ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、2025年に発売が予定されている「Pokémon LEGENDS Z-A(ポケモン レジェンズ ゼットエー)」を心待ちにしつつ、その舞台となるカロス地方、特に前作「ポケットモンスター X・Y」の物語について詳しく知りたいと思っているのではないでしょうか。

「レジェンズ Z-Aを120%楽しむために、XYのストーリーを復習しておきたい」「でも、今からゲームをプレイする時間はない…」そんなあなたのためのレビューです。
この記事を読み終える頃には、「ポケットモンスター X・Y」の壮大な物語と、来るべき「レジェンズ Z-A」への期待に関する疑問が解決しているはずです。
- ポケットモンスターX・Yの基本情報と革新的なシステム
- 物語を彩る魅力的な登場人物たちを完全網羅
- 3000年前の戦争が関わるXYの深淵なストーリーを徹底解剖
- レジェンズ Z-Aへと繋がる伏線や謎を考察
それでは解説していきます。

『ポケットモンスター X・Y』とは?基本情報を振り返る
まずは、すべての原点である『ポケットモンスター X・Y』がどのようなゲームだったのか、基本的な情報から振り返っていきましょう。 この作品がポケモンシリーズに与えた影響は計り知れず、後のシリーズの礎を築いたと言っても過言ではありません。

発売日と売上本数
『ポケットモンスター X・Y』は、ニンテンドー3DS用ソフトとして2013年10月12日に発売されました。 全世界での売上本数は約1,672万本(2023年12月時点)と、世界的な大ヒットを記録しました。 当時の国内では他の強力なタイトルとの競合もありましたが、それでも約450万本という驚異的な数字を叩き出しています。
タイトル | 売上本数(世界) | 発売ハード |
---|---|---|
ポケットモンスター 赤・緑・青・ピカチュウ | 約4,752万本 | ゲームボーイ |
ポケットモンスター 金・銀 | 約2,373万本 | ゲームボーイカラー |
ポケットモンスター ダイヤモンド・パール | 約1,767万本 | ニンテンドーDS |
ポケットモンスター X・Y | 約1,672万本 | ニンテンドー3DS |
ポケットモンスター ソード・シールド | 約2,627万本 | Nintendo Switch |
ポケットモンスター スカーレット・バイオレット | 約2,492万本 | Nintendo Switch |
こうして見ると、XYがいかに多くのプレイヤーに愛された作品であったかがわかります。 まさにポケモンシリーズの歴史に名を刻む一作です。
シリーズ初の3Dグラフィックと世界同時発売
XYが画期的だった最大の要因は、ポケモン本編シリーズで初めて本格的な3Dグラフィックを採用した点です。 これにより、ポケモンたちの姿や技のエフェクト、美しい街並みが立体的に表現され、プレイヤーはこれまで以上にポケモンの世界に没入できるようになりました。

ドット絵から3Dモデルへと進化したポケモンたちは、表情豊かに動き回り、バトルシーンの迫力は格段に向上しました。 今でこそ当たり前となったこの表現も、当時は多くのファンに衝撃と感動を与えたのです。
さらに、シリーズ初の世界同時発売を実現したことも特筆すべき点です。 それまでは日本での発売から数ヶ月、あるいは半年以上経ってから海外で発売されるのが通例でした。 しかしXYでは、世界中のファンが同じタイミングで冒険を始めることができ、インターネットを通じての交流も活発化しました。 これは、ポケモンのグローバルな人気を象徴する出来事でした。
舞台はカロス地方!フランスがモチーフの美しい世界
物語の舞台となるのは「カロス地方」。 この地方は、現実世界のフランスをモチーフにしており、芸術とファッションの都「ミアレシティ」を中心に、緑豊かな田園風景や険しい山岳地帯、美しい海岸線など、多様なエリアが広がっています。

冒険の拠点「ミアレシティ」
カロス地方の中心に位置する最大の都市がミアレシティです。 街の中心には、エッフェル塔をモデルにした「プリズムタワー」がそびえ立ち、街のシンボルとなっています。 カフェやブティック、レストランなどが立ち並び、歩いているだけでも楽しめる華やかな場所です。 「レジェンズ Z-A」では、このミアレシティを舞台とした「都市再開発」がテーマとなっており、XYの時代からどのように変化するのか、あるいは過去の姿が描かれるのか、非常に興味深いところです。
多様な自然環境
カロス地方は大きく3つのエリアに分かれています。
- セントラルカロス: 主人公の家があるアサメタウンや、ミアレシティを含む、穏やかで緑豊かな中央エリア。
- コーストカロス: 海岸線に沿って広がるエリア。化石研究所や美しい景観が特徴。
- マウンテンカロス: 雪が降り積もる山々が連なる険しいエリア。ポケモンリーグもこの地にあります。
これらの美しい景観が3Dグラフィックで描かれることで、プレイヤーはまるで本当にカロス地方を旅しているかのような感覚を味わうことができました。
新たなタイプ「フェアリー」の登場
XYでは、実に14年ぶりとなる新タイプ「フェアリー」が追加されました。 これは当時の対戦環境で猛威を振るっていたドラゴンタイプへの対抗策として導入され、ゲームバランスに大きな変化をもたらしました。
フェアリータイプはドラゴンタイプの技を無効にし、かくとう、あくタイプにも強いという特徴を持ちます。 このタイプの追加により、既存のポケモンにも新たなタイプが与えられ、戦略の幅が大きく広がりました。 代表的なポケモンとしては、イーブイの新たな進化形である「ニンフィア」が挙げられます。 その可愛らしい見た目とは裏腹に、強力な性能で多くのトレーナーを魅了しました。
バトルを熱くする「メガシンカ」とは
XYを象徴する新要素といえば、何と言っても「メガシンカ」でしょう。 これは、特定のポケモンがトレーナーの持つ「キーストーン」と、ポケモンに持たせた「メガストーン」の共鳴によって、バトル中にのみ一時的に秘めた力を解放し、姿を変える現象です。

メガシンカの特徴
- 種族値の大幅アップ: メガシンカしたポケモンは、合計種族値が100上昇し、能力が飛躍的に向上します。
- 特性やタイプの変化: ポケモンによっては、特性やタイプが変化することがあり、戦術に大きな影響を与えます。例えば、リザードンは「メガリザードンX」になるとほのお・ドラゴンタイプに、「メガリザードンY」になると特性が「ひでり」に変化します。
- バトルで1回限り: メガシンカは1回のバトルで1体のポケモンしか行えません。どのタイミングで、どのポケモンをメガシンカさせるかが勝敗を分ける鍵となりました。
XYではリザードンやミュウツーなど一部のポケモンに2種類のメガシンカが存在し、合計で28種類が登場。 後の『オメガルビー・アルファサファイア』でさらに追加され、全48種類ものメガシンカが登場しました。 「レジェンズ Z-A」のタイトルロゴにもメガシンカのマークが含まれており、このシステムが物語の核心に関わってくることは間違いないでしょう。
XYで導入された画期的なシステムたち
XYでは、現在のポケモンシリーズにも受け継がれている多くの便利なシステムが導入されました。
- PSS(プレイヤーサーチシステム): 3DSの下画面に表示され、インターネットに接続することで世界中のプレイヤーと簡単に対戦や交換ができる画期的なシステム。これにより、オンラインでの交流が飛躍的に快適になりました。
- ポケパルレ: ポケモンと触れ合ったり、お菓子をあげたりして仲良くなれる機能。撫でられたポケモンは嬉しそうな表情を見せ、バトルでも特別な効果を発揮することがありました。このシステムは後の「ポケリフレ」や「ポケモンキャンプ」へと繋がっていきます。
- スパトレ(スーパートレーニング): ポケモンの「努力値」をミニゲーム形式で上げることができる機能。これまで隠しステータスで分かりにくかった努力値が可視化され、育成が格段にしやすくなりました。
- フレンドサファリ: 3DSのフレンドコードを登録することで、特別なポケモンが出現するエリアに行ける機能。通常では手に入らない特性を持つポケモンや、色違いが出やすいといった特徴があり、多くのプレイヤーが利用しました。
- がくしゅうそうちの仕様変更: がくしゅうそうちをONにすると、手持ちのポケモン全員に経験値が入るようになりました。これにより、レベル上げが非常に効率的になり、初心者にも優しい仕様となりました。
少し変わったバトルシステム
上記の他にも、XYではユニークなバトル形式が導入されました。
- 群れバトル: 野生のポケモンが一度に5体出現するバトル。数が多い分、倒すのは大変ですが、努力値を稼いだり、色違いを探したりするのに効率的でした。
- スカイバトル: ひこうタイプや特性「ふゆう」を持つポケモンだけが参加できる空中戦。特定のトレーナーとのみ行える特殊なバトルでした。
- さかさバトル: タイプ相性がすべて逆になるという、非常にトリッキーなバトル。普段は効果抜群の技が半減され、効果いまひとつの技が抜群になるため、頭を悩ませたプレイヤーも多いでしょう。
『ポケットモンスター X・Y』の登場人物を徹底解説
それでは、カロス地方の壮大な物語を彩る魅力的なキャラクターたちを紹介していきます。 「レジェンズ Z-A」にも彼らの子孫や、何らかの形で関わる人物が登場する可能性は十分に考えられます。

主人公と仲間たち
本作では、主人公が故郷を離れ、近所に引っ越してきた仲間たちと共にカロス地方を巡る旅に出ます。
- カルム(男主人公)/ セレナ(女主人公): プレイヤーの分身となるキャラクター。選ばなかった方の性別のキャラクターは、主人公の隣人でライバルとして物語に登場します。アニメ『XY』では、セレナがサトシの旅仲間として登場し、その人気を不動のものとしました。
- サナ: 元気で好奇心旺盛な女の子。旅の思い出を記録するのが好きで、主人公との交流も多いキャラクターです。特に、夜景や花火を一緒に見るイベントは印象的です。
- トロバ: ポケモン図鑑の完成を目指す、探求心あふれる小柄な少年。ポケモンの生息地などに詳しく、冒険の途中で図鑑の進捗を競い合います。
- ティエルノ: ダンスが得意で、ポケモンの動きをダンスに取り入れることを夢見る、心優しいぽっちゃりした少年。バトルではリズミカルな戦法を仕掛けてきます。 「レジェンズ Z-A」のPVに登場する「デウロ」というキャラクターが、ティエルノと髪型や服装の色合いが似ていることから、彼らの子孫ではないかと噂されています。
冒険を導く重要人物
- プラターヌ博士: ミアレシティでポケモンの「メガシンカ」について研究しているポケモン博士。主人公たちに最初のポケモンを託し、冒険を通じて彼らの成長を見守ります。非常に気さくで面倒見の良い性格です。
- ジーナとデクシオ: プラターヌ博士の助手である二人組。常にマスクで顔を隠しており、ミステリアスな雰囲気を漂わせています。主人公の行く先々で現れ、アドバイスをくれたり、時にはバトルを挑んできたりします。彼らは後の『サン・ムーン』にも登場し、ジガルデの調査を依頼してきます。
物語の鍵を握る謎の男「AZ」
身長3メートルを超える巨体と、3000年生きてきたと語る謎に包まれた男。 物語の核心に深く関わる最重要人物です。 常に「永遠の花」と呼ばれる特別な姿のフラエッテを探し求めています。 「レジェンズ Z-A」では「ホテルZのオーナー」として紹介されており、彼の存在が再び物語の中心となることは間違いないでしょう。 彼の悲しい過去については、後ほどストーリー解説で詳しく触れます。
クリア後の世界で活躍する人物たち
- ハンサム: シリーズお馴染みの国際警察。本作ではミアレシティで探偵事務所を開いており、主人公を助手として雇い、フレア団の残党が引き起こす事件の調査に乗り出します。
- マチエール: ミアレシティの路地裏で暮らしていた少女。ハンサムに保護され、彼の探偵事務所で暮らすことになります。しかし、彼女は知らず知らずのうちに、フレア団の科学者クセロシキの実験に利用され、強化スーツ「エスプリ」を装着させられてしまいます。この一連のストーリーは、ポケモンの世界観の中でも特にシリアスで、人間が直接的な悪意を持って他者を操るという重いテーマを扱っています。ハンサムがミアレシティを去った後、マチエールが探偵事務所を受け継いでおり、「レジェンズ Z-A」で成長した彼女の姿が見られるかもしれません。
カロス地方のジムリーダーたち
カロス地方で主人公の前に立ちはだかる、個性豊かな8人のジムリーダーたちです。
- ビオラ(むしタイプ): ハクダンシティのジムリーダーで写真家。
- ザクロ(いわタイプ): ショウヨウシティのジムリーダー。ロッククライミングが得意な熱血漢。
- コルニ(かくとうタイプ): シャラシティのジムリーダー。メガシンカ使いの継承者でもあり、主人公にメガシンカの力を授ける重要な役割を担います。
- フクジ(くさタイプ): ヒヨクシティのジムリーダー。巨大なハサミを手入れするのが趣味の老人。
- シトロン(でんきタイプ): ミアレシティのジムリーダーで、若き発明家。アニメではサトシの仲間として活躍します。
- マーシュ(フェアリータイプ): クノエシティのジムリーダー。カロス地方外の出身で、独特の方言を話すデザイナー。
- ゴジカ(エスパータイプ): ヒャッコクシティのジムリーダー。未来を予知する力を持つミステリアスな女性。
- ウルップ(こおりタイプ): エイセツシティのジムリーダー。情に厚く、涙もろい一面を持つベテラントレーナー。
ポケモンリーグの四天王とチャンピオン
カロス地方の頂点に君臨するトレーナーたち。 彼らはフレア団の事件とも浅からぬ因縁を持っています。
- ガンピ(はがねタイプ): 騎士道精神を重んじる、実直で熱い男。
- ドラセナ(ドラゴンタイプ): 普段は穏やかですが、バトルになると厳しい一面を見せる老婆。
- ズミ(みずタイプ): 料理人であり芸術家でもあるトレーナー。ポケモン勝負を芸術と捉えています。PVに登場する「クエーサー社長」が彼と似た特徴を持つため、関連性が指摘されています。
- パキラ(ほのおタイプ): 有名なニュースキャスター。しかしその裏の顔は、フレア団の幹部という衝撃的な事実が明かされます。組織壊滅後もフレア団の理想を捨てておらず、クリア後のハンサムイベントでは、主人公と敵対することになります。
- カルネ(チャンピオン): カロス地方を代表する大女優にして、ポケモンリーグの頂点に立つチャンピオン。美しさと強さを兼ね備え、多くの人々から尊敬されています。切り札はメガサーナイト。
敵対組織「フレア団」
「美しき世界」の創造を掲げる謎の組織。 赤いスーツに身を包み、カロス地方の各地で暗躍します。
- フラダリ: フレア団のボス。表向きは「フラダリラボ」の代表であり、ホロキャスターなどを開発した著名人。しかし裏では、争いや奪い合いに満ちた醜い世界を憂い、選ばれた者だけを残して世界を一掃するという過激な思想を持っています。そのために、3000年前にカロス地方を壊滅させた「最終兵器」を復活させようと企みます。 「レジェンズ Z-A」のPVに登場する「マスカット」という社長秘書が、フラダリとよく似た髪型と髪色をしており、彼の子孫ではないかと考えられています。
- クセロシキ: フレア団のトップ科学者。最終兵器の起動を担当した張本人です。組織壊滅後は、マチエールを利用して自身の研究を続けていましたが、ハンサムと主人公によって逮捕されます。
- 5人の科学者: クセロシキの部下として、アケビ、バラ、コレア、モミジの4人の女性科学者と、クセロシキ自身で構成されています。彼女たちはそれぞれ独自の思想を持ち、フレア団の作戦を実行します。特に「モミジ」は、「レジェンズ Z-A」でプラターヌ博士の代理人として登場することが確定しており、物語にどう関わるのか注目が集まっています。
『ポケットモンスター X・Y』のストーリーを徹底解剖!3000年前の悲劇とは
登場人物を把握したところで、いよいよ物語の本筋に迫っていきましょう。 XYのストーリーは、単なるチャンピオンを目指す冒険譚にとどまらず、3000年という時を超えた生命と破壊、そして愛憎の物語が描かれます。
旅の始まりからポケモンリーグ制覇まで
主人公はアサメタウンに引っ越してきたばかりの少年(少女)。 プラターヌ博士から最初のパートナーとなるポケモン(ハリマロン、フォッコ、ケロマツ)とポケモン図鑑を受け取り、隣人のカルム/セレナ、そしてサナ、トロバ、ティエルノの4人の仲間と共に、カロス地方のジムを巡る旅に出発します。
旅の途中、主人公たちは各地で暗躍する組織「フレア団」と遭遇します。 彼らは珍しいポケモンを狙ったり、発電所の電気を奪ったりと、不可解な行動を繰り返します。 シャラシティでは、ジムリーダーのコルニとその祖父であるメガシンカおやじからメガシンカの継承を受け、主人公はメガシンカの力を扱えるようになります。
順調にジムバッジを集めていく主人公ですが、フレア団の計画は着実に進行していました。 彼らの真の目的は、伝説のポケモン「ゼルネアス(X版)」または「イベルタル(Y版)」の力を利用して、「最終兵器」を起動させることだったのです。
フレア団の野望と「最終兵器」
フレア団のボス、フラダリはかつて人々を助けるために尽力していましたが、助けた人々が欲に駆られて争い合う姿に絶望します。 彼は「この世界から人間とポケモンを消し去り、美しい世界を創り直す」という歪んだ理想を抱くようになります。
その手段として彼が目をつけたのが、3000年前にカロス地方で起きた戦争を終結させたとされる「最終兵器」でした。 フレア団はセキタイタウンの地下深くに眠る最終兵器を起動させるため、伝説のポケモンを復活させ、そのエネルギーを吸収しようとします。
主人公と仲間たちはフレア団の野望を阻止するため、彼らのアジトへ乗り込みます。 アジトの最深部で、主人公は復活した伝説のポケモンと対峙し、その力を認められ、仲間とします。 そして、最終兵器を制御するための特殊なスーツを身にまとったフラダリとの最終決戦に挑みます。
激闘の末、主人公はフラダリに勝利。 しかし、フラダリは最後の力を振り絞り、最終兵器を発射してしまいます。 主人公と仲間たちの命を奪うため、そして自分の理想を貫くために。
ですが、主人公が仲間にした伝説のポケモンの力によって、最終兵器のエネルギーは抑え込まれ、破壊は最小限に食い止められます。 計画が完全に失敗したフラダリは、崩壊するアジトと運命を共にし、消息不明となるのでした。 (一説では、最終兵器の光を浴びてAZのように永遠の命を得たのではないか、とも言われています)
3000年前の王「AZ」と「永遠の花」のフラエッテの物語
このフレア団の事件の根幹には、3000年前の悲しい物語が存在します。 その中心人物こそ、謎の男「AZ」です。
かつて、AZはカロス地方を治める心優しき王でした。 彼には心から愛する一匹のフラエッテがいました。 しかし、当時起きていた大規模な戦争に、そのフラエッテは兵士として駆り出され、命を落としてしまいます。
悲しみに暮れたAZは、愛するフラエッテを蘇らせたい一心で、多くのポケモンの命を犠牲にしてエネルギーを生み出す「命を与える機械」を創り上げます。 その結果、フラエッテは永遠の命を得て蘇りました。
しかし、AZの悲しみと怒りは収まりませんでした。 愛するものを奪ったこの世界そのものを許すことができなかったのです。 彼は「命を与える機械」を、すべてを破壊する「最終兵器」へと作り替え、その圧倒的な力で戦争を強制的に終結させました。
自分の復活のために、多くのポケモンの命が奪われたことを知ったフラエッテは、悲しみのあまりAZの元を去ってしまいます。 AZもまた、最終兵器の光を浴びたことで永遠の命を得ており、愛するフラエッテに去られた悲しみを抱えながら、3000年もの間、彼女を探して世界を彷徨い続けていたのです。
セキタイタウン付近にある、無造作に並んだ大量の岩は、この時最終兵器のエネルギーにされたポケモンたちの墓標だったのです。
「生」と「破壊」の伝説、ゼルネアスとイベルタル
XYの物語は、このAZの物語と密接にリンクしています。 バージョンによって登場する伝説のポケモンが異なるのは、このテーマを象徴しています。
- ゼルネアス(X版): 生命を司るポケモン。樹木の姿で眠りにつき、目覚めるときに周囲に生命エネルギーを与えると言われています。AZがフラエッテを蘇らせたのは、このゼルネアスの力に近いものだったのかもしれません。
- イベルタル(Y版): 破壊を司るポケモン。繭の姿で眠りにつき、目覚めるときに周囲の生命を吸い取ると言われています。AZが作り上げた最終兵器は、このイベルタルの力を模したものでした。
生命(X)と破壊(Y)、そしてその両方に関わる謎(Z)。 これがXYの物語の根幹をなすテーマなのです。
全ての決着、そしてAZとの再会
フレア団の事件を解決し、ポケモンリーグの四天王とチャンピオン・カルネを打ち破り、カロス地方の新たなチャンピオンとなった主人公。 その就任パレードの最中、群衆の中からAZが現れ、主人公にバトルを挑んできます。
「トレーナーとは何かを知りたい」
3000年もの間、後悔と悲しみに囚われていたAZは、ポケモンを愛し、共に未来を切り開く主人公の姿に希望を見出したのです。 バトルを通じて、AZは過去の自分と決別し、ポケモンを愛する心を取り戻します。
その時、空から一枚の花びらが舞い落ちてきます。 見上げると、そこには3000年間探し続けていた、最愛のフラエッテの姿がありました。 主人公との戦いを通じて、ようやく過去から解放されたAZを、フラエッテはずっと待っていたのです。 こうして、3000年にも及ぶ悲しい物語は、ようやく終わりを告げました。
『レジェンズ Z-A』への繋がりと考察
さて、XYの壮大な物語を振り返った上で、新作『レジェンズ Z-A』にどう繋がっていくのかを考察してみましょう。
舞台はミアレシティ!都市再開発計画とは何か?
PVでは「人とポケモンが共存する街を目指し、都市再開発が進むミアレシティ」というコンセプトが示されています。 これは、XYの時代よりも未来、あるいは過去のどちらの可能性も考えられます。
- 未来説: XYの後の時代。フラダリが起こした事件を教訓に、より良い共存の形を模索している。AZやマチエールといったキャラクターが成長した姿で登場する可能性がある。
- 過去説: XYよりもはるか昔。ミアレシティが建設されている時代の物語。『レジェンズ アルセウス』のように、まだ人とポケモンが完全に共存できていない時代を描く。AZが王として君臨していた3000年前の戦争時代という可能性もゼロではありません。
「Z-A」というタイトルから、アルファベット順で考えると「未来」を示唆しているようにも思えますが、現時点では断定できません。
Z-Aの新キャラクターとXY登場人物の関連性
PVに登場した新キャラクターたちは、XYの登場人物と酷似しており、彼らの子孫や先祖である可能性が非常に高いです。
Z-Aの新キャラクター | 関連が噂されるXYのキャラクター | 考察 |
---|---|---|
デウロ | ティエルノ | 髪型や服装の色合いが似ている。陽気な性格も共通しているか? |
マスカット | フラダリ | 赤い髪と特徴的な髪型が一致。フラダリの一族の者か? |
クエーサー社長 | ズミ | 髪型や芸術家肌の雰囲気が似ている。ミアレシティ開発企業のトップか? |
(役職不明) | モミジ | 公式に登場が確定。フレア団壊滅後、なぜ博士の代理人に? |
オーナー | AZ | 公式に「ホテルZのオーナー」と紹介。ミアレシティの発展を見守る存在か? |
これらのキャラクターがどのように物語に関わり、XYの物語を補完していくのか、最大の注目ポイントです。
メガシンカの復活と新たな可能性
タイトルロゴにメガシンカのマークがあることから、このシステムが物語の鍵を握ることは確実です。 『レジェンズ Z-A』では、新たなメガシンカポケモンが登場することが期待されます。 特に、カロス地方の御三家(ブリガロン、マフォクシー、ゲッコウガ)のメガシンカには大きな期待が寄せられています。
また、単なるバトルシステムとしてだけでなく、「都市再開発」においてメガシンカのエネルギーが利用されるなど、物語に深く関わる形で描かれる可能性もあります。 AZが発明した最終兵器のエネルギーシステムは、後の時代に「むげんのふえ」などで平和利用されています。 メガシンカもまた、人とポケモンの共存を象徴する技術として描かれるのかもしれません。
XYで残された伏線は回収されるのか?
XYには、作中で完全には明かされなかった謎や伏線がいくつか存在します。
- ジガルデの存在: ゼルネアス(生命)、イベルタル(破壊)に続く、カロス地方の生態系を監視し、秩序を司る第三の伝説のポケモン「ジガルデ」。XYではその存在がほとんど語られず、後の『サン・ムーン』で大きく取り上げられました。本来、XYのマイナーチェンジ版「ポケモンZ」で描かれるはずだった物語が、「レジェンズ Z-A」でついに明かされるのかもしれません。
- カロス地方南部の謎: XYのマップを見ると、カロス地方の南側にはまだ行けないエリアが存在します。この未開の地が「レジェンズ Z-A」の新たな冒険の舞台となる可能性も考えられます。
- AZのフラエッテ: AZと再会した「永遠の花」のフラエッテは、特別な技「はめつのひかり」を覚えるデータが存在しながら、ゲーム内で入手することはできませんでした。この特別なポケモンが、物語の鍵として登場するかもしれません。
まとめ
今回は、来るべき『Pokémon LEGENDS Z-A』に備え、『ポケットモンスター X・Y』の物語と世界観を徹底的に振り返ってみました。
『ポケットモンスター X・Y』は、シリーズ初の3Dグラフィックやメガシンカといった革新的な要素を取り入れつつ、3000年という時を超えた「生命」と「愛」をテーマにした重厚なストーリーが描かれた傑作です。
フレア団の野望、最終兵器の謎、そして王AZの悲しい物語。 これらの要素が、ミアレシティという舞台でどのように再構築され、新たな伝説として紡がれていくのか。
この記事を通じて、XYの物語の奥深さを再確認し、「レジェンズ Z-A」への期待がさらに高まっていただけたなら幸いです。 発売の日まで、カロス地方に秘められた謎に思いを馳せながら、楽しみに待ちましょう。