ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、ボーダーランズ4のリアルな評価、特に「本当に面白いのか?」「買って損しないか?」といった部分が気になっていると思います。 特に、お小遣いをやりくりしてゲームを買うゲーマーにとって、購入の失敗は絶対に避けたいところでしょう。

そこで今回は、シリーズを長年プレイしてきた私が、実際に「ボーダーランズ4」をやりこんで感じた「ダメなところ」「ここは注意すべき」というデメリットに焦点を当てて、忖度なくレビューしていきます。
この記事を読み終える頃には、あなたがボーダーランズ4を買うべきかどうかの疑問が、きっと解決しているはずです。
- 過去作から続くシリーズ最大の懸念点
- 賛否両論を呼ぶストーリーの変化
- エンドコンテンツの期待と大きな不安
- 購入前に知るべき注意点と価格設定
この記事を読めば、きっと問題が解決できるはず。

ボーダーランズ4の最大の懸念点:過去作から続くナーフ問題
ボーダーランズ4の評価を語る上で、絶対に避けては通れないのが「ナーフ」の問題です。 これはシリーズ経験者であればあるほど、本作の購入をためらう最大の要因と言っても過言ではありません。 まずは、この根深い問題から詳しく解説していきましょう。

ナーフとは何か?なぜこれほど問題視されるのか?
そもそも「ナーフ(Nerf)」とは、ゲームのアップデートによって特定の武器やキャラクター、スキルなどの性能が意図的に弱体化されることを指します。 対戦ゲーム(PVP)においては、ゲームバランスを保つために必要な調整として受け入れられることがほとんどです。
しかし、ボーダーランズはプレイヤー同士で戦うのではなく、仲間と協力して敵を倒すゲーム(PVE)です。 それにもかかわらず、過去のシリーズ作品では、多くのプレイヤーが愛用していた強力なビルドや武器が、発売後のアップデートでいとも簡単に弱体化されてきました。
このゲームの醍醐味は、膨大な時間をかけてボスを周回し、無数のアイテムの中から最高の性能を持つ装備(レジェンダリー)を厳選し、自分だけの最強ビルドを構築することにあります。 何十時間、あるいは何百時間も費やしてようやく完成させたビルドが、ある日突然、運営のさじ加減一つで使い物にならなくなる。 この仕打ちは、プレイヤーの努力と時間を踏みにじる行為であり、モチベーションを著しく低下させるのです。 これが、ボーダーランズシリーズにおけるナーフが、単なるバランス調整ではなく「深刻な問題」として扱われる理由です。
過去作での悪夢:ナーフ事例とプレイヤーの反応
ボーダーランズ3を例に挙げると、発売当初に猛威を振るった「フランカー」というショットガンや、特定のビルドの要となっていたクラスMODなどが、次々とナーフの対象となりました。 プレイヤーたちはフォーラムやSNSで「なぜPVEゲームで弱体化が必要なのか」「俺たちの時間を返せ」と声を上げ、大きな論争に発展しました。

開発元であるGearbox社は「多様なビルドを促進するため」と説明しましたが、多くのプレイヤーはそれを額面通りには受け取れませんでした。 結局のところ、最強ビルドを求めてプレイヤーが特定の装備に集中すると、ゲームの寿命が縮まることを開発側が恐れたのではないか、という見方が大勢を占めています。 結果として、多くのプレイヤーがナーフに嫌気がさしてゲームを離れてしまうという、皮肉な結末を迎えたのです。
ボーダーランズ4でもナーフは起こるのか?開発側の対策は?
では、最新作であるボーダーランズ4では、このナーフ問題は改善されたのでしょうか。 結論から言うと、「期待と不安が半々」というのが正直なところです。
期待できる点:週替わりコンテンツの導入
本作では、クリア後のエンドコンテンツとして「週替わり」の要素が導入されました。
- 強化版ボスの週替わり登場
- ウィークリーワイルドカードミッション(特殊な効果が付与された高難易度ミッション)
これらの導入により、「今週はこのボスが強化されているから、この属性のこのビルドが有効だ」「来週はミッションの特性上、あの武器が輝く」といったように、環境(メタ)が毎週変化することが予想されます。 特定のビルドが永続的に最強であり続ける状況をシステム側で抑制し、プレイヤーに多様なビルド構築を促す仕組みです。 これがうまく機能すれば、開発が直接的なナーフを行わなくても、自然な形でゲームバランスが保たれ、プレイヤーは毎週新たな目標を持ってゲームを楽しめるかもしれません。 これは、ナーフ問題を根本的に解決する可能性を秘めた、非常にクレバーな試みだと評価できます。
不安な点:開発の過去の姿勢
しかし、それでも不安は残ります。 過去作で何度もプレイヤーの期待を裏切ってきたGearbox社が、本当にナーフという安易な手段を完全に手放すことができるのか、確信が持てないからです。 週替わりコンテンツが想定通りに機能しなかった場合、あるいはプレイヤーの予想を超える強力なビルドが発見された場合、結局は過去作と同じようにナーフが断行されるのではないか。 この「開発への不信感」こそが、ボーダーランズ4が抱える時限爆弾であり、購入をためらわせる最大のデメリットなのです。 時間をかけてやり込むスタイルのゲームだからこそ、その前提が覆されるリスクは看過できません。
ボーダーランズ4の評価が分かれるポイント:実際のプレイ感レビュー
ナーフ問題という大きな懸念点を抱えつつも、ゲームの中身自体は進化している部分も多くあります。 しかし、その進化が必ずしも全てのプレイヤーに受け入れられるとは限りません。 ここでは、実際にプレイして感じた賛否両論のポイントを、ダメなところも含めてレビューしていきます。

進化したアクション要素:グラップリングやエアダッシュは蛇足か?
今作では、新たに「グラップリングフック」「エアダッシュ」「スライディング回避」といった高速な移動アクションが追加されました。 これにより、戦闘中の機動性は過去作と比べて格段に向上しています。 高所へ一気に移動したり、敵の攻撃をスタイリッシュに回避したりと、スピーディーで立体的な戦闘が楽しめるようになったのは確かです。
しかし、これが純粋なメリットかと問われると、少し疑問が残ります。 ボーダーランズの魅力は、あくまで「撃ちまくる爽快感」と「装備を掘るハクスラの楽しさ」にありました。 過剰な移動アクションは、敵に照準を合わせることを難しくし、純粋なシューターとしての楽しさを削いでいる側面があります。 特に、精密な射撃が求められるスナイパーライフルなどは、敵も自分も動き回りすぎるため、非常に扱いづらくなった印象です。 このアクション性の強化は、人によっては「求めていた進化」ではなく「余計な要素(蛇足)」と感じられる可能性が高いでしょう。
シームレスなマップの功罪:没入感向上と引き換えに失ったテンポ
アンリアルエンジン5で描かれる新惑星「カイロス」は、エリア間の読み込みがないシームレスなマップとして構築されています。 これにより、広大な世界を途切れることなく探索できるようになり、冒険している感覚、没入感は大幅に向上しました。 美しい景色の中をビークルで駆け巡るのは、素直に楽しい体験です。
その一方で、ゲームプレイの「テンポ」は悪化しました。 過去作では、各エリアが適度な広さで区切られていたため、「このエリアの敵を殲滅し、ボスを倒して、次のエリアへ」という明確な区切りがありました。 しかし、シームレス化によってエリアの境界が曖昧になり、延々と続くマップをただ移動するだけの時間が長くなりがちです。 特に、ボスを周回して装備を厳選する際には、毎回長い道のりを移動しなければならない場面もあり、快適とは言えません。 没入感というメリットと引き換えに、ハクスラというジャンルに不可欠な「周回のテンポの良さ」が損なわれている点は、明確なデメリットです。
ストーリーの変化は吉と出るか凶と出るか?シリアス路線への挑戦
ボーダーランズといえば、ブラックジョーク満載のコメディタッチなストーリーが持ち味でした。 しかし、今作では「タイムキーパー」という冷酷な独裁者に立ち向かうという、比較的シリアスでエモーショナルな物語が展開されます。 キャラクターの葛藤や仲間との絆を描く場面も多く、これまでの「ヒャッハー!」なノリを期待していると肩透かしを食らうかもしれません。

もちろん、物語の質自体は決して低くありません。 しかし、プレイヤーがボーダーランズに求めていたのは、重厚な物語だったのでしょうか。 おバカなキャラクターたちと軽快なトークを繰り広げながら、難しいことを考えずに敵を撃ちまくる。 そんな唯一無二の魅力が、シリアス路線への変更によって薄れてしまった感は否めません。 これは好みの問題が非常に大きい部分ですが、古くからのファンほど違和感を覚える可能性が高いでしょう。
クリア後のやり込み要素「エンドコンテンツ」の現状
ハクスラゲームの評価は、ストーリークリア後の「エンドコンテンツ」で決まります。 本作のエンドコンテンツは、前述の週替わりコンテンツに加え、シリーズ恒例の「究極のボルトハンターモード(高難易度の2周目)」などが用意されており、ボリューム自体は十分です。
問題は、その「中身」です。 現状のエンドコンテンツは、ひたすら同じボスを周回するか、同じような構成のミッションを繰り返すことが中心となっています。 ドロップするアイテムの種類は膨大ですが、狙ったレジェンダリーの、さらに最高性能のものを手に入れるとなると、途方もない回数の周回が必要です。 この過程を楽しめるかどうかが、本作を評価する上での分水嶺となります。
単調な周回作業とドロップ率の渋さ
特に、特定のボスからしかドロップしないユニークなレジェンダリー装備を狙う場合、単調な作業感は避けられません。 例えば、序盤のレベル上げと装備集めに最適な「ファウンドリーフリークス」という場所では、3体のボスを同時に相手にするためカオスな戦闘が楽しめますが、ここを何十回と周回するのは骨が折れます。 強力なクラスMODである「セイレーンMOD」などはボス固有のドロップではないため、いつ手に入るか分からないまま漠然と敵を倒し続けることになります。 ドロップ率も決して高いとは言えず、数時間プレイしてもお目当てのアイテムが一つも出ない、ということもザラにあります。 この「報われなさ」は、プレイヤーのモチベーションを削ぐ大きなデメリットです。
バグや不具合は多い?発売初期の安定性
近年の大規模なゲームでは珍しくありませんが、ボーダーランズ4も発売初期段階ではいくつかのバグが報告されています。 私がプレイしていて特に気になったのは以下の点です。
- インベントリ関連のバグ: 自動販売機でアイテムを「ガラクタとしてマーク」しようとすると、カーソルがずれて意図しないアイテム(時にはお気に入りに登録したレジェンダリー)にマークがついてしまう致命的なバグ。これにより、大切な装備を誤って売却してしまう危険性があります。買い戻しはできないため、細心の注意が必要です。
- アイテムドロップのバグ: ボスを倒した際のドロップ品が壁や天井の裏など、回収不可能な場所に散らばってしまうことがある。特に「オプレッサー」というボスでは頻発し、せっかくドロップしたレジェンダリーを目の前にして拾えないという、非常なストレスを味わうことになります。
- 進行不能になるバグ: 特定のミッションで、目的を達成してもフラグが立たずに進行不能になるケースが稀にあります。ゲームを再起動すれば直ることがほとんどですが、没入感を大きく損ないます。
これらのバグは今後のアップデートで修正される可能性が高いですが、現状では快適なプレイを阻害する要因となっています。
結論:ボーダーランズ4は買うべきか?タイプ別おすすめ度
ここまで様々なダメなところやデメリットを挙げてきましたが、それらを踏まえて、結局のところボーダーランズ4は「買い」なのでしょうか。 ここでは、プレイヤーのタイプ別に購入のおすすめ度をまとめました。
買うべき人:シリーズ未経験者、純粋なハクスラ好き
- ボーダーランズシリーズを初めてプレイする人: 過去作の「ナーフの悪夢」を知らないため、純粋に最新のハクスラシューターとして楽しめる可能性が高いです。進化したアクションやシームレスな世界は、新規プレイヤーにとっては魅力的に映るでしょう。
- とにかく装備を掘るのが好きなハクスラ中毒者: ドロップ率の渋さや周回の単調さも「やり込み要素」として楽しめる人。膨大な武器や装備の中から、理想の一品を求めて黙々とプレイし続けられるのであれば、本作は最高の時間泥棒になります。
- フレンドと協力プレイ(Co-op)するのが好きな人: ボーダーランズの楽しさは、仲間とボイスチャットをしながらワイワイ遊ぶことで倍増します。多少の不満点も、仲間と共有すれば笑い話になるでしょう。
様子見推奨な人:シリーズファン、ナーフが許せないプレイヤー
- 過去作、特に3のナーフに苦しめられた人: 本作でナーフが完全になくなったという保証はどこにもありません。週替わりコンテンツがうまく機能するか、開発の姿勢が変わったのかを、購入したプレイヤーの反応を見ながら判断するのが賢明です。最低でも数ヶ月は様子を見ることを強く推奨します。
- ストーリーや世界観を重視する人: シリアス路線への変更が肌に合うかどうかは、人によって大きく評価が分かれます。過去作のノリが好きだったファンほど、慎重になるべきです。
- バグや調整不足のゲームをプレイしたくない人: 発売初期の不安定さを避けたいのであれば、数回の大型アップデートを経てゲームが安定してから購入を検討するのが良いでしょう。
どのエディションを選ぶべきか?価格と内容を徹底比較
ボーダーランズ4は、複数のエディションが発売されており、価格も強気な設定です。 ゲーム選びに失敗したくない方は、内容をしっかり比較検討してください。
エディション | Steam価格(参考) | 主な内容 | おすすめな人 |
---|---|---|---|
通常版 | 9,460円 | ゲーム本編のみ | とりあえずゲームを試してみたい人、追加コンテンツに興味がない人 |
デラックスエディション | 13,860円 | ゲーム本編 + 装飾アイテムパック | 見た目にこだわりたい、少しだけお得感を味わいたい人 |
超デラックスエディション | 16,500円 | ゲーム本編 + 全装飾アイテム + シーズンパス(将来のDLC) | 今後配信される全てのコンテンツを遊びたい熱心なファン、長期的にプレイするつもりの人 |
正直なところ、ゲーム本編の面白さが自分に合うか分からない段階で、高価な上位エディションを購入するのはリスクが高いです。 特にこだわりがなければ、まずは通常版から始めることをお勧めします。 もしゲームが気に入れば、後からシーズンパスなどを別途購入することも可能です。
まとめ
今回は、ボーダーランズ4のダメなところを中心に、忖度なくレビューしてきました。
- 最大の懸念は、プレイヤーの努力を無にする「ナーフ」のリスクが依然として存在すること。
- アクション性の強化やシームレス化は、テンポの悪化というデメリットも生んでいる。
- シリアスなストーリーは、シリーズの持ち味だった軽快なノリを薄れさせている。
- エンドコンテンツはボリュームこそあるものの、単調な周回作業と渋いドロップ率に悩まされる。
- 発売初期ゆえの致命的なバグも散見される。
これらのデメリットを許容できるかどうかが、購入の判断基準になります。 ボーダーランズ4は、光る部分も多くある一方で、手放しでおすすめできる快作とは言えない、非常に尖った作品です。
もしあなたが、これらの欠点を乗り越えてでも、無限に広がる武器の海から最高の一丁を掘り当てる喜びに身を焦がしたいと願う、真のハクスラ好き(ヴォルト・ハンター)なのであれば、新惑星カイロスはあなたを歓迎するでしょう。 しかし、少しでも不安を感じたのなら、今は焦って手を出すべきではありません。
このレビューが、あなたの賢明なゲーム選びの一助となれば幸いです。