ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、2025年9月30日に発売される待望のリメイク作「ファイナルファンタジータクティクス イヴァリース クロニクルズ」で、一体どこが新しくなったのか、どんな追加要素があるのかが気になっていると思います。

私自身、原作は骨の髄まで遊び尽くしたと自負しており、今回のリメイク発表には心を躍らせています。 発表された情報を徹底的に分析し、どこが進化したのかを詳しくまとめました。
この記事を読み終える頃には、FFTリメイクの追加要素に関する疑問が解決しているはずです。
- 圧巻のフルボイス化とシナリオ加筆
- 戦略性を飛躍的に高める戦闘システム進化
- ストレスフリーを実現する多数の快適機能
- 原作ファン感涙のバランス調整と追加要素
それでは解説していきます。

FFTリメイクで根幹から進化したゲーム体験
今回のリメイクは、単なるグラフィックの向上版ではありません。 ゲームの根幹とも言える部分にまで手が加えられ、原作ファンはもちろん、新規プレイヤーも没入できるような進化を遂げています。 まずは、ゲーム体験を大きく変えるであろう主要な追加・変更点から見ていきましょう。
全編フルボイス化で甦るイヴァリースの物語
本作最大の目玉と言っても過言ではないのが、イベントシーンやバトル中を含む全編のフルボイス対応です。 原作ではテキストのみで表現されていたあの重厚な物語が、豪華声優陣の演技によって新たな生命を吹き込まれます。

ラムザやディリータといった主要キャラクターはもちろん、各ユニットの技や魔法の詠唱にもボイスが追加されるとのこと。 これにより、物語への没入感が格段に向上することは間違いありません。 公式サイトでは一部キャラクターのサンプルボイスが公開されていますが、そのクオリティの高さに期待は高まるばかりです。
個人的に気になるのは、やはりあのカーバンクルの「キーモチーの藤度の影象を皆に!」といった独特の詠唱が、どのようなボイスで表現されるのかという点です。 お気に入りのアビリティにボイスが乗ることで、戦闘の楽しさは何倍にも膨れ上がるでしょう。 キャラクターたちの感情が声を通してダイレクトに伝わってくることで、獅子戦争の物語をより深く味わえるはずです。
シナリオ6割増!リライトで深まる重厚なストーリー
フルボイス化に伴い、シナリオの全編リライトと、大幅な加筆が行われている点も非常に大きなポイントです。 発表によると、メインシナリオだけで原作の約6割ものボリュームアップになるというのですから驚きです。

単にテキストが増えるだけでなく、登場人物たちの魅力がさらに掘り下げられるようなキャラクター同士の掛け合いが追加されたり、一部のセリフが変更されたりしています。 特に注目すべきは、「なぜルカヴィになったのか」という、敵キャラクターの内面に焦点を当てた深掘りが行われる点です。 これにより、物語は単なる善悪の対立ではなく、より複雑で深みのある人間ドラマとして描かれることになります。
また、幅広い年齢層のプレイヤーが遊ぶことを想定し、現代の倫理観に基づいたセリフの調整も行われているとのこと。 物語の核心はそのままに、より多くの人が共感し、楽しめるような配慮がなされている点は、リメイク作品として非常に好感が持てます。
UI刷新で見やすくなった画面と情報
ゲームをプレイする上で、ユーザーインターフェース(UI)の快適さは非常に重要です。 今回のリメイクではUIが一新され、原作の雰囲気を残しつつも、現代のゲームとして見やすく、分かりやすいデザインに改修されています。

特に戦闘画面では、次に誰が行動するのかが一目でわかるようになるなど、戦略を立てる上で重要な情報が直感的に把握できるようになります。 ごちゃごちゃしていた部分が整理され、洗練されたビジュアルになることで、プレイ中のストレスが軽減され、よりゲームに集中できる環境が整えられています。
戦略性が飛躍的に向上したバトルシステム
シミュレーションRPGの金字塔であるFFTの魅力は、その高い戦略性にあります。 リメイク版では、その魅力をさらに高めるための新機能が多数追加されています。

行動順の可視化で先を読む戦略
前述のUI刷新にも関連しますが、敵味方を含めたユニットの行動順がタイムライン形式で表示されるようになります。 魔法やチャージ技など、詠唱時間が必要な行動も、その発動タイミングが正確にわかるため、「敵の強力な魔法が発動する前に倒す」「味方の回復が間に合うように行動順を調整する」といった、より緻密な戦略を立てることが可能になります。 原作では感覚に頼っていた部分が可視化されることで、初心者でも戦略の組み立て方を学びやすくなるでしょう。
出撃前地形確認とタクティカルビュー
原作では、出撃するまでマップの地形が完全にわからず、不利なポジションにユニットを配置してしまう事故が起こりがちでした。 リメイク版では、出撃準備画面でマップの地形をある程度確認し、ユニットを配置できるようになります。 これにより、高低差や障害物を考慮した最適な初期配置を考える楽しみが生まれます。
さらに、戦闘中には「タクティカルビュー」という機能が追加されました。 これは、マップを真上から俯瞰して全体の状況を把握できる機能です。 入り組んだ地形でもユニットの位置関係を正確に把握できるため、誤操作を防ぎ、より的確な指示を出す助けとなるでしょう。
攻撃範囲マーキングという新要素
敵が使用する範囲攻撃や魔法に対して、その攻撃範囲を最大10箇所までマーキングできるようになりました。 原作では、一度表示された攻撃範囲はすぐに消えてしまうため、記憶に頼るしかありませんでした。 このマーキング機能があれば、「このマスは安全」「次のターンにこの範囲に入ると危険」といった情報を常に画面上に表示させておけます。 これにより、ギリギリで敵の攻撃を回避したり、安全地帯から反撃したりといった、より高度な位置取りが可能になります。
選べる3つの難易度で初心者から上級者まで
FFTは歯ごたえのある難易度も魅力の一つでしたが、シミュレーションRPGに慣れていないプレイヤーにとっては少しハードルが高かったかもしれません。 リメイク版では、プレイヤーが自分に合った難易度で楽しめるように、3つのモードが用意されています。
難易度 | 内容 | おすすめのプレイヤー |
---|---|---|
カジュアル | ストーリーを中心に楽しみたい方向けの、やや優しめの難易度。 | 初心者、物語重視の方 |
スタンダード | 原作に近い歯ごたえのあるゲームプレイが楽しめる通常難易度。 | 原作ファン、標準的な難易度を求める方 |
タクティカル | より手強い敵との戦いを求める上級者向けの最高難易度。 | 腕に自信のあるプレイヤー、やり込み派 |
この難易度選択により、物語だけをじっくり楽しみたい方から、極限の戦略バトルに挑戦したい方まで、幅広いプレイヤー層が満足できる作品になっています。
FFTリメイクでストレスフリーになった快適機能
原作は名作である一方、今の時代にプレイすると少し不便に感じる部分があったのも事実です。 リメイク版では、そうしたストレス要素を徹底的に排除し、プレイヤーが快適に遊べるための「神」とも言える便利機能が多数追加されています。

待望のフリーマップ戦闘任意化という神修正
原作をプレイしたことがある方なら、誰もが頷いてくれるであろう最大の「神修正」、それがフリーマップでのランダムエンカウントの任意選択化です。 目的地に向かっているだけなのに、何度も戦闘に巻き込まれてイライラした経験は、FFTプレイヤーの「あるある」でした。 特に、儲け話の日数経過のためにワールドマップを行ったり来たりする際の強制戦闘は、多くのプレイヤーがリセットボタンに手を伸ばしたことでしょう。
リメイク版では、フリーマップに入った際に戦闘を発生させるか、そのまま通過するかをプレイヤーが任意で選べるようになります。 レベル上げをしたい時は積極的に戦闘を行い、ストーリーを早く進めたい時は戦闘を回避する、といったプレイスタイルが可能になるのです。 これは個人的に、リメイクにおける最も嬉しい改善点だと言えます。
積み防止!連戦マップでの撤退機能
FFTには、一度入るとクリアするまで出られない「連戦マップ」がいくつか存在します。 原作では、戦力が整っていない状態でうっかり上書きセーブをしてしまうと、攻略不可能になって最初からやり直すしかない、という悲劇が起こり得ました。
リメイク版では、この連戦マップから撤退できる仕様に変更されました。 これにより、「ちょっと育成してから再挑戦しよう」「装備やアビリティを見直そう」といった柔軟な対応が可能になり、セーブデータの「詰み」を心配することなく、安心して高難易度マップに挑戦できるようになります。
育成の幅が広がるユニット所持数50体への増加
自軍で雇用・加入させられるユニットの最大数が、原作の16体から最大50体へと大幅に増加しました。 原作では、次々と仲間になる固有キャラクターや、育てたいモンスターがいる一方で、枠の制限から泣く泣く誰かを除名しなければならない場面がありました。
所持数が50体になることで、イベントで加入するキャラクターを全員残しておくことはもちろん、様々なジョブの汎用ユニットを育てたり、お気に入りのモンスターをコレクションしたりと、ユニット育成の自由度が格段に上がります。 自分だけの最強騎士団を作り上げる楽しみが、さらに広がることでしょう。
ジョブチェンジツリーで育成計画が容易に
どのジョブをマスターすれば、どの新しいジョブが解放されるのか。 FFTの複雑で奥深いジョブシステムの魅力の一つですが、その条件が分かりにくいという側面もありました。
リメイク版では、ジョブチェンジの条件がツリー形式で表示されるようになります。 これにより、「ナイトを目指すには、まず見習い戦士をレベルいくつまで上げればいいのか」といった解放条件が一目瞭然になります。 ユニットの育成計画が立てやすくなり、よりスムーズに理想のジョブへと育て上げることが可能です。
マイセット機能で戦闘準備を効率化
戦闘の状況に合わせて、ジョブやアビリティ、装備を変更するのはFFTの醍醐味ですが、毎回手動で設定し直すのは少し手間でした。 そこで役立つのが、新たに追加された「マイセット機能」です。
よく使うジョブ、アビリティ、装備の組み合わせを最大3つまで保存しておくことができます。 「対魔道士用セット」「物理攻撃特化セット」などを登録しておけば、次の戦闘の前にワンボタンで編成を切り替えることができ、戦闘準備の時間を大幅に短縮できます。
いつでも安心のオートセーブ機能
セーブのし忘れや、予期せぬゲームの中断は、誰しもが経験したことがあるでしょう。 リメイク版では、特定のタイミングで自動的にゲームの状態を保存してくれるオートセーブ機能が追加されます。 この機能は、後述するクラシックモードでも採用されており、万が一の時にも安心です。
さらに特筆すべきは、戦闘中にもオートセーブが行われる点です。 原作では戦闘中の中断セーブができなかったため、長時間の戦闘になると途中でやめることができず不便でした。 戦闘中にこまめにオートセーブが入るようになれば、少し空いた時間に気軽にプレイできるようになり、プレイの快適性が大きく向上します。
テンポを改善する戦闘中の早送り機能
戦闘中にボタンを押し続けることで、ゲームの進行を早送りできるようになります。 味方の移動や、特に注意する必要のない敵のターンなどを高速で進めることができるため、ゲーム全体のテンポが向上します。 レベル上げのための周回プレイなどでも、この機能は非常に重宝するでしょう。 ボタンを離せばすぐに通常の速度に戻るため、重要な局面を見逃す心配もありません。
FFTリメイクのファン注目・その他の追加要素
ゲームの根幹や快適性の向上だけでなく、原作ファンなら思わずニヤリとしてしまうような、嬉しい追加要素や調整も満載です。 ここでは、そうした細かな、しかし重要な変更点について解説します。
クラウドの加入時期変更と豪華声優の起用
FF7からのゲストキャラクターであるクラウド。 原作では、加入時期がストーリー終盤と遅く、育成が難しいという課題がありました。 リメイク版では、このクラウドの加入時期が早まることが示唆されています。 これにより、彼の固有ジョブ「ソルジャー」や強力なリミット技を、より長い期間活躍させられるようになるかもしれません。
さらに、クラウドのボイスを担当するのは、FF7リメイクシリーズでもおなじみの櫻井孝宏さんであることが発表されました。 ファンが慣れ親しんだ声でクラウドがイヴァリースの世界で喋るというのは、シリーズファンにとって非常に感慨深いものがあります。
長年の悲願!源氏装備が遂に盗めるように
これは、原作からの長年のファンにとって、まさに「事件」と言える変更です。 原作では、敵将エルムドアが装備している「源氏シリーズ」の武具は、データ上は存在するものの、絶対に盗めない仕様になっていました。 しかし、当時の攻略本に「低確率で盗める」という誤情報が掲載されたことから、多くのプレイヤーが血のにじむような努力の末に絶望を味わったという歴史があります。
今回のリメイクでは、ファンからの熱い要望と、原作ディレクターである松野泰己氏の意向もあり、この源氏装備が盗めるように調整されることが決定しました。 発売日当日に配布されるパッチで対応されるとのこと。 長年の夢が、ついに叶う時が来たのです。 これぞまさしく「神調整」と言えるでしょう。
アビリティやジョブの細かなバランス調整
原作や、後に発売されたPSP版『獅子戦争』では、一部のアビリティやキャラクターの性能に偏りがありました。 リメイク版では、そうした部分に細かなバランス調整が加えられることが明言されています。
例えば、『獅子戦争』ではラファやマラークの「真言」「裏真言」が強化されたり、メリアドールの「剛剣」がモンスターにも効くようになったりと、不遇だったキャラクターへの救済措置が取られました。 今回のリメイクでも、そうした過去の調整を踏まえつつ、さらに洗練されたゲームバランスが期待されます。 今まであまり使われなかったアビリティに光が当たるなど、新たな戦略が生まれるかもしれません。
さらに遊びやすくなったブレイブストーリー
物語の背景や登場人物の情報を確認できる「ブレイブストーリー」も、さらに機能が拡充されます。
新たな読み物「ノベル」の追加
儲け話などで特定の書物を入手すると、新たな読み物である「ノベル」が追加されます。 イヴァリースの世界をより深く知ることができる、ファンにはたまらない要素です。
やり込み指標となる「アカデミーレポート」
トロフィーや実績とは別に、ゲーム内での達成項目が記録される「アカデミーレポート」が実装されます。 「全ジョブをマスターする」「特定のアイテムを入手する」といった様々なお題が用意されることが予想され、コンプリートを目指す新たなやり込み要素となるでしょう。
他にも、世界情勢の移り変わりを確認できる「情勢」機能や、一度見たムービーをフルボイスで再生できる「紀行」など、便利な機能が追加されています。
デラックスエディションの特典と予約特典
本作には通常版の他に、様々な特典が付属するデラックスエディションも用意されています。 特典として、ジョブポイントの獲得量が1.5倍になるアクセサリ「ジョブリング」が付属します。 育成の手間を大きく省けるため、効率的にプレイしたい方には嬉しいアイテムです。
また、予約特典やデラックスエディションでは、主人公ラムザのコスチュームカラーを変更できる機能が手に入ります。 チャプターごとに変化するラムザの衣装すべてに反映されるため、いつもと違った雰囲気で物語を楽しむことができます。
まとめ
今回は、2025年9月30日に発売される「ファイナルファンタジータクティクス イヴァリース クロニクルズ」の、現在判明している追加要素の全てをまとめてレビューしてきました。
フルボイス化やシナリオの大幅加筆といった物語面の進化。 行動順の可視化や任意エンカウントといった戦略性・快適性の向上。 そして、源氏装備が盗めるようになるといった、ファンの想いに応えた調整の数々。
そのどれもが、このリメイクが単なる移植ではなく、現代に甦る新たな傑作として、スクウェア・エニックスが並々ならぬ熱意を注いで開発していることの証明と言えるでしょう。
原作ファンにとっては、懐かしくも新しい最高の体験が待っています。 そして、これまでFFTに触れてこなかった新規プレイヤーにとっては、シミュレーションRPGの最高峰を手軽に、そして快適に味わえる絶好の機会です。
発売まで残りわずかですが、今後も新たな情報が公開される可能性があります。 このレビューが、あなたの購入の参考になれば幸いです。 イヴァリースの世界で、新たな獅子戦争が始まる日を心待ちにしましょう。