編集デスク ガジェット担当の新海ミナです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、高性能なポータブルゲーミングPC「OneXFly F1 PRO」が気になっていて、定番の「Steam Deck」と比べてどうなのか、特に優れている点はどこなのか、詳しく知りたいと思っているのではないでしょうか。
ポータブルゲーミングPCの世界は今、とてもエキサイティングですよね。 私も評論家として、また一人のゲーマーとして、様々な機種を日々触っていますが、OneXFly F1 PROとSteam Deckは、その中でも特に個性が際立つ2台だと感じています。
この記事を読み終える頃には、OneXFly F1 PROとSteam Deckの具体的な違い、そして「あなたにとって本当に必要な一台」はどちらなのか、その疑問が解決しているはずです。
- OneXFly F1 PROの圧倒的パフォーマンス性能
- Steam Deckの優れたコストパフォーマンスと最適化
- ディスプレイ品質と携帯性の詳細比較
- WindowsとSteamOSの決定的な使い勝手の違い
それでは解説していきます。
今、ポータブルゲーミングPCが熱い!OneXFly F1 PROとSteam Deckの概要
ゲーマーの夢を叶える「どこでもPCゲーム」
ここ数年で、ポータブルゲーミングPCというジャンルは急速に進化しました。 かつてはデスクトップやノートPCでしか遊べなかったAAAタイトルのゲームが、今や電車の中やベッドの上で、手元の小さなデバイスで楽しめるようになったのです。 これは、私たちゲーマーにとって長年の夢が叶った瞬間と言っても過言ではありません。
その中でも、市場を牽引してきた「Steam Deck」と、後発ながら圧倒的な性能で注目を集める「OneXFly F1 PRO」は、現在最も比較検討される2台です。 しかし、この2台は似ているようで、その設計思想や得意分野は全く異なります。
OneXFly F1 PROとは? – パフォーマンス重視のWindows機
OneXFly F1 PROは、One-Netbook社が展開するポータブルゲーミングPCのブランド「OneXPlayer」シリーズの中でも、特に「軽さ」と「ハイパフォーマンス」を追求したモデルです。
最大の特徴は、Windows 11を搭載し、最新の高性能APU(CPUとGPUが統合されたチップ)を採用している点。 これにより、Steamのゲームはもちろん、PC Game Pass、Epic Games Store、GOGなど、あらゆるプラットフォームのPCゲームをネイティブで動作させることが可能です。
さらに、驚くほどの軽さ(約599g~)と、高解像度・高リフレッシュレートのディスプレイを備え、まさに「妥協しない」ゲーマー向けのプレミアムな一台となっています。
Steam Deckとは? – Steamに最適化された高コスパ機
一方のSteam Deckは、PCゲームプラットフォーム「Steam」を運営するValve社が自ら開発したポータブルゲーミングPCです。
最大の特徴は、Valveが独自に開発したOS「SteamOS」(Linuxベース)を搭載している点。 これにより、Steamライブラリのゲームに最適化された、非常に快適でシームレスなゲーム体験を実現しています。 特に、ゲームの中断・再開(スリープ・レジューム)機能の優秀さは、他のWindows機とは一線を画します。
性能はOneXFly F1 PROに及びませんが、ゲームを遊ぶために最適化された設計と、圧倒的なコストパフォーマンスで、世界中のゲーマーに愛されています。 現在は初期のLCD(液晶)モデルに加え、ディスプレイやバッテリーが大幅に進化したOLED(有機EL)モデルが主流となっています。
OneXFly F1 PROとSteam Deckのスペック徹底比較
まずは、両者のスペックを詳しく比較してみましょう。 特にOneXFly F1 PROは複数のモデルが存在するため、代表的なモデル(Ryzen 7 8840U搭載機と、ハイエンドのRyzen AI 9 HX 370搭載機)と、Steam Deck(OLED版とLCD版)を並べてみます。
スペック比較表
| 項目 | OneXFly F1 PRO (8840U) | OneXFly F1 PRO (AI 9 HX 370) | Steam Deck (OLED) | Steam Deck (LCD) |
|---|---|---|---|---|
| CPU | AMD Ryzen 7 8840U (Zen 4) | AMD Ryzen AI 9 HX 370 (Zen 5) | AMD APU (Zen 2) | AMD APU (Zen 2) |
| 8コア / 16スレッド | 12コア / 24スレッド | 4コア / 8スレッド | 4コア / 8スレッド | |
| GPU | AMD Radeon 780M (RDNA 3) | AMD Radeon 890M (RDNA 3.5) | AMD RDNA 2 (8 CU) | AMD RDNA 2 (8 CU) |
| メモリ | 32GB (LPDDR5X 7500MHz) | 32GB / 64GB (LPDDR5X 7500MHz) | 16GB (LPDDR5 6400MHz) | 16GB (LPDDR5 5500MHz) |
| ディスプレイ | 7インチ IPS液晶 | 7インチ OLED (有機EL) | 7.4インチ OLED (有機EL) | 7インチ LCD (液晶) |
| 解像度 | 1920 x 1080 (フルHD) | 1920 x 1080 (フルHD) | 1280 x 800 | 1280 x 800 |
| リフレッシュレート | 120Hz | 144Hz | 90Hz | 60Hz |
| 輝度 | (非公表) | 800 nits (HDR) | 1000 nits (HDRピーク) | 400 nits |
| ストレージ | 1TB (NVMe M.2 2280) | 1TB / 2TB / 4TB (NVMe M.2 2280) | 512GB / 1TB (NVMe M.2 2230) | 64GB / 256GB / 512GB |
| OS | Windows 11 Home | Windows 11 Home | SteamOS 3.0 | SteamOS 3.0 |
| バッテリー | 48.5Wh | 48.5Wh | 50Wh | 40Wh |
| 重量 | 約599g | 約599g | 約639g | 約669g |
| インターフェース | USB4 (Type-C) x2, USB-A x1, microSD | USB4 (Type-C) x2, USB-A x1, microSD | USB-C x1 (DP, PD対応), microSD | USB-C x1 (DP, PD対応), microSD |
| 操作系 | ホールエフェクトスティック, トラックパッドなし | ホールエフェクトスティック, トラックパッドなし | スティック, トラックパッド x2 | スティック, トラックパッド x2 |
| 実売価格 (目安) | 約14万円~ | 約21万円~ | 約8.5万円~ (512GB) | 約5.9万円~ (256GB) |
CPUとGPUの性能差 – OneXFly F1 PROのパワーの源
この比較表から最も顕著な違いは、APUの性能です。
OneXFly F1 PROの強力なAPU (8840U / AI 9 300シリーズ)
OneXFly F1 PROは、最新世代のAPUを搭載しています。 Ryzen 7 8840Uモデルですら、CPUはZen 4アーキテクチャの8コア16スレッド、GPUはRDNA 3アーキテクチャのRadeon 780Mです。 これは、Steam DeckのZen 2アーキテクチャ(4コア8スレッド)とRDNA 2 GPUと比べて、世代もコア数も大きく上回っています。
さらに、AI 9 HX 370モデルに至っては、CPUが次世代のZen 5アーキテクチャ(12コア24スレッド)、GPUがRDNA 3.5アーキテクチャのRadeon 890Mとなり、これはもうポータブル機の枠を超えた、高性能ノートPCに匹敵するスペックです。
Steam DeckのAPU (Aerith/Sephiroth) との性能比較
Steam DeckのAPUも、発売当時は画期的なものでした。 低消費電力でゲームを安定動作させることに長けています。 しかし、OneXFly F1 PROのAPUと比較すると、純粋な処理能力(特にCPU性能)では数世代前のものとなり、大きな差があります。
この性能差が、OneXFly F1 PROが「フルHD (1080p) 解像度」でゲームを動かせるのに対し、Steam Deckが「1280 x 800解像度」をターゲットにしている最大の理由です。
ディスプレイ対決 – 有機ELと液晶、リフレッシュレートの違い
次に重要なのがディスプレイです。
OneXFly F1 PROの鮮やかなディスプレイ (7インチ 1080p 120Hz/144Hz)
OneXFly F1 PROは、フルHD (1080p) 解像度を基本としています。 8840Uモデルは高精細な120HzのIPS液晶を、AI 9モデルはさらに美しい144HzのOLED (有機EL) を搭載しています。
1080pの高解像度は、ゲームのディテールを鮮明に映し出し、文字も読みやすくなります。 また、120Hzや144Hzという高いリフレッシュレートは、FPSやアクションゲームにおいて、非常に滑らかな映像(ヌルヌル感)を提供してくれます。 AI 9モデルのOLEDは、息をのむような黒の表現と鮮やかな発色も魅力です。
Steam Deckのディスプレイ (LCD版とOLED版の違い)
Steam Deckの解像度は1280 x 800です。 フルHDに比べると解像度は低いですが、7インチクラスの画面サイズでは十分な精細さとも言えます。 解像度が低い分、APUへの負荷が下がり、フレームレートを稼ぎやすく、バッテリー持ちにも貢献しています。
初期のLCDモデルは60Hzでしたが、現在のOLEDモデルは90Hzに対応し、HDR(ハイダイナミックレンジ)もサポートしています。 Steam Deck OLEDの7.4インチOLEDパネルは、その発色の良さと応答速度、そしてHDR表現において非常に高い評価を受けており、ゲームへの没入感を格段に高めてくれます。
メモリとストレージ – 速度と容量が快適性を左右
メモリ(RAM)は、ゲームのロード時間やマルチタスク性能に影響します。 OneXFly F1 PROは全モデルで32GB以上、しかも高速な7500MHzのLPDDR5Xメモリを搭載しています。 これはSteam Deckの16GB(5500MHzまたは6400MHz)と比べて倍の容量と高速さを誇り、特に最近のメモリを大量に消費するAAAタイトルや、ブラウザを開きながらゲームをするといった使い方で差が出ます。
ストレージも、OneXFly F1 PROは高速なPCIe 4.0規格のM.2 2280サイズを採用しており、大容量モデルも選択可能です。 (Steam DeckはM.2 2230という、より小型の規格になります)
携帯性とデザイン – 重さ、サイズ、持った感触
OneXFly F1 PROの軽さ(約599g)とデザイン
OneXFly F1 PROの最大の武器の一つが、その「軽さ」です。 ハイエンドな性能を持ちながら、重量は約599g(モデルにより若干の誤差あり)に抑えられています。 これは、Steam Deck LCD版(約669g)やOLED版(約639g)と比べて、約40g~70gも軽いことになります。
この数十グラムの差は、実際に手に持って長時間プレイすると、手首への負担として明確に体感できます。 私は両方持っていますが、OneXFly F1 PROを触った後にSteam Deckを持つと、ずしりとした重さを感じます。 デザインも比較的コンパクトで、持ち運びやすさを重視しているのが伝わってきます。
Steam Deckのサイズ感とエルゴノミクス
Steam Deckは、OneXFly F1 PROよりも大きく、重いです。 しかし、その分、グリップ(握り部分)が非常に大きくしっかりとデザインされており、手の大きな人にとっては抜群のホールド感(エルゴノミクス)を提供します。 また、Steam Deck独自の機能として、左右に搭載された「トラックパッド」があります。 これはマウス操作の代わりとして非常に優秀で、特にRTS(リアルタイムストラテジー)や一部のシミュレーションゲームを遊ぶ際に重宝します。
バッテリー持続時間 – ポータブル機の生命線
バッテリー容量(Wh)は、Steam Deck OLED (50Wh) がOneXFly F1 PRO (48.5Wh) やSteam Deck LCD (40Wh) よりも大きいです。
ただし、実際の持続時間は、APUの消費電力(TDP)、ディスプレイの輝度や解像度、そして遊ぶゲームの負荷によって大きく変動します。
- Steam Deck (OLED): 低解像度 (800p) と効率的なOS、大容量バッテリーの恩恵で、AAAタイトルで約2時間、中~軽量級の2Dゲームなら6時間~10時間以上遊べることもあります。
- OneXFly F1 PRO: 高解像度 (1080p) と高性能APUをフル稼働させると、AAAタイトルでは1時間~1時間半程度になることが多いです。 もちろん、TDP(消費電力)設定を下げ、解像度を800pに落とせば、Steam Deckに近い持続時間で遊ぶことも可能です。
OneXFly F1 PROがSteam Deckより優れているポイント
ここからは、読者の方が最も気になっているであろう「OneXFly F1 PROの優位点」を、私の実体験を交えて深く掘り下げます。
圧倒的な処理性能 – 最新ゲームも高設定で快適
これが最大の利点です。 OneXFly F1 PROの性能は、Steam Deckを完全に凌駕しています。
実際のゲームでのフレームレート比較 (Forza, Cyberpunkなど)
例えば、私がテストした「Forza Horizon 5」では、8840UモデルですらフルHD (1080p)、FSR 2.2(高画質化技術)をバランスに設定し、グラフィック「中設定」で60FPSに張り付きました。 さらにFSRを「クオリティ」設定にしても60FPSを維持でき、7インチの画面とは思えないほど美しい映像で快適にプレイできました。
Steam Deck (OLED) でもForza Horizon 5は快適に動作しますが、それは解像度800p、グラフィック「中~低設定」での話です。 1080pで同じ体験をしようとすると、フレームレートは大きく落ち込みます。
「サイバーパンク2077」のような非常に重いゲームでも、OneXFly F1 PRO (特にAI 9モデル) なら、1080pで設定を調整すれば、Steam Deck (800p) よりも高いフレームレートと画質を両立させることが可能です。
AI 9 300シリーズ搭載モデルの将来性
特にAI 9 HX 370モデルは、Z1 Extreme(ROG Allyのハイエンドモデル)をも超えるパフォーマンスを発揮します。 これは、これから発売される「モンスターハンター ワイルズ」のような次世代のAAAタイトルを、ポータブル機で可能な限り良い条件で遊びたいと考えているゲーマーにとって、非常に強力な選択肢となります。
高品質なディスプレイ – 120Hz/144Hzの滑らかさと発色
性能が高くても、それを映し出すディスプレイが良くなければ体験は損なわれます。 OneXFly F1 PROは、1080pという高解像度に加え、120Hz (8840U) または144Hz (AI 9) という高リフレッシュレートに対応しています。
90HzのSteam Deck OLEDも十分に滑らかですが、120Hz以上の世界は、特に競技性の高いFPSや素早い動きが求められるアクションゲームで、視認性と操作の正確性に明確な差をもたらします。 AI 9モデルのOLEDパネルは、Steam Deck OLEDに匹敵する、あるいはそれ以上の鮮やかな発色とコントラストを、より高い解像度とリフレッシュレートで実現しています。
Windows 11搭載の自由度 – Steam以外のゲームもネイティブ動作
これはSteam Deckとの決定的な違いであり、OneXFly F1 PROの大きな強みです。
Game Pass, Epic Games, GOGなども簡単起動
Steam DeckのSteamOSは、基本的にはSteamのゲームを遊ぶためのものです。 「Proton」という互換レイヤーのおかげで多くのWindowsゲームが動作しますが、Game Pass(Xboxアプリ)やEpic Games Storeのゲームを遊ぶには、設定に手間がかかったり、一部のタイトル(特にアンチチート搭載のオンラインゲーム)が動作しなかったりします。
一方、OneXFly F1 PROはWindows 11を搭載しています。 これは、私たちが普段使っているPCと全く同じ環境です。 Steam、Game Pass、Epic、GOG、EA Play… どのプラットフォームのゲームも、PCと同じようにインストールし、ネイティブで完璧に動作させることができます。 Game Passで遊びたいタイトルがたくさんある方にとって、この手軽さは何物にも代えがたい利点です。
Mod導入や各種設定のしやすさ
PCゲームの醍醐味の一つである「Mod(改造データ)」の導入も、Windows機であるOneXFly F1 PROの方が圧倒的に簡単です。 ゲームファイルの場所も分かりやすく、Mod管理ツールもPCと同じものがそのまま使えます。 SteamOS(Linux)では、ファイルの階層構造が異なるため、Mod導入に専門的な知識が必要になる場合があります。
優れた携帯性 – 驚きの軽さとコンパクトさ
前述の通り、OneXFly F1 PROの約599gという軽さは、驚異的です。 Steam Deck OLED (約639g) との約40gの差は、数字以上に大きく感じられます。 私はカバンに入れて毎日持ち歩いていますが、この軽さは「ポータブル(携帯)機」として非常に正義だと感じます。 コントローラー部分もSwitchに近い形状で、手が小さめの方でも握りやすいデザインだと感じます。
高速なメモリとストレージの恩恵
メモリ32GBという大容量は、現代のゲーム環境において「余裕」を生み出します。 ゲームを起動したままWebブラウザで攻略サイトを見たり、Discordで通話をしたりといったマルチタスクが、Steam Deckの16GB環境よりも遥かにスムーズです。
充実したインターフェース (USB4.0搭載など)
OneXFly F1 PROは、高速なUSB4.0 (Type-C) ポートを2つ搭載しています(Steam DeckはUSB-Cが1つ)。 これにより、充電しながらeGPU(外付けグラフィックボード)を接続したり、高速な外部ストレージを使ったりと、拡張性が非常に高いです。 私もeGPUボックスを接続してテストしましたが、デスクトップPCさながらのパフォーマンスで安定動作しました。
高機能な専用ソフトウェア「OneXConsole」
OneXFly F1 PROには「OneXConsole」という専用のランチャーソフトがプリインストールされています。 これにより、ゲームの管理はもちろん、TDP(消費電力)の設定、ファンスピードの調整、解像度の変更などをゲーム中でも簡単に呼び出して設定できます。 Windows機ながら、SteamOSのクイックアクセスメニューに近い利便性を実現しようという努力が感じられます。
Steam Deckが持つ独自の魅力とOneXFly F1 PROの弱点
OneXFly F1 PROを絶賛してきましたが、Steam DeckにはSteam Deckにしかない、強力な魅力があります。 そして、OneXFly F1 PROにも弱点は存在します。
Steam Deckの魅力①:圧倒的なコストパフォーマンス
これがSteam Deckの最大の武器です。 Steam Deck OLEDの512GBモデルは84,800円、1TBモデルでも99,800円です。 (LCD 256GBモデルなら59,800円)
OneXFly F1 PROは、最も安価な8840Uモデルでも約14万円、AI 9モデルに至っては20万円を超えます。 この価格差は非常に大きく、「ポータブル機でPCゲームを体験してみたい」という方にとって、Steam Deckは圧倒的に魅力的な選択肢です。
Steam Deckの魅力②:SteamOSによる最適化されたゲーム体験
価格が安いだけでなく、「ゲーム機としての使いやすさ」でSteam Deckは非常に優れています。
スリープ・レジューム機能の優秀さ
SteamOSの最も素晴らしい機能の一つが、スリープとレジューム(中断と再開)です。 ゲームのプレイ中に電源ボタンを押してスリープさせ、次に電源を入れた瞬間に、ゲームの続きから即座に再開できます。 これはNintendo SwitchやPlayStationのような家庭用ゲーム機と全く同じ感覚です。
Windows機であるOneXFly F1 PROもスリープは可能ですが、Windowsのスリープは不安定なことがあり、復帰に失敗したり、ゲームがクラッシュしたりする可能性がSteamOSより高いです。 「遊びたい時にすぐ遊んで、すぐ中断できる」という手軽さにおいて、Steam Deckは最強です。
シェーダーキャッシュによる快適性
SteamOSは、ゲームを起動する前に「シェーダーキャッシュ」というデータをあらかじめダウンロードしてくれる機能があります。 これにより、ゲーム中に発生しがちな「カクつき」(スタッター)を大幅に抑え、スムーズなプレイ体験を提供してくれます。 Windows機では、このシェーダーキャッシュをゲームごと(あるいは起動時)に生成するため、プレイ開始直後にカクつくことがあります。
Steam Deckの魅力③:独自のトラックパッドと操作性
Steam Deckの左右にあるトラックパッドは、慣れると非常に便利です。 マウスカーソルの操作はもちろん、ジャイロ機能と組み合わせることで、FPSゲームのエイム(照準合わせ)をスティックよりも精密に行うことも可能です。 この操作系はSteam Deckにしかなく、これに慣れると他のデバイスが物足りなくなるという声も多いです。
OneXFly F1 PROの気になる点(弱点)
では、OneXFly F1 PROの弱点は何でしょうか。
価格の高さ
最大のネックは、やはり価格です。 Steam Deck OLEDの2倍近い価格は、誰にでもお勧めできるものではありません。 最高のパフォーマンスと携帯性を得るためのコスト、と割り切る必要があります。
Windows起因の煩わしさ(アップデート、スリープ問題など)
Windows 11は自由度が高い反面、「ゲーム機」としては煩わしい部分もあります。 バックグラウンドでのWindows Update、突然表示される通知、不安定なスリープ復帰、ドライバーの更新など、PCとしてのメンテナンスが定期的に必要になります。 SteamOSのように「ゲームを遊ぶことだけに集中したい」という方には、この点がストレスになるかもしれません。
バッテリー持続時間(高負荷時)
高性能なAPUと高解像度ディスプレイを搭載しているため、TDPを上げてAAAタイトルを遊ぶと、バッテリーはみるみるうちに減っていきます。 私のテストでも、高負荷時は1時間~1時間半が限界でした。 これはSteam Deck OLED(高負荷時でも2時間弱)と比べても短いです。 外出先で電源のない場所で長時間遊びたい場合は、TDP設定を工夫するか、大容量のモバイルバッテリーが必須となります。
結局どちらを選ぶべき?タイプ別おすすめガイド
ここまで様々な比較をしてきましたが、結論として「どちらがあなたに合っているか」をタイプ別にまとめてみましょう。
OneXFly F1 PROがおすすめな人
最高のパフォーマンスで最新ゲームを遊びたい
ポータブル機であっても、画質やフレームレートに一切妥協したくない。 1080p解像度、高リフレッシュレートでAAAタイトルを快適に遊びたいという「パフォーマンス至上主義」の方に最適です。
Steam以外のプラットフォーム(Game Passなど)も多用する
PC Game Passのラインナップをポータブル機で遊び尽くしたい。 Epic GamesやGOGのライブラリも活用している。 そういった方には、ネイティブで全対応するWindows機のOneXFly F1 PROが強く推奨されます。
携帯性と軽さを最重要視する
高性能は欲しいが、重いデバイスは持ち歩きたくない。 Steam Deckの重さがネックになっている方にとって、約600gというOneXFly F1 PROの軽さは、価格差を埋めるだけの価値があります。
PCとしても使いたい
ゲームだけでなく、時にはブラウザで作業したり、動画編集の真似事をしたりと、小型のWindows PCとして活用したい方にも向いています。 eGPUを接続すれば、自宅ではデスクトップPCのようにも使えます。
Steam Deckがおすすめな人
コストパフォーマンスを最優先したい
まずはお手頃な価格でポータブルゲーミングPCの世界に入門したい。 10万円以下で、ほとんどのPCゲームが遊べる体験を手に入れたい方には、Steam Deck(特にOLED版)以外に選択肢はありません。
ほぼSteamライブラリのゲームしか遊ばない
持っているゲームの9割以上がSteamにある。 Game Passや他のストアはほとんど使わない、という方には、Steamに最適化されたSteamOSは最高の環境です。
設定の手間を最小限にしたい(特にOLED版)
PCの難しい設定は苦手。 ゲーム機のように、買ってすぐに最高の体験をしたい。 Steam Deck OLEDは、ディスプレイ設定もほぼ不要で、スリープ・レジュームの快適さも含め、「ゲーム機」としての完成度が非常に高いです。
スリープ・レジュームの手軽さを重視する
電車での移動中や、家事の合間など、数分~数十分単位でゲームを中断・再開することが多い方。 この使い方の場合、SteamOSのスリープ機能はOneXFly F1 PROのWindowsスリープよりも遥かに快適です。
OneXFly F1 PROのさらなる深掘り – 注目モデルと実際の使用感
最後に、私が実際に触れているOneXFly F1 PROについて、もう少し深くお話しします。
Ryzen 7 8840Uモデルの実力 – コスパと性能の好バランス
私がメインでテストしている8840Uモデルは、OneXFly F1 PROの中ではエントリーモデルにあたりますが、その性能は侮れません。 前述のForza Horizon 5が1080p中設定で60FPS張り付きという結果からも分かる通り、現行のAAAタイトルの多くを1080pで快適に遊べるパワーを持っています。 AI 9モデルより7万円以上安価でありながら、Steam Deckを大きく超える性能と軽さを両立しており、非常にコストパフォーマンスに優れたモデルだと感じています。
ただし、私が試した限りでは、「Forza Motorsport」はレース中にたまにゲームが落ちることがありました。 また、「モンスターハンター ワイルズ」の体験版を動かそうと試みましたが、残念ながらロビー画面でフリーズしてしまい、現時点(2025年11月)では安定してプレイできませんでした。 これらはWindowsのドライバーやゲーム側の最適化の問題である可能性が高く、今後のアップデートで改善されることを期待しています。
AI 9 300シリーズ搭載モデル – 次世代のパフォーマンス
AI 9 HX 370モデルは、まさに「現行最強」のポータブル機です。 私が触ったエヴァンゲリオンコラボモデル(ソース③)は、そのデザインもさることながら、144HzのOLEDディスプレイで遊ぶ「原神」が、高設定でも60FPSに張り付き、非常に滑らかで美しいことに感動しました。 これほどの性能があれば、先ほど話したモンハンワイルズのような次世代ゲームも、ポータ す。
私が感じた操作感と触覚フィードバック
OneXFly F1 PROのホールエフェクトスティックは、ドリフト(スティックが勝手に動く)現象が起こらない高耐久なもので、操作感も良好です。 コントローラー全体の形状はSwitchのJoy-ConやProコンに近く、Steam Deckの大きなグリップとは好みが分かれるところですが、私は手が小さめなので、OneXFly F1 PROのコンパクトな握り心地は気に入っています。 また、内蔵されている触覚フィードバック(振動)も非常に質が高く、ゲーム内のアクションに応じてリニアで繊細な振動が伝わってきて、没入感を高めてくれます。
まとめ
OneXFly F1 PROとSteam Deck、この2台はどちらも素晴らしいポータブルゲーミングPCですが、その魅力は全く異なります。
OneXFly F1 PROは、「性能」「画質」「軽さ」「自由度」を追求する、妥協なきハイエンド志向のゲーマー向けの「最強のポータブルWindows PC」です。 価格は高いですが、Steam Deckでは味わえない1080p・高リフレッシュレートの世界と、Game Passなどあらゆるゲームを遊べる自由度が手に入ります。
Steam Deck (OLED) は、「コストパフォーマンス」「最適化されたゲーム体験」「バッテリー持ち」を重視する、賢明なゲーマー向けの「最高のポータブルゲーム機」です。 性能や解像度はOneXFly F1 PROに及びませんが、圧倒的な価格の安さと、SteamOSによるストレスフリーな使い勝手(特にスリープ・レジューム)が魅力です。
ご自身のゲームスタイル、主に遊ぶプラットフォーム、そして何より「予算」と「何を最優先するか」を明確にして、あなたにとって最高の一台を選んでくださいね。







