ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、2025年10月16日に発売された「ポケモンレジェンズ Z-A」(以下、ポケモンZA)で、特定のポケモンの厳選難易度が「ほぼ不可能」とまで言われている理由が気になっていると思います。
そう、それは「化石ポケモン」の「色違いオヤブン」個体です。
ポケモンZAの舞台、ミアレシティでの冒険にも慣れ、多くのプレイヤーが色違い厳選やオヤブン個体の収集に熱中しています。 しかし、その中でもチゴラス、アマルス、プテラの3匹の化石ポケモンだけは、他のポケモンとは一線を画す絶望的な厳選難易度を誇ります。
なぜ「幻クラス」とまで言われ、ベテランの厳選プレイヤーたちをしても「実質不可能」と言わしめるのか。 その背景には、確率の天文学的な壁と、ポケモンZA特有のシステム的な制約が複雑に絡み合っています。
この記事を読み終える頃には、化石ポケモン色違いオヤブン厳選の過酷さ、その理由、そしてその先に待つロマンの全てについての疑問が解決しているはずです。
- 化石ポケモン色違いオヤブンの驚異的な低確率
- 厳選効率を著しく下げるゲームシステム上の制約
- 莫大なゲーム内資産とリアル時間を要求する厳選サイクル
- 「ほぼ不可能」の根拠となる具体的な確率計算の内訳
それでは解説していきます。
ポケモンZAにおける化石ポケモン厳選の基本
まずは、今回のテーマである化石ポケモンたちがどのような存在で、どのように厳選作業が行われるのか、基本的な情報から整理していきましょう。
対象となる3匹の化石ポケモン
ポケモンZAのミアレシティ再開発の過程で、地中深くから太古の化石が発見されるようになります。 今作で復元可能な化石ポケモンは、以下の3種類です。
- チゴラス(あごの化石)
- いわ・ドラゴンタイプの「ようくんポケモン」。
- ティラノサウルスを彷彿とさせる見た目が人気で、進化後のガチゴラスは非常に攻撃的なステータスと強力な特性「がんじょうあご」を持ちます。
- オヤブン個体の迫力は随一とされ、多くのトレーナーが巨大なガチゴラスを求める理由となっています。
- アマルス(ヒレの化石)
- いわ・こおりタイプの「ツンドラポケモン」。
- アパトサウルスのような長い首と、オーロラのようなヒレが特徴的な美しいポケモンです。
- 進化後のアマルルガは、耐久こそ低いものの、美しい見た目と独自のタイプ構成で人気があります。
- 色違いは特に美麗で、オヤブン個体はその神々しさに拍車をかけます。
- プテラ(ひみつのコハク)
- いわ・ひこうタイプの「か石ポケモン」。
- 初代から登場するお馴染みの化石ポケモンであり、高い素早さを持つ高速アタッカーです。
- 今作ではメガシンカの復活も話題となっており、メガプテラとしての活躍も期待されています。
これらのポケモンは、通常の野生エンカウントでは出現せず、「化石の復元」という特別なプロセスを経由してのみ仲間にすることができます。 この入手方法の特殊性こそが、厳選を困難にする第一の要因です。
なぜ今、化石ポケモン厳選が話題なのか
ポケモンレジェンズシリーズの大きな魅力の一つが「オヤブン」個体の存在です。
通常よりも遥かに大きく、専用の証を持ち、高い「がんばレベル」を持つオヤブンは、コレクターにとって垂涎の的です。 そして、ポケモンシリーズ伝統のやり込み要素である「色違い」。 この二つが組み合わさった「色違いのオヤブン」は、レジェンズシリーズにおける最上級のレア個体として、多くのプレイヤーが追い求めてきました。
ポケモンレジェンズ アルセウス(以下、アルセウス)では、大量発生や大大大発生といったシステムのおかげで、特定のポケモンの色違いオヤブンを狙うことは(非常に困難ではあるものの)現実的な範囲でした。
しかし、ポケモンZAにおける化石ポケモンは、そうした確率ブーストの恩恵を一切受けられないのです。
厳選の基本的な流れ
情報ソースや多くのプレイヤーの報告に基づくと、ポケモンZAでの化石厳選は以下の手順で行われます。
- 化石の購入
- ミアレシティの特定のショップ(通称「石屋」)で、3種類の化石「あごの化石」「ヒレの化石」「ひみつのコハク」を購入します。
- これが非常に高額で、1個あたり20,000円以上(試算では約23,333円)もします。
- まず、厳選の試行回数分の化石を買い溜めする必要があります。
- ポケモン研究所での復元
- ミアレシティのポケモン研究所の2階にいる研究員に話しかけ、サイドミッションをクリアすると化石を復元してもらえるようになります。
- この際、1個ずつ化石を選んで復元するプロセスを踏みます。
- 幸い、Aボタンを連打していれば次々と復元作業が進むため、連射コントローラー(連コン)があれば「復元作業」自体は放置が可能です。
- 個体の確認
- 復元されたポケモンは自動的にボックスに送られます。
- 一定数(例えば100匹や150匹など)を復元したら、ボックスを開き、1匹ずつステータスを確認します。
- 確認項目は「色違い(★マーク)か」「オヤブン(赤いオヤブンマーク)か」の2点です。
- リセット
- 目的の個体(=色違いオヤブン)が出ていなければ、ゲームをリセットします。
- 幸い、ポケモンZAは「復元作業中」はオートセーブが入らない仕様のようで、リセットすれば購入した化石は消費されずに手元に戻ります。
- 目的の個体が出るまで、延々とステップ2~4を繰り返します。
一見すると、過去作の化石厳選と変わらないように見えます。 しかし、ここに「ほぼ不可能」と言われるほどの罠が潜んでいるのです。
「ほぼ不可能」と言われる5つの具体的理由
なぜ、この化石厳選が「幻クラス」とまで呼ばれるのか。 その具体的な理由を、確率論とゲームシステムの両面から深く掘り下げて解説します。
理由①:絶望的な確率の壁(色違い × オヤブン)
最大の理由は、その天文学的な確率の低さです。 現在、多くの検証勢の間で「化石ポケモンの色違いオヤブン」の確率は 1/409,600 と見積もられています。 これは、いったいどのような計算から導き出されたのでしょうか。
色違いの確率(基礎)
まず、ポケモンZAの基本的な色違い確率は、近年の作品同様 1/4096 とされています。 通常、この確率は「ひかるおまもり」の所持や「大量発生」などで大幅に引き上げることができます。
しかし、今回の化石復元に関しては、これらの確率ブーストが一切適用されないと見られています。 ある検証動画(情報ソース①)では、「光るお守りの効果が乗らない」と明言されています。 これは、化石復元が「野生のエンカウント」ではなく「イベントによるポケモン生成」として扱われているためと考えられます。
つまり、厳選は常にベース確率である 1/4096 での勝負を強いられるのです。
オヤブンの確率(推定)
次に、復元されたポケモンが「オヤブン」個体になる確率です。 これは野生のオヤブン出現率とは異なる、復元時専用の確率が設定されているようです。
前述の検証動画(情報ソース①)では、3450匹の化石ポケモンを復元した結果、34匹のオヤブン個体が出現したと報告されています。 ここから、オヤブン個体の出現率は約 1/100 (1%) ではないかと推定されています。
野生のオヤブンと比較すると高いように思えるかもしれませんが、問題はこれが「色違い確率」と掛け合わされる点にあります。
色違いオヤブンの確率計算
上記の2つの確率を組み合わせてみましょう。
- 色違いになる確率: 1/4096
- オヤブンになる確率: 1/100
この2つが同時に起こる確率、すなわち「色違いのオヤブン個体」が復元される確率は…
1/4096 × 1/100 = 1/409,600
これが、「ほぼ不可能」と言われる確率の正体です。 40万9600分の1。 これは、宝くじの高額当選を狙うに近い数字です。
この確率を引くために必要な試行回数の「期待値」は、もちろん約41万回です。 仮に、1回の試行(1匹復元)にかかる時間を多めに見積もって5秒としましょう。 41万回 × 5秒 = 2,050,000秒 これは約570時間になります。
不眠不休でAボタンを連打し続けても、平均で570時間(約24日間)かかる計算です。 これがどれほど異常な数字か、お分かりいただけるでしょう。
理由②:ゲームシステムによるリセット効率の悪さ
確率が低いだけなら、時間をかければいつかは…と思えるかもしれません。 しかし、ポケモンZAのシステムが、その試行回数を稼ぐこと自体を困難にしています。
オートセーブの罠
最大の問題点が、ポケモンZAの仕様である「オートセーブが設定で切れない」ことです。 これにより、プレイヤーは任意にセーブポイントを固定することが難しくなっています。
幸いにも「復元作業中はオートセーブが(かから)ない」という仕様のおかげで、リセット厳選自体は可能です。 しかし、これは「復元を開始したら、リセットするまでセーブできない」ことを意味します。
1サイクルあたりの時間的コスト
厳選は「化石購入」→「研究所移動」→「連続復元」→「ボックス確認」→「リセット」のサイクルになります。 ここで最も時間がかかるのが「ボックス確認」です。
情報ソース①の検証では、1サイクルで150匹を復元しています。 150匹のポケモンがボックスに送られた後、プレイヤーは1匹ずつカーソルを合わせ、色違いの★マークとオヤブンの赤いマークが付いていないかを目視で確認する必要があります。 この作業は連射コントローラーでは自動化できず、多大な集中力と時間を要します。
仮に、1サイクル(150匹の復元+ボックス確認+リセットして再開)にかかる時間を15分と仮定しましょう。 期待値である41万回に到達するには、 410,000回 ÷ 150匹/サイクル = 約2,733サイクル もの回数が必要です。
総時間(期待値)= 2,733サイクル × 15分/サイクル = 40,995分 つまり、約683時間。
これはあくまで「期待値」です。 570時間(試行時間のみ)や683時間(サイクル時間込み)というのは、この回数試行すれば「約63%」の確率で1匹は出る、というラインに過ぎません。 運が悪ければ、1000時間、2000時間費やしても出ない可能性が十分にあるのです。
理由③:莫大な金銭的コスト(ゲーム内通貨)
この厳選は、時間だけでなく莫大なゲーム内資産(お金)も要求します。
化石の高額な価格
前述の通り、化石は1個あたり約23,333円と非常に高額です。 1サイクル(150個)分の化石を準備するだけで、約350万円もの大金が必要になります。
もちろん、リセットすれば化石は戻ってくるので、基本的には最初の350万円があれば厳選は続けられます。 …しかし、そこに大きなジレンマが発生します。
色違い(通常個体)が出た時のジレンマ
もし、41万分の1の「色違いオヤブン」ではなく、4096分の1の「通常の色違い」が出たら、あなたはどうしますか?
多くのプレイヤーは、その貴重な色違い個体を確保するために「レポート(セーブ)」を書きたくなるはずです。 情報ソース①の検証者も、通常の色違いチゴラスが出た際、リセットせずにレポートを書いています。
しかし、一度レポートを書いてしまうと、そのサイクルで消費した化石(その検証では1050個)はすべて失われます。 厳選を再開するには、また数百万、数千万のお金を稼ぎ直さなければならないのです。
色違いオヤブン「だけ」を狙うのであれば、途中でどれだけ貴重な通常の色違いが出ようとも、心を鬼にしてリセット(=逃がす)し続ける「覚悟」が求められます。 これは精神的に非常に過酷な選択です。
色違いが出るたびにセーブし、金策に戻る…というスタイルを取る場合、厳選にかかるリアル時間は金策の時間も含めてさらに膨れ上がっていきます。
理由④:他の厳選方法との圧倒的な効率の差
ポケモンには、色違い厳選の効率を上げる方法がいくつも存在します。 しかし、化石復元はそれらの恩恵を一切受けられません。
| 厳選方法 | 色違い確率(お守りあり) | 特徴 |
|---|---|---|
| 化石復元 (ZA) | 1/4096 | 確率ブースト一切なし。オヤブン率1/100が別にかかる。 |
| 大量発生 (アルセウス) | 約1/158 | オヤブンも同時に狙える。効率が非常に良い。 |
| 国際孵化 (SVなど) | 1/512 | オヤブンは出ないが、高個体値や「あかし」を狙える。 |
| サンドイッチ (SV) | 1/512 (かがやきLv3) | 大量発生と併用可能。オヤブン(ヌシ)は対象外。 |
このように、他の厳選方法と比較して、化石厳選の効率の悪さ(確率の低さ)は群を抜いています。 アルセウスでは現実的だった「色違いオヤブン厳選」が、ポケモンZAの化石ポケモンに限っては、過去作のどの厳選よりも過酷なものとなっているのです。
理由⑤:すべてを乗り越える精神的な苦行
- 1/409,600 という、途方もない確率。
- 期待値600時間以上という、他のゲームが何本もクリアできるほどのリアル時間。
- 通常の色違いが出た際の「セーブか、リセットか」という苦渋の選択。
- 高額な化石代を稼ぐための、単純作業(金策)の繰り返し。
これらすべてが、厳選を行うプレイヤーの精神を容赦なく削っていきます。 「ほぼ不可能」という言葉は、単なる確率論だけでなく、この苦行を完遂できる人間が「ほぼ存在しない」という意味も込められているのです。
それでも挑戦する価値は?色違いオヤブンの魅力
では、なぜこれほど過酷な厳選に挑むプレイヤーがいるのでしょうか。 それは、困難さに見合うだけの、あるいはそれを超越するほどの「ロマン」があるからです。
化石ポケモンの色違いの魅力
まず、この3匹は通常の色違い個体ですら非常に魅力的です。
- 色違いチゴラス/ガチゴラス: 通常の赤茶色から、鮮やかな青色(チゴラス)や、威厳のある濃紺と赤のツートン(ガチゴラス)へと変化します。
- 色違いアマルス/アマルルガ: 通常の水色から、神々しい純白のボディへと変化します。ヒレのオーロラもより一層美しく見えます。
- 色違いプテラ: 通常の灰色から、鮮やかな紫色の翼を持つ姿になり、非常に人気が高い色違いの一つです。
情報ソース①の検証者も、これら3匹の色違いを(通常個体ながら)すべて揃え、その美しさに感嘆しています。
オヤブン個体の圧倒的な存在感
レジェンズシリーズのオヤブンの最大の魅力は、その「サイズ」です。
通常個体と並べた時の威圧感、連れ歩いた時の存在感は格別です。 情報ソース①でも「親分になったらマジとんでもないでかさになるんだろうな」「天井突き抜けるんじゃないか」と、その巨大さへの期待が語られています。
特にガチゴラスやアマルルガのような大型ポケモンがオヤブンになった際の迫力は、他の何物にも代えがたいものがあります。
「色違い」と「オヤブン」の究極のシナジー
この「美麗な色違い」と「圧倒的なサイズ(オヤブン)」が組み合わさった時、その個体は唯一無二の価値を持ちます。
- 白く輝く巨大なアマルルガ
- 濃紺の巨大なガチゴラス
- 紫の翼を持つ巨大なプテラ
これらをミアレシティで連れ歩く姿を想像してみてください。 ポケモンZAには写真撮影機能も充実しており、その雄姿を記録する喜びは計り知れません。
1/409,600という確率。 それは、このポケモンZAの世界において、自分だけの「幻のポケモン」を手に入れることに等しいのです。 その達成感と希少価値こそが、プレイヤーをこの果てしない厳選へと駆り立てる最大の動機と言えるでしょう。
確率の壁を超えるために(非現実的なヒント)
万が一、あなたがこの「ほぼ不可能」な厳選に本気で挑戦しようと決意した場合、いくつか心構えと準備が必要です。
必要な準備:ゲーム内資産の確保
まず、ゲーム内のお金がなければ始まりません。 通常の色違いを確保しながら厳選を進める場合、数千万、あるいは億単位の所持金が必要になる可能性があります。
ポケモンZAで最も効率的な金策(例えば、特定のアイテムを収集して高額売却するなど)を確立し、厳選の傍ら、常に金策を意識する必要があります。
必要な準備:環境整備
- 連射コントローラー: 必須です。Aボタンを連打して化石を復元する作業は、手動では不可能に近いでしょう。
- 効率的な確認手順: ボックス確認の作業をいかに高速化するか。自分なりのルーティン(例:右スティックで一気にスクロールし、★マークだけを探すなど)を確立することが重要です。
心構え:「通常色違い」を捨てる覚悟
これが最も重要かもしれません。 もしあなたの狙いが「色違いオヤブン」ただ一点のみであるならば、途中で出現する「通常の色違い」は、どれほど貴重であってもリセットする覚悟が必要です。
この非情な選択を数回、数十回と繰り返せる強靭な精神力こそが、厳選達成への最大の鍵となります。 セーブして金策に戻る道を選ぶなら、それは「時間」とのさらなる戦いになります。
コミュニティでのデータ収集
情報ソース①の投稿者が「何回ぐらいで出たかコメントいただけると嬉しい」と呼びかけているように、この厳選はまだ解明されていない部分があるかもしれません。
- 本当に「ひかるおまもり」の効果は乗らないのか?
- オヤブン確率は本当に「1/100」で固定か?
もし、ひかるおまもりが効く(色違い確率1/1024など)となれば、最終確率は 1/102,400 となり、難易度は(依然として絶望的ですが)4分の1になります。 コミュニティで情報を集め、わずかでも確率が上がる要素がないかを探ることも重要です。 (ただし、本レビューの時点では、最も絶望的な1/409,600という説が有力です)
まとめ
今回は、ポケモンZAにおける「化石ポケモン(チゴラス、アマルス、プテラ)の色違いオヤブン厳選」が、なぜ「ほぼ不可能」と言われるのか、その理由を徹底的に解説しました。
- 理由①:1/409,600 という天文学的な確率
- 理由②:「ひかるおまもり」などの確率ブーストが一切適用されない
- 理由③:高額な化石コストと、「通常色違い」が出た際のセーブかリセットかというジレンマ
- 理由④:「オートセーブが切れない」仕様による、リセット厳選の効率の悪さと時間的コスト
- 理由⑤:期待値600時間以上という、実行する人間の限界に挑戦するような精神的苦行
この厳選は、もはや「やり込み」の域を超えた「挑戦」です。 もし、あなたがこのミアレシティで、色違いのオヤブン化石ポケモンを連れ歩いているトレーナーに出会ったなら、その人は確率の神に愛されたか、あるいは人知を超えた努力を成し遂げた、真の「レジェンド」と呼ぶにふさわしいでしょう。
ロマンを追い求めるすべての厳選プレイヤーに、幸運があらんことを。






