ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、先日発表された『バイオハザード9 レクイエム』について、なぜ予告動画が炎上したのか、特にPS5版とNintendo Switch 2版の間にどれほどの画質差があるのか気になっていると思います。

長年の沈黙を破り発表された待望の新作が、なぜこれほどの論争を巻き起こしているのか、その真相に迫ります。 このレビューでは、両ハードのスペック比較から炎上の真相、そしてゲーマーとしてどちらのハードでプレイすべきかまで、徹底的に掘り下げていきます。
この記事を読み終える頃には、バイオハザード9 レクイエムのハード選びに関するあなたの疑問が解決しているはずです。
- 衝撃のニンテンドーダイレクト発表の経緯
- 炎上を招いた圧倒的なグラフィック格差
- PS5とスイッチ2の決定的なスペック差
- あなたに最適なハードウェア選びの結論
それでは解説していきます。

バイオハザード9 レクイエムの電撃発表と炎上の経緯
長らく沈黙が続いていたバイオハザードシリーズのナンバリング最新作。 その情報は、多くのファンが予想だにしなかった形で、突如として全世界に発信されました。 歓喜に沸いたのも束の間、公開された映像が大きな波紋を呼び、SNSを中心に賛否両論の嵐が吹き荒れることになります。 まずは、発表から炎上に至るまでの経緯を時系列で整理していきましょう。

待望の新作!ニンテンドーダイレクトでのサプライズ発表
事件が起きたのは、2025年9月12日に配信された「Nintendo Direct 2025.9.12」でのことでした。 この配信は、任天堂の次世代機「Nintendo Switch 2」向けの完全新作タイトルが多数発表されるとあって、世界中のゲーマーから大きな注目を集めていました。 その配信の終盤、誰もが予想していなかったサプライズとして、カプコンの「バイオハザード9 レクイエム」が電撃発表されたのです。
発売日は2026年2月27日。 対応機種はNintendo Switch 2、PlayStation 5、PC(Steam)、Xbox Series X|Sと、主要な現行プラットフォームを網羅する形での同時発売が明かされました。 これまで技術的な制約から、スイッチではスピンオフやクラウド版の展開が主だったバイオハザードシリーズ。 その完全新作が、任天堂の次世代機で、しかも他ハードと同時に発売されるという事実は、ファンにとって大きな驚きと喜びをもって受け止められました。
発表直後から公式SNSは関連情報を次々と発信し、公開されたポストは過去のシリーズ作品を遥かに凌ぐリツイートとコメント数を記録。 まさにゲーム業界全体を震撼させる、歴史的な発表となりました。
歓喜から一転、予告動画でなぜ炎上したのか?
しかし、その熱狂的な雰囲気は、公開されたトレーラー映像によって一変します。 各プラットフォームで公開された予告動画を見比べたユーザーたちから、「Nintendo Switch 2版とPS5版のグラフィックに差がありすぎる」という指摘が相次いだのです。
SNSや動画共有サイトには両バージョンの比較動画が瞬く間にアップロードされ、その圧倒的な差異が可視化されると、議論はさらに過熱。 「これは本当に同じゲームなのか?」「PS4世代レベルに劣化している」といった厳しい意見が飛び交い、国内外で大炎上する事態へと発展しました。
特に問題視されたのは、キャラクターの質感、光と影の表現、そして全体の解像度です。 PS5版が実写と見紛うほどの美麗なグラフィックで描かれているのに対し、Switch 2版は明らかにテクスチャの解像度が低く、ライティングも簡略化されているように見えました。
この「ヤバすぎる」とまで言われたグラフィック差が、多くのファンの期待を裏切る形となり、大きな論争の火種となったのです。
主人公はFBI分析官「グレイス・ワッシュクロフト」

ここで、炎上の話題から少し離れ、明らかになったゲーム内容について触れておきましょう。 本作の主人公は、FBIに所属する分析官「グレイス・ワッシュクロフト」。 公開されたトレーラーでは、過去の記憶と対峙しながら、ある事件の真相を追う姿が描かれています。
これまでのシリーズ主人公であるイーサン・ウィンターズとは異なり、専門的な知識を持つ捜査官という設定は、物語に新たな深みを与えてくれそうです。 過去のトラウマを抱え、どこか儚げな表情を見せる彼女が、どのような恐怖に立ち向かっていくのか、その活躍に期待が高まります。
物語の舞台は廃ホテル「レンウッドホテル」
物語の主要な舞台となるのは、不気味な雰囲気が漂う「レンウッドホテル」。 トレーラーでは、グレイスがこの廃墟と化したホテルを探索する様子が描かれています。 興味深いのは、彼女がホテルに足を踏み入れると、過去の記憶がフラッシュバックする演出です。
かつて母親であるアリッサと共にこのホテルに滞在していたようで、プレイヤーは現代のグレイスとして廃墟を探索するパートと、過去のアリッサとして事件発生時のホテルを体験するパートを行き来しながら、物語の謎を解き明かしていくことになるのかもしれません。
ガラスは割れ、至る所に黒焦げの跡があることから、過去に大規模な火災があったことが示唆されています。 このホテルで一体何が起こったのか、そして「例の変死事件」との関連は。 シリーズの原点回帰ともいえる、閉鎖空間でのサバイバルホラーが展開されることは間違いないでしょう。
トレーラーから読み解く物語の謎
公開されたセカンドトレーラーには、物語の核心に迫るであろう数多くの謎が散りばめられています。 特に注目すべきは、バイザーを装着した謎の老人と、フードを深くかぶった男の存在です。 老人は「君は特別な存在だ」とグレイスに語りかけ、まるで黒幕のような雰囲気を漂わせています。 一方でフードの男は、一切言葉を発さずに実行役として暗躍しているように見えます。 私個人の見解としては、この二人は同一人物である可能性を考察しています。 これまでのバイオハザード新作では、トレーラー段階でラスボスがそのままの姿で登場することは稀でした。 バイオハザード7のエブリンは老婆の姿に、ヴィレッジのミランダは預言者の姿に擬態していました。 このセオリーに倣うなら、いかにも黒幕然とした老人はプレイヤーのミスリードを誘うための存在であり、その正体はフードの男。 そして物語序盤に立ちはだかる強敵、いわばバイオ7のジャックやヴィレッジのドミトレスク夫人のようなポジションではないかと睨んでいます。
新たなクリーチャーとシリーズへの繋がり
もちろん、新たな脅威となるクリーチャーの姿も確認できます。 トレーラーには、自らの頭を鏡に叩きつける血だらけの女性や、白いローブをまとって不規則に揺れながら歩く人影が登場しました。
特に白いローブの敵は、その動き方から「バイオハザード4」に登場したガナードを彷彿とさせます。 また、最も注目すべきは、映像の最後に映し出された古びた「アンブレラ社」のマークです。
滅菌作戦によって崩壊したはずのラクーンシティ近郊で、なぜ今アンブレラの名が? 長らくシリーズの根幹を成してきた悪の組織の影が、本作でも色濃く残っていることは間違いありません。 グレイスが持つ「特別な力」とアンブレラ社の関係、そして彼女の「逃れられない運命」とは何なのか。 謎が謎を呼ぶ展開に、期待は膨らむばかりです。
PS5 vs スイッチ2 徹底比較!画質差の真相に迫る
さて、物語への期待が高まったところで、本題であるグラフィック問題に話を戻しましょう。 なぜ、ここまで大きな差が生まれてしまったのか。 そして、その差はゲーム体験にどのような影響を与えるのか。 技術的な側面から、両ハードの違いを徹底的に比較・分析していきます。
衝撃的なグラフィック差を項目別に解説
まずは、SNSや海外メディアで指摘されている具体的なグラフィックの差異を項目別に見ていきましょう。


- 解像度とフレームレート: PS5版が最大4K解像度・60fps(フレームレート)での動作を目標としているのに対し、Switch 2の公式トレーラーは1080p解像度・30fpsを基準に制作されています。 単純な数値以上に、映像の滑らかさや精細さに天と地ほどの差が生まれています。
- キャラクターグラフィック: 最も分かりやすい違いがキャラクターモデルです。 PS5版のグレイスは、肌の質感や髪の毛一本一本までリアルに描かれているのに対し、Switch 2版は全体的にのっぺりとした印象を受けます。 SNSでは「まるで2Pカラーのようだ」と揶揄されるほど、テクスチャの品質や色味に違いが見られます。
- 光源・影表現(ライティング): ホラーゲームの没入感を左右する重要な要素がライティングです。 PS5版では「レイトレーシング」という最新技術に対応し、光の反射や屈折をリアルタイムで計算することで、現実世界さながらのリアルな光と影を描き出しています。 一方、Switch 2版ではこの機能が省略され、従来の手法で陰影が処理されているため、奥行きや臨場感に欠ける印象は否めません。
- 水や炎の表現: 水面の反射や炎の揺らめきといった環境エフェクトも大幅に簡略化されています。 PS5版ではリアルタイムで周囲の環境を映し込む水面も、Switch 2版では単純なテクスチャで表現されるなど、細かい部分でクオリティの差が顕著に現れています。
これらの違いが積み重なることで、両者の映像体験には圧倒的な格差が生まれているのが現状です。
なぜここまで差が?両ハードのスペックを徹底比較
このグラフィック差の根本的な原因は、PlayStation 5とNintendo Switch 2のハードウェア性能、つまりスペックの違いにあります。 携帯機としての側面も持つSwitch 2と、据え置き型のハイエンドマシンであるPS5では、開発思想そのものが異なります。 両者の主なスペックを比較してみましょう。
項目 | Nintendo Switch 2 (推定) | PlayStation 5 |
---|---|---|
解像度 | 1080p (アップスケーリングで4K対応) | 最大 8K |
フレームレート | 30fps 〜 60fps | 最大 120fps |
CPU | カスタムNVIDIA Tegra | カスタムAMD Ryzen Zen 2 (8コア/16スレッド) |
GPU | NVIDIA Ampereベース | カスタムAMD RDNA 2 (10.3 TFLOPS) |
メモリ | 8GB 〜 12GB | 16GB GDDR6 |
ストレージ | 内蔵SSD (容量・速度はPS5に劣る) | 超高速SSD (825GB) |
特徴 | 携帯モード、DLSS類似技術 | レイトレーシング、3Dオーディオ |
表を見れば、その性能差は歴然です。 特にグラフィック性能を司るGPUの計算能力 (TFLOPS) には大きな隔たりがあり、これが直接的な描画能力の差に繋がっています。 また、PS5に搭載されている「レイトレーシング」は、膨大な計算を必要とするため、現時点ではSwitch 2に同等の機能を搭載するのは困難です。 Switch 2も従来機からは飛躍的な進化を遂げていますが、ハイエンドPCやPS5といった怪物級のマシンと真っ向から勝負するには、依然として性能不足であると言わざるを得ません。
カプコンの狙いは?マルチプラットフォーム展開の戦略
では、これほどの性能差がありながら、なぜカプコンは同時発売という決断を下したのでしょうか。 そこには、カプコンの巧みな市場戦略が見て取れます。 公式声明では「より多くのユーザーが同時体験できることに意義がある」と強調されており、これは特定のハードのユーザーを切り捨てるのではなく、全てのゲーマーに最新作を届けたいという意志の表れです。
戦略的に見れば、これは「ハイエンド層」と「ライト・ポータブル層」という、性質の異なる二大市場を同時に狙うものです。 最高のゲーム体験を求めるPS5・PCユーザーを取り込みつつ、世界的に絶大な普及台数を誇る任天堂ハードのユーザー層、特に携帯して遊びたいという需要もがっちりと掴む。
グラフィック品質で妥協を強いられるというデメリットを差し引いても、販売本数という観点では非常に合理的な判断と言えるでしょう。 開発現場の苦労は計り知れませんが、ビジネスとしては極めてクレバーな戦略です。
ユーザーの反応まとめ【賛否両論】
このカプコンの戦略と、それによって生まれたグラフィック差に対し、ユーザーからは様々な意見が寄せられています。
- 肯定的な意見 「Switchでバイオの新作が遊べるだけでありがたい」 「PS5は高くて買えないから、Switch 2で出してくれるのは救済措置」 「グラフィックより、いつでもどこでも遊べる携帯性の方が重要」
- 否定的な意見 「マルチにしたせいでPS5版のクオリティまで下がっているのでは?」 「中途半端なものを作るくらいならPS5独占で最高のものを出してほしかった」 「ホラーゲームでグラフィックを妥協するのは致命的」
- バランスの取れた意見 「グラフィックが全てではないが、恐怖を煽る没入感に差が出るのは確か」 「企業の戦略としては理解できるが、いちファンとしては少し残念」 「どちらのハードで買うか、純粋に悩ましい問題」
このように、プレイヤーが何を重視するか(携帯性、価格、グラフィック、没入感)によって、評価が真っ二つに分かれているのが現状です。
【結論】グラフィック重視ならPS5、携帯性ならスイッチ2
これまでの比較分析を踏まえ、あなたがどちらのハードで『バイオハザード9 レクイエム』をプレイすべきか、結論を提示します。
PlayStation 5版がおすすめな人
- 映画のような最高品質のグラフィックでプレイしたい
- ホラーゲームにおいて、グラフィックによる没入感を最も重視する
- フレームレートの安定性を求める
- すでにPS5を所有している、または購入予定がある
Nintendo Switch 2版がおすすめな人
- 外出先やベッドの中など、場所を選ばずにプレイしたい
- グラフィックの差はある程度許容できる
- 家族や友人と一緒に楽しむ機会が多い
- ハードの購入コストを少しでも抑えたい
究極的には、あなたのゲームプレイスタイルに合った方を選ぶのが最善です。 グラフィックの差は確かに大きいですが、物語やゲームシステムといった根幹部分はどちらのハードでも同じように楽しめるはずです。 どちらを選んでも、シリーズ最新作がもたらす極上の恐怖体験が待っていることに変わりはありません。
今後の展開は?東京ゲームショウ2025に期待
このグラフィック論争に一つの終止符を打つかもしれないのが、2025年9月に開催予定の「東京ゲームショー2025」です。 カプコンは本作のプレイアブル出展を予定しており、ここで初めて一般のプレイヤーがPS5版とSwitch 2版の両方を直接体験し、比較できる機会が訪れます。
トレーラー映像だけでは分からない操作性や、実際のプレイフィールがどうなのか。 このイベントでの試遊レポートや来場者の反応が、発売に向けた最終的な評価を大きく左右することになるでしょう。 私自身も現地で両バージョンを徹底的にプレイし、改めて詳細なレビューをお届けする予定です。
このグラフィック差は他のゲームにも影響するのか?
『バイオハザード9 レクイエム』で顕在化したこの問題は、決して他人事ではありません。 これは、今後のゲーム業界全体が向き合わなければならない課題を示唆しています。
事実、他のAAAタイトル、例えば『スター・ウォーズ 無法者たち』のSwitch 2版でも同様の現象が確認されており、マルチプラットフォーム開発における「品質の最適化」と「市場規模の確保」のバランスをどう取るかが、業界共通の議題となっています。 本作の成功、あるいは失敗が、今後のサードパーティのSwitch 2への参入戦略に大きな影響を与えることは間違いないでしょう。
まとめ
今回は、大きな期待と共に発表され、同時に激しい論争を巻き起こしている『バイオハザード9 レクイエム』の炎上問題について、その背景を深掘りしてきました。
要点をまとめると以下のようになります。
- 炎上の原因は、PS5版とSwitch 2版の間に存在する、看過できないレベルのグラフィック格差。
- その背景には、据え置きハイエンド機と携帯機のハイブリッド機という、両ハードの根本的な性能差がある。
- カプコンは、品質の妥協というリスクを負ってでも、より多くのユーザーに作品を届ける市場拡大戦略を選択した。
- どちらのハードを選ぶべきかは、プレイヤーが「最高の没入感」を求めるか、「手軽な携帯性」を求めるかという、個人の価値観に委ねられる。
期待が大きかったからこその、この反響。 それだけバイオハザードというシリーズが、世界中のファンから愛されている証拠とも言えます。 グラフィックの差はあれど、シリーズの歴史に新たな1ページを刻むであろう本作の登場が、今から待ち遠しくてなりません。 2026年2月27日、私たちは再び、逃れることのできない恐怖の渦に巻き込まれることになるでしょう。