ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、2025年2月27日に発売された待望の新作「Pokémon LEGENDS Z-A(ポケモンレジェンズ Z-A)」のボリューム感、特に「メインストーリーが短いのでは?」という点が気になっていることでしょう。 「クリアした人が続々とメルカリに出品している」「すぐに飽きてしまう」といった噂を耳にして、購入をためらっている方も少なくないかもしれません。

この記事を読み終える頃には「レジェンズZ-A」の本当のボリュームと、その奥深い魅力についての疑問が解決しているはずです。
- レジェンズZ-Aのボリュームに関する噂の真相
- プレイスタイル別メインストーリークリア時間の徹底解説
- クリア後も無限に遊べるやりこみ要素の紹介
- 前作アルセウスとのボリューム比較と魅力の違い
それでは解説していきます。

【レジェンズZA】ボリューム不足は本当?世間の評価を徹底分析
発売から時間が経ち、様々な評価が出揃ってきた「レジェンズZ-A」。 特にSNSやレビューサイトで目立つのが「ボリューム不足」というキーワードです。 まずは、なぜこのような声が上がっているのか、その真相に迫っていきましょう。
噂の発端「すぐ飽きる」「メルカリ出品続出」の真相
確かに、一部のオンラインコミュニティやフリマアプリを見ると、「クリア済み」として早々に出品されているケースが見受けられます。 これだけを見ると、「やはりボリュームが少ないのでは?」と感じてしまうのも無理はありません。
しかし、この現象にはいくつかの理由が考えられます。
理由1:ストーリークリアに特化したプレイヤーの声が目立つ
ポケモンシリーズに限らず、新作ゲームが発売されると、いち早くストーリークリアを目指す、いわゆる「最速攻略組」のプレイヤーが一定数存在します。 彼らは寄り道要素を最小限にし、効率的にメインストーリーだけを進めるため、当然ながらクリアまでの時間は非常に短くなります。
「レジェンズZ-A」は、後述するようにメインストーリーだけを追うと、比較的短い時間でエンディングに到達することが可能です。 そのため、発売直後に「10時間でクリアした」「やることがなくなった」といった声がSNSなどで拡散されやすく、「ボリュームが少ない」という印象が形成されてしまったと考えられます。
これは、ゲーム全体のボリュームが少ないというよりは、特定のプレイスタイルにおけるクリア時間が短いという事実が、誇張されて広まった結果と言えるでしょう。
理由2:前作「アルセウス」との比較によるギャップ
「レジェンズ」シリーズの前作にあたる「Pokémon LEGENDS アルセウス」は、広大な自然を自由に探索し、ポケモンを捕獲・調査していくゲーム性で高い評価を得ました。 あのどこまでも続くかのようなフィールドを駆け巡る感覚が忘れられず、同様の体験を「レジェンズZ-A」に期待していたプレイヤーも多かったはずです。
しかし、「レジェンズZ-A」の舞台は「ミアレシティ」という一つの巨大な都市です。 フィールドの広さや探索の自由度といった点では、アルセウスとは全く異なるアプローチで作られています。 このコンセプトの違いが、「期待していたのと違う」「アルセウスの方が冒険感があった」という感想につながり、結果としてボリューム不足という評価に結びついている側面もあります。
ゲーム評論家が分析するボリューム感の実態
では、ゲームを隅々までやり込んでいる私自身の見解をお伝えします。 結論から言うと、**「レジェンズZ-A」のボリュームは決して少なくありません。**むしろ、歴代ポケモンシリーズの中でもトップクラスのやりこみ要素を秘めた作品です。

「ボリュームが少ない」と感じるかどうかは、このゲームのどこに楽しみを見出すかによって大きく左右されます。
豊富なミッションの数々
本作には、物語の根幹をなす「メインミッション」の他に、ミアレシティの住民たちから依頼される「サイドミッション」が膨大に用意されています。 その総数は、発売後の無料アップデート分を含めずとも約100種類にものぼります。
これらのサイドミッションは、単なるお使いクエストではありません。 ミアレシティの歴史や文化、そこに住む人々の人間模様を深く掘り下げる、質の高いショートストーリーの集合体です。 メインミッションだけでは見えてこない、この街の多面的な魅力を引き出してくれます。
メインストーリーをクリアした段階では、おそらく全サイドミッションの半分も消化できていないでしょう。 ここからが「レジェンズZ-A」の本当の始まりと言っても過言ではありません。
「ストーリー」は壮大なチュートリアル
そもそも、近年のポケモンシリーズ、特に「レジェンズ」シリーズにおいて、メインストーリーは**「このゲームの楽しみ方をプレイヤーに教えるための、壮大なチュートリアル」**としての側面が強いと私は考えています。
ストーリーを進める過程で、プレイヤーはポケモンの捕獲方法、バトルの基本、街の施設の使い方などを自然と学んでいきます。 そしてエンディングを迎えた時、プレイヤーは一人前のポケモントレーナーとして、ようやくミアレシティという広大な遊び場に解き放たれるのです。
ポケモンを育成し、最強のチームを編成する。 まだ見ぬポケモンを求めて街を探索する。 オンラインで世界中のプレイヤーと対戦・交換する。
これらの奥深い遊びを最大限に楽しむための準備期間が、メインストーリーなのです。 そう考えれば、ストーリークリアまでの時間が短いことは、むしろ「早く本番の遊びに没頭できる」というメリットとして捉えることもできるでしょう。
【レジェンズZA】メインストーリーのクリア時間を徹底解説
「ボリュームが少なくないのは分かったけど、じゃあ具体的にクリアまで何時間かかるの?」という疑問にお答えします。 ここでは、プレイスタイルを3つのパターンに分け、それぞれのクリア時間の目安を解説します。

最速クリアを目指した場合の想定時間
想定時間:約10~15時間
これは、会話やムービーをスキップし、サイドミッションやポケモンの捕獲といった寄り道要素を一切無視して、ひたすらメインミッションのクリアだけを目指した場合の時間です。
RTA(リアルタイムアタック)走者のようなプレイスタイルであり、初見プレイでこの時間を目指すのはかなり難しいでしょう。 また、この遊び方では「レジェンズZ-A」の魅力の大部分を体験できないため、個人的には推奨しません。 「ボリュームが少ない」という感想は、主にこのプレイスタイルに基づいていると考えられます。
平均的なプレイスタイルでのクリア時間
想定時間:約20~30時間
メインストーリーを進めつつ、道中で出会ったポケモンを捕まえたり、気になったサイドミッションをいくつかこなしたりと、ごく一般的なプレイスタイルでの想定時間です。
多くのプレイヤーがこの時間帯で最初のエンディングを迎えることになるでしょう。 一般的なRPGのクリア時間としては標準的か、やや短めと感じるかもしれません。 しかし、これはあくまで物語の一区切り。 体感としては、ようやくゲーム全体の3~4割を終えた、といったところです。
じっくりやりこむ場合のプレイ時間
想定時間:100時間以上
ポケモン図鑑の完成を目指し、全てのサイドミッションをクリアし、ポケモンの育成やオンライン対戦にまで手を広げた場合のプレイ時間です。 正直なところ、100時間でも全く足りません。 色違いポケモンの厳選や、対戦用の個体値・努力値の調整などを始めれば、プレイ時間は青天井に伸びていきます。
「レジェンズ」シリーズの真髄は、この**「自分だけの目標を見つけて、どこまでも遊び続けられる」**点にあります。 ストーリークリアは、その果てしないポケモンの世界への入り口に立ったに過ぎないのです。
プレイスタイル別クリア時間比較表
これまでの内容を分かりやすく表にまとめました。
プレイスタイル | 想定クリア時間 | 特徴 |
---|---|---|
最速クリア重視 | 約10~15時間 | メインストーリーのみを進行。会話もスキップ。 |
平均的なプレイスタイル | 約20~30時間 | サイドミッションや探索も適度に楽しむ。 |
徹底やりこみ | 100時間以上 | 図鑑完成、全ミッションクリア、育成、対戦など。 |
ストーリークリアで終わりじゃない!【レジェンズZA】の無限のやりこみ要素
メインストーリークリア後に、どれだけ広大な世界が待っているのか。 ここでは、「レジェンズZ-A」が誇る無限のやりこみ要素の一部をご紹介します。
ポケモン図鑑完成への果てなき道
「レジェンズ」シリーズの根幹をなすシステムが、この「ポケモン図鑑」です。 ただポケモンを捕まえるだけでは、図鑑は完成しません。
奥深い「研究タスク」
各ポケモンには、「特定の技を使わせる」「特定のアイテムで捕まえる」といった複数の「研究タスク」が設定されています。 これらのタスクをクリアしていくことで、ポケモンの研究レベルが上がり、初めて図鑑情報が完成するのです。
このシステムにより、プレイヤーは1匹1匹のポケモンと深く向き合うことになります。 今までただの通過点だったポケモンにも、新たな発見や愛着が湧いてくるはずです。 全てのポケモンの研究タスクを達成するのは、非常に根気のいる作業ですが、その達成感は格別です。
色違い・親分ポケモンの探索
本作でも、通常とは色の違う「色違いポケモン」や、ひときわ大きな体躯と強さを誇る「親分ポケモン」が登場します。 これらは非常に遭遇率が低く、狙って見つけるのは至難の業。
クリア後は、この色違い・親分ポケモンを探してミアレシティを奔走するだけで、あっという間に時間が溶けていきます。 お気に入りのポケモンの色違いを見つけた時の喜びは、何物にも代えがたい体験となるでしょう。
100種類に迫るサイドミッションの魅力
前述の通り、本作には約100種類ものサイドミッションが存在します。 これらは、ミアレシティという都市の解像度を格段に引き上げてくれる、重要な要素です。
ミアレシティの住民たちの物語
あるミッションでは、カフェのマスターの悩みを解決したり、またあるミッションでは、路地裏で暮らす子供たちと交流したりと、大小様々な物語が展開されます。 これらの依頼をこなしていくうちに、プレイヤーはミアレシティという街が、ただの箱庭ではなく、多くの人々が息づく生活の場であることを実感するでしょう。 メインストーリーの壮大な物語の裏で進行する、市井の人々のささやかな日常。 そこにこそ、本作の物語の深みがあります。
オンライン要素で広がる対戦・交換の世界
ストーリークリア後は、本格的なポケモンの育成と、それを用いたオンラインでの交流がメインの遊び方の一つになります。
本格的なポケモン育成
ポケモンの真の強さを引き出すには、「個体値」「種族値」「努力値」といった、隠されたパラメータを理解し、最適化する必要があります。 どの能力を伸ばし、どんな技を覚えさせ、どの道具を持たせるか。 その組み合わせは無限大であり、自分だけの最強チームを考えるのは、ポケモンシリーズにおける最も奥深い楽しみ方です。
世界中のトレーナーとのバトル&交換
丹精込めて育て上げたポケモンで、世界中のプレイヤーと腕試し。 オンライン対戦は、常に新たな戦術や発見があり、何度プレイしても飽きることがありません。
また、自分では見つけられないポケモンを、他のプレイヤーと交換してもらうのも重要です。 このオンラインでの交流を通じて、あなたのポケモントレーナーとしての世界はさらに広がっていきます。
有料DLCでさらに広がるカロス地方の物語
さらに、本作ではすでに有料ダウンロードコンテンツ(DLC)の配信が発表されています。 これは、本編のストーリーを補完、あるいはその後の物語を描く追加コンテンツとなることが予想されます。
新たなポケモン、新たなエリア、そして新たなストーリー。 本編を遊び尽くしたとしても、このDLCによって「レジェンズZ-A」の世界はさらに拡張され、より長く深く楽しむことが可能になります。 本編の価格とDLCの価格を合わせると、一見高価に感じるかもしれません。 しかし、その価格に見合う、あるいはそれ以上の圧倒的なボリュームが提供されることは、これまでのポケモンシリーズの実績が証明しています。
【レジェンズZA】はアルセウスとどう違う?作品の魅力を比較
「レジェンズZ-A」のボリューム感を語る上で、前作「アルセウス」との比較は避けられません。 この2作品は、似ているようで全く異なる魅力を持っています。
冒険の舞台:広大な自然 vs 未来都市
最大の違いは、その舞台設定です。
- アルセウス: 手付かずの自然が広がる「ヒスイ地方」。山、森、海、雪原と、多様なロケーションを自由に探索する。
- Z-A: 都市再開発プロジェクトが進む「ミアレシティ」。洗練された街並み、路地裏、地下空間など、作りこまれた都市を探索する。
アルセウスの魅力が「水平方向への広がり」だとすれば、Z-Aの魅力は「垂直方向への深さ」と言えるでしょう。 どこまでも行ける自由度のアルセウス、隅々まで探索したくなる作り込みのZ-A。 どちらも甲乙つけがたい魅力を持っています。
ゲーム体験:開拓者 vs 都市の住人
プレイヤーの立ち位置も大きく異なります。
アルセウスでは、プレイヤーは調査隊の一員として、未開の地を切り拓いていく「開拓者」でした。 ポケモンは時に脅威であり、自然の厳しさと向き合いながら調査を進める、サバイバル感のあるゲーム体験が特徴でした。
一方、Z-Aにおけるプレイヤーは、変化していくミアレシティに住む「住人」の一人です。 人間とポケモンが共存する都市の中で、様々な人々と交流し、街の発展に関わっていきます。 アルセウスよりも物語性が強く、RPGとしての側面が強調されているのが特徴です。
ボリューム感の比較:どちらが長く遊べる?
純粋なプレイ時間で言えば、両作品とも「100時間以上遊べる」という点では共通しています。 しかし、その時間の使い方が異なります。
アルセウスは、広大なフィールドを駆け巡り、ひたすらポケモンを捕獲・調査するという、作業的な楽しさに多くの時間が費やされます。 Z-Aは、作りこまれたサイドミッションを一つ一つクリアしたり、住民との会話から街の変化を感じ取ったりと、物語を味わう楽しさに費やされる時間が長くなる傾向があります。
どちらが長く遊べるかは、プレイヤーがどちらのゲーム性に魅力を感じるか次第です。
項目 | Pokémon LEGENDS アルセウス | Pokémon LEGENDS Z-A |
---|---|---|
舞台 | 未開拓のヒスイ地方(自然) | 再開発中のミアレシティ(都市) |
ゲーム体験 | 探索、調査、開拓 | 探索、住民との交流、都市の変化 |
魅力 | 自由度の高いフィールド探索 | 作りこまれた街並みと物語性 |
ボリューム | 探索と図鑑タスクが中心 | サイドミッションと都市開発が中心 |
【レジェンズZA】購入を迷うあなたへ Q&A
最後に、購入を迷っている方からよく寄せられる質問に、Q&A形式でお答えします。
Q. ポケモンシリーズ初心者でも楽しめますか?
A. はい、全く問題なく楽しめます。 本作の難易度は、シリーズ全体で見てもかなり優しく設定されています。 丁寧なチュートリアルが用意されており、バトルのシステムも直感的で分かりやすいため、ポケモンシリーズを一度もプレイしたことがない方でも、安心してミアレシティの世界に飛び込めます。
Q. アルセウスが合わなかったのですが、楽しめますか?
A. 楽しめる可能性は十分にあります。 前述の通り、本作はアルセウスとはゲーム性が大きく異なります。 「広大なフィールドをひたすら走り回るのが少し退屈だった」という方や、「もっとストーリーやキャラクターとの交流を楽しみたかった」という方には、むしろZ-Aの方がフィットするかもしれません。
Q. ストーリーだけ楽しみたいのですが、それでも買う価値はありますか?
A. 価値はありますが、コストパフォーマンスを考えると少し物足りないかもしれません。 本作のメインストーリーは、カロス地方の謎に迫る非常に魅力的なものです。 しかし、その真価はやはりクリア後の膨大なやりこみ要素にあります。 20~30時間でゲームを終えてしまうのであれば、フルプライスの価値を感じられない可能性はあります。 ただ、その20~30時間は、他では味わえない唯一無二の体験になることを保証します。
Q. 有料DLCは買った方が良いですか?
A. まずは本編をプレイしてから判断することをおすすめします。 DLCは、あくまで本編の世界観やシステムを気に入った人が、さらに深く楽しむための追加コンテンツです。 まずは本編だけで十分に遊べますので、焦って同時に購入する必要はありません。 ミアレシティがあなたの「第二の故郷」になったと感じたなら、その時こそDLCを購入する絶好のタイミングです。
まとめ
今回のレビューをまとめます。
- 「レジェンズZ-Aのボリュームが少ない」という噂は、主にストーリークリアに特化したプレイスタイルに基づいたもので、ゲーム全体の評価としては正しくない。
- メインストーリーのクリア時間は平均20~30時間だが、これは壮大なチュートリアルに過ぎない。
- クリア後には、図鑑完成、100種類近いサイドミッション、本格的なポケモン育成とオンライン対戦など、100時間以上遊べる無限のやりこみ要素が待っている。
- 広大な自然を冒険した「アルセウス」とは異なり、作りこまれた都市を探索し、物語を深く味わうのが「Z-A」の魅力。
「Pokémon LEGENDS Z-A」は、メインストーリーという「幹」から、無数の「枝葉」が伸びている大樹のようなゲームです。 幹だけを見て「小さい」と判断してしまうのは、あまりにもったいない。 その枝葉の先にある、数えきれないほどの物語や出会いを体験してこそ、このゲームの真の価値が見えてきます。
もしあなたが、一つのゲームと長く、深く付き合いたいと願うなら、「レジェンズZ-A」は最高の選択肢の一つとなるでしょう。 さあ、人間とポケモンが共存する美しい都市、ミアレシティへの切符を、あなたも手に取ってみませんか?