ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、2025年に発売が決定したポケモン最新作『Pokémon LEGENDS Z-A』の、特にタイトルに隠された謎が気になっているのではないでしょうか。 なぜ『アルセウス』に続いて「LEGENDS」の名を冠しているのか、そして「Z-A」という不可解な文字列が何を意味するのか。 今回のレビューでは、これらの謎を一つずつ解き明かし、物語の核心に迫る徹底的な考察をお届けします。

この記事を読み終える頃には、『Pokémon LEGENDS Z-A』のタイトルに込められた壮大な物語への想像が膨らみ、発売がさらに待ち遠しくなっているはずです。
- レジェンズシリーズが持つ意味の深掘り
- 「Z-A」が示す終わりと始まりの概念
- メガシンカとの関連性と新たな可能性
- ミアレシティ再開発が物語る過去と未来
それでは解説していきます。

Pokémon LEGENDSシリーズが持つ意味とは?
2022年に発売され、ポケモンシリーズに新たな風を吹き込んだ『Pokémon LEGENDS アルセウス』。 その流れを汲む新作『Pokémon LEGENDS Z-A』の発表は、多くのファンを驚かせ、そして熱狂させました。 まず、この「LEGENDS」というシリーズ名が持つ根源的な意味について、改めて深く掘り下げていきましょう。
「レジェンズ」は単なる伝説ではない
最初に注目すべきは、タイトルが「LEGEND(伝説)」という単数形ではなく、「LEGENDS(伝説たち)」という複数形である点です。 これは非常に重要なポイントだと私は考えています。

『Pokémon LEGENDS アルセウス』では、この「LEGENDS」は、神と謳われるアルセウスだけでなく、ディアルガ、パルキア、ギラティナといったシンオウ地方の神話に登場する複数の伝説・幻のポケモンたち、そして彼らが織りなす壮大な物語全体を指していました。 単に一体の伝説のポケモンをフィーチャーするのではなく、その地方の根幹を成す複数の「伝説」や「伝承」そのものをテーマにしているのです。
この法則を『Pokémon LEGENDS Z-A』に当てはめるとどうでしょうか。 舞台となるカロス地方には、生命を司る「ゼルネアス」、破壊を司る「イベルタル」、そして生態系の秩序を監視する「ジガルデ」という、三位一体ともいえる強力な伝説のポケモンが存在します。 おそらく今作の「LEGENDS」は、この3体を中心としたカロス地方の神話や、3000年前に起きたとされる大戦争といった、複数の「語り継がれるべき物語」を描くという強い意志の表れなのでしょう。
過去を描くシリーズとしての役割
『アルセウス』は、まだポケモントレーナーという概念も、ポケモンリーグも存在しない、遥か昔の「ヒスイ地方」が舞台でした。 そこでは、人とポケモンがまだ完全には共存しておらず、互いに距離を置き、時には恐れ合うような、よりワイルドな関係性が描かれていました。 これは、私たちが知るポケモン世界の「始まりの時代」を解き明かす、歴史書のような役割を担っていたと言えます。
このことから、「LEGENDS」シリーズは、ポケモン世界の歴史における重要な転換点や、これまで断片的にしか語られてこなかった重大な出来事を深掘りするシリーズであると定義できます。 いわば、本編シリーズが「現在」を描くのに対し、「LEGENDS」シリーズは世界の成り立ちを解き明かす「過去」を描く役割を担っているのです。 『Z-A』がミアレシティという大都市の「再開発」をテーマにしている点も、この歴史的側面に深く関わってくることは間違いないでしょう。
『アルセウス』との共通点と相違点
では、『Z-A』は『アルセウス』のゲームシステムをどの程度継承するのでしょうか。 現時点では憶測の域を出ませんが、いくつかの共通点と相違点を予測することは可能です。

予測される共通点
- アクション性の高いゲームプレイ: シームレスなポケモン捕獲や、プレイヤー自身が回避行動を取るバトルなど、『アルセウス』で好評を博したアクション要素は、今作でも重要な柱となるでしょう。
- 広大なフィールド探索: ミアレシティとその周辺地域が、オープンワールド、あるいはそれに近い広大なエリアとして設計され、自由度の高い探索が楽しめる可能性があります。
- 図鑑タスクの概念: ポケモンを捕まえるだけでなく、「特定の技を使わせる」「特定のアイテムで捕獲する」といったタスクをこなして図鑑を完成させていくシステムも、研究や調査という側面を強調するために引き継がれるかもしれません。
予測される相違点
- 舞台設定: 『アルセウス』が手付かずの自然広がる未開の地だったのに対し、『Z-A』の舞台は「ミアレシティ」という、すでに完成された大都市です。 「都市再開発」というテーマの下、自然と人工物がどのように融合し、あるいは対立するのかが大きな違いとなるでしょう。 フィールドも、自然環境だけでなく、建築中の建物や地下空間など、より複雑な構造になる可能性があります。
両作品の予測される特徴を以下の表にまとめました。
項目 | Pokémon LEGENDS アルセウス | Pokémon LEGENDS Z-A(予測) |
---|---|---|
舞台 | ヒスイ地方(未開拓の自然) | ミアレシティ(再開発中の大都市) |
テーマ | 人とポケモンの共生の始まり | 都市と自然の共存、秩序の再構築 |
時代設定 | 過去(明治時代がモデルか) | 過去か未来か、あるいはその両方か |
中心ポケモン | アルセウス、ディアルガ、パルキア | ジガルデ、ゼルネアス、イベルタル |
ゲーム性 | フィールドアクション、調査 | 都市開発、探索、アクション |
このように、「LEGENDS」というタイトルは、単なるスピンオフではなく、ポケモン世界の歴史を深く、そして壮大に描くという、明確なコンセプトを持ったシリーズであることを示しているのです。
タイトル「Z-A」に隠された謎を徹底解剖
「LEGENDS」の意味合いを理解したところで、次はいよいよ最大の謎、「Z-A」の解読に挑みます。 この不可解な文字列は、間違いなく今作の物語の核心を突くキーワードです。
「Z」が象徴するもの:ジガルデと究極の秩序
まず「Z」についてですが、これがカロス地方の伝説のポケモン「ジガルデ」を指していることは、ほぼ間違いないでしょう。 ジガルデは、カロス地方の生態系の頂点に立ち、そのバランスが崩れた時に姿を現して秩序を回復させる「監視者」としての役割を持っています。

ジガルデは、単細胞の「ジガルデ・セル」と、脳の役割を果たす「ジガルデ・コア」が集合することで、10%フォルム、50%フォルム、そして完全体である「パーフェクトフォルム」へと姿を変えます。 この生態系の秩序を司るという設定は、大都市ミアレの「再開発」というテーマと非常に親和性が高いです。 都市開発は、時として自然環境を破壊し、生態系のバランスを崩しかねません。 その時、ジガルデがどのような形で物語に関わってくるのか。 守護者として、あるいは行き過ぎた開発への裁定者として姿を現すのか。 いずれにせよ、ジガルデが物語の鍵を握る存在であることは確実です。
また、公式ロゴの「Z」の文字が、ジガルデの体表に見られる六角形の模様や、緑色の細胞を彷彿とさせるデザインになっている点も見逃せません。
「A」が象徴するもの:AZ、始まり、あるいは新たな脅威か
一方で、「A」が何を指しているのかは、現時点で様々な説が飛び交っており、非常に興味深い謎となっています。 考えられる主な説をいくつか挙げてみましょう。
1. 3000年前の王「AZ」説

最も有力視されているのが、カロス地方の歴史における最重要人物「AZ」を指すという説です。 AZは3000年前の戦争で愛するポケモンを失い、悲しみのあまり最終兵器を作り出して戦争を終結させましたが、その代償として永遠の命を得て、3000年もの間、孤独に世界を彷徨い続けていました。 『X・Y』の物語の最後に、主人公との出会いを経てようやく愛するフラエッテと再会し、彼の長い旅は一つの「終わり」を迎えました。 『Z-A』のタイトルがAZの逆、つまり「AZ」→「ZA」となっているのは、彼の物語の「終わりから始まりへ」を意味しているのかもしれません。 彼が作った最終兵器や、それによってもたらされたメガシンカの謎が、今作で改めて語られる可能性は非常に高いでしょう。
2. 「始まり(Alpha)」説
アルファベットの最初の文字である「A」は、「始まり」を象徴します。 ギリシャ文字の「アルファ(Α)」も同様の意味を持ちます。 これは、『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア』のテーマとも重なります。 「Z(終わり)」から「A(始まり)」へ。 これは、単純な時系列の逆行だけでなく、物事の再生や再構築、つまりミアレシティの「再開発」というテーマそのものを表現していると考えられます。 古い都市が一度解体され(終わり)、新たな都市として生まれ変わる(始まり)物語を示唆しているのかもしれません。
3. 最終兵器(Ultimate Weapon)説
ロゴの「A」の形状が、AZが作り出した「最終兵器」のシルエットに似ているという指摘もあります。 最終兵器は、ポケモンの生命エネルギーを吸収して放たれる恐ろしい兵器であり、カロス地方の地下深くに眠っています。 ミアレシティの再開発が、この最終兵器の封印に何らかの影響を与えてしまうという展開も考えられます。 「Z」=ジガルデが秩序の象徴であるのに対し、「A」=最終兵器が破壊の象徴として対置されているのかもしれません。
「Z to A」の意味:終わりから始まりへの物語
これらの説を総合すると、「Z-A」というタイトルは、「終わりから始まりへ」という、壮大なテーマを内包していると解釈できます。
- 時間的な流れ: 最後のアルファベット「Z」から最初の「A」へ、という流れは、時間の逆行や歴史の再訪を暗示します。
- 物語的な流れ: AZの3000年にわたる長い放浪の「終わり(Z)」から、彼の新たな人生の「始まり(A)」を描く物語。
- 概念的な流れ: ミアレシティという完成された都市の「終わり(Z)」から、再開発による新たな都市の「始まり(A)」を描く物語。
このように、複数の意味がレイヤー状に重なり合っているのが、「Z-A」というタイトルの奥深さなのでしょう。 単なる過去編でも未来編でもない、全く新しい時間軸の物語が展開される可能性すら秘めています。
ロゴデザインから読み解く物語のヒント
最後に、タイトルロゴのデザインそのものにも注目してみましょう。 幾何学模様とデジタルな質感が融合したデザインは、多くのヒントを与えてくれます。 ワイヤーフレームで描かれたミアレシティのPV映像からも分かるように、「デジタル」や「設計図」といった要素が今作の重要なモチーフとなっているようです。

ロゴ全体に見られる緑色のテクスチャは、ジガルデの細胞を表現していると同時に、再開発によって都市に増えるであろう「自然」の象徴とも取れます。 一方で、「LEGENDS」の文字に施された、まるでデジタルノイズが走ったかのようなエフェクトは、サイバー空間や高度なテクノロジーの存在を示唆しています。 これは、ミアレシティが単なる物理的な再開発だけでなく、デジタル技術を駆使した未来都市へと変貌を遂げることを暗示しているのかもしれません。 「自然(ジガルデ)」と「科学(都市開発)」の融合と調和が、物語の大きなテーマとなるのではないでしょうか。
物語への影響は?メガシンカとカロス地方の未来
タイトルの謎が少しずつ見えてきたところで、最後に、これらの要素がゲームの具体的な物語にどう影響してくるのか、そしてファンが最も期待するであろう「メガシンカ」の扱いについて考察します。
メガシンカの復活と新たな可能性
PVのラストで高らかに示された「メガシンカマーク」。 これにより、『Pokémon LEGENDS Z-A』でメガシンカが中核的な要素として復活することは確定しました。 カロス地方は、そもそもメガシンカが初めて発見された場所であり、これ以上ない最高の舞台設定です。

しかし、『X・Y』には一つの大きな謎が残されていました。 それは、「なぜカロス地方出身のポケモンは一体もメガシンカしなかったのか?」という点です。 (※厳密にはディアンシーがいますが、幻のポケモンなので例外とします) 特に、御三家のブリガロン、マフォクシー、ゲッコウガがメガシンカしなかったことに、多くのファンが疑問を感じていました。
『Z-A』は、この長年の謎に答えてくれる絶好の機会です。 ファンが待ち望んだ「メガブリガロン」「メガマフォクシー」「メガゲッコウガ」の登場には、大いに期待が持てます。 さらに、伝説のポケモンであるゼルネアスやイベルタル、そしてジガルデ自身にも、メガシンカに相当する新たなフォルムや強化が用意される可能性も考えられます。 メガシンカの起源そのものに迫る、より深い物語が展開されることは間違いないでしょう。
舞台は過去か?未来か?時系列の考察
『Z-A』の時代設定は、ファンの間で最も議論が白熱しているポイントです。 過去説、未来説、それぞれに説得力のある根拠が存在します。
過去説の根拠
- 都市再開発構想: PVに登場した設計図には「ミアレシティ 都市再開発構想」と記されていました。 これは、ミアレシティが誕生する以前、あるいは初期の段階を描いていると解釈できます。
- パリ改造: ミアレシティのモデルであるフランス・パリでは、19世紀に大規模な「パリ改造」が行われました。 歴史的事実をベースにするなら、物語の舞台も19世紀頃の過去である可能性が高まります。
- LEGENDSシリーズの傾向: 前作『アルセウス』が過去の物語であったことから、シリーズのコンセプトとして過去を描くという流れが考えられます。
未来説の根拠
- サイバーな演出: PVで見られたワイヤーフレームやデジタルな演出は、近未来的な印象を与えます。
- スマホロトムの進化: セカンドトレーラーで登場したスマホロトムのカメラが、これまでのシリーズのものより高性能化しているように見えます。 特に『スカーレット・バイオレット』のスマホロトムと比較しても、より進化したモデルである可能性があり、これはSV以降の未来の物語であることを示唆しています。
- 近代的な服装: 登場人物たちが身につけている服装やショルダーバッグは、少なくとも19世紀のものとは思えない、現代的あるいは未来的なデザインです。
現状では、特にセカンドトレーラーで示された情報から、「未来説」がやや優勢になっているように感じられます。 『X・Y』から現実世界と同じくらいの年月が経過した、少し未来のミアレシティが舞台となるのかもしれません。 そうなれば、シトロンやユリーカといった『X・Y』の登場人物たちが、成長した姿で再登場する可能性も考えられ、ファンにとっては胸が熱くなる展開です。
XYで残された伏線は回収されるのか
カロス地方は、ポケモンシリーズの中でも特に謎が多い地方として知られています。 『Z-A』では、これらの未回収の伏線が解き明かされることが期待されます。
- AZの物語: 彼の過去、最終兵器を作った真意、そしてフラエッテとの再会後の人生など、彼の物語にはまだ語られていない部分が多く残っています。
- 謎の発電所: カロス地方の砂漠にある、立ち入り禁止の扉が並ぶ謎の発電所。 その奥に何が隠されているのか。
- ミアレの幽霊: ミアレのビルに現れる謎の幽霊の正体。
- ポケモンの村: 人間に捨てられたポケモンたちが暮らす村の秘密。
- 駅の時刻表のメッセージ: ミアレステーションの時刻表の裏に隠された謎のメッセージ。
これらの謎が、「ミアレシティ再開発」という壮大な物語の中で、一つに繋がっていくのかもしれません。 特にAZと最終兵器、そしてメガシンカの起源にまつわる物語は、ジガルデの存在と絡み合いながら、物語の核心となっていくことでしょう。
まとめ
今回のレビューでは、『Pokémon LEGENDS Z-A』のタイトルに込められた深い意味を考察してきました。
- **「LEGENDS」**というシリーズ名は、単体の伝説のポケモンではなく、その地方の神話や歴史といった複数の「伝説」そのものを描くというコンセプトを示しています。
- **「Z-A」**というタイトルは、「ジガルデ」と「AZ」を軸に、「終わりから始まりへ」という、再生と再構築の壮大な物語を暗示しています。
- メガシンカの復活は確定しており、カロス地方のポケモンたちの新たなメガシンカや、その起源に迫る物語が期待されます。
- 物語の舞台は、様々な情報から**『X・Y』の少し未来**である可能性が高く、成長したキャラクターたちの再登場も考えられます。
一つのタイトルに、これほど多くの謎と期待が込められている作品も珍しいでしょう。 『Pokémon LEGENDS Z-A』は、カロス地方の新たな伝説を、そしてポケモンシリーズの新たな地平を私たちに見せてくれるはずです。 2025年の発売を、今から心して待ちたいと思います。