売り上げ」に関する数字について、感情論を抜きにした客観的なデータに基づいて解説していきます。 「BO7は失敗作なのか?」という問いに対して、数字だけを見れば「商業的には苦戦している」と言わざるを得ない現状があります。
しかし、この数字の裏側には、単に「ゲームがつまらないから売れなかった」では片付けられない、202X年のFPS界隈特有の事情が複雑に絡み合っているのです。 ここでは、ヨーロッパ市場を中心とした具体的なデータと、なぜこれほどまでに数字が落ち込んだのか、その外部的要因について深掘りしていきます。
前作BO6との比較で見える50%減の衝撃
衝撃的なデータですが、ヨーロッパにおけるパッケージ版およびデジタル版の販売実績において、今作『Black Ops 7』は前作『Black Ops 6』と比較して、発売初動の売り上げが約50%低下しているという報告があります。 これは単なる誤差の範囲を超えており、シリーズとしても過去に類を見ないほどの大幅なダウンです。
通常、人気シリーズの続編であれば、固定ファン層の購入によりある程度の数字は担保されるものですが、半減というのは異常事態と言えます。 この数字だけを切り取れば「シリーズの終焉」と囁かれても仕方がないレベルですが、ここには「前作BO6の評価」が大きく影響しています。
前作BO6は、その前のMW3(Modern Warfare 3)での信頼失墜を回復しきれないままリリースされ、さらにBO6自体のコンテンツ不足(スカスカ問題)が露呈したことで、ユーザーの信頼が底を打っていた時期でもありました。 つまり、BO7は「マイナスからのスタート」を余儀なくされた作品であり、前作で見限ったユーザーが戻ってきていない、あるいは様子見をしている層がかつてないほど多いことが、この「-50%」という数字に直結していると考えられます。
強大すぎるライバル「Battlefield 6」の存在
今作の売り上げ不振を語る上で、絶対に無視できないのが競合タイトルの存在です。 特に、長年のライバルである『Battlefield』シリーズの最新作、『Battlefield 6(BF6)』のリリースと時期が被ってしまったことは、BO7にとって致命的な打撃となりました。
今回のBF6は、過去の失敗(BF2042など)を完全に払拭し、EA DICEが社運をかけて開発した「本気の一作」として市場に投入されました。 アメリカ市場における過去3年間の売り上げ記録を塗り替えるほどの大ヒットを記録しており、FPSゲーマーの関心と財布の紐を、このBF6が根こそぎ奪っていった構図が出来上がっています。
さらに、データによるとBO7の売り上げは、この絶好調なBF6と比較して「63%も低い」という結果が出ています。 同じミリタリーFPSというジャンルで、これほどの差がついたことは歴史的にも稀です。 ユーザーの可処分時間は有限です。「今年はBFが当たり年だ」という空気が形成されたことで、CODを選択肢から外した層が相当数いたことは想像に難くありません。
主要FPSタイトルの現状比較
| タイトル | 売上/人口傾向 | ユーザー評価 | 特記事項 |
|---|---|---|---|
| Call of Duty: BO7 | BO6比 50%減 | 賛否両論(マルチは高評価) | 売り上げは苦戦も、コア層の満足度は高い |
| Battlefield 6 | 記録的大ヒット | 非常に好評 | 過去最高レベルの盛り上がりで市場を独占 |
| Ark Raiders | 人口急増 | 好評 | 基本無料枠として多くのPCゲーマーを吸収 |
Steam同接数から見るPCゲーマーの離反
PCプラットフォーム、特にSteamにおける同時接続数(同接)の推移も、BO7の苦戦を如実に物語っています。 かつてはコンソール版が主戦場だったCODも、近年はPCゲーマーの比重が高まっていましたが、今作に関してはSteamの人口推移が過去最低レベルにまで落ち込んでいます。
これには、『Ark Raiders』などの基本プレイ無料の高品質なシューターや、前述のBF6へPCゲーマーが流出したことが大きく影響しています。 特にPCゲーマーは「メタスコア」や「Steamレビュー」の評価に敏感で、最適化不足やキャンペーンの低評価といったネガティブな情報が拡散されると、瞬く間に過疎化が進む傾向にあります。
Steam上の評価が「賛否両論」から「否定的」に傾いている現状では、新規のPCユーザーが参入するハードルは高く、これが全体の売り上げ低下に拍車をかけています。 ただし、CODはBattle.netや家庭用ゲーム機(PS5/Xbox)がメインの市場であるため、Steamの数字が全てではありませんが、トレンドを示す指標としては無視できない警鐘と言えるでしょう。
ゲーマーの「時間不足」という物理的要因
個人的な見解も含みますが、今期のFPS界隈は「豊作すぎてパンクしている」という贅沢な悩みが、BO7の売り上げに影を落としています。 『タルコフ(Escape from Tarkov)』の製品版リリースやワイプダッシュ、『BF6』の覇権、さらにはその他のバトロワゲーのアップデートなど、大型タイトルがこれでもかとひしめき合っています。
私自身、全てのゲームをプレイしたいという欲求はありますが、物理的に時間が足りません。 多くのゲーマーが「今年はBF6一本に絞ろう」「タルコフが忙しいからCODはセール待ちでいいや」という判断を下した結果が、この売り上げ半減という数字に表れているのです。 つまり、BO7がつまらないから買わないのではなく、「他のゲームが面白すぎて手が回らない」という、ある意味で市場の成熟と過密化が招いた結果とも分析できます。
ファンが「過去最高」と絶賛する理由|隠れた神ゲーの正体
売り上げの数字だけを見れば絶望的ですが、実際にゲームをプレイしているコアファンやプロゲーマーの間では、「BO7は実は歴代屈指の面白さではないか?」という声が上がっています。 なぜ、これほどまでに世間の評判とプレイヤーの実感に乖離が生まれているのでしょうか。
そこには、長年のCODプレイヤーが待ち望んでいた「改善」と、挑戦的な「新システム」が見事に噛み合った、確かなゲーム体験が存在します。 ここでは、売り上げデータには表れない、BO7の中身の評価について徹底的に解説します。
圧倒的なボリュームを誇るマルチプレイ
今作の最大の評価点は、何と言ってもマルチプレイのコンテンツボリュームです。 近年、「リリース時はマップが少ない」「武器が少ない」という未完成品のような状態で発売され、アップデートで補完していくライブサービス型が主流となっていましたが、BO7はその悪しき慣習を打破しました。
リリース直後から遊べるマップ数、武器の種類、迷彩解除のやり込み要素が非常に豊富で、「これぞフルプライスのゲームだ」と言えるだけの満足感が提供されています。 特にマップに関しては、過去作のリメイクだけに頼らず、新規マップの構成も近年の「射線が通りすぎるクソマップ」から脱却し、走り回れる3レーン構造を意識した良質なものが揃っています。
「引き継ぎ要素があるから手抜きだ」という批判もありましたが、実際に蓋を開けてみれば、引き継ぎつつも新規要素を大量に投入しており、1年を通して遊び尽くせるだけの土台が完成されています。 この「密度の濃さ」こそが、購入者が離脱せずにプレイし続けている最大の要因です。
SBMMの緩和が生んだ快適なマッチング
長年、CODシリーズの論争の種となっていた「SBMM(スキル・ベース・マッチ・メイキング)」の調整についても、今作では大きな変化が見られます。 公式からの明言は避けますが、体感として明らかにSBMMが緩和されており、実力が近いプレイヤー同士ばかりがマッチングする「修羅場」のような環境が改善されました。
これにより、カジュアルに楽しみたい層や、様々な武器を使って遊びたい層が、理不尽に強い相手と連続で戦わされるストレスから解放されています。 以前のように、一戦活躍したら次はプロ級の部屋に放り込まれるといった極端な変動が減り、純粋に撃ち合いを楽しめる環境が戻ってきました。
この変更は、特に古参のファンや配信者から高く評価されており、「昔のCODのような気軽さが戻ってきた」というポジティブなフィードバックに繋がっています。 対戦ゲームにおいて、マッチングの快適さはゲームの寿命を左右する重要項目であり、ここの調整に成功したことはBO7の大きな功績です。
戦略を変える「オーバークロック」と「武器MOD」
ゲームプレイの深みを増しているのが、新システムである「オーバークロック機能」と「武器MOD(モジュール)」の存在です。 これらは単なる数値の増減ではなく、プレイスタイルそのものをカスタマイズできる画期的なシステムです。
- オーバークロック機能 フィールドアップグレードの回転率を上げたり、性能を強化したりする機能ですが、これがスペシャリスト(キャラクター)の個性を際立たせています。 例えば、防御系のスキルを高速で回して拠点を死守するタンク役や、移動速度や探知能力を強化して前線を荒らすフランカーなど、自分の役割に特化したビルド構築が可能になりました。
- 武器MODシステム 従来のアタッチメントシステムに加え、武器の挙動や特殊効果を付与できるMODシステムが導入されました。 これにより、「ダメージは下がるが連射速度が限界突破するSMG」や「反動は増えるが貫通力が異常に高いLMG」など、尖った性能の武器を作ることが可能です。 環境武器(メタ武器)一強になりがちなCODにおいて、プレイヤーの研究次第でマイナー武器でも戦える可能性を残したこの調整は、やり込み勢の心を掴んで離しません。
賛否両論の「壁ジャンプ」がもたらす変化
今作で最も議論を呼んでいるのが、新たな移動アクション「壁ジャンプ(ウォールジャンプ)」の導入です。 「CODにパルクール要素はいらない」「地上戦だけでいい」という保守的な意見がある一方で、この機能により立体的な戦闘が可能になり、マップ攻略のルートが増えたことを歓迎する声もあります。
実際のプレイ感としては、そこまで万能な移動手段ではなく、特定の場所でのショートカットや、意表を突く奇襲に使える程度のバランスに収まっています。 これが「キャラコン(キャラクターコントロール)」のスキル差を生み出し、練習すればするほど有利に動けるという、競技性の向上に一役買っています。
必要か不要かで言えば意見は割れますが、マンネリ化しがちなシリーズに新しい風を吹き込もうという開発の意欲は感じられますし、使いこなした時の爽快感は今作ならではの魅力と言えるでしょう。
「CODサイクル」という永遠の歴史|炎上は通過儀礼なのか
ここで少し視点を変えて、Call of Dutyというシリーズ全体が繰り返してきた「歴史」について振り返ってみましょう。 今回のBO7の売り上げ不振や初期の批判は、実はCODファンにとっては「いつものこと」であり、ある種の年中行事のような側面があります。
「発売前に炎上し、発売直後に叩かれ、アップデートで神ゲーになり、次回作が出ると再評価される」。 この不思議なサイクル、通称「CODサイクル」を理解することで、BO7の現状をより冷静に分析することができます。
過去の事例から学ぶシリーズの系譜
記憶に新しいところでは、『Call of Duty: Vanguard』の事例が挙げられます。 発売前からトレーラーが炎上し、開発元の不祥事も重なり、リリース直後はバグの嵐。 「ショットガンが強すぎてゲームにならない」「ロードアウトが変更できない」といった致命的な問題が山積みで、まさに地獄のようなスタートでした。
しかし、それでも1年間サービスは続き、なんだかんだでプレイヤーは遊び続けました。 また、前々作の『MW3(新)』も同様です。 「MW2のDLCレベルではないか」「キャンペーンの質が低い」と発売前後は酷評され、メタスコアも低調でしたが、蓋を開けてみればマルチプレイの挙動はMW2よりも良好で、最終的にはコアファンの信頼を取り戻すことに成功しました。
このように、CODは「初期評価がどん底でも、修正と調整で持ち直す」という底力を持っています。 今回のBO7も、「キャンペーンが微妙」「売り上げが低い」というスタートダッシュの失敗は、過去の事例と完全に一致しており、ここからの巻き返しパターンに入っているとも捉えられます。
「面倒くさい彼女」のような関係性
私を含め、長年のCODファンは、このシリーズに対して「面倒くさい彼女」のような感情を抱いています。 「もう別れる(買わない)!」と言いながら、新作が出ると気になって手を出してしまい、「やっぱりここがダメだ」と文句を言いながらも、たまに見せる「最高の瞬間(神マッチ)」にほだされて関係を続けてしまう。 そんな愛憎入り混じった関係性が、CODコミュニティを支えています。
運営もそれを分かっているのか、調子が良い時は強気な態度を取り、ユーザーが離れそうになると急に神アップデートを入れてくるなど、アメとムチの使い方が絶妙です。 BO7に関しても、「売り上げ半減」という強烈な「お仕置き」を食らったことで、運営側が危機感を持ち、今後さらにユーザーライクなアップデートを行ってくる可能性が高いです。 この「危機的状況」こそが、CODが最も面白くなるタイミングであるとも言えるのです。
まとめ
今回の記事では、売り上げが激減した『BO7』の現状と、それでもファンが支持する理由について解説してきました。
結論として、BO7は「商業的には失敗」だが、「ゲームとしては成功」している稀有な作品です。 売り上げの低下は、前作の不振やBF6などの競合他社の影響が色濃く、ゲーム自体の品質低下だけが原因ではありません。 むしろ、マルチプレイの中身に関しては、ここ数年で最も充実しており、FPSとしての純粋な楽しさは保証されています。
- 売り上げは前作比50%減、競合BF6と比較して63%減という厳しい現実がある。
- しかし、マルチプレイのボリュームは過去最高クラスで、SBMM緩和により快適性は向上している。
- 新システムの「武器MOD」や「オーバークロック」は奥が深く、やり込み勢ほど評価が高い。
- COD特有の「炎上からの再生サイクル」に入っており、今後のアプデでさらに化ける可能性がある。
もしあなたが、「周りがやっていないから」「評判が悪そうだから」という理由でBO7を敬遠しているのなら、それは非常にもったいない判断かもしれません。 特に、かつてCODに熱中していた復帰勢や、純粋に撃ち合いを楽しみたいプレイヤーにとって、今作は久しぶりに「帰れる場所」になっています。
売り上げという数字のバイアスを取り払い、自分の目でこの戦場を確か







